ダンガンロンパPRISON   作:M.T.

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ちょっと才監学園の広さを計算してみたんですけど、めちゃくちゃ広いw


第1章(非)日常編②

16人全員が噴水前に集まった。

「おう、悪いな!!待たせた!!」

「フン。」

「みんなおまたせ〜。」

「ピィ!」

「………………。」

「あ、成威斗サン達が来ましタ!」

「朱ちゃん…そろそろオレを殴るのやめてくれない…?オレ、ミンチになっちゃうんだけど…」

「汚物は消毒デス!!踊子サンに近づかナイデください!!」

「やっと全員集まった。」

「オマエラ、遅いのだ!」

「みんな集まったね。…ねえ、星也クン。」

「どうしたんだい?狛研さん。」

「ボク、喉渇いちゃった。なんか飲みたいなー。ねえ、この水飲んじゃダメ?」

まだ言ってるよ叶さん…

「うーん、さすがにそれは汚いしやめときなよ。」

「栄クンあたりが立ちションした後の水かもよ〜?」

「財原、テメェは黙ってろ!!」

「え、陽一クン立ちションしたの?」

「狛研ちゃん!!やめて!?冤罪だから!オレ、そんな事してねェから!!」

「じゃ、立ちション野郎は一旦置いといて、食堂見つけたしそこで報告会やらね?俺も喉渇いちゃってさ。思いっきり炭酸のきいたコーラ飲みたいよ。」

「うん、そうだね。このままじゃみんな報告会に集中できないだろうし…集まってもらって悪いけど、食堂で報告会しよっか。」

財原君と穴雲君の提案で、僕達は急遽食堂で報告会をする事になった。

 

 

 

 

【食堂】

 

「どうぞ。」

「あ、ありがとうございます…」

癒川さんが、全員にそれぞれのお気に入りの飲み物を出してくれた。

僕、不動院君、神座さんは緑茶、狛研さん、舞田君、栄君は麦茶、白鳥さん、羽澄さんはロイヤルミルクティー、日暮さん、詩名君はハーブティー、朱さんはウーロン茶、入田君はオレンジジュース、財原君はコーラ、そして穴雲君はコーヒーを出してもらった。

ラッセ様は、喉は乾いていないと言って、癒川さんが淹れてくれたお茶を拒否していた。

「どうぞ、穴雲さん。」

「お、ありがとう癒川さん。気が利くね。…うん、エスプレッソか。僕の大好物だ。」

「それは良かったです。」

「ぶっはぁ〜!やっぱこれだわー!生き返るー!!」

「ちょっと、テンリ。アンタおっさんかよ。」

「狛研サン、俺のコーラ一口あげるからちょっと麦茶ちょうだい。」

「いいよー。どうぞ!」

「サンキュー。うん、麦茶もおいしいねェ。」

「わーい、コーラ貰ったー。いただきまーす。」

ちょっと、叶さん!?何やってんの!?

それって、完全にか、かかかかか…間接キ…

「ん?凶夜クンもコーラいる?天理クンの飲みかけだけど。」

「い、いいよ僕は!!え、遠慮しときます…」

「そっかぁ。うん、コーラもおいしいね!ありがと天理クン!」

「いえいえ。…ハンッ。」

うわっ…財原君、こっち見て鼻で笑ってるよ…。

今のも、完全に僕への挑発だよね?

…あれっ。なんで僕は今ちょっとイラッときたんだ…?

