ゼロサーガ(ゼロの使い魔×ゼノサーガ)   作:宇宙間管理職

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第01話

「───私は、ヴェクターインダストリー製対グノーシス用人型掃討兵器KOS-MOS Ver.4です」

 

[第01話:召喚]

 

草原に爆音が轟く。それも一度や二度ではない。今ので23回目。当初は囃し立てていた生徒達にも早々に飽き、各々自分たちが召喚した使い魔と親睦を深めていた。

「ミス・ヴァリエール。もう時間も押しています。次ので最後にしましょう」

「そ、そんな、、、」

ミス・ヴァリエールと呼ばれた少女ルイズは動揺を隠せない。美しい桃色の髪は爆風でボロボロ。額は汗と跳ねた土でぐしょぐしょになっていた。その背中は一種の哀愁を漂わせている。

少女は思う。後はもうない。このままだと進級できず留年。いや我がヴァリエール公爵家末代までの恥として領地に強制送還。一生篭の鳥として育てられ政略結婚の道具にされるのはもはや規定事項。次で、必ず次で成功させなくては……

そんなルイズの気持ちを知ってか知らずか照り輝く太陽光を頭部で乱反射させている教師コルベールはせかす。

「では、ミス・ヴァリエール。召喚の儀式を」

「わかりました」とルイズは深呼吸。

そしてルイズは残りの精神力全てを呪文に注ぎ込む。

「来なさい! 私だけの、神聖で、美しく、強力な使い魔よ!!」

 召喚の呪文の最後の句が終わり、ルイズは叫ぶ。

瞬間、魔力がルイズの前に凝縮したかと思うと今度は今までにない規模で爆発があたり一面に広がった。

 

これにはさすがに周りの生徒達も無視できず思わずルイズに目を向ける。そのうち何人かが未だ立ち込める土煙の中に影を見つける。

「なにかいるぞ!」

「まさかゼロのルイズが召喚を!?」

「明日は雪が降るぞー」

生徒達に軽いパニックが襲う。ルイズが魔法を成功させるのは前代未聞驚天動地の出来事と言っても過言ではない

「え、嘘……。本当に私成功したの……?」

かく言うルイズ本人も驚きを隠せない。

(何が召喚されたのかしら……?犬や猫?いやいやもっと大きい。もしかしてドラゴンとかだったらどうしよう……)

困っているようでその顔は笑みを隠せていない。

しかしそんな期待は杞憂に終わる。

煙の中から現れた姿に思わず唖然、その場に居合わせた全員が唖然とした。

思わずルイズは呟く。

「あなた、誰?」

 

 

煙、正確にはゲートより出現した瞬間からKOS-MOSは状況把握を主に思考を始める。

彼女のもつ「より人間らしく」を目指して搭載された「擬似人格OS」はある可能性を吐き出した。それはこれで5回目となる異世界、又は異次元への召喚。論理に支配されたKOS-MOSも流石に「慣れ」が生じる。KOS-MOSはその線で周囲の観察を始める。

まず目に入ったのは目の前にいた桃色の髪をもつ少女。その出で立ちはマントを身につけ手には木製の棒を持っている。次に視認したのはその少女の近くに立つ頭部防御力が明らかに危険値の中年男性。そして彼女等を取り囲むように周りには皆似たような姿の少年少女が散在していた。さらにKOS-MOSは彼らに随伴する多種多様の生物を確認した。その幾つかの生物は彼女のデータバンクに未登録であったが度重なる未知との遭遇によりそれすらKOS-MOSには「慣れ」ていた。

周囲の敵対行動がないことを確認していると目の前の少女がこちらを見据えて言葉をつぐむ。

「あなた、誰?」

敵対意志は感じられない、まずは情報収集が先決。そう判断してからKOS-MOSは答えた。

「私は、ヴェクターインダストリー製対グノーシス用人型掃討兵器KOS-MOS Ver.4です」

 

 

 

ルイズには彼女の言ったことを理解できなかった。言葉が通じなかったわけではない。確かに彼女の口からは流暢なハルケギニア共通言語が発せられた。幾分か冷静になったルイズは彼女を観察してみる。

(女の子……いや、女性ね……髪は青みがかった銀……眼の色は赤……陶磁器の様な肌にスタイルはチッ忌まわしきツェルプストー程じゃないが抜群、それでいてイヤらしさを感じない……まるで人形みたいに無表情ね……)

