可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

10 / 81
今話は恐らく一番長い内容となります。ほとんどは戦闘や分析シーンが多かったです。

一応二つ部分に分けようと思ったんですけど……次話が第二事件の結末編を作りたいという予定なので、そのまま一話で三回勝負を終わらせた。それと、本編の前に長い話は良くないですので。


第八話:賭けと試合

 ねぇ、誰を賭ける?

 

 もちろん、刀使の方へ!

 

 そんなの当たり前のことじゃない!

 

 しかし、元々中等部の刀使がかけた勝負じゃない?……いつの間に刀使すらない男と刀使の戦いに変わってしまった。

 

 マジ!?これは笑える!何考えているんだ。刀使に勝つのは刀使しかないじゃない?

 

 話題になりそうww

 

 まさか美濃関の中にこんな馬鹿なやつがいたんなんて……。

 

 しかも噂によると、彼は高等部の人なのよ。鍛治科の人らしい。

 

 マジ!?まさか刀に関する仕事を触れすぎで頭がおかしくなっちゃった?

 

 いや、そもそもこの試合が大笑いだ!刀使の方に同情するよ。こんな相手がいると、逆に刀使の方が可哀想www

 

 「これはひどい……」

 

 観客席へ移動した美炎は周りからの評判に心がとても痛い。

 

 まさか周りの学生たちはこんなひどい言葉が出せるとは……美炎は思い付かなかった。

 

 確かに都がする行為は馬鹿とも言える行為だが、あそこまで言わなくても良かった。

 

 同情でもいい、少しても都を応援してあげて。という願いを抱かえる美炎。

 

 しかし、周りにいるのは冷たい言葉と笑い声。

 

 「怖い……」

 

 周りの評判に全身ビビった美炎はきゅーと都が預けた携帯を胸に締める。

 

 彼女はわからなかった。

 

 なぜ周りの人たちはこんなに怖いんだろう。一緒に同じ学校で同じ生活を過ごしたのに……誰も都の悪い口をひどく言っている。

 

 こんな冷たい環境は美炎が知らなかった……。

 

 「先輩……」

 

 もう一度都の携帯をきゅーとした美炎は都のことを思い出す。

 

 彼はとても優しい人、誰よりも優しい人だ。友達が困った時も精一杯に手を貸す。例え目の前の困難は追い超えないとしても、彼は勇敢で立ち向かう。

 

 そんな彼はとても格好良くて優しくて、とても頼れる人だ。

 

 そんな彼を美炎は好きだ、何もかも好きだ。故に、好きな人に美炎が唯一できるのは……。

 

 「先輩、頑張って……」

 

 彼を応援しか。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 同一時刻。

 

 「間に合った!でもお兄ちゃんに会えないんじゃん!」

 

 急いて体育館に到着した可奈美たちは観客席にいた。本来は直接都に会うつもりだが、スタッフ担当の学生たちに禁じられて、ここまで連れて来られた。

 

 「落ち着いて、可奈美ちゃん。今慌ても何も変えないよ。」

 

 そして、慌てた可奈美を慰める舞衣は彼女の手をきゅっと握り締める。

 

 「でも、お兄ちゃんは刀使と戦うのよ!いくらお兄ちゃんでも無茶すぎるよ!怪我でもしちゃったらどうするの!?」

 

 こんな泣き出しそうなくらいに慌てた可奈美は舞衣は初めて見た。

 

 可奈美は本当にあの人(お兄さん)のことを何より大事にしていたと舞衣は改めて実感した。

 

 「大丈夫だよ!お兄さんならきっと……無事だと思う。」

 

 実のところ、舞衣も都の安全を確定できない。

 

 だって、何の力も持たない一般人は特別な力を持つ刀使に勝てるはずがない。刀使の歴史でもそんな特例が存在しない。故に例え剣術はどんなにすごいでも、刀使には勝てない。

 

 こういう状況だから、舞衣もその自信がない。

 

 現実は想像より酷かった。

 

 「う……うぅ……お兄ちゃん。」

 

 「あ……」

 

 そして可奈美はいよいよ我慢できないところ、泣き出した。

 

 涙がボロボロ落ちていく。彼女は都が傷つかれるのが嫌だった。だって、大好きのお兄ちゃんだもん。

 

