可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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私の作品を気に入ってくれた皆さんに深い感謝を!本当にありがとございます!最近は低評価を見ていて、気持ちが凄く落ち込んでいました。もしかすると、私の作品が嫌かなと思いました……。でも、平均評価が上がるところを見て凄く嬉しかった!もう一度言わせてください。本当にありがとございます!


第五話:可奈美のお兄さん

 美濃関学院の入学式当日ー

 

 

 「お兄ちゃん……流石に見すぎるのでは?////」

 

 衛藤都(シスコンの極み)がただ今、人生最大の幸福を感じている。

 

 ようやく美濃関に入学できた妹が入学当日、美濃関学院の制服を着ている。

 

 デザインは赤と白のブレザーの制服だ。これは可奈美(世界一可愛い妹)にしては絶対お似合いそうな格好!鎌府のもそこそこ良い(主に沙耶香がイメージ)のだが、自分の妹が着ていると、もう最高という評価しかないと感想する彼。

 

 (何より、この赤いのミリスカート!もう反則レベルのものじゃない!激しく動くと、太ももも危うく見られてしまいそうだ。)

 

 「やっぱり美濃関に入学してよかった。これで毎日こんな可愛い可奈美が見える!何という至高の幸せなのだろう!」

 

 「お兄ちゃん……////」

 

 (ああ〜、必死にパンツを隠そうとする可奈美がマジ可愛い…。写真一枚撮っても怒られないかな?)

 

 「……はぁ!そういえば、舞衣ちゃんも美濃関に入学するだっけ?」

 

 「うん、舞衣ちゃんも一緒なんだ。どうしたの?」

 

 可奈美の制服姿を見た都は急に何か勘付いた様子で、少し心配するような顔になった。

 

 「学院内で、舞衣ちゃんに手出そうな野郎がいないかな?舞衣ちゃんはあんな反則スタイルが持ってる上で、さらにこのミリスカート……」

 

 「舞衣ちゃんは刀使だから大丈夫だよ!それに舞衣ちゃんは強いし!」

 

 「まぁ、そこは同感かな。それに、俺は舞衣ちゃんに手を出そうなやつが犯行する前に先に見つけてきちんと始末する!」

 

 「お兄ちゃん、たまに舞衣ちゃんに甘やかしすぎるんだね……」

 

 兄の発言を聞き、流石の可奈美もドン引いた。

 

 あれは本気の発言だ。確かに悪いのは舞衣に手を出す人だが、都がやりたいことがもっと危険なものだ。

 

 「可奈美の大事な友達だから!」

 

 彼はずっとそれを言い訳にして、舞衣ちゃんのことを守ろうとした。

 

 昔から、彼はずっと二人を中心にして動いた。いつも二人を優先し自分を後にする。

 

 これから先も、ずっと変わらないだろう。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 今年の美濃関学院の入学式からはもう数カ月の時間が経ち、今年も変わらず色んな噂が立ってしまう。

 

 例えば、美濃関歴年最強の刀使の誕生とかの話。ただ中等部一年生なのに、多くの相手を倒し、不敗伝説がそこに立ってしまったとか。

 

 それと、今回の中等部一年生の中でトップクラスの可愛く強い子が入ってしまって、もう何人か告白しに来たのですが、結局見事に撃沈された話とか。

 

 今年の注目はほとんど中等部に奪われた。もしかすると来年の御前試合(ごぜんしあい)は美濃関が奪冠なのかもしれないという噂も美濃関内に流れている。

 

 でも、多くの人には知らなかった…。今年の高等部一年生の中で高等部三年生と比べられるほどの天才型優等生が現れたという噂。

 

 これは美濃関鍛治科内部人員しか知らない噂ですけど。その優等生のおかけで赤羽刀の再生作業が加速され、学院に今までもない利益が産まれた。

 

 今現在、噂されている優等生も順調に赤羽刀の再生作業を終え、昼食を食べに行くところだった。

 

 「流石だね、あんな早い速度で赤羽刀の再生を早めに終わらせるとは……さすが君だ。」

 

 「とんでもない。赤羽刀の再生作法をきちんと分かれば、あとは誰だってできる簡単な作業なのだ。それに、これもこのコンピュータのおかけだ。分析が早くて助かったよ。」

 

 そして、今の彼と話しているのは高等部二年の服部(はっとり)達夫(たつお)

 

