エレベーターが止まり、ドアが開いた。
全員がエレベーターから降りた。
証言台には、遺影が2つ増えていた。
みんな、2人の遺影を見て、静かに俯いた。
不敵な笑みを浮かべる天理クンと、本性を隠していた時の優しい笑みを浮かべた方神の遺影だった。
裁判場に並んだ12枚の遺影が、ここで起こった悲劇の凄惨さを物語っている。
最初は16人もいたのに、今はもう4人しかいないんだ。
…みんな、死んでしまった。
ボク達が弱いばっかりに。
「…。」
これで最後にしなきゃ。
ボクは拳を握り固めて自分の証言台についた。
『うぷぷ!全員揃ったね。…って言ってももう4人しかいないけどw』
『やらせといて言うのもなんですが、さすがに減りすぎじゃあありません?正直半分くらいは残ると思ってたんですがねぇ。特に3回目と5回目の殺人では3人も犠牲が出るとは…』
『オマエラもしかして、なんだかんだ言って殺しが好きなんじゃないのー?』
クマさんとベルさんは、椅子にどっかりと座ってふんぞりかえりながらボク達を煽ってきた。
「うるせぇ黙れ!!」
『おお、こわいこわい!それでは、アナタ達の大好きなティーのターンもそろそろお開きにしましょうか。』
「普通に茶番って言えないのかい?」
「っていうかあなた達が始めた事じゃない。」
「やめなよ二人とも。アイツらに人語を話したところで通じるわけがないんだからさぁ。」
『うぷぷ!それじゃあ始めるよ!ドキドキワクワクの学級裁判を!』
コトダマ一覧
【ゲーム機】
学園長室にあったゲーム機。何か重要な機械なのかもしれない。
【お菓子とココア】
学園長室に散らばっていた。少なくとも黒幕が30分前までこの部屋にいた証拠。
【コンピューター】
全部で16台あり、真ん中のファミコンに導線で繋がれている。ひとつひとつに全員の名前が書かれている。
【履歴書】
全員の経歴や罪状、死刑執行日が書かれている。
全員処刑の日が実際に死んだ日と一致していない上に、別人の写真が貼られている。
ボクの履歴書に至っては、罪状と執行日が黒く塗りつぶされていて読めなくなっている。
【日誌】
政府側の人間によって書かれた日誌。
ボク達が知らない『絶望的事件』や、政府が世間に公表した計画について書かれている。
【物理室の資料】
人体の冷凍保存や人格のデータ化についての資料。
【化学室の資料】
人工知能の実験について書かれていた。この学園を知る上で重要な資料かもしれない。
【研究室】
柱の配置が学園長室のコンピューターに似ている。柳人クン曰く、この柱は人柱をイメージしているらしい。
【天井の数字】
天井に謎の数字が書かれている。何の数字なのかはわからない。
【手帳】
陽一クンの手帳。陽一クンの字で書かれているが、陽一クンは見覚えがないらしい。
【写真】
ボク、凶夜クン、ゐをりちゃんの3人が写っている。でも、その3人はまるで別人みたいだ。
【才刃クンの遺書】
パソコンに才刃クンの遺書があった。才刃クンは黒幕の手伝いをしていた…?
【外エリア】
脱出方法や外との通信手段は一切ない。全方位と空は壁と天井で覆われていて、外の世界を知る事はできない。でも、天井にヒビがあったのは確認できた。
【紙切れが挟まった本】
古びた本に血文字が書かれた紙が挟まっていた。
【生徒手帳】
生徒手帳の主電源のボタンは、簡単に他の人が入れられないようになっている。
【映像①】
希望ヶ峰に入学したみんなのインタビュー映像。
【映像②】
刑務所のような場所で、ボクが事情聴取を受けている映像。
【映像③】
ボクによく似た女の子が磔にされて銃殺される映像。彼女は、最期に妙な発言をしていた。
【ダンガンロンパ】
ゲームエリアの隠し扉に、同じタイトルのゲームソフトが54本並んでいた。最後の1作だけはカセットが抜き取られている。
【お父さんの言葉】
お父さんが10年前ボクに残してくれた言葉。みんなの前で言った事はなかったはず。
学級裁判開廷!
