可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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爆死しました。祭祀シリーズが来ないですね(´・ω・`)代わりに篝ママと千夜シリーズ結芽が来ました。嬉しいけど、持ってない星4メインキャラの舞衣や可奈美が来てくれると、もっと嬉しいのですが……まぁ、そこにしておこう。



それでは、どうぞ。


第10話:荒魂は所詮穢れもの

 

 

 

 

 「ん?」

 

 舞衣と都の二人と別れた後、十条姬和は可奈美と一緒に舞衣がクッキーに隠した手紙により、現在は協力者たる恩田(おんだ) (るい)の住んでいるアパートに転がり込んでいた。

 

 彼女は美濃関の卒業生。そして、彼女は羽島学長の指示により、可奈美達に住む住所を与えた。おかけで、姫和たちはしばしの休憩がもらった。

 

 ちなみに、今の姬和はお風呂上がったばかり状態であった。

 

 彼女のような年頃の少女のつるつる肌を隠すのはただ単着の薄着しかない。見た目は相当にエロく見えるが、その地平線みたいな身体のせいで、そのエロさの魅力が少々足りない気がする。

 

 それでも、貧乳には貧乳だけの魅力がある。男って生き物は女の子が可愛ければ、それを簡単に受け入れる生物である。

 

 実際十条姬和はスタイルはともかく、外見ではとんでもない美人で、可愛く見える。結論を言うと、彼女は十分魅力がある女の子である。

 

 そして、彼女は髪を乾くまで拭いた後、視線がベットの上に置いてある黒い携帯の方へ移る。

 

 これは彼に渡されたものだ。姬和は彼が携帯の背後に貼った手紙の内容通り、風呂のあとにすぐ電話がかけられるのを待っている。

 

 それにしても、2つ目の条件はおかしい……。妹にこのことを知らせるなという条件。

 

 まるで、妹さえも教えられない秘密みたいな話……。

 

 一体何を企んでいるのだろうーー。

 

 しばしの間を待つと、電話がぶるると鳴った。姬和は慌てず周囲を確認し、平常心で電話を出る。

 

 『こんばんは、十条さん。』

 

 そうしたら、電話の向こうから彼の声が伝わってきた。その声主は可奈美の兄さんーー衛藤 都だ。

 

 『電話に出る余裕があるということは、恩田累さんとは接触できたようですね。良かったです。』

 

 「お前は何かを企んでいる。なぜ可奈美にこのことを知らせたくないんだ?」

 

 圧を込めて電話口の向こうにいる都に問い質す。

 

 『こっち個人的な話ですが……可奈美の声を聞こえると、集中ができなくなるのがその原因だ。』

 

 「…………そっか。」

 

 一瞬だけ、姬和はこの事を聞かなくてよかったと少し後悔した。どうやら、彼はかなりのシスコン重症のようだ。

 

 『さて、冗談はさっておき本題に入ろう。十条さん、私は貴女たちの協力者です。』

 

 「どういうつもりだ。」

 

 『ですから、私が貴女達の逃亡に手助けをするということです。』

 

 「また会えるのか?」

 

 その質問をすると、電話の向こうからとても残念そうな声だった。

 

 『いえ、現状では難しいかと。俺は仕事の原因と約束の件であまり長い間舞衣様の近くを離れるわけにはいけないので。代わりに、こちらの情報を送ります。』

 

 「情報だと?」

 

 それを聞いて、姬和は少し驚かされた。なぜなら、都の身分では折神家の追跡情報を探すのがほぼ不可能。

 

 『はい。刀剣類管理局の捜査の進行状況――追っ手の規模、貴女方の居場所の掴み具合、協力機関に至るまで可能な限りの情報だけど。』

 

 しかし、彼の口調から大した問題ではないみたいだ。

 

 「お前、そんなことをして大丈夫なのか?」

 

 『心配してくれてありがとうございます。でも大丈夫です。こっちも注意しながら、情報を探しますのでご心配なく。』

 

