可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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これは悲劇の始まり始まり。


第0話:失い衛藤家の日常。

 記憶にある母はいつも笑顔で剣を振りかぶってきた人でした。

 

 毎回、このことをクラスメイト達に話している時、よくどんな家庭なのかって笑わられたことがあった。でもそれは俺にとって、衛藤家(うち)だけにあった日常風景なのだ。

 

 小さい頃から、俺と妹二人はよく母の剣術稽古に付き合わされた。今思い返して見ると、毎回は笑顔で剣を振りかけていた母にボコボコされる一方だった。

 

 けどそんな母の教育のおかけで、俺と妹二人は母以外の人と喧嘩ごとに負けることはなかった。多分、あのときの俺たちはそんなバカ親の影響下で日々強くなっていたのかもしれない。

 

 それはもう、寝る時も、ご飯の時も、剣術稽古でボコボコされたときも、幼稚園や小学校を通うときも、母を倒すために剣の振り方をより一層研ぎ澄ましていくことにしか考えていなかった鍛練日々のおかけなのかもしれない。俺や妹はそういう環境下で育てられた。

 

 それでも、俺たちは剣術指導をしてくれた母を一度でも超えることがなかった。それで、負けず嫌いの妹と全く同じ負けず嫌いの俺は毎日諦めず、母を目標にし、剣の道をまっすぐ歩き続けていた。

 

 いつか必ずそんな母を超えられる日々が来ると毎日期待していた。この幸せな日々はずっと終わらないと、ずっとそう思い込んでいた。

 

 そしてある日、母は急に謎の病気で入院した。

 

 その日から母との稽古はなくなり、やむを得なく俺と妹だけの稽古日々が始まってしまった。当時、俺より気弱い妹の気持ちを配るため、必死に自分の不安を抑え、母が戻ってくる前は一緒に強くなり、母をびっくりさせようと妹にそう提案し、彼女を安心させたが……。今思うと、自分のその提案はとても甘かった。

 

 

 

 

 

 

 数カ月後、母が病死した。

 

 

 

 

 

 

 その日から、全てが変わった。

 

 信じられない残酷な現実が目の前に起きた。幼い俺達には決して予想するはずがなかった悪夢だ。

 

 母が亡くなった日以来、妹は二度と剣を振ることをしなかった。俺も毎日続くはずの稽古をやめることになった。

 

 母を失うダメージは、最愛の母を失った子供にはとても重かった……もう昔のみたいな生活に戻れない。

 

 こうして、衛藤家はかつての活気を失い、普通の家庭に戻ってしまった。

 

 

 

 ♢

 

 

 

 それから数年が経ち、10月のある日に衛藤(えとう) (みやこ)はクラスの担任に呼び出されて、放課後の教務員室にやってきた。

 

 「なぁ、衛藤。お前、まだ進路決めてないんだって?そんなグズグズしすぎると、あっという間に卒業しちゃうぞ!」

 

 そして相変わらず、進路のことを促く。

 

 毎回そのとき、彼はいつも担任のことを「しぶとい野郎!」と心の中でこっそり罵っている。

 

 「でもやりたいことがないですよ、先生。」

 

 「あのなぁ……そのやる気がなく、偉そうな態度をやめてくれない?俺は一応お前のクラスの担任なんだ。せめて教師に対する礼儀を努力にしてくれ。」

 

 そして、教師側も彼と同じ。彼のそのやる気ない上に教師を舐め回すその態度に腹立たしくて仕方なくなる。

 

 正直、当面でこの生徒を殴ってもおかしくないほどイカれている。

 

 けど、目の前にいる生徒は衛藤 都という学生だ。成績優秀以外、運動神経、人徳も抜群。また彼を勧誘してきた他の高校学長も少なくはない。

 

 故に軽く手を出してはいけない。何より、彼は昔近くにいる名高い不良たちを追い払った経歴を持っている。

 

 そんな彼に教師たちでは歯が立たなかった。彼のおかけでここ一帯は≪災害≫以外の事は平和だ。

 

 「……まぁ、いい。とにかく早く進路を決めないと、お前の未来は真っ黒だ。そんなでいいの?」

 