モノクマ『…あ、念のためもう一回確認しとくけど、今回明らかにすべきなのは3つだよ!ひとつ目は、黒幕の正体!ふたつ目は、このコロシアイの目的!そしてみっつ目は、オマエラ自身の正体!』
神座「待って。投票とかは?どうすればいいの?」
モノベル『フッフッフ。それは、3つの謎が明らかになった時あらためてご説明しますよ。それに、どうだっていいではありませんかそんな事。今は議論に集中する事が最優先なんじゃあありません?』
詩名「オイラ達にとっては命がかかってるからどうでもよくないんだけど…あくまでも今は答えない気かい?」
モノクマ『うっさいなー!もう説明は終わりー!それじゃあ、好きに議論を進めてくだっさーい!!』
栄「にしても…黒幕を見つけ出すっつってもよぉ。一体何から話しゃあいいんだ?」
狛研「うーん…コロシアイの目的もボクらの正体もまだわかんないけど、それは黒幕の正体がわかればおのずと答えが出てくるんじゃないかな?」
神座「じゃあ…」
狛研「うん。まずは黒幕の正体を突き止めよう。」
詩名「そうだね。オイラは狛研君に賛成だよ。」
議論開始!
栄「黒幕の正体かぁ…んー…さっっっっぱりわかんねぇな!!」
詩名「ちょっとは考えようよぉ〜。」
神座「そうよ。」
栄「ひでえやみんな!!そこまで言う事ねぇだろ!!」
狛研「みんな、この3日間で調べた事を思い出して。そうすれば黒幕の正体に行き着けるはずだよ。」
栄「そ、そうだな…狛研ちゃんが言うなら…ん!?」
詩名「…どうしたんだい、栄君。」
栄「ちょっと待て!!オレ、黒幕の正体がわかったかもしんねーぞ!?」
狛研「…え!?」
神座「叶、耳を貸しちゃダメよ。この男、どうせ大した事は言わないわ。」
栄「ちょっ、神座ちゃんひどくない!?」
狛研「まあ、頭ごなしに否定するのもいかがなものかと思うし…一応話してくれる?」
栄「おうともよ!オレの完璧な推理を聞け!!」
詩名「栄君…そういうの、フラグって言うんだよ。」
議論開始!
栄「あのさ、狛研ちゃんが見つけてきてくれた本には、このゲームの元ネタになったっつー内容が書かれてたんだよな?」
狛研「うん。それがどうしたの?」
栄「じゃあ決まりだ!!このゲームの黒幕は、その本の作者だ!!」
詩名「は?」
栄「このクソゲーを裏で操っていたのは、狛研ちゃんの親父だったんだよ!!」
は?
陽一クン、何言ってんの?
お父さんが黒幕?
