可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す! 作:黒崎一黒
「皆様、ご到着いたしました。」
夕方頃に、ようやく舞草の拠点にたどり着いた。入口を通過しようとしたときに呼び止められたが、運転手の顔を確認した後、すぐ入らせた。
結構有名の人なんだろうか?
そして、車が止まったあとに都は後部座席の二人を優しく起こし、外に移動させる。
「ん、んーっ!」
「ふあ……」
数時間眠っていたせいで舞衣も沙耶香も伸びや欠伸をして身体の調子を整えている。
嫌だ、可愛すぎるだろう……!
そんな彼女たちの無防備なところを見て、都が再び癒やされた。
そんなときに、何かを急いた足音がこっちに速く走ってきた。
そしてーー
「舞衣ちゃーん、おにーちゃん!!」
「え、可奈美ちゃ……わっ!」
「うおっ!?」
興奮、というかはしゃいだ様子の可奈美が舞衣と都に突進し、勢いのまま二人を抱き着いてきた。
久々の体温と匂いと妹の柔らかい身体の感触に、都はこの再会に感動している。
やっと……やっと会えた。可奈美。
ただ数日に妹から離れたけど、連絡でも取っているが、それでもこうして会えたことに良かったと思う。
特にあの困境から乗り越えたから、妹は昔より大切だと実感してきた。
「舞衣ちゃん、お兄ちゃん、良かったぁー! あのね、私、舞衣ちゃんとお兄ちゃんにいっぱい話したいことあるの!」
「私も安心したよ、可奈美ちゃんが無事で良かった。うん、じゃあ後でいっぱいお話ししよう」
「あ、沙耶香ちゃんも一緒だ! 聞いた通りだ、舞衣ちゃんとお兄ちゃんと一緒に来るって!」
可奈美は二人から離れて、沙耶香の手を取って上下にブンブン振る。沙耶香は動揺しているものの、嫌がっているわけではないようだ。
舞衣と沙耶香が同行してくることは運転中に連絡してある。渋られるかと思ったが、可奈美や姫和の口添えもあって許可をとることができた。
「って、お兄ちゃんがボロボロ!?何かあったの!?それと、血まで!」
そして、沙耶香との挨拶をしたあと、可奈美は再び都の方へ見ると、その惨めな格好にびっくりした。
「少し親衛隊の人と遊びがあって……もう止血しているから、心配しないで」
「親衛隊と!?お兄ちゃんは親衛隊の人と喧嘩していたの!?」
あ……やばい、これは言っちゃいけないことだ。
「それより、姬和……十条さんは?」
話題を変えようと思った都。なるべくせっかくの再会で妹に余計な心配をかけたくない。
「姬和ちゃんなら、私とお兄ちゃんとの再会に邪魔したくないから、拠点で待っているよ。」
「そうか……」
あの子もいたんだ……当たり前のことだが、あの子との再会にはどんな顔がいいのかな……。
少し姬和との再会に緊張している都。
「お兄ちゃんは緊張している?」
「なんてわかったの!?」
そんな都の反応を探す可奈美は都にそう尋ねた。
「だって、お兄ちゃんの妹だもん!えっへん!」
「おおお!!よくわからないが、可愛い!」
そして、相変わらずシスコンの流れに入ったパターン。
「あの……少し、よろしいですか?」
都が妹に興奮している最中に、ある女性が話をこの兄妹の間に入れた。
見た目は黒髪の落ち着いた雰囲気の女性。年齢は二十代から三十代前半程度。身につけている服装から見れば、それなりに位の高い人物だろう。
「
「え?誰?」
可奈美がすぐその女性の名前を呼び出していたが、都はわからない顔で聞く。
それと同様、都が連れてきた二人も分からない顔だ。
「初めまして、
「折神!?」
すぐ可奈美を庇って、抜刀するつもりの都。
彼に対して、折神朱音と申す者の隣にいる刀使も抜刀するつもりが……彼女に止められた。
「おやめなさい。彼のその反応は普通です。」
「はい……」
彼女の命令に長船の刀使は元の態勢に戻った。
