可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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結芽編が終わり、いよいよ胎動篇の終盤が迎えた。そ・し・て!とじともアニメ化PV2出たーーー!!!!嬉しいーー!!調査隊のみんな超かわいいぞ!アニメ放送日を楽しみしてます!!そういえば、御刀はSAOのアスナが持つ武器のような種類がいるようですね……初めて知った。

それではどうぞ


第30話:決戦

 「ーーーーーッ!」

 

 十条姬和に倒された獅童真希はようやく意識を取り戻して、目が覚めた。

 

 「僕はここでどれくらい気絶したのかな……」

 

 彼女はまず自分がどれくらいここで倒れ込んだことを確認する。時間が短いなら、もしや紫様を助けるチャンスがあるかもしれません。

 

 せめて、三十分以内で願いたい。いくら紫様でも三十分以上の戦闘では疲れるのだろう。

 

 そうならない前にーーー

 

 「………結芽?そこにいるのは結芽か!?」

 

 立ち上がって、数十秒かからずの徒歩で彼女は遠くの木の下に結芽らしきの人物を見つけた。

 

 そっちへ急ぎに走ると、彼女はある面識がある男とそこで眠っている。

 

 「……衛藤 都!?なんて病室にいるはずの君が結芽と一緒ーー待て、これはっ!?」

 

 地面に溢れた大量の鮮血と結芽の服の上にある外傷一つもないのに、大量の血痕を発見した獅童。

 

 最初は結芽の服に付いている血痕に驚いたが、彼女は早速この状況を理解した。

 

 少なくとも、結芽の状況が理解できた。

 

 「……余命僅かな命を繋ぐため、ノロを受け入れたのに……残酷の運命は変えられなかったのか……」

 

 彼女も結芽の過去を知っている人物。今までは知らないふりで彼女を接した。彼女が無事だと信じていたのに……この結末はあまりにも残酷だ。

 

 「結局、僕たちが得た力は何だったんのだろう……救いの力ではなかったのかーー!」

 

 結芽の死によって悲しくなる獅童。彼女(結芽)はそんな結末を迎えられるはずがなかった……。

 

 「結芽………そんな……!」

 

 そして、彼女を続いて此花寿々花も意識を取り戻して階段から降りて、結芽の結末を見届けた。

 

 「………寿々花、もう意識を取り戻したのか……」

 

 「ええ……それより、結芽はやはり……」

 

 「うん……」

 

 寿々花の予想に頷く獅童。そんな彼女の反応を見て、寿々花も危うくショックで平衡を失うところ。

 

 親衛隊最も年下、妹みたいな可愛い結芽は安らかな顔で亡くなった。

 

 「………そちらの衛藤 都は?」

 

 「わからない……結芽を見つけた時、既にこの二人がここに……それと、息がまだある。」

 

 彼の鼻の下に指を置くと、確かに僅かな息が感じる。結芽と違って、彼は生きているが……その怪我では長く持たない。

 

 一体ここで何かを起こっている……なんて彼は結芽と一緒にいる?

 

 そして、その怪我は一体何なんだ……。

 

 「真希さん……!」

 

 その時、寿々花から急ぎの警告のところ、

 

 「…………親衛隊の!」

 

 四人の刀使が彼女たちの前に現れて、構えを取った。

 

 「お前たちは……紫様を逆らう逆賊か……」

 

 「獅童真希さん……お久しぶりです。」

 

 「…………」

 

 先頭にいる刀使ーー柳瀬舞衣は先に獅童と話をかける。そして後ろにいる仲間たちも彼女たち二人を警戒している。

 

 「………こっちで何をしている?可奈美ちゃんたちは?」

 

 「もう紫様の元へ行ったのさ。」

 

 「そうですか……あそこにいるのは燕 結芽さん……と都くん!?」

 

 視線が僅かに獅童から逸して、左にいる結芽と都の姿を確認した。

 

 それと同じく視線がそちらに逸らす仲間たちも驚く顔だが、すぐ獅童の方へ敵意の目で睨む。

 

 「都くんに何をした……」

 

 「別に何も。ここに来る時は既にここで結芽と一緒にいた。」

 

 舞衣の静かの怒りに対して、獅童は落ち着いた顔で彼女に真実を語る。

 

 「…………嘘ではないみたいですね。なら、都くんを返してもらう」

 

 舞衣は真面目な目で、獅童を睨む。彼女はさっき沙耶香と一緒に地下施設に都を探し回ったのだけど、彼の姿が見当たらなかった。

 

 一応地上に戻って対策を作ると思っていたが、すぐ薫たちと合流した。

 

 「それは無理だ。我々はまだこの男がここで結芽と何かをしたとわからない限り、彼をお前たちに渡すわけにはいかない。」

 

 「なら……力尽くで返してもらうよ。」

 

 写しを発動し、舞衣たちは早速戦闘モードに入る。

 

 「上等ーー」

 

 

 ドオォーンーーーー!!