 彼は美濃関随一の研師。刀剣の手入れや赤羽刀の研ぎ出しを学んでいる専門家。でもそれだけじゃない、彼は長船女学園寄りの思考持ち主であるゆえ、長船女学園が誇れる最先端のコンピュータ技術を美濃関ヘ導入した。

 

 それからも長船の技術チー厶に色々依頼して、美濃関に多くの貢献をしていた。まさに鍛治科を導く先駆者みたいな人物。

 

 「それはどうも。お前が赤羽刀を再生させる速度は俺でもできないから、あんたの方が凄いよ。」

 

 「いえいえ、これも服部さんと田中先生のご指導のおかけです。本当にありがとうございます。」

 

 美濃関学院鍛治科に噂されている高等部一年、衛藤(えとう) (みやこ)はその先輩である服部達夫とこの場にいない田中妙子教師に心の底から深く感謝している。

 

 入学してから、あの二人がずっと自分のお世話をしていて色々と学んでいました。都にとっては、あの二人は自分に恩がある人たちなのだ。

 

 「それは大げさだ。あなた達の先輩だし、これくらいは当然だ。それにアンタみたいな優秀な後輩ができて、しっかり鍛えないと駄目だと思う。」

 

 「そうですか……。そういえば、先輩は昼食に行かない?俺は予定があるけど、先輩がご一緒なら俺は嬉しいです。」

 

 「いや、それは結構だ。まだ調整してないものがあって……それに邪魔しちゃ悪いと思う。アンタはいつも噂の中等部の子と一緒にいるだろう?凄く仲良くて、もう付き合ってるかって、結構噂されているぞ?」

 

 (そういえば、そんな噂があった気がするなぁ。まぁ、基本そういうのをあまり気にしていない。特に入学してから、もう刀のことを夢中にしていて噂のことなんかを構う余裕がない。)

 

 「そう?あれはただの妹と妹友(いもうととも)だよ。別に付き合ってないし、それに舞衣ちゃんは俺と別の世界の人間だ。付き合うわけがないじゃん。」

 

 (そうだ、相手は柳瀬グループのご令嬢。例え彼女にそんな意思を抱かえだとしても、彼女と付き合う確率も高くない。彼女は普通にいられる自分では永遠に触れない相手方なのだ。)

 

 「……それはそうだけど。でもよ、あの子が結構お前のこと気に入ってるように見えたんだぜ?」

 

 「あれは舞衣ちゃんが優しいから!それに、先輩のそばにも仲良さそうな子がいるんじゃないか?あれは確か中等部の……」

 

 「安桜(あさくら)のことか?あれは……たまたま知り合っただけだ!別に仲良くなんてない!」

 

 その話題を触れたら、服部は急に慌てた反応をしてきた。……怪しい。

 

 「そう〜?いっそ彼女に昼飯を誘ったら?嬉しく思うよ。」

 

 「余計なお世話だ!それより俺は先輩だぞ。もっと敬語を使え!」

 

 「先に敬語を捨てて話したいと願ったのが先輩の方じゃないか?」

 

 「ぐぬぬ……!」

 

 悔しそうな服部を見て、都が楽しそうに笑う。

 

 服部は少数すっかり都と仲良くなれる同性友人。前の学校ではそんな人がいなくて、学校ではずっと可奈美のことを考えていて、学校がつまらないところだと思った。

 

 でも美濃関に入ったら、服部と出会ってどんどんこんな時間がいいと思える回数が増えた。都が結構こんな時間が好きだと自覚している。

 

 「それじゃ、俺はそろそろ行くから、先輩分の昼飯も買ってくるので楽しんでくださいね〜。」

 

 そう言って、都が悔しそうな服部を置いといて先に学食の方へ行く。

 

 そこで彼を待っているのは、自分が最も大切にしていた二人の女の子だ。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 美濃関の食堂はとても広い食場だ。

 

 そして、美濃関の学生たちが一番気に入っている場所。

 

 なぜって?見ればわかる。食堂の位置はよく日が当たる位置にある。そしてここの設計では、外から照らてきた日光の温度は容易く散らさないような設計。そのおかけで冬のときは暖気をつけなくても暖かい。

 

 夏だと、ここが大きなエアコンが設置していて、ここをあまり熱くしないように設計している。道理で学生たちがこの場所を気に入っているわけだ。

 