「…さて、まったりするのもこれくらいにして、そろそろ報告会を始めようか。」

「そう、ですね…」

「そうだな…じゃあまず、国王陛下。探索の結果を報告していただけないでしょうか?」

「…俺に命令するな。」

「あ、ごめんせいやくん。ラッセくんは、自分で探索するって言って聞かなかったんだ。わたしが代わりに報告するね。」

そう言うと、日暮さんは大きな紙を取り出した。

そこには、この建物の上から見た図が書かれていた。

「わたし達はこの建物の、ここを探索したんだ。」

日暮さんは、マーカーで一番外側の線の内側を指した。

「それで、探索した結果はどうだったの?」

「えっとね…外エリアは4つに区切られてて、それぞれ4つの季節をイメージしたエリアらしいんだ。それと、ぐるっと環状に囲ってる大きな壁があったの。」

「壁?」

「うん。あと、天井もね。壁と天井に、本物そっくりの空の絵が書かれてるの。」

「なるほどね…壁の大きさとか、どれくらい外エリアが広いのかとか、わかる?」

「うーん…大体内壁と外壁の距離が500m、壁の高さが100mくらいかなぁ。」

「外エリアなのに屋内って、なんかおかしいね!」

「あはは、まるで大きなペットケージで飼われてるみたいじゃん。檻の中のウサギとかハムスターも、こんな気分だったのかなぁ?」

叶さん、財原君…なんか、ツッコみどころがズレてない?

「壁には継ぎ目も無いし、起伏もなかったよ。出口らしきものもなかったし…多分、あの建物から出るのは、クマちゃんとベルちゃんの力を借りないと無理だと思うよ。…わたしからの報告はこれくらいかなぁ。」

「なるほどね…じゃあ次は入田君。報告してくれるかな?」

「僕ちゃんにお任せなのだ!えっとな、僕ちゃんが見つけたのは、大きなゴミ処理場だったぞ!」

「ゴミ処理場…ねえ。」

「コインランドリーっぽい建物もあったよ。コインを入れる所がなかったし、多分タダで使えるんだと思う。」

「へぇ…」

「あと、試しに外部との連絡が取れないか確認してみたんだけど、やっぱり外には繋がらなかったのだ!」

「なんだ、繋がらなかったのかよ。だったら自慢げに言うなよなー。入田クン、もしかして意外とポンコツ?」

「なんだとー!?」

「そんな事ないよ財原君。入田君のおかげで、僕達をここに閉じ込めた犯人には、僕らをここから出すつもりがないって事が再確認できたんじゃないか。」

「そうなのだ!エッヘン!」

「うんうん、ありがとう入田君。じゃあ次は、狛研さん。報告してくれるかな?」

「はーい!あのね、ボク達がいた部屋をもう一回調べてみたんだけど、本人の生徒手帳で鍵が開閉できるようになってたんだ!」

「じゃあ、部屋にこっそり入ったりとかできねぇのかよ…クソッ。」

栄君が何か言ってるよ。

「陽一!!アナタ、今何か言いマシタか!?」

「いや…何も…ってか朱ちゃん、なんでオレだけ呼び捨てなの…?」

「アナタは邪な考えヲ持ってるカラです!!アチョー!!」

「理不尽ッ!!」

あはは…栄君の成敗は朱さんに任せよっかな。

「あの、話の続きをしてもよろしいですか?」

「あ、ごめんね不動院君。続けて?」

「私達のいた部屋は、本人が許可をすれば、他人でも部屋に入る事が可能だそうですよ。」

「それと、オイラ達がいた部屋なんだけど、完全防音になってたね〜♪」

完全防音か…それは気づかなかったな。

さすが詩名君だ。

「あとねあとね、2階には凶夜クンと陽一クンと麗美ちゃんの研究室があったよ!」

「マジか!?オレの研究室!?ソイツは楽しみだな!!」

「なぁんだ、俺の研究室じゃなくて、立ちション野郎の研究室かよー。至極残念なりー。」

「おい財原!その呼び方いつまで引きずる気だ!」

「はぁ、最悪。私の研究室は、自分で最初に見つけたかったのに。」

白鳥さん…まだ根に持ってるなぁ。

「景見君、君も研究室を確認したんだろ?」

「あ、はい…でも、あんまり見て欲しくないです…」

「なんだ、景見!なんかヤラシーモンでも置いてあったのか!?」

「…ゴホン、栄君。」

「あ、悪りい…」

「それから娯楽室ですが、十柱戯や撞球などの道具が置かれていましたね。」

「うんうん、ボウリングとビリヤードね。」

「あと、モノモノマシーンっていうガチャガチャがあったよ!ボク達の手帳の『ウォレット』の中にあるメダルを、両替機を使って引き出して使うんだって!」

「モノモノマシーン?」

「まあ、変わり種のガチャガチャだね〜♪オイラ達も、あんまり中身を把握してないから、気になるなら自分で確かめてみるといいよ。」

「なるほどね。ありがとうみんな。じゃあ、次は僕の班からの報告ね。この建物は、2階までしか行き来できないみたいなんだ。エレベーターが、1階と2階にしか止まらなかったよ。」

