ダンガンロンパPRISON   作:M.T.

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第6章 非日常編⑤(学級裁判中編)

「やぁ、久しぶりだね。叶さん。」

 

目の前には、信じられない光景が広がっていた。

自分で推理しておいておかしな話だが、ボクはどうしてもその事実を受け入れる事ができなかった。

最初に死んだはずの凶夜クンが生きていて、しかもこのコロシアイの黒幕だった。

ボクは、目の前の事実にただただ混乱するしかなかった。

 

景見「…あれ?どうしたの、叶さん。そんな顔をして。何か嫌な事でも…」

凶夜クンは、ボクの前に来て優しく微笑みかけた。

狛研「なんで…なんでキミが生きて…」

景見「ふふっ、そんな事どうだっていいじゃない。僕は、また君に会えて嬉しいよ。あ、モノクマとモノベル越しに毎日見てたか。」

狛研「本当に凶夜クンなの…!?」

景見「そうだよ。ボクは、間違いなく君達の知っている景見凶夜だよ。…このゲームの黒幕だったっていうのは、ちょっと意外だったかもしれないけどね。えへへ…」

ボクは、恐ろしくてたまらなかった。

とんでもない事を平然と言っているこの子が。

…信じてたのに。

どうして…

 

詩名「そんな…本当に景見君なのかい?嘘だ…君は、確かに白鳥君に殺されたはず…!」

景見「あーあ、うるさいなぁ。僕は今叶さんとお話してるんだけど…ちょっと静かにしててよ。それとも死ぬ?」

凶夜クンは、急に真顔になって柳人クンを睨みつけた。

今までのオドオドした凶夜クンからは考えられないような…殺気のこもった目つきだった。

狛研「凶夜クン、キミはなんで生きてるの…?キミは、隥恵ちゃんに殺されたよね?」

景見「ああ、あの不細工の事?」

 

狛研「…え?」

景見「…あっ。」

凶夜クンは、しまったと言わんばかりに両手で口を塞いだ。

神座「不運…」

景見「なんでもないよ?今のはナシで。…あーあ、やっちゃったよ。あれだけ叶さんの前ではいい子でいようって気をつけてたのに…下品な喋り方したら叶さんに嫌われちゃうよ。」

凶夜クンは、聞こえるか聞こえないかくらいの声量でブツブツと独り言を言っている。

景見「いやぁ、ごめんごめん。話そらしちゃったね。さ、ここまでたどり着いたご褒美に、さっきの質問に答えてあげる。」

栄「お前…今一瞬口悪くなかったか?」

景見「なんでもないって言ってるでしょ?しつこい男はモテないよ、栄君。」

栄「野郎…!」

 

景見「さてと。で、叶さん。ぼくにいろいろと聞きたい事があるみたいだね。『なんでキミが生きてるの?』とか、『キミは何者なの?』とか、『何が目的なの?』とか…」

狛研「…。」

景見「やっぱり図星?僕、キミの考えてる事ならなんでもわかっちゃうんだよ。すごいでしょ?」

狛研「そんな事より質問に答えて。キミは、なんでここにいるの?あの時、ボク達は確かにキミが死んだのを確認した…なんでキミは生きてるんだ!?」

詩名「君、あの時『実は生きてましたなんてオチは許されない』って言ってたよね?これは一体どういう事なのかな?」

景見「ふふふっ。さぁ…なんでだろうね?でもさ、『あり得ないなんて事はあり得ない』ってどっかのホムンクルスが言ってたらしいよ。」

凶夜クンは、はぐらかすだけで答えようとしなかった。

狛研「真面目に答えて!」

景見「うーん…やっぱり、愛の力なのかな?」

栄「…は?」

景見「僕ね、白鳥さんに刺された時、すっごく痛くてつらかったんだ。いきなり包丁で刺されて、抵抗したら蹴飛ばされて…いくらボクが【超高校級の不運】だからって、あんな殺し方ないじゃないか。本当に、ひどいと思わない?」

