可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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8月に入り、夏の季節。今回とじともも爆死という結果を迎えた……さらに、8月はやらなければならないことがたくさんあります。そのせいで、投稿が遅くなるかもしれません……特に9月は仕事の原因があり、コロナウィルスも注意しなければなりません。本当に災難の一年ですね。

とにかく、この小説は忙しくても続けたいので、今後ともこの作品の応援をよろしくお願いします。

それでは、どうぞ。


第20話:恋バナとお祭り

 

 

 

 「沙耶香ちゃん、そっち引っ張って」

 

 「こう……?」

 

 一日の鍛錬が終え、可奈美たち六人は広めの寝室に集まって就寝の準備をしていた。

 

 舞衣と沙耶香は相変わらず仲良く敷き布団にシーツを被せ、その上に掛け布団と枕を置いていく。

 

 「よっこらせっと」

 

 「あっ、薫、駄目デスよ。まだ横になっては」

 

 「いーだろ、別に。ほっといても準備してくれんだから」

 

 用意された寝具に大の字になる薫に、それを諌めるエレン。

 

 「姫和ちゃん、枕投げしない?」

 

 「馬鹿か。修学旅行じゃないんだぞ」

 

 「えー、大勢で寝るんだったら定番だと思うんだけどな」

 

 枕を握る可奈美の手からそれを奪う姫和。

 

 「もう、二人とも早く寝ないと駄目だよ」

 

 「明日も頼んでもないのに舞草の刀使先輩が稽古つけてくれるんだからな。クソタレか!」

 

 「薫、そんな態度じゃダメダヨ」

 

 「ちぇ……」

 

 昨日は色々なことが聞いたせいで全員泥のように眠っていたが、今日は良くも悪くも昨日より刺激の少ない日だったので、比較的目が冴えていた。

 

 何より、先輩と鍛錬するのは楽しい!というのは可奈美(剣術バカ)一人の感想だった。

 

 「ちょっとくらい起きてても大丈夫だよ、まだ時間あるし。何かお話でもしない?」

 

 いつもより元気な可奈美に言われ、時計を確認する五人。確かに明日の起床時間を考えるといくらか時間に余裕がある。

 

 「ふっ……なら、あれをしようか。女子会やこの時の定番!恋バナ!」

 

 「何でそんなに得意気なんだ、お前は」

 

 薫が布団に潜った姿勢のままやたらとドヤ顔で言う。姫和からのツッコミが飛ぶが、それも何処吹く風といった様子だ。

 

 それはさておき、恋バナという話題に一同は自分の恋愛歴を振り返り始めた。

 

 何にせ、これは女子の特権なんだ。

 

 「うーん、私はあんまりそういう経験ないかなあ。興味ない訳じゃないけど、剣術のことばっかりしてたと思う」

 

 「私もそうだな。元々、そういった類のことに気を回す余裕もなかったが」

 

 早速のところは可奈美と姬和はアウト。

 

 「待て、ペッタンコ女。お前は幼馴染がいるだろう?少し前に聞いたことがある気がするんだけど」

 

 「誰かペッタンコ女だ!斬るぞ!」

 

 けど、薫はそんな姬和を見逃されなかった。彼女は一番からかいがある女だから。

 

 そう、今怒っているところも滅茶苦茶面白い。

 

 「確かに、姬和ちゃんとお兄ちゃんは昔の知り合いだったようね?前も聞いてた。」

 

 「そうなの?」

 

 そして、可奈美の助けがあって、この話題が完全に姬和に向けた。

 

 「まぁ……とは言っても小さい頃の遊び相手だ。人による感覚は可奈美という形容は適当だろう。」

 

 「さすが兄妹デスね!」

 

 「つまり剣術馬鹿か?今はそう見えないけどな」

 

 「色々あってな……」

 

 「可奈美はハガ……?」

 

 「沙耶香ちゃん、それは言っちゃだめだよ!」

 

