日乃本帝國召喚   作:背の高い吸血鬼

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おはようございます!そして、お久しぶりです(汗)


11話 開戦前

日乃本帝國 静岡県 日乃本帝国統合軍築城(ついき)駐屯地

 

ハーク・ロウリア34世によるクワ・トイネ公国並びにクイラ王国による戦争許可宣言から、5日後。広大な敷地面積を誇る軍港には様々な艦種の軍艦が係留され、空軍が使用するのは4000m級の滑走路五本。陸軍も師団規模の部隊が存在する陸海空軍共用の統合基地であり、日乃本帝國最大の築城基地は、漸く日が上った早朝から喧噪に包まれた。

 

本日、この世界に転移して初めての友人となったクワ・トイネ公国へと【第三艦隊】が派兵として出撃する。軍港には出撃する艦隊へと隊員らが乗り込み、その彼らを涙を浮かべながら家族が見守る。家族とは別に一般人専用エリアには【頑張れ、帝國軍!】【日乃本帝國万歳!】と書かれた大弾幕を掲げる人、桜が国花として描かれる日乃本帝國国旗を振るう人。

 

「―――ご覧ください!国家転移という未曽有の事態から数か月。新たな友人となった隣人を救う為に第三艦隊が出撃します・・・」

「―――第七次日濫戦争から三年。新に転移した今世界にて初の戦争が・・・」

「―――本来であれば戦争は・・・」

 

日本とは大違いのマスコミが全国に生中継を流しながら、第三艦隊出撃を今か今かと待ちわびる。

 

そして。

 

「『第三艦隊、出撃ッ!!』」

―――ボオォォォォオオオオオオッ!

 

今回の派兵の総旗艦となったハイドロゲン水素タービン動力空母赤城型二番艦【加賀】より汽笛が軍港に鳴り響き、旗艦【加賀】に続き、祥鳳型強襲揚陸艦副旗艦【祥鳳】、その他護衛の誘導墳進弾搭載巡洋艦、駆逐艦、輸送艦。総数15隻が後に続く。

 

目指すは、此処から約1000kmに位置するロデニウス大陸。

 

 

       *   *   *   *   *

 

 

クワ・トイネ公国 マイハーク港 中央暦1639年3月27日

 

以前、初めて日乃本帝國と接触したミドリ船長の乗船する軍艦ピーマら三隻に先導される形で、日乃本帝國第三艦隊はマイハーク港へとやって来た。クワ・トイネ公国人たちは自国軍よりも圧倒的な戦力を有するロウリア王国と戦争になるかもしれないと、とても不安に駆られていたが、数百mの鋼鉄船を15隻も派遣してくれた日乃本帝國により、多少ではあるが安心感が芽生え始めた。

 

政治部会第一会議室にて、ロウリア王国の戦争宣言を()()()()()()()で見たハンキ将軍は、兵力差による絶望と同時に「とうとう来たか・・・」と、国の為に覚悟を決めた一人の軍人である。

 

その彼は現在、マイハーク港近隣の砂浜で数十人の部下たちと共に、【ヨウリク】という作業に移る日乃本帝國軍を視察していた。なお、この時には軍事関係者だけでは無く一般市民も指定された範囲内に侵入しないのならば自由に見学しても良いと通達されていた事により、実に千人以上の民間人が見学に訪れている。

 

「やはり大きいですね・・・ヨウリクとは、船が陸に乗り上げる作業の事だと聞いたのですが、あの船が乗り上げるのかな?」

「いや、それは無いだろう。木造船でも重いのだから、鉄船が乗り上げる事は無理だろう。第一、乗り上げたらどうやって海に戻るんだ」

「・・・さぁ?」

 

なんて部下と憶測を交えながら会話しているところ、帝國海軍が揚陸作業を開始する。

 

今回の派兵で派遣された第三艦隊副旗艦である強襲揚陸艦【祥鳳】と同型艦【瑞鳳】は、ウェルドックを開放すると、戦車や榴弾砲を積載したエア・クッション艇を吐き出す。轟音と共にプロペラを回す揚陸艇は、水上を僅かに浮遊して飛翔し、減速しながら砂浜に乗り上げると、其処から搭載車両を上陸させる。

 

「船が陸を奔ってるぞ!?一体どんな魔法を使ってるんだ!!」

「なんという魔道船だ!彼等なら・・・我が国を救ってくれる!!」

 

