ダンガンロンパPRISON   作:M.T.

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今回もふざけ倒しました。
下品なシーンが苦手な方は、今すぐブラウザバックしてくださいw


第1章(非)日常編③

ルーレットでは、持ち前の不運が発動して酷い目に遭った。

「なあ、景見。大丈夫か?」

「ああ、うん…ありがとう栄君。」

「いやー…それにしても、財原の野郎、まさかこうなる事も予想してたとはな。アイツ、予知能力者なんじゃねえか?」

栄君、どんだけ財原君の勝ちが認められないんだよ。

「…まさか。勘が鋭いだけじゃないですかね。」

確かに、財原君は、どこか不気味なんだよな…

僕の心を読んだ事といい、球がポケットに入らない事まで予想できたなんて…

世界の法則性がどうのこうのって言ってたけど、何か関係あるのかな?

「よっしゃ!景見!絶対あのスカした童顔野郎をギャフンと言わせてやろうぜ!!」

「ギャフンw」

財原君は、鼻で笑いながら言った。

「なッ…て、テメェ!!そういうところがムカつくんだよ!!見てろよ!!絶対ギャンブルの腕上げて、テメェを見返してやるからな!!この通貨オタク変態野郎!!行くぞ景見!!オレと一緒に、アイツに勝てるように作戦練るぞ!!」

「あ、ちょっと…栄君…!」

「そんな事してる暇があるなら、栄養学の勉強しろよ〜。キミ、【超高校級のギャンブラー】じゃなくて、【超高校級の栄養士】だろ?」

「うるせェ!!覚えてろよ財原!!」

栄君は、僕の腕を引っ張って、研究室の中に引きずり込んできた。

 

 

◇

 

 

【超高校級の栄養士】の研究室

 

「ジャジャーン!!ここがオレの研究室だ!!…って、お前はもうここに来てるんだったな。」

「あ、はい…」

「おいおい、そんなにカタくなんなって。オレ達一応クラスメイトなんだからさ。無理して敬語使わなくていいよ。」

「あ、うん…」

そういえば、改めて栄君とちゃんと話したのって、これが初めてかな?

前は自己紹介程度だったし…

どうしよう、何を話せばいいのかわかんないな。

そもそも、僕なんかが栄君と話なんてしていいのか…

今までも、下手に地雷に触れたせいで嫌われて、友達が一人もできなかったもんな。

こんな逃げ場のない場所で嫌われたら僕、どうしたらいいのかわかんないよ…

…あ、そうだ。

「あ、あのさ…栄君。」

「ん?どうした?」

「えっと…栄君にプレゼントしたい物があるんだけど…受け取ってくれるかな…?」

「オレにプレゼント?なんかくれんのか?」

「あの…これなんだけど…」

僕は、ガチャで引いた小瓶を栄君にプレゼントした。

「うぉああああああああああああああああああっ!!?」

栄君は、勢いよく席から立ち上がり、叫び声を上げた。

「!!?」

ど、どうしよう…

また地雷に触れちゃったかな…

いつもそうだ。

僕が初対面の人と話す時、僕が自己紹介の次にする質問は話し相手の地雷だって相場が決まってるもん…

絶対絶交とかされるパターンだよ。

…でも、仕方ないか。

本来、僕みたいな疫病神が、未来ある【超高校級】のみんなと同じ監獄に収監されてる事自体おかしな事なんだから…

「うっっわ!!スゲェ!!これ、伝説の料理人『鯖木馬吾郎』が作ったって言われてる、秘伝の調味料じゃねえかよ!!あらゆる旨味成分が凝縮されてて、何にかけても旨い万能調味料なんだぞ!?あまりにも希少すぎて、ある大富豪が5億円払っても買い取れなかったって言われてんのに…そんなモン貰っちまっていいのかよ!?」

え、そんなにすごい物だったの、この粉…

僕、知らないでポケットの中にぞんざいに入れちゃってたんだけど…

「え、あ…うん。たまたまガチャを引いたら出てきたんだけど、僕は使わないし…栄君にあげようと思ってたんだけど…ほら、そういうの詳しい人が持ってた方がいいかなって…」