 彼はずっと彼女のそばにいてくれた。

 

 辛いときも理由問わず、助けに来てくれた。誰よりも頼れる大事な人。

 

 「…………可奈美ちゃん。」

 

 試合がまだ始まっていないのに、泣き始まった可奈美。

 

 そんな辛そうな可奈美を見て、舞衣も心辛く可奈美を抱きつく。

 

 彼女も都のことを凄く心配している。でも可奈美の前では泣けちゃいけない。でないと、彼女を支える人がいなくなっちゃう。

 

 「舞衣ちゃん〜〜!」

 

 舞衣の胸の中で泣き出た可奈美は強く舞衣を抱きついた。

 

 そして舞衣も強く抱き返す。

 

 「可奈美ちゃん……」

 

 とても悲しいそうな可奈美に舞衣は優しく彼女の頭を撫でる。

 

 少なくとも彼女の痛みを減らしたい。

 

 「あれ?可奈美と舞衣?来たんだ。」

 

 そこで、彼女たちを発見したのは美炎だった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 「大丈夫だよ!可奈美!なぜばなる!」

 

 「でも……」

 

 精神状態が今までより弱くなった可奈美に、美炎は元気そうな顔で彼女を慰める。

 

 そんな彼女とコンピした舞衣も可奈美のそばで元気をつける。

 

 「都先輩のことを信じていますか?」

 

 「信じているけど……相手は刀使よ!いくらお兄ちゃんが強いても、敵わない相手だよ!」

 

 「…………でも、きっと何か策があるかも。そうですよね?美炎ちゃん。」

 

 美炎を見て、舞衣は少し冷静を取り戻した。

 

 冷静に考えると、都はそこまで馬鹿な人間ではない。確かに無茶のところがあるが、彼は勝てない戦をしない人だ。

 

 それに、勝負はいくらなんても都が斬られる時点で決められるものじゃない。きっと峰打ち程度で決める。

 

 ならば、一定の勝ち率がある……と舞衣はそう信じたい。

 

 「そこはわからない……でも、都先輩は俺に任せろって私の加州清光を借りてた。きっと大丈夫だと思う。」

 

 「………本当にそう言っていたの?」

 

 「うん、だから私はここにいる。都先輩を全力で応援するのが私の役目。例え周りの連中が先輩の悪い口を言っても応援する!」

 

 特に決心していた美炎は微笑んで、自信満々の顔を可奈美に向かう。

 

 そんな美炎を見て、可奈美も少しの勇気が分け貰ったみたいに涙を拭い始めた。

 

美炎ちゃんがそこまでお兄ちゃんのことを信じていますなら、妹である彼女は自分の兄を信じないのがどうする!

 

 「ありがとう、美炎ちゃん。私はもう大丈夫です!」

 

 「そうか、それは良かった。元の可奈美に戻って……」

 

 可奈美が元の調子に戻った様子を見て、美炎は微笑んだ。

 

 やっぱり元気の可奈美が可奈美に似合う。

 

 「うん!舞衣ちゃんもありがとう。私を慰めてくれて」

 

 「ううん、私はただ可奈美ちゃんを抱きつくだけだよ。」

 

 「でも舞衣ちゃんがそばにいなかったら、私がどうなるかは知らないよ。だから、ありがとう。」

 

 「可奈美ちゃん……」

 

 「二人とも本当に仲がいいんだね。」

 

 凄く仲良い二人を見て、美炎は素直に感想を付く。

 

 二人はまるで自分とちぃ姉みたいな凄く仲良い関係。そういえば彼女が長船へ行った後、全く連絡が取れない……忙しいのかな?

 

 長船に関する噂について、美炎が少し知っている。あそこは五箇伝の中で“刀使の装備”に関する最新技術を持つ技術学校であり、ネット上では自称長船の学生の「休暇をくれ」というネットネームをつけた人が長船の学長の悪口をばかり言っている噂がある。

 

 どうやら、あそこは大変そうな学校だと美炎がそう認識している。

 

 「でしょう?舞衣ちゃんは小学校からの付き合い、作ったクッキーもすごく美味しいんだ!」

 

 「うん!それもわかる!ちぃ姉のも美味しいけど、舞衣のも悪くない。」

 

 「もう〜、二人共。そろそろ試合が始まるところだよ!ほら、相手の刀使も出たところなのよ……あれ?三人?」

 

 三人の刀使が場内に現れ、舞衣が理解不能の顔をしている。

 

 普通には相手が一人のはず、なんて三人が同時に出たなの……?