「お兄ちゃん!!朱音様は悪い人じゃないです!だから御刀を……え?なんて御刀持っているの?」
そこで妹がさらに朱音という人を庇っているが……注意がすぐ都が借りていた御刀の方へ逸らした。
「借りたものだ。……それと、さっきのご無礼に失礼しました。」
抜刀の構えを解け、都は彼女の前に身体を伏せて謝る。
可奈美の反応から、彼女は味方。なら、敵意を消して謝ったほうがいい。
「いいえ、あなたは噂の通りにいい人ですね。衛藤さんからいろいろ聞きましたよ。自慢のお兄ーー」
「朱音様、それはーー!!」
大声を出して、可奈美はすぐ恥ずかしい顔で彼女のこれ以上の発言を止めた。
「ふふっ、わかりました。それでは、中に参りましょうか。舞草もご紹介していただきたいですし」
可奈美に温かい微笑みをして、朱音は都たちを舞草の中へと案内していく。
舞草はどうやら山中にいるみたい。自然に囲まれて、集落や農作物が入り口からたくさん見えています。
何より、ここでの皆はいい顔で朱音とご挨拶をしている。どうやら、彼女はこの地にかなり人気が持っているらしい。
それから数十分歩いたところ、警備をしている長船の刀使と少し豪華そうな屋敷が見えてきた。
おそらく、あそこは目的地だろう。
「長船の人が多いようだね……」
都は思わず口に漏らした。
「ええ……五箇伝の中に、彼女達は最大の協力者です。お気に入りの子がありますか?」
「………!?」
「………!!」
「………?」
冗談を言うつもりの朱音ですが、そこで三人の女子はそれぞれの反応を示した。
「ごめんなさい、さっきのは冗談……あら?どうしたの、皆様?」
彼女たちの意外な反応で、逆にびっくりされている朱音。
視線は主に可奈美と舞衣の方へ。
「な、なんでもないです!//////」
「ご、ご冗談ですね!あはは……/////」
「………なんか、舞衣がおかしい……」
「まだ疲れているのかな?中に入ってゆっくり休もんか。舞衣ちゃん」
「いいえ!私は見たの通りに元気です!ほらっ」
大きな動作を取って、自分が元気のように示す舞衣。
「そうか……無理しなくてもいいのよ」
「う、うん///////」
「なんか、そちらの女性達と凄く仲良いですね。妹だけじゃなくって」
しばらく事態が収まるところに、そこで朱音は無自覚で意味深の話題でも振り込んだ。
「ええ、大事の方たちですので」
けど、そこは都の無自覚の答えにうまく丸くに収まった。
それを見て緊張している長船の生徒達はなぜか駄目息を吐いて、可奈美たちに同情の目線を。
おい、一体さっきのは何なんだろう。
◇
都、可奈美、姫和、舞衣、沙耶香、薫、エレンの7人は広間の座敷に集められていた。広間には既に朱音が正座している、そこで、彼女は改めて集まった全員に自己紹介を行う。
「皆さん、初めまして。折神朱音と申します。舞草へようこそ」
7人ともそれぞれ……主に都から自己紹介が始まり、皆は次々と自己紹介する。
一段終わったところに、朱音はすぐ本題に入った。
「早速ですが、今から二十年前の事件――相模湾岸大災厄の真実を話します。」
相模湾岸大災厄。
二十年前、相模湾岸に大荒魂が突如出現し、大きな大災害を起こしてしまった。その時の死傷者が一万人以上に超えた。まさに大災害だ。
それを当時の折神紫と伍箇伝の学長たち計六名による特務隊によって討伐された、という事件だ。その事件を機に折神紫は大荒魂討伐の大英雄、最強の刀使として二年後に折神家当主に就任し、伍箇伝が設立された。
朱音はここまで説明したところで『ですが』と一度言葉を区切る。
「このとき、大荒魂――タギツヒメの討伐に加わっていた刀使は他にもいたのです。」
「え……」
姬和と朱音以外のメンバーはその記録していない事実に驚愕の顔をしていた。
