ダンガンロンパPRISON   作:M.T.

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5月22日は日暮ちゃんの誕生日です!
本人からメッセージをいただいております。

日暮「あのね、今日はわたしの誕生日なんだ。実は、今日は国際生物多様性の日でもあるんだよ。生物の多様性が失われつつある事や、その他の生物に関する問題をみんなに認知してもらうために国際連合が制定した記念日なんだって。みんな、今日は生物についてよく考えて、動物さんや植物を大切にしてくれると嬉しいな。」





第1章(非)日常編④

収監生活2日目。

昨日は、ひどい目に遭った…

まあ、のぞきなんてバカな事をした僕が悪いんだけどさ。

 

『オマエラ!!起床時間です!!生活リズムの乱れは、心の乱れにつながります!!全員、今すぐ起床するように!!』

 

朝からモノクマのアナウンスが流れる。

…うるさいなぁ。

僕は、ベッドから起き上がって着替えを済ませた。

時計を見ると、7時過ぎを指していた。

…昨日は案外よく眠れたな。

 

ピンポーン

 

インターホンが鳴った。

「…はい。」

「おはよう凶夜クン!陽一クンが、朝ごはんの支度できたって。早く行こ!」

「あ、うん…」

叶さん…朝から元気だなぁ。

 

 

 

 

【食堂】

 

「おはよーみんな!!」

「お、おはようございます…」

食堂には、すでに栄君はもちろんの事、不動院君、穴雲君、朱さん、癒川さん、詩名君、神座さんがいた。

「おう、おはよう!狛研ちゃんに景見!」

「おはよう、二人とも。狛研さんは朝から元気だねェ。」

「おはようございます。お二人とも。」

「…………………………。」

「オハヨーございます!」

「おはよう、二人とも。今日も朝の空気がおいしいね〜♪」

「おはようございます。」

みんな、挨拶を返してくれた。

そして、少し遅れて舞田君と羽澄さんと入田君が来た。

「よお!おはよう、相棒!!」

舞田君は、いきなり僕の頭を掴んできた。

「あ、お、おはようございます…」

「おはよ。」

「おはよう踊子ちゃん!」

「おはよーなのだ!!オマエラ、朝から僕ちゃんの顔を拝めて、運がいいな!!」

いきなり入田君に絡まれた。

「あ、あはは…そうだね…」

さらに遅れてラッセ様と白鳥さんが来た。

「ホンット最悪。あんたとかち合うなんて。朝からその小麦臭い髪見せないでちょうだい、ロングパスタ。」

「それはこちらのセリフだ。ダークパープルめ。朝から国王に向かって暴言とは…いい度胸だな。」

二人は相変わらず仲悪いなぁ。

そして、さらに遅れて日暮さんと財原君が来た。

「おはよう、みんな。ごめんね。遅くなっちゃったぁ。」

「ピィ!」

「ふわぁ〜あ。クッソねみー。ん?ああ、おはよーみんな。」

財原君は、大きなあくびをした。

…っていうか、何その格好。

サンタ帽に枕って…

「うぅん…」

日暮さんも、少しウトウトしている。

「彩蝶ちゃん、大丈夫?」

「ああ、ごめんね。わたし、朝が弱いんだ。」

「ふわぁあ…ねむ。ねえ、ちょっと寝ていい?」

財原君は、枕に顔をうずめながら言った。

「オマエ、何言ってるのだ!!個室以外の故意の就寝は校則違反だって書いてあったのを忘れたのか!?」

「ああー、そういえばそうだったねぇ。俺、いっつも8時起きだからさぁー。7時起きとかキツいんだよねー。ふわぁああぁ…」

なるほど、道理で寝癖にパジャマ姿…

ってか、8時起きって…学校とかどうしてたんだろ。

「気持ちは分からなくもないけど、食堂にその格好でくるのはやめようね?」

「ええー?なんで?いいじゃん別に。ウチでは、パジャマのまま朝飯食ってるよ?」

「我流が過ぎるでしょ。どんだけマイペースなのよアンタ。」

「えへへー。」

「褒めてないから。」

全員が席についたので、僕達は朝食をとった。

やっぱり、栄君の作った料理は美味しいな。

「あれ?ラッセ。お前、今日はちゃんと食うのな。」

「フン、お前に毒を盛れるだけの頭がないという事は、もうわかり切った事だからな。」

「どういう意味だそれ!」

「まあまあ…」

「俺は、貴様らと馴れ合う気は毛頭無い。」

ラッセ様…相変わらず冷たいなぁ。

 

