日乃本帝國召喚   作:背の高い吸血鬼

12 / 14
おはようございます!
何時の間にかお気に入り300超えてましたねw気付かなかったです(>_<)
誤文字報告、ありがとうございます!


12話 ギム防衛戦【上】

中央暦1639年4月12日 早朝 ギム

 

 

―――ウゥゥゥウゥウゥゥゥウウゥウウウウウッ!!!

 

突如として、街全体に空襲警報が鳴り響いた。

 

この警報は、国境目前で陣を張り付けるロウリア王国軍がクワ・トイネ公国との国境を進行を開始した合図で有り、同時に空襲警報とある様に、敵性ワイバーンの接近を示唆するものである。尚、史実ではワイバーンの接近を探知した報告員が導力火炎弾にて爆殺されたが、()()()()()()を事前に配置させていた日乃本帝國軍が瞬時に察知できるので、今回は配置される事無く、死を回避した。

 

更に言えば、小型無人偵察機をロウリア王国軍陣地に飛ばして情報をリアルタイムで得ていたことも大きい。

 

しかし、得た情報は150騎ものワイバーンが存在すると知るや否や、西部方面騎士団の面々に死相が浮かんだ。幾ら日乃本帝國軍が鉄の地龍を多数保有していた所で、数の暴力には対抗できない。一瞬でもキルレシオが拮抗する事は有るだろうが、それも時間が経つごとに劣勢になっていくだろう。

 

「総員、配置に付けえぇえええっ!!」

 

モイジ団長が叫べば、兵の皆は恐怖に頬を引きつらせながらも統制の取れた動きでテキパキと行動し、自身が担当する場所にて待機する。しかし、彼等が行動を起こす時は、日乃本帝國がワイバーンを全滅させた後である。

 

「・・・それでは、風間将軍。ギムを、頼みます!」

「了解しました!この命に掛けて、ギムを、クワ・トイネ公国を防衛させていただきます!」

 

今回の派兵にて、ギムの防衛を担当する司令官を任された風間少佐は、クワ・トイネ公国及びクイラ王国、日乃本帝國の上層部や一部はマスコミで流される映像をリアルタイムで生放送されているので、政治的な意味合いを込めての発言である。そして、連絡員から全部隊のネットワークに接続された無線機を手に取ると、一拍。

 

そして、

 

「―――【ギム防衛作戦】開始!!」

 

 

       *   *   *   *   *

 

 

作戦開始により、作戦行動を開始する。

 

まず初めにレーダーで探知された75騎の敵性ワイバーンの殲滅である。

 

「・・・アレで攻撃するのか?」

「一体、どの様に・・・」

 

前回と同様、御馴染みに成りつつある政治部会の第一会議室内にて、投影ディスプレイを緊張した面持ちで眺めるクワ・トイネ公国上層部。

 

画面には陸上迷彩と言われる緑と茶の斑模様に塗装された特殊な形状をした鉄竜(装甲車と言うらしい)が8台、陣地後方に展開している。

 

その装甲車の名は【96式装輪装甲地対空誘導弾搭載車】。自衛隊の装備する96式装甲車とは違い、8輪以外は全体的に大型化して移住性、生存性、戦闘行動半径、搭載能力の向上が施されている。その96式シリーズの一つが、この【96式装輪装甲地対空誘導弾搭載車】であり、車体上部後方に四角い形状の筒の様な物を縦3列横5列、計15個を装備。この中には、ワイバーンを撃ち落とす必中の誘導弾が収められていた。

 

しかし、この車両の特徴をよく理解していない上層部にとっては、こんなヘンテコな鉄竜で攻撃が本当に可能なのかと疑問視していた。

 

スピーカーより音声が流れる。

 

『<―――1号車から4号車まで、目標振り分け完了!>』

 

ピッ―

 

『<座標、ギム西南西上空より侵攻中のWVN(ワイバーン)!06式短距離地対空誘導弾、発射用ォー意!>』

 

射出機が電探と連動して自動で動作し、射出口を西南西上空に向ける。

 

『<―――撃ェッ!!>』

 

―――ドシュッ・・・シュゴオォォォォオオオオッ!!

