メインが【巻き込まれ】なので、投稿ペースは遅いです。
1話 転移
「・・・この世界に来て、もう2ヵ月ね・・・」
帝都の街並みは、国家樹立以降最大の国難である【時空間転移災害】により元居た世界(ゲーム世界だが)から突如としてこの別世界。通称【異世界】に国土や海外領土共に転移したが、外出自粛の影響で通行人は少なくなったが依然として世界最大の大都市として存在していた。
転移直後は発電システムが緊急停止し、非常用発電器や電力貯蔵システムの限定的な動作を除いてブラックアウトなんて自体が発生したが、直ぐに復旧して数時間後には一部を除いた主要都市は息を吹き返した。
窓から視線を外し、この世界の世界地図である【異界図】がメルカトル図法により描かれた掛け軸をみる。
その地図には自国である【日乃本帝國】を中心に、左方向約1000km地点にはオーストラリア大陸の半分程度の陸地で大陸と言うには小さすぎ島と言うには大きすぎると言う判断が付かない陸地が存在し、その大陸名は【ロデニウス大陸】。そこに存在するは、
・肥沃な土地を有し、広大な穀倉地帯を持つ農業立国で、家畜でも美味い飯が食える【クワ・トイネ公国】
・砂漠地帯が広がり、作物の育たない貧しい国、だが地下資源の宝庫【クイラ王国】
・人間のみの国にあって、エフル、ドワーフ、獣人などを迫害し続け、ロデニウス統一を目論む人間至上主義国【ロウリア王国】
の三国家が存在した。
「・・・まさか、【日本国召喚】の世界に転移するなんて・・・」
そう。何と、この世界は【日本国召喚】の世界であり、召喚された場所は、本来であれば【日本国】が出現する場所である、若干数百kmのズレは有るが、それは日本本土の約23倍の広さ(アメリカより少し小さい程度)+海外領土を有している為だろう。
日本国召喚の世界に召喚された、私【綾瀬晴香】が国主(ゲーム設定)として存在する【日乃本帝國】(ゲーム世界)は、異世界の現実世界にゲーム世界より召喚されたのだ。
その日、晴香はpcと向き合って国家運営シミュレーションゲームをプレイしていた。かれこれ3年は続けてるゲームであり、ゲーム世界であればサーバー内で国家ランキングは2位。経済力も2位。軍事力も2位。何でもかんでも2位な立ち位置であったが、この世界に来た事により漸く1位の座に登る事が出来た。
勿論非公式である。
中央世界に存在するミリシアル帝国がこの世界では列強第一位だが、わが国の技術力的に見て確実に下だと偵察衛星にて判明している。まだ国交樹立もしていないので、列強ですらないがそれはさておき。
「そろそろ、なんだよね・・・」
ロウリア王国(国交樹立しておらず、国家認証していないので正確には武装勢力)とクワ・トイネ公国との戦争が。
我が國は転移から数日で【クワ・トイネ公国】に使節団を派遣しODA(政府開発援助)の名目の元インフラ等の技術を、彼等からは少量の食料などをと国交樹立。その他にも不可侵条約、安全保障条約も結んだ。
お陰でロウリア王国との戦争に巻き込まれる事となるが、この世界で初めて出来た隣人で有り、友人となった彼等を見捨てる様な事が出来るほど阿保では無いので陸海空軍を派遣した。
現代技術の塊が、高々中世止まりの軍に敗けるはずがない。史実を知って居るので、弾薬などの物資を必要以上に準備させているが、どうなるか。
* * * * *
時は【日乃本帝國】が今世界に出現した時より、数日後。
この世界の暦にして、中央暦1639年1月24日午前8時――――
クワ・トイネ公国軍第六飛龍隊
その日は快晴な空が広がっていた。竜騎士であるマールパティマは、公国北東方向の警戒任務に従事している。
それはロウリア王国と緊張状態が続いているためだ。奴らはここ数年、かなりの軍拡を行っており、それを警戒する我々公国は、軍船による迂回、奇襲が行われた場合に早期に探知、対策をとるため、彼は相棒を公国北東の空を飛ぶ。
「―――――――!?」
彼は何かを見つけた。
「あれは・・・?」
哨戒である自分以外にいるはずの無い空に、何かが見える。ロウリアからここまで、ワイバーンでは航続距離が絶対的に不足しており、存在するとすれば味方のワイバーンだが、先程も言ったようにこの空域には自分しかいない。
第三文明圏には竜母なる、ワイバーン飛行場を船に乗せた巨大な軍船が存在するらしいが、ロウリアはその様な超兵器は有していないので、可能性は無いだろう。
麦一粒のように見えた飛行物体は、どんどんこちらに進んで来た。それが近づくにつれ、味方では無いことを確信する。しかし、奇妙だ。
「羽ばたいていない?」
疑問に思いながらも彼は、すぐに通信用魔法具を用いて司令部に報告する。
「我、未確認騎を確認。これより要撃し確認を行う。現在地・・・・」
高度差は変わらない。彼は一度すれ違ってから、距離を
未確認騎と交差する。
ゴオォォオオオ―――!っと、凄まじい音が鳴った。
その物体は、彼の認識によれば、とてつもなく大きかった。羽ばたいておらず、翼の形状も何もかもが変であり、後ろから炎を噴いて飛翔している。胴体と翼の先端がピカピカ点滅し、光り輝いている。頭部と思われる場所はのっぺりとした不気味な異形であり顎からは奇妙な突起物が飛び出し、触手の様に蠢くと、無機質な三眼をこちらに向けた。
正か突起物が目だとは!と驚愕しながらも、得体の知れない奇妙な飛竜に冷や汗を流す。しかし、幾ら得体の知れない竜だとしても、我が国の領海を飛翔している事には変わりない。不明騎として、その特徴を記憶に叩き込む。
機体は灰色、胴体と翼に赤い丸に何等かの花が描かれていた。これは国旗、なのか?
