赤い国からの魔術師   作:藤氏

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こんにちは、藤氏です。

色々と、リアルが忙しくて、中々投稿ができない今ですが、今回、ロクでなし魔術講師ととある特殊部隊隊員と並行して新しく二次小説を投稿したいと思います(久々なので腕ならしも兼ねて)。

既存の小説→この小説という順に投稿します(時たまR-18も投稿します)。

それでは、最初の一話をどうぞ。


赤い国~アルザーノ帝国
Пролог(プロローグ)


 

 

 北セルフォード大陸には、様々な国家が存在する。 

 

 その中でも、三つの国家がこの大陸で大きな影響力を持ち、覇権を競い合っていた。

 

 北セルフォード大陸北西端に位置し、冬は湿潤し夏は乾燥する海洋性温帯気候下の地域に国土を持ち、優れた指導者と魔導技術、精強なる軍隊、世界を牽引する圧倒的な経済力を誇る帝政国家アルザーノ帝国。

 

 大陸中央北部に広大な国土を持ち、第一次産業と膨大な人口を誇る王政国家でありながら実態は聖エリサレス教会教皇庁が実権を握っている事実上の中央集権的宗教国家レザリア王国。

 

 そして、レザリア王国と国境を接する東部諸国の王族間の婚姻など血族的な結びつきを強め、同君連合化して誕生し、現在は西はレザリア王国から東は東方諸国まで国境を跨ぐ、世界最大の国土を誇る専制君主制国家東セルフォード帝国連合。

 

 この三ヶ国は、時には(というよりも大抵は)三つ巴で争い、時には帝国と帝国連合が手を組み、四十年前にレザリア王国軍が帝国に侵攻したことで始まった戦争――『奉神戦争』を起こすなど、北セルフォード大陸の覇権を競っていた。

 

 そんな覇権争いの最中の聖暦1848年、帝国連合西部にて暴動が起こる。

 

 当初、小規模な一般人のグループの”ちょっとした怪しげな集まり”に、警察が職務質問しようとして、それを巡っての”ちょっとした”トラブルから口論にまで発展したが、グループの一人が煽り始め、口論はやがて大規模な暴動にまで発展してしまう。

 

 一地方都市から始まった暴動は、やがて帝国連合全体に瞬く間に広がり、やがては君主制打倒を目指す”革命”へと発展した。

 

 帝国連合政府は、軍を展開して鎮圧を図るも、軍内部からも離反者が続出し、鎮圧に失敗。

 

 こうして、君主制は打倒され、この革命を主導していたマクベス的革新主義者が新たな政府を率いることになる。

 

 他の国家と比べると、根強い階級支配により生じる上流階級による労働者階級の搾取を止め、富を労働者階級に等しく分配し、宗教面ではありとあらゆる宗教を全面的に否定する思想を主張する彼らは、自分達を世界で最も進歩している思想の持主――社会主義者と名乗り始めた。

 

 こうして、社会主義者による世界初の社会主義国家――東セルフォード社会主義共和国連邦が誕生したこの革命は、世界に衝撃をもたらし、隣国レザリア王国はもちろんのこと、アルザーノ帝国などの王家を持つ国家はこの新たな国家の思想が自分達に飛び火しないよう警戒を強めた。

 

 占拠した宮殿で、背後に赤く染めた無数の旗を背に演説する指導者――そんな写像が掲載された新聞を読んだある国の上流階級に属する人物が新国家のことに呟いたのをきっかけに、世界はその国家のことをこう呼んだ。

 

 ――『赤い国』、と。

 

 

 

 

 

 

 そんな世界を揺るがした革命から数年後のある日のこと。

 

「ふざけるなッ!」

 

 青年の怒声が、辺りに残響した。

 

 ここは、アルザーノ帝国のとある山間にひっそりと設けられた、魔導士小隊のベースキャンプ地。

 

 死角が多い谷間の地形。周囲に鬱蒼と茂る森。

 

 漂う濃霧。吐く息も白い寒気。それらを覆い隠す夜の帳。

 

