桜が舞い散る春の季節。制服に身を包んだ、少年少女達が新たなる校舎に向かう中、唯一女装している自分もその流れに身を任せ登校するのだった。ここ私立聖祥大附属中は高台にあり、校門まで急な坂が続くため慣れない入学生は苦労している様だ。自分は日頃から鍛えているため、全く苦にならないが魔法が使えるのならば直ぐなのにと安易な事を思ってしまう。今魔力を使ってしまうと監視対象者に警戒されられるため、使えない。そのためこの女装も変身魔法を使わず、自分の変装技術のみで行っている。元々髪は背中まで伸ばしており、胸は潜入用によく使う弾力吸収パットで本物の胸と比較しても差は無い。スカートは膝上までしか無くスースーして恥ずかしい。もう少し長めなのを寄越してくれても良かったのではないだろうか。あの親父は…。まあこんな感じできっちりメイクも行い、何処にでもいる黒髪セミロングの少女の出来上がりである。そんなこんな考えていると、校門前の急な坂は登り切っており校門をくぐった俺は、早速入学式が行われる体育館に向かいつつ、監視対象者を探すのだった。
校門前に向かう道中で人だかりが出来ており、様子を見にいくと、そこに監視対象者達がいた。
「なんでいつも、こんな囲まれるかな」
「ホントなんでなんかね」
「そんなの決まっているでしょう、フェイトとすずかが可愛いからでしょ。」
「それを言ったら、アリサちゃんも可愛いよ」
「私はいいのよ。さっさと体育館に向かいましょ。入学式が始まるわ。」
5人の美少女が会話をしているだけなのに可憐な花が咲いたかの様に、その場は華やいでいた。その花達に群がる人々をかき分けながら体育館に向かうその5人を追跡しながら、自分も向かう。しかし高町なのは、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン、八神はやてもさることながら、事前に彼女達の交友関係も確認しているため、写真で一度アリサ・バニングス、月村すずかも見ているが、写真よりもとても可憐であり、類は友を呼ぶんだろうか。体育館に着いた俺たち入学生はクラス表を確認し、名前順で列を作るのであった。俺は、あの高町、ハラオウン、八神、3名と同じクラスであり高町の真後ろに並ぶことになった。少しドキマギするが、これは任務何処にでもいる少女になりきらなければ…。
そんな事を考え、悩んだ顔をしていると前にいる高町が喋りかけて来た。
「あの…どうかされました。」
ヤバイ話しかけれたここは冷静に男だとバレない様に、完璧な女子中学生を演じよう。
「いえ、この土地に来たばかりで、私中学からの入学者なので、馴染めるのか不安で…。」
「そうなんだ。でも心配することないよ。みんないい子達だし。中学からの入学者は貴方だけじゃないよ。」
俺を落ち着かせる様に、ゆっくりと説明してくれる。高町はホント変わらないな。悩んでいる子がいたら必ず手を差し伸べてくれる。そんな高町だから俺は憧れたんだ。少し緊張が和らいだ俺はクスリと笑い、お礼を言うのだった。
「ありがとうございます。心配してくれて、慰めてくれて。」
「そ、そんなお礼言われうると恥ずかしいな。対したことはしてないし」
「私以外にも、私の友達で誰にでも優しい子だったりやどんな状況でも家族のことになるとなんでもする逞しい子だったり、いろんな子達がいるから今度紹介するね。」
「そうなんですね、そこまで言われると会ってみたいですね。」
それから高町とたわいもない会話をしていると、入学式が始まった。
入学式は、校長のありがたい長いお話が終わり、次にこの聖祥大附属中学の生徒会長である。天沢ミライという金髪で碧眼の小さめな少女が舞台に上がった。
「皆さん、入学おめでとうございます。」
「ここ聖祥大附属中学での生活に期待をに胸を膨らませていることでしょう。」
「しかし、輝かしい人生がある中で、中には苦しい人生を歩いていかなければならない者もいます。ここにいる貴方達は果たしてどんな人生、生活をこの学校で送るのかとても楽しみですね。」
不適な笑顔を入学生に向ける生徒会長、天沢ミライは続ける。
「輝かしい未来を掴むのは、いつも自分次第です。後悔しない様に1日1日を大事にして下さい。また先程校長先生からもありましたが、この海鳴市で謎の事件が多発しています。巻き込まれない様に重々注意してくださいね。皆さん。」