「いや〜、ありがとう!!でも、こんなお宝貰っちまってなんか悪いな…そうだ、なんかして欲しい事とかあるか?礼をさせてくれよ!」

「いや、僕は別に…じゃあ…栄君の話をちょっと聞きたいかな…」

「え?そんなんでいいのか?」

「うん…えっと…僕みたいなのが【超高校級】のみんなと同じ空間にいるってだけで、すごい事ですから…何かをねだるなんて、そんな恐れ多い事…」

「おい、そんな謙遜すんなって!スカウトされた理由はなんであれ、お前もオレ達と同じ【超高校級】なんだからよ!」

「あ、うん…」

良かった…

初対面の人にプレゼントしてここまで喜ばれたの、初めてだよ。

いっつも、気に入らない物を贈ったせいで次の日から仲間外れにされたりとかしてたし…

今回は、珍しく不運が働かなかったな。

「じゃあ、何が知りたい?知りたい事があれば、なんでも教えてやるよ!」

「えっと…じゃあ、栄君がなんで【超高校級】になったのか、教えてくれないかな?」

「おう、いいぞ!オレは、ガキの頃から飯とか作んのが好きでよ。それで、将来はそういう関係の仕事とかしてみてェなって思って、栄養学の勉強始めたんだよ。そしたらメチャクチャハマってさァ!夢中になってずっと勉強して、資格を取ってよ。そしたら、オレの噂を聞いた朱鳥凛奈っつーアスリートから声をかけられて、その人の管理栄養士になったんだよ。」

「ああ、五輪で優勝したトップアスリートね。」

「そうそう!もちろん、オレは喜んでオファーを受けたよ。そんな有名なアスリートにずっとやってみたかった仕事の依頼を受けたのがすげェ嬉しかったし、あとは…」

「あとは?」

「朱鳥ちゃん、メッチャ可愛いんだよ!いやー。あの時は、嬉しすぎて目玉飛び出そうになったな。あんな可愛い子に依頼してもらったら、そりゃ断れねェだろ!あの美脚がエロいのなんのって…」

おいおい…そんな有名なアスリートをそんな目で見ちゃダメでしょ。

まさかとは思うけど、そっちがメインの理由じゃないでしょうね?

「んで、朱鳥ちゃんが五輪で優勝した事で、オレの功績が認められて、【超高校級の栄養士】としてスカウトされたってワケ。」

…栄君、なんかチャラチャラした感じだと思ってたけど…

ちゃんと自分なりの考えとか、料理に対する情熱とか持ってるんだな。

…それに比べて僕は…

「ん?どうした景見?」

「…あ、いや…なんでもない。」

「そっか。なあ、他に知りたい事とかあるか?」

「えっと…そうだなぁ…」

僕は、自然と栄君が身につけているネックレスやブレスレットに目がいった。

「ん?どした?あ、もしかして、これ気になる?」

栄君は、身に付けていたアクセサリーを指して言った。

「カッコいいだろ?飾れば飾るほど、男はイカして見えんだよ。あと、実は髪も染めてんだぜ。」

「ああ、そう…」

僕はそうは思わないけど…

そういえば、財原君とか舞田君とかも個性的な服装してたな。

…もしかして、僕の方が感覚ズレてる?

「あ、さすがに飯作るときは、ブレスレットと指輪は外してっから。」

「へ、へえ…」

意外とそこら辺はちゃんとしてるんだな。

「まあでも、このペンダントだけは絶対外さねェけどな。」

「それ、栄君にとって大切な物なの?」

「まあな。オレのばあちゃんが気に入ってたペンダントなんだよ。オレが資格取った時、譲ってもらったんだ。…その後、すぐ死んじまったんだけどな。」

「そうなんだ…」

「ばあちゃんはボロい定食屋をたった一人で切り盛りしててよ。オレも、そんなばあちゃんの影響受けて料理が好きになったのかもな。」

栄君って、おばあちゃん子だったんだね。

ちょっと意外だったな。

「…とまあ、オレの話はこれくらいでいいか?」

「うん。ありがとう。いろいろと話してくれて。」

「よっしゃ、じゃああのキナくさい原をギャフンと言わせるために、作戦練るぞ!」

そういえば、そんな事言ってたね。

キナクサイ原って…ひどいあだ名だなぁ。

 