揚陸艇から現れたのは、ハンキ将軍らが総火演で見学した際に登場した【66式155mm自走りゅう弾砲】や初見の鉄の象【10式戦車改】、その他にも装甲車が多数、浜辺を疾走する。

 

他の物資や隊員たちは大型輸送回転翼機約十機によってピストン上陸させられる。

 

自分達の想像した「ヨウリク」とは懸離れた光景に圧倒される軍民両者。日乃本を己の目で見て来たハンキ将軍を圧倒させるその光景。次々にヨウリクさせられてゆく鉄の象【戦車】等を眺めながら、これは勝てると確信した。

 

 

       *   *   *   *   *

 

 

揚陸した日乃本帝國軍は即座に行動を開始する。今回の派兵は隣人たるクワ・トイネ公国並びにクイラ王国を救う防衛戦争だ。日乃本帝國情報省により敵武装勢力は、来月4月5~12日にギムの街へと進行すると予想されており、それよりも先に周辺の村々より民間人の保護を始めとした輸送作戦を行う。

 

魔道通信が行えるとは言え、一般レベルで広まっている訳では無く、情報伝達にはそれなりの時間がかかり、ギムよりも更に遠い村には【日乃本帝國】という国と国交を締結したことすら知らない者達も居る。そんな村にたいしてトラックで押しかければたちまち騒動に発展しかけてしまうと言う事で、護衛の91式偵察車を先頭にトラック数十台と同時に公国軍人数名を連れて村々を回る。

 

到着した村では、公国軍人の説得により全村人が財産を急ぎ纏め、トラックに乗り込んでゆく。一個小隊で、一日で約2~3つの村を回る事が出来、それが四個小隊で当たる。

 

迅速な行動により4月2日にはギムを除いて全ての村から人員を撤収させることに成功した。

 

次はギムの民間人を後方に輸送させる任務が待っている。

 

 

       *   *   *   *   *

 

 

四個小隊が民間人輸送に当たっている頃、敵の侵略対象である【ギム】には一個連隊約500名の帝国陸軍隊員が展開し、工作施設科によって陣地施設が始まる。空母並みの大きさを誇る【祥鳳】らからは、何も戦闘車両しか搭載されている訳では無く、支援車両もかなりの数が搭載されており、迅速に防衛陣地が形成されていく。

 

ギムの町を囲む城壁は、以前は丸太だったが、現在はコンクリートによる城壁に作り変えられてゆく。78式自走高射機関砲が陣取り空を睨む。66式自走155mm榴弾砲が所定位置に着き、戦闘行動を静かに待つ。簡易的に制作されたヘリポートにはヤンマ攻撃ヘリ10機が待機している。

 

塹壕と呼ばれる陣地には12.7mm重機関銃、88mm迫撃砲、兵300が多数配置されている。

 

更に前方には、鉄条網や馬防柵が三重に設置されている。

 

ロウリアには五大列強パーパルディア皇国が軍事支援をしている―――そんな風の噂により、歩兵2500、弓兵200、重装歩兵500、騎兵200、軽騎兵100、飛龍24騎、魔導師30人しかいなかった兵力で、焦燥感に駆られていた西部方面騎士団団長モイジは、日乃本帝國が送ってくれた頼もしい援軍に心から感謝した。

 

これなら、国境に張り付く数倍の兵力のロウリア王国軍から、絶対にギムを、クワ・トイネを守れる、と。

 

 

       *   *   *   *   *

 

 

中央暦1639年4月11日午前 ロウリア・クワトイネ国境付近

 

ロウリア王国東方討伐軍 本陣

 

クワトイネ公国外務部から、何度も何度も国境から兵を引くよう魔法通信にて連絡があったが、すべてを無視する。もう戦争することは決定しているのだ。それはクワ・トイネ公国側でも解って居る事であり、援軍である日乃本帝國軍から目を逸らす為のパフォーマンスでしか無い事は、この場に居る将兵たちは知る由もなかった。

 

「明日、ギムを落とすぞ」

 

アデムは、ギムに攻め込む先遣隊約3万の指揮官の任を与えられていた。歩兵2万、重装歩兵5千、騎兵2千、特化兵(攻城兵器や、投射機等、特殊任務に特化した兵)1500、遊撃兵1000、魔獣使い250、魔導師100、竜騎兵150、という大軍である。

 

数の上では、歩兵が多いが、竜騎兵は1部隊(10騎)いれば、1万の歩兵を足止め出来る空の覇者である。それが150騎もいる。

 