凶夜クンは、悲しそうな目をしてお腹のちょうど隥恵ちゃんに刺されたあたりを軽く撫でた。

 

景見「僕は、あのまま死ぬんだろうなって思ってた。…でもね。ひとつだけ心残りがあったんだ。ぼくは、どんな形でもいいからもう一度叶さんに会いたかった。だから死ぬ前に何度も何度も神様にお願いしたんだ。そしたら、こうしてまた叶さんに会う事ができたってわけ!ボクの、叶さんへの愛が神様に届いたんだよ!あはは、奇跡奇跡ー!」

凶夜クンは、無邪気な子供みたいに裁判場を駆け回った。

栄「なっ…なんなんだよテメェ…気持ち悪い…!」

景見「ひどいなぁ、そんな言い方ないじゃないか。せっかく楽しいゲームに君達を招待してあげたっていうのに。」

狛研「楽しいだと…?ふざけるな!!みんなの命を弄んで、何が面白いんだ!!」

景見「やだなぁ。叶さん。別に僕は、自分のためにこのゲームを企画したわけじゃないんだよ?」

狛研「…え?」

 

景見「…全部、キミ自身が望んだ事なんだよ。」

狛研「ッーーー!!?」

神座「ねえ、叶が望んだって…どういう事なの!?」

景見「…神座さん。静かにしてよ。僕は今叶さんとお話してるんだからさぁ。」

神座「不運、あなた一体…」

狛研「…ねえ、凶夜クン。」

景見「なあに、叶さん。」

狛研「…嘘だったの?ボクとの約束も、みんなでいろいろ楽しい事したのも…全部演技だったの?」

 

景見「うん。全部嘘だよ。」

狛研「なっ…」

凶夜クンは、一切躊躇せず当然のように笑顔で言った。

景見「ごめんね。僕、本当はみんなが思ってるほどいい子じゃなければ、できない子でもないんだ。今までずっと、不運しか能がない『景見凶夜』を演じてたんだよ。全ては叶さん。キミのためにね。」

狛研「…え?」

景見「あれ?もしかして気づいてなかったの?僕はずっと君の事が好きだったんだよ。きみがその素晴らしい推理で今までの殺人犯のクズ共を追い詰めた時とか方神を絞殺しようとしてた時とかは陰でこっそり応援してたし、財原君が君にすり寄ってきた時とかはムカついてつい殺したくなっちゃったよ。本音を言っちゃえば、キミ以外の全員を今ここで消してこの学園を二人だけの理想郷にしたかったりもするんだけど…一方的な殺戮じゃあ君のためにならないからね。だから、皆殺しにするのを我慢して今までコロシアイをさせてたんだよ。」

狛研「ボクのため…?」

景見「そうだよ。このゲームは、全部君のために用意したんだ。言ったでしょ?『狛研叶は唯一のイレギュラーでありこのゲームを引き起こした元凶だ』って。この学園も、コロシアイ収監生活も、くだらない有象無象の命も、全部きみ一人のためだけに用意した僕からのプレゼントだよ。偽りとはいえ、希望ヶ峰学園の生徒達と絆を深めあえて幸せだったでしょ?」

狛研「ふざけんな!!よくもみんなを…隥恵ちゃんも、踊子ちゃんも彩蝶ちゃんも翠ちゃんも成威斗クンも雪梅ちゃんも剣ちゃんも才刃クンもラッセクンも治奈ちゃんも天理クンも…方神も、君のわがままのせいでみんな死んだんだぞ!!みんな、本当は生きたかったはずなのに…みんなで一緒にここを出られたら、明るい未来が待ってたかもしれないのに…君は、みんなの命と未来を奪ったんだよ!!みんなを返してよ!!」

自分でも支離滅裂な事を言っているのは十分わかっていた。

だけど、みんなの命を弄んで楽しんでいるこの子に、どうしても怒らずにはいられなかった。

 

