可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す! 作:黒崎一黒
「ちょっとはしゃぎ過ぎちゃった。……久々だな、こういうの」
「それは良かったですね。都くんも楽しんでいるようでよかった」
二週ほど回った二人は、一旦プールから上がって休憩する。
二人は屋内施設にある休憩スペースに腰を下ろす。
「……そういや、もう昼か。昼食どうします?」
「あっ、それなら私作ってきましたよ。」
ここに来る前に一旦更衣室に立ち寄り、荷物を一部取り出してきた彼女。
その中から、二つのお弁当サイズの袋がテーブルに置かれる。
「舞衣ちゃんのお弁当か……久々食べてないなぁ。」
「そういえば、御前試合以後はずっと都くんが食事を担当しているだね。…ちょうどいい機会だし、都くんに久々の手料理を食べさせてあげる。」
微笑んでいながら、彼女はお弁当箱を袋から取り出し、都の前に開く。
中身は牛そぼろご飯(#基本は牛丼)と諸々のおかずであった。外見も非常に良い。
「見た目はなかなかいいな。」
「都くんにまだまだなんだけど……。どうぞ、食べてみてください」
「じゃあ、折角なので…。いただきます」
箸を弁当のおかずに突っ込む彼。
「……やっぱりうまい!流石、舞衣ちゃん!」
「ふふっ……都くんはいつも私の料理を美味しい美味しいと言っていましたわね。」
「だって美味しいもん!」
「可奈美ちゃんみたいな感想になっちゃったわね。」
くすくすと笑い、舞衣が美味しそうに食べている都くんを見て、手料理をここに連れて来たことを良かったと思う。
「舞衣の料理の前だけに俺は可奈美と同じ素直になるのよ?いつもの和食もありがとう。」
「どういたしまして。さて、私もいただきますか」
彼女も、箸を口へ運ぶ。
「うん〜〜!これくらいの美味しさがあれば、将来はいい嫁さんになれそうだね。舞衣ちゃんは」
「…ごっほ、ごっほ!」
しかし、三口をした後、舞衣は早速都の無自覚の危険な発言で咳き込んだ。
「だっ、大丈夫!?」
「…へっ、平気。ちょっと咽せただけですから」
彼に自分が平気だと伝え、舞衣の顔はちょっと赤くなってきた。これもこの人のせいだ。
いい嫁さんだなんて……それってつまり自分はもう彼の嫁になれるということなの?いやいや、彼のことだから、きっとそちらの意がないと思う。
胸の鼓動がドキドキしながら、舞衣はその発想をなるべく脳内から消したい。何にせ、彼の鈍感さは長い付き合いの彼女がよくわかっている。
彼はいつも無意識にそうやって、自分の心をドキドキさせてた。
「……本当にずるいよ。都くん」
「え……?なに?」
「ううん、なんでもない!」
その後、二人は楽しい昼食時間を過ごした。
◇
午後、昼食の後、少し休んだら、都たちはまだ遊んでない施設に回す。
そして、最後はウォータースライダーという施設の前に足止めた。
「……舞衣ちゃんはどっちの方がいい?」
ウォータースライダーの使用説明を読み終わった都は舞衣に聞く。
この施設は水の流れの滑り台。遊ぶ方法は滑り台と同じですが……これの方はどうやら二人で滑られるゆえ、遊びの初心者たる都はまず舞衣の意見を聞きたい。
「えっと……都くんはどっちの方がいいですか?」
「俺は………後ろでいい」
「なら、私は前ね。」
速やかにお互いの位置を決めた。そして両方は共に少し安心した顔。
これでお互いが触れ合わずに済む。流石に水着姿がやばいわね。肌と直接接触する面積が多く、特に彼としては舞衣の胸との接触を避けたい。
あれの柔らかさを何回食らった都がわかる。その柔らかさの下に理性を保つのが辛かった。
また彼女も同じ彼と触れ合うと、心臓が爆発くらいにドキドキするから、それを避けてもらいたい。
お互いのことを妙に意識しちゃう男女。この二人はまだお互いの思いを知ることがしなかった。
そして、いよいよ順番が回ってきたので、スライダーの係員が二人に声をかける。
