可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す! 作:黒崎一黒
人生初めてお父様と口喧嘩をした。
自分はいけない娘だと自覚していた。ただ好きな人のために血が繋がる親にあんな態度を取るとは……本当に自分は駄目な娘さんですね。
鼻以下の部位をお湯に入り、舞衣はさっきお父さんと喧嘩したことに反省している。
都のことになると、頭が熱くなる。好きだからかな?彼が利用されたことはどうしても我慢できないのだ。
「………都くん、今はどこにいるのかな?」
どんな時でも頼れる彼のことを思い浮かべながら、舞衣はこういう時に彼が自分のそばにいて欲しいと願っている。そうすれば、彼はきっと自分を導くのだろう。
小さい頃から、可奈美ちゃんと一緒にあの人に引っ張られて一杯遊んでた。あの頃は本当に懐かしくて、楽しかった。
あの時期に戻りたい……ううん、四ヶ月前に可奈美ちゃん、沙耶香ちゃん、薫ちゃん、エレンちゃん、姬和ちゃん、都くんと一緒に舞草の里のお祭りに楽しく遊ぶ頃に戻りたい。
「……なんか寂しくなるね。」
鎌倉特別危険廃棄物漏出問題から始め、皆はバラバラで各地で飛ばされた。顔を合わせる機会が少ないため、舞衣はずっと一人で美濃関地域を指揮している。
もちろん、ミルヤさんと七之里さんがいてくれたおかけ、お喋り相手が増えていてとても楽しかったのですが……それでも、皆と、もう一度会いたい。
「……私はこれから、どうしよう」
再びお父様と喧嘩した件と刀使をやめる件に悩む舞衣。
お父様は自分の身の安全を考慮して、彼女に刀使をやめさせたいと要求した。その気持ちはありがたいですが、舞衣はまた刀使をやり続けたい。
また追いたい人、守りたい人、会いたい人がいるんだ。そのため、舞衣はこの守護の力がほしい。
それに、孫六兼元は自分の半身みたいなもの。初めて御刀に選ばれた時は既に誓ったのです。私はこの御刀と最後までに一緒に戦いたい。
◇
「舞衣様、少しよろしいですか?」
お風呂から出て、舞衣はタオルを巻いた格好で自分の部屋で濡れた髪を拭く時に部屋の扉が叩かれた。
「ユメさん?少し待っていてください。私はまだ服を着換えーー」
「このままでいいのです。すぐ要件を済ませますから」
彼がそう言って、扉の外から話をかける。
「舞衣様は、さっき旦那様と喧嘩する件で後悔しているのでしょうか?」
当たりだ。舞衣は確かにずっとこの件を気にしていた。
「やっぱり見抜いたのですね……」
「はい、舞衣様は家族思いのいい主人でございます。私はそんな舞衣様を誇っております。」
「それはありがとう。ユメさんはなんか誰かと似ていますね………」
そう言って、舞衣の口からは少し寂しいような感覚がしてきた。
「その誰かさんは柴田さんなのかもしれません。あの人も舞衣様が御前試合に選ばれたことに嬉しく泣いていましたと聞きました。」
「それは……うん、確かにあの時の柴田さんは特に酷い泣き方をしましたわね。」
ユメはわざと話題のメインを逸した。
「あの方は本気で舞衣様のことを思ってくださったのです。旦那様もきっとそうです。が、舞衣様が刀使をやめる理由になりません。重要なのは舞衣様ご自身です。」
「私……」
「………貴女様がどうしたいのか、この思いを旦那様にしっかり伝えましょう。これこそは家族です。時々人間という生き物は喧嘩しなければ、友達のように話し合わなければ、お互いの思いがわからないのです。」
「………貴女様も早くお旦那様と仲直りしたいと思うのでしょう?」
ユメにそう言われて、部屋の中にいる舞衣は沈黙続ける。確かに、彼の言う通りにお父さんと仲直りしたい。
例え、彼は都くんを道具として利用するけど……舞衣はお父さんとこんな悪い関係を続けたくない。
「………ユメさん、私はどうしたら……」
まだ不安と迷いを抱かえていた舞衣の質問にユメは優しい口調で答える。
「答えは自分で探し出します。貴女様はもう子供じゃありません、“立派な刀使さん”ですよ。」
「………!」
私は……立派な刀使……?