 姬和に心配されたことに、向こうからなぜか少し嬉しそうな声が薄々と伝わってくる。

 

 『それと……こっちはさっきほどおかしいなことを気付きました。長い話になるかもしれませんので、そちらも少し心の準備を』

 

 「大丈夫。可奈美はしばらくお風呂に楽しんでいるから、時間的は大丈夫。」

 

 『…お風呂の可奈美か……』

 

 「おい、何勝手に妹の裸を妄想するの!切るぞ!」

 

 『失礼しました。』

 

 都はすぐ自分の失態を気付き謝る。

 

 まったく……どんだけ妹が好きなのやら。

 

 これは例え嫌でも、彼の性癖を知られてしまう。

 

 『では、改めて言います。十条姬和さん、貴女は決して可奈美と一緒に折神家に捕まられるわけにはいかない。必ず命の安全がないと思います。』

 

 「なぜ、そこまで断定できる」

 

 姬和は都が言っていた命の保証がないという点は気になる。一般的に犯罪を犯した逃亡者の命はそう簡単に取れないはず、日本は法律がある国だ。どんな罪を犯しても、まず法律から通らなければならない。

 

 例え、刀剣類管理局でも自分勝手の行動で国家機関を無視できないはず。

 

 『今回の件、刀剣類管理局は警察はおろか政府からの介入も全て拒否しています。おかしいと思いませんか?』

 

 「確かに妙だな。私たちをすぐにでも捕まるつもりなら協力を要請するのが自然のはずだ。」

 

 『そうです。今回十条さんが起こした一件は第三者から見れば殺人未遂。それも刀剣類管理局局長となれば警察機構や政府要人にも顔が利く立場です。協力を要請する理由としては十分のはず。それをしないのは何故か……』

 

 姬和は無言に都の話を聞く。どうやら彼は答えがある。

 

 『これからはただの個人的な推測です。もしも警察機関に協力を要請すれば、警察側は必ず犯行の動機――怨恨などの線も視野に入れて捜査するはずです。ましてや、あの衆人環視の中で殺害に走る動機となれば並大抵のものではないと普通は考えます。』

 

 『仮に、折神紫や親衛隊に関する調査が警察によって行われれば、彼女らの正体がバレる恐れがある。それを警戒しているのでしょう』

 

 ーーなるほど、確かに一理がある。

 

 まさか、自分が失敗しても折神家に大きなリスクが与えられるなんて、姬和は思わなかった。

 

 それで、自分と可奈美がうまく逃げられるのはそのリスクに縛られて、国の力を借りない折神家。

 

 もし警察が介入したら、ここまでに逃げられないはず。

 

 『これが確かであれば、折神紫は貴女達を捕らえた後、何としてでもその口を塞ぎにかかるでしょうね。』

 

 「…………」

 

 間違えなく殺されるだろう。それは一番簡単のやり方だ。

 

 昨日も危うく親衛隊の人に殺されそう。よく考えれば、真相をバレないように彼女はこうして猶予なく写しが貼れない自分を斬り殺すと思うのだろう。

 

 そう思うと、また酷い拷問をされると別の恐怖が心の中から産み出してしまう。

 

 『最低でも記憶を失わせる程度のこと。悪ければ拷問や終身刑、最悪の場合は殺処分されるかと。そうなれば真相は闇の中となり、荒魂に世界が支配されることになる。』

 

 『どの道、俺は妹にそんな恐ろしいことを遭わせるわけにはいかない。ですから、こちらが全力で貴女達の逃走に手を貸します。』

 

 「………わかった。先に礼を言う。」

 

 都の動機を理解し、姬和は彼への警戒を完全に解けた。

 

 彼は妹を愛する強い気持ちは決して彼女を危険に遭わさせない。ならば、彼は決して敵ではない。

 

 『礼を言いたいなら、また一緒に“チョコミントを食べましょう”。』

 

 「ーーーー!」

 

 そしてその一瞬、姬和は動揺した。

 

 なぜ、私の好きなものが知っている!?そして、“また”とは…?