景見「…だったら、殺してみる?」

狛研「…え?」

景見「ねえ、どうしたの?僕が憎いんでしょ?だったら殺してよ。今ここでボクを殺せば、みんなの仇を討てるんだよ?それが君の望みなんじゃないの?」

凶夜クンは、笑顔でゆっくりとボクに近づいてきた。

詩名「正気じゃない…君、死ぬのが怖くないの?」

景見「死にたくない、か。最初はそう思ってたのかもしれないけどね。でも、ここにいる時間が長すぎてそんな事どうでもよくなっちゃった。…いや、どうでもいい事ないか。僕は、叶さんに殺されるなら本望だよ。」

栄「はぁ!?」

景見「僕は、叶さんにならたとえ殺されたって構わない。いや、むしろ殺してほしいくらいだよ。…ねえ叶さん。ぼくが憎いでしょ?僕は、君に殺されて死にたいんだ。だから、きみは僕を痛めつけて殺す事だけを考えてればいいんだよ。ほら、何か面白い事してみてよ。全身を刃物で串刺しにするとか、銃で蜂の巣にするとか、腑を引きずり出すとかさぁ…あ、拷問もアリか。百叩きとか、舌を引きちぎるとか…」

凶夜クンは、ナイフを無理矢理ボクに握らせると、自分の顔に突きつけた。

この子の、強烈な狂気を帯びた笑みに、ボクは気圧されてたじろいだ。

狛研「ひっ…!」

神座「やめて!!叶が嫌がってるじゃない!!叶から離れて!!」

景見「はあ、どいつもこいつもうるさいなぁ。叶さん、あんなヤツらの事なんて無視でいいからね。さあ、僕を殺してよ。」

 

狛研「…ボクはキミを殺さない。」

景見「どうして?」

狛研「…キミを殺したって、みんなが帰ってくるわけじゃない。キミなんて、殺す価値も無いよ。それに、キミを殺したらボク達がここから出られないだろ。」

景見「へえ、そこまで考えてたとはね。君もこのコロシアイ収監生活で随分と成長したよね。僕は、君のそういう頭のネジが飛んだ所も含めて大好きだよ。」

狛研「え?」

景見「あのさぁ。君、僕がどういう答えを想定してたのかわかってないでしょ。普通こういう時って殺さないから殺さないんじゃなくて、()()()()()()殺さないんだよ。君の言うような相手の人間性とかここから出られるかどうかとか、そんな事気にする余裕があるほど人は図太くない。『人を殺したら殺人犯になっちゃう』『罰や報復を受けるのが怖い』『失敗したら返り討ちに遭って殺されるかも』…人を殺した事で自分が辿る未来を想像して、保身から来る臆病さが握っていたナイフを手放させる…それが普通の人間の感性だよ。」

狛研「何を言って…」

景見「なのに君は、真っ先に『みんなが帰ってくるわけじゃないから』って言ったよね。つまり君は、自分の正義を貫くためなら人の命はおろか自分の命さえも簡単に切り捨てる冷徹な本性の持ち主なんだよ。」

狛研「あ…」

 

景見「…何度でも言ってあげるよ。君は、ここにいる誰よりも狂ってる。」

狛研「ッ…!」

神座「叶!!耳を貸しちゃダメよ!私達の目的は、ここから出る事でしょ!?」

景見「ねえ、叶さん。君の醜い本性がここで曝け出されたわけだけど…それでも君には僕の価値を語る資格があるの?」

狛研「…それでもみんなを殺したキミを許せない事には変わりない。こんな事をして…キミは一体何が目的なんだ!!キミは一体何者なんだ!!」

 

景見「やだなぁ、僕達が出会ったのはこれが初めてじゃないんだよ?…むしろ、君が望んだからみんなをここに連れてきてあげたんじゃないか。」

栄「なっ…!?テメェ…今なんつった!?」

景見「落ち着きなよ栄君。僕は別に君の気分を害するような事は何も言ってないでしょ?」

栄「そういう意味じゃねえよ!狛研ちゃんが望んだからオレ達をここに連れてきたって…どういう事だよ!?」

景見「おっと。ちょっと喋りすぎちゃった。僕、これ以上は何も喋らないから。」

栄「は!!?おいテメェ!!どういうつもりだ!!」

景見「僕が全部話しちゃったらゲームにならないじゃないか。あとはみんなで頑張って真相を解き明かしてね。」

 

 

 

議論開始!

