可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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都は可奈美にちっとも劣っていないチート級剣士だと今話で反応されます。

#ちなみに夏服の可奈美がすげえ可愛かったけど……引けなかった。お兄ちゃんの愛が足りなかった(´;ω;`)


第三話:守護の末

 初めから、これは勝ち目のない戦いだという事を分かっていた。

 

 周りが四人の刀使に囲まれている。四対一という絶望的な局面、誰がどう見ても不利な状況。いや、例え一対一でも彼にとって勝ち目なんてある筈もない。

 

 なぜなら、刀使は所謂チートのような存在であり、人知を超えたオリンピック選手もビックリするほどの身体能力を持つ者達だ。彼女達は、学生でありながら化物退治専門のプロであり、人々の英雄なのだ。

 

 そんな英雄にただの人間では対抗できる訳もない。何せ彼女らは人類の英雄であり、希望であり、救世主なのだから。そんな普通とは違う特別な人間が、簡単に一般人にやられるはずもない。

 

 故に、彼女たちは無謀にも立ち向かった彼の事をその場に居た誰もがバカにしていた。

 

 いや、おそらく都の後ろにいる糸見沙耶香はそこまでは思っていなかっただろう。だが、それでも彼女は彼が刀使に勝つ事を信じてはいなかった。

 

 刀使ですらない彼を相手に、刀使である彼女達が負けるはずもないから。

 

 それでも、都も自分なりに精一杯刀使への対策を考えた。

 

 そして、冷静に考えた結果…。彼は正座で床に座り、相手を待つことにした。この行動に、何か策があるのだろう。

 

 「何してるだ?あいつ。」

 

 「降参か?でもそうは見えないけど……。」

 

 「何か策があるみたいね。でも、刀使である私達に一般人が勝てると思うだなんて…私達も甘く見られたものね。」

 

 「どちらにしろ、彼は勝ち目はないわ。」

 

 彼女達がそう言った直後、全員が写しを発動し、その状態を維持する。この状態になる以上、都にはもう1%の勝ち目さえもなくなってしまう。

 

 「アハハハ!!何やっているの、あの男。バカにも程があるわ!」

 

 そして、そんな都を大笑いしながら見ているのは、高津雪那という五箇伝の鎌府女学院の学長。

 

 赤い正装を着ている紫髪の人で、容姿はなかなかの美人タイプだ。だが、中身に関してはとても残念な大人の女性なのである。それは、今までの彼女の行動・言動を見ていれば分かるだろう。

 

 そういう人間は、都が最も嫌いなタイプの人間である。

 

 「…………」

 

 「沙耶香、そんな男の後ろに居ていいのかしら?そこの彼に怪我してほしくなかったら、早くこっちに戻ってきなさい。」

 

 「……私。」

 

 「大丈夫だ、俺を信じよ。決して沙耶香ちゃんを俺の原因であのババァの言うとおりにさせはしない。」

 

 「なっ……!ババァ!?貴様!この私に侮辱の言葉を言うなんて、貴様覚悟は出来てるのかしらね!?」

 

 高津雪那の話に動揺した沙耶香に、都が高津雪那に対して挑発的な口調で彼女を安心させるつもりだったが、余計に相手のことを怒らせる結果になってしまったようだ。

 

 「高津学長、少し落ち着いてください。私達は必ず鎌府を侮辱する奴を後悔させます!」

 

 「そうです。必ず糸見さんを連れて戻すので」

 

 「私はあまり弱い者を苛めるのは趣味じゃないのですが…」

 

 「とりあえず目標を無力化する!行くよ!」

 

 「はい!」

 

 激怒した高津学長を落ち着かせるように、刀使たちは改めて戦闘意志を高く上がり、都を完全に囲う。

 

 だが、彼女達に囲まれても都は顔色も変えず、何も動きはしなかった。

 

 「悪く思うなよ!」

 

 そして、彼を囲んだ四人の中の一人が一瞬で姿を消し、都の鼻の先へと移動する。その技は迅移(じんい)と呼ばれる高速戦闘用の刀使だけが使える技だ。

 

 彼女が剣を勢い良く振り下ろせば、都は必ず大きい致命的な怪我を負うはず。

 

 しかし、刹那の一瞬…大きな一閃と共に、都に襲いかかった刀使が真っ二つに斬り裂かれ、写しが剥がされた。

 

 彼女はそのまま地面に倒れ込んでしまう。

 

 「な、何が…起きた……?」

 

 先程起きた現象を完全に理解出来ていない都以外のこの場にいる全員。

 

 彼女らは先程、ありえない現象を見てしまった。

 