呆れて言葉も出ないんだけど…
神座「…根拠は?」
柳人クンとゐをりちゃんも呆れた様子だった。
栄「ンなモン、決まってんだろ!あの気色悪りぃ暗号は、このゲームの事を指してんだろ?」
狛研「違うよ。あれは、あくまで本編の内容をほのめかすための暗号で、黒幕がそれを利用しただけだよ。」
栄「財原の野郎が、コロシアイの参加者と本に出てくるカードが対応してるっつってたじゃねえかよ!」
詩名「それは、コロシアイ収監生活のモデルとなった物語が『囚われのマリアのための交響曲』だって事に気付いた財原君が、辻褄を合わせるためにこじつけたんだろ?根拠が弱すぎるよ。」
栄「それだけじゃねえぞ!このコロシアイは、どう考えたって計画的な犯行だ。一般人が用意できるもんじゃねえんだよ。でも、狛研ちゃんの親父は確か名探偵だったよな?そんだけ頭が良けりゃあ、このコロシアイを用意する事だってできたんじゃねえの!?」
詩名「…確かに、普通は【超高校級】を16人も監禁してコロシアイを強要するなんて事できないだろうけどさぁ。」
栄「ほらみろ!!それが出来んのは、狛研ちゃんの親父ただひとりなんだよ!!ソイツが全ての元凶…それがオレの答えだ!!ハッハッハ!どうだ見たかモノクマ!!テメェの化けの皮を剥いでやったぜ!!」
モノクマ『ギクッ!?バ、バババババレた!?ハハハッ!!そうさ!!このゲームの真の黒幕は、この浅野蘭馬様だったのだー!!叶!お前が立派に成長してくれてお父さん嬉しいぞ!』
…全然似てないし、完全にボクに対する嫌がらせだよね。
ホント腹立つ。
詩名「白々しいなぁ。絶対演技でしょ、あれ。」
狛研「…陽一クン。それはあり得ないよ。」
栄「はぁ?なんでだよ!?」
狛研「だって、お父さんは10年前に死んでるんだよ。黒幕なわけがないよ。」
栄「ンなもん、死を偽装してんのかも…」
狛研「無いよ。ちゃんと最期を見届けたもの。」
詩名「それにさぁ。自分が尊敬してる偉人ならまだしも、自分の作品をモデルにした殺人事件なんて、中二病でも考えない発想だよ。」
神座「言えてるわね。それに、探偵にとって自分の情報を晒すのは自殺行為のはずよ。まして、死んだはずの人間がわざわざ正体がバレるリスクを犯してまで自分の作品を模倣した殺人をする理由がわからないわ。」
狛研「第一、ボクの大好きだったお父さんが、こんなふざけた事をするわけがないじゃないか。」
栄「うっ…ご、ごめん…」
狛研「陽一クン。今回は思い違いって事で許すけど、次お父さんの事そんな風に言ったら許さないから。」
栄「なっ…け、決定的に嫌われてしまった…!」
詩名「やれやれ、君の話を真面目に聞いたオイラ達がバカだったよ。…さて、時間も無いし話を元に戻そうか。」
議論開始!
詩名「うーん、自分で話を振っといて言うのもなんだけど…まるで黒幕の手がかりが無いね。どうしようか?」
狛研「…少なくとも、ここにいた16人のうちの誰かなのは確かなんじゃないかな?」
詩名「なんでそう言い切れるんだい?外部の誰かが黒幕って可能性も捨て切れないじゃないか。」
神座「高校生がデスゲームの運営なんてできないわよね…」
今の柳人クンの発言はおかしい!!
外部の誰かが黒幕⬅︎【外エリア】
「それは違うよ!!」
論破
狛研「この建物に、外部から侵入する事はできないんだよ。逆に出ていく事もね。この建物にはボク達16人しかいないはずだから、必然的に黒幕の正体もここにいる誰かって事になる。」
詩名「外部の誰かがモノクマ達を遠隔操作してるのかもしれないだろ?」
狛研「才刃クンが、外との通信は一切できないって言ってたよ。クマさん達が仕掛けた監視カメラ以外に、外の世界と繋がる方法は無いんだよ。…そうでしょ、クマちゃん。」
モノクマ『ご名答ー。ぶっちゃけそれくらいは言わなくてもわかるだろうと思って言わなかったんだよね。だって、ミステリーで登場人物以外が黒幕って完全にタブーでしょ?』
詩名「しれっとメタ発言しないでおくれよ。」
モノクマ『全く。ボク達は親切にもそういうタブーを排除するために、あえて外部からの干渉が不可能な状況を作り出すっていうヒントまでぶら下げてあげたってのにさぁ。オマエラ鈍感すぎ!この不感症!!』
モノベル『フッフッフ。まあ、そんな当たり前の事にも気づかず的外れな推理をお披露目したおバカさんがどこかにいたようですが?』
栄「だ、だだだだだ誰だろうなそれは〜…?」
モノクマ『議論が進まないとみんな飽きちゃうからネタバレしちゃうけど、狛研サンの言う通り、黒幕はここに収監された16人の囚人の中にいるんだよ!それが誰なのかはもちろん教えないけどねー。』
狛研「…真実を知りたきゃ自分で探せって事?上等だよ。」
議論開始!
