可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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やっと胎動編が最も熱いシーンがやってきました。アニメを見たときは、私はずっと結芽ちゃんにいい結末を迎えさせたいと思っていました。そこでうちの作品なら、それを実現させたいと思いました。

けど、この作品は他の作品と違って、うちは物理的に彼女を救うことができず、ただ彼女にいい結末を送れるしかない。それは特殊の力が持たない主人公が彼女に唯一できることなのだ。


第28話:胡蝶の夢

 誰かに呼ばれた気がする………。

 

 けど、声が全く聞こえてこない……。

 

 なんだろう?意識がないのに、誰かに呼ばれた気がする。

 

 ーーまた、来てくれたのね……あまり歓迎しませんだけど。

 

 そして、唐突に目の前に一人の和風の女性が光と共に現れた。その女性は美しい美貌と黒色に近い桜色の長髪を持つ、身体は豪華の和服が纏っている。

 

 なんか、何処かで会ったような……。

 

 ーーここは隠世に近い質の世界、夢の世界を呼んでもいい。

 

 夢……?

 

 ーーそう、貴方は愛宕の意識に選ばれた存在。ここはただあなたの意識を死者の世界へ向かわせないために作られた空間。

 

 何かを言っている意味がわからない……俺は死ぬの?

 

 ーーいいえ、貴方の傷口はほどんと癒やされました。ここから離れると、貴方は無事。けど、ここでのことが忘れられる。何にせ、ここは貴方にとってただの“夢”ですから。

 

 ここのことを忘れるの?

 

 ーーしなきゃいけない。ここは貴方がいるべきじゃない世界です。あんまりここと関わらない方が良い……でないと、貴方の意識は永遠ここに囚われる。

 

 女性は関心そうな口調で俺に近づき、そして柔らかい繊細の手で俺の手を触る。とても気持ち良い感触ですが、数秒後一つの剣が俺の手に現れた。

 

 重っ!

 

 ーーこれは貴方の強い守護の意念により、貴方と繋がり始めた御刀。本来神薙の巫女しか得られない力だけど、貴方の決意に感動されて、貴方を選びました。

 

 女性は優しい口調で次々と話す。彼女の顔を伺うと、なんだか嬉しそうに見える。

 

 ーーけど、同調率がそんなに高くない故、この力はまだ使えません……が、貴方をここから連れ去る神力があります。本当に、いい子だね……この子は。

 

 手に持っている御刀を優しく撫でる女性。まるで母親が子供を触ると同じ感覚。

 

 彼女からそう感じた俺は、お母さん……と思わず口に漏れた。

 

 それを聞いた女性はただ優しい微笑みで返す。

 

 ーーふふっ、私は母だけど、あなたのじゃないのよ。貴方の母の半分はずっと隠世にいる……今の貴方では会えない、行けない。現世は貴方を必要なの。

 

 ーータギツヒメはもうすぐ復活。それを払うのは千鳥と小烏丸と我々に選んだ貴方しかいない……だから、貴方を死なせじゃいけない。

 

 俺が大荒魂を……冗談だよね?俺はただの一般人だよ!

 

 ーー御刀に選ばれた一般人だ。さぁ、最後の夢を見ましょう。これは可憐な少女の哀れな物語である。貴方は彼女を救うか、それとも世界を選ぶのか。貴方の選択に期待してます、衛藤 都(神刀に選ばれし者)さん。

 

 額が彼女の指に触られた一瞬、俺という意識が再び閉じた。そして、再び夢を見た。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 かつて、神童と呼ばれた天才少女がいた。

 

 まだ小学生の年頃なのに、御刀に選ばれて、剣筋も年上の人たちより優れている。

 

 彼女は無数の相手を倒し、最高の名誉をもらった。パパとママに褒められて、周りのおねーさんや同級生に認められて、彼女は凄く嬉しかった。

 

 こういう幸福の環境で、彼女は毎日笑顔だった。

 

 そして、刀使として五箇伝に入学していることも心が誇れ高くしている。だって、刀使は皆に好かれている憧れの存在なんだから。

 

 当時の少女は目が輝いている、胸が高くドキドキしている。これからの日々はずっと幸せなんだろうと少女はそう思っているはずだった……。

 