 刀使ではない彼が、一般人では決して反応が追いつけるはずもない速度の前に彼は綺麗な一閃を放つ。そしてその一閃は見事相手を斬り裂き、写しを外す事に成功した。

 

 「ぁ………」

 

 そして、その場で一番早くその現象に反応出来たのは糸見沙耶香だった。

 

 彼女は確実に見たのだ。都が迅移よりも速い速度で相手を斬ったその光景を。

 

 そこに感想を付けるのならば、「刀使をも越えるとんでもない速度の一閃だった」としか言い様がないだろう。

 

 「思ってたより良い刀だな、これ。形を見る限りでは村正シリーズの一振りなのだろう。え…って事はこれかなりの名刀じゃん!」

 

 まず刀使の一人目を仕留めた都は、抜いた刀をじっと観賞し始め、その声でようやく今の状況に反応できた残りの三人の刀使たちは、速やかに都から距離を取り、迎擊体勢に移る。

 

 「なんですか!あれ!」

 

 「写しが剥がされただと!?信じられない!」

 

 「刀使を相手に何なの!あの速度は!」

 

 三人は目の前で起きた出来事に驚異し、この状況を受け入れられないのか、目をパチパチとしながら都の方を睨むように見つめていた。

 

 この男は見た目より、相当やばい実力を持っていると彼女達は共識した。

 

 「よし、後でちゃんと元主に返すから、しばらくの間は俺に力を借してくれよ、“村正”。」

 

 そこで、刀と会話をし終えた都は、残りの三人を改めて見て、再び“居合”の態勢へと戻った。

 

 「あれは…“居合”だよね?……確かに反撃最強の技だと呼ばれた剣技ですが……あの男が、そこまでの剣技を本当に繰り出せるの?」

 

 「わからない……でも私達も知っている技なら私達には効かないよ!行くよ!」

 

 「うん!」

 

 間もなくの間、彼の周りに居た刀使二人が同時に左右の両方向から一気に斬りかかる。左右から同時に攻め込めば、正面方向への剣技である居合が効かなくなると彼女達は考えていた。

 

 最低、一人がやられたとしても、もう一人は彼を無力化させることができる。だから、今度こそ仕留める事ができると、彼女らは疑わずに信じていた。

 

 「な……!」

 

 しかし、想定してなかった事態がまた彼女達の目の前で起こることになった。

 

 都は、彼女達の繰り出す剣技を“彼女達が攻撃するより先に読み”、まず斬りやすいと思った所に狙いを定め、右の子を下から上に斬り上げる一閃で彼女の写しを剥がす。そして、思いきり左ヘ弧月型の一閃で左の子の左腕を斬り落とす。そうすると、彼女たちの写しを解除する事に成功した。

 

 これで3人目だ。

 

 ちなみに、都は右利きなので、右から斬りつけてきた攻撃を防げるのが得意中の得意だ。そして、彼が起こした出来事は全て一瞬で考え、一瞬で実行に移して出来た事なのだ。

 

 彼は自分の集中力を限界まで上げる事が出来る“能力”のような物を持っている。相手の動きを“相手が攻撃するより先に全て読む”。それを先程繰り出す事に成功し、彼女達の攻撃を凌ぐ事が出来たのだ。幸いの所、相手の剣技は大したものではなかったので彼はこうして初見殺しと言わんばかりの攻撃を成功させる事ができた。

 

 だが、もし相手は写し状態の可奈美だったら話は別だ。自分の妹の剣技は何もかもが化物しすぎる。あいつに勝てる奴はおそらくお母さんだけであろう。

 

 何せ、都はただ写しを貼った普通の相手だけで既に対応が精一杯なのだから。

 

 それにこの集中状態も精神の消秏がかなり激しいので、できればもう二度と使いたくない。

 

 ちなみにだが、≪居合≫という技は舞衣から学んだものである。もちろん、正式に手合わせなんかをしてこの技を習得した訳ではない。ただ、可奈美と舞衣の稽古を彼は常に見ていて、自然と舞衣の得意技である≪居合≫を学んだのだ。

 

 でも、それはただ見ていただけなものなので、その剣技の精髄を完全に理解できない以上、まだまだ舞衣ほどに技を上手く発動させるまでにはいかない。 

 

 「都、後ろ……!」

 

 そして、三人目の刀使を仕留めたばかりのところ、沙耶香が急ぎに都に警告の言葉を発する。

 

 しかし、彼女の警告が間に合わず、彼の首先にはもう冷たい鉄のような硬い硬質の感触をしてきた。

 

 「卑怯な勝ち方でごめんなさい。」

 

