可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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少し甘すぎるのかな?まぁ、第一話だし。甘いても許されそう?


第一話:妹と甘い味の夜

 「おかぁさん、なんでいなくなっちゃうの?」

 

 あれは俺と可奈美がまだ幼い頃の話。あのとき、お母さんが急に亡くなったことで俺と可奈美は一時にその創傷ダメージから回復されていなかった。

 

 昔からよく二人でやっていた稽古もやめて、衛藤家は今までもない静かさになっていた。お父さんもその日から二度と笑顔を見せられなかった。

 

 そして、まだ幼い可奈美は俺の手と繋ぎ、俺にまったく触れたくない質問をそのままに投げかけてきた。

 

 その時の俺は一時、彼女の言葉に何も答えてくれなかった……いや、幼い可奈美に答える勇気がなかった。今よく考えたら、多分あれはただの現実逃避というやつだ。

 

 だから、あの事件が来るまで、俺はずっと可奈美の顔を避け続けていた。彼女の顔を見ると、お母さんの姿を思い出せるから。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 「えっと……?」

 

 とある理由で(都のせい)精神的に疲れてしまった舞衣はようやく回復したところ、彼女はすぐ目の前の光景に呆れている。

 

 それは自分の親友、衛藤可奈美が真白の状態で机の前に正座していたからだ。

 

 「舞衣ちゃん、おはよう。」

 

 そして隣にいるのは彼女の兄、衛藤 都。彼は目が覚めたばかりの舞衣に気づき、まず挨拶をした。

 

 「お、おはよう……?そ…その、可奈美ちゃんはどうしてこうなってしまったんのですか?」

 

 舞衣は真白になった可奈美を指差し、都はただ笑顔で答えた。

 

 「勉強させた。」

 

 「あ……なるほど。だから真白なんだね……」

 

 一瞬で都が言ってた意味を理解し、舞衣は苦笑していた。

 

 可奈美は昔から勉強が苦手で、いつも舞衣の宿題の写しと都の助けで何とか成績を落とさないようにしていた。今回の勉強会も無事に美濃関学院に進学するために挙げられた事だ。

 

 「うん……剣術はあんなにうまいのに、それ以外はこの様だ。本当に迷惑をかけたな、舞衣ちゃん。」

 

 「いいえ、そんなことないです!可奈美ちゃんは私の大事な友達だから、迷惑なんて全然思っていません!」

 

 「……そうか。いい友達が出来だな、可奈美。」

 

 可奈美の頭を優しく撫でる。その光景は、舞衣から見ればとても微笑ましいものだ。

 

 「そういえば、舞衣ちゃんの成績は大丈夫?可奈美に足を引っ張られてるんじゃないの?」

 

 「いいえ、大丈夫です。」

 

 「そうか…。もし、何か勉強不足ならいつでも俺のところに来てくれ。いつも可奈美がお世話なっているお詫びに勉強教えてやろう」

 

 「……うん。その時はよろしくお願いします。」

 

 「おう!剣術以外は任せておけ!」

 

 胸を張って、都は元気よく答えた。

 

 でも、それは舞衣に聞いてはそうじゃなかった。

 

 昔、可奈美から聞いた。都は昔、自分と同じレベルくらいに剣術に溺れていた事があり、その時の彼は凄く強くて、剣術をとても楽しんでいたそうだ。

 

 でも、今になっては、彼が可奈美のため以外にその剣を振ることはなかった……。

 

 一度都の全力を見たことがある舞衣はそのことを気になって仕方がない。あの日の都はすごく強くて、かっこよかった。

 

 今でも可奈美に負けないくらいに強い。おそらくそれは、剣の才能だと思う。

 

 可奈美と同じくらいの強さ。例えそれは写しが貼ってない試合でも都はとても強かった。

 

 「ねぇ、お兄さんはもう剣を……」

 

 「稽古やろう!」

 

 舞衣がまだ話が終わってない所、突然復活して興奮し始めた可奈美に中断されてしまった。

 

 「もう復活したのか……」

 

 「可奈美ちゃん!?」

 

 「うん!稽古をやろうよ!お兄ちゃん!」

 

 「あ、舞衣ちゃんも一緒にやろうよ!私が勉強を頑張ったご褒美に!」

 

 「えっと…?」

 

 相変わらずなのか、可奈美はいつも剣のことにしか考えていなかった様子。

 

 そして剣のことに関していると、こんなにも目がキラキラした状態になる。断りたいけど、この目を見てしまうと断れなくなってしまう。

 

 「……もう約束してしまったんだが、もしそのせいでさっきの勉強が忘れたなら本末転倒なんだよ。だから俺はやらないぞ!」

 

 「えぇ〜、約束したのに〜!」

 

 ムッという顔になって、拗ねてる可奈美。救いようのないシスコンである都にとっては、可奈美のその可愛らしい顔は、だんだん彼女の願いを叶えてしまいたくなる魅力がある。

 

 けど時には厳しくなければ、良い兄になれないだろう。都は心を鬼にした。

 

 「だめ!」

 

 「じゃあ……」

 

