ダンガンロンパPRISON   作:M.T.

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章タイトル元ネタ『愚者のエンドロール』です。
ちょっと矛盾があったので編集


第6章 非日常編①

いい物見せてあげるよ。ここで死ぬなんて、もったいないだろ?

無いなら、作ってあげるよ。キミが望むセカイを…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

みんな、死んでしまった。

治奈ちゃんも、天理クンも、そして方神も。

…どうしてだろう。

ボクの家族を奪った方神は死んだのに、ボク自身は何も得られた気がしない。

…むしろ、空っぽになった気がする。

復讐を考えてた自分がバカみたいに思えてきた。

ボクは、あんなくだらない奴に人生を狂わされたのか。

 

「狛研ちゃん!」

「あっ…陽一クン。」

「ったく、しっかりしろよな。希望を捨てるなって言ったのは狛研ちゃんだろ?君がしっかりしないでどうするんだよ。」

「…そうだったね。ごめん、ちょっと考え事してた。」

「栄君の言う通りさ。穴雲く…方神亡き今、オイラ達のリーダーは君しかいないんだからさ。」

「え、ボクがリーダー?」

「君以外誰がいるんだよ。君は、みんなが絶望に堕ちそうになった時、いつも支えてくれたからさ。それに、君は自分が正しいって思った事を貫き通す勇気があるからな。いっつも正しい事をするのってすっげェ勇気がいる事だし、誰もが出来る事じゃねェよ。」

「ありがとう。でも、ボクは…」

 

「…って、財原が言ってたぞ。」

…へ?

「天理クンが?それ、ホント?」

「ホントだよ。アイツ、君の事は特別扱いしてたからさ。なんでって聞いてみたんだよ。そしたらアイツ、珍しく真剣そうな表情で答えたんだよ。…多分、あの時はもうすでに死ぬ覚悟は決まってたんだろうな。」

「…そっか。教えてくれてありがと。」

天理クン、陽一クンとそんな事話してたのか。

この二人、仲悪そうに見えてたけど意外と本音とかお互いにちゃんと話し合ってたんだな。

 

「いいよなー、アイツは。」

「何が?」

「両想いでさ。それに、オレ達そっちのけで最後の最後においしい所持って行きやがって。投資家だけに自分の株まで急上昇ってか?」

「何の話?」

「狛研ちゃんだって、アイツの事特別扱いしてたじゃねえか。クッソ、なんであんな性格ブス野郎がモテてオレは…

ボクが、天理クンを特別扱い?

…全然そんな気なかったな。

 

『…勝手に俺を置いて死んだりすんなよな。キミは、俺にとって大事な人なんだからさ。』

 

キミが勝手に死んでどうするんだよ。

いくら方神に仕返しをして勝ち逃げしたからって、死んだら意味ないだろ。

本当にキミが【超高校級の勝者】だっていうのなら、自分が死ぬ運命にくらい抗ってほしかったよ。

 

…あの時キミが死ななければ、死んでいたのはボクの方だったかもしれないのに。

なんでボクの事を好きでいてくれた人はみんな、ボクを置いて行っちゃうんだよ。

 

「…バカ。」

「狛研ちゃん!?」

「え?あ、ううん。ごめん、なんでもない。こっちの話。」

「バカに過剰反応するんじゃないよ、栄君。」

「わ、悪い…つい…」

「ははは…」

 

…大切な人、か。

最後まで嘘ばっかりついて何考えてるのかわかんない子だったけど、なぜかあの言葉だけは嘘じゃなかったと思える。

あの子は、よくわからないけどボクの事だけは信頼してくれてると思ってた。

だから、ボクもあの子の事は信じてた。

結局、ボクにとってあの子はなんだったんだろう。

…そんな事、今更考えても仕方ないか。

 

「そうだねぇ。確かに、君にはリーダーの素質があるかもね。国王様も言ってたよ。『万が一俺が死ぬような事があれば狛研を頼ってほしい』ってさ。国王様も、君の本当の強みを見抜いてたんだねぇ。」