神座「…あの、やっぱりそうなるとここにいる4人のうちの誰かなんじゃ…」
詩名「いや、そうとは限らないよ。オイラ達以外が黒幕っていう線も捨てきれないよ。」
栄「まさか、二重人格とか双子とかいうオチじゃねえだろうな!?」
柳人クンの意見に賛成したい。
オイラ達以外⬅︎【お菓子とココア】
「それに賛成だ!!」
同意
狛研「…黒幕は、ここにいる4人以外の誰かだと思う。」
栄「なんでそう言い切れるんだ?」
狛研「だって、開放されてなかったはずの学園長室には、学級裁判中に誰かがいた形跡があったんだよ?学級裁判に参加していたボク達が学園長室に行けるわけがないから…必然的に黒幕はここにいる4人以外の誰かって事になるんだ。」
栄「え…でも、ここにいる4人以外は全員死んだよな?って事は、まさかの幽霊!!?」
狛研「幽霊…」
詩名「真面目に考えなよ。そんなわけ…」
狛研「…いや、あながち間違いじゃないかもしれない。」
詩名「!!?」
狛研「…みんな、今からちょっとあり得ないかもしれない事言うから信じてもらえないかもしれないけど、ちゃんと聞いててね。」
神座「叶、あなた…もしかして、黒幕について何かわかった事でもあるの?」
狛研「…うん。確証はないけどね。…このコロシアイ収監生活を裏で操ってボク達の命を弄んでいた黒幕は…」
狛研「今までに死んだはずの人の中の誰かだったんだよ。」
栄「はぁ!!?今までに死んだ奴のうちの誰かが黒幕だと!?んなわけあるか!!だって、みんな死んでるとこをちゃんとこの目で見たんだぞ!!」
狛研「…本当にそうなのかな?」
栄「…え?」
狛研「ボクも危うく気づかないところだったんだけど、この建物には明らかな違和感があったんだ。」
栄「違和感…?」
この学園の明らかな違和感は?
1.死体がない
2.広すぎる
3.噴水がある
➡︎1.死体がない
「これだ!!」
狛研「この学園には、いくら探してもあるべきはずのものが無かったんだ。」
詩名「あるべきはずのもの?」
狛研「…今までに死んだみんなの遺体だよ。」
神座「ーーーーー!!!」
狛研「本当に全エリアを開放したんだとするなら、どこかに遺体があるはずだよね?だって、外に遺体を出す事はできないんだもの。」
栄「じゃあ、遺体が見つからなかったのは…」
狛研「黒幕が、絶対に見つからないであろう場所に意図的に隠したんだよ。死体を見られないようにね。」
詩名「死体を探されたら、自分が死んでいるっていう大前提が崩れて一気に黒幕候補になっちゃうもんね。でも、この学園に死体を隠せるような場所なんてあったかなぁ?出口すら見つからなかったんだよ?」
狛研「…ひとつだけ心当たりがある。」
栄「ホントか!?」
コトダマ提示!