 「舞衣ちゃんもだめだ。こいつに甘え過ぎたら、きっとこいつは調子が乗るに決まっている!」

 

 心を鬼にした都は、いつも以上に厳しかった。

 

 「えぇ〜、せっかく頑張ったのに……お兄ちゃんの意地悪…」

 

 「……仕方ないよ、可奈美ちゃん。今日はもう諦めよ。進学テストが終わるまでね。」

 

 「うん……」

 

 いつもより落ち込んでいた可奈美、その姿はまるで好きな玩具(かんぐ)が奪われた子供みたいに可憐だった。

 

 しかし、これも彼女のためだと都は心を痛めながら自己説得する。

 

 「それより、アイスを食べよう!せっかく買ってきたんだから!」

 

 「アイス!食べる食べる!」

 

 アイスという単語を聞いて、少し元気になった可奈美。そんな彼女を見て、舞衣は少し気楽になった。

 

 (やっぱり、可奈美ちゃんはそうでなくちゃ。)

 

 ずっと友人に笑顔でいてほしい優しい柳瀬舞衣だった。

 

 「おお!私の好物!!」

 

 早速袋の中から、可奈美はいちごアイスを取り出した。

 

 「可奈美ちゃんがそれ好きだから、買ってきたんだ。」

 

 「舞衣ちゃん、ありがとう!」

 

 「お兄さんも食べよう。」

 

 そして、舞衣の手にあるのはヨーグルト味のアイス。舞衣個人的の好物ではないが、これの味見をしたいと思っているようだ。

 

 「いや、俺はいい。」

 

 「でももう一個あるよ。」

 

 「可奈美にあげるよ。」 

 

 「でも……」

 

 せっかく買ってきた3つのアイス、本来あれは都のために買ってきたのだが、本人に断わられて残念そうに思う柳瀬舞衣。

 

 そこで、可奈美が何かいいアイディアを思いついたようで透かさず舞衣の耳に囁く。

 

 「舞衣ちゃん、ここで諦めよ。代わりに……私と一緒に……」

 

 「え!?」

 

 そう耳元で囁くと、舞衣の顔がだんだん赤くなっていく。

 

 「やろうよ!」

 

 「でも……」

 

 「せっかくのアイスを無駄にしたくないでしょ?」

 

 「……わかった。」

 

 どんどん迫ってくる可奈美に敵わない舞衣は仕方なく可奈美の提案に乗って、都の近くに座る。

 

 よく見ると、彼女の顔はまだ赤のまま。さっき可奈美に囁かれていた時はすごく可愛く見えるが……なんだか今、彼女が無理をしていると都にもわかる。

 

 「可奈美、舞衣ちゃんに何か教わったの?」

 

 「ふっふん!後で分かるよ。それよりお兄ちゃん、口を開けてくれない?」

 

 舞衣は都の右側に座っているので、それに対して可奈美は左側に座る。

 

 部屋の中で女子二人に挟まれてるこの状況は、まさに単身(どうてい)にとっていくら神に祈っても絶対に手に入らない状況。

 

 そこで、さらに……。

 

 「なんで?」

 

 「(すき)あり!」

 

 都が可奈美に言われて口を開いた瞬間、冷たい何かが口の中に入っきた。

 

 「冷たっ!」

 

 「どう?美味しい?」

 

 笑顔をしている可奈美は、いつの間にかいちごアイスの蓋を開けて、スプーンを持って都の方へキラキラした目で見つめていた。

 

 口の中にはいちごとドロドロのアイスの味がして来て、まるでいちごの雪が舌の上にどんどん溶けているみたいな感じ。

 

 一言で言うと、美味しい。

 

 「美味しいは美味しいが、なんで口餌すんの?」

 

 「だってお兄ちゃんにそうしないと、食べてくれないでしょう?いつも私だけ優先で不公平じゃん」

 

 確かに一理ありだが、都からしたらそうは行かない。妹を世話するのが兄の責務なのだから。

 

 「それ普通ーー」

 

 そうしたら、今度はまた口の中に別の味のアイスが入ってきた。

 

 この味はヨーグルトの味、普通に美味しい。

 

 「……ど、どう?お、美味しい?」

 

 ヨーグルトアイスを持っている張本人は、顔が真紅になってる状態で都の方を見つめる。

 

 そこで、上目遣いをしていると言う事と羞恥心で顔が赤くなっていた柳瀬舞衣。

 

 そんな赤くなった彼女を見るその刹那。例えどんだけ鈍った感性を持っている都さえも、彼女を見て心臓をドキッとさせられた。

 

 今の彼女はマジ最高に可愛かった。元々嫁力が高い女子だとは思っていたけど、こんなに可愛い表情もできるなんて……もう正直言葉が出ない。今なら彼女に1000回のプロボーズしても不思議ではないだろう。

 

 「お、美味しかった……」

 

 顔が少し熱くなっていた都も恥ずかしがっていたのか、僅か震えた声で彼女に返答する。

 

 この甘さはある意味確かに美味ではあるが、このアイスの美味しさを増倍したとは言えないだろう。

 