 しかし、エネルギーを最小限節約にするのはまだまだ先の話。いつかここが電力を使わないように、学院側もそれなりに頑張っている。

 

 「えっと……これにしようか。」

 

 食堂に着き、都はすぐ自動販売機の方にカレーライスを選ぶ。そうしたら、販売機の中から食券が落ちる。

 

 でも、これは別にカレー好きというわけではない。ただ、彼はこの学食のすべての料理をじっくり味わって、自分の料理の参考にしたいだけだ。

 

 色々と省略し、都は自分が注文した品を持って彼女たちを探す。

 

 「お兄ちゃん〜!こっち、こっちだよ!」

 

 そうしたら、すぐあの子に見つけられて、先に声をかけられた。

 

 とても元気良く手を振っている、明るい性格を持つ可愛い女の子。彼女の名前は衛藤可奈美。

 

 「可奈美ちゃん、声が出しすぎ!////」

 

 そして、彼女の隣で慌てている様子の女の子は彼女の親友柳瀬舞衣。彼女は柳瀬グループの令嬢である、つまりお嬢様だ。その優しい性格と中学生に思えないほどの発育は彼女の特徴である。

 

 ただ今、彼女は親友の可奈美が声出しすぎて周りの視線を集められていたことに恥ずかしがっている。その様子はとても愛おしく見える。

 

 「あれは可奈美のお兄さんなのか……結構イケメン!」

 

 そして、可奈美の正対面に座る子も改めて都を見る。見たことない新顔だから、恐らく可奈美の新しい友達なのだろう。

 

 外見は舞衣ほどの美人ではない、可奈美みたいな可愛さ(都の視点では)もない。ただ普通に見えるタイプだ。

 

 それでも、その黒い色に近い桜色の髪がとても目立つなので、ついつい顔より髪の方を見る。

 

 あの色の髪は都にとっては、桜並みの綺麗さがあると。

 

 「兄に会いたい気持ちが分かるが、声がもう少し小さくしたほうがいいよ。舞衣ちゃんがそのせいで顔が真っ赤になったから」

 

 「あうぅ……/////」

 

 都にそう言われて、舞衣の顔がもっと赤くなった。

 

 そして、これを作った張本人はまだ自覚なし。

 

 「ごめん、舞衣ちゃん。でもそうしないと、お兄ちゃんは私達を見つかれないよ?あんな探し方じゃ昼が特に過ぎちゃう。」

 

 「大げさだ……。それより、可奈美。こっちの子は?」

 

 可奈美の向こうに座っている髪が綺麗な子の方を見る。

 

 「ああ…この子は美炎ちゃん。剣筋は凄く強くて、さっき彼女と立ち合いのときは凄くびっくりした!」

 

 「そこまでじゃないよ。可奈美の方が凄く強くて、私があっという間に倒されちゃった。」

 

 「へぇー。」

 

 可奈美の目がキラキラして、美炎という友達を紹介する。どうやら、彼女る可奈美に認められるほどの強さがあるらしい。

 

 (それは実に興味があることだ。いつか一回で彼女と写しなしの立ち合いをしたい。)

 

 「美炎さん、失礼ですが隣の席に座ってもいいですか?」

 

 「え……?あ、はい。どうぞ。」

 

 都に隣席の使用権に問われ、美炎が一瞬に反応できなかったが……すぐ頷いてくれた。

 

 「あれ、今日はカレーですか?」

 

 「うん、舞衣ちゃんは和食か。やっぱり似合うよ。」

 

 「それ、褒め言葉?」

 

 「うん、舞衣ちゃんが作った和食が大好きだから似合うって」

 

 「え……!?////」

 

 都の言語に顔が赤くなる舞衣。彼女は何度も都の無神経の言葉に照れさせた。

 

 でも、彼女もわかってるんだ。都が言ってる意味は特にそちらの意味ではない。それでも彼のせいでよくドキドキする。

 

 「上級者?」

 

 「お兄ちゃんはたまたまそういう言葉で私と舞衣ちゃんをドキドキさせるんだ。心臓に悪い……」

 

 「あ……不自覚か。怖い…。」

 

 「お前ら、失礼ね。そういえば美炎さんの苗字はなんだっけ?まだ聞いてないよ。」

 

 「あ、そうだった。」

 

 都にそう言われて、まだ自己紹介していない美炎が改めて自分を紹介する。

 