 「いいんじゃないですか?特にやりたいこともないし、今のままでいい。」

 

 「お前の感覚がどうとかは聞いていない!重要なのは学校はこんな軽い結果を受け入れるはずがないのだ!頼むから早く俺を解放してくれ!学長もそろそろ俺に圧をかけてきたんだ!」

 

 いよいよ自分の生徒の前で感情的な発言をぶち放ち、情けない姿を出してしまった担任。何せ、このような状況は、もう数カ月にも続いていた。

 

 進路調査始まって以来、この担任はよく高層の人たちに叱られている。原因は優秀な人材である都の進路は今になっても一切出していないからだ。

 

 それはもう耐えられない担任は、こうして生徒である彼に赦しを求めている。何せ、これから待つのは学校にクビされるだけの道だ。それをなんとか避けたいと担任はそうおもっ……祈っている。

 

 しかし、向こう側の苦情を特に察していた彼はそうしてくれなかった。むしろイライラする気持ちで怒鳴りする。

 

 「お前の事情なんて知るもんか!解放して欲しいのはこっちなんですけど!いいですか?可奈美が家で一人で待ってるから、俺はちっともここに残りたくないです!早くこの無意味な時間を終わらせろ!」

 

 「おい、担任にその態度でいいのか!」

 

 「知ったことじゃない、俺はもう帰る!」

 

 「おい!待て!…このクソーー」

 

 部屋から出て、ドアを勢い良く閉めた都は、担任の怒鳴り声が終わってないにも関わらず部屋を後にした。

 

 「ったく……時間の無駄だな。」

 

 そう文句言いつつ、都はポケットからスマホを取り出し、メールを送る。

 

 『ごめん、色々あって帰るのを遅くなった。何か買ってきて欲しい物ある?』

 

 そうしたら、すぐ返事してくれた。

 

 『じゃ、今日も稽古してくれる?私、お兄ちゃんと稽古したくてうずうずする!』

 

 「またかよ…。刀使になってからいつも稽古ばかりだな。可奈美。」

 

 『えへへ、だって面白いじゃん。それにお母さんのような立派な人になりたいから。お兄ちゃんもそう思うでしょう?』

 

 「どうだかな〜。可奈美が元気ならなんだっていいよ。それはともかく今日も手加減にしろよ。」

 

 『うん!写しは使わないから安心して。あ、ちなみに舞衣ちゃんも来てるよ。クッキー美味しいんだ〜。』

 

 (舞衣ちゃんか……つまり勉強会だな。)

 

 「勉強もしろうよ。もうすぐ中学だろ?」

 

 『……うっ!痛いところ突っ込まれた……』

 

 「帰ったら、舞衣ちゃんと共にお前の勉強に手伝ってもらうから逃げるんじゃないぞ。」

 

 そう返信し、スマホを仕舞う。

 

 「さて、帰るか。」

 

 さっきより機嫌が良くなり、彼は帰路に一歩へと踏み出した。

 

 

 ◇

 

 

 「ただいま。」

 

 「おかえり、都。」

 

 家に戻ったら、真っ先にお父さんの返事が聞こえてきた。

 

 「今日は早いね。仕事は大丈夫?」

 

 「大丈夫、大丈夫。そういえば、都の方はどうなんだ?もう中学三年生だろ、進路はもう決まったのか?」

 

 「まだ。」

 

 「そうか………」

 

 息子のその返答を聞いて、なぜかお父さんの方が落ち込んでいるみたいな声を出してしまった。

 

 もちろん、彼はそんなお父さんの状態を気付いてはいるが何も言わない。だってお互いはもうあれを触れたくはないから。

 

 「そういえば、舞衣ちゃんがさっきうちに来ているよ。ますます美人になっていたなぁ、あの子。大事にしろよ!あの子はいい嫁さんになりそうだ。」

 

 気まずい空気を切り替えようと、都のお父さんは自分の娘の親友である舞衣ちゃんの話題に変えた。

 

 だが、都は逆にその話題を持ち出すお父さんにため息をつく。何故ならこの話題は完全にNGだからだ。

 

 「舞衣ちゃんに手を出そうと言うの?最低。」

 