 

 

 その時、大きな地鳴が起こり、六人は一時に戦闘態勢を解けた。

 

 「これは……!?」

 

 「地面から!」

 

 「地面………まさかーー!」

 

 大きな揺れに対して、獅童は何かを気付いたようだ。

 

 「おい、これは何なんだ!獅童真希!説明しろ!」

 

 薫は身体の平衡を何とか維持して、獅童に説明を求める。

 

 「ここでの地下にはノロの大容量貯蔵庫がある!そこで何かを起きたに違いない!」

 

 「………まさか、タギツヒメがーー」

 

 「舞衣……!」

 

 「クソ!舞衣と沙耶香は都のことを任せる。俺とエレンとねねは可奈美たちの様子を確認する!」

 

 「ねっ!」

 

 「待て!君たちを紫様のところへ行かせるものか!」

 

 「いや……真希さんと他の皆もそちらへ移動してください!」

 

 「寿々花!?何を言っている……!」

 

 こんな動乱の中で、寿々花は冷静で状況を判断する。しかし、獅童はその提案を受け入れないみたい。

 

 「私はもう戦う体力がない……もし、そこで大量のノロが漏出されたら、多くの手助けが必要だと思います。衛藤 都と結芽のことは私に任せてください」

 

 「………信用してもいいのかな?此花さん」

 

 敵意を満ちた目で寿々花を睨んでいる舞衣。彼女は都のことを相当に大事しているみたい。

 

 本当に羨ましい主従関係ですわ……。

 

 「ええ、貴女の大事な執事に何かあってもお守りいたします。此花家の名誉にかけますわ。」

 

 「………わかりました。沙耶香ちゃん、薫ちゃん、エレンちゃん、私達はこれから可奈美ちゃんと姬和ちゃんに加勢します。」

 

 寿々花の誓いを聞いて、舞衣は敵意を下ろして、薫たちの方へ向かう。

 

 「いいの?ミヤミヤを親衛隊の人に……」

 

 「大丈夫。彼女は信用できる人。それより、早く行きましょう!可奈美ちゃんたちのことも心配しているし」

 

 「舞衣の判断を信じる……」

 

 「ねね!」

 

 「仕方ないな……ねねもそう言ってたし。」

 

 方針がほどんと決めて、四人の視線はすぐ獅童の方へ集まる。

 

 彼女はきっとそちらへ行く道がわかるはずだ。

 

 「真希さん、結芽の処置は私にお任せください。このまま放置すると、彼女が荒魂にーー」

 

 「荒魂……そうか!しばらくすれば、結芽はもう一度立ち上がって……」

 

 まるで希望が拾ったように、獅童の目は結芽の方に移る。

 

 彼女はもう一度生き返る!そうすれば、また四人で……!

 

 「真希さん……!」

 

 しかし、そこで獅童が寿々花に平手打ちされた。

 

 「寿々花……?」

 

 彼女に平手打ちされて、獅童は呆れた顔で悲しい顔をされた寿々花の方へ見る。

 

 「お分かりでしょう。それはもう結芽ではありませんわ!」

 

 「え……?」

 

 「あれは結芽という器を苗床にした、ただの荒魂。そうなれば、もう一度彼女を殺さなければなりません。」

 

 「…………!」

 

 寿々花に気付かさせられて、獅童はノロを投入された時に聞いた話を思い返した。

 

 彼女たちは……ノロを受ける身。死んだら、荒魂に身体を寝取られて、完全に荒魂になる。

 

 「此花さん……それって……」

 

 「ええ……私達は貴女たちのように普通の死に方を選べられない。死んだら、放置されると強力の荒魂になります。」

 

 「………!」

 

 舞衣の質問を答えて、彼女は悲しい顔を表した。いや、彼女だけではない、その話を知った皆も悲しい顔になった。

 

 普通の死が許されない。それは親衛隊の宿命。

 

 「結芽………僕たちはもう普通に死ぬことさえ許されないのか……」

 

 「元より、その覚悟をできていたはず。荒魂を受け入れた時から」

 