 「私は中等部一年の安桜美炎(あさくらみほの)。可奈美と同じ学年で、座右の銘は≪なぜばなる!≫」

 

 「意外と可愛いな。」

 

 「え…/////」

 

 「お兄ちゃん!」

 

 「あはは……」

 

 また都の無神経の言動で被害者が増えたところ、可奈美と舞衣がそれぞれの反応をする。

 

 彼がわざじゃないとわかっていても、二人はどうしても都が他の女性を褒めるという光景が受け入れないみたいだ。

 

 

 ◇

 

 

 しばらく、やっと落ち着いて昼食を食べるところ。

 

 「舞衣も大変だね……」

 

 美炎が舞衣の近状を聞いて、その感想を言う。

 

 ちなみに彼女が食べるのは可奈美と同じカツ丼料理。なぜか最近の女の子はそういうカロリーが高いのが好みにしている。

 

 (あんな料理はダイエットの大敵なのに……よく食べるのね。でも可奈美が満足そうに食べていたその表情を見たら、どんどん説教する気がなくなるなぁ……。)

 

 説教と妹の可愛さを見守るのをかなり分け辛いと悩む都。一応彼は可奈美に一時甘いものを禁じた時もあった、だがその時の可奈美の落ち込んでいた表情を見たら、見てられずすぐ解禁してあげた。

 

 シスコンにとって、妹の悲しむ姿は見てられないものなのだ。

 

 「うん、舞衣ちゃんが凄い人気なのよ!なんと!一週間で五回くらい告白されたのよ!凄くない!?」

 

 「すごいすごい!私だったら、そんな人気が出ないはず。私、告白されることはないし、舞衣に羨ましいよ。」

 

 「二人共……もうやめよう。もう一回思い出したら、余計に恥ずかしいよ/////」

 

 自分が告白される話題が盛り上がったことに対して、舞衣の顔がまた赤くなった。

 

 「えへへ、舞衣ちゃんが凄く可愛かったからだよ。クッキーも美味しいし、いつも優しい。お嫁さんにしたい!」

 

 「可奈美ちゃん……/////」

 

 「私も。って、女同士は駄目だよね。都先輩はどう思いますか?さっきからカレーばかり食べていて、全然話題に入って来なかったけど。」

 

 唐突に、美炎から話題が振ってきた。

 

 (正直こういう話題にすごく苦手だ。全然興味ないし、それにこれは柳瀬舞衣自身が関する問題だ。彼女自身が誰かと付き合うのは完全に彼女の自由。他人では干渉できない、選択を選ぶのも彼女一人自身だ。)

 

 (一般人である自分は彼女の道を指し示す資格なんてない。元々自分と彼女は別世界に住む人間だ。)

 

 故にこうするしかない。と心からそう決めつけた彼は口を開いた。

 

 「舞衣ちゃんが幸せなら、俺はそれでいい。」

 

 「冷たっ!?都先輩は舞衣のことをどうでもいいと思ってるの?」

 

 そこで、最速反応してくれたのは美炎。彼女の言葉は少しでも都の心を刺さる。

 

 (別に冷たいわけじゃない。彼女の将来の幸せに関わったことだから、他人では簡単に手を出せないというのがこの世の理だ。)

 

 「まぁまぁ、美炎ちゃんが少し落ち着いて、お兄ちゃんは悪気がないから。」

 

 「そうですよ!私一人の問題だから、お兄さんは干渉しないのも私もちゃんと理解している。」

 

 「でも……長い付き合いでしょう?関心なんてしないの?」

 

 美炎の話を聞いて、少し落ち込んでいる舞衣は仕方ない表情をしながら話す。

 

 「もう十分お兄さんから、たくさんの関心がもらったの。これでいいの。」

 

 「舞衣……」

 

 (また心が刺さる。だから、そういうもんじゃない。)

 

 「………そうりゃ、関心するって」

 

 「え……?」

 

 都の突然の発言に三人が一気に動きが止まった。

 

 「もし、舞衣ちゃんを傷つくやつがいたら、例え付き合ったとしても裏であいつをぶっ殴ればいいじゃん。別に言うまでもない常識だろう?ったく。」

 

 「………!」

 

 「お兄ちゃん……カッコいい!」

 

 「イケメン……加えてカッコいいセリフ!これはやばいです!」

 

 可奈美と美炎が共に照れた顔でそれぞれの感想を話す。

 

 でも舞衣は違った。表面では微笑みしながら都の発言をツッコんだ。

 