 

◇

 

 

「あー、クッソ!!どうしてもあのうるさい原に勝てる方法が思いつかねェ!!」

「無茶だよ…だって、相手は超一流のギャンブラーだよ?僕達じゃ絶対勝てないって…」

「諦めんな!そんなの、やってみなきゃわかんねェだろ!!見てろ、次こそ絶対あのうさんくさい原を負かしてやるぞ!!」

「誰がうさんくさい原だって?」

「くぁwせdrftgyふじこlp!!?」

後ろから、財原君が栄君の顔を覗き込んできた。

「ざ、財原君…!?」

「て、テメェ…!いきなり脅かしてくんじゃねえよ!!」

「いちいちビビりすぎっしょ栄クン。そろそろ夕飯作る時間だろ?早く厨房来いよ。」

そう言うと、財原君は研究室から出て行った。

…なんだ、呼びに来てくれたのか。

「えっと…栄君、厨房に行こっか。」

「お、おう…」

栄君と二人で厨房に向かった。

 

《栄陽一の好感度が1上がった》

 

 

◇

 

 

「よっしゃ!できたぜ!」

栄君は、夕食を作ってくれた。

今日の夕食は、洋風か。

昼は和風だったもんね。

「…………………野菜と鶏肉の牛乳煮込み?」

神座さんは、不思議そうな顔でシチューを眺めていた。

「マジかよ…神座ちゃん、シチューも知らねえのか。」

「ゐをりちゃん、面白いね!ねえ、どこから来たの?」

「……………。」

「あら、そういう話題はだんまり?可愛くないわね。」

確かに、神座さんは色々と謎が多いよな。

現代人なのに、シチューも知らないなんて…

それってまるで…

「もしかして、ゐをりちゃん、タイムトラベラーだったりして!?」

叶さんは、目を輝かせながら言った。

「んなワケないでしょ。」

「…………………たいむ?」

「ええと、時間旅行者…ですかね?」

「……………む。」

「ねえ。ところで、さっきから気になってたんだけど…ラッセくんのお皿の上の黒い塊、何?」

「…フン。」

日暮さんがラッセ様の方を指差した。

ラッセ様のお皿の上には、黒くて臭い得体の知れない何かが乗っていた。

「ああ、これか。いや、実はな。ラッセの野郎が、オレの作った飯は信用できねェっつって自分で作ったんだよ。でもコイツ、料理のセンスが壊滅的でさ。気がついたら、得体の知れないナニカが出来上がってたんだよ。」

「うわぁ…」

「匂いだけで有害物質だってわかるね〜♪」

「おぞましいのだ…食べれるのか?それ…」

「せっかくの食べ物を粗末にしてはいけません!」

「きったねw」

羽澄さんと詩名君と入田君は、顔を真っ青にしてドン引きしていた。

不動院君は得体の知れないナニカに対して憤り、財原君はお腹を抱えながら笑っていた。

「フン、笑いたければ笑うがいい。毒が入っているかもしれないという不安に怯えるよりは自炊した方が100倍マシだ。…国王である俺がこんな事をしなければならないのは癪だがな。」

いや…毒うんぬんの前に、そんなの食べたら間違いなく命の保証はないでしょ。

「おい、なんだその目は。」

「えっ…」

なんか、目をつけられたんだけど…

「貴様の国王の手料理に対しての不届きな態度について言っているのだ。貴様、まさかとは思うが、『不味そう』って思ったわけではないよな?」

「え、や、やだなぁ…そんな事、思ってるわけないじゃないですか…すごく美味しそうですよ…」

「…そうか。じゃあ食ってみろ。」

ゑ゛?

「どうした?美味そうなんだろ?特別に食わせてやるから、食ってみろ。」

なんでこうなるの!?