 

 「おい!お前、なぜ私の好みを知ってーー。」

 

 『…そろそろ時間です。また伝えたいことがあったら、こちらから連絡いたします。では……』

 

 姬和が都に訊くと、向こうは急ぎに言いたいことを伝え終わって電話を切った。

 

 静かになった部屋の中、姬和は疑問を満ちた顔で疑問を口に漏いた。

 

 「お前ーー何者だ。」

 

 自分の好みを知り、初対面のときに親しいの呼び方。あれはどう見ても初対面ではない。少なくとも、相手は自分のことを知っている。

 

 「何処かで会ってーー」

 

 「久々の風呂は気持ちいいね〜。そして、お風呂後のアイスも超美味しい!」

 

 そんなとき、お風呂が終わった可奈美は部屋に入り、アイスを持って目がキラキラしている。

 

 「…………」

 

 「ん?姬和ちゃん?どうしたの」

 

 「ーーなんでもない。それより服を着れよ!そんな格好じゃ恥ずかしくないのか!」

 

 「えへへ、同じ女同士なんだから。そんなことは気にしない気にしない〜」

 

 姬和に指摘されても、可奈美は気にしていない態度で姬和に近づく。

 

 ちなみに彼女は一件のタオルを巻いただけの格好。外見はどう見てもアウトなエロい格好だ。

 

 「気にするよ!それと私に近づくな!」

 

 「えぇ〜、なんて?」

 

 「斬るぞ!貴様!」

 

 「今、御刀はリビングに置いてあったから……えいっ!」

 

 「うわぁ!!抱きつくな!」

 

 「暖かいな〜〜姬和ちゃん。」

 

 「ちょっ……!アイスが……うわぁ!!」

 

 こうして、可奈美の突然の行為で姬和はしばらく注意が逸らされて、この2日目の夜をイチャイチャ過ごした。

 

 けど、姬和が気づけなかったのは可奈美がそうした理由はーーただ自分の不安を逸すためだった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 「そっか〜。大変だね」

 

 「うん、私のせいで舞衣ちゃんとお兄ちゃんに困らせちゃったのかも」

 

 白い夢の世界。ここは可奈美だけかたどり着く世界である。そんな世界で彼女は落ち込んでた顔で自分の悩みを自分の師匠ーー元い彼女の母にバラす。

 

 「けど、その可奈美の行動はもう一人の友達を助けた。違う?」

 

 「…………」

 

 「可奈美の行動は本当に可奈美らしいと思うよ。そんな可奈美だから、友達とお兄さんは何も問わずに送り出しているだよ」

 

 「そうかな……」

 

 まだ不安の表情でいられる可奈美。そんな彼女を見て、師匠もよくわかる。

 

 衛藤可奈美はどこにでもある普通の女の子だって。普通に悩んで、普通に考えて、普通に笑って、普通の妹みたいに大好きなお兄ちゃんに甘える。彼女はそういう普通の女の子。

 

 例え、彼女の外見はどれだけ強いか、剣術がどれほど強いのか。それでも、彼女はまだ中学生年齢の女の子。

 

 精神は外見より脆かった。

 

 まるで、過去の自分みたいに……。

 

 「うん。それに、可奈美も前に言ってたよね?私の息子はいつも理由を問わずに可奈美を助けたって。きっと今も同じだよ。」

 

 「そうだね……いつもお兄ちゃんに迷惑をかけたばかりに……何にもしてあげられなくて」

 

 「何を言っている?私の息子だったら、貴女がそばにいるだけで満足だと思うよ!それと、舞衣という女の子もきっとそう思うよ」

 

 「お兄ちゃん、舞衣ちゃん……」

 

 「それより、稽古をやろう!そんな気持ちじゃ、剣が錆びるから!」

 

 階段から立ち上がり、そのまま階段から飛び降りた。

 

 「もう〜〜それ、ばかり」

 

 そんな元気な(もう一人の剣術バカ)を見て、可奈美は仕方なく笑って同じく階段から降りた。

 