 「…………」

 

 「さぁ、お行きなさい。親衛隊第一席。もう悲しむ時間がありませんわ。」

 

 「…………行ってくる」

 

 寿々花に(あけ)まされて、獅童はやっと決心をして、舞衣たちに向かう。

 

 「道は僕が案内する。ただし、ノロが漏出される可能性があるからそうした。決して君たちに紫様に危害の行為を加勢するわけではない!」

 

 「………わかりました。獅童さん、道案内はよろしくお願いします。それと、都くんも……」

 

 「ええ、お任せてください」

 

 都の安全の保証を得て、舞衣たちは安心した様子で獅童の後ろに付いていく。

 

 目的はここの地下、折神家急襲作戦の最後の戦場へーー。

 

 「…………何をしたのか知りませんが、結芽を救ったのでしょうか?貴方って男は……感謝いたしますわ」

 

 結芽が安らかに永遠に眠っている顔を見て、寿々花はそれを都のおかけだと推測していた。

 

 何にせ、お互いは手を繋いだのだから……。

 

 きっと、結芽は最後までは幸せなのでしょう……。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 折神家急襲作戦開始した40分後ーー最終決戦地。

 

 

 

 「どうやら、観客がすべて集まったみたいだな……」

 

 折神家の地下にあるノロの大容量貯蔵庫にて、もはや人と呼べる外見ですらなくなった物が彼女たちを待っていた。

 

 「あれは……紫様……?」

 

 膝まで届く長い黒髪。上下に纏った軍服のような白い制服。左右の手に握られる二振りの御刀。あれは間違えなく折神紫ーーだが、彼女の髪から伸びる物体が明らかな異常性を隠しきれていない。

 

 それを目に映った獅童は信じられない顔であの偉大なるあの大方を見つめる。

 

 「あれはご当主様ではありません。タギツヒメ。20年前の大荒魂はずっと折神紫の身体でこの復活を待ち続けてきた。すべてはこの時の演技です。」

 

 「そんな……!馬鹿な……っ!」

 

 「本当だ。質問があるなら、張本人に聞け」

 

 「それにしても、でかいデスね……勝てそうに見えないのデス。」

 

 「あれは少し怖い……」

 

 「ね……」

 

 舞衣の回答に獅童はまだ信じていないのだが、薫たちに言われて、加えて目の前の光景はどんどんこの真実を飲み込む。

 

 「………っ!僕たちはずっと彼女に騙されたのか……!」

 

 辛い顔をしている獅童。折神紫の親衛隊である彼女は当然、このような真実を受け入れないのだろう。

 

 「それはない。都くんは彼女をいい人だと思ってくれた。この20年前の出来事はもちろんタギツヒメの演技なのかもしれないけど……都くんはこれを折神紫自身のご意思だと指した。」

 

 「紫様の……ご意思……あの男が……」

 

 「そうだな。確信がないけど……彼がそう信じている以上、俺たちもそう信じる。」

 

 「ねね!」

 

 「ミヤミヤは頼れる男ですからネ。だから、体内にいるタギツヒメだけを払い、彼女を救いマス!」

 

 救う……紫様を……。

 

 「さぁ、早く可奈美ちゃんたちを助けに行きましょう!獅童さんはここでーー」

 

 「いや、僕も参戦する。」

 

 舞衣たちは可奈美たちの助太刀へ行くとき、獅童はさっきの迷いを払い、覚悟ができた目を示す。

 

 「いいのか?あれは一応お前のボスだぞ。」

 

 「薫……言い方。」

 

 それを反応する薫と薫の言葉扱いを注意するエレン。けど、獅童は迷いなく御刀を抜け出した。

 

 「紫様をお救いなら、親衛隊の一員として当然です。それに……第五席である彼は紫様のことをそう信じるなら、第一席たる僕も彼に負けるわけにはいかない。」

 

 「獅童さん……」

 

 「柳瀬舞衣、指揮はお前に任せる。こっちも結構団体戦の経験が溜まっているので、お前たちの邪魔にならないように頑張る。」

 

 「……はい!」

 

 全員の意志は一つにまとめて、舞衣たちはすぐ可奈美たちのところへ手助けを。

 

 「舞衣ちゃん、沙耶香ちゃんに薫ちゃんとエレンちゃんと……獅童さんも!?」

 

 「おい!?なんて親衛隊の人がここにいる!」

 