さっきまで死にたいと思ってたとはいえ、さすがに死因が殺人飯なんてごめんだよ!!

「い、いえ…そんな、国王様がお作りになったものを僕なんかが召し上がるなんて、恐れ多すぎてできませんよ…」

「貴様、俺の命令が聞けないのか?いいから食え。」

「むぐっ!!?」

口の中に、独特の風味が広がる。

棘で刺されるような激痛と形容しがたい不快感が、口全体に伝わって…

「…う゛。」

ドサッ

「凶夜ああああああああ!!!大丈夫か!?しっかりしろ!!」

「ちょ、いきなり犠牲者出ちゃったんだけど!?」

「……………不運…………死んだ。」

「哇啊啊啊啊!!?凶夜サン!?と、とりあえずお金ヲ燃やしマショウ!!」

「羽澄さん、神座さん、朱さん。勝手に景見君を殺さないであげて。」

「わ、私…どうしたら…!」

「癒川さん、落ち着いて。気を失ってるだけだから。」

「凶夜クン!大丈夫!?」

「…う?」

なんとか意識を取り戻したようだ。

…口の中がこの上なく気持ち悪い。

「良かった。ほら、水飲んで…」

「あ、ありがとう…」

叶さんにコップの水を飲ませてもらってなんとか回復した。

「き、綺麗な川が見えた…」

「それ三途の川じゃん。大丈夫かよアンタ?」

「ま、まあね…」

「貴様、俺の作った飯を食った直後に死んだフリなど…失礼極まりないとは思わんのか。」

死んだフリっていうか、ホントに死にかけたんですよラッセ様。

「フン、俺の料理の味がわからないとは…味音痴は哀しいな。」

「あんたが言うか。」

 

 

◇

 

 

みんなが夕食を食べ終わった。

「ねえ、みんな。ボクからひとつ提案があるんだけど!」

叶さんが手を上げて言った。

「あとで、みんなで一緒にお風呂入らない?」

「はぁ?なんでよ。」

「探索で疲れたし、温泉行きたいじゃん?それに、親睦を深めるって意味でもさ。いいと思わない?ほら、裸の付き合いってやつ!」

「温泉かぁ。わたしも行きたーい!」

「いんじゃね?アタシも賛成。」

「ワタシも行きマス!」

「私も、皆さんが行かれるのなら…」

「フン、くだらない。勝手にやってれば。」

「じゃあ、れいみちゃんはお留守番しててねー。」

「そーね。皿洗いよろしくー。」

「はぁ!?ちょっと!私を仲間外れにするんじゃないわよ!」

「アンタ、行きたいのか行きたくないのかどっちなのよ。」

「……………。」

「あれ?ゐをりちゃんは来ないの?」

「……………うるさいの、嫌い…」

「そっか。じゃ、6人で行こっか。」

「なんだ、女子は女子で楽しそうな話してんじゃねえか!よし、俺達も一緒に風呂入るぞ!!」

「もちろん、オレも行くぞ。」

栄君、鼻血垂れてるよ。

…絶対何かする気でしょ。

「うんうん、いいねえ。楽しそうで。オイラも行こうかな。」

「僕ちゃんも行くのだ!!」

「俺も行くよー。景見クンも来るよな?」

「う、うん…」

財原君に肩を組まれて、ついOKしてしまった。

銭湯か…行くの久しぶりだな。

あの時は足を滑らせて、浴槽にダイブして溺れたっけ。

あれは死ぬかと思ったなぁ…

「なあラッセー。お前も来いよ!」

「気安く触るな。俺は、貴様らと同じ湯には入らんぞ。気持ち悪い。」

「不動院クンは?」

「失礼ながら、私も遠慮させていただきます。自ら無防備な状態になるのは、あまり気が進まないもので…」

「あはは、用心深いね。穴雲クンはー?」

「僕は、お皿を洗っておくよ。終わったら合流しようかな。」

「穴雲殿、お手伝いします。」

「ありがとう不動院君。じゃあ、みんな楽しんできてね。」

結局、ラッセ様、不動院君、穴雲君、神座さん以外の全員で大浴場に行く事になった。

 