 先程の二人を倒した後、極限まで集中してスタミナをかなり消耗した影響なのか、疲れて周りがあまり見えていなかった都は、残り最後の一人に隙を捉えられた。これはいわば将棋で言う所の“詰み”…チェスで言う所の“チェックメイト”と言ったところだ。

 

 「ここまでか……」

 

 自分の今の局面を悟り、彼はこれ以上抗うことを諦めた。

 

 (やはり四人相手では、限界があった。)

 

 「そんな残念そうな顔はしないでください。貴方はもう十分頑張ったと思います。」

 

 そして都と共に、ようやく張り詰めていた緊張感を放ち、最後までに残っていた刀使は都に苦笑いな顔をする。そして、小さい声で都のことを褒めました。それが都に届いていたのかは、分からないが…。

 

 「……はっ!よ、よくもここまでやってくれましたわね!あの男をしっかり捉えろ!さぁ、沙耶香。大人しく私と一緒に鎌府に帰りましょう。」

 

 そして、都が最初の一人目を打倒してから反応がずいぶんと遅くなった高津学長は、ようやく正気に戻ったようで、今の状況をしっかりと反応する事が出来た。

 

 しかし、想定外の事態でこんな結果に導かれる何て言うのは、彼女にとってもいい気はしないようだ。流石にこの場面で彼女の顔からは完全勝利の感情は感じられない。むしろ、彼女にとっては敗北といった感じだった。

 

 自分の学園の生徒、しかも刀使たる者がただの一般人に半分以上の人数がやられたのだ。

 

 きっとこのような悲慘な勝利は、彼女のプライドを考えれば受け入れられないものだろう。

 

 「…………。」

 

 そして、高津学長に呼ばれた沙耶香は高津学長を一瞬見た後、すぐに都の方を見た。

 

 その目は、相当に迷っているように見える。

 

 「沙耶香ちゃん、俺は負けた。君を守れなくて悪かった。」

 

 「ううん、(みやこ)はちゃんと私を守ってくれた。ありがとう。」

 

 胸が熱くなり、先程の物より強い痛みがまた沙耶香を襲った。沙耶香はこの感覚がまだ何なのかは分からなかった。でも不思議と、都と喋るときと同じ、沙耶香は嫌じゃなかった。

 

 顔が赤くなり、沙耶香はこの物知れない“嬉しい気持ち”という物を都に抱いた。

 

 「……そうか。沙耶香ちゃん、これを受け取れ。」

 

 都が携帯をポケットから取り出す。そして、ある物を沙耶香の方へ投げた。本当ならここで周りの刀使は動くべきなのだろうが、この挙動に対し、都を構う刀使は阻止する事はなかった。

 

 「これは……?」

 

 都が沙耶香に投げたのは、携帯につけるサイズのぬいぐるみだった。その外見は猫の顔に似ているように見えるが、似ているようで似てない。

 

 「お守り。変なものだと思うけど、受け取ってくれると嬉しい。そして、これを君が握りしめてくれば俺は必ずお前を助けに行く。約束する。」

 

 「うん、大事にする。」

 

 ぬいぐるみを胸に強く抱く沙耶香は、このぬいぐるみのことをとても気に入ったみたいだ。

 

 そんな嬉しそうな沙耶香を見て、都は思わず心の底から微笑んだ。最初に出会った時より可愛くなった、自分が沙耶香を幸せそうな気持ちに出来た。それは彼にとってはこの上のない幸せだったのだ。

 

 「∼∼∼∼∼∼∼!!!」

 

 そして、沙耶香に無視されたまま二人だけの世界へ入っていく都と沙耶香にムカついた高津学長。彼女はまるでその場に居た全員に忘れられたような気持ちを味わった。

 

 「沙耶香ーー!!そこで何をしている!もたもたせずに早くこっちに来なさい!」

 

 「うわぁ、めっちゃ怒ってるよ、うちの学長は。糸見さん、これ以上学長を怒らせる前に早く帰りましょう。それと、この後の事は私にお任せください。貴方の糸見さんを守りたい気持ちを、私は無駄にはしません。」

 

 「意外といい人だな……お前。」

 

 「貴方ほどではないと思うけど……。ただ糸見さんを守りたいと思う気持ちを目の前で感じた以上、その気持ちを無駄にしたくない思いも強くなりました。」

 

 そう言い、都を抑えつける刀使は彼に笑顔を見せた。その笑顔には偽りがないようだ。

 

 「それじゃ、この後のことはよろしく頼んでもいい?」

 

 「はい!お任せください!」

 