 タギツヒメと対峙している可奈美と姫和は舞衣たちの姿を見て喜んでいるが、その中に混ぜている獅童を見ていると、驚かれて口が開いた。

 

 「僕も手助けをする!紫様を救うため!」

 

 「可奈美ちゃん、姬和ちゃん。彼女は仲間です!」

 

 「……………わかった。姬和ちゃん!」

 

 「ぐっ……!わかった!いつものこれも多少に慣れてきたな。」

 

 少し受け入り辛いが、姬和は獅童の参戦を認めた。

 

 因みに、“これ”というのは可奈美の隣にいつも不思議のことが起こることだ。彼女といると、いつもそうだ。

 

 「感謝する!」

 

 こうして、七人は折神紫を囲んで彼女と対峙する。

 

 「これは驚いた……まさか親衛隊の人間は折神紫に歯を向くとは……」

 

 「荒魂だけに歯を向くんだ!」

 

 タギツヒメの言葉に反論する獅童、彼女は折神紫の頭部上に延びる大きな荒魂の一部の目を睨む。

 

 あれは折神紫を乗っ取った化物。決して許さない。

 

 「数はこっちに有利だね……」

 

 頭上の塊から生えている四本の腕、そして紫にある左右の腕。合わせて、合計六振り。おあつらえ向きに、こちらは刀使が七人。数では有利ですがーー

 

 あれはそう簡単に勝てる相手ではないことは百も承知。だが、ここで勝たねばこの国の人々がタギツヒメの犠牲になる。

 

 負けるわけにはいかない。

 

 「皆、呼吸を合わせて。里での集団戦を思い出して」

 

 「よく見る。よく聞く。よく感じ取る。」

 

 「これまでの全部をこの剣に」

 

 「母が授けた力でお前を討つ!」

 

 「倒して、ハッピーエンドです。」

 

 「今度こそは長期休暇だな。」

 

 「結芽……力を貸してくれ。」

 

 舞衣の指示に皆はそれぞれの状態に入り。特に可奈美は都の教えをこの身に焼き付く。

 

 お兄ちゃん……もう少し、私に力を……!

 

 「………!」

 

 巨大の四本の腕を動かし、紫は彼女たち七人に攻撃し始めた。

 

 そして、刀と刀との激しいぶつけ合いがこの場に響き、最終決戦の幕を挙げた。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 「可奈美ちゃん、一度引いて。獅童さんは掩護を……!そして、エレンちゃんは後ろに気をつけて!」

 

 「了解!」

 

 「かしこまりマシタ!」

 

 「はぁ!」

 

 戦場全体の戦況を見て、攻撃しながら舞衣は指示を出す。全員は何となくこの大荒魂と互角に戦う。

 

 「優れた指揮者がいるようだな……邪魔だ」

 

 巨大の腕を舞衣の死角に襲う。その時、獅童はその攻撃を止めた。

 

 「…………っ!」

 

 「獅童さん!」

 

 「やっぱり、あの男は見間違えがなかったな。お前は優れた指揮者……いや、貴女の能力を見抜いた上で貴女を侮辱した高津学長に喧嘩を売ったのだ。」

 

 前のことを思い返し、獅童は舞衣と共に戦いながら呟く。

 

 「それはそうかもしれませんけど……都くんは見た目より相当に単純で可愛い人なんです。きっと私を守りたかったから、そうしたのです。」

 

 「………そうだね。」

 

 舞衣の笑顔に、獅童も舞衣が都にどれほどの理解が持っているのかをわかった気がする。

 

 これは彼が守りたかったもの。ならば、この場にいない彼に代わって彼の宝物を守る!

 

 「………やっぱり邪魔だな。獅童真希!」

 

 「そうは行かない!」

 

 タギツヒメはずっと仲間を掩護で邪魔をしていた獅童にムカつく。そして、彼女の隙を見つけて獅童を攻撃する。

 

 けど、今度は姬和に防げた。

 

 「十条姬和……お前……」

 

 「勘違いすんな。ただ舞衣を助けた恩を返すだけ。」

 

 驚愕の顔を表す獅童に姬和は相変わらずツンデレな態度。

 

 そして、次々に襲ってきた腕を獅童と共に対応する。

 

 「ただの人間如きか……!!!」

 

 「そこで怒っていいのか?タギツヒメ。」

 

 「ーーーー!?」

 

 「はああああぁァァ!!!」

 

 一時に姬和に注意を逸らされて、可奈美はその隙に紫と接近戦している。

 

 「ぐっ……!」

 

 可奈美の攻撃をぎりぎり防げるタギツヒメ。七人を相手にやっぱり未来への演算が追いつけない……“可能性が多すぎだ”。

 

 「私も加勢するぞ!腕の方を頼む!」

 

 「任せろ!」

 

 そして、姬和も可奈美へ加勢しに行く。獅童は彼女の位置を代わって腕の攻撃を防げる。

 

 この勢いで何とか行ける気がする……!可奈美ちゃんと姬和ちゃんは紫様を相手に、残る私達は五人は何とか四本の腕を封鎖します。勝機が見える!