 「そこは否定しないんだ……舞衣ちゃん……」

 

 そして、恋バナの話題が何気なく続く。

 

 「ワタシと薫もそんな感じデスね。長船は女子校デスから出会いもほぼナッシングなんデス」

 

 「おい、さりげなくオレを同じ扱いにするな」

 

 「違うのデスか?」

 

 「……いや、違わないけど」

 

 薫、エレンも同じく。前者の二人ほど個性による淡白ではないが、生活環境なども関係しているのだろう。

 

 「……私は、よくわからない。考えたこともないから」

 

 「無口少女のタイプだからな。それが普通なんだろう。」

 

 そして、沙耶香も見事空振りだった。

 

 「私もまだそういう経験がないかな。告白されたことがありますが……全部断っちゃった。」

 

 「告白されたことがあんのか……流石あんな性格と胸があるからモテモテするだろう……誰かさんと違って」

 

 そう言って、薫の視線が姬和の胸に移る。

 

 しかし、彼女はただ冷静で「お前もな。」と言い返す。薫は自分が投げ出すナイフに撃ち返された。

 

 「しかし、マイマイの隣にミヤミヤがいるだろう?いつも仲良くするところが見たのデスヨ」

 

 「………え? って、えええええっ!?///////」

 

 都の名前と今の話題との関連性を瞬時に理解した舞衣は、間の抜けた声が口から漏れると同時に羞恥と動揺で顔を赤く染めて絶叫した。

 

 「あ……確かに、お兄ちゃんは結構舞衣ちゃんのことを構うね〜〜」

 

 「カナミンも人のことを言えないんデスヨ。」

 

 「え……?」

 

 「そうだな……あれは普通の兄妹に見えないし。ていうか、お前二人は彼と仲良すぎ!」

 

 可奈美は何気ない振りのつもりだったが、すぐエレンと薫に舞衣と一緒の扱い。

 

 「確かに……そう見える」

 

 「沙耶香ちゃん!?//////」

 

 それと攻撃手一員追加。現在の話題は都、可奈美、舞衣を中心にして回る。

 

 「そうかな〜〜?わ、私と舞衣ちゃんはいつもお兄ちゃんとそんな感じだよ!ね?」

 

 少し慌てた可奈美はすぐ舞衣の救援を求める。

 

 「う、うん…!ふ、普通だよね?//////」

 

 「いや、普通ではないだろう!どう見ても。午後の時も二人は結構彼とイチャイチャしているのだろう!まるでカップルみたい」

 

 「確かに……皆はミヤミヤをジロジロ見ているネ。」

 

 「……………」

 

 少し冷やし汗をかいた姬和。彼女はこの話題に巻き込まれるのが嫌。

 

 「それは心配だから……!エレンちゃんと薫ちゃんも彼の隣に行くじゃないですか!/////」

 

 「俺はただ無料の食い物を求める!」

 

 「日本のおにぎりの味は気になりマスから〜〜」

 

 二人は自然と答える。正直ずるい。

 

 「それより、お前ら二人は彼のことをどう思う?好きなのか?あいつのことを」

 

 「それは………//////」

 

 正直、二人は全くそんな気持ちを感じなかったわけではない。彼が彼女たちのことを大切に思っているという台詞も度々聞いた。自惚れるわけではないが、都にとって自分たちが特別な存在だという自覚はあった。そこで、二人はとても嬉しかった。

 

 けど、それは恋と言うべきだろうか?一人は血が繫がっている兄妹。兄として、妹のことを大切するのが当たり前のこと。

 

 だから、いくら自分に優しくてもそれはただの兄からの愛だけだ。恋ではない。

 

 そもそも、実の兄に恋しちゃいけない。

 

 あ……いけないんだ。

 

 心の中でそれを気付き、可奈美はとても残念そうな気持ち。なぜそんな気持ちになるのがわからない。

 

