可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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ここで胎動篇の終わりになっております。次回からは胎動篇のエンディングです。


第31話:≪真の一つの太刀≫

 一人の少女は親友のために命の半分を捨てた。

 

 一人の少女は親友の死で後悔した。

 

 そして、最後の少女は親友二人を助けるために、世界を捨てた。

 

 最後の最後に世界を捨てた少女は親友二人を失い、完全に絶望に染まれて、神と名乗る怪物に支配された。

 

 生き残りの少女の名前は折神紫であるーー。

 

 ただ親友を救うために、世界を滅ぼす存在と取り引きをしていた無力でこっそり泣いている少女。

 

 みんなが死ぬ……私のせいで……くすっ…くすっ……。

 

 怪物に乗っ取られた紫は怪物と融合したことで、彼女は“この先のことを見えた”。

 

 この先にいるのは絶望の未来。

 

 篝の娘と美奈都の娘も(タギツヒメ)の手で殺される……!彼女たちが残した子供だけは活かしておきたかった。もう……篝と美奈都を殺したくない!!

 

 そんな無力で、絶望し、泣いている少女に夢を見る青年は彼女を救うことに決めた。

 

 そして、ある意識はそんな青年を認めた。

 

 ーーすべてを守りなさい。それは貴方が選んだ役目ですから。

 

 ーー行ってくる。

 

 青年は覚悟をできた口調でそう言い返した。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 可奈美と姬和がまたタギツヒメと対峙すると同時にーー

 

 

 

 

 「結芽の身体からノロの存在が感じませんわ。これはどういうことですの?」

 

 寿々花が結芽の処置を行った時、結芽の体内のノロが既に消え去ったことを気付いた。

 

 これは本来ありえないことだ。ノロが体内から外れることはほぼ不可能とも言えるはず……だが、今の結芽は普通の人間として亡くなった。

 

 「結芽は一体何かあったのでしょうか……」

 

 寿々花が初めてこのような事態に戸惑っていた。何にせ、常識外れの事態が発生してしまったのだから。

 

 「ーーー!!?」

 

 そんな時に、彼女は隣の近くにすぐ別の気配を感じて、抜刀の構えを取る。

 

 いくら彼女がもう写しが貼ってないとしても、基本的の防身術が身体に刻んでおる。

 

 「………早く行かなくちゃ。」

 

 「衛藤 都!貴方はもう意識が戻ったのですか!」

 

 警戒しながら気配の方へ向くと、そちらにいるのは目が覚めた都。

 

 「ええ……って、此花さん!?なんてここに?」

 

 そして、彼はすぐ寿々花がここにいることを驚かされた。

 

 「なんて……て、同じく意識を取り戻したら、貴方と結芽がここに横になるところを見てたんですよ。それを放っておけなくてここにいたんのですよ。」

 

 「そうですか……って、ここでモダモダしている場合じゃない!ごめんなさい、此花さん。俺は早く可奈美たちのところへ行かないと!」

 

 何か大事なことを思い返し、都はフラフラの身体を無理矢理立たせた。

 

 「え……!!?ちょ…!!衛藤 都、どこに行くですの!?わたくしからまだあなたに聞きたいことが……!それに、そのボロボロの身体ではーー」

 

 「悪い!俺は早く行かないとだめだと気がする!このままじゃ皆が死んちゃうから!」

 

 「え……?死ん……どういうことですの!」

 

 「説明する暇がない!お願い、俺を信じて!」

 

 誠意を込めて、都は自分を止めようとする寿々花を見つめる。

 

 そうしたら、数秒後に彼女は駄目息をついて、結芽の御刀を都に手を渡す。

 

 「………わかりましたわ。あなたの理由は存じませんが、真希さんたちを助けに行くのですよね?ならば、これを持ってきてください」

 

 「いいの?」

 

 「何を、いまさら。貴方は冗談を言う男ではないことが最初の出会いからわかっていましたわ。だから、貴方をしばらく信じます。」

 