 

 「薫ちゃん、近づきすぎないで!」

 

 指揮を行う舞衣が隣で戦っている薫に叫ぶ。そうしながら腕からの攻撃を防げる舞衣だが、薫の方へと一瞬だけ注意がそれてしまう。

 

 「柳瀬舞衣……!うぐっ……」

 

 「獅童さん……!うぐっ……!」

 

 その隙がタギツヒメに突かれ、獅童は彼女を庇って攻撃を受けた。これで、彼女を守れると思った獅童ですが、大きな御刀は一気に二人の身体を貫く。写シが剥がされ、舞衣と獅童は共に地面に転がる。

 

 「なんという……八幡力だと!?」

 

 「ぐっ……」

 

 二人を貫く力に獅童が気絶する前に驚いた顔でタギツヒメを見る。

 

 まさか荒魂の力を使い、御刀の力さえも引き出せるとは……バケモンすぎる!

 

 「舞衣! うっ……」

 

 舞衣と獅童が倒れたことで、沙耶香は思わず彼女たちの身を案じてしまい、動きが止まった。その隙を見逃さないタギツヒメの御刀が迫り、沙耶香を貫いた。

 

 「きえー!」

 

 舞衣、沙耶香及び獅童の戦闘不能に憤るように薫が上段の構えでタギツヒメに迫る。タギツヒメはそれを嘲笑うかのごとく薫を横凪ぎに斬り払った。

 

 「がっ……」

 

 続けて、薫の横に立っていたエレンの身体にも御刀が深々と刺さる。御刀が引き抜かれると同時に彼女の身体に貼られていた写シが消滅する。

 

 「舞衣ちゃん、沙耶香ちゃん……獅童さんと薫ちゃんにエレンちゃんも……」

 

 「クソ……!」

 

 可奈美と姬和は悔しそうに倒れ伏す五人を見つめる。

 

 これで戦況が一気に逆転された。

 

 「さて、篝の小娘よ。今この状況において、あの秘術を使うのか?お前の母がかつて我を隠世に送り込むつもりの技を……」

 

 タギツヒメが不意に口を開く。彼女が余裕ぶり態度に戻った。ただの二人では神である彼女にどうしようもないから。

 

 「………」

 

 可奈美は横目で姫和の表情を見る。焦りや緊張感で張り詰めた――いや、一抹の不安を抱いた顔だ。本当に成功させられるか、という不安を。

 

 「我は二十年前、その秘術をこの身に受けた。お前の母、柊篝の手によって」

 

 「……っ」

 

 姫和の顔がわずかに曇る。

 

 「隠世の彼方へと消え行く寸前、我は折神紫に取引を持ちかけた。」

 

 「…………!」

 

 「我という自我が生まれたのは、暗く冷たい貯蔵槽の中だった。自らの半身を奪われた喪失感、取り戻さねばならないという衝動に駆られた。」

 

 「半身……珠鋼のことですか?」

 

 「ああ。我の進化してゆく知能、それを逸らせていたのは復讐心だ。そうして、我は禍神(まがかみ)となった。」

 

 話をしている最中のタギツヒメは無防備に見える。けど、可奈美と姫和は構えたまま動かない。タギツヒメの殺気は話をしながらも、一秒たりとも潰えていないからだ。

 

 これは圧倒的な力を持ち、神の力。

 

 「禍神となり、悟った。我はいずれ人の手により滅ぼされるとな。ゆえに、策を講じた」

 

 「策だと?」

 

 姫和が眉をひそめてタギツヒメに聞き返す。

 

 「人々に災厄を振り撒き、我を唯一滅ぼす能力を持つ者共を仕向けさせた。そうして奴等は現れた。企て通りにな」

 

 「それはどういう……」

 

 「つまり二十年前、特務隊のメンバーに紫様と篝さんがいたのは偶然ではない、ということですね?」

 

 姬和がまだタギツヒメの言葉に理解していない時に、可奈美は代わってタギツヒメに聞く。

 