「………では、晩御飯は部屋の外に置いておきます。舞衣様、どうか食べたあとは元気をつけてください」
彼女に伝えたいことを伝えたあと、ユメは晩御飯を部屋の前の床に置いてこの場から離れると、彼は部屋の中にいる舞衣に「ちょっ……!待て!」と呼び止めた。
「なんでしょうか?舞衣様」
「ユメさんは………どうして私を励ましてくれるの?私はユメさんに何もしてあげられないのに……」
確かに貴女は“ユメ”に何もしてあげられないかもしれませんけど、“都”なら……それは別だ。
「…………ありますよ。貴女は私に勇気をくれた。地獄に立ち向かう勇気を……」
「え……?」
「それじゃ、良い一晩を。舞衣様。」
それだけ言い残して、ユメは早足でこの場から去っていく。残るのはユメの最後の言葉を理解できない舞衣だった。
◇
翌日の朝
朝ごはんをいつもみたいに振る舞って、柳瀬三姉妹から最高の評価をもらってきたユメは急ぎに外へ出る準備を行う。
理由は孝則さんは朝食中、唐突に舞衣をどこかに連れて行くと仰って、ついてに自分も彼に舞衣の護衛を頼まれた。
その命令を従って、ユメは執事用の休憩室から護身用の刀……元い御刀を黒いバックの中から取り出す。
「銃より刀の方が手慣れだよな。そうでしょう?雪」
黒いバッグの中に御刀以外に銃もたくさん用意してある。しかし、そんな物より使い慣れる物はやはり刀だから、彼は御刀だけをメインにして、補佐とする閃光弾いくつを装備する。
「よし、舞衣様のところへ参りましょうか。」
準備した後、ユメは高級そうな車の助手席へ座り、舞衣は後部座席の孝則の隣へ座ると、孝則の事前の指示の下、柴田さんはある所へ車を回す。
因みに、彼は銃らしいな物をスーツの中に隠した。本当にやばいよ、この爺……。護身用とはいえ、堂々とP90マシンガンをスーツの中に入れた。
この先は戦場なのかな?不安だわ。
それから、三十分が渡ったところに研究所らしい建物が見えてきた。
「ここは?」
「この前まで特別希少金属研究開発機構と呼ばれていた場所だ。聞いたことくらいあるだろう?」
「ええ。でも刀剣類管理局の体制が変わって閉鎖されたんじゃ……」
「国主体の独立行政法人としてはな、うちが資金を提供し民間の研究機関、特別希少金属利用研究所として再スタートさせた。」
「利用……?」
「そうだ、珠鋼に御刀以外の利用法がないか探ってる施設だ。」
孝則さんと舞衣の会話が続く。
そんな会話から都がさらに孝則の真意を探る。
ここは珠鋼を御刀以外での利用方法を探る施設だとすれば。つまり、御刀に代わる荒魂に対して有効な武器か、それとも刀使という職業に関わりがある研究が進んでいるのか。
どちらにしろ、このような研究が完成した際に紛れなく刀使の世界が変わるのでしょう。
最良の場合に刀使が必要ない世界が誕生する。そうすれば、刀使たちのような若い女の子達はもう“奈良会戦”のような危険の戦いに突っ込む必要がない。まさに、優しい世界だ。
だが、そんな世界で刀使という職業を誇る現役の彼女たちにこれがいいことなのか……正直分からない。