 けど、そうよね。なんでここはお兄ちゃんのことでこんなに照れているんだろう?私とお兄ちゃんはただの兄妹だ。それ以外ではない。

 

 私が妹だから、こんなに優しいしてくれた、守ってくれた、助けてくれた。何勝手にお兄ちゃんのことで照れ照れするのよ。

 

 「お兄ちゃんはただお兄ちゃんだよ……兄妹として、“普通の好き”。舞衣ちゃんは?どう思う?」

 

 舞衣より先に結論を出した可奈美はまだ迷っている舞衣に聞く。

 

 可奈美のお兄さんは確かに自分の特別なのかもしれません。いつも自分を優しくしてくれて、一生懸命守ってくれて、自分のために怒ってくれた。

 

 そんな彼が柳瀬舞衣は好きだ。けど、それが恋なのかは彼女が知らない。初体験だから……そういう大事のことはもっと確定しないと、だめ。

 

 でないと、自分はともかく、お兄さんも自分のせいで傷つけられるから。

 

 「私も同じ。お兄さんは大事な友達だから」

 

 二人はそこでセーフの答えを出した。

 

 「つまんない……エレン。もう寝るか」

 

 「もうデスか?」

 

 「うん。」

 

 その答えを聞いて、薫はそのまま布団の中に潜る。

 

 「え?もう終わったの?」

 

 あっさり終わった恋バナに可奈美は一時に反応が取れない。それと同様に舞衣と姬和と沙耶香も同じ。

 

 「そうだ。」

 

 そんな彼女たちに返したのは息がない答えだ。

 

 「まぁ、薫はいつもこんな感じダシ。彼女を許してクダサイネ」

 

 「うるさいぞ、エレン!」

 

 「ハイ。」

 

 そんな自己勝手に始め、あっさり終わらせる薫に長い付き合いのエレンは仕方ない顔を示す。

 

 「………仕方ない、寝るか。」

 

 「そうだね……」

 

 「うん……」

 

 「もう少し枕投げ……」

 

 「お前はまだ諦めないのか……」

 

 そして、この二人に続け、この場にいる四人が電気を消して、次々と布団の中に入る。

 

 そして、そろそろ静かになるところに。薫はまだ起きたまま、さっき言いたかった言葉を呟く。

 

 「ーーたく。好きなくせに、良くも自分を騙したな。」

 

 もう面識が豊かの彼女に、可奈美と舞衣は自分の心に正直しないのは一目でわかる。

 

 まぁ、わからんでもないが……好きなら、正直な方がいい。それで、人生が楽しくなる。

 

 「まぁ……いい。自分が気づく時が来るだろう。そんな時にーーあいつにも気付け欲しいな」

 

 あいつとは都のこと。初対面のときは鈍感主人公の匂いがしてきた。

 

 あれじゃ、真正面で言わなければわからないタイプだ。

 

 「それにしても、眠い……クソ。俺に心配させんなよ」

 

 ブツブツ言って、薫は目を閉じ、夢の世界ヘ落ちた。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 「とても、お似合いです。」

 

 「そう?ていうか、わざわざ貴女がここに来る必要がないじゃないですか?朱音様。」

 

 舞草に泊まった三日目。舞草の長である折神朱音はわざわざここに訪ねて来て、ある服装を都に着替えさせてみた。

 

 それは浴衣です。デザインは白を基調とした紫色の花をメインにする浴衣。

 

 「いいえ、ちょうど仕事も一段終わったところだし。都さんにも今日のお祭りを楽しんでもらいたいです。」

 

 「お祭りかーー」

 

 舞草を拠点にしたここの近くの集落は一年二回の祭りがあるらしい。そして、今日はちょうどその日なんです。

 

 「俺は別にここで遊びたいから、わざわざ舞草に来るじゃないですよ。俺、もっと朱音様たち……元い可奈美たちのお役に立ちたいですよ。」

 