 そんな深い闇の中、息を潜めるように張られた天幕内にて。

 

 今、一人の青年が、とある娘へと激しい剣幕で詰め寄っていた。

 

「お前、正気か!?マジで一体、何考えてんだ!?」

 

 帝国宮廷魔導士団の魔導士礼服に身を包んだその青年の名は、グレン=レーダス。

 

「うるさいわね……」

 

 対する娘は、そんなグレンを流し見ながら、鬱陶しげに髪をかき上げている。

 

 燃え上がる炎のような赤髪。それが、天幕内を仄暗く照らすランプの光を、舞い散る火の粉のように跳ね散らしている。その精緻な美貌を切り裂くように、鋭い瞳が虹彩を冷たい紫炎色に燃やしてグレンを射貫いている。

 

 身に纏う野暮な魔導士礼服ごしにも存在を主張する、その艶美な肢体のライン。

 

 間違いなく絶世の美女と評される麗人だが、その美しさよりも纏う雰囲気の酷薄さが相対する者の魂を深く捕らえ、背筋を寒く震わせる。

 

 娘の名は、イヴ=イグナイト。

 

 アルザーノ帝国古参の大貴族にて魔導武門の棟梁、イグナイト公爵家の次期当主。

 

 そして、帝国軍最強と名高き帝国宮廷魔導士団特務分室の室長にして、執行官ナンバー1≪魔術師≫を拝命する、凄腕の女魔導士である。

 

 そんなエリート中のエリートであるはずのイヴが、部下であるグレンの噛み付きに、苛立ちを隠そうともせず、不快感を吐き捨てるように言い捨てた。

 

「何度も言わせないで。人質は全て切り捨てる。これはもう決定事項よ」

 

 そんなイヴの言葉に、グレンが激情も露わに、ぎり、と拳を握り固める。

 

 だがイヴは構わず、突き放すように淡々と続けた。

 

「山間の町キルム。そこを武力占拠した外道魔術師のテロリスト組織、暁の革命団。町全体を人質に取った彼らの要求は、”帝国軍に拿捕された組織幹部全メンバーの釈放”……こんなふざけた要求、一ミルたりとも呑めないの。わかる?」

 

「ンなことはわかってるッ!あんなクソ外道共を野放しに出来るか!」

 

「刻限までに釈放が確認出来なければ、連中は人質を皆殺しにすると主張しているわ。そして、キルムは守りに固く攻め難い。……人質の救出はほぼ不可能よ」

 

「だから切り捨てるっていうのかよ!?」

 

「そうよ?頭の悪い貴方には理解できないでしょうけど」

 

 グレンの糾弾に、イヴはさも当然とばかりに応じた。

 

「これはチャンスでもあるの。わかる?キルムは守りに堅い反面、撤退もできない陸の孤島よ。ここで暁の革命団を完全に撲滅すれば、帝国に巣食う病巣が一つ消える。これが帝国の治安向上にどれだけ貢献することか。どれだけの武勲になるか」

 

「……ッ!」

 

「いい?これは帝国の平和のためなの。理解して」

 

「だからといって、キルムの住民を見殺しにするのはおかしいだろ!?」

 

 いきり立ったグレンがイヴの胸ぐらを掴み、至近で激しく凄む。

 

「俺はそんな作戦、従えねえ!お前がそれを断行するってんなら、もうお前の下で動くのはお断りだッ!俺は俺で勝手にやらせてもらうぜ!」

 

「――なッ!?」

 

「確かに、俺達は汚れ仕事ばっかのクソ外道だけどよ!キルムの連中みたいなのを守るためにいるんじゃなかったのか!?それが最後の一線じゃねえのか!?」

 

「そ、それは……」

 

「守るべき連中を平然と切り捨てて、何が武勲だ!?何が帝国軍だ!?ふざけんなッ!俺はキルムの住民を絶対に見捨てたりはしねえぞ!?俺はこんな世界だからこそ、正しい信じられる道を行く……お前ら上の都合なぞ知るか!」

 

 と――その瞬間だった。

 