「ラッセクンがボクを…?」

「そうだよ。君はオイラ達の希望なんだよ。」

「…みんなありがとう。」

 

「…あの、みんな…」

ゐをりちゃんが戻ってきた。

「神座ちゃん。今までどこ行ってたんだよ。」

「…ごめん。ちょっと、6階に行ってた…」

「6階?」

「うん。学園長室が開いてたわ。」

「マジか!?」

「ああ、そういえば全てのエリアを開放したってモノクマが言ってたね。」

「そういやあそうだな。な、狛研ちゃん。」

「うん…」

「どうしたんだよ。君は、オレ達のリーダーだろ?だったらちゃんと指示してくれよ。」

「そうだね。じゃあ探索期間は3日しかないし、早速探索に行こっか。」

「おう。」

「…あの、叶。」

「ん?なあに、ゐをりちゃん。」

「私、あなたの事、頼りにしてるからね。私は何があっても叶を信じるし、叶に何かあったら私が助ける。」

「ありがとう。ゐをりちゃん、大好き!」

「…。」

あれ?急に黙っちゃった。

まあいいや。探索行かないと。

 

 

 

 

【学園長室】

 

「…ここか。」

 

『おーっとちょい待ちちょい待ち!!』

いきなり部屋からクマさんが飛び出してきた。

「うぉあっ!!いきなり湧いて出てくんなよ汚ねェな!!」

「不愉快。消えて。」

『汚いって何さ汚いって!!マスコットを虫か何かみたいに言うのやめてくれる!?ボクはこの学園の学園長なんだぞ!?』

「君なんて虫以下さ。耳障りだからどっか行ってよ。」

『ひどいなぁ、ここはボクの部屋だよ?ボクがどのタイミングで出てこようとボクの自由でしょ?』

「それは一理ある。」

「狛研君、納得しちゃダメだよ。」

「ごめん。」

「で?何しに来たの?」

『なんでこう上から目線なのかなぁ。誰がこんなステキな校舎を用意してあげたと思ってるの?』

「うっせェな!そもそもテメェがこんな所に監禁なんかしなきゃ誰も死ななかったんだぞ!!」

『へー、誰も死ななかった、か。面白い事言うねオマエは。』

 

『一体誰のせいでこんな事になったと思ってるの?』

「はぁ!?何言ってんだテメェは!!」

『あ、そっか。全部リセットしてるから記憶にないんだった。いやー、失敬失敬。』

「どうでもいいからさっさと要件だけ伝えて消えて。」

『うわっ、こっわ。神座サンてば、視線が絶対零度だよ!マイナス273度!0ケルビン!ボクのエントロピーとエンタルピーが最低値になっちゃうよ!』

「うるさい。」

『ちぇっ、どいつもこいつもホント生意気!最近の若者ってマジでどういう教育受けてんの!?もう怒ったから要件だけ伝えて寝る!…裁判中に言ってた事だけど、あれじゃあ説明不足だったから詳しいルールを説明しに来たんだよ。』

「詳しいルール?」

 

『その一!オマエラは、この学園にいる間は一切コロシアイをしてはいけません!コロシアイが発生した場合は、連帯責任で全員をおしおきします!』

「散々コロシアイを強要しておいて、都合のいい事を言うもんだねぇ。」

『だってこれ以上人数が減っちゃったら逆にツマンナイでしょ?』

「コイツ…」

 

『その二!オマエラには、この学園を調べる期間を72時間あげます。それまでにこの学園について調べ尽くしてください。捜査期間の後、学級裁判を開きます。捜査期間中は、コロシアイとルール違反以外なら基本的に自由行動です!この学園について調べるもよし、ボクを殺すための計画を練るもよし、お昼寝するもよし、何してもOKだよ!…あ、ただし凹凸擦って聖槍爆裂させて月の向こうまでイっちゃたりすんのは極力やめてね。それから吐き気催すようなグロい事とかキショイ事とかすんのもナシだよ。』