 その後、彼は沙耶香の刀を刀使の方に返し、沙耶香にも別れを済ました。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 鎌府の刀使たちと正面衝突をした幕はようやく無事に終わった。

 

 本来、誘拐犯扱いをされた都は無事に済むはずは無いだが、ある刀使のお陰でこの件はなかったことになったのである。

 

 その無かった事になった原因は、都が三人の刀使を倒したからだ。流石にこんな醜い話を世間に知らせてはいけない。これも鎌府の名誉に関わる問題なのだ。

 

 故に、この話が最終的になかったことにされ、都の身柄も確保されずに済んだのだ。

 

 (まぁ、こんな決定を下した高津という女はとても悔しそうなご様子だったようだけど、これも仕方のない話だ。名誉を傷づけたくないなら、そうするしかない。ざまぁ見ろクソババァ。)

 

 ちなみに、別れたときに都を縛っていた刀使は、最後は都にお茶の誘いをした。

 

 「もし鎌府に来る事があったら、一杯奢るよ。」という話だった。まぁいつの日かはね…。

 

 「はぁ……疲れた。」

 

 沙耶香達と別れた都は疲れた体で家に帰っていた。本来はもっと朝練をする予定だったが、刀使との戦いで集中力を使い過ぎて朝練を切り上げて早めに帰ることになった。

 

 「時間にはまだ早いか……」

 

 家に帰った頃はもう6時10分のところ。そろそろ可奈美たちの朝ごはんを用意する時間だ。

 

 しかし、こんな疲れた体では直ぐに朝食を作ることができない。故に、都は先にお風呂の方へと向かう。

 

 「朝ごはんを準備する前に、まず風呂で疲労を無くさないと。」

 

 そしてどんどん思考能力が落ちていく都は、風呂についた頃にはもう最低レベルまでにしか残せない思考能力になっている。都は“なんにも考えず”に風呂場の扉を開けた。

 

 そこで彼は、今まで生きてきた中で最も美しい光景を見てしまった。

 

 風呂場の中には何も着用していない二人の未成年の少女がいた。

 

 一人は絶好のスタイルを持つ、中学生には思えないくらい豊かの体。もはや妖豔という詞を形容すべきなのかと思ってしまうほど綺麗だった。……いや、これは早めに女性という魅力を最大まで発揮する成熟な体と言っても過言ではないのかもしれない。

 

 しかも、先程お風呂上がりであろうせいか、彼女の体には僅か少数の水珠がついていて、顔色も水蒸気のせいで赤くなっている。潤んだ目と赤くなっている頬、さらに大人の女性と言っても過言ではない程の成熟な体の攻勢下で、これに落ちない男はいない!必然的に彼女に惚れてしまうだろう。

 

 「……え?///」

 

 「お、お兄ちゃん……!?///」

 

 おっと、一番大切な人を忘れてはいけない。先程の体には劣っているが、徐々に成長している小さい女性の象徴をしっかりと持つ彼女の体は、ある意味では魅力的と言えるだろう。

 

 贅沢な肉がどこにもなく、きちんと鍛えられたちょうどいいバランスが形成されているその肉体美。大きくなりすぎず、小さくもないちょうどいい部分。男の憧れは、まさにそこにあるのだ!

 

 そして、その裸が兄に見られて照れさせられたその顔は、しっかり少女という最大の魅力を発揮している。(可愛かった。)

 

 さて、そろそろ現実に目を向かなければならない。今の状況はまさに漫画やイケナイ本みたいな展開だ。

 

 お風呂に入った瞬間、狙っていたかの如くお風呂から上がった可奈美と舞衣がそこに居た。恐らく起きたあとはお風呂で眠気を解くつもりだったのだろう。

 

 ならば選択は2つに分かれる。

 

 斬られるか殺されるか2つの選択しかない。それは今の状況からすれば必然だ。男からすればとても理不尽と感じられるが、これは見てはいけない物を見てしまった代償だ。罪を犯せば、そこに罰が与えられる。

 

 文句なんて言わない、なぜなら自分は勝手に彼女らの裸を見た。今日(こんじつ)二番目で最低だと思われる行為だ。

 

 しかし、都も一応男だ。彼の心は誠実そのものである。故に彼は遺言を先に、二人に言わなければならない。 

 

 例え後は必ず蹴り飛ばされるとしても。

 

 「可奈美、舞衣ちゃん……お前らちゃんと成長してきたな。」

 

 「〜〜〜!!////」

 

 「〜〜!!////」

 

 そして次の光景は風呂場から蹴り飛ばされた都という光景だった。

 




ドキドキシーンの描写は結構苦労かけた……。
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