 「ふふっ、あなたの熱心さは私にも感じているんのですよ。でも、せっかくのお祭りだし。妹たちと楽しんでいただきたい。」

 

 「いや……俺はいいから……」

 

 「そうなんですか……ごめんなさい、迷惑をかけましたわね。」

 

 「いや、それは……!別に迷惑なんて……!ただ自分が遊ぶと頑張っている朱音様たちに罪悪感というか……申し訳ない気分というか……」

 

 朱音が申し訳ない表情をしていると、都は慌て始めた。

 

 本能的にはあまりこの人を困らせたくない。妹属性なのかな?一応彼女は折神紫の妹だし。

 

 「大丈夫ですよ。あなた達はまだ子供ですから、辛いことは私達に任せればいい。」

 

 笑顔でそう言ってくれた朱音。

 

 何といういい大人だ……その笑顔は眩しい!

 

 「……わかりました。けど、今日だけだよ!明日から俺は舞草(妹たち)のために頑張る!」

 

 「はい。」

 

 そして、やっと朱音の頼みに屈した都は乗った。

 

 「そういえば、これを渡すのが忘れてた。」

 

 都は突然ある物を思い付き、舞草に到着した初日着た上着のボケットからある物を持ち出した。

 

 それを見て朱音も驚愕の顔を隠さずの口で都に訊く。

 

 「これは……ノロのアンプル!?どこかに……」

 

 「色々あって言えない。けど、これを舞草に渡したい。」

 

 どうせ、使えないから。興味もない。

 

 しかも、気持ち悪い……これを持っていると、“誰かに見られるような”。

 

 「それはありがたい。これがあれば折神家の非法証拠になれるのでしょう。」

 

 「それは良かった……これを朱音様に渡しますね。」

 

 都はアンプルを彼女に渡す。

 

 多少胸が騒ぐ感がまた心に残っているが、専門の舞草に任せれば、大丈夫だろう。

 

 「それでは、朱音様の好意に乗ってお祭りを参加しますね。朝から夜までにですね?」

 

 「ええ、メインイベントは夜からですので、朝は普通のお祭りですよ。」

 

 「イベント?」

 

 「その時のお楽しみ。」

 

 朱音が指を唇に触れるその仕草がとても可愛く見える。

 

 これはもう大人ではなくて、可愛い少女しか見えない。

 

 そういえば、年齢も聞いていないだっけ?まぁ、聞かないほうがいい。女子はそういうの敏感なんだから。

 

 そう思いながら、都は朱音と別れて、お祭りの方へ向かった。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 朝から賑やかなの人気と雰囲気が漂って、広場に色んな屋台が立ち並び、大勢の人々がひしめいている。

 

 こういうのもいいかもだと都はこれを見て、新鮮感が湧き出す。

 

 彼はあまりお祭りという挙式を参加したことがない。彼の人生はずっと剣術や可奈美のことをばかり考えている。

 

 自分が遊ぶ時間も層々にいない。姬和以外に遊べる相手もいないし、学校では勉強ばかりやって、クラスメイトと雑談をして過ごす。

 

 もちろん、カラオケや海辺のイベントもほぼ無縁のまま、新年参拝もただ妹と舞衣と付き合っていて、心が全然そういう雰囲気を楽しんでいない。

 

 まぁ、興味もないしな……。

 

 「あ!お兄ちゃんだ!お〜〜い!!」

 

 そんな時、都の後ろからは誰かに彼を呼ばれている。もちろん、誰なのかは知っている。

 

 「可奈美ちゃん!声が大すぎ‼///////」

 

 「都がいる。」

 

 「お前も来たのか……」

 

 「ミヤミヤ、その格好はとても似合ってマス!」

 

 「やっぱり来たのか、このシスコン。」

 

 そして、次々と他の五人の声も聞こえてきた。後ろに向くと、そこにいるのは青、橙、桃などの鮮やかな色の浴衣姿の六人の美少女達。

 