「よく下ネタでそんなボキャブラリーが出てくるよな。」

「栄君、同感だけど今それツッコむのはやめておこうか。」

「なんでそんな制限があるの?捜査期間の行動は自由なんじゃないの?」

『モザイク処理がめんどくさいんだよ!何が悲しくてオマエラのアレやソレにモザイクを貼らなきゃいけないんだよ!それにR–18タグがついちゃうでしょ!それと意図的に学園内の物を壊すのもやめてね。後始末がめんどくさいから。何かやらかしたら自分でなんとかしてね。』

なんだそれ。

 

『それから学園内のエリアとネットワークは全部開放してあげたから、思う存分調べるといいよ。』

「休憩とかは?」

『もちろん、休憩も捜査時間に含まれるよ。だから頭使ってこの捜査時間を有意義に使う事だね。別に休憩しなくてもいいけど、そしたら身体壊れると思うよ。』

「あなたが出てきて何かをする事は?」

『基本的には、ボク達は捜査に介入しません。ただし、どうしてもわからない事があったら解説役として登場する事があるかもよ。』

「…それなら良かった。あなたにいちいち話しかけられたら精神を病むわ。」

『そこまでいう!?』

「で、その他のルールは?」

 

『その三!学級裁判では、3つの議題について議論してもらいます。ひとつは、このコロシアイを裏で操ってる黒幕の正体。』

「キミの正体?…さっきも聞いた事だけど、なんでそれをわざわざ議論するの?」

『そろそろ人数も減ってきたし、ここいらでオマエラと決着をつけたくってさ。正解したら、ご褒美にオマエラの目の前で正体を明かしてあげるよ!オマエラ、クラスメイトのみんなを間接的にとはいえ殺した仇と対面できるんだよ?嬉しくない?』

間接的に殺してた自覚はあったのか。

「嬉しくねェよ!!散々みんなの命を弄びやがって…テメェは後でブン殴ってやるからな!!」

「やめなよ、栄君。時間がないんだ。今はとりあえず要件だけ聞き出そう。」

「…チッ。」

『オマエラ、ここに来てから随分と冷静に考えるようになったよね。最初はパニック起こしてたくせに。オマエラが成長できたのもボクのおかげ?だったら感謝しろ感謝!』

「うっせぇ!!」

『はーこわ。じゃあ続き話しちゃうね。2つ目は、このコロシアイの目的!』

 

「…え?」

『オマエラには、なんでこのコロシアイが開催されたのかについて議論してもらうよ。』

「そんなの知るかよ!!なんでオレ達がこんなクソゲーに巻き込まれなきゃなんねえんだ!!」

『何言ってんの。その原因を作ったのはオマエ自身でしょ?』

「…は?」

『おっと、これ以上は何を聞かれても何も話さないよ。知りたかったら自分で調べる事だね。』

「んだよそりゃ!!」

『はいはい、ホースなディアーは無視しようね。』

「はぁ!?」

ホースなディアー…

…あ、馬と鹿か。

 

『それから3つ目。オマエラが明らかにすべき真実…それはオマエラの正体だよ!』

「お、オレ達の…正体…!?」

『そっ。オマエラは、極悪生徒だからここに閉じ込められてるんだよ?自分の胸に手を当ててごらん?って、記憶がリセットされてるから何も思い出せないかw』

「そんな事言われてもね。私達は私達。それ以上でもそれ以下でもないわ。」

『ふーん、そう。でも、ちょっと調べればわかる事なんじゃない?オマエラが一体何者なのかはね。そのために3日間も捜査期間を設けてあげてるんだからさ。』

「…。」

『ボク達は基本的に不公平な事は嫌いだから、それなりの情報はあげるよ。もちろん、全部教えちゃったらゲームにならないからヒントをあげる程度だけどね。』

よく言うよ。

ゲームを盛り上げるために方神と手を組んでおいてさ。

 