 入学当日にパパとママが笑顔で彼女を迎えてくる、彼女のことを誇っている甘い言葉は少女は好きだった……好きだった……。

 

 あの日、彼女の体調が唐突に崩した。その後、彼女はずっと病院にいた。

 

 最初は大した病気だと思ったのだけど。身体がどんどん痛くなる、呼吸も難しくなる。お医者さんの顔も絶望的に、哀れな目で少女を見た。

 

 その時、少女は知っていた。もう、あの幸せな頃に戻れなくなる……。

 

 「パパ……ママ……たすけて」

 

 うわ言のように口から漏れた救いを求める声。けど、彼女の切に願われたその言葉に答えるものはもういなかった……。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 「…………!」

 

 胸が痛む感覚と共に、都はベッドから目を覚ました。

 

 「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 身体のどこでも冷やし汗でびしょびしょ。着ている病人用の服が身体に粘りしている。

 

 「なん、何なんだ……あれは……」

 

 さっき見た悪夢に都の心がとても辛くて、目からも無意識に涙がボロボロと落ちていく。

 

 あれは一人の少女の悲しみの過去。本来人生が明るくなる彼女ですが、突然の病気で彼女は手に持ちていたすべてが失った。

 

 そして、彼女を支える大好きだったはずの両親も二度彼女の前に現れなくなる。こうして、彼女は一人で孤独の死亡を迎えていく。

 

 「クソ……何なんだよ!ふざけるな!」

 

 これは悪夢に対する責め言葉なのか、それとも少女の悲惨の運命に不満を示す言葉なのか……都は拳を強く締まって、指先に刺されて赤い鮮血がそこから溢れ出す。

 

 「……………」

 

 しばらく経つと、視線先は思わずに隣の机に置いているおむすびを捉えていた。

 

 誰か置いていたのか知らないが、都はそれを取り食べ始めた。

 

 味はもちろん美味しいが、身体が栄養を求める飢える感の方が重い。

 

 「ありがとうございます。ご馳走様でした。」

 

 このおむすびを置いていく人に深く感謝の意を示す都。彼は食べ終わった後、すぐ周りの環境から状況を掴む。

 

 まず、ここは病室のような場所。きっと燕 結芽に倒された後、ここに送り込まられたのだろう。

 

 ならば、ここは折神家の拠点の一つに間違えない。

 

 「……最悪。早くここから脱出しないと」

 

 速やかに最悪の事態を予測して、一刻早くここから離れたい気持ちが強く湧いてきた。万が一自分が可奈美たちを脅す用の人質にされたら、きっと可奈美たちは大人しく折神家の人間の前に現れるのだろう。

 

 それだけは避けたい。自分は彼女たちの荷物になりたくないから……。

 

 「あ……江雪左文字(こうせつさもんじ)。」

 

 ベットの隣に置いてある御刀を見つけ、都はすぐその名前を口に出した。

 

 これは竹島 雅から借りた御刀だ。実はこの御刀はまだ使用者がいなくて、作られたばかりの御刀を都に貸した。

 

 その刀身はその名のようにとても綺麗な刀。刀のことを愛する鍛治師にとって、これは恋人みたいなもの。

 

 …………冗談を置いといて、都がベットから降りて、その御刀を持ち上げた。

 

 「待たせたな、雪。」

 

 御刀へ愛称を呼ぶ都。使用時間が長く持たないが、彼は結構この御刀を気に入っているみたい。戦友なのかな?一緒に戦ってくれたし。

 

 まぁ、ひとまず自己防衛の力が手に入れた。これがあれば、刀使だろうと対応できる。

 

 「しかし……身体の調子が予測より良かったな。前回もそうだが……なんだろう?」

 

 死ぬほどのひどい怪我を受けた記憶があった。けど、どうやって治療されて、身体が全調になるなのかは都がはっきり覚えてない。

 

 今回は折神家に救われたが、なんか“その前に治療された”気がする………。

 

 「とりあえず、ここから脱出しよう。親衛隊の人間がここにいないのを祈ろう」

 

 もし、ここでまた親衛隊の人間に出会ったら、間違えなく重傷されちゃう。その状況を避けたい。

 

 故に、ここから先は今までより慎重しないと行けない……。

 

 「………燕 結芽はここにいるのかな。」

 

 病室から出て走る都は思わずその言葉を口に漏れた。別に彼女と出会いたいわけじゃない、むしろ彼女との戦闘を避けたい……。

 

 けど、何となく彼女のことを気にしている。あの夢の少女は彼女と同じ髪色だった……。

 

 まさかなぁ……彼女は元気一杯のイメージだし、口も最悪。あの可憐な少女と似合わないイメージなのよ!?

