可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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今話はアニメ第二話に突入してきた。

逃亡した可奈美のことを心配した都もいよいよ行動を始めた。


第7話:尋問

 「ここまでだ、別れよ。」

 

 御前試合の決勝戦で起こった折神紫暗殺未遂事件からわずか一時間後、犯行者である姬和は可奈美とある神社の前にしばらくの休憩をする。

 

 この距離ではすぐ追手が追いつかないのだろう。だが見つけられるのも時間の問題だ。

 

 そこで、姬和は一緒にここまで逃げてきた可奈美に別れを求める。

 

 「ちょっと、それは無理だよ。一人じゃ……。あんな凄い迅移を使って、写しはまだ貼れない状態なのに……えっ!?ちょっ、ちょっと……!?」

 

 可奈美に向かって抜刀の構えを取った姬和の瞳から敵意と不信用感が感じられる。

 

 「…………さっき決着をつけたいと言ったな。なら今、相手をしてやろう。」

 

 まぁ、それも極普通の反応だ。自分か殺される存前になんの関係もない彼女に助けられ、一緒にここまで逃げていた。

 

 普通にはありえない。だってこの事態においては自分と関わったら、彼女も折神家に五箇伝の人たちに犯罪者扱いされる。

 

 この件から彼女がこうする利益や意味さが感じない。故に姬和は彼女を信用しない。

 

 「だから、駄目だってば‼」

 

 「これ以上付き纏われるのが迷惑だ。ここで切り合うか、でなければ去れ。」

 

 彼女の強い敵意を感じて少し慌てた可奈美。

 

 しかし、可奈美の勘は自分にこう教わった。このまま彼女を放っておけるわけには行かない。その理由はうまく説明できないが……。

 

 「……姬和ちゃんはこれからどうする?」

 

 「私にはやらなければならないことがある。」

 

 「やりたいこと?」

 

 「お前と関係ないことだ。それで、どうする?斬るかここから去るか。」

 

 「………もちろん、一緒に行くよ!今更、あなたと別れるわけにもいかないし……それに、お兄ちゃんもわざわざと私達のため、あの親衛隊の人を止まらせた。」

 

 そう、あの人は立場を関わらず親衛隊と戦って、可奈美たちがあの場から逃げ抜けるチャンスを作った。

 

 そうするリスクもあの人はちゃんとわかっているはず。それでも彼は最愛の妹のために協力してくれた。

 

 今更、彼の犠牲を無駄にするわけにはいかない。

 

 「………あの人はお前のお兄さんなのか?」

 

 「うん、世界一番かっこいいお兄ちゃんだよ。私はどうあれ、必ず助けに来る私のお兄ちゃん。」

 

 「………馬鹿の男だね。」

 

 「あ……!!お兄ちゃんの悪い口を言わないで!姬和ちゃんにも彼に助けられたのでしょう!」

 

 「別に助けられたか助けられない何も、彼は一般人だぞ!あんな身体で親衛隊に挑むとは命知らずに!」

 

 確かに、流石に親衛隊の人と敵対するのはあまりにも無茶しすぎた。けど彼なら大丈夫だと可奈美はそう信じている。

 

 「……それでも、お兄ちゃんは大丈夫!約束してだもん!ずっと一緒にいるって」

 

 「子供だな。」

 

 「姬和ちゃんも同じじゃない!」

 

 「私は中等部三年だが」

 

 「え?私より年上!?」

 

 「………茶番はおいといて、お前の本当の目的はなんだ。」

 

 目が細めて、姬和は可奈美を睨む。今だに彼女の警戒が解けていない。

 

 「え……?だから安全の場所まで、一緒に逃げて……」

 

 「なんのために?」

 

 「だから、力がちゃんと元に戻ったら、また試合をしてもらいたいから」

 

 可奈美が姬和に質問が迫れられて、ちょっと困った顔で答える。

 

 なんのだめなのかは自分でもわからない。けど、彼女と試合の決着をしたいという気持ちは確かだ。

 

 「……………」

 

 「……………」

 

 しばらくの沈默に二人はお互いのことを見つめ合う。

 

 そして、姬和から先に可奈美との共通行動を妥協した。

 

 「はぁ……何か目的かは知らないが、邪魔になったら見捨てる」

 

 こんな馬鹿な理由を持つしつこい人は彼女では二番目。一番目は小さい頃知り合ったあの男子。

 

 構えを解け、姬和は先より警戒心が薄くなった。

 

 「それって……一緒にいていいってこと?」

 