そんな事を言いつつ、チラッと高町を見た様な気がしたが、気のせいか…。
天沢ミライか、気に止めくとしよう。
入学式はつつがなく終わり、自分のクラスに向かった俺たちは教師からこれからのカリキュラムについて説明が終わり、放課後となった。
皆が帰宅する中、高町がこちらに向かって来た。
「あの、ちょっといいかな。」
「どうかされました。」
「せっかく楽しくおしゃべりしたのに、名前教えてもらってなかったなって思って。」
「ああ、そうでしたね。私は…」
自分の名前を言いかけたときに、高町とは1度会って会話もした中であり、名前も知っているはず。しかしあったと言っても1〜2年前に1度のみであるため、大丈夫なはず。しかしこんなところで躓いてしまっては任務失敗だ。そこで俺は本名を隠すことにした。
「私は桃花ユズハって言います。貴方の名前は?」
「えっと私は高町なのはだよ。桃花…ユズハちゃんか。どっかで聞いた様な気がするけど初めて会うよね。」
「ええ、高町さんとは初対面ですよ。」
「そうだよね、私の勘違いだよね…」
自分を納得させるように言っているが、どこかまだ考えている様子だった。
「どうしたの、なのはちゃん」
俺と高町が話しているところに、金髪で長髪のすらっとした少女が声をかけて来た。
「あ、フェイトちゃん。入学式で少し話すことがあって友達になったんだ。」
「そうだ、ちょうど良かった紹介するよ。私の大親友で大好きな人、フェイトちゃん。」
「もー恥ずかしよう」
ハラオウンは照れながらも、満更でもなさそうだ。
「こんにちは、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです。よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
挨拶を終えた俺は、フェイトさんと握手を交わす。
その時俺の頭にある女性に罵倒を受け、ムチで打たれている少女の姿が流れ込んでくる。あちらも何かが見えたよで、戸惑っている様子だ。
こちらを一瞥して、何かを聞きたそうにしているが、気を紛らわせるために先手を打つことにした。
「すごい美人さんですね。もしかして、ハーフの方ですか。」
「え、そんな、美人なんて…。えーとハーフじゃなくて生粋のイギリス人だよ。小学3年生生の頃にこの海鳴市に引っ越して来て、それ以来なのはとはずっと友達なの。」
話している俺とテスタロッサを交互に見て高町は不思議な顔をしていた。
「そうなんですね、ところでどうかしたんですか、高町さん」
「いや、よく見ると二人ともお顔のパーツが似ているなと思って。こうして並んで見ると姉妹みたいだねと思っちゃって、えへへ。」
「それで、何でそんなに嬉しそうなんですか?」
疑問に思った俺は高町に聞いてみた。
「だって、大好きなフェイトちゃんが増えたみたいで嬉しいんだもん。ねえ、桃花ちゃん。これから、ユズハちゃんって読んでもいい?」
「ええ、いいですよ。」
「本当ありがとうユズハちゃん。じゃあ私たちのことも名前で呼んでよ。」
「それは、恥ずかしのでまだ名字で呼ばさせて頂きます。」
「えーそんな、せっかく友達になれたのに、どうしてもダメ?」
「呼んでも恥かしくなくなれば、ちゃんと呼びますよ。」
「本当⁉︎じゃあ、慣れるように、毎日1回は下の名前で呼ぶようにしてね」
「ええ、分かりました。なのはさん。これでいいですか。」
「はぅ、改めて呼ばれると恥ずかしいな…。」
「高町さんが恥ずかしがってどうするんですか。」
そんな俺と高町の会話を聞いていた、フェイトも名前で呼ぶように迫って来たので高町と同じく毎日1回は呼ぶことで了承した。
それ以降、さっきの頭に流れ込んできたビジョンについて突っ込まれること無くことなきを得たが、テスタロッサには少しばかり警戒されるだろう。
2人は待っている人がいるとのことで、俺は用事をがあると言い、先に帰ることにし挨拶をして教室を出る。俺たちの教室へ走って向かって来ている女子生徒とすれ違ったが、あれは事前資料で見た、八神はやてだろう。4年前にあった闇の書事件の重要人物であり、管理局内では影で歩くロストロギアと呼ばれているが、話したことが一度も無いのでどういう人間なのかは資料でしか分からない。結構頭が回る人物であるため探りを入れるとなると注意が必要だ。まあ、いいこれからも事件は続く筈だ。焦らず迅速に犯人を炙り出していけいばいい。