 

 「あ、それは………」

 

 舞衣の困惑を聞いて、美炎は言い辛そうな表情をする。

 

 「何かを知っているの?美炎ちゃん。」

 

 「………うん。少し事情があって……先輩はこの三人と三回試合を行うつもり……」

 

 「え……?」

 

 美炎の話を聞いて、可奈美と舞衣は固まった。

 

 だって、こんな話は普通にはありえない。

 

 そして、この場の中心になる話題人物衛藤 都がやっと出場した。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 周りの人たちの反応が特に予測済みだ。

 

 なんだあいつは……馬鹿じゃないの?

 

 刀使に挑むなんて頭がおかしい!普通にはありえないでしょう!

 

 笑えるよwwあいつ、大金で自分を賭けるなんて……頭がおかしいw

 

 美濃関随一の大馬鹿さんの出場だ!

 

 さっさと負けて、金を払え!

 

 冷たい無情の評判が観客席から伝わって来た。ほとんどの人は自分の虐めを見るためにここに来た。

 

 とても心痛むことだ。同じ学校に通う学生なのに、こうして他人に痛みをつけて嘲笑う。

 

 この行為はまるで昔に戻ったみたい。とても懐かしくて憎しい。

 

 思い返そうと思ったら、全員をぶっ殴りたい気分だ。

 

 でも今は昔と比べたら、この程度は大したことじゃない。昔は特に酷かった……母がなくなったあの時期にたっぷり虐められた。

 

 だから、今のはまだまだ痒いレベルの悪言だ。

 

 都にとって、気にすることではない。

 

 それに、美炎が今でも味方として自分のことを応援してくれた。ただ一人で自分を応援してくれる女の子だ。

 

 彼女の御刀を握ると、まるで彼女がそばにいるみたい……いや、彼女だけじゃない。お母さんもいる。

 

 なぜたか、お母さんがそばにいる気がする。

 

 だから一人じゃない。それを知れば何も怖くない。

 

 「あら?ようやく出場したのね〜。美濃関随一の大馬鹿さん。」

 

 一歩を進んで、試合場に入った都はすぐ周りの人からひどい言葉に飲み込まれた。

 

 それに加えて、目の前にいる向こうの相手も都を舐めた口で偉そうにそう言う。

 

 正直、周りの評判はどうでもいい。けど、いつも真面目で自分なりに頑張っていた長江を傷つける元凶のその口ぶりは都が許せなかった。

 

 今、心の中でも静かな怒りの炎が燃え続けている。

 

 「てっきり今日はあの女と決着をつけると思ったのに……まさか、途中で大馬鹿と交代するとは思わなかったわ〜。」

 

 「きっと逃げたのよ!私達に負けたくないから、こんな男を犠牲して、自分の名誉を守ろうとした。所詮あの程度の女だわ!」

 

 「しかし、彼女の代わりに出場するとは、よほどあの女のことが好きだね。可哀相だけど、お似合いですよ〜あなた達。」

 

 三人は一人一人、ふたばの悪い口を言っている。それを聞いた都の顔がどんどん険しくなっていた。

 

 逃げる?いや、長江さんはそういう人じゃない。それに彼女も人を犠牲にするやつじゃない。

 

 俺は自分の欲望でここに来た。好きとかは関係ない、ただ彼女に代わってお前たちの顔を泥まみれるに来た。

 

 せいぜい刀使すらない俺にやられて、その屈辱を味わえ!何せ、俺は一般人だから。

 

 沙耶香の件も十分証明してくれた。

 

 ただ一人の男に刀使三人がやられるのはとても醜い話であった。世間に知られたら刀使に関する名誉が地に落ちる。

 

 俺は喧嘩を売ってるやつには容赦なく叩き潰す。特に偉そうに、心が汚いやつを絶対に許さない。

 