そんなルイズの後ろから生徒が声を放つ。

「おーいルイズーいくら上手くいかないからってその辺の平民連れてくるんじゃないぞー」

その一言を皮切りにしばらくどう反応していいかわからなかった他の生徒達も声を出す。

「ルイズの魔法が成功するわけねーよ」

「それにしてもあの平民、綺麗ねぇ」

「いくら払って雇ったんだー」

場がヒートアップしてきたところて教師コルベールが彼らをたしなめルイズに声をかける。

「ミス・ヴァリエール、どうやら召喚は成功したようですね。それでは契約の儀式を」

「ちょ、ちょっと待ってくださいコルベール先生。私がこの平民?とコントラクトサーヴァントを行うんですか?何かの間違いです。再召喚を許可を要求します!」

「しかしだねミス・ヴァリエール……」

 

「ねぇタバサ。ルイズの召喚した平民の女性、どう思う?まぁ私よりは数段劣るけどかなりの美人じゃない?」

と赤い髪の少女キュルケがタバサと呼ばれた青い髪の少女に声をかける。

タバサは読んでいた本から目を離しルイズが召還した女性を見た。

「……あれは人間じゃない……」

「えっ?」

タバサの答えを聞いてキュルケは思案する。

(人間じゃない……?だったらルイズは何を召喚したの……?)

 

場所は戻ってルイズとコルベール。

「ミス・ヴァリエール、召喚は神聖な儀式。例え平民であろうと契約をしなくてはならないのだよ」

コルベールはKOS-MOSをちらりと見ながらルイズに言い放つ。その時KOS-MOSのガラス玉のような深紅の眼はコルベールを見つめていた。

「そんなぁ……」

としぶしぶ了承するルイズ。

「感謝しなさいよ。貴族にこんなことされるなんて、普通一生無いんだから」

といったルイズは、KOS-MOSに近づく。

(背伸びしたら届くかしら……)

そしてKOS-MOSの左手を掴み詠唱する。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」

 詠唱を終え、表情を変えないKOS-MOSの額に杖をちょん、と当てたあと、顔を引き寄せその唇に自らの唇を押し当てる

 

 

ことは出来なかった。

 

 

何が起こったのかわからなかったルイズだがすぐに自分の身に起きたことを理解した。

頭を、頭部を空いていた右手で掴まれそれ以上近づけないようにされていたのだ。

それはその場にいた全員にとってまったくもってイレギュラー、想定外のことだった。

これは貴族に対して平民が手を挙げたのと同義、そして彼らに限らずルイズの怒りのボルテージは跳ね上がる。

「ちょっとアンタどういうつもり!?平民が貴族に向かって手を出しイタタタタタ、待って!イタいイタい!!ヘルプ!!ヘルプ!!」

ルイズの頭部への力を強めながらKOS-MOSはコルベールに顔を向ける。

「あなたが責任者ですね。説明を要求します」

 

 

生徒と同じく混乱していたコルベールはその声にハッとして銀髪の女性を見る。

教師として、年長者としてこの場は収めるべきと幾分か冷静になった彼は彼女に告げた。

「わかりましたミス、まずはそのあなたが掴んでいるミス・ヴァリエールを放してください」

「了解しました」

と彼女は手を緩める。

「なんなのよアンタは!?いったいどういう了見でイタい!!イタいイタい!!許して!!」

「ミス・ヴァリエール!!いい加減にしなさい!これでは話が進みません!」

という教師コルベールの言葉にルイズは涙目で頷くしかなかった。

目まぐるしく変わる状況にすでに脳のキャパシティーが限界寸前の生徒達に向けて彼は手を叩きながら言った。

「はい、皆さん。ミス・ヴァリエールも召喚は成功したようですし私はまだ話があるのでミス・ヴァリエール以外は先に教室へ戻ってください!」

教師に刃向かうわけにはいかないとしぶしぶ生徒は『フライ』を唱えて空を飛ぶ。

全員が飛んで行ったところで未だにルイズを掴んで放さないKOS-MOSに声をかける。

「ではまず何からお話したらよろしいでしょうか。とりあえずミス、なんとお呼びしたらよろしいか」

「KOS-MOSで結構。敬称は不要です」

「わかりました。ではコスモス、どこから話せばよいでしょうか」

 

 