『ルールその四!その議論を終えた上で、オマエラにはある決断をしてもらうよ。オマエラの生死はその重大な決断によって左右されます。だから、捜査も裁判も慎重にやる事だね。』

「なんだよ、ある決断って。」

『それは裁判が終わってからのお・た・の・し・み!説明は一通り終わったし、自分の手帳でもルールを確認してみるといいよ。じゃーね!』

クマさんは、そういうと去っていった。

「…とりあえず、校則を確認しようか。」

 

1.収監20日目から72時間を捜査期間とします。この期間中は、夜時間を除いて学園内の全てのエリアが開放されます。才監学園について調べるのは自由です。特に制限は課せられません。

2.捜査期間中のコロシアイを禁じます。コロシアイが発生した場合、連帯責任で直ちに全員を処刑します。

3.夜10時から朝7時までを夜時間とします。夜時間中は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。

4.就寝は学園内に設けられた個室でのみ可能です。他の場所での故意の就寝は居眠りとみなし罰します。

5.学園長ことモノクマと、看守長ことモノベルへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊を禁じます。その他、学園が用意した共用の器具を故意に破壊する行為を禁じます。

6.捜査期間終了後、学級裁判を執り行います。裁判では、黒幕の正体とコロシアイの目的と自分達の正体について議論しましょう。議論の結果によって、全員の生死が左右されます。捜査と学級裁判は慎重に行いましょう。

7.特に禁止・処罰はしませんが、過度に性的又は暴力的、その他著しく他者を不快にする行為は避けましょう。

 

…よし、大体確認できたから捜査をしよう。

ボク達の未来がかかってるんだ。

慎重に事を進めないと。

…お父さん、お母さん、そしてみんな。

絶対に真実を解き明かして4人でここから出るからね。

 

 

 

 

 

ー《捜査開始》ー

 

「まずどうするよ?」

「そうだね。せっかく開放されたし、まずは学園長室を調べてみるのはどうかな?」

「げっ、あのゲテモノが出てきた部屋を調べんのかよ!?」

「でも、調べなきゃ仕方ないよね?」

「…栄養士、嫌なら別の場所を調べてもいいのよ。私達3人で調べておくから。」

「うん、それがいいね。栄君はここを調べたくないみたいだし。」

「そんな事言ってねぇだろ!オレをのけ者にしようとすんな!わ、わぁったよ!調べればいいんだろ!?」

ボク達は、クマさんの絵が描かれたドアを開けた。

 

 

 

 

中は、情報管理室に似た構造になっていた。

ボク達の背の高さくらいある巨大なコンピューターがケーブルで繋がれていて、部屋の真ん中にはゲーム機のようなものがセットされている。

…えっと、なんていうだっけこれ。…確か、ファミコンだっけ?カセットふーふーするやつ。

巨大なコンピューターは全部で16台あって、全部ゲーム機に繋がれている。

一番気になったのは、コンピューター一台一台に全員の名前が書かれている事だ。

「なんだこれ…オレの名前じゃねえか!」

「ボクの名前もある…へくしゅっ!!」

 

「狛研ちゃん、どうした?」

「あ、いや…この部屋ちょっと寒くない?なんかクーラーがガンガン効いてる気がする。」

「ああ、コンピューターが置いてある部屋は、熱暴走を防ぐために冷房を効かせておくのがいいんだよ。」

「なるほど、それで寒いのか。」

「叶、私の羽織着る?」

「ありがとう。でも、そうしたら今度はゐをりちゃんが寒いでしょ?それに、ゐをりちゃんの服のサイズだと、小さくて着られないからね。」

「…そう。」

「狛研ちゃん、オレの学ラン貸してやるから着ろよ。」

「え、でもそうしたら陽一クンが…」

「いいんだよ。オレは暑がりだからな。」

「…ありがとう。」

陽一クンが上着を貸してくれた。

やっぱ陽一クンの服って大きいね。

 