 20年前、柊篝が鎮めの儀を行ったのも、折神紫の肉体がタギツヒメに乗っ取られたのも、そして柊篝と藤原美奈都が生還できたのもすべてタギツヒメの計算の通り。

 

 未来視を持っているとはいえ、そこまでの未来を読めるのは流石に怖い……。あれは人間では対抗できない絶対の存在。

 

 「タギツヒメ、貴女はここまで読んでいたでしょう? 二十年前から」

 

 「……ああ」

 

 タギツヒメは驚きも喜びでもなく、全くの無表情で肯定する。

 

 「当時、紫様も篝さんもうちのお母さんも最強の刀使の一角に名を連ねていました。そして、篝さんの鎮めの儀があれば史上最大の大荒魂である貴女でも撃退することができる。そうならないため、貴女は折神紫様の肉体を乗っ取るために行動していた。」

 

 今にして思えば大胆不敵な離れ業としか言えない。柊家の鎮めの儀の詳細な情報など、知らない者がほとんどだ。ましてや、世間からは最強の刀使である折神紫が何とかしてくれる、という期待があった。

 

 『凶悪な荒魂を最強の刀使が見事斬り祓った』という新聞の見出しだけで人々は満足だろう。

 

 そして極めつけは、そんな英雄である折神紫を誰も疑わないという点だ。

 

 まさか、あの折神紫が荒魂に乗っ取られているわけがない。たとえ真実を言葉で訴えたとしても、こんな典型的な返事を浴びせられるだけだ。

 

 「そうだ。『我と同化すれば柊篝と藤原美奈都の命は助けてやる』、そう言っただけで紫の心は瞬く間に傾いた。愚かな娘だ」

 

 「………やっぱり、お兄ちゃんの言う通り。悪いのはタギツヒメ……貴女です!」

 

 可奈美はタギツヒメが紫への侮蔑の言葉に声を低め、タギツヒメを睨む。

 

 それと同様、姬和もタギツヒメのことを睨む。

 

 結局は都の言うとおりに、折神紫はただ母たちを救いたいため、タギツヒメと取り引きしただけだ。すべての悪は禍神ーータギツヒメだ。

 

 「神にその目とは……不敬だ」

 

 折神紫の頭上の腕がうねり始め、神速の刺突で二人共に襲う。回避するつもりだった二人は反応が少し遅れたため、可奈美の身体には三本、姫和の身体には一本の御刀が突き刺された。

 

 「うぐっ……!」

 

 二人は写シを剥がされ、可奈美は地面に仰向けに倒れる。姫和はダメージが比較的少なかったのか、何とか立てているようだ。

 

 「可奈美っ!」

 

 姫和が叫ぶが、可奈美は軽く呻く程度でほとんど動けていない。倒れた可奈美を見下すようにタギツヒメは吐き捨てる。

 

 「筋はいい。が、母親には遠く及ばぬ。どうやら、期待できるのはその兄のようじゃ」

 

 「お前っ……!」

 

 可奈美が倒されたところに、姬和は怒鳴したが、残念ながら彼女はしばらく戦えない。それを知るのはこの場にいる二人だけ。

 

 「さぁ、残るのはお前一人。例え秘術を使っても、貴女は私を倒せない」

 

 「ぐっ……!」

 

 「消えろ、篝の娘よーー」

 

 巨大の腕が姬和に襲う。今度こそは避けられない……ここで彼女の命が終わる。

 

 ごめんなさい、母。私は貴女の仇と仲間を守るとどちらも達していない。私は……弱すぎた。

 

 目を閉じ、姬和は避けられない運命を受けるその一瞬、

 

 「そうはさせんぞーーークソ荒魂!!!」

 

 響いた刀とのぶつけ合い音が響いたと共に、誰かの怒鳴が耳に入れた。

 

 この声はーー。

 

 目を開き、目の前にいるのは自分を庇う様子のあの人の背中姿だ。

 

 「お前……なぜ………」

 

 彼の背中姿が目に映る姬和は信じられない顔で呟く。

 

 「お待たせ、姬和」

 

 「ほぉ……まさか、貴様が最後に来るとは思わなかった。藤原美奈都の息子よ」

 

 そして、次に反応するのはタギツヒメ。彼女は予測外の人物の出現に驚く。

 

 その人物は衛藤可奈美(世界一の妹)を愛する兄ーー衛藤 都である。




補充説明:都がこんな早く決戦に参戦することについては次回が説明します。
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