 「……ありがとうございます!此花さん。」

 

 寿々花に礼を言って、都はにっかり青江を受け取った。

 

 「絶対生きて帰ってくださいね。貴方に聞きたいことがたくさんありますから。」

 

 「もちろん!死ぬつもりがないですから」

 

 寿々花にそれだけを言って、都はすぐにっかり青江を持って、この場から立ち去る。

 

 その時、都が握っている結芽の御刀は彼と強く共鳴し始めた。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 時は現在に戻った。

 

 

 

 

 「……まさか、貴様が最後に来るとは思わなかった。藤原美奈都の息子よ」

 

 タギツヒメは姬和を庇った都を睨みながら、腕を回収し、再び臨戦状態に戻る。

 

 「都……」

 

 「………姬和。可奈美のことをしばらく頼む」

 

 都はただそう言って、折神紫に立ち向かう。

 

 「ほぉ……神に挑むのか、人間」

 

 「ああ……大事の妹を傷つけるのは神であろうと、俺は挑むつもりだ!」

 

 天然理心流の構えを取り、この場に出現した衛藤 都は最初から超集中の状態に入った。

 

 「やめろ、都。お前は殺されるぞ!」

 

 姬和からの心配しそうな声。その声は心に温めていく。

 

 「大丈夫。だって、結芽が力を貸すから」

 

 結芽の遺物であるにっかり青江を握って、都は深呼吸する。

 

 「ふっ……愚かの人間よ。死ね」

 

 さっきと同じ速度で腕が都に襲う。けど、彼は神速で軽くタギツヒメの攻撃を避けた。

 

 「馬鹿な……あの攻撃を……」

 

 さっきの攻撃を避けられた都に姬和は呆れた表情でそう呟く。

 

 「ありえん……人間ごときは我の攻撃を躱すなど……ありえん!」

 

 「あり得るよ。だって、俺は衛藤美奈都の息子だもん!」

 

 避けながら、都は燕 結芽のように一瞬だけ加速して、彼女の型で攻撃を防ぐ。

 

 彼はただ一人で四本の腕の攻撃を対応していた。

 

 「貴様……あれは一時の写しだと!?」

 

 「写し……!?」

 

 タギツヒメは都を攻撃する途中気付いたことを呟く。目の前の男は見た目のように生身であるが、実際は攻撃に襲われる一瞬に写しの状態になり、その攻撃を避けた。

 

 それをタギツヒメから聞いた姬和も信じられない表情だ。

 

 「ああ……不思議のことですが、俺は二本の御刀に認められたみたい。それを一瞬しか使えないのですけど」

 

 「御刀に認められた……!?だが、それは女性ーー」

 

 「なるほど……燕 結芽に宿っている我が分身との戦で覚醒したのか」

 

 「あれはお前の仕業なのか……やっぱり許さないんだ。タギツヒメ」

 

 都は紫の頭部上の荒魂を睨む。

 

 「我を斬るのか?刀使の力を一時しか使えない貴様は我の相手にならん。折神紫を超える者はどこでもいない。」

 

 注意が完全に姬和から都の方に逸す紫は戦闘態勢に入り、六刀流で都と戦うつもり。

 

 もちろん、これは勝算がない戦だ。どう見ても、ただの人間ではこんな化物に勝てるわけがない。

 

 「ああ……俺ではお前に勝てないのは心得ています。急いだせいで傷口もまだ残っているし、さっき激しい動きを取ったせいで出血もした。」

 

 「なら、なぜ我を挑む……」

 

 「お前が多くの人を傷つきすぎたから。20年前、うちのお母さんと篝さんだけではなく、折神紫もお前のせいで苦しんでいた。加えて、ここにいる全員はお前にボコボコされたことにイライラするのよ!」

 

 にっかり青江を強く握り、都はタギツヒメを睨む。

 

 「その理由で神を挑むのか……頭が高いぞ、人間!」

 

 四本の腕が同時に都に襲ってくる。

 