 

◇

 

 

【男湯】

 

「うぅ。」

これだからあんまり来たくなかったんだ。

「おい、何してんだ凶夜!早く行こうぜ!!」

「お、財原。お前、肩にタトゥーしてんのかよ。」

「まーね。カックイイでしょ?」

舞田君、栄君、財原君はいい体してるなぁ。

…それに比べて僕は貧弱だなぁ。

「うっほー!!広いのだー!!」

「うん、色んな香りが入り混じってるねェ。」

入田君と詩名君は、肉付きがちょうどいいから可愛らしく見えるけど…

僕は、骨の上に皮がくっついてるだけだもんな。

僕は、舞田君に引っ張られて大浴場に入った。

「…わぁ。」

予想の1、2ランクは上だな。

数十種類の温泉があって、一度じゃ全部入り切れないよ。

足湯にサウナに岩盤浴…ドクターフィッシュまであるのか。

室内なのに露天風呂っぽいお風呂があるのが、日本人としての心を揺さぶられるな。

「あー、気持ちええぞい。」

「おいおい、ダメじゃないか財原君。まずは身体を洗ってからだね…」

「へっへーん。もう入っちゃったよーだ。」

 

「きゃっ!!コラ!やめなさい!!」

「へへーん、水鉄砲ー!もう一発喰らえー!」

「やっぱりニッポンのお風呂ハ最高デスねー!」

「皆さん、楽しそうですね。」

「かなえちゃんも、シュエメイちゃんも、ようこちゃんもみんな大きいねー。」

「アゲハ、アンタは背が小さいわね。まずはもうちょっと背を伸ばしたら?」

「あうー。」

 

「…なあ、聞こえたか?」

栄君が、ニヤニヤしながら僕の肩に手を置いた。

「え?」

「あそこだ。」

栄君は、仕切りを指差した。

「あの仕切り、多分上から女湯が覗けるようになってるんだ。」

「は、はぁあ!?」

な、何言ってんの栄君!?

「シッ、バカ!声がでけェよ!…あの仕切り、ゴツゴツしてるから多分うまくやれば登れるんだよ。オレが何言ってんのかわかるよな?」

わかんないよ!!

いや、わかるけど全然わかりたくないよ!!

「おー?なんか面白そうな話してんじゃん。俺も混ぜてよ。」

財原君まで!?

「おう陽一!俺も混ぜてくれ!」

「ま、舞田君まで!?漢気は一体どこいったのさ!」

「何言ってんだ相棒!こういう青春っぽい事をしたくなるのが、不良の性(さが)ってもんよ!俺の学校は男子校だったから、一回はこういう事やってみたかったんだよ!」

「シッ!声がでけェっての!」

「何!?のぞきとな!?」

入田君が反応してるな。

栄君達にガツンと言ってやってよ。

「それを早く言わんか!僕ちゃんももちろん参加するぞ!」

えええええええ!!?

入田君、純粋そうに見えて実はエロガキ!?

「詩名クンは?」

「参加したいのはやまやまだけど、どのみち見えないからね。オイラは声だけで楽しませてもらうよ〜♫」

「そっかぁ。ねえ景見クン。景見クンももちろん参加するよね?」

ゑ?

「い、いや…僕はいいです…」

「ふーん。狛研サンの入浴シーン、見たくないんだ?」

「み、見ませんよ!」

「わー怒った。やっぱり見たいんだ♪」

「うっ…」

「言っとくけど、俺達の会話を聞いた時点でキミも共犯だからね?」

うぅ…

ここで共犯にならなかったら、裏切り者になっちゃうよね…?

 

 

◇

 

 

うぅ…結局共犯になっちゃったよ。

栄君、舞田君、財原君は器用に仕切りを登った。

僕は栄君に、入田君は財原君に抱えてもらった。

「クッソ…湯気が邪魔でよく見えない…」

 

「コラ!狛研!!アンタいい加減にしなさいよ!!」

 

白鳥さんの声が聞こえた。

財原君がおんぶしている入田君の体が邪魔で見えないけど…

「うっほー。さすが白鳥サン。磨き抜かれた宝石のようだねェ。」

「おい、財原。お前、その位置だとお前と入田が邪魔でオレが見えねェんだよ。もうちょい右にズレろよ。」

「!!?」

 

ブバッ!!