 母のおかけで、少し気分が治った。

 

 「だって、私はこれしかないから」

 

 「………師匠は昔のお兄ちゃんみたいだね。昔は稽古、稽古って言ってばかり……。元に戻れるのかな」

 

 「それ、わかんないけど、彼ならきっとまだあるよ。可奈美に一度も負けないでその進化し続ける剣はその証拠。彼はきっとその熱があって、可奈美を退屈させないために何処かで頑張り続けている。」

 

 「…………///////」

 

 「フン〜〜そこで照れるとは、こっちはご馳走されるご気分だ。」

 

 「お母さん/////!!」

 

 照れてた可奈美からの恥ずかしい反応に楽しんでいる可奈美のお母さん。彼女は今日も楽しく可奈美と戦い続けた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 姬和達と別れた翌日ーー

 

 

 

 「皆、それぞれの学校に帰っちゃうんだね……」

 

 「皆さんの容疑は晴れたようですし、拘束されている理由はありませんからね。」

 

 荷物を抱えてバスに向かっていく刀使たちを遠目からぼんやりと舞衣は見ていたが、都はそれとは別の視点で観察していた。

 

 ――綾小路は全員、長船は代表二人以外、平城、美濃関も長船と同様。

 

 冷静にバスに乗る各校の刀使たちの顔を確認していた。見たところ鎌府の者は一人もいない。刀剣類管理局としては折神紫の警護に当たっている親衛隊の代わりに鎌府女学院の刀使に捜索をさせている。というか、鎌府の高津学長が出しゃばったと言った方が正しい。

 

 そういえば、美炎の様子が見なかったな……。

 

 確か、別の隊に配属されたという話だっけ?確かに、電話から“調査隊”という赤羽刀を探す特殊小隊に配属されたみたい。

 

 よくこんなおかしいな任務小隊に配属されますわね。

 

 「あれ、あの子……」

 

 ふと、舞衣が左のスペースに駐車してある白塗りの車の方へ目を向ける。正確には、その車に乗り込んでいる少女に。

 

 「鎌府の……」

 

 「糸見沙耶香……か……」

 

 あの白髪の少女を見て、都の感情が波のように動き出す。

 

 彼女もあのババァの指示で、可奈美たちを追跡するのだろう……。でないと、車に乗るではなく、バスに乗って鎌府女学園に帰るところはずだった。

 

 ーー後で姬和と連絡して、あの子と遭遇したら、傷つけないようにしないと……。

 

 沙耶香のことを無意識に大事にしていた都。彼にとって沙耶香も守らなければならない対象だ。

 

 「ヘイ、レディ柳瀬!」

 

 突然、背後から声をかけられた。振り返ると、二人の少女が目に入った。一人は長身で長い金髪の美少女、もう一方は対称的に背丈の低い、小学生と言って差し支えないほど小柄な少女だ。

 

 二人の顔には見覚えがあった。長船の代表二人だ。バスに乗る姿が見えなかったが、ここにいたのか。

 

 「あなたたちは確か、長船の……」

 

 「古波蔵(こはぐら)エレンデース!」

 

 「益子(ましこ) (かおる)だ」

 

 外国美少女の方はエレン、小柄な少女は薫というらしい。それにしても、二人とも御刀を差しておらず、どころか着ているものは制服ではない。つばの広い帽子、薄手の半袖シャツ、円輪状の浮輪など、まるでこれから海かプールにでも向かうような格好だ。

 

 このあまりにも異常な光景に都は思わず彼女達から視線を逸して、沙耶香の方へ見る。

 

 やっぱり御前試合で“本気の実力を持ち出してない”選手方々は変なタイプの人。

 

 「ワタシの両親とアナタのパパは仕事のパートナーなんデスよ!」

 

 「えっ……? 父と、ですか?」

 

 「お友達のことで大変でしょうけど、落ち込まないでクダサイね!」

 

 「おーい、エレン。そろそろ行こうぜ」

 

 舞衣の手を取っているエレンを横目に、薫は後方の車を親指で差す。

 

 「お二人はこれから休暇ですか?」

 

 「イエス! 真夏のバケーションデース!」

 

 「絶好の海日和だからな」

 

 やっぱり、何かおかしいですよ。

 

 遠く行く沙耶香が載せている車を見送った後、都は心の中でツッコム。

 

 この季節は確か夏に近いですが、まだ夏ではない。それところが、折神紫暗殺未遂事件が起きたばかりに良くも遊べるとは流石、この二人は無神経なのでは?