 「長江さんは逃げるんじゃない、ただ俺のわがままに乗って俺に任せただけだ。」

 

 「……つまり彼女はあなたの欲望に大人しく聞いてくれた女と理解してもいいのかしら?」

 

 「あはははは、相当ビーチの女だね。男の言いなりに従っ……」

 

 「それは違う。俺を信用したから俺に任せた。それより、お前らはもう長江さんはに謝る覚悟ができたか?」

 

 「誰がそんな女に!まるでお前が勝つのは当然のような言い方!」

 

 「そうだ。」

 

 「………っ!」

 

 都の自信満々な口ぶりにムカついた三人衆。彼女たちはそれぞれ刀使の誇りを持っている人間だ。

 

 そんな誇りがただ無力の人間に屈辱されて、彼女たちのプライドは許さなかった。

 

 「貴様……!あの女と同じ、先輩を尊敬する心が持ってないのか!一応私達は高等部二年の先輩方ですよ!あなたの先輩ですよ!」

 

 「先輩だからなんだ?お前らは俺が尊敬する価値がない。」

 

 「なんだと!」

 

 「あいつは放っておけ。頭がおかしい男にどう言っても私達に勝てるはずがない。それに彼が出場した時点で学園生活が終わった。可哀相に。」

 

 一番冷静な女が言ってるのは確かな事実だ。都もそれをちゃんと理解しているつもり。

 

 周りの人間は殆ど都の悪い口しか言ってない。何せ、都が刀使を挑んだから、それに自分の勝利を賭けた。

 

 これほどのバカは、例え今日が終わるとしても、今後の日々もそういう評判を抱かいて過ごすしかない。

 

 これからの三年間も周りに笑われ続けられ、その環境で過ごすのだ。

 

 もちろん、都もそれを承知していた上で彼女たちに挑んだ。前も言ったとおり、都が評判などは気にしていない。

 

 この程度は大したことじゃない、あの頃に比べたら……。

 

 「………そろそろ始めようか。裁判さん、公平の裁判はよろしくお願いします。」

 

 「あ………は、はい。強いんだね、あんたは」

 

 周りの人の評判を無視する都にさっきずっとここにいて、顔が優れない裁判はそんな彼を感心する。

 

 ここまでひどく言われて、平気にいられるのが彼一人だ。

 

 「それでは、今回限定の勝負条件を説明します!この試合で写しの使用が可能だ。つまり御刀で戦うことになります。しかし、傷員を防ぐために刀使の方は峰打ちの形で勝負を決められております。」

 

 「…………よかった。」

 

 勝負条件を聞いて、可奈美と舞衣はともに息を吐いた。これで負けたとしても、都が傷つけずに済む。

 

 ちなみに美炎の方は先に知っている。なぜならその条件は都からの提案だ。相手がこの挑みを受け入れるために用意した作戦だ。

 

 「そして、もう一人の方は刀で相手の写しを剥がるのが勝利条件だ。異論がないよな?」

 

 「ない。」

 

 一斉に両方が条件を承った。

 

 「なんの?あの御刀は……“先端がない”?」

 

 御刀を抜き始めた都に相手の三人の一人も御刀を抜いて、写しを貼っている。

 

 二人は一定の距離を保て、対峙する。

 

 これは刀使の立ち合いにおいてよくある礼儀の表現。

 

 相手を尊重して、公平に戦う。これは古い時代から流れた伝統である。

 

 そして都と対峙する相手は都が握っている刀の方へ注目する。その刀は綺麗な刀身ですが、“先端がない”。

 

 つまりあの御刀は虎の牙がない折れた御刀である。

 

 「ふ、ふふふふ……アハハハハハハ!!あんたは勝ち目が見えない勝負を挑む大馬鹿だけではなく、持ってる刀も同じ格なのね!もしかして笑わせるために、ここに来たの?折れた御刀でどうやって私達に勝つの!」

 

 そして彼女はまた都のことを大笑う。

 

 いいえ、彼女だけではなく、それを見た観客も一斉に彼を嘲笑うことにした。

 

 こんなひどい場面を見た裁判も心痛く、視線を彼から逸した。これ以上は見てられない。

 

 「よし!条件付きた。俺が勝ったら、長江さんだけじゃなく、この御刀の元主人にも謝れ!」

 