「質問します。周囲の状況から判断するに私は目の前のミス・ヴァリエールによって召喚されたと考えられます。間違いありませんか?」

「はい、その通りです」

「質問します。この場所の名称は?」

「トリスティン魔法学院です。私はここで教師をやっているコルベールと申します」

「この国の名と大陸の名、及び星の名は?」

「ハルケギニア大陸のトリステイン王国と呼ばれる場所です。星?というのはどういう意味でしょう。私からも質問よろしいでしょうか?」

「機密保持に関わらない程度には」

「ありがとうございます。それではまず、あなたは“何”ですか」

「質問の意図が不明。私は、ヴェクターインダストリー製対グノーシス用人型掃討兵器KOS-MOS Ver.4です」

「ちょっと待って下さい。兵器、

というとあなたは人間ではないと?」

思わずコルベールは訪ねてしまった。その質問にしゃがんでふてくされていたルイズも思わず顔を挙げる。

「はい、私は人間ではありません。体組織全てが人工物です」

「つまりあなたはゴーレム、いえガーゴイルの類だと?」

「正確にはアンドロイドです。しかしあなた方の言葉でガーゴイルがそれに該当するのであればその認識で構いません」

この言葉にコルベールもルイズも驚愕した。

こんなに精巧な、人間と見間違うようなガーゴイルは今まで見たことなかった。おそらくスクェアクラスのメイジが集まってもここまでのモノはできないだろう。

となるとルイズは思う。最初はハズレかと落胆したがもしやこれはスゴいアタリなのではないか?このガーゴイルを使役できればもう誰にもバカにされないのではないか、と。

そしてコルベールに言う。

「先生!私に、私がこのガーゴイルにコントラクトサーヴァントを行います!良いですね!」

「待ちなさいミス・ヴァリエール。まだ質問は終わってません」

「失礼、コスモス。質問の続きですがどうして先ほどミス・ヴァリエールのコントラクトサーヴァントを拒んだのでしょうか?」

「返答します。そちらのミス・ヴァリエールから詠唱後正体不明の力場を感知。極度の興奮状態により言語による制止は困難と判断。物理的制止に移行しました」

「こちらから質問します。コントラクトサーヴァントとは何でしょうか。意味と状況から判断するに召喚物への隷属を強制するものでしょうか?」

と言われてコルベールは一瞬口をつぐむ。

今まで考えてこなかったが確かにコントラクトサーヴァントは主への隷属を強制するものだ。コルベールは念のため言葉を選びながらKOS-MOSに応える。

「え、えぇ……。大体、そのような認識で構いません。説明もしましたことですしあなたは召喚者ミス・ヴァリエールの使い魔としてコントラクトサーヴァントをしてもらえますか?」

その問い掛けにKOS-MOSは応える。

「拒否します」

「「は?」」

思わず二人は問い返す。

「私のマスターたるは開発者であるシオン・ウヅキただ一人です」

 

 

これにはコルベールもお手上げだった。ガーゴイルである以上彼女を作ったメイジがいるのは道理。コントラクトサーヴァントできないのは仕方がないがこれもやむなしと考えていた。

しかしルイズは違った。ルイズの心は希望と絶望が交互に訪れもう正常と言える状態ではなかった。そしてKOS-MOSにつっかかる様に言う。

「そんなの意味わかんない!!私が、私があなたを召喚したのよ!!例えあなたが別の誰かに作られたからってそれがなんだっていうの!?ここは召喚者の言葉に従っておとなしく使い魔になるべきよ!!」

しかし相手はガーゴイル、そんなことは歯牙にもかけず淡々と述べる。

「私の最優先保護対象はシオン・ウヅキです。この世界、この時空に存在しないとしてもそれは変わりません」

「だったら、だったら私はどうすればいいのよ~~~~」

冷たく言い放たれたルイズは制服が汚れるにも関わらず地面に座り込んでしまった。

ルイズという存在がいたからであろう。

現状を冷静に判断していたコルベールはKOS-MOSの言葉に気になる点を見つけた。

「失礼コスモス。この世界、というのはどういった意味かな?」

「私はそもそもこのハルゲニアの存在ではありません。こことは異なる世界より召喚されました。現状、情報の不足は否めません。最高責任者との面会を要求します」

ルイズとコルベールはもう一度呆然した。

 

 