 「な、なにを言うんだ!これも舞衣ちゃんのためだぞ!いつも仲良さげに見えるし、それに弁当も作ってくれる。あれはもう付き合ってもおかしくない関係に見えるぞ!」

 

 「馬鹿言うな、あれはただ舞衣ちゃんが優しいからだ!それに、あの子は可奈美の友達だから、兄として大事にしていただけだ。」

 

 そうだ、彼は初めて柳瀬(やなせ)舞衣(まい)という女の子に出会った時から、彼女のことをただの妹友(いもうととも)だと思っていた。いつも妹が友達ができていないことに心配かけている兄として、柳瀬舞衣の存在はまさに救いであった。これで可奈美も学校では寂しくはないと彼はほっとした。

 

 ただ時々彼女のその人思い一倍の優しいとこと、妹に負けないほど天然可愛いところに少し心がうごめいている時がある。

 

 いくら健全的な思考を全力に意識しても、家族ではない異性に意識しないのは男性としては無理極めることだ。特に今の彼女は成長期で身体が徐々に大人の女性になっていく……彼女を女性として全く意識しないのは相当無理なことだ。

 

 (それでも舞衣ちゃんは可奈美の親友。その一線を越えてはいけない。そう決めたのだ。)

 

 

 「だからそこはだめなんだよ!」

 

 「なんだよ!」

 

 「あの…………」

 

 そして、都は自分のお父さんと言い争っている間、突然一人の女の子がその間に入ってきた。その女の子は、優しい雰囲気にピッタリとした白いワンピースに身を包み、長い黒髪を束ねて結び、肩の前に垂らすルーズサイドテールという髪型をしている。

 

 まるで翡翠のような綺麗な瞳が都とその父の姿を映っている。彼女こそ、話題の中心であったヒロイン。柳瀬(やなせ)舞衣(まい)である。

 

 「「舞衣ちゃん!?」」

 

 ほぼ同時に驚愕の声を出した親子二人。舞衣はただ困り顔でこの二人のことを見守っている。

 

 でも、いつまでも見守っていても仕方ない故、舞衣は彼ら親子より先に挨拶をした。

 

 「えっと……お兄さん、こんばんは?」

 

 「あ、ああ……こんばんは、舞衣ちゃん。」

 

 突然のことなのか、都はまだ正気を取り戻せていない。そして……。

 

 「舞衣ちゃん、都は残念な息子ですが、彼のことはよろしくお願いします。」

 

 「え…ええ?」

 

 彼がまだ反応しないうちに、まるで夫入りような事をお父さんの方が先に娘の親友である舞衣にお願いをしてしまった。

 

 「お父さん!」

 

 そのことに、少し顔が赤く染めていた都からの抗議の声が飛び込んでいた。

 

 

 ♢

 

 

 しばらくすると、いつの間にか都と舞衣二人だけとなった。実を言うと、舞衣は初めからアイスを買いに行く予定だったが、行く途中に都とお父さんとの喧嘩を見てしまった。

 

 それから、若い女の子をこんな夜遅く一人での買い物は危険だとお父さんからそう言われて、彼はこうして舞衣と二人きりで夜道にを歩いていた。

 

 けど、こんな時間帯で男と女二人きりというのは流石に恥ずかしいので、彼からは一切話を振ってこない。それと同じく、舞衣は男の人と二人きりになる経験があまりないから、何から話そうかがわからないらしい。

 

 (気まずい……まぁ、当然といえば当然だな。舞衣ちゃんはあの有名な柳瀬クループの社長の娘、大企業の令嬢だ。つまりお嬢様。彼女は自分とはまるで別世界の人間だ。本来は絶対に関わるべきではない存在なんだが、可奈美を通じてこうして知り合った。にしても、彼女を友達にするのもなかなかの出来事だな。流石うちの妹だ。)

 

 いつものように可愛い妹を高く誇る彼は、救いようもないシスコンであった。

 

 「……えっと、お兄さんは最近どうですか?可奈美ちゃんからたくさん聞きましたけど、なんか凄いことになってるみたいですね。」

 

 そして、あれから少し歩くと舞衣の方から話しかけてきた。

 

 よく見ると、彼女の顔は少し赤くなっており、おそらく話題を作るためにかなりの勇気を絞り出したのだろう。

 

 (であれば、一人の男として自分もそんなに頑張っている彼女の勇気にちゃんと答えなければならない!)