「3階以降が見たきゃ試しに誰か殺してみろってさ。ホント悪趣味だよねー。」

「うんうん、なるほどね!」

「次は、この食堂についての報告ね。この食堂は、厨房がついてるんだ。」

「不足した食糧の追加と消費期限切れの食糧の廃棄は、毎日自動で行われるそうです。」

「じゃあ、飢え死にの心配は無ェって事か!」

「そういう事だね。あと、大浴場にも行ってみたんだけど、割と広くて開放感がある空間だったよ。温泉が使われてるらしいから、後で疲れを取りに行ってみたいね。」

「マジ!?最アンド高じゃん!」

一応表向きは監獄って事になってるはずなんだけど…

なんでこんな快適空間なんだろう。

「あー、はいはーい。あとねえ、倉庫にも行ったよー。」

「倉庫には、様々な物が置いてありました。日用品から、爆薬、大砲のような物まで…欲しい物は、食材などの生物以外なら大体倉庫で手に入るかと。種類も膨大で、歯磨き粉だけでも50種類以上はありましたね。」

「えぇー。すごい。でも、それだけ種類があって、在庫は大丈夫なの?」

「置いてある物の量も膨大なので、しばらくは物が尽きるという事は無いかと思われます。なくなり次第、自動で補充されるそうですし。」

「そうそう。そこで見つけたんだけど、こんな物もあったよ〜♪」

財原君は、ズボンの両ポケットから手のひらサイズの箱を取り出して、みんなに見せびらかした。

財原君が両手に持っていた箱には、『極薄!快感の0.01mm』と書かれていた。

「はぁっ、あぁ!?ちょ、ちょっと!?財原君!?何やってんの!?」

「奥の方に色んな種類あったから持ってきちゃった。てへ☆あ、ブツブツタイプのもあるよ〜♪みんなの好みのヤツが置いてあるかもね。」

「ちょっと黙ってて!!全く、油断も隙もないね君は!!」

全くだよ。何やってんだよ財原君!!

いつも冷静で紳士的な穴雲君も、さすがにこれには動揺していた。

「うわぁ…引くわ…」

「マジかよ…そんなモンまで置いてあんのかよ。」

「サイアクなのだ…完全にセクハラなのだ。」

「ホントに不潔!!毛根根こそぎ燃やすわよ!!」

「やめてー。」

舞田君と羽澄さんと入田君もドン引きしていた。

白鳥さんにいたっては、赤面しながら財原君の胸ぐらを掴んでいる。

「あわわわわわわわわわわ…」

「うん、わたしは何も見てないよ。ね、翠。」

「ピィ?」

癒川さんは、顔を真っ赤にしながら狼狽している。

日暮さんは、見なかった事にしたようだ。それが賢明な判断かな。

「へへっ、女子がエロいモン見て顔真っ赤にしてんのって、なんか萌えるなw」

「わかるよ、栄君。オイラは声しか聞こえないけどね〜。」

栄君は、よだれ垂らしながら女子を舐め回すように見てるし…

詩名君もなんか嬉しそうだな。

詩名君って、もしかして隠れスケベ?

「ねえねえ、凶夜クン!天理クンが持ってる箱、何が入ってんの?」

ちょっと、叶さん!?

なんで僕に振るの!?

「あら、あなたこれ知らないの?男遊びが激しそうだと思ったけれど…案外そうでもなかったのね。」

余計な事言わないでよ白鳥さん!!

「え、待って?どういう事?遊びって…何?遊ぶための道具でも入ってんの?ねえ、凶夜クン!」

「あ、えっと!あれだよあれ!み、水風船だよ!」

「水風船?ボクね、水風船で遊ぶの好きだよ。夏とか、しょっちゅう遊んじゃうんだ!」

よかった…なんとかごまかせた。

…別に、水風船として使えなくはないから嘘はついてないよね?