 

 「ねねー!」

 

 「?」

 

 「え……」

 

 薫の頭部の影に隠れていた何かが姿を突然現した。大きさは子犬程度、茶色い体毛と緑色の尻尾、大きく生えた耳は兎のようだ。

 

 その外観は危うく何処かの電気系の黄色ネズミと見間違えのところだった。

 

 「それ、荒魂……!」

 

 「………」

 

 その生き物の正体を薄々気付き、警戒する二人に対して、エレンと薫は慣れた様子で説明してきた。

 

 「こいつはオレのペットだ。安心しろ、荒魂だが襲ったりしない」

 

 「そうデスよ、ねねは友達みたいなものデスから」

 

 つもりボ○モン?というか、ペットが荒魂とは流石におかしい。

 

 ん?名前さえもつけたのか!?電気系のネズミさんの間違えなんじゃ?

 

 「どうやら、ただのペットみたいだ……おかしいだけど」

 

 「うん……敵意も感じられないし」

 

 改めてねねの方を見て、都はそこで何かを僅かに気づいた。その生物の――彼か彼女かは不明だが……そもそも性別あんの?荒魂の生態についてはまだ謎だらけ。

 

 とにかく『奴』の視線の先に何か嫌らしい気配が感じる。

 

 これは美濃関でも感じられる視線だ……。確か、舞衣が体操服を着て、可奈美の応援に大きな動きを取っていたときにも感じられている感覚--

 

 「……!!」

 

 やっと、それを気付いた都。

 

 彼はあのねね(ケタモノ)が目を輝かせながら釘付けになっているものをわかってしまった。

 

 その視線先は――舞衣の胸だ。

 

 中学二年生にしては大きい、いや、大人でもこのサイズは中々いないだろうと思えるほど豊かな胸。

 

 あれは反則レベルで、男ならば誰もが弄ぶ妄想をしたことがある。

 

 例え都でも一日中に彼女の胸に注意が逸したことがある。なぜなら、男というものはおっぱいに吸い込まれる生物である。

 

 これは自然現象!本能である!胸に憧れるのは仕方ないことだ!

 

 そして、都の隣に年下の知り合いの中で舞衣は一番デカイ。いつも彼女との不意との接触に何度もその幸せを感じた。

 

 そして、それは男性だけならず。同級生の女子からも羨ましがられるらしい。

 

 本人は剣術の邪魔になるからと良く思っていないと可奈美から聞いていたが。そこがいい!と都は私心的に親指を心の中に何度も立った。

 

 「ねねーっ!」

 

 そこで、薫の頭部から跳躍し、ねねは視線の先ーー舞衣の胸目掛けて空中で手を伸ばしてしがみつこうとする。

 

 薫はそれを察知してねねを止めようとするが、遅い。刹那の遅れがねねの侵略を許してしまう。

 

 「ねーっ!」

 

 朗らかな鳴き声を発しながら無邪気、無垢ともいえる荒魂は舞衣の白い布地に包まれた双丘へと辿り着いていく。

 

 「ねっ!?」

 

 っと、その前に都がその獣を捕まった。

 

 「やっぱり荒魂は邪意の塊ですね。こんな嫌らしいケタモノごときの生き物はよくも舞衣ちゃんに邪意を放つとは……千切りでも許しません。」

 

 「お、お兄さん!?」

 

 目が全然笑っていない都を見て、舞衣は驚かされた。

 