【研究室】
「これだ!!」
狛研「死体の隠し場所…それは多分、ボクの研究室だよ。」
神座「…え!?」
狛研「研究室にあった大きな柱…多分、あれの中に死体が隠してあったんだ。…あれは、本当に人柱だったんだよ。」
栄「なっ…そ、そんなわけ…」
詩名「そうだよ…確かに、人1人分くらいの大きさの柱だったけど…でも、だからって研究室に死体を隠すなんて…」
神座「本当なの…!?」
モノクマ『あーあ。バレちゃったか。んもー、せっかく隠してたのに!勘のいい詩名クンに気づかれないように内壁を完全防音にしたりとか色々頑張ったのになー。狛研サンの言う通り、あそこに死体を隠してたんだよ。』
詩名「そんな大事な事、なんで今頃になってカミングアウトするのかなぁ。どうせなら捜査時間中に確かめたかったよ。君達が嘘をついてるかもしれないじゃないか。」
モノベル『失礼な。わざわざ親切に答え合わせをして差し上げたというのに。柱に死体がある事を知ったところで簡単に中を調べられるような造りにはしておりませんので、どのみち確かめようがなかったでしょう?』
モノクマ『ボク達が嘘なんてつくわけないでしょ!嘘だと思うなら、オマエの大好きな日暮サンの肉の破片と巨鳥の肉塊でも持ってきてあげよっか?』
詩名「…つくづく悪趣味だね、君達。」
柳人クンは、好きな人とお友達を侮辱されて、見るからに苛立っていた。
狛研「そこまでして必死に死体を隠してたって事は、やっぱり今までに死んだみんなの中の誰かが黒幕って事でいいんだよね…?」
モノクマ『カンニング行為はダメって学校で習わなかった?』
栄「あくまでもオレ達が真実を暴くまでは教えない気かよ。」
神座「黒幕が死んだみんなの中にいるのがわかったのはいいけど…それは一体誰なの…?」
狛研「…あの。」
神座「叶…!?もしかして、あなた…何か知ってるの!?」
詩名「そういえば君…捜査中、黒幕が誰かわかったって言ってたよね。」
狛研「うん…あの時は、薄々疑ってたくらいだった。だから、みんなを混乱させないためにもあえて名指しで言わなかったけど…でも、ボクの中の疑惑が今完全に確信に変わった。…みんな。」
狛研「…ボク、黒幕が誰だかわかったよ。」
栄「えぇええええええええぇええええええええええええええええ!!!!?マジか!!?狛研ちゃん、ソイツは一体誰なんだ!!?」
狛研「…みんな、思い出してみて。この20日間の出来事を。そうすれば、黒幕が誰だかわかるはずだよ。」
議論開始!
狛研「まず、このコロシアイ収監生活だけど、ボク達が拉致監禁されたところから始まってるんだよね。…確か、ボクが最初に目覚めて、そのあとみんなを呼びに行ったんだ。その後、クマさん達に収監生活を強いられて…」
栄「…白鳥ちゃんが口火を切って、どんどんみんながクラスメイトを殺していったんだよな。」
狛研「…でもさ、別の可能性だってあり得たわけだよね?」
神座「別の可能性…?」
狛研「もし、最初の殺人が起こらないまま時間だけが過ぎていって、みんながコロシアイ以外の原因で死んだとしたらどうなってたと思う?例えば老衰とか事故とか…」
詩名「そうなったら黒幕にとっては面白くないよねぇ。わざわざ動機を用意したり、癒川君や方神をコロシアイを進めるように煽ったり、コロシアイをさせる事にやけに必死だったよね。」
狛研「…そうだよ。それだよ柳人クン。きっかけや犠牲者なんてどうでもいい。とにかく、コロシアイを起こさなければいけなかった。」
狛研「黒幕にとって重要なもの…それは、『第一の殺人』だったんだよ。」
栄「第一の殺人…だと…!?」
狛研「一度殺人が起きてしまえば、憎悪の連鎖を止める事は難しくなる。そうなれば放っておいても殺人は起こる。だから、黒幕にとっては第一の殺人を起こしてコロシアイの引き金を引く事こそが一番重要だったんだよ。」
詩名「…もしかして、黒幕は動機以外にも、あえて殺人が起きやすくなるような状況をそれとなく作り出してたって事かい?」
栄「っつー事は、黒幕はやっぱ方神か!!?」
モノクマ『ギッ、ギックゥ!!?バ、バババババレたぁあ!?そ、そうだクズ共!!この俺様こそがこのコロシアイを引き起こした元凶だったのだ!!』