自分が知り合った刀使たちの中で、刀使として人々に必要されたことに喜んでいる人もいた。ある人もそれが唯一の取扱だと思っていた…。
そんな人たちは“刀使が必要ない世界”に喜ぶのかな?と思い悩む都。
刀使と接触し始めてから、彼は常に刀使たちのために思い始めた。
◇
室内に入り。孝則は他の二人(柴田さんは外で待っておる)と一緒に観覧室みたいな場所ヘ行き、そこで舞衣は目の前に研究員らしいの者が四角の物を何かしらの作業を行っているところを見て、思わず口から疑惑を漏れた。
「これは?」
「ここでは、現在珠鋼を媒介として隠世からエネルギーを取り出す研究が行われている。」
「そんな事が可能なんですか!?」
舞衣はそんなことが可能なのかと驚愕していた。
「理論上は可能です。珠鋼とは現世にありながら隠世に影響を及ぼせる特殊金属です。その特性を利用することで現世と隠世の境界を曖昧にし、この世に存在してなかった物質を現出させる。これが、可能になれば従来の物理法則を無視した無尽蔵のエネルギー源を手に入れられるんのです。」
「ほぉ〜詳しいわね。貴方」
ユメが舞衣に説明する時に、突然後ろから誰かに声をかけられた。そっちへ向くと、日本人らしいの研究員と外国人美女研究員二人がそこにいる。
「貴方たちは?」
「ああ失礼。……僕はここの研究主任をやっている古波蔵 公威といいます。」
「妻のジャクリーンよ、よろしくね。」
男は古波蔵 公威と名乗り、女の方は公威の妻でジャクリーンと名乗っていた。
「こちらこそ…………えっ?古波蔵って……。」
公威とジャクリーンに笑顔で応対する舞衣。だが、古波蔵姓で、外国人を嫁にしているというピンポイントな家族構成と姓名から導き出される答えは一つしかなかった。
「ハイ!エレンのパパさんとママさんデース」
「ふふっ、驚いたかな?」
「あ…フリードマンさん!どうしてここに?」
「君の父上に請われてね。ここの研究所の名誉顧問に名を連ねてるんだよ。」
それと同時にフリードマンも突然現れたことに、舞衣は驚くしかなかった。因みに、ユメはあの二人の正体を知ったときに、既に彼がここにいることを予想した。
「しかし、孫娘に続いて娘夫婦とも知り合うなんて“君たち”はよくよく私のファミリーと縁があるようだね。」
たち……?
フリードマンの妙な発言に疑惑を持っていた舞衣。そして隣のユメはただ黙り込む。
「あなたのこと聞いていますよー、マイマイ」
「……マイマイ?」
孝則はマイマイというのは、どういう意味なのだろうか?と疑問に思う。
……もしかして、最近の子はそういうマイマイとかという言い方が流行っているのだろうか?孝則は若者文化の流行れを頑張って理解したいところ、隣のユメはあまり気にしないと仰っていた。
「旦那様、あれは古波蔵家の小娘、“エレン”という女の子が人にあだ名を付ける悪い癖でございます。あまり気にしないでください……」
「そっ、そういうことなのか……」
「…………」
そして、なぜが舞衣はそれを反応し、ユメの方へちらと見る。何かおかしいなことを言ったのか?