 「おい、確かにお前の言うとおりだが、あいつ一応は俺のペットだ。返して。」

 

 そして、主人たる薫はどうやら都の話を聞いて、ペットの方を心配しているようだ。

 

 いい主人持ちですね。とても残念なことだ………。

 

 大人しく手を放し、ねねは薫に尻尾を引っ張られて回収された。

 

 「ったく、ねね。巨乳と見るなり飛び付くのはやめろって言ったろ」

 

 「ねね……」

 

 回収したねねに説教をしている薫。

 

 こいつ、巨乳が好きなのか?やっぱり穢れたのケダモノだ。

 

 「あと、流石に彼氏持ちはマズい。一番話がややこしくなる」

 

 「ねっ!」

 

 ピシッと敬礼するねね。ちゃんと了承したのだろう。

 

 それはそれとして、舞衣は薫の発言によって顔が赤くなった。

 

 「か、彼氏……って////」

 

 「違うのデスか?」

 

 「ち、違います!」

 

 都の方を横目でチラチラ見ながら否定する舞衣。

 

 その意をわかってしまった都は舞衣のために対応する。

 

 そしてーー再び執事モードを。

 

 「俺はあくまで舞衣様のご親友のお兄さんです。現在は彼女の執事をやっていますが、俺達の関係はただの妹友のご関係で、そこはご了承ください」

 

 「ワーオ、複雑デスね。」

 

 「はい。それと、舞衣樣は素晴らしい女性方ですので、恋人などは俺のようなものだと畏れ多いことです。」

 

 ーーそうだ。俺は舞衣ちゃんと相応しくない。彼女の恋人なら、もっと優秀な優しいの方がいい。

 

 「………………」

 

 「舞衣様?」

 

 そこで、なぜか納得がいかない拗ねた顔をしていた舞衣。

 

 俺は何かをしたの?ちゃんと空気を読んだよ。

 

 「なんでもないです……」

 

 「そう……?」

 

 「なんか複雑デスね。」

 

 「まるで鈍感主人公とそのヒロインだ。」

 

 「ねっ!」

 

 一体何を言っているんですか?二人と一匹のケダモノが言っている意味がわからない。

 

 「あ、そろそろ時間だぞ。エレン」

 

 「ワーオ!そうデスね。」

 

 時間を確認し、薫はエレンに注意する。

 

 「それじゃな。鈍感主人公とそのヒロイン。」

 

 「シィーユー、マイマイと……」

 

 「衛藤 都だ。」

 

 「なら、ミヤミヤデスね!また会うことに期待してマース!」

 

 ミヤミヤ!?それは俺のあだ名?

 

 薫とエレンは手を振りながら車に向かい、去っていった。エレンが去り際に放った呼び名に若干の不気味感は浮かんだが。

 

 ミヤミヤ……精神的に受け入れないみたい。

 

 せめて、都と呼んで欲しいな。

 

 「舞衣様、そろそろ戻りましょう。お部屋まで同行します。」

 

 「う、うん。ありがとう」

 

 同じ美濃関の生徒達の見送りは終わったので、二人で宿舎に帰ることにした。

 

 そろそろ姫和に連絡を入れなければならない。時間の隙間を見つけて二人のサポートをしなければ。

 

 「私たち……やっぱりそういう風に見えるのかなぁ……」

 

 斜め前を歩く舞衣が小声で呟く。

 

 彼女は恋人だと見間違えてたことで喜んでいる。なぜだろう……お兄さんと恋人されるのは特に嫌ではない、むしろ嬉しい。

 

 もしやーー私はお兄さんのことを……?

 

 もうすぐ答えが見つけ出す舞衣。彼女は今回の出会いのおかけで、自分の気持ちの確かめにもう一歩へ進んだ。




巨乳が好きな穢れもの≪ねね≫。見た目は可愛いのですが……どうも、お兄さんはその生物を許されないみたい。舞衣や可奈美を襲う前提だけど……それ以外の人物なら、彼はどうでもいいみたい。
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