 

ちょ、ええ!?

舞田君、いきなり鼻血吹いたよ!?

「ぐっ…すまねェ相棒…俺はもう無理みてェだ。後を頼んだ…」

頼まれましても。

「無理するな舞田。お前の無念は、オレ達が引き受ける。」

こんな史上最低のシーンを感動シーンっぽくするのやめよう?

なんか、自分でも何をさせられているのかわからなくなってきたよ…

「フン、修行が足らん小僧め。」

何言ってんの入田君。

「ほうほう、やっぱ朱サンと羽澄サンは出るとこ出てるねェ。癒川サンもそれなりだし…日暮サンはまだ成長途中かにゃ?」

財原君は、舞田君を無視して冷静に観察を続けている。

…すごいなこの人。

「うむ。みんな捨てがたいのだ。朱や羽澄みたいなミサイルおっぱいや白鳥みたいな美しいボディラインはもちろん大好物だけど、癒川の小柄ながら少し大きめの胸や日暮の控えめな体型も、正直嫌いじゃないのだ。」

入田君も、プロみたいな表情で観察してるよ。

…二人とも、さては常習犯?

「おい、財原。どけよ。オレがよく見えねェだろ。」

「やだ。ここは俺の特等席だもん♪あ、やっと狛研サンが見えた。…うっはー。エッロ。」

え!?

「おい、痛えな景見!髪を掴むな!お前、やっぱり興味あんじゃねえかよ!」

湯気で視界が遮られる中、うっすらと叶さんの姿が見えた。

 

「えへへ。麗美ちゃん、お湯かけちゃうぞー!」

 

豊満なバスト、引き締まったウエスト、はち切れんばかりのヒップ…その全てに、僕の目は釘付けになった。

あ…ヤバい…来そう…

 

「へくしゅっ!!」

「か、景見…!?」

「あ。」

朱さんがこっちを睨んでいる。

…しまった。

興奮するとくしゃみをしちゃう癖がまた出ちゃった…

どうしよう、僕のせいでバレちゃったよ…!

やっぱり、僕ってツイてないなぁ…!

「ヤベッ…バレた…」

「死ネ!!」

 

ゴッ

 

「ぐほぁっ!!」

朱さんが投げた風呂桶が、栄君の顔面にヒットした。

「栄ー!!」

「わあー、ヤッベー。これ、皆殺しコースっすわぁ…みんな、とりあえずトンズラしよっかー。」

「逃げるのだー!!」

「あ、ちょっと…待ってよ二人とも!」

 

「…やあ。どこに行こうっていうのかな?」

「げっ!!?」

目の前に穴雲君が立ち塞がった。

「やあ、穴雲クーン、今日は天気がいいねェ。ちょっとお散歩でもしてこよっかなー。」

適当にごまかして逃げようとする財原君の肩を穴雲君が掴んだ。

「…財原君、ちょっと君達と話したい事があるんだけど…いいよね?」

穴雲君は、ニッコリと笑顔を浮かべた。

でも、その裏に隠された怒気が強烈なまでに伝わり、全身に寒気が襲った。

この時、僕は激しく後悔した。

…僕達は、一番怒らせてはいけない相手を怒らせてしまった。

 

 

◇

 

 