所変わってKOS-MOSとルイズが連れてこられたのは校長室。彼女等の目の前には老いてなお快活さを感じられる男性が年期の感じられる大きな机の前に座っていた。

「つまり君、コスモス君は別世界のガーゴイルだと?」

この学院の校長であるオールド・オスマンはKOS-MOSに訪ねる。

今この校長室にはオスマン、コルベール、ルイズ、そしてKOS-MOSしかいない。

「肯定します」

「俄かには信じられん。なにか証明できるものは?」

「私の存在こそがその証明です」

そう言ってKOS-MOSは右手で自分の左肩を掴み、文字通り外した。

「なんとっ!!」

唯一反応できたオスマンが声を挙げる。

そして次にコルベールがその左肩を確認する。

「す、すすすスゴいです校長!!こんなに精巧かつ緻密なガーゴイルは見たことありません!!さぞかし高位のメイジが作り上げたのでしょう!!」

興奮を隠せないコルベールに向かいKOS-MOSは左腕を戻しながら口にする。

「今の発言には誤りがあります。私の開発者はメイジではありません。また私の世界にメイジ、すなわち魔法というものを使う人間は存在しません」

その言葉に静寂が流れた。この精巧なガーゴイルの述べたことを反芻した。メイジがいない、つまり平民しか存在しないということ。

このガーゴイルは平民によって作られたという事実。KOS-MOSが異世界より召喚されたことは疑いようもなかった。ただ一人を除いて。

誰よりも貴族らしく育てられたルイズにとってKOS-MOSの発言は信じられなかった。校長や教師の前ということ忘れてKOS-MOSにつっかかる。

「待ちなさいよ!貴族がいないってどういうことよ!」

「貴族、王族という後進的な社会システムは既に数千年前に消失しました」

「後進的ですって……だったらどうやって国を動かすのよ!?誰が平民を守るのよ!?」

「国を動かすのは政府、国民より選出された代表者によって国の方針、税率などが決められます。国民より選出される以上不適切と判断された場合にはすぐにその地位を剥奪され別の選出者に換わる非常に合理的かつ公平な社会システムです。国民を守るのは軍隊、警察、裁判所など多岐に渡ります」

淡々と述べられるKOS-MOSの言葉にルイズ含め3人は絶句する。その発言はこのハルゲニアでは異端とされ、もし話しているところを憲兵に見つかったなら親族皆殺しもあり得るからだ。これにはルイズも彼女の存在を信じる他なかった。

軽く咳払いしながらオスマンは口を開く。

「してコスモス君、非常に残念なのじゃがわしらは君を君の世界に送り返す方法を知らんのじゃ。なのでここは一つヴァリエール嬢の使い魔になってくれないじゃろうか?」

その言葉にルイズはオスマンへ羨望の眼差しを向ける目が合ったオスマンは小さくウィンクをする。

しかし、

「その心配は及びません」

ルイズの心はもうボロボロだった

 

 

「も、もしや君は元の世界へ帰る方法を知っているのか?」

ワナワナしながらオスマンがKOS-MOSに問う。

「いえ、帰る方法はわかりません」

だったら何故、皆が考える。続けて、

「私はこれまで何度か異世界、異次元に召喚されました。そのいずれも私が召喚されるに足る理由が存在しました」

「その理由とは?」恐る恐るオスマンが問う。

「主にその世界の危機です。世界が危機に対し収束することが困難と判断されたとき、その防衛機能として私のような『力』が召喚されるのです」

誰も、二の句が告げなかった。彼女の発言の意味、それはこの世界ハルゲニアに我々では対処できないような未曾有の危機が迫っているということだ。こんなバカな話があるのかと一蹴するのは容易いが目の前のKOS-MOSという存在がそれを証明している。

「オ、オオオオールド・オスマン!!これは一大事ですぞ!!彼女の言うことが本当だとしたらこれは即座に王宮に伝えなければ!!」しかしオスマンは、

「こんなこと誰が信じるのじゃ。確かに筋は通っておる。目の前に証拠もある。伝えたところでコスモス君がアカデミーに連れて行かれるのが関の山。このことは我々だけの心の中に留めておくのじゃ」

「わかりました……」コルベールも頷くしかなかった。

「わかったかね。ヴァリエール嬢」

「えっ、あっ、はい……」

先ほどから放心していたルイズは突然話かけられてうまく返事できなかった。

「となるとコスモス君、君はこれからどうするのじゃ?君の意見を聞きたい」

KOS-MOSは応える。

「現状、情報収集を主に危機に対して待機するつもりです。また、ミス・ヴァリエールが私を召喚した以上ミス・ヴァリエールは危機に対するなんらかの重要人物であることが予想されるため、ミス・ヴァリエールを保護対象と認定、その護衛を行います」

「それはつまりコントラクトサーヴァントを受けるということでしょうか?」

「いえ、コントラクトサーヴァントには私のプログラム、つまり脳に対してなんらかの書き換えが起こる可能性が高いためそれは拒否します」

「使い魔になることには異論はないと?」

「使い魔が何を意味するかわかりませんが私はアンドロイドです。上位権限を持つものの指示に従うために存在します」

 

