アクタージュ 暗殺者(になるはずだった)ルート 番外編 作:朕好こう
望まない終わり。
割り切れない想い。
貴女が必要なの。
「おかえり」って言いたい。
BADEND
『終幕』リテイク回数:測定不能
幕が下りる。
あぁ、
貴女に逢いたくて、貴女を救いたくて、何度も繰り返している。
初めの世界は上手く行きかけていた。貴女が女優になるところまで行ったのに、突然世界は終わってしまった。そんなの認められない。
だから、私は
『蝉が泣く』リテイク回数:3
ミンミンミーンってセミが鳴いてる。若干の煩わしさを覚えながらも、夏の到来を報せる声に胸が躍る。
私は、映像研究部の期待の新入部員、頭鬼恋歌!まぁ、映像研究部、殆ど活動してないから、期待も何も無いけどね。部員は私を含め、4人。その内、2人は部室で暇を潰しているだけ。そんな零細部活の私達は今日も部員集めに奔走しているのです。
「新太先輩、あの人ですよね?滅茶苦茶、美人さんじゃないですか!?先輩も隅に置けませんねぇ?」
「か、からかうなよ、頭鬼。俺と彼女が釣り合うわけないだろ」
「それもそうですね。景ちゃ……夜凪先輩みたいな美人さんと先輩が付き合うなんて天地がうんたらかんたらしても有り得ませんね」
「そこまで言われると傷つくんだけどな…」
私達の目線の先にいるのは、黒髪が似合うとっても綺麗な女の子。料理が上手で、頭が良くて、運動も出来て……何より、人を惹きつける魅力を持った女の子。
あれ、なんで、私は彼女のことを知っているんだろうか?
…彼女の名前は夜凪、景。懐かしくも、悲しくも感じる名前。おかしいな、初めて会った筈なのに。どうして、こんなにも泣きそうになるんだろう。
「頭鬼?大丈夫?」
「…大丈夫です。見惚れてただけなので。それじゃ、先輩行ってきますね!」
「うん、行ってらっしゃい」
夜凪先輩を見たまま固まっていた私を、新太先輩が優しく、肩を揺さぶってくれる。しっかりしなきゃ、彼女を映像研究部に誘うって決めたんだから。彼女を女優にするって約束したんだから。
…?そんな約束したっけ……?
頭を振りかぶって、余計なことも振り払う。今は彼女の勧誘だ。意を決して、彼女に話し掛ける。
「あ、あの夜凪先輩ですよね!」
緊張と不安が入り交じって、噛みそうになりながらも、夜凪先輩に話し掛ける。夜凪先輩は少しだけ目を向けてくれる。
また、逢えたね。景ちゃん。今度は、私が貴女を幸せにするから。
「えっと…あ、そうだ!映像研究部に興味はありませんかね!?部活は毎日来なくても良くて、」
「ごめんなさい。私、部活に入ってる暇は無いの」
私が部活の勧誘をしに来た人間だと知ると、すぐに興味を失ってしまう。私のことが視線から外れてしまう。待って、行かないで。また、私を置いて行かないで。
「待って…」
全部、思い出した。だけど、もう遅い。
手を伸ばしても、何を話しかけても、彼女には届かない。
…じゃあ、
蝉が煩い。私を馬鹿にするように鳴いている。お前が何をしようとも無駄だって。
煩い。私は、何回、何十回、何百回だって
『死は救済か』リテイク回数:444回
…ごめんなさい。少し、疲れちゃった。ここに来るまでに、色んな世界があって、景ちゃんと幼馴染になったり、同級生になったり、他人になったり。色んな世界があった。でも、その殆どで景ちゃんは私に興味が無いんだ。
悲しいなぁ…
好きな人から、忘れられるって凄く辛いなぁ……
死ねば、楽に、なれるかな。
『銀木犀』リテイク回数:4189回
「夜凪ってさ、好きな人とか居ないの?」
「ひなのことは好きよ?」
