桜才学園一般生徒の日記 作:←↙︎↓↘︎→あの辺にスズヘッド
<月〆日
海に来てまさかの2日目である。当初の予定では日帰りだったのだが、前日にも書いたが横島先生がまさかのビールを飲みまくって爆睡。送迎できる人が出島さんしかいなくなり、仕方なく宿を探す事になった。幸いにも宿は見つかった。部屋割りは男組+αと女組だ。人数的にこうする他なかった。男組に居る+αは萩村である。何故って? じゃんけんで決まったらしい。
罰ゲームのような扱いで決められたのは泣いていいかも知れない。津田はあの女組の中で眠らなくて本当にホッとしていた(ツッコミしなくていいと言う意味で)今日は来てくれてありがとうとここで言われる。日頃から大変そうだね……。
僕はというと、内心ワクワクだった。海水浴に来る事も、その上宿に泊まるなんて思ってもみなかったからだ。窓際に椅子とテーブルを置いたスペース、通称広縁を初めて見てこれがあの……と思ったり、テレビを付けてみたり、そわそわと部屋の中を見ていると津田に落ち着きなよ、と微笑ましいものを見る目で言われた。萩村も同じような目で僕を見ていた。
今日はこの後花火をやるらしい。楽しみだ。
☆
「おーい善村、会長たちが花火の準備できたって!」
「ありがとう、今行くよ!」
ユウは書いていた日記を閉じ、鞄にしまう。
「ごめん、待たせたね」
ドアの前にはタカトシが待っていたので軽く謝りながら靴を履いた。この靴はユウが知り合いから貰った物なので少し大きい。そもそもほとんどが貰い物か記念品、古着屋の格安品しかないのだが。ユウが今きている服も、よく分からない某猫型ロボットのパチモンことマ◯えもんがピンク色の棒状のナニかを持ちながら『***!』と叫んでいる著作権にバリバリ触れているモザイク必須のTシャツである。ユウ本人がオシャレにあまり関心……というか気にする余裕がなかったのでこう言った如何にも売れ残った柄のシャツなどを着ている事がある。
初めてこのシャツでタカトシ、スズと会った時は「なんだそのシャツ!?」とツッコまれた。シノとアリアには何故か好評だった。
「うん……行こうか」
タカトシの視線はユウのシャツに描かれた◯ラえもんのパチモンに釘つけである。
(善村も七条先輩みたいに若干天然入ってるよなぁ……善村は家庭の事情が事情なだけにこういうシャツを着ていても仕方ないかって思ってしまうし)
お金持ちと貧乏、育ちは正反対だが、性格では似通った部分がある。
「どうかしたか?」
「あぁ、いや、なんでもないよ」
タカトシがマラ◯もんを見ながら考え事をしていたらユウが首を傾げていた。
「シノちゃん、今の津田くん何を考えてたと思う?」
「目線的に……善村の
「──ハッ! 男同士の部屋を強く希望していたのって……!」
「まさか!? 桜才の種馬は男にも適応されるのか!?」
「おーいそこ二人、誤解に誤解を重ねないでね」
タカトシは廊下の角でコソコソと話していた二人の誤解を解くためにユウから離れていった。
「遅いと思ったらまだ部屋に居たのね。津田に呼びに行かせたのに何をやっているのかしら」
津田は耳良いなぁとユウが関心していると、萩村が少し大きな袋を両手に持ってやってきた。
「重くない?」
「失礼ね。これくらい持てるわよ」
「そっか。でも僕が持つよ。萩村は何処で花火やるか道案内よろしく」
「しょうがないわね。津田は……あぁ、会長たちと居るなら大丈夫ね。その内来るでしょ」
スズにはどうやら津田がサボっておしゃべりしている様に見えたようだ。また誤解が重なった。
「そういえば先生と出島さんは?」
ビールを片手に「うへへへへ」とだらしなく笑っている教師の姿を思い出したユウはスズに問いかける。
「先生はもう寝てるわよ。出島さんは先に行ってバケツの用意とかしてくれているみたい。私たちが花火を持っていけばすぐにでも始められると思うわ」
「流石プロのメイドさんだなぁ」
「ライフセイバーとか、色々な資格もってるしメイドとしての能力は高いわよね、出島さんは……普段の言動は置いといて」
「アハハ、確かに」
流石は七条アリア専属のメイドなだけはある。色々な意味で。
「おや……お二人だけですか?」
談笑しながらユウとスズが浜辺へやってくると、バケツやら消化器やらを準備して待っていた出島がいた。半袖とは言え、メイド服は暑そうだとユウは思った。
「まぁ、もうすぐ来るんじゃないですか?」
「なるほど、3P中でしたか」
「違います」
息をする様に下ネタを言う出島にスズが表情を変えずにツッコむ。
「おーい、おまたせ〜」