 

 ……それでも彼女は可愛かった、強かった。敵じゃなかったら、彼女と仲良くなりたいと思う自分がいた。

 

 そういう世界がいるのかな……いや、考えるのをやめよう。重要なのは生きている今だ!

 

 今のことを集中し、都は気配を気付いながら走った。

 

 「それより……服も着替えないとね。」

 

 外観もちゃんと管理している都は自分が着ている服を見て、早く何処かに服を盗んで着替えたい。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 一方、その頃ーー。

 

 薫とエレン方面ーー。

 

 

 

 「キエェェェーー!」

 

 でかいな御刀を何回も振り回し、相手に攻撃する薫。けど攻撃速度が遅くため、簡単に避けられたが……結芽もその一撃必殺の攻撃を堤防しながら、軽く近づかない。

 

 近づくとしても隣のエレンに邪魔されて、薫に隙を狙われて攻撃される。

 

 代わりにエレンの方へ攻撃すると、もう一人に邪魔される。息ビッタリの二人の攻撃に結芽は珍しく苦戦している。

 

 「クソ!」

 

 そして、この二人の高度の連携攻撃にイライラする結芽。彼女は一刻早く千鳥のおねーさんと勝負をつけたいのに、ここでこの二人に足止められた。

 

 もう残る時間がないのに……!

 

 「いやあああぁぁーーー!!!!」

 

 自分を中心に何回でも回転する薫はその大きな御刀をそのまま結芽の方向に投げ捨てる。回転した脅威が高くなる御刀は凄まじい速度で結芽を襲う。

 

 「何これーー!?」

 

 もちろん、その新しい攻撃方にびっくりする結芽は身を地面に伏せて躱す。

 

 「ねっね!ねっーー!」

 

 そして、後ろに姿を隠した荒魂(ねね)はその御刀をキャッチして、薫たちの方に投げ返した。

 

 けど、距離が足りない……と心の底から薫たちを馬鹿にする結芽。これで一人は攻撃手段が失うはず。

 

 「3ーー2ーー1ーーーッ!」

 

 「ゼーーロ!」

 

 でも、彼女たちはまだまだ連携動作を止まらず。薫はエレンの御刀を乗って、そのままエレンにすごい力で結芽の方向に振り出されていく。

 

 いや、正確言うと……御刀の方へ。

 

 「嘘!?」

 

 「本当。」

 

 薫は投げ捨てたはずの御刀を見事キャッチして、さらに回転する。

 

 まずいっ!躱さなきゃ!

 

 例え中学生の結芽でもわかる。あの回転数によって、作られた動力はどれほど脅威があるのか。

 

 けど、回避するところが、結芽はその思ったより早い速度を予測できなかった。

 

 「ぐっがぁ!」

 

 故に、彼女は回避できずにその攻撃に直撃されて、写しが解除された。

 

 「ぐっ……!」

 

 本能的に後ろへ退避した結芽ですが。写しが解除されたため、無力で両足と両手が地面に伏せた。

 

 「あまりオレたちをーー」

 

 「舐めないで欲しいデース。」

 

 勝負はもうつけた。

 

 けど、二人の声を耳に入り、結芽はとても悔しそうな顔だった。

 

 こんなところで写しが解除されたことは一度も思ってなかった。今までも解除されていないのに……!

 

 「こ……の!ぐっ……!?げほっ、ごふっ……」

 

 その時、御刀による自分を庇う神力が一時に失った結芽は喉からせり上がってくる液体を耐え切れずに口から吐いてしまった。あの液体は真っ赤な鮮血だ。

 

 思わず口元を押さえていた手も血に塗れ、溢れた分が地面に染み込んでいく。

 

 その光景に呆れられたエレンたちはこのような展開を全く予測しなかった。最強の少女はどうして急にこの状態になったのか……。

 

 「こ……の………」

 

 彼女の顔は苦しい、悔しいなどの怒りによって徐々歪んでいく。

 

 あの二人を決して許さない、良くも時間をここまでに足止めするとは………!

