ヤゴウの日記より
我々はリニア新幹線に乗って幾つもの大都市を通り過ぎ、日乃本帝國の首都【日之出】にやって来た。道中の地方都市でさえ文明圏にひしめく列強国の首都を遥かに凌ぐ発展度であったが、日之出は正に次元が違う。
通路を抜けると、其処は摩天楼であった。
ビルと呼ばれる高層建築物の高さも天を貫かんばかりであり、我が国の有名なエージェイ山(海抜高度539m)を凌ぐ建造物が現実に、しかも幾つも存在している。最大の建築物で海抜高度1003mであるらしい。
私は、このような巨大な建造物群を作り出す国に使節団として派遣され、明日実務者協議に臨む。我が国の国益の為、最大限の努力をするつもりだ。
重責だが、このような歴史的瞬間に立ち会えることは幸いである。
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翌日 日乃本帝國、クワ・トイネ公国 実務者協議
日乃本帝國政府は、この世界の情報を何よりも優先して確保する為に、手始めに【クワ・トイネ公国】を利用してこの世界を知ろうとしていた。そして、十分に諜報員を派遣できる体制を整える為に協議を行う。
その結果、大して必要でも無いが有っても困る事の無い食料を年間約500万トンほど輸入することになり、その大量の食糧を我が国に輸出させる為の港湾設備の整備、及び穀倉地帯を繋ぐ線路の敷設などのODAを行う事となったが、クワ・トイネ公国がその他の他国に掛け合ってくれると言うのも条件に入れるとこの様な形となった。
直接軍艦に外交官を乗せて派遣するよりも、クワ・トイネ公国より一報という形で既に知らせておいた方が、彼方も軍艦が来て大慌てする心配がない。
そして、政府が援助して港湾設備の整備を行うと言う大義名分を手に入れる事が出来た日乃本政府は、これを利用して諜報員を数名、秘密裏に派遣する事になる。
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「半田殿。日乃本帝國は文字通り帝政であろう?皇帝とはどのような御方なのだ?」
ヤゴウは本日の実務者協議が終了した後、ふと、思い出す。この国の
「陛下ですか?御写真が御座いますので、其方をご覧頂きましょう」
ヤゴウの他にも気になっていた使節団員たちが、半田の下に集まると、半田は空間ディスプレイを起動させ、晴香の写真を表示させた。
「「「!?!?」」」
空間ディスプレイには、12~4歳程の幼い面影しかない少女がソファーに座っていた。前面にフリルのあしらわれた純白のドレスシャツに、これまたフリル付きの黒色プリーツスカート。その上から純白に青のラインが入ったロングコートを羽織っている。足元はショートブーツにニーソ。装飾はダイアモンドとブルーサファイアのあしらわれた銀のティアラ一つのみ。
皇帝の衣装としては控えめ・・・否。国民に示しがつかないのでは?と疑問を抱かせるレベルで質素な衣装で有る事も驚いたが、それよりも・・・
「「「お、女の子!?」」」
超大国の長は、想像していた威厳溢れる初老の男だとばかり思っていた使節団の予想の、遥か斜め上をいっていた。そんな使節団員たちの反応に、写真を見せた半田や、周りにいた情報省や農林水産省の幹部らが苦笑いを浮かべる。
「いえ、容姿は少女ですが57歳の女性ですよ」
「「「57っ!?」」」
晴香がこの国を建国してから現実世界では約3年の月日が経過したが、ゲーム時間では約44年か経っていた。(13歳として登録したため)
ゲームでは設定した容姿から老化等の現象で歳を取ることが無かったので、57を過ぎても少女のままなのである。
この世界はゲームではないので老化しないとも限らない。それは経過観察である。
閑話休題
と、皇帝が少女であると知った使節団員たちは度肝を抜かれた。
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10日後
クワ・トイネ公国ならびに日乃本帝國に置ける同意事項
・クワ・トイネ公国は日乃本帝國に必要量の食料を輸出する。
・日乃本帝國はクワ・トイネ公国のマイハーク港の拡充、マイハークから穀倉地帯までのインフラを、日乃本帝國の資金で整備する。
・日乃本帝國及びクワ・トイネ公国は、国交締結に向けた話し合いを継続する。
・為替レートを早急に整備する。
・日乃本帝國はクワ・トイネ公国からの食料一括購入の見返りとして、今後一年間はクワ・トイネ公国のインフラ(水道・ガス・電気)の整備を行う。その後は食料額に応じた対応を行う。
・日乃本帝國、クワ・トイネ公国は不可侵条約締結に向けた話し合いを継続する。
・日乃本帝國とクワ・トイネ公国の交流は、日乃本帝國が用意する洋上都市にて行う事とする。
日乃本帝國本土では【新世界技術流失防止法】等に制限される物が溢れている為、それらを入国者に渡さない為に、メガフロート技術を応用して海上都市を築き、そこで漏洩しても良い技術のみの製品の販売や、他国との交流を行う事となる。
本土からの海洋都市移民者及び旅行者に対しては、高度な技術的遺物の持ち込みを制限される事となる。その変わり、税金の低減、治療費無償などの対応が取られる。政府が不便を強いるのだから当然の対応と言えよう。
日乃本帝國とクワ・トイネ公国は良好な関係を築くことが出来た。今後切っても切れない友好関係を築き、運命共同体となって、この世界の奔流に呑まれる事となるのだが、この時はまだ晴香だけが知って居る・・・
プロローグ終了。次回より二章【動乱】編です