 

 

 

栄「自力で真相を解き明かせって言われてもよ…」

神座「文句言わずやるしかないわ。…未来は、私達の手で勝ち取らなきゃ。」

詩名「でもねぇ。何から話し合えばいいんだい?」

狛研「うーん…いきなりコロシアイの目的を考えるのは難しいだろうから、まずはボク達の正体について考えるのはどうかな?」

詩名「オイラ達の正体?そう言われても…正直【超高校級】っていうところ以外共通点なんてないと思うんだけど…」

狛研「そうでもないかもしれない…!」

 

共通点なんてない⬅︎【履歴書】

 

「それは違うよ!!」

 

論破

 

狛研「…柳人クン、もしかしたらボク達には共通点があるのかもしれない。」

詩名「え?」

狛研「この履歴書…ここには、ボク達が何かの罪を犯して処刑されたって書かれてあるんだ。もしかしたら、ボク達がここに閉じ込められた事と何か関係があるのかも…」

栄「けどよぉ、その履歴書…日にちがデタラメじゃねえか。2、3年くらいズレてんぞ。それに、オレ達まで処刑された事になってっけど、オレはこうして生きてんじゃねえか。その履歴書が嘘って事はねぇの?」

景見「やだなぁ、嘘なわけないだろ。バカなの?」

栄「テメェは黙ってろ殺人犯。」

景見「そんなぁ、ひどいよ。僕は、()()()一度たりとも自分の手を汚した事はないっていうのに…」

栄「うるせェ。テメェみてェなクズ野郎は、後で絶対にボコボコにしてやる。…で、狛研ちゃん。この履歴書が嘘だっつー可能性についてはどう思うんだ?」

狛研「うーん…この履歴書が本物でも偽物でも、ボク達の共通点と凶夜クンの目的が関係してるっていうのは否定できないんじゃない?だって、ただ【超高校級】を集めたいだけなら、ボク達じゃなくてもよかったはずじゃない。」

栄「確かに…」

狛研「それにね。まだボク達が罪を犯したかもしれない根拠があるんだ。」

 

コトダマ提示!

 

【映像②】

 

「これだ!!」

 

狛研「ねえ、みんな。映画館で3つの映像を見させられたって言ったよね。2つ目の映像はどんな映像だったか覚えてる?」

栄「えっと…確か、刑務所みてぇな場所で事情聴取されてる映像だったな。」

狛研「それが、事実だったとしたら…?」

神座「…え?」

狛研「ボク達は、一度罪を犯して捕まったんじゃないかな。だったらあの映像も説明がつくし…」

詩名「その映像がうそっていう可能性も…」

狛研「もしそうなら、凶夜クンがわざわざこんな意味のわからない嘘をつく理由がわからないんだけど。コロシアイはとっくに終わってるし、わざわざ嘘をついてボク達を混乱させる必要なんてないんだよ。」

神座「…私も、あのぬいぐるみ達は嘘をついてないと思う…」

景見「二人の言う通りだよ。僕がそんなくだらない嘘をつくわけないじゃないか。はははっ。」

詩名「君、裁判には口を出さないんじゃなかったのかい?」

景見「おっと、そうだったね。さ、議論を続けて?僕は黙って見てるからさぁ。」

神座「叶…私達は、何を話し合ったらいいのかしら…」

狛研「まずは、ボク達の身に何が起こったのかをハッキリさせる必要があるんじゃないかな。」

 

 

 

議論開始!