 「好きにしろ」

 

 「……っ!うん!好きにする!」

 

 嬉しい表情が顔に隠さない可奈美に姬和は呆れられている。

 

 この子はあまりにもわかりやすい……あいつのように。

 

 それから、姬和は神社の下に入り、ある手紙を回収する。それで可奈美に警戒の任を任せた。

 

 まさか、これを取り返す機があるとは……元からは生きて帰れないと思ってた。

 

 手紙を見て、姬和は思わずそう思っている。

 

 そして、手紙の上に書いてある文字は「十条 (かがり)様」という姬和にとって何より大切のもの。

 

 「あっ!私の荷物と携帯が宿舎に置きっぱなしだ!」

 

 姬和が私物を回収するところを見て、突然それを思い出した可奈美。

 

 これってお兄ちゃんや舞衣ちゃんに連絡が取れない!

 

 「諦めろ。どの道、刀剣管理局から支給された携帯は居場所をバレる。だから私も元々携帯を持ち出していない。」

 

 「それはそうですけど……」

 

 これってお兄ちゃんが勝手に暴走しないのかな?お兄ちゃんのことだし、きっと無茶をするのだろう。

 

 都が無茶するところを心配していた可奈美であった。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 「それで、妹と十条姬和の両名の犯行の動機はわからないまま手を貸したと?」

 

 「はい。」

 

 可奈美と姫和が逃亡した後、会場の喧騒は折神紫と親衛隊によって鎮められ、生徒たちは宿舎で待機となった。そこで、犯行者の協力役の容疑者たる衛藤 都は別室に設けられた椅子に向かい合って座った状態で、親衛隊の一人である寿々花から取り調べを受けている。

 

 理由は簡単だ。彼はさっき犯行者たちの逃亡に手を貸したのである。

 

 ちなみに、柳瀬舞衣も別室で取り調べられている。彼女は可奈美と同じ大会の出場者であり、親友でもある。そして、現在彼女は衛藤 都の主人である故にも、彼女から衛藤兄妹の動機を探る。

 

 「馬鹿にも程があるですわ……。あなたもそんな衝動的な人間には見えないのですが、少しでも自分の身分を考えてください」

 

 身分とは都が第五席に昇進することです。

 

 本来試合終了後、彼を第五席として迎えてくるんのですが、彼がさっきやったことで無駄になった。

 

 これで、例え無理矢理昇進させても、周りの人間に認められない。

 

 「柳瀬家の執事としては少しでも考え不足でした。」

 

 「そうじゃなくて!一応それも正しいのですが……あなたは本当に何も知らないですの?」

 

 「存じ上げませんね。そもそも、可奈美はともかく“十条さん”とはほぼ初対面です。彼女(十条姬和)の目的については知るはずもありません。」

 

 都は姬和のことをわざと苗字だけを呼ぶ。それは彼女と無関係だと強調したい。それと、できるだけ妹の容疑を消したい。

 

 「……ですが、あの二人の連携。あれはどう説明しますの? 我々から逃げおおせたほどの手際のよさ、初対面とは思えませんわ。」

 

 「お二人が示し合わせていたとでも?」

 

 「そう考えるのが自然でしょう?」

 

 「そうですね……」

 

 確かに、あれは都から見てもあの二人の連携は初対面だと思えない。都も可奈美に連携の重要さを教えてない。

 

 さて……ここからどう撃ち返すのか。

 

 都はこの尋問をただのゲームだと認識している。誰の弁論が一番強いのか試すゲームだ。

 

 都は才能が溢れる人だ。学んでいたものは少しの間でうまく使い回す。

 

 本来これは剣術に用いる才能ですが、母が死んだあとはその努力と才能を妹のために使った。

 

 「仮にそうだとしても、俺にはそれを立証できるだけの情報はありません。」

 

 寿々花は目を細めて都を睨む。さっきから彼の態度にイライラする。確かにさっきの会話は嘘に見えませんが、何も知らないとはおかしい。

 

 「もう一つの質問。妹さんはともかく……十条姬和に関することは本当に知らないの?今朝彼女の御刀を見てたあの態度は些かに怪しいのですが」

 

 問題方向を変え、彼を迫る。人は自分が疑われたときに些かの動作に慌てられる表現がある。つまりそれを見極めて、彼と十条姬和の関連性を見つける。

 

 しかし、都は極普通に応じた。

 

 「あれは鍛冶科の人間では極普通の反応でございます。毎日御刀の研究を振る舞う人間はいつか御刀に特別の感情を生み出しているのです。刀身が綺麗な御刀に興奮するのが我々の癖です。」