叶さんに変な事吹き込みたくないし…

叶さんの他にも、不動院君、ラッセ様、朱さん、神座さんも、見た事ないものを見るような目で見ていた。

「なんだあれは。」

「私も存じ上げません。何に使うんでしょうか?」

「なんデスカあれはー?皆さんは、知てるんデスカ?」

「………………?」

嘘でしょ?

朱さんや神座さんはともかく、ラッセ様と不動院君も知らないのか…

どんだけ俗世間から隔絶されて育てられてきたんだか…

「あの、景見殿。あの箱がなんなのか、ご存知なのですか?ご存知でしたら、教えていただきたいのですが。」

だから、なんで僕に振るんだよ!

あ、ラッセ様には、栄君が教えたのか。

「なっ…なんて下品な…」

ラッセ様、すごい汚物を見るような目で箱を見てるな。

「ラッセ…お前、知らなかったのかよ。」

「知る機会がなかったからな。まさか、庶民の間でこんな低俗なものが出回っていたとは思わなかったぞ。」

「景見殿。私にも教えてください。お願いします。」

うわああああ…やめてよ不動院君、そんな純粋な瞳で聞かないでよ…

っていうか不動院君、どんだけ箱入りなの。

…一応、不動院君も男の人だし、教えてあげた方がいいのかな?

「…不動院君、耳貸して…」

「?…はい。」

「ゴニョゴニョ…」

「!!?」

不動院君は、耳まで真っ赤にしながらワナワナと震えていた。

「あ…あ…」

すると、いきなり刀を抜いて、財原君が持っていた箱をバッサリと両断した。

財原君の頬にも刀の先が掠り、右頬に一筋の赤い線ができた。

赤い線から血が滲んで頬をつたった。

「ひえ〜…あっぶねェ〜…」

財原君も、さすがにこれには顔を真っ青にして冷や汗をかいていた。

「ふ、ふふふ…不浄なッ!!そんな不浄な物の存在を許してなるものか!!おのれ白黒熊に白黒虎め!!よくもこの場を穢し、拙者を辱めてくれたな!!この不動院剣、武士の名において一太刀にて貴様らを斬り捨ててくれようぞ!!」

不動院君は、涙目になって、顔を真っ赤にしながら刀を構えていた。

刀身がガタガタと震えていて、尋常じゃない怒りが伝わってくる。

「わぁああああ!?ちょっと、不動院君!?落ち着いて!!」

「そうだよ!モノクマとモノベルを攻撃したりなんかしたら、不動院君がお仕置きされちゃうよ!」

「黙れ!!拙者は、拙者を辱めた者を生かしてはおけぬ!!奴等を斬り捨てた後、拙者も腹を切って死ぬ所存!!」

うわああああ…どうしよう、口調変わっちゃってるし…完全に正気じゃないよ。

「あはは、言ってる事がメチャクチャだよぉ〜。」

「テンリ!元はと言えばアンタのせいでしょ!なんとかしなさいよ!」

「えぇえ〜。」

舞田君、穴雲君、栄君の3人でなんとか荒れ狂う不動院君をなんとか押さえ込んだ。

…一流の剣豪とだけあって、押さえ込むのに苦労したみたいだ。

 

 

 

 

「…大変失礼しました。私とした事が、取り乱してしまいました。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。」