 彼女達が並んでいる姿を見て、流石の(シスコン)でも妹だけに注目しにくい。

 

 特に舞衣と沙耶香は可奈美と負けないくらいの可愛さが持っている。

 

 他の長船の二人もよく似合っている格好。エレンの前向きの笑顔と日本の浴衣にもビッタリくらいに似合う。

 

 それから……姬和もよく似合ってるな。

 

 「お兄ちゃん、どう?似合っている?」

 

 「お兄さんもよくお似合いそうな格好だね。」

 

 「私のセリフをコピーしないでグダサイ!」

 

 「都、どう?」

 

 「見惚れたのか?仕方ない。俺は美少女だもんな!」

 

 「そこは自分に言うことか?って、どうしたの?さっきからずっとぼっとして……やっぱり似合わないのか?」

 

 都がぼっとしている様子に姬和は先に関心するが、すぐ自分の浴衣が似合わないことに心配し始めた。

 

 元々彼女は服装にあまり関心してない女の子ですから、そういう面があまり自信がないのかも。

 

 やっぱり“見過ぎたのか”。

 

 「いや、とても似合ってるよ。皆さんはとても可愛くて、華やかなの感じて、なかなか褒め言葉が見つからなくて」

 

 「そう……?ありがとう//////」

 

 あ……照れてた様子の可奈美も可愛い。やっぱり妹が一番かも。

 

 ちなみに可奈美は白と赤い花の浴衣。普段より少女という雰囲気が出しているので、少しドキドキした。

 

 「お兄さんがお気に入って良かったです。」

 

 「なんか胸がムズムズする……」

 

 あぁ〜〜沙耶香の反応もかわいいな。舞衣も穏やかなの雰囲気で笑うのもいい。

 

 「結構口がうまいな〜〜ミヤミヤ」

 

 「おいおい、ヒヨヨンはエターナル胸ペッタンなんだからそりゃあ似合うだろ。和服の似合う体系ってやつだな」

 

 「はぁ!?なんだと!」

 

 相変わらず薫は姬和にからかっているな。まぁ、学院内にもからかいがある後輩がいるから、その気持ちがわかるけど。

 

 「まぁまぁ、“姬和”に似合うのが事実だし。そこまでにしておこう。今日は楽しいお祭りだよ。」

 

 「………いいだろう/////」

 

 突然、都の言いなりに大人しくなった姬和。

 

 姬和ちゃん……?

 

 そして、彼女の異変に気付くのがこの場には可奈美と舞衣しかいない。そして、彼女たちも都が彼女の呼び方が親しくなったところも気付いた。

 

 この二人はいつ仲良くなるのだろう?

 

 「それじゃ、夜までにまだ時間があるから……適当に回すか」

 

 「甘いな、都。こういう時は全屋台を制圧するのが定番じゃないですか!」

 

 て、定番なの?

 

 お祭りの初心者の都はわからない顔でエレンに聞く。

 

 「これは薫の個性の一つですカラ、気にしない気にしない。」

 

 そして、すぐ答えがもらった。

 

 「そこ!こそこそ喋らないで!早く行こう!」

 

 「ハイ〜〜!それじゃ、ミヤミヤあとで会おうネ!」

 

 そう言って、エレンはすぐ薫に追い付く。そういえば、あの二人はずっと一緒にいるね。

 

 「テジョンが高いな……薫さんは」

 

 「あはは……そういえば、お兄さんは一人で?よかったら、一緒に回します?」

 

 「そうだね!一緒に回ろう!お兄ちゃん!」

 

 「………姬和と沙耶香はどうする?」

 

 二人の誘いに都はとても嬉しいが、残る二人の気持ちが聞きたい。

 

 「私はどっちでもいい。」

 

 「私は一人で適当に回します。」

 

 「よし、じゃあ。姬和と沙耶香と一緒で……俺はしばらく可奈美たちと行動する。」

 