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

轟音と共に各車両より地対空誘導弾が次々に発射される。射出機より撃ち出された誘導弾は空中で火を噴き出すと、光の尾を引き、煙の軌道を残して空へと消えて行く。

 

各車両より3秒置きに撃ち出され、約45秒で全弾を撃ち終えると、車体内部に搭載された再装填機構により、次弾装填が自動で開始される。予備弾は車内に搭載されている為、歩兵を収容する事が出来ないが、高速展開が可能な陣地防衛特化型で有るからして、さして問題ではない。

 

 

       *   *   *   *   *

 

 

ギムより約20km地点より飛び立った75騎のワイバーンは、約235kmの速度でギムへと飛翔していた。到達予想時刻は、約200秒後であり、とても小さくではあるが、ギムを薄っすらと確認できる。竜騎士として今作戦に参加する事となった一人の竜騎士は、相棒の背中に跨りながら、この戦争をとても楽観視していた。

 

これだけの大戦力。農奴しか存在しない亜人という蛮族相手には過剰過ぎる。思わず同情心が芽生えてしまうくらい、ロウリア王国軍とクワ・トイネ公国軍の間での戦力差は圧倒的であった。

 

「・・・ん?」

 

その時、ギムの後方で何かが光る。

 

「なんだ、あれは?」

 

目の良い者が気付いた。

 

「―――ッ!!」

 

お突如として表れた黒い点の数々は、一瞬で竜騎士たちとの距離を詰める。

 

「光の―――矢ッ!?」

 

彼が叫んだ瞬間、隊列を組んで飛行していたワイバーン隊前方が轟音と爆炎に飲み込まれる。

 

これが、悲劇の始まりであった。

 

いきなり仲間4騎が爆散し、黒い煙を上げながら地上へと落下して行く。何が起こったのか、全く解らないまま、また4騎、さらに数秒後は4騎・・・と、4騎ずつ次々と落ちていく。

 

流星のような光の尾を描くソレは、まるで意思をもっているかのような軌道を描き、栄えあるロウリア王国軍竜騎士団のワイバーンを次々に屠って行く。ある者は避ける間も無く爆散され、またある者は真っ黒になって落ちて行く。

 

「!―――ショーンズッ!ま、待てッ!?」

 

光の矢が、同僚であり友人でもあるショーンズに向かって突き進む。彼は光矢が止まらないと分かって居ながらも、思わず声に出して叫んだ。声に気付いたのか、急接近する黒点のソレに気付いたショーンズが、類稀なる動体視力と愛騎との阿吽の呼吸で急旋回。思わずほれぼれしてしまう綺麗でキレのあるターンで有ったが、やはりそれは意思が存在する様で、進行方向を変えてショーンズを目指す。

 

「振り切れェェエエエ―――ッ!!!」

 

しかし、彼の願いは届かず、ショーンズは愛騎と共に爆散してしまった。

 

その数十秒後、75騎存在した竜騎士団は15騎にまで減ってしまった。

 

 

       *   *   *   *   *

 

 

「・・・こ、これは・・・」

「なんと、凄まじい・・・」

 

敵性ワイバーンより、更に3000m上空を飛行していた無人偵察機の撮影映像を眺めていたクワ・トイネ公国政治部会のメンバーは、正に【唖然】と言った表情で絶句していた。

 

日乃本帝國に足を踏み入れたハンキ将軍らの外交報告により、日乃本帝國は誘導魔光弾の実用化に成功しているとの趣旨の報告を受けたが、そんな超兵器はラヴァーナル帝國が存在していた時の御伽噺の中にしか存在しない―――と思っている人間がかなり存在した。しかし、この映像で日乃本帝國は本当に誘導魔光弾の実用化に成功していると思い知らされる。

 

更に、そのような兵器を普通に国外派兵戦力として持ってきてしまえる。この様な兵器は本来、自国の防衛の為に使う方が実用度が高いはずなのに、一友好国の為にポンっと使用してしまえるのは、大量生産でもしているからなのだろうか。

 

やはり、国力と技術力の差が凄まじい。

 

「・・・半田殿。この、誘導魔光弾は日乃本帝國はどれだけ保有しているのかね?」

「私は其処まで軍事に詳しくは無いのですが・・・そうですね。最低でも10000発は必ず超えています(種類別)」

「「「「「い、一万発・・・」」」」」

 

ああ、神よ・・・

 

日乃本帝國を、我が国の隣に転移させていただき、感謝する・・・

 

 

       *   *   *   *   *

 

 

僅か一分足らずで部隊としては壊滅状態にまでボロボロになったロウリア王国軍竜騎士団、残機15騎は、前代未聞の混乱からどうにか立ち直ると、ワイバーン同士で戦う事が真骨頂である竜騎士としての戦いでは無く、一方的に事務処理されていく味方の哀れな姿をみて、激しい怒りと共に復讐心が胸の内を焼き尽くさんばかりに溢れかえっていた。

 

本来であれば、このような荒唐無稽で出鱈目が過ぎる攻撃を受け、かつ部隊が壊滅状態になったとしたら撤退すると言うもの。しかし、仲間の仇という大義名分が、一瞬でも脳内に浮かんだ二文字を消し去る。

 

陣地から飛び立ったロウリア王国軍竜騎士隊は、ギムまで凡そ10km地点に差し掛かった。目の良いものでなくとも、上空からなので下方に存在するギムを視界に入れる事が出来る。

 