 「裏で人を始末するのが校則違反ですよ。」

 

 「ちぇ……!」

 

 舞衣のツッコミに舌打ちする都。どうやら、彼は本当にそうしたいらしい。

 

 けど、舞衣の内心ではよくわかっている。例え都が悪い口をしても、これは彼なりの優しい表現だ。

 

 自分や可奈美ちゃんのために、いつも精一杯する彼は本当に頼もしくて格好良い。小学生頃も自分が誘拐されたとき、自らの安全を構わず格好良く助けに来た都の姿に舞衣はとても嬉しかった。

 

 そして今、自分のために怒るのも嬉しかった。

 

 いつかこんな気持ちで彼の前に「ありがとう」って伝えたい。

 

 「少し可奈美に羨ましいのかも。私もこんな(あに)が欲しい/////」

 

 「へぇー。美炎ちゃんはお兄ちゃんに惚れた?相手は美炎ちゃんでも渡さないよ。」

 

 軽い口調でそう言いながら微笑む可奈美。見た目では相変わらず可愛いだが、その微笑みはわずかに剣術と同じレベルの本気さが感じられる。

 

 「奪わないよ!あ、そうだ!この後、私と可奈美は立ち合いがあるんだ。よかったら、都先輩も見に行きませんか?」

 

 「あ、ナイスアイディアだ!美炎ちゃん。お兄ちゃんは見に来てよ!舞衣ちゃんの体育服も見えるよ!」

 

 「可奈美ちゃん…!/////」

 

 話題が突然次の授業の方向になっていた。再びこの柔らかい雰囲気に戻って、都はそれが良かったと思う。

 

 彼はこういう雰囲気を結構好きだから。

 

 (体育服か……少し見たいのかも。でも…)

 

 「悪い、このあとはまた赤羽刀の再生作業があって……」

 

 「えぇー。」

 

 「また今度の機会で。立ち合いは頑張ってね。」

 

 「うん、お兄ちゃんも頑張ってね。」

 

 衛藤兄妹がお互いのことを見て微笑む。こんな光景は他人から見たら、とても微笑ましい光景だ。

 

 「仲いいよね〜。これは兄妹というものなのかな?」

 

 「うん……きっとそう…なのよ。」

 

 そして、そんな光景は舞衣が何度でも見た。

 

 きっとこれから先、誰でもこの二人の間に入れないのだろう。そう思うと舞衣の胸が少し何かに刺された感じがしてきた。

 

 しかし、舞衣がまだこんな感情が何なのかは知らなかった。

 

 

 ◇

 

 

 「あ、不審者発見……。」

 

 昼がもう少し終わるところ、早く鍛治科に戻る都が教室の前にギョロギョロしていた不審者を見つけた。

 

 いや、不審者というより女の子だ。しかも見たことがない子だ。

 

 (高等部じゃなさそう……少しからかうか。)

 

 突然いたずら心が燃やした都は足音を抑え、ゆっくりと彼女へと近づく。普段はこういうのをやってないけど、突然やる気が出た。

 

 そしてーー。

 

 「そこの不審者!そこで何をしている!手を挙げろ!」

 

 「はい!?」

 

 都にびっくりされて、女の子が無意識に両手を挙げた。

 

 意外に面白いなあ〜。というのは彼の初感想。

 

 「わ、わたしは何も悪いことでもしていません!ただ!は、服部先輩とひ、昼食を……!」

 

 「落ち着け、誰もお前を逮捕しないから」

 

 「え……?」

 

 彼女が頭を振り返すと、そこに紫髪の男性が目の前にいた。

 

 「驚かせて悪かった。お前は先輩の知り合い?さっき彼の苗字が聞こえたが……聞き間違えじゃないよね?」

 

 「だ、誰……?」

 

 女の子が怯えた声で都のことを警戒している。

 

 原因は言うまでもない、さっきの件のせいだ。

 

 「本当に悪かった……。そんなに怯えなくてもいい。俺は都。衛藤都。」

 

 「衛……藤?まさか可奈美のお兄さん!」

 

 「可奈美と知り合いなの?」

 

 「一応彼女は私のライバルの友達。それと彼女は結構有名な人だから」

 

 衛藤という名を聞いて、少女は警戒心を解いたようで顔はより柔いになった。まさか可奈美がそんな有名に……知らなかった。

 