 

 

 

全員、朝食を食べ終わった。

「ごちそうさまでしたっ!!」

「…ねえ、僕から一つ提案があるんだけど。」

穴雲君が、手を挙げて提案した。

「なんでしょうか…?」

「あのさ、校則に、『夜時間中の移動は原則禁止』というルールを追加しないかい?」

「なんでそんなルールを追加するのだ?」

「だって、夜中も警戒しながら寝なきゃいけないなんて、精神衛生上よくないだろ?さすがに夜くらいはゆっくり寝たいんだけど。」

「フン、バカバカしい…そんなルールを守る奴がいると本気で思って…」

「いいんじゃない?ボクは全然それでいいよー。」

「私も賛成です。」

「いんじゃね?部屋から出なきゃいいんでしょ?」

思ったより賛成派の人が多いな…

「マジかよ…メシの準備とかどうすりゃいいんだよ…」

「えー。夜中ギャンブルしたりできねーの?」

「…そんな事してるから、8時に起きなきゃいけない体になるんだろ。」

「しぃましぇーん。…あ、そうそう。ついでに、俺からも言いたい事があるんだけど。」

「言いたい事?」

「あのさぁ、朝メシは8時半以降に食いてェんだけど。俺ちゃん、朝は低血圧で動けんのだー。」

「オマエ!僕ちゃんの口調をパクるな!!」

「にゃぱぱー。」

「8時半か…出歩いていいのが7時以降なら、それでちょうどいいかもな。」

「じゃあ、夜時間は出歩き禁止、朝食は8時半って事でいいかな?」

「うーん…だったら、ついでに昼ごはんと晩ごはんの時間も決めちゃおうよ。」

「そうだな…昼は12時半、夜は6時半でどうだ?」

「かなり早いねー。俺、いっつも晩メシは9時なんだけど。」

「…君、生活リズム崩れすぎだろ。」

「えへへー。」

 

 

 

 

【娯楽室】

 

メダルがまだ余ってるし、ガチャを引いてみよう。

ガチャを2回引くと、今後は赤い宝石が付いた指輪と四つ葉のクローバーのペンダントが出てきた。

指輪は、サイズ的には女の人用かな?

誰にあげるか考えておかないとなぁ。

「あら、そんな所で何をしてるのかしら?」

後ろから、白鳥さんが声をかけてきた。

「白鳥さん…えっと…ガチャを引いてて…」

「あっそ。邪魔よ。どきなさい。」

「あ、うん…ごめん、なさい…」

相変わらず言い方がキツいなぁ、白鳥さんは。

「…はぁ、最悪。なんで全然欲しくもないガラクタしか出てこないのかしら。こんな変な人形とか、誰が欲しがるってのよ。」

白鳥さんは、イライラしながらゴミ箱に人形を捨てた。

白鳥さんが捨てたのは、ライダーマンマスクのフィギュアだった。

…入田君とかなら欲しがりそうだけど。

「あ、あの…」

「何よ。」

「えっと…これ…白鳥さん、欲しいかなって思うんだけど…」

「何それ。指輪?…あれ?ちょっとそれ見せなさい。」

「あ、はい…」

白鳥さんは、指輪をひったくると光にかざしたり、顔に近づけてじっくり観察したりした。

「…間違いないわ。これはアレキサンドライトね。」

「あ、アレキサンドライト…?」

「知らないの?光の種類によって変色する宝石で、ダイアモンドより希少価値が高いのよ。まさか、こんな所で実物が手に入るなんて思わなかったわ。しかも、すごく大きいわね。」