 

 「こーーーーのーーーー!!!!!」

 

 怒りの咆哮と共に、凄まじい力も結芽の身体から湧いてきた。あれは考えなくてもわかる、ノロの力だ。そして、その力の威圧は薫たちに恐怖を与えた。

 

 夜見の暴走より遥か強い。あれは……ただのノロではない。恐らく、あれはタギツヒメの一部の力だ。

 

 「うっ………!」

 

 二人はそんな圧倒的な力に抑えられた。ただの気圧がこんなに重いなんて……。

 

 「弱い癖に……っ!お前もだ!出てくるな!荒魂の力を使わない!」

 

 結芽は自分の頭に強く叩く。彼女は暴走した状態だけど、夜見と違って、ちゃんと自己意識を持っている。

 

 そして、自力でその力を抑えた。

 

 「………これはいいチャンスだ。エレン」

 

 「ええ……あの忌々しい力がとんでもなく怖いのデスが、あの子はその力を抑えている状態の方が、勝ち目がありマース」

 

 まだ戦意が残っている二人は、荒魂の力を抑え終えて写しを再び発動する結芽と対峙。

 

 「もう容赦はしないぞ。おねーさんたち……もう付き合う時間がないの!」

 

 「ーーーー!!」

 

 高段階の迅移を使い、エレンたちに襲いかかる結芽はさっきより攻勢が強く。

 

 例え二人の連携がどれほどうまいが、身体の対応が彼女より遅い。これはまるで、さっきの彼女は手抜きしたようだ。

 

 「うっ……!」

 

 エレンより先に結芽の攻撃に写しが解除された薫は気を失って地面に倒れた。

 

 「薫!」

 

 そして、一人になったエレンは金剛力を使い、何となく結芽の攻撃を耐えたが。長く持たなくて、胸が結芽に貫かれた。

 

 「うっ……」

 

 そして写しが剥がれて、エレンも薫みたいに地面に倒れて気を失った。

 

 「時間を取らせて……こんなのに……私が……!!」

 

 御刀を高く挙げて、結芽は生身の薫たちにとどめを刺すつもり。

 

 「ね……ねねっ」

 

 そして、倒れた二人の前にねねが両手を広げて、まるであの二人を守ろうとするようだ。

 

 「弱いの癖に……どいつもこいつも……!」

 

 そんな弱いのに、勇気を絞り出した荒魂に結芽はとても不愉快だ。弱い荒魂なのに、人を守ろうとするだと……笑いすぎる!

 

 「ねね……」

 

 「……………フン!」

 

 御刀を振り、ねねの意識だけを斬る。ねねもあの二人みたいに息を失い、気絶した。

 

 結局、結芽は斬る勇気がなかった。とてもムカつくけど、彼女は人を殺す勇気がなかった。

 

 それもそうだ。彼女はただ中学一年の女の子だ。この年頃で人を殺すものか。特に彼女も悪い子ではなかった。

 

 「……そろそろ、行かないと……はぁ……はぁ……」

 

 薫たちを見逃し、写しを解除した彼女の動きがさっきよりフラフラだった。彼女も余った体力がなかった。

 

 加えて、さっきの暴走で荒魂による侵食が加速された。彼女に残された時間はほどんと残されない。

 

 「もっと……わたしの……凄い……ところを……見せないと……げほっ……げほっ……」

 

 また鮮血が口から吐かされて、地面と制服を染み込んでいく。少女はただ一つの願いへの執着で痛みを耐え続けて、フラフラと歩く。

 

 彼女の願い、ただ一つの願い。

 

 あの日から今日までに続けてきた願い。

 

 今でも鮮明に思い出せる。あの日からもう一度、燕 結芽という少女の終わりかけていた人生に光明が見えたのだ。

 

 折神紫に出会った、あの日から。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 「……けほっ……けほ……」

 

 寝返りを打つのも疲れるほどだった。燕 結芽という少女はもう何ヶ月も病院のベッドの上での生活を続けている。

 

 両腕はまともに上がらない。両足は自分の体重を支えられない。

 

 頭は真っ白で複雑なことは考えられない。肌は触れている物の感覚を教えてくれない。意識が朦朧として寝ているのか起きているのかさえわからなくなった。

 

 「パパ……ママ……たすけて」

 

 心の底から湧き出した願いが口から漏れた。あれは救いを求める声。けど、それを応える人間がいなかった、求める対象がいなかった……。

 

 なんで、私と会ってくれないの?パパ……ママ……もう結芽を捨てちゃうの……?