そして、なぜだか、朱音は言いづらい目線で都と可奈美と姬和の方へ向かう。
それから、しばらくの沈黙が経ち。彼女はようやく続きを話した。
「その名は
「なっ……そうなのか!?」
姫和が明らかに動揺し可奈美の方を向く。可奈美は特に気にした様子もなく答えた。
「うん……」
「なぜ言わなかった!」
「だって、聞かれなかったし。それに、お母さんは刀使だったときのこととか話さなかったから……」
そして、姬和の視線はさらに都の方へ向く。そこで都は可奈美の反応と同じ。
「可奈美と同じだよ。全然話さなかったし、あの頃はただいたずらに母に甘えた。」
思わぬところで入った情報に可奈美、朱音、都以外の五人は戸惑ったが、すぐに話は戻った。
「何故お二人の名前――いえ、存在そのものが『なかったこと』にされていたのですか。それはーー」
「十条さんのお母様、篝さんは大荒魂を鎮める責務を担っていました。………命と、引き換えに」
「え……?」
今度は都が動揺した目線で思わず姬和の方へ向かう。
けど、彼女はただ聞き慣れない単語を口に出した。
「鎮めの儀、ですか」
「はい、これからは鎮めの儀とういうものをご説明します。これは柊家に伝わる奥義です。皆さんは迅移を知っていますね?」
全員が首を縦に振る。
迅移とは刀使の戦術の一つ。御刀から神力を得て高速で移動する技だ。原理は隠世と現世の時間の違いを利用したもので、隠世の時間の流れの早い層に到達し、強大なエネルギーを得ることによって可能としている。
「迅移によって隠世の深い層に潜れば、より速く移動することが可能となります。ですが、それが現世と隠世との境界である五段階目の層まで到達してしまうと――」
「一瞬の時間が無限に引き延ばされ、隠世から戻れなくなるという意味ですね?」
そこで朱音に代わって、先に話すのは都。
「ご存知ですか?」
「ただ簡単の推理ですよ。つまり、ひよ……十条さんの母親は20年前で五段階の迅移を使って、あの大荒魂を自分とともに隱世に封じ込むつもりなんでしょう」
「………流石です。」
「それって……」
流石にこの話では感情の波動が起きやすい舞衣はその事実に恐れた顔だ。
もちろん、俺も危うくその表情だった。だってあれは姬和の母親、そして母と仲良い友達……そんな自己犠牲は受けるものか!
なるべく、自分を落ち着く表情で次の話を向かう都。
「篝さんは理論上最高速の迅移を使うことのできる唯一の刀使でした。そのため、荒魂による大災厄の際には自らの命を捧げる覚悟だったんです。」
「心中技じゃねーか、それ」
薫が苦虫を噛み潰したような表情で呟く。
「事の真相を知ったのは、七年前……美奈都さんが逝去されたとき。私は篝さんにそれを電話で伝えました。電話の向こうで篝さんは泣きながらに訴えていました。美奈都さんが亡くなったのは自分のせいだ、と」
「…………」
「お兄さん……大丈夫?」
「…………」
都の異常を先に察した可奈美と舞衣はそんな彼に心配そうな目で見つめる。
「………大丈夫ですか?都さん」
そして、朱音……いや、他の皆も一気に視線を都の方へ集まる。
「だ、大丈夫だ……朱音様。続けてくだ……あっ。」
「大丈夫。」
「大丈夫。」
可奈美と舞衣はすぐ都のそばに座り、彼が震えた両手を握る。そして、「大丈夫」と……。
二人はきっと彼が我慢していると、察したのだろう。
「ご、ごめんなさい……母の死はまだ……俺っ……」
涙が泣き出しそうな感じ。もう母の件で泣かないと決めたのに……妹の前に泣くのは嫌なのに……。
「泣きたいならいいよ、お兄さん」
「お兄ちゃんは昔から泣き虫だから、お母さんのことになると、そうなる。だからーー泣いてもいいよ。笑ったりしない」
この世に何もかも優しい二人はこうしてそばにいる、俺を優しく包まれている。
これじゃ、我慢できないよ……。
「ごめんなさい……少し抱いてもいい?」