 「なんて私は……!」

 

 「姬和は……私と、嫌?」

 

 「…………っ!?」

 

 沙耶香は寂しい表情が現すと、姬和は明らかに動揺した。

 

 まぁ、気持ちがわかる。こんな小動物のような沙耶香を悲しませるのは人としてはだめだよね。

 

 「ベ、別に嫌じゃない!行こう、沙耶香。」

 

 「………うん。」

 

 そして、そんな彼女に負けた姬和はすぐ彼女を連れて行く。

 

 いつの間に、この場に残るのは都たち三人。

 

 「なんか、お兄ちゃんはそういうのがうまいよな」

 

 「うん、沙耶香ちゃんにもっと他の人と仲良くしたいという心持ちは素敵だと思いますよ。」

 

 舞衣ちゃんにもバレたのか………。

 

 「………とりあえず、行こう。」

 

 照れ隠しのように、都はすぐ可奈美たちの手を繋いで屋台の方へ向かう。

 

 しかし、その照れた様子はあの二人にうまく隠せないみたい。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 もう一度申す。

 

 説教と妹を甘やかしたい両方が分け辛い……。

 

 都は可奈美たちといくつの屋台を回したあと、すぐ一人となった姬和と合流。

 

 一応彼女のそばにいるはずの沙耶香はどこにいるのかって聞いたんだけど、彼女はどうやら薫と一緒に行動しているらしい。

 

 そして、姬和と合流したあとは四人の共同行動となり、そこから……都があることを気付いた。

 

 「甘いものが好きなのはわかるけど……食べすぎない?」

 

 かき氷を食べながら、都はその事実を気付いた。

 

 これまでに回した屋台は甘いものばかりいる。そこで女の子よりダイエットのことを心配するバカ兄は妹の身体の健康を心配し始めた。

 

 今、可奈美はキラキラした目で超特大の綿飴を見つめている。そんな可奈美はたまらないくらいに可愛かったが……兄としては心配です。

 

 「そうかな?私はそんな可奈美ちゃんが可愛いと思うよ。」

 

 舞衣はいちご味のかき氷を持ちながら、笑顔でそう言う。

 

 どうやら、可奈美を甘やかすのがバカ兄()だけじゃなかった……。

 

 「そんなに心配するなら、彼女を止めたら?」

 

 そこで、舞衣と違って冷静な姬和はそういう提案を出した。

 

 「無理だよ!彼女があんなに綿飴が好きなのよ!しかも、そんなに可愛い可奈美を止めるものか!」

 

 しかし、(シスコン)はこんな可愛い可奈美を止める勇気がなかった。なぜなら……滅茶苦茶可愛いから。

 

 「お前って面倒くさいな。」

 

 「自覚ある……」

 

 説教と妹を甘やかしたい気持ちって、結構分け辛いです……。

 

 それから、かき氷を食べたあと、沙耶香もこっちまでに合流してきた。

 

 しかし、そこも問題があったようだ。

 

 「沙耶香ちゃん、そのハンバーグは?」

 

 「薫と、一緒に買った……」

 

 「結構大きいよ。大丈夫?」

 

 「うん……」

 

 どうやら彼女はこの間に薫と熱食屋台を回したようだ。しかし、あのハンバーグは結構大きいようだ……カロリーとしては大丈夫かな?