「よし、気を取り直して捜査進めますか。」

「そうだねぇ。」

ええっと、どこまで進んだっけ。

ああ、確かファミコンとコンピューターを調べてたんだっけ。

「けどよお、せっかく学園長室に来てゲーム機とか、なんか拍子抜けだよな。しかも、旧型じゃねえか。ゲームエリアのゲーム機の方がよっぽどハイテクだぜ。」

「…そうでもないと思うよ。」

「どういう事だ?狛研ちゃん。」

「だってさ、わざわざ鍵をかけて部屋に入れないようにしてたって事は、ここにクマさん達にとって知られたくない何かがあったって事でしょ?特に意味のない物を隠しておくために鍵をかけてたわけじゃないと思うんだけど。」

「…まあ、そうか。」

「多分、このゲーム機はコロシアイを進める上で重要な何かなのかも。」

「じゃあ、コイツを壊せば全部解決なんじゃ…」

「いや、やめておいた方がいいと思うよ。」

「はぁ?なんでだよ。」

「だって、まだこのゲーム機とコロシアイの繋がりが見えてない以上、迂闊に触ったらオイラ達がどうなるかわかんないんだよ?最悪、校則に引っかかっておしおきなんて事も…」

「うっ…」

 

コトダマゲット!

 

【ゲーム機】

学園長室にあったゲーム機。何か重要な機械なのかもしれない。

 

「あれ?」

「ん?どうしたんだい、狛研君。」

「飲みかけのココアと食べかけのお菓子が散らばってる。」

「それがどうしたんだよ。」

「よく考えてみて。これって、黒幕がこの部屋で飲み食いしてたって事だよね。つまり、黒幕はこの建物内にいる誰かなんだよ。」

「…まあ、モノクマもオイラ達の中に黒幕がいるって言ってたもんね。」

「で、見てみてほしいんだけど…」

ボクは、ココアを指差した。

「これ、少し冷めてて内側にくっきり線が付いてる。…これ、どういう事かわかる?」

「少し前まで黒幕がこの部屋にいたって事?」

「そういう事。で、このお菓子とココアの状態から推測するに、黒幕が部屋にいたのは少なくとも30分前って事になるんだ。」

「30分前…オレらが学級裁判やってた時だな。」

「じゃあこの4人はシロって事かい?でも、ここにいる4人以外は全員死んでるし…閉じ込められた16人以外に人はいないはずだし…って事は17人目の囚人?ああ、ダメだ。頭がこんがらがってよくわからないや。」

 

コトダマゲット!

 

【お菓子とココア】

学園長室に散らばっていた。少なくとも黒幕が30分前までこの部屋にいた証拠。

 

「あと、気になるのはこの機械かな。」

「ああ。オレらの名前が書いてあるけど…なんなんだろうな。」

「さあね。機械に詳しい才刃クンなら解析できたんだろうけど…」

「いない奴の事を考えても仕方ねェな。とりあえず、今の所オレらが調べられるところはそんなになさそうだな。」

 

コトダマゲット!

 

【コンピューター】

全部で16台あり、真ん中のファミコンに導線で繋がれている。ひとつひとつに全員の名前が書かれている。

 

「…あれ?」

「ん?どうしたんだ狛研ちゃん?」

「いや…このコンピューターの並び方、どっかで見た事あるような気がするんだよね…」

「マジかよ。」

「うん…あれー?絶対どっかでみてると思うんだけど…」

「心当たりは?」

「んー…思い出せないや。」

「あの、もうここには手がかりは無いと思う。一度別の場所を探さない?」

「そうだねぇ。」

「…あの、その前に一個いい?」

「なんだ、狛研ちゃん。」

「…めっちゃお腹すいた。」

「うーん、せっかくだから食事にしたいところだけど…時間がないから適当に何か食べながら探索をする感じにしようか。」

「そうだね。探索を中断するわけにはいかないし、休憩はそれぞれ交代制でとるのはどう?」

「…そうね。」

 