狛研「…違うよ?確かに方神は、コロシアイに便乗して自分は一切手を汚さずに他者を利用して殺して快感を得ようとするクズだったけど、アイツは黒幕じゃない。アイツの性格的に、たとえ嘘でも天理クンに負けるなんて演出しないはずだし。」
栄「じゃあ…入田か!?それかラッセ…!?」
モノクマ『そうなのだー!!僕ちゃんが黒幕だったのだー!!』
モノベル『フハハハハ!!俺様の正体に行き着いた事を褒めてやろう、愚民共!!…ったく、当てずっぽうで言わないでくださいよ。いちいちモノマネするのに疲れるんですから。』
狛研「そうだよ。陽一クン、自信がないなら的外れな事言わないで。議論がメチャクチャになっちゃうじゃないか。」
栄「ごめん…」
狛研「…話を戻すよ。黒幕にとっては、第一の殺人は絶対に
詩名「ん?って事は、もしかして白鳥君が黒幕なのかい?」
狛研「違うね。ボクも一回その可能性は考えたけど、隥恵ちゃんは黒幕じゃないよ。いくらみんなを絶望させるためといえど、あんな醜態をみんなの前で晒す意味がないからね。美しさを信条とする隥恵ちゃんなら絶対やらないような手口だよ。…柳人クン、逆だよ。」
神座「逆…?」
狛研「物事っていうのは、見る角度を変えるだけで今までとは全く違う景色が見える事もあるものなんだよ。…もし、あの殺人が、最初から仕組まれていたものだとしたら…?」
詩名「それって…」
狛研「そう。その子は、ずっと殺される機会を伺ってたんだ。誰かが口火を切ってくれれば、殺人の引き金を引く事ができる。それに、最初の犠牲者になっちゃえばいくらでも証拠隠滅ができる…まさに、黒幕にとって一番都合のいいポジションだったんだよ。…黒幕の性格的にも、この子が黒幕なら納得がいく。だからこそ、彼はずっとボク達に自分を殺すように誘導してきたんだ。」
神座「そんな…」
詩名「あの人が、どうして…」
栄「嘘だろ…!?それって、まさか…!!」
そう。
ボクはもう、黒幕が誰だかわかっている。
でも、どうしても信じたくなかった。
今でも嘘であってほしいと思ってる。
だって、その子は、ボクにとって大切な…ここに来て初めてできた友達だったから。
あの子との友情を…あの日の約束を、全部嘘だったなんて思いたくなかった。
このコロシアイ収監生活の黒幕…それは…
ー人物指定ー
【超高校級のアナウンサー】穴雲星也
【超高校級の工学者】入田才刃
【超高校級の不運】景見凶夜
【超高校級の???】神座ゐをり
【超高校級の幸運】狛研叶
【超高校級の資産家】財原天理
【超高校級の栄養士】栄陽一
【超高校級の詩人】詩名柳人
【超高校級のマドンナ】白鳥麗美
【セキセイインコ】翠
【超高校級の曲芸師】朱雪梅
【超高校級のダンサー】羽澄踊子
【超高校級の生物学者】日暮彩蝶
【超高校級の侍】不動院剣
【超高校級の喧嘩番長】舞田成威斗
【超高校級の看護師】癒川治奈
【超高校級の国王】ラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネン
狛研「…キミが黒幕だったんだね。」
神座「え…」
ボクは、ゐをりちゃんの証言台ーーー
…の隣の、凶夜クンの遺影を指差した。
「景見凶夜クン。」
➡︎【超高校級の不運】景見凶夜
モノクマ『…。』
モノベル『…。』
陽一クンが当てずっぽうで黒幕候補を挙げていた時とは違って、クマさん達は何も言わなかった。
…多分、ボクの発言が的を射ていたからだ。
神座「そんな…嘘でしょ…!?」
詩名「景見君が…黒幕…!?」
栄「嘘だ…オレは信じねェぞ!!アイツが黒幕なワケねェだろ!!取り消せよ狛研ちゃん!!」
狛研「…クマさん、なんで何も言わないの?何も言わないって事は、ボクの質問に対する答えはYESって事でいいんだよね?」
モノクマ『…一応聞いておこっか。なんでボクの正体が景見クンだと思ったのかなぁ?教えてくれないかなー、ボクが景見クンだっていう根拠をさー。』
狛研「隥恵ちゃんが凶夜クンを殺した時、明らかな違和感があったんだよ。…今考えれば、自分でもなんで気づかなかったのかって思うけど…」
モノベル『違和感?はてさて、なんの事でしょうか?』
隥恵ちゃんが凶夜クンを殺した時の違和感…それは…
コトダマ提示!