 

 

 

狛研「ボク達は、やっぱり過去に何かあったんじゃないかな?」

栄「過去ぉ?んな事言われてもわかんねぇよ。思い当たるような事は何もしてねぇしよ…」

神座「…私達は、会った事があるんじゃないかしら?」

詩名「うーん…それはないと思うけどねぇ。だって、オイラ達が会ったっていう記憶なんてないじゃないか。」

神座「忘れてるだけかも…」

詩名「今までクラスメイトだった人をまるっきり忘れてるって言うのかい?正直あり得ないと思うけど。」

狛研「いや、あり得ない話じゃないと思うよ。」

 

会った事があるんじゃないかしら⬅︎【映像①】

 

「それに賛成だ!!」

 

同意

 

狛研「これは推測だけど、ボク達は元々希望ヶ峰学園の生徒で、全員クラスメイト同士だったんじゃないかな?」

詩名「…え?」

狛研「覚えてないだけで、ボク達はずっと一緒に過ごしてきたんだよ。柳人クンも、音源を聴いたんでしょ?」

詩名「…うん。オイラの聴いた音源では、確かに日暮君が設立した動物園で、オイラが翠君と一緒に歌を歌っている様子が流れてた。…でも、そんなのオイラの記憶にはないよ。やっぱり、あの音源は捏造なんじゃ…」

狛研「テレビ局まで巻き込んであんな大掛かりな捏造ができるの?方神や天理クンやラッセクンあたりならまだしも、ボク達の知ってる凶夜クンにそんな事できないはずだよ。」

詩名「景見君はオイラ達をここに閉じ込めて強制的にコロシアイをやらせた黒幕なんだからそんな事簡単にできると思うけど…まあいいや。仮に君の仮説が本当だったとして、君の言う映像やオイラが聴いた音源だけじゃ証拠が弱いよね?何かもっと具体的な証拠が無きゃ信じる気になれないんだけど…」

狛研「それは…」

 

コトダマ提示!

 

【手帳】

 

「これだ!!」

 

狛研「この手帳…これは陽一クンが書いたものだ。」

詩名「それがどうかしたのかい?」

狛研「この手帳、間違いなく陽一クンの字で書かれてるんだけど、陽一クン本人は書いた記憶が無いんだって。」

詩名「本当なのかい?」

栄「おう。オレ、こんなの書いた事ねぇよ。それに、手帳の日付もデタラメだし…でも、どう見てもオレの字なんだよなぁ。」

詩名「日付がデタラメか…君の事だから間違えて書いたんじゃあないのかな?覚えてないのもうっかり忘れてたとか…」

栄「さすがにオレもそこまでバカじゃねぇよ!!日付くらい間違えずに書けるっつーの!!それに、本当に記憶にないのも嘘じゃねえよ!!オレ、自分で書いた調理本は絶対に忘れねぇからな!!」

神座「ここまで言うなら嘘じゃない気もしてきたわね…」

詩名「正気かい、神座君?」

神座「まあ、栄養士の言う事を完全に信じたわけじゃないけど…いつまでも疑ってるだけじゃ埒があかないでしょ。でも叶、さっきの映像の事といい栄養士の手帳といい、そんな大事な事を誰も覚えてないなんて事あり得るのかしら?」

狛研「それは…」

 

 

 

ー閃きアナグラム開始ー

 

 

 

キ オ ク ソ ウ シ ツ

 

【記憶喪失】

 

「これだ!!」

 

 

 

狛研「…みんなが何らかの理由で記憶喪失になってたとしたら?」

詩名「え!?」

狛研「多分ボク達は、凶夜クンに意図的に記憶を奪われたんだよ。そのせいで、希望ヶ峰学園に入学する前にここに来たように錯覚してたけど、本当は入学してから何年も経ってたんじゃないかな。」

栄「なんだと!!?じゃあ、この手帳は…!?」

狛研「多分、過去のキミが書いたものだよ。それなら、日付が一致しないのも説明がつくでしょ。」

栄「そういう事だったのか…で、景見!!なんでオレ達の記憶を奪ったりなんてしやがった!!」

景見「君みたいなバカに聞かれて素直に答えると思う?それくらい自分で考えたらどうかなぁ。」

栄「んの野郎…!!ふざけやがって…」

詩名「ちょっと待ってよ。って事は、オイラ達の大切な人達はもうとっくに死んでるかもしれないって事かい!?」

景見「さぁ。どうだろうね。気になるなら僕を倒して確かめてみれば?」

詩名「…!!」

狛研「柳人クン、今は謎を解き明かす事を考えよう。謎を解かなきゃボク達は永遠に檻の中なんだから。」

 

 

 

議論開始!