 「お前の方こそ自惚れすぎるのよ。タギツヒメ」

 

 「ーーー!!?」

 

 しかし、それらの攻撃は都に躱されて、一本の腕が不思議に斬り落とされた。重力に従い地に落ちた腕は空気に溶けるように霧散する。

 

 「貴様……何をした?我は“このような結果を見えぬぞ”!」

 

 「さぁ……俺もよくわからない。ただ“お前の動きを先に見ているだけだ”。」

 

 「貴様が見えるだと……ありえん!」

 

 都の言葉に驚愕するタギツヒメだが、すぐこのようなことを怒った。

 

 ただの人間では自分の動きを見えぬはず。神の神速の斬撃に追いつける人間はいない!我を傷つける人はいない!

 

 残る三本巨体の腕と紫自身が持つ両手を加える五本の御刀で都に向かうタギツヒメ。

 

 どうやら、彼女は本気で都と戦うつもりだ。

 

 「さぁ…来っーーぐっ……!」

 

 「都!」

 

 突然、膝が地面に崩す都。

 

 彼を心配する姬和は彼のそばに走る。

 

 「お前……その傷……ずっとこのような状態であいつと戦ったの!?」

 

 都が滲み出す赤い血がどんどん服を染み込む。彼はさっきこのような酷い状態でタギツヒメと戦った。

 

 どうやらそろそろ限界だようだ。こんなボロボロの体であんな速度で繰り返すのは流石に身体に負担をかける。

 

 「大丈夫だ……姬和。これくらいの出血は大したことではないのだ。」

 

 「何か大丈夫なのか!もうボロボロなのに、死にそうなのに……なぜ……」

 

 姬和は凄く心配しそうな表情を晒し出す。涙もその綺麗な赤い瞳から溢れ出す。

 

 ったく……幼馴染っていうのは本当に可愛いものだ。

 

 「守りたいんだよ。お前は俺の大切な幼馴染なんだ。見殺しなんてできません。」

 

 「………お前……本当に馬鹿だな。少しでも自分のことを考えろよ!」

 

 「ごめん、それは無理。」

 

 「バカ……」

 

 苦笑いしながら都はこう言い出す。

 

 何かを守りたいなら、何かを尽くしなければならない。

 

 俺が尽くすものは俺自身だ。全力を持って大事なものを守る。

 

 それは衛藤 都という人間だ。大事な人のためなら、自身の命さえも惜しまぬ。

 

 「どうやら藤原美奈都の息子と柊篝の娘はもう立ち上がる力がないようじゃな。」

 

 一時に放置されたタギツヒメは都たち二人を見下ろしながら口に出した。

 

 もはや、彼女を止めるやつはどこにもいなかった。

 

 「ああ……残念ながら今の俺はお前を倒せる力がない。でも……あまり自惚れすんなよ。なぜなら、お前を倒せるのはうちの妹だから。」

 

 都はタギツヒメを……いや、彼女の背後を見ながらそう言う。

 

 「何だと……」

 

 タギツヒメは直感的に何かを感じ取ったのか、背後を――そこに立つ人物を見た。

 

 そこにいたのは、写シを貼り、御刀を構える(シスコン)が最も誇れる妹ーー衛藤可奈美。

 

 いや、彼女は――

 

 「紫、久しぶり!」

 

 表情も、立ち振舞いも、声の抑揚も普段の可奈美とは違う。どこか大人びた、勝ち気な雰囲気。

 

 そう、まるで別人になりきっているかのような――

 

 「何故、お前がここにいる」

 

 毅然とした態度は崩していないものの、タギツヒメは可奈美を見つめたまま固まっている。

 

 「………藤原美奈都は死んだはず……」

 

 「でも、ここにいるよ。どういうことかわからない?」

 

 挑発するように可奈美は笑う。首をかしげながら尋ねる彼女は、その直後にはもう行動に移っていた。

 

 迅移を用いての加速、そして神速の斬撃が彼女の腕から繰り出される。

 

 「こんなことはありえない……!」

 