「そ、そうなんですか…」

「あんた、どこでこれを手に入れたのよ?」

「えっと…ガチャを引いたら出てきて…」

「あら。不運のくせに、こういう所ではくじ運いいのね。でも大丈夫?不運じゃなくなったらあんた、個性死んじゃうわよ?」

白鳥さんは、せせら笑いながら僕に嫌味を言った。

…さっきのガチャでストレス溜まってるのかな。

「ま、いいわ。私に貢ぎ物を寄越すのは当然なのだけれど、こんなに高価な貢ぎ物を貰ったのは1年ぶりね。せっかくプレゼントを貰ったんだし、ちょっとだけなら研究室を見せてあげても良くってよ?この私の研究室に入れるなんて、これ以上ない幸せなんじゃなくって?ありがたく思いなさい。」

「あ、ありがとうございます…」

白鳥さんと二人きりか。

すごく気まずいんだけど…

この人、綺麗すぎるし、もう僕は内面を知っちゃってるもんな。

本性を知る前なら、すごく喜んだんだろうけど…

やっぱり僕ってツイてないのかなぁ。

 

 

 

 

【超高校級のマドンナ】の研究室

 

「さ、入るなら早く入りなさい。私、あんたみたいな鈍臭い男は嫌いなの。」

「あ、す、すみません…」

白鳥さんは、部屋に入るなり僕を威圧してきた。

「…何をボサッとしてるの?」

「え?」

「姫が喉が乾いてるっていうのに放っとく召使いがどこにいるのかしら?ほら、早くして。」

「す、すみません…今すぐお茶を淹れます…」

いつの間に召使い扱いになってるし…

っていうか、僕、一応客だよね?なんで僕がお茶淹れてるんだろ…

僕は不満を抱えつつも、部屋の中にあったティーセットでお茶を淹れた。

「あっつ!」

ポットの中の紅茶を服にぶちまけてしまった。

「チッ、鈍臭いわね。」

白鳥さんは、指でテーブルを小刻みに叩いて僕を急かした。

「…す、すみません。」

急いでお湯を沸かし直した。

…急かされてるし、まだ沸騰してないけど、そのまま注いじゃっていいよね?

僕は、白鳥さんにお茶を出した。

「ど、どうぞ…」

「は?ナメてんの?」

「え?」

「まず、紅茶をコーヒーカップに入れて出す神経がわからないわ。それから、こんなぬるくてうっすい紅茶を出すなんて信じらんない。私が紅茶を飲みたいって言ったら、牛乳を茶葉で煮出したロイヤルミルクティーでしょうが。…ったく、ちょっとは空気読みなさいよ。一からやり直して。」

空気読めって言われても…

好みなんて、言われなきゃわかんないよ。

僕は、白鳥さんに言われてお茶を作り直した。

「…フン、まあ及第点ね。でも、これを一回でできないなら、私の下僕にはなれないわよ?」

「は、はぁ…」

別に下僕になりたいなんて一言も言ってないんだけど…

「…今日はすこぶる気分がいいわ。暇だし、あんたと話してあげても良くってよ?」

「は、はい…」

「私の事が気になるのなら、どんどん質問してくれていいのよ?この私に見惚れるのは、もはや自然の摂理だもの。」

そこまで言うか。

白鳥さんって、すごく自信家なんだなぁ。

「ええっと…では、白鳥さんはどうして【超高校級のマドンナ】に?」

「どうしてって言われてもね。私が誰よりも完璧な美少女だったから。これで満足?」

相変わらず素っ気ないなぁ。

なんか、入学生プロフィールで知ったイメージとは全然違う気が…

「何よ?もしかして…イメージと違う、とか思ってるんじゃないでしょうね?」

「い、いや…そんな事は…」

「…まあ、イメージと違うって言われるのも無理ないわね。私、表向きは美人で優しくて教養があって学校の成績は全部トップのお嬢様って事になってるんだけど…」

すごい自分の事過大評価するなぁ。

「それって実は演技なのよね。」

知ってた。

「ホントは、完璧な美少女を演じるのに疲れてんのよね。また希望ヶ峰学園でも、完璧な美少女を演じなきゃいけないのかって思ってちょっとブルーになってたの。正直、こういう状況の方が、本音を言えるから楽だったりするのよ。」