「うるさいわねッッッ!」

 

 一体、何がイヴの逆鱗に触れたのか。

 

 今までは苛立ち交じりでも一応の冷静さを保っていたイヴが、突然、激昂。

 

 グレンの胸ぐらを掴み返し、烈火のgことく激しく睨み返す。

 

「この期に及んで、まだ”正義の魔法使い”気取り!?もういい加減にしてよ!?」

 

「――ッ!?」

 

「どうして貴方はそう命令を聞けないの!?命令を聞きなさいッ!言っておくけど、現場で上官の命令に逆らう行為は重罪よ!?軍法会議にかけられたいわけ!?」

 

「ああ、上等だ!俺は、何も間違ったことは言っちゃいねえ!」

 

 売り言葉に買い言葉。

 

 イヴの激昂に、グレンも激昂でもって応じる。

 

「くっ……ッ!?」

 

 イヴがグレンの目を至近距離で覗きこむ。

 

 すると、グレンの瞳は真摯な想いの光に燃えている。我を失うほどの激情に呑まれながらも、自信が正しいと信じられる道を歩こうとする強き意志の輝きに満ちている。

 

 そんなグレンの瞳の光が――いつだってイヴの心をざわつかせ、苛立たせるのだ。

 

 ……恐らく、自分には決してない光だから。

 

「本当に嫌い。私、貴方のことが大っ嫌い……」

 

 不意にイヴの声が冷え込む。目が――据わる。

 

 イヴを中心に急上昇していく周囲の気温。なのに、辺りは氷点下のように寒い。

 

「痛い目、見ないとわからないみたいね」

 

「――ッ!?」

 

 ぼっ!グレンの胸ぐらを掴むイヴの手が、不意に炎を上げた。

 

 ベースキャンプの作戦本部であるこの場所は、すでにイヴの領域内なのだ。

 

 すなわち、眷属秘呪(シークレット)【第七園】。

 

 熱と炎の大家、イグナイト秘伝の奥義。指定領域内における炎熱系魔術の起動『五工程(クイント・アクション)』を破却し、呪文なしで炎を自在に操るという規格外の術式。

 

 イグナイトを近距離魔術戦最強の≪紅焔公(ロード・スカーレット)≫たらしめる恐るべき魔術だ。

 

「て、てめぇ……ッ!?」

 

「貴方の相手は、いい加減、もううんざり!躾けてあげるわ……ッ!」

 

 そんな恫喝と共に、イヴが炎を操作し、巻き起こす。

 

 凍えるようなイヴの雰囲気とは裏腹に、急激に上がる周辺温度。

 

 吹き荒れる熱気と熱波が、容赦なく肌を焦がす。

 

 対するグレンも、咄嗟に腰の拳銃へと手を伸ばしかけ――

 

 グレンとイヴの周囲に、嵐のような炎が渦を巻きかけた――まさにその時だ。

 

「ダメぇええええッ!」

 

 ごうっ!

 

 少女の叫びと共に突風が巻き起こり、場にわだかまる炎と熱を吹き飛ばし――

 

「そこまでだ」

 

 不意に音もなく現れた男が、イヴの手を掴む。

 

 現れたの人物達は、セラ、アルベルト。

 

 そして、二人の後ろには、最近、特務分室に入室したクリストフとクリストフよりも年下の少年が立っていた。

 

「喧嘩はダメだよ、二人とも!」

 

「俺達がこんな所で殺し合って何になる?」

 

「そうですよ……まずは落ち着きましょう」

 

 ぷんぷんと頬を膨らませるセラに、氷のような表情を崩さないアルベルト、そして、穏やかに語りかけてくるクリストフにまたかと無言で呆れる少年。

 

 そんないつも通りの仲間達に、イヴはばつが悪そうにグレンから手を離す。

 

「……けっ!」

 

 解放されたグレンは、イブから一歩離れ、ふて腐れたようにそっぽを向くのであった。

 

「ふん。お前達の喧嘩の理由など容易に想像がつく。件の作戦だろう?」

 