 「ありえるよ」

 

 一本。タギツヒメの腕が切り飛ばされ、宙を舞う。重力に従い地に落ちた腕は空気に溶けるように霧散する。

 

 「あれは……可奈美……?」

 

 「うん、昔の俺の技を真似……いや、母の技を真似た可奈美だよ」

 

 次々目の前のありえない現象に呆れた姬和の質問に都は淡々と彼女に説明する。

 

 「真似?」

 

 「昔、俺と可奈美はよくお母さんの真似をして、お母さんを挑んだ。あの時はお母さんを真似したら、彼女のように強くなれるのかなと思ったんだけど、結果は一方的にボコボコされた」

 

 「その後、俺と可奈美はお母さんの真似をやめて、別の方法で鍛錬し続けた。そして、今の可奈美はお母さんの真似でタギツヒメに挑発して、彼女の精神を乱す。それがうちのお母さんの戦法だ」

 

 「それ、最悪じゃないか……」

 

 「そう……?結構いい戦法だと思うけど」

 

 姬和のツッコミを適当に答える都。彼は一挙手一投足が母と同じ動作、口調、呼吸、剣筋の可奈美を見つめる。

 

 自分より技の真似の完成度が高い。これも彼女が成長していく証だ、いつか彼女の剣技は自分を超えるのだろう……。そういう期待を抱く都は姬和とこの戦闘を見届ける。

 

 けど、この余裕の時間は長く持たないーー

 

 二連、三連と続けてタギツヒメの腕は減り、最後には写シの貼られた紫の身体の左腕も切り飛ばされた。

 

 これはもう勝機が見えるのだがーー

 

 「はっ!」

 

 やられてばかりのタギツヒメではない。左腕が切られる瞬間に、すれ違い様に可奈美の胴体に一太刀浴びせ、写シを剥がす。

 

 「可奈美っ!」

 

 戦況が一気に変え、都は迅移を使い可奈美が地面に転がる前に彼女を抱きつく。

 

 姫和も慌てて駆け寄る。可奈美の身体に目立った外傷はないものの、意識を失っている。もう戦闘不能に陥ってしまっている。

 

 「………」

 

 可奈美に傷つけられたタギツヒメは目を大きく開き、空へと自分の一部を柱みたいに伸ばし、まるで空を侵食するように自分の部分を空で拡散する。

 

 それを見届けた残りの二人はこのままじゃ、まずいと認識する。

 

 残った紫は写シを貼り直し、失っていた腕を復活させる。そうして、姬和と都の方に向き直る。

 

 もう打つ手がない。身体も特に結芽との戦いで限界に来た。超集中の副作用もすぐ来るだろう。

 

 いや、例えそうじゃないでも、姬和と連携してもあの折神紫を倒せない。

 

 「……都」

 

 「………」

 

 姫和は可奈美を抱きつく都に横目で視線を向けながら話しかける。そこで沈黙になる都でもわかる、姬和の瞳からある必死な決意を感じた。

 

 「可奈美と舞衣のことを大事にしろ」

 

 「お前……そんなことしたら、俺と他の皆は許さないぞ!」

 

 「ああ……お前が私を大事にしてくれたことを感謝している。だが、私もお前と可奈美のことを大事したから、私はお前たちだけを守りたい。」

 

 タギツヒメに向き直り、両手を背中側に下げた姿勢で御刀を握った。あれはーー御前試合でも見てた技だ。

 

 最強にして、最速の技。一振りだけの絶対必殺技≪一つの太刀≫

 

 「都、さよなら。元気でねーー」

 

 「姬和……!やめーー」

 

 全力で彼女を止めると叫んだ都ですが、姬和の姿が消える。

 

 けど、それは走り出した瞬間を見逃したとかではない。文字通り、消えたとしか言えない速度で移動したのだ。御前試合の決勝でタギツヒメに奇襲をかけたときよりも速い。あの時が銃弾ほど速いとすれば、今回のものは天を翔る稲妻のようだ。