「は、はぁ…」

「でも、天は二物を与えずって言うじゃない。これで私が本物の完璧な美少女になっちゃったら、もはやそれは女神よ。私が女神だったら、恐れ多すぎてまともに話しかけられないでしょ?むしろ、ちょっとトゲがあるくらいの方が、親近感が湧くものだと思うの。」

言動にトゲがある自覚はちゃんとあったんだな。

「ま、でもせっかくの美貌を活かさないのはもったいないし?どうせ注目されるなら、完璧を演じたいって思ったの。だから、ちゃんとした場面では、イメージを壊さないように言動ひとつひとつに細心の注意を払うようにしてるのよ。」

…白鳥さんって、すごく美人だってだけで希望ヶ峰にスカウトされたのかと思ってたけど…

実は意外と努力家だったんだな。

「…あ。」

部屋に飾ってあった写真立てに目がいった。

写真には、小太りの中年男と、綺麗な女の人と、女の子が二人写っていた。

1人は白鳥さんで、もう1人は白鳥さんとは似ても似つかない、お世辞にもかわいいとは言えない醜悪な子だった。

男の人と女の人は、白鳥さんのお父さんとお母さんかな?

じゃあ、この子は…

「ちょっと!何勝手に人の写真を見てんのよ!!」

「あ、ご、ごめんなさい…」

「ったく…」

「あの…もしかして、ご家族の写真…ですか?」

「だったら何!?」

「あの…その子…お姉さんか妹さんですか…?」

白鳥さんは、少しの間黙った。

そして、口を開いた。

「…ええ。そうよ。私、実は双子なのよ。そのかわいくない方の子は、私の妹よ。双子なのに、全然似てなくて…鈍臭いし、わがままだし、何をやらせても才能が無いし…正直、こんな妹の姉を名乗るのも恥ずかしいわよ。ま、小学校に上がる前に事故で死んだんだけど。ホント、あんな奴死んでせいせいしたわ。あんな奴、私の顔に泥を塗るだけだもの。」

実の妹にそこまで言わなくても…

「…。」

「何よ?その目は。」

「…いえ、なんでもないです…」

「はあ、あんたのせいで思い出したくもない事思い出しちゃったじゃない。二度とこの話はしないで。…あと、この事を誰かにしゃべったらタダじゃおかないから。」

「…はい。」

白鳥さん…顔はすごく綺麗なのに、なんですごむとこんなに怖いんだろう。

「あーあ、もうあんたとの無駄話にも飽きちゃったわ。」

「はぁ…」

「ま、でも、久々に本音吐き出せたわ。また気が向いたら、研究室に呼んであげる。それまでに、ちゃんと美味しくお茶を入れられるようにしておきなさいよ?」

「…は、はい…」

意外と色々話してもらえたな。

「あ…」

白鳥さんとお話してて忘れかけてたけど、そういえば制服に思いっきり紅茶ぶちまけちゃったんだった。

…ランドリールームに行って洗濯しないと。

 

《白鳥麗美の好感度が1上がった》

 

 

 

 

【ランドリールーム】

 

クローゼットの中に替えの制服があって良かった。

洗濯が終わるまであと30分か…

「…ん!?」

うわっ!どうしよう…

もう12時半過ぎてるよ…!

白鳥さんの話を聞いてて、全然時計を見てなかったからなぁ。

急いで食堂に行かないと、みんなを待たせちゃうよ…!

 

 

 

 

【食堂】

 

「ごめんなさい、お待たせしました…!」

僕は、食堂の中に駆け込んだ。

「…なんだ貴様。時計を見れないのか?」

ラッセ様が舌打ちをしながら僕を見た。

「ご、ごめんなさい…」

「景見君、なんで昼食の集合に遅れたのかな?」

「それは…服を汚しちゃって、ランドリールームに寄ってて…」

「そっか。次からは気をつけてね。」

「…はい。」

「でも残念。どうやら、ビリッケツは君じゃないみたいだよ〜♫」

「え?」

 