【生徒手帳】
「これだ!!」
狛研「クマさん。凶夜クンは、隥恵ちゃんに刺された時に隥恵ちゃんの手帳を見て本名を知ったんだよね?」
モノクマ『そうでーす。』
モノベル『何を今更…だから景見様はわざわざ犯人である白鳥様の本名を皆様にダイイングメッセージとして伝えたのでございましょう?』
狛研「…でも、おかしいよ。だって、この手帳は、電源を入れるのにちょっとコツがいるからちょっと手が触れた程度じゃ画面が表示されるなんてあり得ないんだよ。ましてや、2人はパニック状態で暴れてた…そんな状態で手帳を起動できるわけがないんじゃないの?」
栄「確かに…余裕ありすぎだよな。」
モノベル『それはアナタの憶測でしかないのですよ、狛研様。そんなものは根拠とは言いません。それに、その理屈でいくなら白鳥様が黒幕という可能性も浮上してくるのでは?』
狛研「…いや、黒幕はキミ以外にあり得ないんだよ。凶夜クン。キミは、ミスを犯してしまったんだ。」
モノベル『…は?』
狛研「皮肉な話だよね。ボク達を絶望させるための発言で、逆に自分の首を絞めちゃうなんてさ。」
モノクマ『なーにわけわかめな事言ってんの?ボクが失言なんてするわけないでしょー!!』
…クマさんは、あの時明らかにおかしな発言をした。
今のボクになら、クマさんとベルさんを論破できるはずだ。
真実を暴き出せ!!
モノクマ『そんなに言うならボクが景見クンだっていう証拠を出せー!!』⬅︎ 【お父さんの言葉】
「これで終わりだよ!!」
狛研「…クマさん。クマさんは、方神のおしおきの後、ボク達を絶望させるためにボクのお父さんの言葉をボクに聞かせたよね?」
モノクマ『そうだっけ?あー、はいはい。思い出したよ。確かにそんな事あったね。』
狛研「ボク、みんなの前でお父さんの話をした事なんてないんだけど。お父さんの話を聞かせてあげたのは、キミだけなんだよ、凶夜クン。キミが凶夜クンじゃないっていうなら、なんでボクと凶夜クンしか知らないはずのお父さんの最期の言葉を知ってたの!?」
モノクマ『…うぷぷ。』
モノベル『フフフ…』
『うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!!!』
『フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!』
二匹は、狂ったように笑い出した。
笑い声に混じって、何か音が聴こえてくる。
その音は、少しずつ大きくなっていく。
カツーン…カツーン…
裁判場に、革靴の音が鳴り響く。
二匹の笑い声が止むと同時に、椅子のうしろからフード付きの黒いローブを着た人物が姿を現す。
その人物は、深く被っていたフードをゆっくりと脱いだ。
狛研「ッーーーーー!!!」
???「やぁ、久しぶりだね。叶さん。」
目の前には、あり得ない光景が広がっていた。
ふわっとした白色の髪に、透き通った赤色の瞳…
彼の容貌は、まさにあの日死んでいた彼そのものだった。
目の前にいる黒幕…景見凶夜は、ボクの目を見て静かに笑っていた。
このオチを描きたいがためにダブル主人公にした。
欲張り展開だが許せ。