 

 

 

神座「とは言ったものの…外の世界や私達の正体につながるようなものなんてあったかしら。」

栄「あ、狛研ちゃん。アレを見せたらどうだ?」

狛研「アレ?」

詩名「君ねぇ。アレじゃわからないだろ。もっと具体的に言ってくれなきゃ…」

アレ…もしかして、一日目に見つけた…

 

コトダマ提示!

 

【日誌】

 

「これだ!!」

 

狛研「もしかして、日誌の事かな?」

栄「そう!そうだよそれそれ!!」

詩名「日誌?」

狛研「ここには、ボク達が犯した罪や『絶望的事件』…それから政府の計画とか、いろんな事が書かれてたんだ。」

詩名「そうなのかい?」

狛研「この日誌によると、ある日起こった大災害をきっかけに15人の高校生が世界を壊滅状態にまで追い込む大規模なテロを起こしたらしいんだ。それで『絶望的事件』が再来して、世界の人口が半分に減る程の被害を出したとも書かれてるね。でも、その15人の高校生は捕まって表向きは処刑された事になってるらしい。政府の考案した計画を公表する事で、世界が平和に戻る…みたいな事も書かれてるけど…」

栄「それだけか?」

狛研「いや…誰かが裏切って、その計画は破綻したらしいんだ。で、ボクがその裏切りの原因を作ったって書かれてある…」

栄「うんうん、なーるほどな。」

陽一クンは、何かを理解したかのようにコクコクと頷いた。

神座「…どうしたの?またくだらない事でも思いついた?」

栄「ひでぇや神座ちゃん!!まだオレ何も言ってねぇだろ!!」

詩名「君には前科があるじゃないか。さっきは見事に迷推理を披露して狛研君を怒らせたよね?」

栄「うっ…こ、今度こそ自信あんだよ!!オレァ、気づいちまったんだよ。オレ達の正体…そしてこのコロシアイの目的になぁ!!」

景見「へぇ、ボクも気になるなぁ。聞かせてよ。」

栄「いいぜ。これがオレの答えだ。そのうす汚ねェ耳かっぽじってよく聞きやがれ!!」

 

 

 

ークライマックス推理開始!ー

 

Act.1

狛研ちゃんの言う通り、オレらは何年も前に希望ヶ峰学園に入学してたんだよ。それで、多分そん時はフツーに過ごしてたんだろうな。でも、ある日突然訪れた大災害によってオレ達の日常はガラッと変っちまったんだ。

 

Act.2

その大災害によって気がおかしくなったオレ達は、世界中で次々とテロを起こしていった。多分、オレ達の大切な人達は、オレらがその時殺しちまってたんだ。でも、散々暴れ回った挙句オレ達は未来機関に捕まった。そりゃあ、世界を滅ぼしかねない大事件を起こしたんだから、死刑判決は免れなかった。オレ達には、表向きには死刑判決が下される事になった。

 

Act.3

でも、悲劇はそれで終わりじゃなかった。政府側の人間でオレ達の存在を許さない奴が、断罪のためにオレ達に『人類史上最大最悪の絶望的事件』の親玉がやった事と同じ事をオレらにさせようとしたんだ。政府は、それを世間に公表して見せしめにするつもりだった。

 

Act.4

だけど、ここで政府にとって予想外の出来事が起こった。なんと、その計画の考案者が政府を裏切って勝手にコロシアイを始めやがったんだ。オレ達は記憶を消されて、ただソイツの殺人欲求を満たすためだけの道具にされたっつーわけだ。その元政府側の裏切り者っつーのが景見だった。黒幕の正体は景見で、景見の目的は断罪で、オレ達の正体は世界中を敵に回した大罪人だった。それがオレの答えだ!!