 「なるほど……俺に用があるじゃなさそうよね?」

 

 「うん……。」

 

 「お名前は聞いてもいい?」

 

 「長江(ながえ)ふたば、中等部一年。」

 

 (可奈美と同じ年か……。)

 

 「服部先輩になんの用?」

 

 「…………お弁当を作っていて、一緒に昼食を……」

 

 「もうすぐ終わっちゃうよ?」

 

 「………」

 

 (外見は美炎より普通な子だけど、そこで無言の姿はなんだが可哀相。)

 

 「服部先輩はあなたにとってどんな存在?」

 

 「格好良くて、優しい人……」

 

 「好き?」

 

 「好き……って何言わせるのよ!////」

 

 (ごめん、ついついからかちゃった。しかし、服部先輩に惚れた後輩か……。)

 

 「好きなのね……。よし、ここで待ってろ!」

 

 「え?」

 

 そう言って、都が早い速度で教室の中に入った。

 

 彼はただ一瞬で、この子の恋を応援する気がしてきた。本来はそういうの興味がないのだが……自分に恩がある先輩に関わったらそりゃ助ける。

 

 もし、この子が先輩に幸せをあげられたら、これも一つの恩返しだと彼は思う。

 

 そんな思いを抱かいて、都が服部の姿を見つけて声をかけた。

 

 「先輩、た〜だいま!」

 

 「おう!お帰り。早いな……もっと遅く帰ってもいいのに。」

 

 「どういう意味だ?」

 

 「そのままの意味だよ、鈍感後輩。」

 

 (なんだが、先輩に叱られた気がする。気のせい?)

 

 「……それより、昼飯買うのが忘れてた。」

 

 「……よほど楽しんでいるね。」

 

 (なんだが口調がどんどん冷たくなってきたよ!?気のせいよね?)

 

 「でも、ご安心ください!実は外で先輩のために弁当を作った可愛い後輩ちゃんがいます。いや〜、モテモテですね。先輩は。」

 

 (ひとまず、そんな雰囲気を無視して本番に入ろう。)

 

 「俺に?もうすぐ昼が終わっちゃうのに?」

 

 「そこは同じ反応ですが……。まぁ、でも、あの子はずっと外で先輩を待ち続けているんです。昼飯もまだ食べていないと思うけど。」

 

 「そうなのか……でもこれから先も大事な作業があったんだ。あの子に申し訳ないと……」

 

 「俺がやる。先輩の分を。だからあの子のそばに行ってくれ」

 

 服部の話がまだ終わってないところ、都が先に提案を出す。彼の言語から決意を感じる。

 

 「お前一人に!?無理無理、一人であの量では放課後になっても……!」

 

 「それでもやる。先輩は安心してあの子のところへ行ってくれ!」

 

 都はどうしても放ってなかった。自分(服部)に慕われる女の子がわざわざ弁当を作ってここまで待ち続けてきた、昼飯もきっとまだ食べていないのだろう。そんな子の気持ちを無駄にしたくない……。

 

 「………っ!すぐに戻る。悪い……!」

 

 そこで都の決意を感じて、やっと屈された服部は作業を置いといて扉の方へ向かう。

 

 実は彼もあの子のところへ行きたかったのだろう……。だって、彼は優しい人だもん。女の子の気持ちを無駄したくないという気持ちが都と同じレベルだ。

 

 「遅く帰っても良いのよ。」

 

 「うるさい!」

 

 照れた服部が教室から出て、都がやっと息を吐き出した。

 

 「なんだが、とても不思議な気分だ。他人の恋を応援するのが初めてなのに、俺も俺なりによくやってくれたね。」

 

 成功感。それは都が今感じた感覚。

 

 とても気持ち良い感覚だが、いつも妹思いの(シスコン)は少し可奈美に申し訳ない気分になっちゃう。

 

 「二人分の量が夜までになりそう……」

 

 そうだ。例え都が最速再生使いと呼ばれたが、それでも赤羽刀の再生にはかなりの作業時間が必要だ。

 

 「可奈美に一声をかけよ。夜までは戻れないかも。」

 

 スマホを取り出し、早速メールで伝う。

 

 「よし、それじゃ頑張ろうか!」

 

 そして、都が家に戻るのはもう夜八時の頃だった。




平城と綾小路以外の五箇伝の制服がやばい!?そのミニスカートから目が離せないよ(✽ ゚д゚ ✽)

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