 

 

 

「よいしょっと。お待たせみんな。」

「…マジかよ。リュックで持ってきたぞ。なあ、一応聞くけどそれって一日分?」

「半食分。」

「え?」

「半食分。」

「…ははは、オイラは君がブラックホールに思えてきたよ。」

「ねえ、探索は進めておいてくれた?」

「ああ、図書室に行ってそれっぽい本を集めてきたぜ。」

「それから物理室や化学室にあった研究書も全部持ってきたよ。まだ分類できてない本もあるから、狛研君も手伝ってくれるかい?」

「もちろん。」

 

 

 

 

…とりあえず分類だけは終わった。

あとはこれを読めば…

「あの、みんな。」

「ん?なんだ、神座ちゃん?」

「えっと、今こういう事言うのは気が引けるけど…少し眠いかも…」

「え、ゐをりちゃん眠いの?そうならそうって遠慮なく言ってくれればいいのに。」

「ごめんなさい、今捜査中だから…」

「そういえばもう夜時間だもんね。じゃあ、6時間経ったら起こしに行くから、それまではゆっくり寝てきなよ。」

「…ありがとう。じゃあ休んでくるわね。」

ゐをりちゃんが部屋に戻った。

「さてと。オレ達はオレ達で調べ物進めないとな。」

「今は情報管理室と看守室と学園長室は入れないし…資料をひと通り読む時間にしようか。」

「そうだねぇ。」

 

 

 

 

ボクはまず、看守室にあった履歴書に目を通した。

失くなってた方神とボクの分の履歴書が見つかったから、これで16枚揃ったはずだ。

履歴書には全て罪状と処刑執行日が書かれる欄があった。

過程はどうあれ、ここに書かれている内容によると、みんなはここに収監される前に誰かを殺しているらしい。

そして、みんな処刑が執行されて死んだらしい。

…おかしい。

どう計算しても処刑執行日とみんなが死んだ日が一致しない。

今ここにいるはずの陽一クンや柳人クン、ゐをりちゃんまで処刑された事になっている。

…あれ?

ボクの履歴書だけ、罪状と執行日が黒く塗りつぶされてる。

それに、履歴書の写真がどう見てもみんなとは別人だ。

髪の色とか目の色とかは同じだけど、髪型や服装、雰囲気が全然違う。

…この写真に写っているのは、一体誰なんだろう。

 

コトダマゲット!

 

【履歴書】

全員の経歴や罪状、死刑執行日が書かれている。

全員処刑の日が実際に死んだ日と一致していない上に、別人の写真が貼られている。

ボクの履歴書に至っては、罪状と執行日が黒く塗りつぶされていて読めなくなっている。

 

「…ふぅ。」

「お疲れ、大丈夫か狛研ちゃん?」

「…うん。さすがに全員分の履歴書を細かい所までチェックするのは時間がかかるね。…ねえ、今何時だっけ?」

「夜の1時半。」

「マジか。…ちょっと化学室から眠気覚ましの薬取ってきていい?」

「おう。」

捜査中に寝ちゃったらおしおきされちゃうからね。

 

 

 

 

【化学室】

 

ふーん、眠気覚ましって言っても色んな種類があるんだね。

この強力なヤツは、カフェインが大量に入ってるから1度しか使っちゃダメって書いてあるな。

2回以上使うと脳が融けるって…それ絶対ヤバい薬じゃん。

…なんか怖いし普通にヤツにしとこ。

 

 

 

 

【食堂】

 

「ごめん、お待たせ。」

「狛研君、薬は取ってきたのかい?」

「まあね。」

ボクは、取ってきた薬を飲んでみた。

…お、なんか眠気が取れたような気がする。

よーし、このまま資料を全部読んじゃえ。

履歴書はもう読んだし、次はこの日誌でも読もうかな。

 

 

 

ーーー

 

20XX年4月某日

 