「そうじゃなくて…ほら、恋愛的なやつ。フツーの高校生なら1度や2度はあるでしょ?」
2人の女子高生が、日が沈む夕方の学校のグラウンドを歩きながら話している。ひなと呼ばれた少女が、夜凪と呼ばれた少女の言葉に呆れながら、もう一度質問する。夜凪は少し考えるような素振りを見せ、首を横に振る。
「無いわ」
「えっ…マジ?アンタ、本当に高校生…?」
「高校生だわ。そこだけは間違いないもの」
ひなは未知のものに遭遇した顔で夜凪を見る。夜凪はふと立ち止まる。
「どうかした?」
「…良い香りだわ」
「ん…?あぁ、あれじゃない?あの樹。てか、そこそこ遠いのに良く分かったね」
「あんな樹、前からあったかしら」
「どうだろ。あったような…なかったような」
校門に白い花を咲かせた樹が植えてある。その花から甘く良い香りが漂っている。
「あ、近くに来るとほんとにいい匂い」
「なんて言う名前なのかしら、この樹」
「銀木犀って言うんだよ。金木犀の仲間」
夜凪たちが樹の周囲で話していると、可愛らしい顔立ちにも関わらず、そこまで印象に残らない背の小さな少女が話しかけてくる。
「銀木犀…」
「良い香りだよね。お茶とか薬とかに使われてた…って用務員のおじさんが言ってたよ」
「へぇ〜そうなんだ」
ひなが銀木犀の香りに夢中になっている間、夜凪は少女の顔をずっと見ている。少女はその視線に気づくと、微笑みながら首を傾げる。
「夜凪さん、どうかした?」
「私たち、初めて会った?前に何処かで会っていたりしないかしら」
「…ううん、初めてだよ。私は学校で夜凪さんを見かけることはあったけどね」
寂しそうに彼女は夜凪の言葉を否定する。だが、夜凪はそう言われても、少女に何処か懐かしさを拭えない。ずっと前に出会っていたような…そんな気がして止まない。
「貴女の名前を聞いてもいいかしら」
「………私は、私の名前は頭鬼恋歌。…絶対に忘れないでね、景ちゃん」
彼女が名を告げるが直後に吹いた風で聞こえないどころか、風で砂が巻き上がり夜凪は目を瞑る。すると、何処にも彼女の姿は見当たらない。彼女の容姿を思い出すことも出来ない。でも、確かに彼女は居たのに。
「夜凪?どうかした?」
ひなが呆然と立つ夜凪に話し掛ける。夜凪は、我に返るとひなに先程の少女について聞いてみる。
「ひな、さっきの女の子だけど…」
「…さっきの女の子?誰のこと?それよりさ、ス○バで新作出たらしいし、中間テスト終了記念に行こうよ」
夜凪は狐につままれたような気持ちになるが、すぐに気持ちを切り替えて、ひなに着いていく。
銀木犀の強い香りが、全部を塗りつぶしていく。寂寥感も懐かしさも…少女さえも。
『 』リテイク回数:測定不能
最初から分かっていた。私に誰かを救うことなんて出来ない。私に何かを変えることなんて出来ない。
この
色んな世界を見て、色んな貴女と巡り逢って、やっと理解した。
私が邪魔者なんだって。私さえ居なければ、貴女は幸せなんだって気付いたの。私が足掻けば足掻くほど、貴女は不幸になっていく。
あの時、死んでいればそれ以降の貴女を不幸にすることは無かったのに。結局、私のエゴで貴女を傷つけていたんだね。
ごめんね、景ちゃん。
大好きだよ
『 』
出演
夜凪 景 役/夜凪 景
吉岡 新太 役/吉岡 新太
朝陽 ひな 役/朝陽 ひな
監督
黒山 墨字
脚本
山野上 花子
この物語の全てがフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
ENDLESS
廻る、廻る。
きっと、希望に満ちた未来を歩む。
でも、そこに私は必要無い。
「さようなら」