 

 「まぁな、でも君達に比べたらそうでもないよ。刀使(とじ)だっけ?選ばれたんでしょ?凄いんじゃないか。」

 

 「いいえ、そんなことはないですよ。お兄さんに比べたら全然……。可奈美ちゃんから聞きました、写しを使ってない状態下の可奈美ちゃんが、お兄さんに一度も勝てなかったって。」

 

 (可奈美のやつ……全部、舞衣に教えたのか。まぁ、別にいいけど。)

 

 「けど、それはもし可奈美が最初から写しを貼れたら、俺は1秒でも耐えず試合終了のところだ。やはり君たちのほうが凄いよ。」

 

 普段と同じくなんともない表情で普通に語る彼だけど、それは舞衣から見てとても悲しそうに見える。

 

 例え剣術がどれほど冴えた人間だとしても、化物退治の専門家たちには永遠比べられない。柳瀬舞衣と衛藤(えとう)可奈美(かなみ)はそういう類の人間だ。

 

 彼女たちは刀使という日本刀を持つ女の子。彼女達に与えられた力は御刀から授けられた力だ。そしてその力は化物……荒魂(あらだま)を退治するための力。

 

 荒魂というのは人間を危害する化物。そしてあいつらを倒すのは刀使しかない。故に可奈美や舞衣などの刀使は、人を危害から救う正義のヒーローなのである。

 

 そして刀使に選ばれるのは女の子しか居ない。故に年上の男の都でも、舞衣の保護が必要になるのだ。

 

 もしかしたら、実の妹である可奈美に守られるという立場にもなるのかもしれない。いや、なるのだろう。

 

 それは実の兄である都にとって、とても受け入れ辛いことだ。本来妹を守るのが兄の役割だから。

 

 「そういえば、舞衣ちゃんの進学先は?もう決まった?」

 

 「え?あ、はい…。美濃関学院です。」

 

 「五箇伝か……」

 

 五箇伝というのは刀使に関する組織で、学校です。刀使や鍛刀師、御刀に関する研究などを教育的に栽培する教育機関であり、そしてその数は5つもある。

 

 美濃関学院、鎌府女学院、綾小路武芸学舎、長船女学園、平城学館。それらの学校で刀使を訓練し、サポートするのがその役割。

 

 でも、その役割の中で最も大きい目的は荒魂の討伐。それは、この組織が作られた時からの最大の目的だ。

 

 「うん、可奈美ちゃんもその学校を目指して頑張っているよ。」

 

 「でもその前に、まずは勉強だね。あの子は昔から可愛いおバカさんなんだから、兄としてかなり悩んでいるんだ。こんな可愛いおバカさんがこの世にいるなんて」

 

 「それ、褒め言葉?」

 

 都の言葉になんとも言えない表情をした舞衣。

 

 彼女は都がどれほどのシスコンなのか、ちゃんと理解しているつもりだ。

 

 可奈美に関したらいつもこうだ。小学校の運動会でもあの場で一番応援し、写真を撮りながら感動で泣いているのが印象深い。

 

 遠足のときも勝手について行って、何事も可奈美がやる前で用意した。そのおかけでよく先生に叱られた。

 

 でも……舞衣にとっての一番深い印象はやっぱりあのときのことだ。今、思い返すと、彼女の胸のどきめきが止まらない。

 

 「舞衣ちゃん?どうしたの、顔が赤いぞ?」

 

 「………!?なん、なんでもないです!」

 

 都が自分の異常に気づいてしまい、舞衣は慌てて隠す。

 

 でも反応するのが遅く、都の手は既に自分の額にある。

 

 「うん〜。少し熱い。やっぱり無理しているじゃないか?」

 

 「〜〜!!!」

 

 言葉すらも出せないくらい、舞衣は今凄く恥ずかしがっている。まさか、彼の手が直接自分の額を触るとは思っていなかった。

 

 (心臓もこんなに速く動いて、もうすぐ爆発しそうなくらいだ。)

 

 「どんどん熱くなっていくな……やっぱ熱……。」

 