「言っておくけど。悪いのは私じゃなくて、グレンだから」

 

 アルベルトの淡々とした問いに、腕組みしたイヴが鼻を鳴らして、視線を逸らす。

 

「だろうな。いつもの事だ」

 

「わかっているなら話が早いわ。アルベルト、貴方からもグレンへ言ってやって。人質は切り捨てる……これは決定事項よ。効率を重視する貴方なら理解できるわよね?」

 

 味方を得たとばかりに、イヴはアルベルトを促す。

 

 だが、意外にも。

 

「その件だが、俺も反対だ」

 

「な!?」

 

 アルベルトまでもが、作戦を拒否したのだ。

 

「どういうこと?貴方まで上官の命令に逆らうというわけ?」

 

「俺達は軍人だ。どうしてもというなら任務を遂行するにやぶさかではない。だがそれは、本当により多くを救うための、やむを得ない犠牲なのか?」

 

「――ッ!?」

 

 アルベルトの指摘に、イヴが固まる。

 

「一を切って九を救う……時に非情な判断を求められることはある。だが、この戦況……俺はまだ一を切る決断をすべき判断だとは、とても思えない」

 

「そ、そうだよ、イヴ。まだ刻限まで時間はあるよ」

 

 そして、セラまでそんなことを言い始める。

 

「考えよう?皆を助ける方法を。イヴならきっとできるよ……もちろん、私達だって全力で協力する。グレン君も……ねっ?」

 

「……ふんっ!さあ、どうだかな!」

 

 子供のようにふて腐れているグレンに、セラは苦笑いするしかない。

 

「……くっ……」

 

 そんな一同を前に、イヴは悔しげに拳を握り固め、俯いた。

 

 グレンはともかく、この遠征部隊の主戦力であるアルベルトとセラにまでそう言われてしまっては、指揮官のイヴの立つ瀬がない。

 

「それでも……それでも、私は……ッ!」

 

 一度命令を下した上官としての面子もあり、イヴはすでに引くに引けない。

 

 やむを得ず、イヴが上官権限を利用して、己の命令を頑なに押し通そうとした……まさにその時だった。

 

「……ったく、一体、何を焦っているんです?イヴさん」

 

「――ッ!?」

 

 クリストフの隣に立っている少年が、苛立ち交じりにそう言い、その指摘がイヴの胸にぐさりと突き刺さる。

 

「……わ、私は……私は……」

 

 すると、イヴはみるみるうちに意気消沈していく。

 

 普段の輝くような自信に満ちた表情が、今はまるで迷子のようだ。

 

 そんなイヴを見かねて、アルベルトが少し嘆息して言った。

 

「暫く休息を入れろ。お前は常日頃の激務で精神的に疲弊している」

 

「そうだね……疲れているといい考えが浮かばないしね……」

 

「そんなことないわ……ッ!私は――」

 

「お前の休息の間、部隊指揮は、俺が務める」

 

「僕は引き続きキルムの内偵調査を続けます。……後のことは頼みます」

 

「うん、わかったよ。クリストフ君。気をつけてね?ほら、グレン君も行こう?グレン君もちょっと休んで?ね?」

 

「……けっ……」

 

 各々そのようなことを言い残して。

 

 アルベルト達は有無を言わさず、天幕を出て行ってしまう。

 

「ちょ、ちょっと……ッ!何を勝手に――……」

 

 そんな部下達の態度に、イヴは再び激昂しかける。

 

 だが、そんなイヴの激昂は部下達に届くことはなかった。

 

 

 

 

 天幕を出た後。

 

「……はぁ、まったく。疲れる……」

 

 アルベルト達と別れた後、少年はある場所へ向かう。

 

 そこは本来、少年に割り当てられた持ち場から離れている所だった。

 

「効率を求めるあまりに、ロクすっぽ考えもせずいきなり人質を捨てるなんてね……とんでもない女が室長になったもんだよ。上に立ってはいけない人間の典型的なタイプだよ」

 

 雪のように白い髪に、アメジスト色の瞳をした少年はさきのグレンとイヴのやり取りを思い出し、やれやれと肩を竦めながら苦笑いする。

 