「うん。」
「わかった。」
二人は両側から都を優しく抱きしめた。
二人の温もりを感じて、俺は我慢できず泣き出した。
この悲しみは母に向けるだけじゃない。姬和の母にも向けるのだ。
彼女も泣いた。母の死に自分のせいだと自己責めながら泣いていた。
そんなの悲しいすぎるのだ。あんなに優しかった彼女が悲しいと思えば、心が痛くて、仕方がない。
「お前……」
「都……」
「ミヤミヤ……」
「…………」
◇
それから、何時か経つのが知らないか、俺はようやく冷静を取り戻して、二人と手を繋いで席に座る。
しかし、そこで妙な恥ずかしい気持ちが産み出した。
「あの……二人共、そろそろ手を……」
「嫌です。」
「絶対離さない。」
都の提案に二人は即秒に笑顔で断った。
「…………いや、恥ずかしいですけど/////」
「…………」
それでも、二人は手を離さないままに繋いでいる。
「まぁ、都さんのことを心配しているから。そこは妥協しましょう。」
「そうデス!ミヤミヤ、観念してクダサイ」
「まぁ、そのほうがお前のためにもなる」
「っね!」
「舞衣の温もりは気持ちいいですよ」
「……………」
おい、なんで全員はその温かい視線でこっちに見るの!?
確かに、さっきは泣いたけど。そこまでされたら、また泣いちゃうよ!
「ーーでは、都さん。これからの話もあなたの母にも関わるから、退席してもーー」
「大丈夫……恥ずかしいけど、そばは二人がいます。」
そう断言して、都はここに残りたいという気持ちを強く示す。
「絶対離さないよ、お兄ちゃん。」
「私も。偶に私達を頼っていいのよ」
「はい……」
二人は都を優しく手を握って、いい表情を示す。
この二人がそばにいるなら、大丈夫……。
「わかりました………では続きを。篝さんが美奈都さんの死を自分のせいだとする理由については、「鎮めの儀を行った際に、美奈都さんがギリギリのところで篝さんの命を救ったのです。篝さんの失うはずだった命を半分肩代わりする形で……」
なるほど。本来は篝さん一人で済むはずだった犠牲を二人に増やしたようだ。
けど、きっとこれは最善の選択だと思う。母があのときに何もしなければ彼女だけでも生きられたら、きっと自分のせいだと嘆くのだろう。
そんな母を見たくない。
「そして、篝さんと美奈都さんは刀使としての力を失い、数年後には命すらも……」
最後辺りは消え入りそうなほど弱々しい声だった。朱音の言葉から数秒後、今度はエレンが疑問を投げ掛けた。
「おかしいデスね。だったら何故隠世に追いやったはずのタギツヒメがここにいるんデスか?」
「鎮め切れていなかったんだ、母は。一時的にタギツヒメの力を削ぐことしかできなかった。そして、折神紫として生き続けた。」
それは母の介入によって作られた隙か……。
「ちょっと待って。そもそも、今の御当主様は何者なの? タギツヒメになっちゃったってこと?」
「それはーー」
「可奈美。あくまでの推測ですが……あの場でタギツヒメは母たちによって大ダメージを喰らった。おそらくですが……タギツヒメはその回復のために折神紫と取り引きをしたのと思う。母たちの命を引き換えに……」
「………えっ?」
都の推測に全員の視線は都の方へ向く。
「ただの推測だけどね……鎮みの儀式のせいで戦闘不能になる母と篝さんがいつでもタギツヒメに殺される困境に落ちている。そこで、折神紫は自分の身体を引き換えにあの二人の命を救った。」
「それは……」
「私達はあそこまでに推測していなかった……」
都の推測に朱音は呆れた顔。
そして、二人の手で冷静でいられる都は続きを話す。
「楽観的な考えですけどね。俺はあの人ーー折神紫をいい人だと思う」
「…………っ!」
「何故にそう思う?」
姬和は少し納得行かない表情だ。
それはそうだね……けど、この場でこの推測を言わなければ。