 

 

 

景見「…クスクス。」

栄「何がおかしくて笑ってんだテメェ!!」

景見「やるじゃない、栄君。おバカのくせにそこまで推理を展開させられるなんてさぁ。…つまり、僕は江ノ島盾子の真似事をして君達を断罪しようとしていたと?」

栄「ああそうだ!!テメェは最低最悪のパクリ野郎でバカ野郎でクズ野郎だ!!」

景見「あっそう。…他のみんなも、その答えで満足?」

神座「確かにまだ疑問がないわけじゃないけど…でも、今はそれくらいしか思いつかないし…」

詩名「栄君のくせに珍しく冴えてるじゃないか。」

栄「一言余計だっつーの。オラ景見!!答えは出たぜ!!さっさと投票に移りやがれ…」

 

 

 

「待って!!」

 

景見「叶さん…」

栄「狛研ちゃん…オレの推理が間違ってるっていうのかよ!?」

狛研「ごめんね、陽一クン。ボク、一個だけどうしても気になってる事があって。」

景見「気になってる事?」

狛研「…ねえ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狛研「キミ…誰?

 

 

 

景見「…え?」

ボクは、凶夜クンに指を差して質問した。

栄「何言ってんだよ狛研ちゃん!コイツは景見だろ。…まあ、黒幕だったのはショックだけどよ…」

狛研「違う…キミは、凶夜クンじゃないだろ。確かに見た目や声は凶夜クンそのものだけど、でも凶夜クンじゃない。キミは一体誰だ。本物の凶夜クンをどこにやった。本物の凶夜クンを出して。」

景見「やだなぁ、何を言ってるんだい?叶さん。ボクは間違いなく【超高校級の不運】景見凶夜だよ?」

狛研「今すぐ凶夜クンのフリをやめろ。違和感ありすぎて気持ち悪いんだよ。」

景見「ひどいよ、叶さん。なんでそんな事言うの?もしかして、ぼくが今までみんなにひどい事してきたから腹いせにそんな事言って嫌がらせしてるの?」

栄「狛研ちゃん、悪いけどコイツはどう見たって景見だよ。」

詩名「同感。呼吸とか雰囲気とかは、100%本物の景見君だよ。」

神座「叶…」

狛研「逆にコイツのどこが凶夜クンなの?完全に高校生の気配じゃないだろ。一人称がコロコロ変わるわ言動に一貫性が無いわ…コイツ、どう見たって凶夜クンじゃないよ。それに…」

 

コトダマ提示!

 

【写真】

 

「これだ!!」

 

狛研「この写真に写ってる凶夜クンとこの凶夜クンが同じ人間なら、こんなに雰囲気に差があるのはなんでなの?映像でオドオドしてた凶夜クンも、演技をしてるようには見えなかったし…第一、不運以外に突出した才能がない高校生にこんな大掛かりな事できるわけないだろ。」

景見「だからそれは、本当の才能を隠してからだよ。僕って本当は君が思ってるよりすごいんだから。」

狛研「キミの履歴書や希望ヶ峰学園の資料にはそんな事書いてなかったけど?」

景見「ひどいなぁ、まだ僕の事を疑ってるの?」

狛研「あのね、じゃあ一言言わせてもらうけど…本当に本物の凶夜クンが黒幕なら、ゲームが成立してるわけがないんだ。だって、凶夜クンの才能は【超高校級の不運】でしょ?その運のなさは、車に撥ねられた回数だけで世界記録を更新できる程だ。それほどの不運を抱える人間が何のトラブルもなく円滑にゲームをコントロールするなんて事、できるわけがないんだよ。」

景見「ッ…!!」

狛研「これでハッキリした。キミは【超高校級の不運】じゃなければ景見凶夜でもない。…凶夜クンのフリをしているキミは一体、誰なんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学級裁判中断!

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