「お待たせしました!お二人ですか?」
「はい。」
「それでは、滑る姿勢をとってください」
「よっこいしょ、っと。」
先に入り口に座る彼女。
「これで……よし。」
その後ろに彼は座る。
そうしたら、係員は親切な顔で近づく。
「彼氏さん!申し訳ないだけど、彼女さんの体を後ろから抱き締めてもらえませんか?なるべくしっかりお願いします。」
「へっ!?」
思わず変な声が出る彼。
「お二人の安全のため、ご協力をお願いします。」
「マジか……」
彼は舞衣と同じこれを遊ぶのが初めてなんで、これに関する知識はただ看板の内容だけ。
故に、係員にそう要求されたことが完全に予想外だった。
「舞衣ちゃん……その…」
「………仕方ないから、私をしっかり掴んでください//////」
耳までに赤くなった舞衣は自分を触っていいと許可した。
彼女がどれほど恥ずかしがっているか耳の色からわかる。きっと羞恥心を我慢しているだろ……。
「うんっ……!」
「ごめん!///////」
舞衣の腹部に腕を回すと、彼女がちょっと変な声を出ちゃった。それを聞いて、都は少し慌てたが……彼女に「そのまましっかり掴んで……」と言われた。
彼女のお腹はとても柔らかった。……ううん、女の子だから、身体のどこでも柔らかいと思う。
「どうやら、お二人さんは新人カップルようですね。それではこの施設で存分楽しんで、深く仲良くなってくださいね。カウントスタート!」
「えっ。」
まだ心の準備ができなく、余計な世話をする係員は降下カウントが始まる。
ちなみに、彼はかわいい嫁がいるので……そういう渋々のカップルを見て、つい応援したくなる。
「……2、1、それでは行ってらっしゃい!」
彼の背中を容赦なく大きく押す係員。
当然ながら、玉突きで舞衣にもその衝撃が伝わる。
「「キャアァァァーーーーー!!!」」
そして二人の悲鳴がチューブ内に張られた水と共に滑り下りた。
結論から言うと、楽しかった。
意外ほどの刺激は男性の都にとって、かなりいいものであった。できるなら、もう一度滑りたいところなんですが……。
滑り途中、舞衣の腹部に腕を回していた関係上、コンマ数秒ほど彼女の胸部に接触してしまった。
幸い、舞衣ちゃんの注意が過度の刺激に逸らせたから、気まずい雰囲気が何とか避けた。
だが、舞衣もどうやら一回だけか限界なことなので、先に彼女を休憩エリアに送った。
「…大丈夫?」
「…はい。……ごめんなさい、また都くんに迷惑をかけちゃいました。せっかくの遊びなのに」
舞衣の頭を自分の足に載らせて、膝枕にする。
昔は可奈美だけに使われたんだけど、舞衣の体調を考えて特別彼女にも膝枕で休ませる。
彼女は施設から降りた後、すぐ立てられなくなる。…多分刺激が強すぎたようで、身体が持たなくなる。
「いいのよ。俺は面倒見がいい男なんですから、どんどん甘やかされても平気さ」
「……うん、都くんはいつも私に優しかったね。」
「舞衣ちゃんはとても大事な人なんですから、優しくするのも当たり前のことさ」
ビキニ姿の彼女を眺めつつ、彼女の頭を優しく撫でる。
「……気持ちいい。」
「そのまま寝てもいいのよ?俺は舞衣ちゃんと一緒なら、どこでも楽しい。こうして貴女のそばにいるだけで俺は満足ですから」
「またそう言って……都くんは本当に楽しいですか?」
「うん、楽しいよ。舞衣ちゃんは遊びの楽しさを教えてくれた。だから楽しいのです。」
「……それは良かった。ふわぁ〜……」
そこで疲れ過ぎであくびをしていた舞衣。
「どうやらそろそろ寝る時間のようだね。遠慮なく俺の膝で寝てください」
「うん……///////」
答えた後、彼女の顔が再び赤くなってきた。が、彼に背を向けるような形で横に転がるだから、彼から彼女の顔が見えない。
「そうだ。寝る前に質問してもいい?」
「うん?なに?」
「都くんは私のことをどう見てるんですか?その……やっぱり友達なのか?それともただの妹友?」
「えっと……どうしたの、急に。」