 「……よ、良かった。」

 

 「それじゃ、次は私ね。はい、あん〜」

 

 「私は可奈美ちゃんの次だね……が、頑張る!」

 

 なんのために頑張ている様子の舞衣。

 

 そんなもう少し頑張りますという顔をしないでくれ。さっきの上目遣いの顔をする時点でもう十分な威力なんだ。と心の中で二人からもらった甘さで既にデレデレになってしまった都からの精一杯のツッコミが走った。

 

 そして、舞衣と都が買ってきたアイスを食べ終わるまで、二人は都の両側でアイスをたっぷり味わっていた。

 

 でも、本当にたっぷり味わっていたのは、二人ではなく二人に挟まれていた彼だった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 「これは個人的な頼みだ。やってくれるか?」

 

 暗い室内で、冷酷な印象を思わせる低音の声が体を震えさせた男性に伝わっていく。

 

 しかし、その声はちっとも男性に伝わってはいなかった。なぜなら彼は目の前の人物にびびり過ぎて、緊張でパニックになってなんの声も耳に入ってこなかったからだ。

 

 「聞いてるのか?…聞いてないのか。ならばもう一度言おう」

 

 何せ、目の前に居るのはもはや首相と同じ権利を持っていると言っても過言ではない程の、この国の最高権力者だからだ。彼が緊張して震えてしまうのも当然だろう。

 

 平民風情である彼は本来彼女と関わるはずがなかった。しかし、突然彼は″あの家″に呼び出され、ここに連れ去られたのだ。

 

 「衛藤 都を五箇伝に入らせろ。どんな学校でも構わん。できる限りその妹と一緒に入らせたい。その為に君が彼を説得してやってくれ。」

 

 力強く自分の意志を伝う。目の前の女性は不可能と言わざるおえない命令をくださった。

 

 衛藤都は頑固の優等生、誰の話も聞いてくれない制御不能な生意気なガキだ。その点について男性はよく知っていた。何せ、ここに居る男性は彼の担任なのだから。

 

 「案ずるな。君の…というより学校全体の彼の苦情もよく知っている。もう既にある事を事前に用意していた。」

 

 女はどこかから資料を取り出し、机の上に置いた。

 

 その資料は一人の女子の資料。そこに書かれていた彼女の名前は衛藤可奈美。入学一覧にはもう既にチェックインされていた。

 

 「彼女の入学は確定だ。だがそれは彼女の志望によってどの学校に行くのか決める。この資料を全国入学テスト以後、衛藤都に渡してくれ。きっとこれで彼の志望は決定することになるだろう。」

 

 「..........そ、そんなに……あのカギをほしいのですか?」

 

 資料を見ながら、男は震えた声で初めて目の前の相手と話す。

 

 この資料はあまりにも準備万全すぎる。ただの刀使ですらない男のため、わざわざここまで用意しているなんて。あまりにも尋常じゃない。

 

 「ようやく口を出しだな……。てっきりあまり喋らないタイプだと思っていた。」

 

 「ええ……例え彼は刀使ではなく、御刀持たないだとしても、彼にはそれほどの価値がある。」

 

 強い意志で自分の意思を、目の前の男に伝う。

 

 それでも男には分からなかった。なぜ五箇伝はそんな刀使ですらない、しかも鍛造師でもない彼を欲しがっているのか。

 

 けど、それも数分後、男は思考することをやめた。

 

 「………わ、わかりました。」

 

 その言葉からはなんの意志も込もってない、ただ無力の声だった。

 

 男はこの女に聞く勇気がないのだろう。お互いの世界が違いすぎたからだ。

 

 「そうか……。報酬は依頼を成功させた後に送る。朗報を待っている。」

 

 話が終わり、女は手下の刀使たちにこの男を出口まで送らせる。

 

 そうすると、もう一人の刀使がちょうどこの部屋に訪ねてきた。

 

 その刀使は綺麗な赤い髪を持つ女の子。年齢から推測したら、まだ高校生の年齢なのだろう。

 

 「(ゆかり)様、そろそろ会見のお時間です。」

 

 「わかった、すぐに行く。」

 

 その刀使の口から出している名前はかつて数十年前相模灣大災害の大英雄、折神紫(おりがみゆかり)の名だ。

 

 今、彼女は刀剣類管理局局長という職務に就いておる。彼女の立場は、先程話していた内容にあった五箇伝の上官にあたる。首相に負けないくらいのこの国の最高権力者としてこの日本に彼女は君臨していた。

 

 同時に彼女は現世最強の刀使である。つまり彼女は今、剣の頂点に立つ最強の剣使いである事は、間違いないだろう。

 

 「……″衛藤″か。これも宿命か。止めるものならお前のその剣で私を止めてみせろ」

 

 「紫様?」

 

 「いや、なんでもない。行くぞ。」

 

 紫の言葉は誰にも聞こえてはいなかった。そして、その言葉の意味を理解する者は彼女しか居ない。




ここで我が嫁の登場!でも今はまだ第一席に勝てない…うぅ……男という尊厳が…!!
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