「この20年の出来事からだ。彼女が大英雄になって、ご当主になって、刀剣類管理局を作り、五箇伝を整理する。それから色んな技術を発展させ、荒魂という災厄を最小限に抑えた。」
「これはただの荒魂の出来事じゃない。人類の敵なら人類をより良い未来へ向かうじゃない?おかしいすぎる。だから、これは折神紫自身のご意思と思う。」
「言われみれば、確かに……」
「姉の意思……」
「お前、探偵に向いているな」
「冗談を言うな、薫さん。」
薫からの冗談付きの発言に都はそう返事して、すぐ姬和の方に向かう。
「ひよ……十条さん、さっきの推理を気に食わなかったら、謝ります。貴女が折神紫への恨みはよくわかりますから………」
苦虫を噛み潰す表情になった都。誰も彼が姬和の気持ちを真剣に考えていることがわかる。でないと、そんな表情が出せないはず。
「………お前は恨まないのか?母を殺す犯人。」
そこで、姬和は重そうな顔で都に尋ねる。
「恨まないよ。だって、母が死ぬ瞬間まで幸せそうだったから、俺はタギツヒメを恨まない。母を失った時はとても辛いけどね」
苦笑する都。彼の顔は少し悲しくなる。
「………そうか」
「私も恨まない。理由はお兄ちゃんと同じだけど、こうして姬和ちゃんと出会うのはそのおかげ。」
可奈美は都の手をきゅっと握って、都に加勢する。
「俺は何でも許せる聖人ではないけど、悪いのは大荒魂、折神紫ではないと思います。」
数秒の沈黙が経ち、姬和は駄目息を吐いて、重そうな表情から柔らかくなる。
「……あなたはいつもそうだった。昔からは人思いの馬鹿だから、付き合うのが苦労する。」
「それはすみませんでした……」
「けど、私はお前のそういうところは嫌いじゃない。少し時間がかかりますが、信じるのを頑張る。」
「十条さん……」
「それと、もういい加減にその呼び方をやめたほうがいい。私のことをひよーー」
「………?」
「姬和ちゃん……?」
「十条さん……?」
「…………少し夜風に当たってくる!」
彼の隣にいる二人を見て、なぜか拗ねたように見える姬和は早足でここから離れる。
「俺もいっしょ……」
「付いてくるな!」
そして、姬和は襖を開けて部屋の外へ踏み出した。
「俺、まさか嫌われた?」
「そこまでには見えないけど……」
「なんかツンデレヒロインが鈍感主人公に呼び捨て欲しいと求めた時に、他のヒロインが主人公のそばにいる光景を見て、恥ずかしくてここから逃げ出したシーンみたい。」
「薫、流石にないですよ……確かにミヤミヤがモテモテですけど」
ちょっと、二人共。なぜ、そのような目で俺を見るの?そもそも言っていることは全然わかりませんけど……。
それからは朱音から解散してもらって、その後も彼女にお礼を言われた。「姉をいい人だと言ってくれて」
きっと、彼女もその姉を好きなんだろう。たとえ、彼女は化物に取り憑かれたとしても……。
◇
私は本当にバカ……。
外の夜風に当たって、ほっぺに染みた熱さを少しでも冷やした。
十条姬和はあそこから逃げ出した。ただ小さいの理由で逃げ出した。
ただ名前を呼ばれてほしいと伝えたいのに……なぜ、言えなかったのか。
そう、彼女はただ都に「姬和」と呼んでほしい。彼もその呼び方に遠慮しているみたいだし。
これからはどうすれば……いや、待って!なんで私はいきなりあいつのことを考えているの!?私は今すべきことは折神紫を討つはずなのに……脳内は今、彼のことをばかり考えている。
それに胸もこんなにドキドキしている、顔も熱い……。
病気なのかな?でも休憩もちゃんと取ったし……おかしい。
根本的に勘違いしていた姬和はこの気持ちを理解できなかった。
それから、少し夜風を当たって、彼女は可奈美たちの元へ戻った。
特に補充説明がないので、気軽に感想をお願いします。(*゚∀゚)