その日、世界中を混乱に陥らせた天変地異の大災害が発生した。

同時に、希望ヶ峰学園の第100期生の一部の生徒により、世界を巻き込む大規模なテロが発生した。

それはまるで、例の『絶望的事件』の再来を思わせるようなものだった。

その日を境に世界中で同時多発テロが起こり、世界は壊滅的な状態に陥った。事件による死者数は世界の人口をおよそ半分にまで減らしたという。政府は、事件を引き起こしたとされる15人の高校生を逮捕し、新設の学生用刑務所に収監した。

 

ーーー

 

 

 

ーーー

 

20XX年5月某日

 

収監されていた高校生は全員処刑され、世界には再び平和が訪れた。

しかし、政府はテロへの注意喚起及び再び事件を起こそうと暗躍する者達の処分のため、秘密裏に進めていた計画を世間に公表した。

その計画とは、ーーーのーーーーをーーー、ーーーーーとしてーーーーー事であった。

 

ーーー

 

 

 

…なんだこれ。

『絶望的事件』?テロ?

何がどうなってるんだ。

ボク達は、そんなの知らない。

…ちょっと待って。

じゃあ、ボク達の大切な人達は、みんな事件に巻き込まれて…?

それに、なんだこの日誌は。

所々黒く塗りつぶされていて読めない。

政府の計画って、一体なんなんだ…?

 

 

 

ーーー

 

20XX年6月某日

 

計画は順調かに思われた。

しかし、我々が仕込んだーーーが私欲のために政府を裏切り、ーーーをーーーーーしてしまった。

奴を止めなければ非常にまずい。

こうなったのも全て、『イレギュラー』のせいだ。

アイツが紛れ込まなければ、ーーーが裏切りに走る事も無かった。

 

狛研叶

 

コイツの才能は非常に厄介だ。

あの女はーーーを狂わせ、ーーーがあんな恐ろしい『実験』をしようとするきっかけを作った悪魔だ。

あの女を『殺さなければ』、我々に未来はない。

 

ーーー

 

 

 

…裏切り?

どういう事なのかな、これは。

よくわかんないけど、このゲームの黒幕は政府の裏切り者って事?

そして、ボクの才能…

政府がボクを殺したがってる…?

一体何がどうなっているんだ。

 

コトダマゲット!

 

【日誌】

政府側の人間によって書かれた日誌。

ボク達が知らない『絶望的事件』や、政府が世間に公表した計画について書かれている。

 

 

 

 

「狛研ちゃん、そっちは順調か?」

「…うん。」

「ん?どうした?うかない顔してよ。」

「…いや、ちょっとこの日誌に気になる事が書いてあってさ。」

「気になる事?」

「ボクが悪魔だとか、ボクが死ななきゃ未来が無いだとか…もちろん、ここに書いてあった事全部を間に受けたわけじゃないよ。でも、ボクが外に出る事で不幸になる人がいるんじゃないかって思っちゃってさ。」

「そんなの関係ねえだろ。」

「…え?」

「狛研ちゃんが外に出た事で何人不幸になろうと関係ねぇ。みんなでここから出るって決めただろ。今更やっぱりナシでとか許さねーぞ。」

「陽一クン…ありがとう。ボク、ちょっと弱気になってたみたいだ。」

「ったく、しっかりしろよな。オレ達のリーダーは君しかいないんだからよ。」

「ごめん。」

「で、狛研ちゃん。今どこまで進んだ?」

「えっとね。履歴書と日誌は全部読んだよ。あとはそっちの資料だね。」

「物理室と化学室のレポートか。アレ、結構重たいぞ。大丈夫か?」

「うわ、マジで?でも、さっき薬飲んだからもうちょっと頑張ってみるよ。」

「おう。でもあんまり無理はすんなよ。裁判で体調崩したりなんかしたら元も子もねェからな。」

「うん、そうするよ。」

夜時間はまだあと4時間くらい残ってる。

さてと、どんどん調べ物を進めていきますか!

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