『主任、近接反応実験が終了しました。データの解析に移りたいのですが……。』
不意に、珠鋼を使った何らかの実験をしていたのか、次の作業に移りたいという報告がされていた。
「分かった。ノロは保管場所に戻しておいてくれ」
此処の研究主任を任されている公威は、二つ返事でそれを了承していた。
だが、ノロという単語に舞衣は反応する。
「あれは……何の実験なんですか?」
「珠鋼とノロを接近させることで、起こる反応を観察しているんだよ。」
「ここでは、実験にノロを使ってるんですか!?」
「ええ……そうだけど。」
舞衣は語気を強めて、公威等にノロを実験に使っているのかと尋ねる。
そんな舞衣に尋ねられて、少し困った反応をする公威はフリードマンさんの方に助け求める視線をする。
「どうやら、舞衣君は過剰にノロを恐れてるようだね。」
「恐れているのではありません!敬っているのです。それを教えてくれたのはフリードマンさん、あなたじゃないですか!」
「確かに、ノロは分散させ社で祀っておくべきだと言ったね。だが、それはベターなやり方ではあるがベストではないんじゃないかな?」
しかし、フリードマンはここにきて、自身がかつて言っていた丁重に敬い祀るやり方はベターではあるが、最善の方法ではないと言ってきたのである。
そんなフリードマンの発言に、舞衣はその話を信じて良い物かどうか動揺する。四ヶ月前、ノロは丁重に敬い祀るべきと言っていた人物が、急にそのやり方はベストではないと言い出せば、誰もが動揺し、信ずるに値するものかどうか迷うものである。
「ノロには意識もあり意思もある。タギツヒメやねねを例に挙げるまでもなくね。」
「ノロが、祀られることを望んでないと言われるんですか?」
「放っておかれるよりかは遥かにマシだよ。でも、もっといい方法があるんじゃないかということさ」
「私はね、ノロの穢れの正体は寂しさなんじゃないかと思ってるんだ。」
「タギツヒメやねねを見ているとそう思えたんだよ。ノロを祀るというのは彼らを忘れず感謝の意を持っているという意思表示に他ならないんじゃないかな。あの里でのお祭りのようにね」
フリードマンは何とか気を取り直し、さっきから黙って聞いているユメと舞衣に説明を続けていた。
「ノロは……寂しいのですか?」
「彼らは、珠鋼を求めているんだよ。……人の手によって、無理矢理分離させられた母と子供みたい。」
突然、ユメはその実験を見ながらそう言い出した。仮面を被っていたが、なんか寂しさが感じる。
「お前はわかるですよね。えっと、名前はなんだっけ?」
「えと……ユメです。」
「ユメね……」
フリードマンさんは意味深の視線をユメに投げつけた。フリードマンは最初から彼の正体を気付いた、ただ彼はなぜ顔を隠しているのを観察している。
「ユメくん、貴方は素質があるようですね。この実験は珠鋼と近づくことでノロの穢れが清められるのを実証するためのものなんだよ。」
「実際、距離と時間に比例して穢れの減少は計測されていマース」
「……それは、つまり荒魂の中にある穢れが清められることができるかも知れないという実験なんですね?」
「うん。それって、まるで母親に抱かれて安心する子供のようだとは思わないかい?」
母親に抱かれて安心する子供なのか……。一瞬だけ母のことを思い返すユメは思わず実験をジロジロと見た。
「でも……」
「……そう、残念なことにノロと珠鋼を再結合させる方法はない。」
だが、フリードマンの話から、まだ研究は成功していないようだ。
「あの子はね、ニモと言うんだ。寂しがり屋のリトル・ニモ。」
実験中のノロを見ていたフリードマン。彼はそのノロを名付けたらしい。
「夢の国のリトル・ニモ。アメリカで結構有名なあれね。」
「うん……私はね、あの子の声が聞きたいんだよ。本当に望んでいるものが何なのか、それを教えてもらうためにね。」
「そして、私はこの話を聞いてここへの出資を決めた。刀使を辞めなくても良い、できれば将来お前にも協力してもらいたい。」