 

 そう言って、都は携帯を取り出しテーブルの上に置いていく。

 

 「証拠を求めていただけたいなら、うちの鍛冶科の人間に聞いても構いません。私の無罪を証明できるなら」

 

 「…………」

 

 寿々花の目がさらに険しくなった。彼女はさっきイライラする原因は理解できた。彼があの余裕ぶりの態度で次々の質問をうまく回避したから。

 

 全く自分の質問攻めに影響されていないみたい。そこが一番ムカつくところ。寿々花は一応親衛隊の頭脳担当の軍師、心理方面や論破方面では親衛隊高く誇れる能力。

 

 しかし、衛藤 都からは一つの隙が見えない。彼の反応は冷静過ぎたから、心が何かを考えているのかは全く見透かせない。

 

 これが第五席が隠した実力ですの?剣の腕前はともかく心理方面も専門しているようですわ……恐ろしい。

 

 「俺からもいくつか質問をしても構いませんか?」

 

 都は寿々花が無言になったところで、取り調べ中に生じた疑問について尋ねることにした。

 

 「何ですの?」

 

 「舞衣ちゃん……美濃関学院の柳瀬舞衣様にも、このような取り調べが行われているのですか?」

 

 「ええ、今は真希さんが彼女からも情報提供をしていただいている最中で――」

 

 「舞衣様を疑われる理屈はわかります。が、不確かな状況にも関わらずあの方に尋問をしているのでしたら黙っているわけにはいきません。俺は一応そういうの嫌いなタイプですので」

 

 「……気持ちがわかりますが、これも我々の仕事ですので」

 

 「ーーでしたら、”なぜ扉の外に刀使方々を用意された”のですか?俺も舞衣様も危害を加えることなどありませんよ。」

 

 「ーーー!」

 

 流石の寿々花も都の発言に初めての動揺を見せた。なぜなら、彼が外にある刀使たちの気配を感じたのだから。

 

 「あまり俺を舐めないでいただきたい。一応第五席候補の人間であるゆえ、これくらいの気配察知は朝飯ですよ。」

 

 「…………わかりました。」

 

 寿々花は観念したのか、携帯で誰かと連絡を取る。二、三言話したところで通話を終え、直後に締め切られた扉の向こう側から複数の気配が消える。

 

 「流石紫様に選ばれた人材ですわ。第五席……よほど相応しい実力ですね。」

 

 「それほどでも、俺はただ感知しやすいタイプですので」

 

 「それは絶対に嘘ですね。」

 

 苦笑し、寿々花は都が持っている実力さに驚かされた。さっき外で配置された刀使は結構手馴れた使い手で、気配などは簡単に気づかれないはず……それでも、都に察知された。

 

 これは敵対したら、かなりまずい敵に違いない。

 

 「ええ、ですが。“これだけは絶対に嘘ではありませんよ”。」

 

 一瞬、都の目は険しくなって、寿々花を睨む。

 

 「柳瀬舞衣様は俺にとって替えようがない大事な方です。彼女に手荒な真似をしないでいただきたい。でないと、俺は全力でこの仇を取り返します。何倍もな。」

 

 「……折神家と敵対するつもり?」

 

 「それはあなた達次第です。俺は喧嘩を売られたら、何倍をやり返すタイプですので。そこはご了承ください」

 

 「…………わかりました。柳瀬舞衣に手を出さないようにこちらがご注意します。それと、彼女の安全もこちらに保証します。」

 

 都の警告を聞き、寿々花は珍しく相手に条件を譲る。

 

 今のところは彼と敵対しないほうがいいと、寿々花がそう判断した。

 

 「それはありがたい選択でございます。」

 

 「…………あなたはいつもその調子であの二人のことを大事にしてたの?」

 

 寿々花は調書を閉じて、呆れ顔で話を切り上げた。

 

 この様子じゃ、どうやら尋問が終わったみたい。

 

 「ええ、誰よりも大切の二方ですので。あの二人に手を出さない以上、俺は面倒ことに入らない。」

 

 「そう……幸せな方々ですわね。あなたは少し狂気しすぎたところもーー」

 

 ここで、寿々花の携帯端末が震えた。寿々花は「失礼」と一言挟んで電話に応答する。

 

 「ええ、ええ……わかりましたわ。こちらも収穫なしですわね。衛藤 都もシロのようです。はい、ではまた後で」

 

 寿々花は通話を終え、再び都に向き直る。

 