 

 

「よしこうしよう!」とオスマン。

「コスモス君はコントラクトサーヴァントなしにヴァリエール嬢の使い魔とする。ガーゴイルと言うのがバレても面倒じゃ。コスモス君は平民の女性と言うことで学院に通す。コスモス君、ヴァリエール嬢、これでよいかね?」

「異論はありません」とKOS-MOS

「もう好きにしてください」とルイズ

「どうやら話はまとまったようじゃな。コスモス君の服装は目立つ。ヴァリエール嬢、公爵家の令嬢に頼むのは忍びないが緊急事態じゃ。学院のメイドからメイド服を一着持ってきてもらえないじゃろうか」

「わかりました」と言って退出するルイズ。普段ならどうして私が、と反論するであろう彼女ももうその気力すらなかった。その足取りはさながら幽霊のようであった。

 

ルイズが退出した所でオスマンが口を開く。

「コスモス君、グノーシスというのは一体なんだね?」

「お、オールド・オスマン……」

「グノーシスというのはあなた方の言葉でいうなら<認識>、人類を脅かす正体不明の敵です。私はそのグノーシスに対抗するために開発されました」

「そのグノーシスはどれほど危険なのかね?」

「彼らは実体を持ちません。それゆえにあらゆる壁、構造物は意味をなしません。唯一対抗できるのはグノーシスが人間に対して攻撃するとき、その瞬間のみ彼らは実体化します」

「彼らに攻撃されるとどうなるのかね?」

「同じくグノーシスになるか塩化ナトリウム、すなわち塩になります」

2人の間に沈黙が流れる。

先程のKOS-MOSの言葉と合わせるとそのグノーシスとやらがハルゲニアを襲うのではないかと嫌な汗が流れる。

 

「失礼します」とドアを開けたのはルイズ。

「頼まれたメイド服を持ってきました。」

「おーおー、そうかそうか。ご苦労じゃったな。ではコスモス君、早速着替えてもらえんか?」

と場を和ませるために軽口を叩く。

「オールド・オスマン!!」とコルベールは顔を真っ赤にする。

「了解しました」

「ほっほっほっ、ちょっとした冗談じゃよって本当に!?」

オスマンが目を向けたときには既にKOS-MOSは一糸纏わぬ姿になっていた。もちろん局部にあるべきものは存在しなかったが。

「こ、こここコスモス、先程まで着ていた服はどうされたのです!?」コルベールはできるだけ見ないようにKOS-MOSに問う。

「私の服は全て別空間に収納しました」

答える頃には既に着替えは終わっていた。

「ではヴァリエールお嬢様。以後お見知りおきを。気軽にKOS-MOSとお呼びください」

その所作は主に付き従うメイドそのものだった。

「え、えぇ。私もルイズでよくってよ、コスモス」

なんとか、なんとかギリギリ残っていたプライドで応える。

「それでは校長、コルベール先生、私はコスモスと部屋に戻りますので」

「お、おう。今日はゆっくり休むのじゃぞ」ルイズの後ろ姿は今にも消え去りそうであった。

 

 

2人が退出したあとオスマンはドアに目を向けながらコルベールに語りかける。

「コンドーム君、このハルケギニアはどうなってしまうのかの?」

「コルベールです校長。いえ我々は教師として見守るしかないでしょう。」

 

 

2つの月が学院を照らす中一人と一匹は屋上に登り夜空を見上げていた

「シルフィード」そう呼ばれた竜は主に訪ねる。

「なんなのね。お姉さま」

「あの娘の召喚したアレは何?」

「あの方は神の使い、聖母様、救世主様なのね」と思い出して両前足をこすりながら器用に拝む。

「神……」

 

 

部屋に戻ったルイズは大分普段の調子が戻ったのかどこへ向けて良いのかわからない怒りを枕にぶつけていた。

「あーもう!何なのよ!何なのよ今日は!」

「とりあえず今日は寝る!話は明日!いいわね!」

「了解しました」

「明日は7時に起こして!」

「了解しました」

「もう!おやすみ!」

「おやすみなさいませ」

「もぅ……なんなのよ今日は……」

 

運命の歯車が崩れる最初の夜が更けていく

 




読んでもらえるなんてありがとうございます。
初めてのSSなので辛辣な意見を募集してます。
設定、口調は割と適当なので目を瞑ってください。
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