 

 「お前っていつも他人ことを心配しているんだな。」

 

 都が沙耶香を見つめていた関心の目を気付き、姬和はチョコミントバナナを食べながら、そう聞く。

 

 「そうでもない。ただ身近い人間のことを心配しているだけだ!」

 

 「それはいつも他人ことを心配しているって言うの。」

 

 マジ?知らなかった……。

 

 「全く、少し落ち着いたらどうだ?もっと気楽て過ごした方がいいと思うよ。」

 

 「お前の口からこんな言葉が出るのが予測できなかった……お前こそ、もっと気楽に生きろう!昔のように我儘でもいいのよ。」

 

 「………それは無理だ。私の復讐はまだ終わってない限りは気楽に生きられない。」

 

 そう言って、彼女はしばらくチョコミントバナナを食べる口を止めた。

 

 一瞬だが、隣から見た横顔は少し辛そうな顔だ。

 

 こんな彼女は少し放っておけない。

 

 「なら、せめて俺の前に気楽に生きろよ!」

 

 「え……?」

 

 「俺の我が儘かもしれないけど、お前のその表情が嫌いだ。だから、もっと笑え!昔のように笑って欲しい!」

 

 「な、何を……言う……!?」

 

 突然、彼の言葉に驚かされた姬和。

 

 「もし、背負うものが重すぎで笑えないなら、俺が半分を背負うよ。もうお前一人にしない。」

 

 彼女の赤い瞳をじっと見つめて、都は自分の決意を彼女に伝う。

 

 ただ一人で真実を知って、母の仇を取りたい彼女は無謀で折神紫に挑んだ。そして、失敗して……今は追われる身になった。

 

 もし、可奈美が彼女のそばにいなければ、彼女はきっと一人で戦うつもり……。

 

 幼馴染としてそんな彼女を放っておけない……必ず彼女に手を貸す。

 

 「…………はぁ……」

 

 それから数秒経ち、姬和はただそこで駄目息をつく。

 

 あれ?なんてそこでそんな反応取るの?

 

 予測外のことに、都は呆れた表情だ。

 

 そして、さらに数秒後に姬和はようやく笑って口に出す。

 

 「本当に兄妹だな。可奈美も同じことを言った……重そうだから、半分を持つって」

 

 可奈美があんなことを……。

 

 「馬鹿だな、彼女は」

 

 「うちの妹の悪い口を言わないで」

 

 「お前もだ。」

 

 「今度はこっち……!?」

 

 姬和の辛辣の言葉で少し心が傷つけた都。

 

 まさか、彼女から見れば、自分は馬鹿なのか。昔はあんなにお兄さん、お兄さんって呼ぶのに……。

 

 「“都”、お前は彼女(可奈美)だけに集中すればいい……私が背負うものの半分は可奈美が勝手に背負うから、あなたの心配が入らない。」

 

 「そう……」

 

 じゃ、さっきの話は無駄なの?結構格好良く言ったのに!?

 

 そして、姬和の視線は沙耶香に綿飴の良さを教えこむ楽しそうな可奈美の方へ見る。

 

 その視線を追って、都もそんな可愛い妹の姿を見守る。

 

 「可奈美は単純で、お人好しで、時に甘い考え方が持っている馬鹿だ。正直、呆れる……でも私は彼女のそういうところは嫌いではない。」

 

 「これはお願いだ。私より彼女を守ってくれ。いつか彼女はどこかに転ぶのだろう。その時はーー」

 

 「………必ず引っ張ってやる。お前に言われなくてもそうするよ。」

 

 ああ……大事な妹だから。どんなことがあっても彼女のことは最優先だ。

 

 「うん……彼女のことをよろしくな。都」

 

 「………こっちこそ、あんまり彼女に心配させんなよ。それと……折神紫を討つか、タギツヒメだけを討つか……どちらにしろ、俺はお前の背中を押します。ありのままにやったほうがやりやすいし」

 

 「お前……」

 

 「それくらいの我儘をさせてくれ」

 

 「わかった。」

 

 可奈美のことで共識した二人。

 

 本来、都は姬和のことも守ってやりたいと思ったのだけど、彼女に拒否された。

 

 その代わりに可奈美を大事して欲しいと頼まれた。

 

 ならば、せめて彼女の背中を押すだけは許したい。いいな?姬和。




次回はお祭り編に入り、特定キャラとのいちゃいちゃシーンを書こうと思っています。
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