 しかし、また平気にいられる都がさらに賭け事を。

 

 「それはあんたが勝ったらの話だわ。一瞬で終わらせてあげる」

 

 もうこれ以上無駄話をしたくない相手がようやく戦闘態勢に入る。

 

 都も同じく、柳生新陰流の構えで向かう。

 

 両方は早くこれを終わらせたいと希望している。

 

 「……始め!」

 

 両方が戦闘態勢に入るところを見て、裁判は試合開始の合図を放った。

 

 「……迅移!」

 

 試合の合図が放った数秒。刀使の方から迅移を使い、一瞬で都に近づく。狙い通りに彼女は一瞬で終わらせるつもりだ。

 

 その速度に目が追いつく可奈美は緊張の心を持ちながら、都の無事を祈る。

 

 しかし、彼女の目は次にありえない現象を見た。

 

 「…………っ!?」

 

 ただの一瞬。

 

 綺麗な一閃とともに、刀使が両断されて、写しが見事に剥がされた。

 

 「何か……起きた……」

 

 ありえない現象を見て、この場にいる都以外の全員は驚愕の声が漏れた。

 

 何せ、予測外のことが起きてしまったのだ。

 

 「これで一人目。……裁判さん、よろしくお願いします。」

 

 「え……?あ、はい!しょ、勝者ーー衛藤 都!」

 

 あんまり予測外の結果に呆れられた観客たち。その中に可奈美たちの姿がいる。

 

 「あれは………舞衣ちゃんの居合……」

 

 その場で最初、その現象に反応できたのは衛藤可奈美だった。彼女はあの一瞬の出来事を見逃せなかった。

 

 あの一瞬で都が居合の構えに変えて、迅移よりも早い速度で相手を切った。

 

 普通にはありえない、信じてられないはず……けど、可奈美は不思議とそれを受け入れた。

 

 彼と小さい頃から稽古し続けてきた衛藤可奈美は“その現象を知っている”から。

 

 あれは‘’全集中‘’なのか……?

 

 《全集中》、あれは都が自ら作り出した自分だけが使える得意技。集中力を限界までに上がり、柳生新陰流の剣技をさらなるの高みヘと上がるチート技。

 

 「…………」

 

 そして、その件を知るのは可奈美だけではない。柳瀬舞衣もそれを知っている。

 

 でも可奈美よりは詳しくない。

 

 彼女が知るのは自分が誘拐されたときに、都がそれを使い、周りにいる数十人の大人たちを斬り倒したこと。

 

 「……強っ!都先輩めちゃ強っ!あんなに強かったの!?あの人!」

 

 最後に反応遅れたのは美炎だった。

 

 可奈美たちより都への認識が少ない彼女は結構の時間をかかった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 何なの!さっきのは!?

 

 刀使が倒されただと!?ありえない!

 

 一目の勝負が終わったところ、スタッフたちが気絶された刀使を場外ヘと運ぶ。

 

 この間、観客たちは次々と意識を取り戻していく。

 

 そして、さっきの結果に次々と信じてられない反応をした。

 

 き、きっと運だけだよ!たまたま斬っただけ!

 

 そうだよ!そう解析しないと、話が通じない!

 

 次は負けない!俺は刀使たちに賭けたから。

 

 頼む、勝ってくれ!

 

 一部の人は現実逃避が始めた、だって今まで刀使が一般人に敗れる記録がないから。

 

 普通の人間や刀使は長い間に一般人では絶対に刀使に勝てないという常識に囚われていた。

 

 「さぁ、次だ!早く来い!」

 

 倒された刀使が場外に運ばれた後、都は相手のことを(うなが)す。

 

 「………きっと、たまたま。そうよ!でないと、負けるはずがない試合でこんな可笑しいな発展になったのはありえないわ!」

 

 そうしたら、次の相手が震えた声で自己を慰めながら、場内へと移動する。

 

 彼女の目はもう前の余裕が感じない。

 

 「油断しちゃ駄目よ!これ以上の屈辱はもう耐えられません……!」

 

 場外にいる最後の一人も自分の仲間に真面目にやると指示をした。

 