「ほわぁあ…」

その数秒後に、財原君が食堂に入ってきた。

「ごめん。寝直してたわぁ〜。ねっむ…」

「アナタ、昼食の集合時間はちゃんト守てクダサイ!!」

「ごめんねぇ〜?布団の誘惑につい負けちゃったよ〜。」

「こんな時に、呑気な奴なのだ。」

「ほへぇ…」

財原君、今までずっと寝てたのか。

「やあ景見クン、キミも遅刻かい?仲間だねー。」

「え、と…」

財原君は、僕と肩を組んできた。

「じゃ、お昼食べちゃおっかぁ。あれ?みんな食わねーの?」

「君を待ってたんだよ、財原君。」

「ごめーん。」

「じゃあ、全員揃ったし食べよっか。」

「そうだね。わたし、お腹すいちゃったよ。」

「いただきます。」

みんな、お昼ごはんを食べ始めた。

「ねえ、これおいしいね!」

「お、そうか?そいつぁ良かった!」

やっぱり、栄君の作った料理は美味しいな。

「ぐへへへ、日暮ちゃん…オレ、動物用のエサも作れるんだけど…興味ない?」

「え、そうなの!?」

「ぐへへ…」

「…貴方、反省してませんよね?」

「…すみません。」

うーん、こういう所が無ければなぁ。

 

 

 

 

「ごちそうさまでした。」

全員、昼食を食べ終わった。

そろそろ、洗濯が終わってる頃かな?

制服を取りに行こう。

 

 

 

 

【ランドリールーム】

良かった。ちゃんと汚れが落ちてる。

「おう、相棒!!ここにいたのか!!」

「あ、舞田君…」

舞田君も、洗濯しに来たのかな?

「お前も洗濯しに来たのか!?」

「えっと…洗濯しに来たっていうか、洗濯物を取りにきたんです。舞田君は、せ、洗濯に…?」

「おう、ちと学ランを汚しちまってな。」

舞田君が持っていた学ランには、真っ赤なシミがあった。

「ヒッ…!?」

ま、まさか…誰かとケンカして…!?

「あ?どうした相棒?」

「あ、あああ…!」

「ん?ああ、これか。多分、お前勘違いしてんな。昼メシのハンバーグのトマトソースをつけちまったんだよ。別に、ドンパチしたわけじゃねえから安心しろ。俺はな、一般人にはケンカ売らねえって決めてんだ。」

よ、良かった…

舞田君は、洗濯機の中に学ランを放り込んだ。

…やっぱり、いい体してるなぁ。

身体中に傷があるし…いかにも喧嘩番長って感じだ。

「お!?どうした相棒!?」

「…いえ。」

「しっかし、お前ホントに細いな!ちゃんと食ってんのか?」

「ひ、人並には…」

「ちゃんと食って動かねえからそんな細いんだよ!そうだ、学ランが乾くまでの間、一緒に走らねえか!?」

「えっ…」

「ただ走るだけじゃ大した運動になんねえし、これ付けて走るぞ!!」

舞田君は、鉄球がついた足枷を取り出した。

…いやいや、それ、囚人の動きを封じるための鉄球だから。

それつけて走るとか、無理でしょ…

っていうかそもそもなんでそんなもの持ち歩いてんの?

「お前の分もあるからな!」

ゑ。

「よし!表出るぞ相棒!!」

嘘でしょ?

 

 

 

 

【外エリア】

 

「っはは!!久々に思いっきり体動かしたぜ!!」

「はっ…はっ…」

え、ちょっと待って…

舞田君、なんであれで普通に走れんの…!?

僕なんて、歩くのもしんどいんだけど…

もう、肺が痛いし、意識が朦朧としてきた…

「…きゅう。」

「あっ!?おい、どうした相棒!?しっかりしろ!!」

「どうかなさいましたか?」

「あ、治奈!!ちょうど良かった!相棒が、一緒に走ってたら急に倒れたんだよ!!」

「ちょっと見せてください。…ああ、脱水症状ですね。涼しい場所で休ませて、水分を補給すれば大丈夫です。」

「すまねえ…ありがとな、治奈!!」

 

 

 

 