 

 この数ヶ月ずっと考えていた不安の疑問。

 

 結芽はもう長い間に大好きな両親の顔を見なかった。顔すらも時間によって朦朧になっていく、声も記憶も忘れ去ったような……。

 

 彼女はずっとここで一人で苦しんで、寂しみと暮らしていた。

 

 涙が出そうくらいに寂しかった、苦しかった。ずっと求めていた両親はずっと現れなかった。

 

 「……いない」

 

 もう諦めたのか、彼女は残酷の現実と向き合った。この病室には結芽以外誰もいない。

 

 いや、強いて言えば、綾小路の相楽学長が定期に花瓶の花を替えに来たり、定期的に看護師が医療器具や部屋の掃除などの手入れに来るくらいだ。ノックが二回鳴らされ、見飽きた顔の看護師が入室してきた。テキパキと手慣れた動作で仕事をこなしていく。

 

 ふと、片方の看護師が病床の結芽を見ながら言った。

 

 「この子……ご家族は来てないの?」

 

 「ええ……入院してすぐの頃は六、七回来てたんだけど。もう全然ね」

 

 結芽の両親は入院が決まり、結芽が病院のベッドでの生活が始まって一週間から一度も来ていない。

 

 一週間とは、結芽の病を治療することが不可能だと医師から説明を受けた日からだ。つまり、理由は明白。あの二人は結芽を見限ったのだ。

 

 両親は結芽が綾小路武芸学舎に飛び級で入学が決まったとき、誰よりも喜んでいた。結芽本人よりもだ。だって自分の娘は有名になり、その名誉と共に両親も受け入れられるからだ。

 

 あの二人は結芽が好きだったわけではなかった。あの二人は『天才の刀使という肩書きを持つ我が愛おしい娘』が好きだっただけだ。肩書きを失った今の結芽に用などあろうはずもない。だから、彼女を簡単に捨てた。

 

 ――そうだ。誰も今の私なんて必要としてない。私はいらない子だ。

 

 ベットの上に絶望する少女はどんどん近づく死亡を待っている。それしかできないんのだ……。

 

 「結芽、今日も……貴女を見て、嬉しかった。」

 

 綺麗な花束を抱かえている黒いスーツを着ている黒髪の大人の女性。彼女……相楽学長は今日も来てくれた。

 

 「…………」

 

 けど、そこにいるのはなんの反応もしない結芽。彼女の目はもう絶望しか見えない。

 

 そんな彼女を見て、相楽学長は一瞬苦しい顔を現した。

 

 自分の学校に入学するはずの天才少女。入学式に彼女はあんなに活気が溢れた可愛い様子で自分と数回の話をしたのに、今は彼女からは何も感じなくなる……あるのは絶望だ。

 

 両親の事情も彼女が知っている。だから、彼女の両親と代わって、忙しい仕事から抜き出して彼女と会って、色んな話をする。

 

 せめて、彼女に寂しくさせたくないと思っていた相楽学長だが……毎回どんどん弱くなる彼女を見て、胸が痛くなる。

 

 だから、彼女は決心してある実験に足を入れた。そして、今日はある人物を連れてきた。

 

 「選ぶがいい」

 

 相楽学長と違う声が結芽の耳に入った。

 

 もう数えるのも億劫になるほどの月日を同じ体勢で過ごしていた結芽を見下ろしながら問い掛けてくる女性の姿があった。腰まで伸びる黒い長髪に鋭い眼、腰に差した二振りの刀。

 

 一目で誰なのかは見当りがついた。だが、今の結芽は声も出せない。

 

 「このまま朽ち果て、誰の記憶からも消え失せるか」

 

 彼女は握った左手を結芽に差し出す。ゆっくりと開かれたその掌中には赤黒い液体で満たされたアンプルがあった。直感的にわかった。

 