 恐らく、あの一番落ち着いた女は三人の中で一番強いだと都がそう認識した。

 

 でもーー

 

 「どうしたの?めちゃくちゃ怯えているんじゃん!自分の仲間がこの“一般人”である俺に“このような刀”で敗れたことに怖いのか?前の強勢はどこに行った!」

 

 都は相手のことを挑発し、態度はとても悪かった。

 

 都が長江と美炎が屈辱されたことに、まだ許していない。

 

 特に美炎の方。彼女はただ一人で自分を応援してる。そんないい子が虐められるのは都が許さない。

 

 「うるさい!すぐアンダをここで打ち止めてみせる!」

 

 「それは無理だ。お前らが俺を怒らせた以上、もう勝ち目がない。容赦なくお前のプライドと名誉を踏みつぶしてやる!」

 

 「流石に言い過ぎ……紳士としたの面子がないですか?」

 

 「紳士?何それ?最初はそれを持ってなかった。」

 

 女でも口が容赦しない都に対して、裁判は苦笑い。

 

 確かに、これまでの待遇においてはこういう反応は普通のことだ。が、少なくとも礼儀正しく向かうのもいいじゃないかと裁判はそう思っている。

 

 「まぁ、お前がそっちのほうが好きなら……では両方、構え!」

 

 裁判の指示に従って、二人はそれぞれの流派の構えをした。

 

 いよいよ、二回目の立ち合いが始まるところ。

 

 この場にいる大部の人は都が負けることを望んでいる。

 

 この場で唯一そう思わない可奈美たちはずっと都のことを応援している。

 

 「………始め!」

 

 試合開始の合図とともに、刀使はとんでもない速度で都に近づく。見た目はさっきのと変わらない正面攻撃ですが、彼女は都の前に消えて、一瞬背後に回った。

 

 これで彼がどう早くても、背後からの攻撃には防げないのだろう。速度では刀使の方が圧倒的な有利。

 

 それに彼女は都の攻撃範囲に入ったその一瞬で背後に回る。つまり彼女はうまく彼の目を(あざむ)くためにわざわざ正面突撃の態勢を取った。

 

 一応彼女は高等部の刀使。心がどう腐れたとしても、実力は中等部の普通程度の子には負けられない。

 

 しかし、彼女の思いは特に“予測された”。

 

 「なっ………!?ば、馬鹿な!」

 

 彼女が刀は都の頭に僅かの距離で止まらせた。そうしたら、彼女の写しが剥がれて、後ろの方へ無力に倒れた。

 

 「これで二人目だ……。これは加州清光を嘲笑う結果だ。せいぜい後悔するが良い。」

 

 「しょ、勝者ーー衛藤 都!」

 

 また勝利の宣言が上げる同時に観客席の方は実感がない雰囲気が漂っている。

 

 これは二回目、一瞬で終わらせた試合だ。とてもぎこちない発展である。

 

 これはもう試合でも呼ばれない、ただ一方的にやられただけだ。

 

 そしてほとんどの人はさっきの動きを見えなかった。いや、見えないというか、どうやって背後の刀使の写しを剥がすなのかは知らなかった。

 

 彼はただ正面だけを見ているのに、なぜわざわざ背後に回った刀使が逆にやられた?その不思議的な真相を知ったのがただの数人だ。

 

 「可奈美ちゃん……あれを見た?」

 

 「うん、ちゃんと見た。お兄ちゃんは相手が目の前に消える前に刀の先端を“先に後ろに向けた”。」

 

 「え……!?どういう意味?見たって……まさか、見たの?」

 

 「うん………」

 

 観客席にいる舞衣は信じられない表情で、さっき見たものを理解してない美炎に説明する。

 

 「本来、これはありえないことですが……でも、相手の位置を計算したら可能になる。」

 

 「え……?とても複雑!」

 

 「わからなくてもいい、お兄さんの行動は既に私達の想像に超えたから。」

 

 つまり相手の動きを読み、相手が背後に回ることを知り。それを対応するために相手の位置と到着時間を計算する。

 

 理屈がわかるが……実現するのは難しい。これは事前に相手の思いを知らなければ、実現できないことだ。

 

 そうなったら、彼はきっと試合が始まる前に相手がそのような行動を取るのを予測していて、先に対応をした。

 