事前情報ではギムにも少数ながらワイバーンが存在するらしいのだが、現在ではその影も無い。如何やら、先程の追尾してくる【光の矢】と言う魔法が存在したからワイバーンが必要ではなくなったのか?しかし、此処まで接近しても攻撃が来ないと言う事は、魔力切れと竜騎士隊は考えた。

 

「仲間の仇だ!全騎、突撃ぃ―――ッ!!」

「「「「「うおぉぉぉぉおおぉぉおおおおおッ!!!!」」」」」

 

上空3000mより降下を開始し、襲撃を開始した―――その時。

 

ロウリア王国軍竜騎士団に更なる悲劇が襲った。

 

 

       *   *   *   *   *

 

 

30mmと大口径な機関砲が二門搭載され、AI補助によりマッハ0.1以下からマッハ10の飛翔目標に対して自動的に照準を補正する、日乃本帝國最新鋭の【78式自走高射機関砲】が今、電探連動とAI補助にて、ギムより10kmの位置に迫ったWVNに照準を定めた。

 

『<目標、ギム防衛陣地に接近中のWVN!78(78式自走高射機関砲隊の事)、攻撃用ォー意>』

『<撃ェッ!!>』

 

―――バババババババババババッ!!!

 

隊長車の攻撃命令より、各車振り分けられた目標にたいして攻撃が始まった。

 

 

       *   *   *   *   *

 

 

復讐心に燃え滾り、ショーンズの仇を取れる!と、意気込んでいた彼は、下方の異変を瞬時に察知した。複数の煙が現れたのだ。これは先程の【光りの矢】の再攻撃かと、警戒したが、如何やら違う攻撃の様であり・・・

 

「な、何ィ!?」

 

複数の光弾が高速で接近する。

 

高速過ぎて回避行動も儘ならならず、光弾の接近を許してしまい、貫かれる―――と思った瞬間。光弾はワイバーンの眼前で爆発した。

 

VT信管、又は接近信管と呼ばれる、砲弾内部に小型の電探が搭載されており、砲弾が飛翔中に放出した電波が一定範囲内の対象物から跳ね返って来た電波で信管が動作。砲弾が破裂する事により破片が飛び散り、対象物を切り裂き、穿つ、第二次世界大戦時に開発された高射砲の砲弾である。

 

砲口径が30mmと言う事もあり、現在の航空機に対しては一定以上の効果を発揮しなくなった砲弾だが、敵誘導弾や無人偵察機に対しては有効である。そして、それは生物に対しても有効であり、飛行生物としては破格の装甲を備えるワイバーンであったが、その強固な鱗を物ともせず貫き、非装甲物である翼がズタズタに引き裂かれる。

 

またしても、仲間が一瞬にして殺されて行く。

 

彼の怒りは頂点に差し掛かっていたが、その光弾が自身に対して接近してくるのを認知した瞬間、血の気が引いた。そして、間に合わないと分かって居ながらも体は動き、相棒が回避行動をとる・・・が。

 

「糞っ―――俺はまだ、死にたくない!シニタクナァ――――――ガっ」

 

部隊最後の彼は、愛機と共に複数の爆炎に呑まれ、この世を去った。

 

 

       *   *   *   *   *

 

 

政治部会

「「「「「・・・勝った」」」」」

 

ギム西部方面騎士団

「「「「「勝っちまったよ、日乃本やべぇ・・・」」」」」

 

日乃本帝國軍

『『『『『いや、当たり前・・・』』』』』

 

という反応が各所で発生したとか、しなかったとか・・・

 




【96式双輪装甲地対空誘導弾搭載車】
史実日本国陸上自衛隊が装備する96式双輪装甲車の拡大発展版であり、アメリカ軍が装備するストライカー装甲車の様に様々なカスタムが出来て汎用性が高い。

・96式双輪装甲車
・96式40mm機関砲搭載歩兵戦闘車
・96式105mm砲搭載車

等の様々なシリーズがある内の一つである。

武装
・06式短距離地対空誘導弾発射機:1機
・06式短距離地対空誘導弾:15発
・再装填機構:1機(再装填可能最大弾数15発)

【78式自走高射機関砲】
マッハ10とか、そこまでする意味が有るの?という軍事装備開発担当者の質問に対し、AIの処理能力と性能上の関係により、実用的でなくともスペックとしてはマッハ10の目標に対しても問題無く動作してしまう・・・と、成ってしまった兵器。

尚、小型目標であれば探知できるかは別問題。

実際の射撃試験で、速度だけを求めたが連続稼働時間が3分と短い(早すぎる速度によりそれ以上たてば燃え始める)標的機(マッハ6.3)の目標に対し、問題無く動作して迎撃に成功した。

武装
・30mm機関砲:一機
・10式12.7mmAI補助遠隔動作式機関銃:一機
・チャフ発射機:四基(一基×3発)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。