「…あう?」

気がつくと、知らない部屋にいた。

「ここは…」

「おお!!目が覚めたか相棒!!良かった!!」

「舞田君…」

「景見さん、目が覚めましたか?」

「あ、癒川さん…」

「あなたが脱水症状で倒れていたので、舞田さんに私の部屋まで運んでもらったんです。…ダメですよ?水分も摂らずに急に過激な運動をしたら。」

「ご、ごめんなさい…」

「相棒は悪くねえんだ!俺が無理矢理やらせたから…」

「舞田さん、普通の人は鉄球をつけて1時間も走るなんて無理です。これに懲りて、もう景見さんに無茶をさせないでください。」

「わ、悪い…」

「あの…癒川さん、舞田君…ありがとう、ございます…」

「いえ、私は、皆さんのお役に立ちたいだけですので。お礼なんてとても…」

「凶夜、ホントにごめんな!?」

「い、いえ…そんな…」

2人に助けて貰っちゃって…情けないな。

僕が弱いから、みんなに迷惑かけて…

せめて、みんなの足を引っ張らないようにしないと。

 

 

 

 

体調が回復したので、暇潰しに食堂に向かった。

食堂には、入田君と不動院君と神座さんがいた。

…何やってるんだろう?

「ここを押すとほら、ウォレットが使えるのだ。」

「なるほど…ありがとうございます入田殿。参考になりました。」

「……………財布、使えた………」

「あの…何をしているんですか…?」

「なんだ、オマエか景見!!今、この機械オンチ共に、手帳の操作方法を教えていたのだ!!」

「へ、へぇ…」

「私、こういったいんたぁねっと?という物を使った事がないので…入田殿に教えていただくまでは、自動販売機の飲み物すら買えませんでしたよ。」

「……………。」

「フン、オマエラ、今のご時世よくそれで生きてこられたな!!この情報化社会に、電子機器の一台も持っていないなんて、致命的だぞ!!」

「……………………。」

神座さんは、入田君のランドセルをバシバシ叩いた。

「わっ!何をする!!やめろ!これ、精密機器だぞ!!」

「神座殿、やめてください!向こうで、一緒に面子で遊びましょう?それでどうでしょうか?」

「…………………。」

神座さんは機嫌が直ったのか、不動院君の羽織を引っ張った。

…なんか、あの二人仲良いな。

古風同士、波長が合うのかな?

「よお、古風コンビにもやしコンビ!」

栄君が、食堂に入ってきた。

「もやしって、僕ちゃんの事か!?オマエ、僕ちゃんを愚弄するとはいい度胸だな!!」

「わ、悪かったって。冗談だろ?」

「それで!?何しに来たのだ!!」

「何って…晩メシの下ごしらえだよ。」

もう?早いな…けっこう時間かかるのかな?

 

「キャアアアアアアアアアアアアア!!!」

白鳥さんの声…?

「なっ!?白鳥ちゃんがピンチだ!!…噴水の方か。野郎共、噴水に行くぞ!!」

「え、あ、うん…」

「白鳥殿の危機…私も同行します!」

「…………。」

「ちょ、置いていくなぁ!!」

全員で噴水に向かった。

 

 

 

 

【噴水前】

 

「白鳥ちゃん!どうした!?」

白鳥さんは、顔面蒼白になって地べたに座りながら、指を差した。

「あ、ああああ…」

「ーーーーーーーーッ!!」

白鳥さんが指を差した先には…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

噴水の前で、大量の血を流しながら力なく横たわった【超高校級の資産家】財原天理君がいた。

 

 

 

 

 

財原君は、お腹に包丁を刺されて、血塗れになって横たわっていた。

血の気も完全に引いていて、生きているとは思えなかった。

「さ…財原…君…?」

「うわぁあああぁあああ!!さ、財原が死んでるのだぁ!!」

「そんな…財原殿が…!」

「ひでぇ…!一体誰がこんな事を…!」

「……………。」

 