 これは荒魂だ、と。

 

 「刹那でも光り輝き、その煌めきをお前を見捨てた者達に焼きつけるか」

 

 酷く甘美で、魅力的な、結芽の切望に対する最大限の提案だったと言えるだろう。

 

 そこで、初めて結芽は反応してくれた。

 

 ここで終わりじゃない。これからを切り開いていく。たとえ一瞬であっても、自分の生きた証をこの世界に刻みつけ、誰かの記憶の中で生き続けられる。

 

 ――私のすごいとこ……見せられるんだ……

 

 結芽は力なく笑うと、震える手で彼女の――折神紫の手に自分の手を重ねた。

 

 これは親衛隊第四席が誕生の時ーー。

 

 そして、これも彼女唯一の願いの生まれであった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 驚くほど大量の赤い鮮血が結芽が歩いてきた場所と共に、その痕跡が地面に刻んでいる。

 

 彼女は一歩一歩フラフラの身体で限界までに歩く。身体がどれほど痛いけど、苦しいけど……彼女は足を止まらずに進んできた。

 

 途中で足が崩れても、力つくで立ち上がる。

 

 それを支えるのはただ一つの願いだった……誰かの記憶に自分が確かに生きていた証を焼き付けたい。

 

 「……………けほっ……けほっ……うっ……」

 

 そして、ようやく祭殿の直前に到着した結芽はここが限界だと知り。残念そうな表情で最後のところへ歩く。

 

 「………燕 結芽!」

 

 だが、そこではもう先客がいるそうだ。

 

 「………あれ……?お………にーさん……?」

 

 一目で結芽はその人の顔を見知った。

 

 「お前……その身体と血は……」

 

 青年は彼女の様子を見て、心配そうな目でこっちに向かってくる。

 

 いらない……その目で私を見るな……。

 

 「………また……きられたいの……?おにーさん?」

 

 力なきの笑いに、結芽は最後までありのままに強かっていく。

 

 「……………ッ!」

 

 それを知った青年は悲しげな顔で彼女を見たが、すぐ涙を拭いて、決心した目で御刀を抜いて彼女と向き合う。

 

 「結芽………最後の試合をしよう!今度こそお前を勝つ!」

 

 「え………?」

 

 青年の話が反応できない結芽はぼーと彼を見つめた。

 

 何言っているの?この人……。

 

 「………お前は自分の凄いところを他人に焼き付けたいじゃないの?なら、最後は俺が相手をしてやる!」

 

 「なに………を………わたし……よりよわいの……くせに……」

 

 「ああ……だから、弱者最後のプライドをかけて、お前という最強を挑む!それが………俺の願いだ!」

 

 本当に……何を言っているの。バカじゃないの?

 

 「…………いいよ。すぐ……わたし……のすごいところをみせつけるんだから」

 

 けど、焼き付けたい。最後は誰かに覚えさせたいの……!このまま終わるのが嫌……もっともっと私のすごいところを見せつけたい!

 

 

 キィィィィ――――

 

 

 「ーーーー!!」

 

 その一瞬、にっかり青江がまるで彼女の願いを聞いたような、彼女に再び御刀の神力をつけた。

 

 その時、神力により結芽の身体の痛みが軽くなった。

 

 「にっかり青江………あなた……」

 

 自分の御刀を見て、結芽はこのような現象に不思議と思ってた。本来、もう展開されるはずがない写しがもう一度彼女の身体を纏った。

 

 それは、つまりーー

 

 「…………ありがとう……私のわがままをずっと聞いてくれて」

 

 結芽は素直に自分の愛刀を「ありがとう」と伝う。

 

 本当に、ありがとう……最後の時間を私にくれて。

 

 そして、彼女は青年ーー都と向き合う。

 

 「おにーさん、すぐ私のすごいところを貴方に見せつけるんだから!」

 

 「ああ………一緒に楽しもうね。結芽」

 

 両方はともにいい顔で向き合う。今度こそは最後の試合になる。

 

 そして、数秒経ち。両方は動き出す、この夢のような幕を挙げた。




次回からはアニメ版でもない、夢のような対決。最弱対最強の最後の戦いだ。

それと、次回は都の視点で彼がどうして結芽と戦う理由を説明します。
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