 「お兄ちゃんは……さらなる高みへ至った。」

 

 理屈がわかってしまった可奈美はうずうずした体で都の方へ見つめる。

 

 これは強者を見て、稽古狂人の血が昂ぶっている現象。

 

 二人の刀使が彼に瞬殺されたことに可奈美はとても嬉しかった。

 

 なぜなら、都がさらなるの高みへと辿り着いた。本来倒すことがありえない刀使が彼に敗れた。

 

 これは偶然ではない、彼の実力によることだ。

 

 剣術馬鹿()にとって、()が示した異常くらいの強さはまるで輝いている星。いつか自分もその星に近づきたい。

 

 例えお兄ちゃんが剣術への熱情が消えたとしても……お兄ちゃんは止まることもなく、自分の剣を磨き続けていた。私もこのままじゃいられないね。

 

 ドキドキしてしまった心に、可奈美はあることに決心した。

 

 いつか私はお兄ちゃんのように強くなりたい。置かれてはいかない、必ずそばに行く!

 

 バキンーー

 

 その時、千鳥もそんな可奈美を応えて彼女と共鳴した。

 

 「うん、一緒に追いつこう。千鳥。」

 

 

 ◇

 

 

 「さぁ、お前は最後だ。」

 

 二人目の刀使が場外に運ばれた後、都が場内に入った最後の刀使を睨んでいる。

 

 「アンダがここまでに行くのは流石に予測外でした……どうやら、アンタは本気で私達の名誉を踏みつぶすつもりね。」

 

 しかし、彼女からあの嫌な雰囲気が消えた。態度も前より柔らかくなった。

 

 「当たり前だ。長江さんにあんなことをして……私の大事な後輩の刀を侮辱するのが許さない。」

 

 「………悪かった。確かに彼女たちの悪意的な行動に目を閉じたのはこの(わたくし)ですが、結果としてあの女を傷つくことになりました。そしてその因果がアンタをここに連れてきた。」

 

 「やっぱり提案者がお前じゃないな。あの二人より、お前のほうがよっぽど大人しい。」

 

 「ええ、それでも私はあの女を傷ついた。彼女に申し訳ないことをした……」

 

 彼女から反省している気配が感じた。見た目はそれほど悪い人じゃないな……。

 

 なら、悪いのはさっき倒されたあの二人だ。

 

 「謝りたいなら、俺と戦って負けて、彼女に謝れ。」

 

 「………ええ、私が一人に残された時は既にそのつもりだわ。……後輩君、あの女、“長江さん”のためにここまでにする必要がありますか?例え私に勝っても周りの人間から大量に恨みを買ってしまったアンタは、これからの生活はただじゃ済まないと思うよ。」

 

 逆に心配されてしまう都は笑って、御刀を抜く。

 

 「大事な後輩だからな、それと服部先輩の未来の彼女さんでもある。いわゆる恩返しのもんだ。」

 

 「そんなもんじゃないのよ……けど、相手が後輩君で良かった。」

 

 彼女は刀を抜いて、都の方に向かう。

 

 「これで全力で戦えそう。私は一応先輩ですし、後輩君に負けるつもりがないわ。」

 

 「俺も。けど、一つだけ先輩を侮辱する機会をもらえますか?でないと、このモヤモヤの気持ちが払えないですよ。」

 

 そう言って、都が抜いたばかりの加州清光を鞘に収まって、御刀を地面においていく。

 

 「どういうつもり?」

 

 彼女が都のことをすごく睨んでいく、流石にこの行為は彼女のプライドの線を触れた。

 

 「俺は自分の流派の無手の型で戦いたい。裁判さん……俺の我儘、聞いてくれます?」

 

 「写しが剥がれるなら、やって見ろう」

 

 都の我儘に聞いて、裁判は何かを諦めような顔で都の行為を許した。

 

 「………ふふっ、いいでしょう。けど負けたら、後悔しないわよ。」

 

 裁判の反応を見て、小さく笑ってしまう先輩。なんだ、いい顔でもできるじゃん。

 

 「後悔しませんよ。」

 

 都が上半身を前に傾けて、左足を前に、右足を後ろに。

 