不動院君は、赤面しながらお茶を飲んでいた。

不動院君、いつもは冷静で誰に対しても物腰柔らかく接してくるイメージだけど…

一度変なスイッチが入っちゃうと暴走しちゃうんだね。

…それにしても、不動院君がここまでエロに免疫が無かったとは。

栄君からしたら考えられないだろうな…

「あっはは、不動院クンは怒らせると怖いねー。」

「財原君。誰のせいでこうなったと思ってるのかな?」

「しいましぇーん。」

「財原さん、動かないでください。お薬がうまく塗れません。」

「いってー。滲みるー。」

財原君は、癒川さんに治療をしてもらっていた。

さっきあんな目にあったのに、まだみんなをからかう余裕があるらしい。

「財原殿、いきなり斬りかかってしまい、申し訳ございませんでした。」

「いいよいいよ〜。ほっぺた掠っただけだし。それに、不動院クンの見事な剣さばきを見られた上に、今こうして癒川サンの治療を受けられてるわけだからね。一石二鳥だよ。」

財原君…殺されかけたっていうのに、あっけらかんとしてるなぁ。

一日で何十億稼ぐ人は、やっぱりそこら辺が凡人とは違うのかな。

「…………………………お腹すいた。」

「!!?」

神座さん、さっきまであんな地獄絵図だったのに、よくそんな事言えるね!?

「あー、確かにもうそんな時間ね。どうする?そろそろ昼食べる?」

「そうだな…うっし、じゃあ俺が作るか!」

「私もお手伝いします。」

「え、マジ?デュフフ…」

「アナタ、治奈サンに何かスル気でしょう!?ワタシも手伝いマス!」

「げっ…」

やっぱり、栄君には朱さんがいた方が安心だね。

 

 

 

 

僕達は、3人が用意してくれた昼食を食べた。

やっぱり、【超高校級】の才能を持つ栄君が作った食事ってだけあって、美味しかった。

「おいしいね、凶夜クン!」

「そう、ですね…」

「この卵焼き、誰が作ったの?」

「私です。お口に合いませんでしたか?」

「いや、おいしいんだけどさ。甘い卵焼き食べるの久しぶりだなーって。自分で作る時はしょっぱいやつしか作らないからね。治奈ちゃん、後で作り方教えてよ。」

「え、叶さん料理できるんですか…?」

「うん。お母さんが事故で死んじゃってからは、自分でお弁当とか作ってたからね。意外だった?」

「は、はい…まあ…」

叶さんの手料理か…ちょっと食べてみたいな。

「おい、ラッセ。お前は全然食わねえのか?」

「…フン、卑しい男が作った飯など、食欲が湧かん。…それに。」

 

「貴様ら、料理に毒が盛られているとは考えなかったのか?」

「!!?」

え、毒!?

こんな時に何言ってんのラッセ様!?

「え!?嘘、毒!?どうすんのよ!アタシ、もう食べちゃったんだけど!」

「ぼ、僕ちゃんは物理選択だから、解毒剤の作り方なんて知らないのだ!!ど、どうすれば…!こんなところでこの天才の僕ちゃんが死ぬなんて、あっちゃダメな事なのに!!」

「いや…!私、こんなところで死にたくない…!あんた達、まずは私を助けなさいよ…!」

「みんな、落ち着いて…!」

「ヒュ〜♪カオスカオス〜。」

みんな、ラッセ様の口からとんでもない事を語られて慌てふためいていた。

「ラッセテメェ!!何言ってんだ!!なんの根拠があってそんな事言ってやがる!?」

舞田君は、怒りのあまりラッセ様の胸ぐらを掴んだ。

「フン。貴様ら、さすがは日本人だな。噂通り、警戒心の無さは世界一の民族のようだ。俺達がおかれている状況をもう忘れたのか?これは殺し合いだぞ?一歩間違えば、自分が殺される…そういう状況に置かれているという事を、少しは自覚したらどうだ。」

「ラッセテメェ!!オレの事を疑ってるってのか!?オレは、これでも料理人の端くれなんだよ!!毒を盛るなんて、メシへの冒涜だ!!オレがそんなダセェ事すると本気で思ってんのか!?」

「貴様の感情論など何のアテにもならん。人間、極限まで追い詰められると何をするかわかったもんじゃない。それに、貴様が毒を盛っていなくても、あのインチキ臭いクマ共が食材や食器に毒を盛ったという可能性も十分あり得るだろう?」

「うーん、国王陛下ぁ。お言葉ですけど、それはないんじゃないっすかねぇ?」

「…何?」

「あのクマちゃんが俺達にさせたいのは、あくまで殺し合いだよ?食材に毒を盛るなんてそんなナンセンスな事するくらいだったら、とっくに俺達に何かしてると思うけどね〜。」