「……そ、それは……」
フリードマンさんの続きに、孝則さんは舞衣に伝えたかったことを話した。
それは、つまり舞衣の刀使をやめる意志が無いのなら、戦線から遠ざけ、後方に回せば良いだけの話しであり、フリードマンの研究を手伝えば、刀使達に貢献できると言って納得させようとしていたのだ。
悪くない一手です。四ヶ月前の自分ならきっとこれを賛成するのだろう。舞衣を前線から遠ざけたら、危険からも遠ざけられる。これは都という人間の望みでもある。
ですがーー。
「舞衣様。貴女様はどのような選択をしようとも、私はそれを尊重いたします。刀使をやるか、やらないか……貴女様次第です。」
舞衣は強かった。彼女はもう弱い刀使ではない。折神家急襲作戦のあの日から、都は舞衣が一方的に守られる存在ではないとそう認識したのだ。
「ユメさん……」
「急がなくてもいい。私と旦那様も貴女を待っていますから」
「ユメくん……やはり貴方は味方なのね。」
「私はただ舞衣様思いの執事です。それ以外の味方ではありません。」
少し加勢してくれたことに喜んでいた孝則にユメはただ自分は舞衣だけの味方と強調する。
「マイマーイ!お久しぶりデース!!」
「エ……エレンちゃん!?」
「…………」
そんなとき、元気さが溢れた声と共に、ピンク色のフリフリの少女趣味満載な洋服で来たエレンの突然の登場に、舞衣は出かかった言葉を飲み込み、二人の女子はそのまま抱き合う。主にエレンが主導的に。
「マイマイは元気そうで何よりデース。」
笑顔で舞衣に向けるエレン。その後は孝則とエレンの両親やフリードマンはしばらく仕事の話で離席し、この場を三人の若者たちに任せた。
離席している途中にフリードマンさんに耳の近くに小さいの声で「なんの理由が知らないが、我が孫娘と仲良くしろね。都くん」と言われた。
ええ、この二人も俺の大切な仲間ですもの。
◇
特別希少金属利用研究所のテラスで舞衣とエレンの二人でお茶会をしようとしていた。そこで、執事であるユメは二人の奉仕していて、いいお茶やデザートを用意する。
全てが整えた後、彼は執事らしく立ったままに二人を見守っているが、エレンに舞衣の何回も誘われた。最終的に仕事が大事だという理由で断った。
仮面を外しちゃだめだもんね。
「じゃ、エレンちゃんは任務で?」
「イエス、最近はノロが強奪された事件が多かったため、現在厳重警戒中デス。」
そして、二人は今の現状を語る。
ノロ強奪事件。
自分も真庭本部長から詳細を聞きました。謎のフードを被った刀使は各地の刀使が荒魂を払った際に、ノロを奪う事件。しかも、実力もなかなかのもので腕が立つ刀使でも彼女を止められないらしい。
鎌倉特別危険廃棄物漏出問題と近頃起きた奈良会戦が終わった以後。やっと一時の平和が取り戻したと思ったが……また、新たな乱が起きてしまった。
「でも、ここなら美濃関に近いのに」
「それが警備の話を聞いたグランパが久しぶりに家族水入らずだーって私を指名したのデース。公私混同ってやつですね。」
「それはあまりいい意味じゃない日本語と思いますけどね」
苦笑している舞衣。
ですが、彼女の顔は少し柔らかくなる気がする。これもエレンさんの力のおかけかな?彼女は不思議と人の心を穏やかにする暖かさが持っている。
ずっと黙って二人を見守るユメは思わず微笑んだ。
「それにしても、この格好ーー」
話題を変わり、舞衣はエレンの服装を見て尋ねる。こういう彼女の趣味じゃ見えない格好では確かに気になる。
「そうデス!これパパからのプレゼントなんデース!戦闘の時は動きにくいと思うけど、折角だから着てみようと思いまして」
「そうだったんだ、私はとっても可愛らしくて似合ってると思うよ。ユメさんもそう思うでしょう?」
不意に舞衣が話題をこっちに振られた。きっと、こっちを配慮しているのだろう。
「はい、とても良く似合っています。」