 この待機姿勢を見て、理解しまうのがこの場ではただ二人しか。

 

 彼女たちはこれが新陰流の無手型ではないと知っていた。

 

 「それでは………始め!」

 

 試合開始の合図。最初に両方がお互いの出手を探る。と思いきや、刀使のほうが先に動き出していく。そして、彼女の姿が消えた。

 

 「二段迅移……!」

 

 迅移は階段性が分けている。段階が多ければ速度がもっと早くなる、今では4段迅移は最大の限界。これ以上の段階は誰でも使えてこない。

 

 例え、あの折神紫でも5段にたどり着かない。

 

 ちなみに、4段迅移の速度はライフルが撃つときの弾の速度と同様の速度である。

 

 初期の速度で、可奈美と舞衣がこれを二段の迅移だと判断した。

 

 これは一人目(刀使)が使うのより、もっと早い速度の技。都がこれを防ぐがどうかは可奈美さえも予測できない。

 

 しかし、試合の結果はすぐ彼女達に示した。

 

 「絶空(ぜっく)ーー!」

 

 相手が二段迅移を使うとともに、都は可奈美たちの反応より早い速度で相手の方に走り出す。

 

 そしてただ二秒の誤差で、都が拳で相手を突き飛ばす。

 

 「クッはぁ!?」

 

 相手が飛ばされたと同時に写しも、うまく解除できた。

 

 そして、相手はかなりの距離に飛ばされて地面に倒れていた。

 

 「勝者ーー衛藤 都!」

 

 嘘だろう!?

 

 何か起きた!?

 

 なんてまたこの局面なのかいーーー!!!

 

 高等部二年の刀使三人が倒されたーーー!!?

 

 賭けた金が無くなったよーー!!!?

 

 勝利宣言とともに、場内が一瞬に賑やかとなってきた。

 

 いや、賑やかというか……ほどんと悲しいと怒りの悲鳴だ。そんな雰囲気の下で都が気持ち良さそうに観客席の方にこう言った。

 

 「皆さん、賭け事は程々にね。」と言った直後に彼は先輩の方へ行った。

 

 そして背後はすぐに怒りの悲鳴が一斉にかけてきた。

 

 ふざけんなーー!金を返せ!

 

 この野郎!絶対に許さない!

 

 俺はいくら賭けたのか知らないのかーー!!?

 

 「………見事だ、後輩君。これは君の勝利だ……と言いたいことだが……この状況においてはどうするつもり?」

 

 地面に倒れ込んだ先輩がまた意識が保っているようで彼のことを見る。しかし、周りから伝えてきた怒り声で逆に彼を心配する。

 

 「また秘密。けど、ひどいよね〜。周りの人が俺を敵として見てないとは……冷たいよ。」

 

 「自業自得という言葉意味を調べて見たらどうですか?」

 

 「先輩までもか……」

 

 「ふふっ……でも、すべての人じゃないのよ。あんたを心底から信じて応援する人もちゃんといると思うわ。聞こえているでしょう?」

 

 「ああ……恥ずかしいくらいに聞こえたよ。」

 

 恥ずかしい顔で、都がちゃんと聞こえてきた。

 

 この場にいるただ三人の女の子たちが自分の勝利に揚げた歓声を。

 

 「お兄ちゃんが勝ったよ!舞衣ちゃん!」

 

 「うん、大勝利です(泣きながら)。」

 

 「都先輩、三連勝おめでとうーー!!」

 

 それを聞いて、都が両手で自分の照れた顔を隠す。

 

 「………本当に俺には勿体無いくらいに最高の妹と友達だぜ。」

 

 ちなみに、都の耳が他の人間より何倍も可奈美の声を感じ取れているから、当然として可奈美たちの声が聞こえている。

 

 これもまたシスコンの極みと言えるのだろう。




補充説明:今回出ていた≪絶空≫とは≪縮地(しゅくち)≫という古い武術から参考させていただいた技です。都がそれを読み、無手型の予備動作に混ぜて、相手の初期反応より早く先手を取る技である。もし理解が間違えたら、コメントにしてください。私は皆のコメントを楽しみにしています。

#一部の設定を変更させていただきます。原作では最大の迅移は五段でした、申し訳ございません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。