彼は反転して、愛騎を羽ばたかせる。
そして一気に距離を詰める・・・つもりだった。なのに、全く追いつけない。ワイバーンの最高速度は時速235kmであり、生物の中ではほぼ最強の速度を誇る。当然地上を走る馬よりも速く、空を自由に駆けれる機動性に富んだ空の覇者だ。
第三文明圏には更に高速化、高機動性を上昇させた新種のワイバーンの開発に成功したらしいが、それは兎も角。公国が保有する最高戦力たる我が愛騎が全く追いつけない。
マットな質感に覆われた相手は、生物なのか何なのかも解らない。
体感だが、ワイバーンの3・・・いや、4倍の速度で飛翔している!
「くっっっ!!なんなんだ、あいつは!!」
驚愕。この様な速度で飛翔する竜は古代龍か神龍の可能性がある。もし、そんな存在であれば、クワ・トイネ公国は滅びる。マールパティマは急ぎ魔信にて司令部に報告を送る。
「司令部!!司令部!!!!我、飛行騎を確認しようとするも、速度が違い過ぎて追いつけない。飛行騎は本土マイハーク方向へ進行!なお、未確認騎は古代龍か神龍の可能性がある!繰り返す、未確認騎は古代龍か神龍の可能性がある!!!」
報告を受けた司令部では、蜂の巣をつついたような騒ぎになった。ワイバーンでも追いつけない未確認騎。もしかしたら古代龍や神龍がよりによって、クワ・トイネ公国の経済の中枢都市マイハークに向かって飛んで来る。
攻撃を受けたら、軍の威信に関わる―――処の問題ではない。古代龍や神龍は、大地震や大津波といった自然災害に匹敵する天災。故に、たかが一体の飛来だとしても、国が亡びる可能性が高かった。
更に悪い事に、もし本当に古代龍や神龍だった場合、ワイバーンの全力出撃をもってしても撃退は不可能に近かった。確かにワイバーンは強い。だが、天災はワイバーンの数十や数百倍以上の力を有している。
騎は速度からしておそらくすでに本土領空へ進入しているはず。
報告を受けた司令部は悲痛な面持ちで、基地内魔信を起動し、指令を発する。
「第六飛龍隊は全騎発進セヨ、未確認騎がマイハークへ接近中、領空へ進入したと思われる。発見次第撃墜セヨ。繰り返す―――」
スクランブルを受け、滑走路から、待機していたワイバーンが発進する。その数12騎。基地で待機する全戦力の全力出撃である。
スクランブル発進した12騎は編隊を組んで飛翔する。そして第六飛龍隊は、運良く未確認騎の正面に正対した。報告に寄れば、相手は超高速飛行が可能な古代龍か神龍とのことだ。
もし、そんな天災が相手なら、我々は為す術無く撃ち落とされるだろう。しかし、国には家族や友人が、守るべき国民がいる。
第六飛竜隊の面々は覚悟を決めた。
古代龍や神龍に攻撃するチャンスは、一度のみ。飛龍隊12騎が横一線に並び、口を開ける。火炎弾の一斉射撃。これが当たれば、落ちなくとも大ダメージは与えられるはず。
祈りながらタイミングを見計らい、火炎弾を放とうとした―――その時。
未確認騎が上昇を始めた。すでにワイバーンの最大高度4000mを飛んでいた第六飛龍隊にとって、それは最悪の事態であった。
鉛直に迫る角度でぐんぐん高度が上がっていく。第六飛龍隊は、未確認騎をその射程にとらえる事無く、引き離された。