 その瞳は、どこか冷めたような目をしていた。

 

「グレン先輩もグレン先輩で、まぁ、どんな状況でも人質を救うべく動く……もうとっくの昔に破れている夢を未だに追いかける……どこか滑稽で、それでいて尊い人」

 

 そう呟きながら、少年はキルム――暁の革命団に占拠されている町を眼下に眺められる場所で立ち止まり、町を見下ろす。

 

「……まぁ、俺もグレン先輩と似たような夢抱いてたことあるけど、ねぇ……」

 

 少年にも、夢があった。グレンと似たような夢があった。

 

 だが、その夢は5年前のある事件で潰えてしまったが。

 

 少年はしばらく町を見下ろした後、指笛を鳴らす。すると、どこかから鷲が来て、少年の肩に乗る。

 

 少年は町の眼下を見下ろすように、町の方向に指さすと、鷲はそこに飛び立っていく。

 

 飛び立った鷲は町の中心部上空に到達すると、そこをぐるぐると回り続ける。

 

 少年は再び眼下にある町を見下ろす。今度は、一つの建物をじっと見ては目を離し、違う建物をじっと見ては、目を離す。これを、繰り返す。

 

 少年の視界には複数の人影が映っていた。

 

 直接見えているわけではない。これらの人影は暁の革命団の構成員の熱源だった。

 

 キルムは守りが堅い町。

 

 だから、帝国軍はこちらを武力で制圧することは困難。もし攻めてきたら、人質を皆殺しにして応戦するまで。だが、そんな事態に発展したら、世間は帝国政府を非難するだろう。

 

 だから、政府はこちらの要求を呑む。呑まざるを得ない筈だ。これは、自分達がキルムを占拠した時点ですでに勝負はついているのだ。

 

 そう思っているのか、敵からは気が緩んだような雰囲気が少年にも伝わってくる。

 

 そんな敵を、少年は冷めた目で嘲笑を浮かべ、そして――

 

「≪さようなら(ダスヴィダーニャ)≫」

 

 そう呟いた。

 

 すると、少年の目に映っていた熱源は――消えてしまった。

 

 暁の革命団の構成員は、一体、何があったのかわからずに生涯を終えてしまったことだろう。人質は目の前で暁の革命団の面々が突然凍ってしまったことに、驚愕していることだろう。

 

 少年は効率よく、かつ、人質に犠牲を出さずにこの事件を解決してしまったのである。イヴとグレンが求めていたものをいとも簡単にやり遂げてしまったのである。

 

 少年は敵の全滅を確認すると、通信魔導器を取り出し、すたすたとベースキャンプに引き返すのであった。

 

「あ、アルベルトさん?ええとですね、もう終わりました。……はい、連中、隙を見せていたので好機かと思いましてすぐに始末しちゃいました」

 

 この少年には、二つの顔がある。

 

「いやぁ、すみませんね。……人質は誰も死んでいませんよ。多分、突然のことに何があったのかわからないでしょうけど(笑)だから、これからベースキャンプに戻りますね?」

 

 少年の名は、帝国宮廷魔導士団特務分室所属、執行官ナンバー13≪死神≫サーシャ=セルゲーヴナ=ソルダトワ。これは表向き。

 

「……了解、了解。まぁ、小言は帰ったら聞きますよ」

 

 もう一つの顔――つまり、彼の正体は――

 

 東セルフォード社会主義共和国連邦の諜報機関、東セルフォード連邦国家保安委員会所属、サーシャ=ミハイロヴィチ=ロマノフ。

 

 つまり、彼は東セルフォード連邦のスパイであった。

 

 通信を切り、通信魔導器を懐に収めるサーシャ。

 

 途中、立ち止まり、サーシャはキルムの方に振り向く。

 

 そして、ニヤリと冷たい笑みを浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





さあて、既存の作品と並行して投稿しますよ(笑)

新型コロナの影響で、家に引きこもっているから、多分、ペースが上がるかもです(笑)
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