アリアたちも数分遅れて浜辺にやってきた。タカトシは何処か疲れた様な顔をしている。
「おぉ、最近の花火は色々あるんだな」
「俺もここまでの種類は見たことありませんね」
花火の種類は30種類を超えており、用意したのは出島で、アリアがやるならたくさんやりたいね、と言ったから結構な数を買ってきたらしい。
「へぇ〜……花火ってこんなにあるんだな。線香花火と手持ち花火くらいしか知らなかったよ」
昔、両親がまだ居た頃──小さな庭で両親が買ってくれた安い花火を笑いながらしていた光景がユウの脳裏に浮かぶ。
「まずは、これからやろう」
「ヘビ玉ですか?」
「これかう◯ち花火か悩んだんだがな……こっちは最後に取っておこう」
「花火の締めは一般的に線香花火では?」
シノが早速ヘビ玉をつけると、綺麗に燃え始めた。モコモコと、燃えた後の残骸が迫り上がる。
「おぉ……! 見ろアリア、20cmはあるぞ!」
「ご立派だねぇ!」
「何故会長が火をつけるとあんな形になるんだ」
ビキビキと縦に大きく、まるで男性器のように雄々しくなったソレをみてタカトシは自分の足元にある名前通りヘビのような残骸を見ながらつぶやいた。恐るべき、思春期パワー。
「見てみて善村くん、津田くん!」
アリアは線香花火を二つくっつけながら笑顔で語りかける。
「この子種を受精させるとほら、こんなに大きくなるんだよ〜」
「無邪気な笑顔でなんてこと言うんだこの人は」
楽しげなアリアにタカトシは真顔でツッコミ、それと同時に持っていた手持ち花火がチョロチョロと火花を散らし、消えた。
「まさに残尿火花……だな!」
「上手いこと言えてないですよ」
その後、手持ち花火や小さな打ち上げ花火、そのほかの珍しいモノを一通りやった面々は最後に残された花火を見る。
「さぁ、最後はコレだ!」
「本当に残したよこの人!」
シノが両手に持つモノは元祖う◯ち花火、飛び出せ!う◯ち花火と書かれたモノだった。
「飛び出すって……どうなっちゃうんだろうね?」
アリアはワクワクしながら隣にいるユウに問いかける。
「うーん、飛んで打ち上げ花火の柄がそうなるんじゃないですかね?」
「なるほど〜……」
アリアは何かを想像しているがユウには理解できていなかった。恐らくとんでもない下ネタを脳裏に描いているに違いない。
「よし、これが最後の花火だ! 火をつけるぞ〜!」
「これが最後の花火……」
スズはウキウキでチャッカマンを持つシノを見ながら複雑な表情だった。華やかな高校生、みんなで来た海、みんなでやった花火……最後の締めがう◯ち花火。
「よし、つけたぞ!」
わー! とシノが子供の様にはしゃぎながらその場を離れ、タカトシの隣に立つ。みんなが見守る中、遂にう◯ち花火が動き出す。
ジジジジ……ポスっ、ベチャ。
「わー、本当にうん◯だね!」
「想像していたよりもそれっぽいな。最近の花火はここまで進んでいるのか」
「はい。ここら辺で1番出来の良い花火師が作り上げた一品です」
アリアとシノは結構リアルなヤツを見ながら技術の進歩を感じていた。
「結構飛ぶんだね。あんなに小さかったのに」
ユウは小さな筒から飛び出した花火に感心していた。
タカトシとスズは思った。来年は花火やらなくていいや……と。
三者三様……う◯ち花火で締めくくる、そんな一夏の思い出──。
<月^日
海水浴から帰宅した。ので、かねてより掲げていた目標を夏休み中に減らしていくことにした。
1.携帯を買う
2.雨漏りの修理
3.アルバイトでいっぱい稼ぐ
4.アパートの草むしり
5.割れた窓の修繕
大まかな目標はこれらだ。携帯は無くてもいいと思っていたが、やはり連絡手段は必要だろうと最近思い始めた。先生たちも、津田とかも連絡手段が無いと困らせちゃったし。噂によれば格安で買えるところもあるとかないとか。とりあえず探すだけ探そうと思う。
雨漏りの修理は言わずもがな、僕が住んでるアパートは大家さんが年齢の為か、手入れが行き届いていない部分が多い。修繕業者を呼んだ事もあるらしいがこれなら建て直した方が早いかも、と言われたそうだ。大家さんはこのアパートに愛着があるらしく、建て直したくはないらしい。
僕は亡くなった祖母の伝でこのアパートに住まわせてもらっているので、できるだけ修理などには協力している。草むしりもその中に含まれる。
割れた窓は僕が割ったと言うわけではなく、前の住人がやったらしい。いつまでも割れたままにはしておけないので、七条先輩の家でのアルバイト代は窓に使おうかなと思っている。
アルバイトで稼ぐのは目標というか、生活の為だけど一応入れておいた。借金も返さないといけないからね。