「ありがとう。そういえば、彼は新たなの執事さんデスか?なんか声は何処かで聞いたような……」
声に反応し、エレンはそう聞く。
「それは気のせいです。私はユメと申す者です。」
「そうなんデースか?」
疑う態度を示すエレン。そこで舞衣は加勢しに行くことでうまく誤魔化した。
「そうだよ。彼は柴田さんの遠いの親族みたいで、お父様の契約により、うちで働いています。」
「うーん、まぁ、そうしておきましょう。それより……マイマイパパって素敵デスね。」
「す…素敵……?」
うまく誤魔化そうとしているところ、エレンは突然、孝則のことを“素敵”だと言って、舞衣は驚きで口に入れていたお茶を零しそうになる。
「舞衣様、大丈夫ですか?」
ユメは心配そうに尋ねるが、舞衣は平気だと答える。
「ここが閉鎖されていたらパパとママは路頭に迷う所デシタ。グランパはお金持ちデスから、その気になれば助けられたんデスけど、公私混同はよくないって」
「さっき言っている言葉と違うけど……」
確かに、後者のほうがこの言葉は正しく使う。
それより、エレンの両親が路頭に迷わずに済んだのだから、孝則のことを“素敵”だと言ったのだろうと理解していた舞衣は少し微笑んだ。
彼女はもしや、自分のお父さんがエレンの両親を助けたことに喜んでいるかもしれません。
「ところで、マイマイパパはどうしてここに資金を提供したんだと思いマス?」
「それは……珠鋼の研究はお金になると思ったから、かな?」
エレンの問い掛けに舞衣は少し迷いながら答える。
「それは違いマスネー。お金になる研究してたら、そもそも潰れそうになんかなりません。珠鋼でノロの穢れを祓えるようになったら、多分刀使は必要なくなりマース。マイマイが危険になることもなくなる。だから何としてもその技術を手にもらうっと、そんな風に思ってるんじゃないデスか?」
「…………」
舞衣は俯きながらエレンの話しを静かに聞いていた。
舞衣は最初から薄々とわかっていた。金銭のためという理由だけで、お父様が特別希少金属利用研究所に出資するはずがない……。それに、父は柳瀬グループの代表とはいえ、父の意向だけで柳瀬グループの出資を決めることなど不可能であることも……きっと企業の役員や幹部を説得するのには大分苦労したであろうことを舞衣は容易に想像できた。
それら全てはエレンが言っていたことのように、舞衣が安全に生きられる環境を作るためにだ。
「うちの家族は特殊なんデス。パパもママもグランパもみんな研究に人生をかけているような人で、今はこうして同じ場所に居ますケド、それってとっても珍しいことなんデス!」
「……うちと一緒だね。」
「でも、パパは私の誕生日にはプレゼントを送ってくれるんデス!顔を合わせる事はできなくても必ず毎年新しい洋服を」
「じゃあその服……」
「イエス!古波蔵エレン、16歳のバースデープレゼントデース!子供っぽいデスよね~正直私の趣味じゃありませんけど……でもね、この服にはパパの愛がそれはもう目一杯詰まってるんだ~って、それだけは断言できますよ。」
「マイマイ。あなたはどうデスか?」
「私は……」
舞衣は、エレンの親の愛の話しを聞き、父孝則の思いを実感した今、父の話しに乗るべきだろうかと揺れ動きつつあった。
それを後ろから見守るユメも遠く昔、母が愛を込めたまずい料理を彼ら兄妹たちに食べさせたことを思い返した。
あれも……母の愛なんですね……。
補充説明1:都が偽身分を使った理由はただ舞衣が自分自身で自分の道を選ばせたいのです。都が彼女のそばにいると、多分彼女は都の言う通りに、未来の道を選ぶかもしれない。
補充説明2:柴田に関する設定ではノーコメントです。ただ彼が只者ではないと読者さんたちに知らせたい。
それと、間もなくとじともアニメの放送日が近づいているため、刀使のファンとして必ず鑑賞します!情報によると、呼吹の過去も明かされています!そこはたまらないくらいにドキドキします!
#一部ストーリー変更。