アクタージュ 暗殺者(になるはずだった)ルート 番外編   作:白鳩ぽっぽ

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愛昧Me地雷(マイン) 壱裏

 デスアイランドの打ち上げの花火が終わったあと、恋歌さんに会いに行く。

 

 アキラくんと一緒に皆から離れた岩間で、アキラ君はジュースを、恋歌さんは缶ビールを飲んでいた。

 私はアキラくんと恋歌さんが仲良く喋っているのを見て、イラッとする。アキラくん、私の事応援するとか言っといて、まだ狙ってんじゃん。

 取り敢えず、苛苛して話しかけるのも良くないから、笑顔だけ取り繕って2人に話しかける。

 

「あ、千世子ちゃん」

「隣、いいかな」

「いいよ〜ほら、アキラくん退いて。千世子ちゃんが座れないでしょぉ」

「相変わらず僕に対しての扱い酷くないか、恋歌さん」

「美少女は優遇しろって私から習わなかった?」

「…はいはい。お酒、あまり飲み過ぎないようにね。千世子君も恋歌さんが酒飲み過ぎないように見張っといてくれ。僕はもう部屋に戻るから」

「うん、任せて」

 

 そう言って、アキラくんは席を立つ。まぁ、守らないけど。酔っ払って頬が赤くなっている恋歌さんに、ビールを渡してあげる。

 

「千世子ちゃんがお酒くれるとか珍しいね。なんかあった?」

「別に。今日は打ち上げだし、恋歌さんにはいつもお世話になってるからね」

「えへへ、いつも千世子ちゃんをお世話してます。またお姉ちゃんって呼んでよぉ、千世子ちゃん」

「気持ち悪い」

「率直!?」

 

 何度もお酒を飲ませていると、恋歌さんが抱きついてくる。うん、予定通り。

 

 予定通りなのに、心臓が煩い。顔が赤くならないように頑張っているけど、保てる気がしない。

 

「千世子ちゃんは可愛いなぁ…髪、ふわふわしてる。天使の羽みたい」

「…恋歌さんの方が可愛いよ」

 

 恋歌さんのお酒を飲むスピードはどんどん早くなる。3つくらい飲んで、上機嫌になった彼女は私の身体をまさぐる。恋歌さんの褒め言葉とセクハラに耐えながら、恋歌さんを褒めてみる。

 

「ありがと」

 

 屈託の無い笑顔で返されて、ドキドキする。恋歌さんの小さくて温かい指が、私の頬をなぞる。

 

「でも、千世子ちゃんの方がもっと可愛いよ」

 

 不意に首筋にキスしてくる。人が居ないのは確認済みだろうけど、あまりにも大胆過ぎる。

 私は予想以上の恋歌さんの行動に動けない。

 

「大好きだよぉ、千世子ちゃん」

 

 いつもは言ってくれない愛の言葉。お酒を飲んだ時だけ、ちゃんと伝えてくれる。

 私もだよ、と言いたい。けれど、それじゃあ駄目なんだ。恋歌さんから、もっと愛して貰いたいから。

 

「前みたいにお姉ちゃんって呼んで?」

 

 首に手を回して、甘えてくる。理性が飛びそうなのをギリギリ引き戻す。

 上目遣いは卑怯だと思うし、いつもはスーツなのに、打ち上げに参加する時は楽しみたい!って言ってラフな格好だからか、少しブラの紐が見えている。ただそれだけなのに、胸の鼓動が早くなる。

 

「嫌だって言ったら?」

「…意地悪」

 

 なるべくポーカーフェイスを装って返す。恋歌さんは拗ねたように頬を膨らませているけど、私からは離れないし寧ろさっきより密着してきた。

 それが愛おしくて、また意地悪したくなる。いつも私のことだけを見てくれない仕返しも込める。

 

「首じゃなくて、唇にキスしてくれたら呼んであげるよ」

「えー…首がいいな」

「なんでかな?」

「私のモノって感じがするから」

 

 ゾクゾクした。いつもみたいな子供っぽい恋歌さんじゃなくて、女の顔をした恋歌さんが私の目をじっと見ている。闇夜より暗い目に吸い込まれてしまいそう。いや、もうとっくに吸い込まれているのかもしれない。

 

「首でも良いよ」

「ホント?じゃあ…するね」

 

 恋歌さんは人の愛に飢えてる。気に入った相手に凄く依存してしまう。普段は頑張って抑えているけど、お酒を飲むと直ぐにタガが外れて愛されたがる。その穴を埋めてあげたい。私で、満たしてあげたい。

 

「んっ…恋歌、お姉ちゃん……」

 

 彼女にご褒美をあげる。必要とされたと認識した彼女は直ぐに嬉しそうな顔をする。可愛い。もっと愛して、もっと愛してと言わんばかりに頬ずりしてくる。

 

「やったぁ!千世子ちゃんが久しぶりにお姉ちゃんって呼んでくれて嬉しいよ。ねぇ、今日、一緒に寝よ?お姉ちゃんが、千世子ちゃんに子守唄歌ってあげる!」

「私、もうそんな歳じゃないけど。そもそも、歌って貰ったこと無いし」

 

 私の言葉をスルーして、恋歌さんが私の胸に顔を埋めてくる。まるで犬のようだ。尻尾と耳が見える。

 

「ちっちゃい頃の千世子ちゃん、可愛かったねぇ。でも私の事、めちゃくちゃ嫌ってて、一緒に寝よって言ったら断られたっけ」

「…それは」

 

 幼い頃の私は、何かとお姉さんを主張してきたり、私より演技が上手い恋歌さんが大嫌いだった。今は大好きだけど。誰よりも愛してるけど。

 

「あ、今の千世子ちゃんはもっと可愛いよ?綺麗さも出てきて、大人になったなぁって思う!だから……ちょっと寂しいかな。これから先もっと大人になったら、千世子ちゃんは私のこと、もう要らない?」

 

 抱きつくと言うより、しがみついてくる。その姿に凄く興奮する。可愛い。捨てられた子猫みたいに、惨めで可愛い。

 

「そんなこと無い。私は恋歌お姉ちゃんが居ないと生きていけないよ。私には貴女が必要なんだ」

「私も、千世子ちゃんが居ないと生きていけないの。だって、私は千世子ちゃんのお姉ちゃんだから。そうだよね。私はこれから先も千世子ちゃんの特別だよね?私にだって…こんなゴミにだって価値はあるよね」

 

 強く抱き締めてあげる。笑みが思わずこぼれてしまう。うん、これでいい。恋歌さんが私にどんどん依存してくれればいい。底なし沼のように沈んでいく。私も、恋歌さんも互いに沈む。それが、心地良い。彼女が私以外に部屋に連れ込んだあの女や高校時代付き合っていたあの男のことを全部忘れてくれればもっと幸せだ。

 

 

 いつの間にか本当に一緒に寝ることになっていて、嬉しそうな恋歌さんに手を引かれて部屋に入る。私の思惑通りに、事は進んでいる。お酒を飲ませて、既成事実を作る。それが私の目標だけど、こんなに上手くいくとは思っていなかった。

 

 部屋に入るなり、恋歌さんにまたキスされる。

 

「っ…!?」

「千世子ちゃん、顔赤いよ」

 

 貴女のせいで赤くなっているんだけど、それを伝えるのは悔しい。

 

「えへへ、千世子ちゃんはかわいいなぁ」

 

 もっと深く、溶けて無くなってしまうくらいに貴女とひとつになりたい。私の愛を貴女に刻みつけたい。

 

 ずっと、一緒だよ。恋歌お姉ちゃん。




この後、めちゃくちゃイチャイチャした。

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