「なんだ?おい、何があった?」

「皆さん、一体何が…」

「れいみちゃん!大丈夫!?」

「麗美サンの声が聞コエました!!ご無事ですか麗美サン!!」

「ちょっと、何!?何があったの!?」

舞田君、癒川さん、日暮さん、朱さん、羽澄さんが駆けつけた。

「白鳥さん!?何があったんだい!?」

「麗美ちゃん!!どうしたの!?」

「何かあったのかい?」

「…全く、騒がしいな。」

穴雲君、叶さん、詩名君、ラッセ様も遅れて到着した。

「お、オマエラぁあ!!し、死人が出たのだぁあ!」

入田君は、泣きながら舞田君にしがみついた。

「は!?え、おい、嘘だろ!?天理!?」

「そんな、財原さんが…!」

「哇啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊啊!!?て、天理サン!?」

「そんな、てんりくんが、てんりくんがぁ…!」

「嘘でしょ!?そんな、テンリ…なんでアンタが…!」

「おい、白鳥ィ!!オマエが財原を殺したんだろ!?白状しろ!!」

「し、知らないわよ!私が発見した時には、すでに死んでたわよ!」

「嘘をつくな!!オマエが第一発見者なら、オマエが一番怪しいのだ!!」

「違うって言ってんでしょ!?このドチビポニーテールが!!」

「ちょっと!やめなさいよサイバ!!自殺の可能性だってあるでしょ!?」

「そんな…!」

穴雲君、叶さん、詩名君、ラッセ様、神座さんは落ち着いていた。

「あれっ…?叶さん…?」

「みんな、一旦落ち着いて。」

「こんな時に落ち着いていられるか!!天理が死んだんだぞ!!?」

「落ち着けと言っている。カマキリの卵が。…全く、こんな子供騙しに騙されるとは、貴様らは知能がサル以下なのか?」

「子供騙しだと!?テメェ、何を言って…」

「みんな、安心して。天理クンは、死んでないよ。」

「…え?」

「財原君。いくらみんなを騙せても、呼吸音が聞こえるオイラまでは騙せないよ〜♪もうバレてるから、そろそろ起きなよ〜♬」

 

 

 

「…プッ。」

 

「ギャハハハハハハハハハハハハハハハ!!!あー、ケッサクケッサク!!」

財原君は、一人で大笑いしていた。

「…は?」

「あーあ、もうちょっと騙せると思ったんだけど。案外バレるの早かったね。」

「財原…?お前、死んだんじゃなかったのか…?」

「なーに言ってるのさ栄クン!全部演技だよーだ!あ、これは全部血ノリで、血色がなかったのは血流操作ね?」

財原君は、ヘラヘラしながら種明かしをした。

「いっやぁ、キミ達の慌てふためいた顔といったらもう…!笑い堪えるの必死だったよ!」

「…。」

不動院君と朱さんが、殺気のこもったドス黒いオーラを放ちながら財原君に歩み寄った。

「天理サン、さきはよくも騙シテくれましたネ?…覚悟、できてますカ?」

「巫山戯た真似を…!武士の名において、貴様を成敗してくれる!」

「やだなぁ。俺はだよ?こんなすさんだ収監生活の清涼剤になればと思って…」

「言い訳など聞きとうない。潔く散れい!」

「うわぁ…ちょっと待ってー?俺、もしかして今晩のおかずになっちゃうパティーン?ねえ、ちょっとお話しようよ二人共…」

「覚悟!!」

「アチョーーーーー!!!」

「ぎゃー。フルボッコだドンー。」

わあああ…容赦ないな二人とも…

 

 

 

 

【食堂】

 

「あっはっは、いやー死ぬかと思った。いや、実際一回死んだね。うん。」

財原君…さっきまで原型無かったのに、ほとんど治っちゃったよ。

あの人の回復力どうなってるんだ。

「ねえねえ、不動院クン。もうしないから許してチョンマゲ!」

「…。」

「おお、こわいこわい。」

…メンタルの回復も早いみたいだ。

みんなで食べた晩ご飯はおいしかった。

ご飯の後は、大浴場に寄ってから部屋に戻った。

 

 

 

 

…今日は、白鳥さんにこき使われるわ、舞田君に鬼のようなトレーニングに付き合わされるわ、財原君が死んだフリするわ、すごく疲れる一日だったな。

…僕に平穏は訪れないのだろうか。






最原クンと財原クンは苗字が似てますが、読み方が微妙に違います。
最原クンは『サイハラ』で、財原クンは『サイバラ』です。
ここテストに出るよ!(大嘘)
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