彼女から唐突の質問に少し困っている都。
「聞きたいの……私のことをどう思っているの?都くん」
しかし、舞衣はどうやらこの質問攻めを諦めないようだ。
「大切な……宝物なのよ。俺にとって舞衣ちゃんはキラキラしている宝石で輝いている素晴らしい女の子だと思う……だから、何かあっても守ってあげたいの////」
「そう……////」
彼から答えをもらえた舞衣は胸が凄くドキドキしていた。そして凄く嬉しかった。
(やっぱり、都くんに対するこの鼓動は本物なんだね……)
眠気が来て横になっていた舞衣は、ずっと踊っている胸の鼓動を気にしていた。
彼のそばにいると、この鼓動が止まらない。彼に優しくされると、嬉しいと幸せの気持ちも止まらなくなっちゃう。
だが、この想いは彼に容易く届かない。なぜなら、彼はいかにも恋愛に関心せず、鈍感の人なんだから。
加えて彼は自分のことも好きかどうかも分からない。だから、彼が自分のことを好きになれるようになりたい。
そうなれる前に、この思いはまだ彼に伝えるわけにはいかない。
◇
「…このままでいいのかな。」
眠った彼女を眺めつつ、都はブツブツとそう呟く。
舞衣への好きという感情を気付いた後、都はずっと彼女との距離をどう取るか悩んでいた。
自分は彼女の特別の異性だと知った。けど、軽くこの特別を利用して彼女に手を出すわけには行かない。
前も言ってたように、自分は彼女に似合わない。
柳瀬グループのご令嬢にして、精鋭刀使の一人。文武両道、非常に家庭的、人当たりも良く非常に温厚な娘。
自分と彼女は既に別の世界に住む人間なんだ。……ううん、多分これは言い訳なのかも。
彼女のことが好きなんだから、大切にしていたからこそ自分が彼女に幸せできるかどうか迷っちゃう。
だから自分は、より優れる男はきっとこの世ではたくさんにいると信じていた。
彼女に本物の幸せを与えられる者はきっとこの世の何処かに存在しているはず。
自分は輝く彼女と絶対に似合わない。
(だが、やっぱり心の何処かで納得できない……)
彼女が誰かと付き合う光景を想像したら、吐きそうほどに嫌だった。
「…どうしたいんだろうな、俺の心は」
まだ恋の道から正しい答えを見つからない都は舞衣が眠い間にずっと彼女との関係をどう取るか悩む。
◇
その後、帰り時間になり。
着換えた後、舞衣の要求で彼女と少し寄り道をしていた。
「これ、かわいいわね。」
ある店の前に、舞衣は首のアクセサリーをじっと見つめた。
「欲しいのか?」
「ううん、……欲しいって言ったら、都くんは絶対買ってくれるでしょう?そんなのあまり好きじゃないです。」
「可奈美のように甘えてもいいのよ?俺って結構稼いているから」
「だから余計に都くんの金を使わないの。もっと自分のためにその金を使って欲しい。」
笑顔しながら、彼女はすぐ店のガラスから離れた。
「別に変な気を使わなくてもいいのよ。どうせ金はほどんと生活費のため使うものだから」
「それでも“め”です!都くんはいつも自分のことを後回しにしたから、私と可奈美ちゃんはいつも心配してたのよ!」
「それは悪かった……。お前たちに心配をかけた。」
「そこはじっくり反省してくださいね。私はみんなと都くんが幸せになって欲しいのです……。いつも頑張っている都くんはその資格があると思うよ。」
「資格か……」
そう呟いて、都は自分が既に幸せだったと思う。だって自分には多くの縁と結びつけた。
どれも大事な縁であり、彼女といるだけでとても幸せなんです。
これ以上の贅沢の幸せは求めません。例えこの恋が実現できなくても現状だけで満足ですから。
「都くん、どうしたの?ぼっとしてて」
「ううん、なんでもない。」
そう、今のままでいい。あまり贅沢しすぎると、何かを失うから。
その後、少し寄り道したら二人は帰る方にした。
そして美濃関に帰るまで、二人は手を繋いたまま、暫しのデートを楽しめた。
舞衣の方はともかく、都の問題は前から存在している(#第四話:心の距離)。