 「今、真希さんの方も終わったようですわ。柳瀬さんは今回の件には無関係と結論が出たようでして」

 

 「そうですか。流石王子様。」

 

 心の中で少し安堵していた都。柳瀬舞衣の安全は何よりも大切なのだ。

 

 「それ、真希さんのこと?それと、元の口調に戻れましたわ。」

 

 「あはは……それはつい……執事モードが結構きつかった。それと、あれはどう見てもイケメンの王子じゃない?俺が女だったら、全力で惚れちゃうよ。」

 

 「まぁ……女子のファンも多かったですわね。王子という称号は彼女にピッタリですわ。」

 

 苦笑し、同じ親衛隊の寿々花もそれを理解している。

 

 「マジか……」

 

 「とりあえず今日のところはお二人に宿泊用の部屋を用意いたしますから、そこで休んでください。何かあれば、またお話を聞かせていただきますわ。」

 

 「わかりました。では、失礼します。」

 

 都は椅子から立ち上がり、扉を開ける。そのまま退室しようとしたが、一歩踏み出して止まった。

 

 「その前に、さっきの警告の無礼に申し訳ない。此花さんは悪い人じゃないのはわかります。俺って結構此花さんのことをお気に入りですよ。俺は偉そうな連中が大嫌いですが、あなたはそうじゃないみたいです。」

 

 それだけを言い残して、都は速やかに部屋から出ていた。

 

 部屋の中に残された寿々花は力抜きて笑う。

 

 「…………全く、どっちかあなたの本音なのか」

 

 衛藤 都は初対面ではとても優しい人の印象。けど、さっきなのは大切の人のために悪人になってもいい凶悪の印象。

 

 ますます真希さんに似ていますね。

 

 あの人も大切のものを守るため、強くなるために、“汚れた力でも借りた”。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 「舞衣様!」

 

 「あ……お兄さん。」

 

 都は礼儀を失わないように早足で舞衣の元へ辿り着く。けど、舞衣の表情は酷く沈んでいた。

 

 「お兄さん、大丈夫?何かされてない?」

 

 「ご覧の通りに、無事だ。そっちこそ大丈夫?」

 

 「…………ね、可奈美ちゃんは平気なのかな」

 

 やっぱり、可奈美のことで気持ちが沈んだのね。舞衣ちゃんは俺のように心が強くわけじゃないですし。

 

 親友である可奈美が犯行者を協力して、ともに逃走したから。それを心配するのが当たり前のこと。

 

 「どうか、気を落とさないでください。可奈美のことだし、きっと平気さ。」

 

 「……あ」

 

 舞衣の頭が都に優しく撫でられた。彼にこうされると、不思議と心が落ち着く。

 

 「それに、俺も自分なりにこの事態を解決するつもり。ですから……」

 

 「……私も行く。絶対にお兄さんを無理しないように、お兄さんはいつも無理しているから。」

 

 都が事態を解決すると言ったら、舞衣はすぐ都の手を握って真剣の顔を都を見つめる。

 

 さっき曇った表情より明るくなったみたいで、良かったと思うけど、俺が必ず無理する前提の会話だね。俺ってどう誤解されたのでしょう?

 

 自分の無理やりに自覚がない都。

 

 「それに、私も可奈美ちゃんを助けてやりたい。」

 

 「うん。とりあえず、もう夕暮れですので今日はお部屋でお休みにしよう。明日から二人で捜索に加わりましょう。」

 

 「…………っ!はい!」

 

 嬉しい表情で頷いた舞衣。彼女の顔を見て都も少し安心した。

 

 「それじゃ、部屋に戻ろう。」

 

 そして、二人は折神家の敷地内に設けられた宿舎へと向かう。

 

 その途中にーー。

 

 「舞衣様、お電話が……」

 

 「え? うん、誰だろ――」

 

 刀剣類管理局から支給された刀使たち用の……元い舞衣の携帯端末がポケットの中から電話の呼び出し音が鳴らす。舞衣は少しぼっとしているように見えだが、都に言われて数秒遅れて携帯端末を取り出し、画面の発信者を確認する。

 

 「これって……」

 

 舞衣の携帯端末に表示されている名前は『公衆電話』。発信者が誰なのか知らんが、二人の頭には共通の人物が浮かんだ。

 

 「まさか……」

 

 「可奈美ちゃん……かも」

 

 可奈美の性格から考えて、親友である舞衣に何の連絡もなしというのは考えにくい。かといって、逃走の際に可奈美は荷物を宿舎に預けていた。その荷物には彼女の携帯端末もある。となれば、潜伏している場所から公衆電話で一報入れるというのが妥当だ。

 

 これって……追跡できるかも。

 

 そう計算して、都は全集中の用意をする。

 

 舞衣ほどの能力ではないが……それでも、可奈美のためならなんだってやり見せる!