「…うん、天理クンの言う通りだよ。ボクも、クマさんは食材に毒を盛ったりなんかしてないと思う。」

「国王陛下は警戒心が強すぎんだよなー。こんな時に毒を盛るなんてつまんねー事する奴がいるかっての。」

財原君…たまには正しい事言うんだな。

「私も財原殿に賛成です。先程私が独房で召し上がったお茶菓子も、毒は入っていませんでしたからね。」

「は!?オマエ、僕ちゃんが必死こいて脱出の手がかり探してる時に、呑気にくつろいでたってのか!?」

「ご、誤解です入田殿…!私がしたのは毒見と言いまして、主に出される飲食物を家臣が先に少し食し、毒が入っていないか確認する重要な役目でして…」

嘘つけよ不動院君。

ちゃっかりティータイムを楽しんでたって顔に書いてあるよ。

まあ、僕も人の事言えないんだよな。

僕の食べた桜餅にも毒は入ってなかったし…

…一応、ここにある食材は信用して大丈夫なのかな。

「みんな、せっかく3人が作ってくれたんだ。食べなきゃもったいないよ。」

「穴雲さん…」

「そ、そうよね…」

「…フン、勝手にしろ。俺は、貴様らと共倒れなど御免だ。そんなに仲間を信じたきゃ、勝手に信じ合って勝手に死ね。」

ラッセ様、冷たいなぁ。

なんでそこまでみんなの事を信用できないんだ?

やっぱり、王族として育ったっていうのが大きいのかなぁ。

 

 

 

 

「ごちそうさまでした。」

全員が食事を終えた。

「この後どうする?」

「そうだねぇ。やる事も特に無いし、自由時間にしよっか。」

自由時間か…何をしようかな。

 

 

 

 

【娯楽室】

 

特にやる事もないし、モノモノマシーンでも引いてみようかな。

僕は、手帳のメダルを一枚換金した。

確か、メダルが一枚あれば遊べるんだったな。

さっそく遊んでみるか。

僕は、メダルをマシーンに入れてガチャを引いた。

…カプセルが出てきたな。

中身を確認してみよう。

カプセルを開けると、粉が入った小瓶が入っていた。

小瓶に貼ってあるラベルに何か書いてある。

…字が達筆すぎてなんて書いてあるのか読めないな。

見たところ、調味料の類っぽいけど…

うーん、どのみち自分では使わなさそうだな。

誰かにあげられるといいんだけど。

 

「…あ。」

 