 

 「……っ!」

 

 神速を越えた速度の姫和の刺突。それは折神紫を刺し貫いてもなお止まらない。何もない中空に円形の穴が形作られ、二人の身体はそこに向かっていく。

 

 「クソ!このままじゃ姬和が………ぐっ!!」

 

 彼女を過去の母のように彼女を連れ戻すとしたい都ですが、都の超集中の副作用はちょうどその時に起こり。身体と思考はどんどん停止される。

 

 「ふざけんな!こんな時にーー!!」

 

 これでは写しさえも使えない。何もできない。

 

 このまま姬和が隠世の果てまでに見送るしかできない。もう打つ手がないのか……!彼女をここで失うのが嫌だ!

 

 「姬和ちゃん……!」

 

 その時、いつの間に自分の懷で目を覚ました可奈美は隠世の穴の方へ見て、姬和の名前を呟く。

 

 直感なのか、彼女は姬和がそちらに遠くへ消え去ると感じていたのかもしれない。

 

 「お兄ちゃん、私は行かなきゃ!」

 

 写しを貼って、可奈美はそんな結末を許さなかった。閉じかけていた裂け目に飛び込み、姫和の元へと走っていく。

 

 「可奈美……姬和を頼んだのよ」

 

 前々から感じていたのだけど。姫和には可奈美が必要。当然、可奈美にも彼女が必要。

 

 ーー二人からそういう運命を感じた。

 

 お母さん藤原美奈都と姬和のお母さん柊篝の御刀を継いた二人なら、きっと断ち切れない運命がある。

 

 だから、都は望んだ最後の希望を可奈美に託す。全員を救うには可奈美の力が要る。可奈美(最高の妹)なら、姫和を救える。

 

 都はそう確信していた。自分の妹は希望だと。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 隠世への道ーーー

 

 

 

 「これは、私の『真の一つの太刀』だ!!」

 

 「四段階迅移だと……!見事だ……」

 

 姬和に刺し貫いた紫は小さいの声で彼女を褒める気がする。

 

 「はあああァァァァーーー!!!」

 

 叫んだ姫和の身体はタギツヒメと共に空間を駆け抜ける。柊家に伝わる秘術、自らの肉体共々相手を隠世の彼方へと葬り去る奥義。

 

 これを使った以上はもう元の世界に戻れない。彼女も覚悟した上でそうしたのだ。

 

 大好きな仲間たちを守るため、彼女は自分を犠牲にしてもそうやる。これも彼の染みれなのかな?ちょっと馬鹿になった自分を笑いたい。

 

 けど、悪くない。そういう馬鹿なところは姬和が好き。

 

 ーー可奈美、都、皆……さよなら。

 

 目を閉じて、紫と共に隠世までに行く姬和。けど、そこに誰かの呼び声が聞こえてきて、自分の身体は誰かに抱きつかれた。

 

 「駄目っ、姬和ちゃん!」

 

 「可奈美!?何をしている!このままではお前までーー」

 

 「ダメ、絶対離さない!一緒に帰るんだ!皆のところへ!」

 

 「離せーー!!」

 

 姬和は可奈美に引っ張られて、どんどん紫と離れていく。

 

 その時、姬和は最後、紫からタギツヒメが離れていく光景を見た。

 

 タギツヒメがーーー

 

 そして、光と共に二人は隠世に行くことを避けた。

 

 二人は再びノロの大容量貯蔵庫に戻れて気絶した。

 

 「………戻れて……良かっ………た」

 

 二人がこちらに戻れた様子を確認したあと、都も二人の後に気絶した。

 

 しかし、その時の彼はこれから先の光景を見られなかった。

 

 この夜、隠世へと逃れるタギツヒメは自ら一部の荒魂を切り離し、空高く打ち上げた。

 

 荒魂は飛び散り、関東全体に降り注ぐ。それはまるで流れ星のような光景だった。

 

 けど、それは何の意味なのかは今のところは誰でも予測できない。けど一つ確認できるのはーー

 