 

 「舞衣様、近くには誰もいません。スピーカーを」

 

 都は周囲の人影と気配を探る。盗み聞きされるような位置には誰もいない。音量に気をつければ大丈夫だろう。

 

 舞衣は頷いて応答の後にスピーカーのアイコンもタップする。

 

 「もしもし……?」

 

 「舞衣ちゃん? 私。可奈美だよ」

 

 ――来た。

 

 電話口から聞こえてきたのは間違いなく可奈美(最愛の妹)の声だ。

 

 「可奈美ちゃん、今どこ?」

 

 「どこって……えっと、どこなんだろ……ここ」

 

 困ったような声。計画的に移動しているわけではないらしい。全く……彼女らしいというか。

 

 そういえば、そばに姬和もいったっけ?彼女も無計画に?

 

 流石にあの人はそういうタイプじゃない……でも、たまに頼りがないところもある。

 

 「舞衣ちゃん、その……どうしても言っておきたかったんだ。迷惑かけてごめんね……それから、私は大丈夫だから」

 

 「………………」

 

 いつもの可奈美だ。間違えなく彼女が舞衣たちを騙していたなどということはない。その事実に都は吐息を抑えながら安心する。

 

 少なくとも、彼女は無事だ。

 

 ーーさて、そろそろ始めようか。

 

 可奈美の安全を確認した都は全集中を使って、全感官を最大限に上げる。

 

 特に聴覚を集中する。

 

 ――僅かな人の喧騒、車の通る音……

 

 思考も加速する。人は思考に集中するときには膨大の情報量が秒的に脳内に出現する。

 

 環境から受けた情報を一瞬に脳内で掴まう、それを整理する。これは都の異能ーー全集中。

 

 けど、この技は脳内に大きな負担がかかるため、いつも使うわけにはいかない。

 

 一日10回はその限界だ。そして、全集中よりもっと上の段階がある。それを使えば、一日に思考が停止させられて、生活に大きく負担がかかる。

 

 屋外のそれなりに人が通る場所……人の目と逃走資金、休息のことを考えれば、小規模のホテルでしょうか。それは妥当かと……。

 

 「あっ、ごめん! 小銭ないからもう切れちゃう」

 

 可奈美が慌てて電話を切ろうとするが、その一瞬に彼女とは違う声が混じって聞こえてきた。

 

 『こちらは防災台東です。子供たちの見守りを第一に……』

 

 「ーーーー!」

 

 遠くまで響く拡声器越しの声。これは可奈美の近くの人の声ではない。放送の声だ。

 

 ――今の放送は台東区近く。ならば、その近くに捜索していれば……

 

 「それじゃあね、舞衣ちゃん!」

 

 「ちょっ……可奈美ちゃん!」

 

 舞衣が呼びかけるが、一方的に通話が切れる。可奈美が切ったのか、それとも小銭を追加で入れなかったのかはわからないが、それは関係ない。

 

 今の電話だけで“都には十分だった”。

 

 「……舞衣様。申し訳ありませんが、お一人で宿舎へと向かえますか?」

 

 「行けるけど……どうしたの?」

 

 「実は今日お祝いするために、宿のネットで買った食材のことを思い出した。俺は先に受け取り場所ヘ行くけど……舞衣様の身体を考えると、先に宿の方へ戻っておきたい。」

 

 もちろん、これは嘘だ。

 

 例え舞衣が一緒に行きたいと言っても、都は一人でやり過ごしたい。

 

 それに……姬和と色々話しがしたい。

 

 「………わかった。ちなみに量が多い?」

 

 「はい、宿の人に預金がもらっているので、たくさん買っちゃった。彼らのためにもそれくらいの量も買っちゃいました。」

 

 「うん……それじゃ、私は先に戻るね。」

 

 「お気をつけて……」

 

 都がついた嘘を全く疑われない舞衣が彼と別れ、そのまま宿舍の方へ戻っていく。

 

 それじゃ……

 

 都は冷静に脳内で情報を整理しながら台東区の方へ向かう。

 

 必ずお前を見つけ出す。可奈美。

 




可奈美のためなら、例え相手が折神家でも挑む……これはシスコンの極み!
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