娯楽室には、すでに先客がいた。

「くっ…今度こそ!!赤こい赤!!」

「じゃあ俺は黒に賭けよーっと。」

「二人とも、それでいい?」

どうやら、栄君、財原君、羽澄さんがルーレットで遊んでいるようだった。

「よういちくんがんばれー。」

「ピィ、ピィ!」

「ふふふ、ここまで立て続けに負けてると、無様すぎて笑えるわ。」

日暮さんと白鳥さんは栄君の応援係か。

「栄君、頑張って!あなたなら勝てるわ!」

「白鳥ちゃんと日暮ちゃんの応援!…フフッ、見てな二人とも!オレは、いつだっていざって時には勝負に勝ってきた男だ。このオレが負けるわけないだろ!?」

栄君、それ思いっきりフラグ…

「さあ、赤こい赤ァアアアアアアアアア!!!」

クルクルと回る球がルーレットの溝に落ちた。

「…黒の35。」

「チクショオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

「m9(^Д^)プギャーwww」

「クッソ!!さっきやったスロットではメッチャツイてたのに!!」

「ヒャハハハハハハハハ!!ダッセェwwwやべェ…ちょっと待って、ツボった…誰か助けて…お腹痛い…ブフッ…グフッ…ギャハハハハハハハハ!!」

財原君、めっちゃ笑ってるなぁ。

あの人の笑いのツボがわかんないよ。

「なんでだ、なんでコイツには一回も勝てねェんだよぉおおおお!!!」

あーあ、栄君、見事に負けフラグ回収をしちゃったよ。

もう半狂乱になっちゃってるし…

あの反応から察するに、かなり負け続けたのかな。

「なあ、羽澄ちゃん。まさかとは思うけど、コイツとグルなんじゃないよな!?」

「んなワケないでしょバカ。」

「おい、財原テメェ!!イカサマしてるんじゃないだろうな!?」

栄君は、財原君の服の中を血眼で探した。

「ちょっとー。やめてよ栄クンのエッチー。」

「クッソ、なんでだ!なんでイカサマの道具が出てこねェんだ!!」

「栄君、あなた…負けたからって、それはいくらなんでもカッコ悪いわよ。」

「なっ…違うんだ、白鳥ちゃん!」

何がどう違うんだろうか。

「あの…」

「あっ!景見!ちょうどよかった!あのな?今な?財原の野郎とな?ルーレットで遊んでたんだけど、アイツがイカサマしてくるせいで、オレ一回も勝てないんだよぉおおおお!!うわぁあああああああ!!」

栄君が僕にしがみついて愚痴ってきた。

わぁ…色んな汁で顔がグチャグチャだよ。

そんなに悔しかったのか。

「やだなあ、栄クン。イカサマとは人聞きの悪い。俺は、イカサマなんてしてねーよ。」

「財原、テメェどんな手を使いやがった!?吐け!!」

「企業秘密〜♬」

「はぁあ!?」

「ねえ、きょうやくん。てんりくんすごいんだよ。毎回、球が落ちるところをピッタリ当てちゃうの。」

「へ、へぇ…」

「ま、見てもらったほうが早いかな?羽澄サン、球投げて。」

「…ほい。」

羽澄さんがルーレットに球を投げると、球がルーレットの周りをクルクルと回り始める。

「…はいはい。うーんっと、赤の36…いや、黒の13かな?うん、黒の13で。」

球の回転が止まり、球が赤の36と黒の13の間で少しカタカタと揺れたあと、黒の13のポケットに落ちた。

「な?」

「すごい…数字までピッタリ当てるなんて…」

さすが【超高校級の資産家】…ギャンブラーとしても超一流だな。

「…フフフッ、見てたぞ。」

栄君が、ニヤニヤしながら財原君の顔を覗き込んだ。

「…お前、予想する前に耳触ってただろ。…音だな。音で予想してたんだろお前?」

「どうだろうねぇ。そうだと思うなら、もう一回やってみれば?」

「よっしゃ!やってやろうじゃねえか!羽澄ちゃん!球投げてくれ!」

「またぁ?…しょうがないわね。」

「景見クンもやる?」

「あ、いや…僕は…」

「予想するだけしてみなよ。別に何も賭けなくていいからさ。」

「あ、はい…」

うーん…自信無いけど…赤、かなぁ?

「よっしゃ!決めたぜ!この音は…黒だな!」

「てんりくんは?」

「うーん。『どこにも入らない』かな。」

「ハァア!?んだよその賭け方は!!自信ないからって変な事言ってんじゃねえぞ!」

「まあ、見てなって。」

財原君…ずいぶんと思い切った予想をしたけど…

「ピィ、ピィ!」

「あ、翠!みんなが遊んでるんだから、邪魔しちゃダメだよ!」

「きゃ!ちょっと、何すんのよこのバカ鳥!…あっ!」

翠ちゃんに驚いた白鳥さんは、驚いて持っていたジュースの缶を手放した。

白鳥さんが持っていたジュースは、ルーレットの中に落ちて回っていた球をルーレットの外に弾き出した。

「あっ!!」

弾き飛ばされた球が、思いっきり僕の眉間にめり込んだ。

「痛ッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!」

「うわぁ…すごいピ●ゴラスイッチだね。」

「ほらね。」

「ほらね、じゃないでしょ!キョウヤ大丈夫!?」

…うぅ、やっぱり僕はとことんツイてないなぁ。




狛研ちゃんは、実は今までの作品の中で初めてのメシウマ主人公です。
景見クンは、運が悪すぎて厨房破壊しちゃうのでまず料理をさせてもらえません。
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