僕達は、強制的に食堂に連行されて、穴雲君に説教を喰らった。

ついでに、食堂にいた不動院君とお風呂上がりの朱さんにボコボコにされた。

怒らせたら怖い人を3人も怒らせるなんて…

自分がした事の愚かさをいやでも自覚させられた。

「…さて、みんな。ちゃんと反省した?」

穴雲君は、怖い笑みを浮かべた。

「ご、ごべんなざび(ごめんなさい)…ぼぶでぃどどじばぜん(もう二度としません)…」

顔中が膨れ上がって、人間の顔じゃなくなった栄君が掠れるような声で謝った。

「あっはは〜、酷い目に遭った〜。」

財原君は、あれだけ説教と断罪を喰らって、ピンピンしていた。

よくあれだけ痛い目見て心が折れずにいられるよね。

…あの人のメンタルと耐久力は桁違いだな。

「…本当に不潔極まりないですね。見損ないましたよ皆さん。」

不動院君は、汚物を見るような目で僕達を見た。

「ぶどぶびん(不動院)…ぼばべぼぼどごだど(お前も男だろ)?ぢょっどばでがげんじでぐででぼ(ちょっとは手加減してくれても)…」

「何を仰っているのか理解しかねます。女性の皆さんを辱めた罰として、潔く腹を切ってください。」

「ぞんだぜっじょぶだ(そんな殺生な)…!」

容赦ないなぁ、不動院君…

「…………………変態。」

ぐっ…

神座さん、辛辣だなぁ…

「はあ、貴様らにモラルというものは無いのか?恥を知れ愚か者共め。」

ラッセ様にも、呆れたような目で見られた。

「皆サン、揃イモ揃ってヘンタイだったんですネ!!」

「ホントに気持ち悪い!!最悪!!」

「うーん、みんなひどいよねぇ。翠もそう思うでしょ?」

「ピィ」

「アンタ達、マジでキモいよ?うん。」

「えっと…皆さん、お顔の腫れがひどいので、お薬を…」

「癒川さん。治療ならしなくていいよ。彼らがこうなったのは、自業自得なんだもの。」

「でも…」

「もぐもぐ…」

叶さん、こんな時にアイス食べてるよ。

マイペースだなぁ。

…じゃなくて、栄君達に付き合わされたとはいえ、無許可で裸を見ちゃったんだからちゃんと謝らないと…。

「凶夜クンもアイス食べる?」

「あ、えっと…叶さん…その…ごめんなさい…」

どうしよう…あんなの見ちゃったら、もうまともに叶さんの顔見れないよ…

ちゃんと謝らなきゃいけないのに…

「え?何が?」

「え?」

あれ?叶さん…もしかして、今回ののぞきの件について何も知らない?

「凶夜クンは、たまたまあの場にいただけなんでしょ?ボク、凶夜クンはのぞきなんてしないって信じてるから!」

「か、叶さん…」

叶さんは、本当に心が綺麗な人だ。

こんな僕を、信頼してくれていたなんて。

それに比べて、僕は最低だ。

信じてくれた叶さんを裏切るような事をして…

「…うぅっ。」

「さ、一緒にアイスでも食べよ?…あれ?どしたの?アイス嫌い?」

「ごめんなさい…!」

「もういいって。ほら、元気出してよ。」

「…なあ、なんか景見だけ扱いが甘くね?」

「わかるー。一発ずつビンタされただけだもんねー。あれだけ狛研サンの事ガン見してたくせにさー。」

「オレなんか、お前と入田のせいで全く見えなかったってのに…クソッ。」

「…おや。お二人とも、まだお仕置きが足りないようですね?」

「ちょ、待ってよ不動院クン。二人で楽しくおしゃべりしてただけじゃねーかよぉ。」

「反省しなさい!!」

ベシッ

「財原ー!!」

財原君は、不動院君の渾身のビンタを喰らった。

「いってー。さすが世界一の剣豪。一撃が重いねー。」

「マジかよ…お前、今ので平気だったのかよ。強いな。」

「えへへ〜。」

 

 

◇

 

 

あの後、僕は個人的に女子一人一人に謝りに行った。

…白鳥さんと朱さんは、なかなか許してくれなかったなぁ。

まあ、それだけ最低な事をしたわけだから、当然か。

さてと、今日はもう疲れたし寝るか。

 

…なんか、すごく忙しい一日だったなぁ。

急に変な所に連れてこられて、でも新しいクラスメイトと出会って…

今までロクな事が無い人生だと思ってたけど、久々に生きてるって実感できた気がする。

…おかしな話だよね。檻に閉じ込められて初めて幸せを実感するなんて。

こんな僕だけど、みんなと友達になれるかな…?

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