 「お、お兄さん!もういいです!早く行きましょう!」

 

 もうこれ以上この状況に耐えられないのか、舞衣は速やかに都から離れ、早足で前方ヘ歩き出す。

 

 ちなみにこの行動はほぼ一瞬の出来事だ。舞衣はそれほど耐えられないのだ、だってそうしてくれた異性は家族以外で、都は初めな人なので。

 

 「おい、そんなに速く行かなくても……」

 

 そして置いて行かれた都は急いて舞衣のことを追う。

 

 結局、可奈美のとこヘ帰るまで、舞衣はずっと都のことを避け続いている。

 

 

 

 ♢

 

 

 

 「お兄ちゃん!舞衣ちゃんに何をしたの!」

 

 帰った直後、都はすぐ茶色髪の女の子に叱られた。

 

 原因は帰った直後、舞衣は急に可奈美のベットの上に倒り込み、変な言葉まで発していたからだ。

 

 「もう…だめ……」

 

 「お兄ちゃん……?」

 

 ベットの上に倒れた親友を見て、茶色髪の女の子 衛藤可奈美は冷たい目線で都の方を見る。その視線先に怒りみたいな感情が感じられる。

 

 「何もしてない!俺は舞衣ちゃんに何もしてないんだ!ただ手伝っただけ!ほら、アイスがあったじゃん?」

 

 「でも舞衣ちゃんがこんなことになってるんだよ!お兄ちゃん一体なにしでかしたの!?」

 

 最愛の妹に質問を迫られて、都はわけのわからない表情をしていた。彼は、自分がどれほどの罪を犯しているのかを自覚していないのだ。

 

 「だから、何もしていない!そ、それより…さっきから何やってたんだ?」

 

 しかしこれ以上まずくなっていく話題を続けさせないためにも、彼は意図的に話を逸らすことに努力し、可奈美の手にある刀について問うことにする。

 

 「ん?これ?あ、お母さんが前に使ってた刀なんだ。お兄ちゃんと舞衣ちゃんが帰ってくるまで少し感じたいと思って。」

 

 (よし、うまく話題を変えた。)

 

 「感じたい?刀の重量のこと?」

 

 「違う違う、これだよ。」

 

 都の話しを否定し、可奈美は立ち、刀を鞘から抜き、刀身を出す。

 

 「結構綺麗な刀だね。」

 

 「でしょう?私もこれ、結構気に入ってるんだ。」

 

 まるで自分が褒められたかのように、可奈美は嬉しそうに笑う。その笑顔は都にとっては何よりの癒やしであった。

 

 「お兄ちゃんに見せようっと。」

 

 そう言った可奈美は目を閉じ、暫くするともう一人の可奈美が現れた。しかも、どんどん可奈美と重なり一体となっていく。

 

 最後は白い光が可奈美全体を纏った。

 

 「写しか……。」

 

 刀使が戦闘するときに使う防御術≪写し≫。御刀を媒介とし、自らの肉体を霊体ヘ変換させる術。写しが発動状態ならば、受けた傷は現実の肉体に及ばず、少々の痛み程度で済む。

 

 これは荒魂と戦うときにとても役に立つ。例え誰かに斬られても、ただ痛かっただけ。写しを解けば傷なんて一つもない。

 

 「さっきからずっとこの状態を練習してるの。どれくらい維持できるのか。」

 

 「そうか……」

 

 「お兄ちゃん、スマホ取って何する気?」

 

 「記念写真を撮ろうと思って。大丈夫、三十枚以内で済ませるから」

 

 「多すぎ!」

 

 「これは記念写真なんだ!この程度の数ではまだまだ足りないよ!」

 

 「ええ………??」

 

 都の異常さに呆れ始めた可奈美。彼女がいくら兄の行動を昔から見てこようと、いつまでも慣れる事はなかった。

 

 ちなみに、可奈美の写真の数は母がなくなった日からもう一万枚を超えている。他の男子中学生のスマホにある画像の大部分は、エロ写真が多いのだろうが、都は妹に関する写真が圧倒的に多い。

 

 これは世間で言う所謂、シスコンと言うやつだ。

 

 




美奈都をもっと知りたい……人妻時期の。
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