 これは一つの物語の終結でもあり、一つの始まりでもある。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 「これで“六人”の刀使の回収が完了した。しかし、まさか……局長は大荒魂だとは……このことはしばらく外部の人間たちに知られるわけには行きません!いいな。」

 

 「はっ!」

 

 部下に指示を送れ、織田防衛省の事務次官である織田正雄はわざわざすべてが解決したあとの二時間後に現場に参りました。

 

 そこで、彼は先に現場にいた舞草のメンバーと共にこの場に倒れている英雄たちの処置や事後処置を行っている。もちろん、彼は指揮者たるものだから部下にやらせた。

 

 「……これでいよいよ折神家も終わるのか。ようやく国の権力は我々防衛省に取り戻したが、事後処置は面倒くさい。けど、これも折神家を椅子から引っ張る代償……安いものだ。」

 

 織田正雄はずっと折神家を敵だと認識していた。この20年間、折神家は大きすぎた権力を長年で持ち続けてきた。それを恐れるのは防衛省だけではなく、政府もそんな折神家を恐れていた。

 

 特に折神紫は刀剣類管理局の局長であり、民の絶大の信頼が得ている刀使たちの長官。彼女がこの位にいる限り、日本は彼女のものだと過言ではない。そうならないため、織田正雄もいくつの対策を打ったが、折神紫の前にはすべて失敗に終わった。

 

 彼女は政治方面では優れた逸材だ。いくら彼女に無理な要求や面倒ことを彼女に任せようと、彼女は見事に達成し、さらなるの民意をもらった。

 

 このままじゃ日本はいずれ本当に彼女のものになると正雄はずっと悩んでいた。が、今日が起きたことを彼はこれをチャンスたと思った。いよいよ、彼女の手から権力を取り戻せる。頑張れば、民意もこちらに戻らせるはず……。

 

 けど、現実は彼の思うのままにならない。主に、刀剣類管理局の存続が必要ということ。刀使を指揮する機関がいる限り、この国の安泰が確保できる。忌々しいが、権力はしばらくそちらへ預かってたほうがいい。

 

 それもこの国を怪物の脅威から守れる唯一の手段である。

 

 「とりあえず、刀剣類管理局を何とか保つのは今の第一目標か……ならば、次の局長はこちらの人員を派遣しなければーー」

 

 「織田事務次官、失礼します。貴方の指示のとおりに親衛隊を探しているんのですが、今だに親衛隊を見つかりません。」

 

 織田正雄がまだブツブツとこれからはどう歩くのかを計算している時、部下の一人はこちらに敬礼し、任された仕事の結果を報告する。

 

 「逃げられたか……もっと探せ!まだ鎌倉の何処かに隠しているはずです。」

 

 「はい!」

 

 指示を受け、部下はすぐこの場から離れていた。

 

 「折神紫の犬め……逃げ足だけは早いな。」

 

 彼はブツブツ言って、険しい顔を晒す。

 

 彼は親衛隊の人を掴むつもり。なぜなら、彼女たちは折神家の秘密情報が握っているかもしれない。それを利用して、彼女を局長の位置から引っ張ると計算している。

 

 それを機に折神朱音にも威圧を与える。横浜港での宣言は間違えなく、舞草にある程度の知名度が上がった。何にせ、折神紫を倒す英雄たちは彼女の手によって、送られたから。

 

 ならば、彼女と舞草は間違えなく英雄扱いされる。そうなれば、折神家の関連者たる彼女は局長代理として選抜されるかもしれない。

 

 その事態はどうしても、避けてもらいたい。

 

 「舞草の動きもこれからはしっかり掴まらなければなりません。我々の敵になれる前に、警戒しなければ……」

 

 その後、彼はずっとここで指揮して、深夜2時までにずっと折神家で隠した機密を探していた。




補充説明:防衛省の人間が来た時、都は秘密裏で舞草の人たちにこの場から運ばされた。同じ獅童もこの二時間の間に逃げた。
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