本国がどれだけこの先遣隊に期待しているのかが伺える。任務の重さを実感するアデムは、緊張よりも嬉しさが勝った。

 

以前説明した通り、ワイバーンはとても高価な生物兵器である。ロウリア王国の国力であれば、本来国全てをかき集めても、200騎そろえるのがやっとである。しかし、今回は対クワ・トイネ公国戦に、500騎のワイバーンが参加している。通常ではありえないが、今回は、五大列強の一国【パーパルディア皇国】より軍事支援があった。アデムらごく少数を除いて、パンドール将軍以下は誰も知らない。

 

先遣隊に150騎のワイバーン、この明らかに過剰な戦力に、アデムはとても満足だった。

 

しかし、ちょっとした懸念事項が存在する。それは、明日攻め入る予定のギムが、報告にあった絵にかいたような蛮族の城壁や陣地では無く、見た事も無い岩のような壁が町全体を囲むように立ち並び、多数の溝が横長に彫ってあるという。更に言えば、鉄地竜のような竜が確認できるだけで20騎は存在すると言う。斥候がもたらしたこの情報は、直ぐにアデムへと報告されたが・・・

 

『わけの分からない事を・・・その斥候は使えませんね。今すぐ殺しなさい』

 

との一言で斥候の一小隊は斬首にされてしまった。なので、その話を誰も信じる事が出来ない。

 

「ギムでの戦利品はいかがしましょうか?」

 

馬鹿もいたものだ、と、獰猛な笑みを浮かべる副将アデムに、伝令兵が怯えながら話しかける。アデムは冷酷な騎士であり、ロウリア王国が領地拡大のために侵略戦争を開始し、他の小国を統合した時代。占領地での残虐性が兵たちには知れ渡っていた。

 

「ギムでは略奪を咎めない、好きにしていい。女は嬲ってもいいが、使い終わったらすべて処分するように。一人も生きて町を出すな。全軍に知らせよ」

「はっ!!!」

 

アデムの部下は、すぐさま天幕を出ようとする。

 

「いや、待て!・・・やはり嬲ってもいいが、100人ばかり生かして解き放て。恐怖を伝染させるのだ。それと・・・敵騎士団の家族がギムにいた場合は、なるべく残虐に処分すること」

 

アデムは「ひっひっひっ」と笑って続ける。

 

「さぁ・・・殲滅の宴を始めようぞ!!」

「ハハッ!承知いたしました!!」

 

恐怖の命令。

 

アデムの心は人間ではない。そう思いながら、部下は、天幕を飛び出し、命令を忠実に伝える。

 

「ひっひっひっ・・・」

 

明日はどの様な悲鳴の選曲で、死のダンスを踊ろうかと気色悪い笑みを浮かべるアデム。だが、殲滅の宴の主役が自分たちである・・・とは、限らない。

 




【ハイドロゲン水素タービン動力強襲揚陸艦祥鳳】
アメリカ軍の史実ワスプ級強襲揚陸艦の大型発展版。

【12.7mm重機関銃】
M2

【88mm迫撃砲】
AA=ロマン

【鉄条網】
ゲートを見て

【馬防柵】
戦国時代などで馬の進行を妨害する設置型の障害。今回は馬だけでなく敵兵の進行も妨害できるようにしてある。尚、この馬防柵は二種類存在し、一つは総鉄製の帝國持参の物。もう一つはギムをこれまで守って来た丸太城壁の再利用版

【10式戦車改】
史実10式戦車の改良版。CI-5(CI-4の後継)と更に強化された射撃管制装置を装備。滑空砲は5mm大口径化され125mm滑空砲となっており威力が上昇している。特殊セラミック装甲、複合装甲など全体的に重装甲化が施されており重量が以前に比べて47tと大型化したが、その分性能が上昇している。特殊装備として、車体機銃は無人AI補助遠隔動作式となっており、対戦車ミサイルを察知すると同時に小型の迎撃墳進弾を発射、迎撃できるなどの新装備も多数搭載されている、正に陸の王者である。
武装
・125mm長砲身滑空砲:一門
・2式車載20mm機関銃(主砲同軸):一機
・10式12.7mmAI補助遠隔動作式機関銃:一機
・小型全方位対戦車誘導弾探知電探:一機
・小型対戦車誘導弾迎撃収容器:一基×12発
・チャフ発射機:四基(一基×3発)
・車体搭載小型無人偵察機:二機
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