可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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いよいよここで正式に調査隊の面子と接触しました。ミルヤと呼吹は一番早く登場したメンバーですけど、このように長い出番がなかった……。

それと、昨日は呼吹の誕生日ですが…お祝いとして誕生日シーンを書くつもりだけど、特に思い浮かばないからやめた。

ちなみに、この時間帯で投稿するのは朝から体調がちょっと崩れました。本当に申し訳ありません。


幕間:調査隊との共同任務

 

 

 「薫……隊長。今日もよろしくお願いします。」

 

 「隊長、今日もしっかりしてくださいね。」

 

 静けさが支配する群馬県のある森林の中に都、薫、沙耶香三人は今日も任務で出動している。先週は目標の荒魂を払ったが、またスペクトラムの反応が起こり、しばらく三人は共同行動を続ける。

 

 「ああ、よろしく。で、その堅苦しいのもうなしにしよう」

 

 「でも、これが大事。」

 

 「いや、………隊長って言っても、この部隊は俺とお前たち二人しかない」

 

 「他の隊員は怪我で離脱したから仕方ない。」

 

 「思ったより重傷だね……」

 

 「お前も危うくそうだったぜ。都」

 

 「まぁ……そうだな。」

 

 一週間前、都はこの部隊に編成し、その二日目でノロ強奪事件の犯人と遭遇した。幸い、犯人の容疑者獅童真希の手助けがあり、大した怪我がなく、あの二天一流の犯人を退けた。けど、結果的にノロが奪われた。

 

 それを二度起こさないように、三人はできるだけ共同行動をする。幸い、薫は火力特化刀使だから、何か強敵が現れても、それを一発で仕留める火力がある。

 

 そして、他の二人は速度や防禦特化らしい。沙耶香は速度で、都は相手の攻撃を先に読み取り、誰よりも正しい対応ができる。彼が曰く:初撃なら、防げる自信がある。

 

 そこで、彼は薫の援護役及び沙耶香のサポートや攻撃手を務めている。正直有能すぎると思っていたが、彼の刀使としたの力が一瞬しか出せないから、戦力としては期待しすぎないほうがいい。

 

 「とりあえず、今日も任務を始める。隊員はねねを含めても三人しかないけど、一応点呼。」

 

 「1。」

 

 「2。」

 

 薫の声に応え、点呼を取る二人。

 

 「3。」

 

 「4。」

 

 「ねー!」

 

 「よーし、全員いるな……。って、二人も増えてる!?」

 

 しかし、なぜか2以後の番号が出てきた気がする。そこがおかしいと思った薫は先週と同じ反応を取ってしまった。

 

 とはいえ、隣にいつの間にか二人の刀使が増えていて、ちょっとびっくりした。服から見ると長船と平城学館の者……にしても、一人は見覚えがある……。

 

 「お前らは、確か……折神家襲撃の時に加勢に来てくれたヤツらだよな?」

 

 薫は驚かされた反応を取っているが、すぐ冷静を取り戻した。流石隊長。

 

 「はい。人員補強のために派遣されてきました。長船女学園高等部三年、瀬戸内(せとうち)智恵(ちえ)です。」

 

 ん?瀬戸内……どこか聞いたことがある苗字だな。

 

 「あ……」

 

 「あ………」

 

 たまたま青い髪の美人と視線が合った。

 

 「衛藤さん、お久しぶりです。御前試合決勝戦以来ですね?貴方と再び会えてお姉さん嬉しいです。」

 

 笑顔で彼に挨拶する智恵。彼女の笑顔はまるで女神みたいに輝く。しかし、それに対し彼の顔は優れない。

 

 御前試合?決勝戦?うっ……!何か嫌な思いが……‼

 

 「都、大丈夫?顔色が悪いですよ。」

 

 真っ先に彼を関心する沙耶香。本当にいい子だな〜〜沙耶香は。

 

 「大丈夫……少し思い出したくないことが……絶対嫌そうな何か……」

 

 「………?」

 

 「えっと……」

 

 都の反応に苦笑していた瀬戸内智恵と自己紹介のタイミングを遅れたもう一人が現在どうしようと困惑している。

 

 「まぁ、都のことをしばらく放置。次は君だ。遠慮なく言ってくれ」

 

 「え?……あ、……はい!」

 

 それを気付いた薫は平城の人に気遣う。反応から見れば、相当気が弱いタイプな刀使。そこはちゃんと気を付かなければ。

 

 「お、同じく人員補強のために派遣された。平城学館中等部二年、六角(むすみ)清香(きよか)です。」

 

 「助かった……うちの隊にまともな補充が……」

 

 人員補強の二人の到来に感慨していた薫。これで少しでも人員不足の問題が解決した。

 

 「よーし。今日の任務は全部中止だ!早速、二人の歓迎会をやる」

 

 ならば、ここはお祝いしなければ。決して仕事をサボりたいわけじゃないよ!?ちゃんと正当の理由があるんだ!というサボり邪念を主張する薫。

 

 彼が珍しく気弱のところは彼女が見逃せる訳無い。彼と沙耶香は任務に真面目しすぎで、よくサボ……休憩の邪魔になる。

 

 故に、ワン・チャンスは今しかない!

 

 「薫さん、本気………?任務中止されたのはちょっと困るのだけど」

 

 「いいだろう?新人の歓迎会は何より大事のことだ。」

 

 そんな邪念を抱く薫に智恵はちょっと困った顔。そんな時にねねは突然何かを警告しているように叫ぶ。

 

 「ーね!!ーーねね!!」

 

 「ん?ねね、どうした?」

 

 「薫、いくつの気配がこっちに向かって来た!」

 

 ねねと同じく都も何かを気付いたようだ。

 

 「グルルゥゥゥゥ………!」

 

 そうしたら、数匹の犬型荒魂が茂の中から出現した。

 

 「……荒魂!」

 

 「………!」

 

 「……仕方ない、歓迎会をやるにはこいつらを倒した後になりそうだな……。これくらいしちゃ……都、指揮モードに入ってくれ」

 

 「わかった!薫は大幅の攻撃で荒魂を一掃する。沙耶香は敵を一箇所に集まってくれ。他の二人は薫の援護を!」

 

 「はい!」

 

 指揮権は都に移り、都はさっきの姿と違い。ちゃんと指揮を取る。

 

 「こっち!」

 

 沙耶香は真っ先に敵を誘導する。他の二人は薫の援護。そして、薫は敵の殲滅。

 

 確かに、これは良い作戦とも言えるのですが……彼の隣には守れる盾がない。

 

 もし彼がこの時荒魂に襲われたら、間に合わないかも、と不安する清香と智恵。だが、沙耶香と薫の顔から心配の気すらも感じ取れない。

 

 これは信頼?いや……彼を信頼しても荒魂に襲われたら、彼が必ず怪我をする。そんな時はどうしろというんだ?

 

 「都、一匹がそっちに行った。」

 

 「わかった。結構生き生きした荒魂ですね。」

 

 一匹の荒魂が都の方へ突っ込んできた。

 

 「薫さん……!彼が……!」

 

 「私が行く…!」

 

 「大丈夫。あれくらいじゃ余裕だろう」

 

 「……え?」

 

 慌てた二人に対し、薫はかなり冷静だ。

 

 そして、荒魂に襲われた彼は抜刀術の構えを取る。

 

 「二天一流の野郎に示せなかったけど、特別に使おうか……。実験台になってください」

 

 「グルルゥゥゥゥ……!!」

 

 荒魂は都の方に跳躍し、その巨大な爪で彼に振り下ろす。だがその一瞬、その爪が彼を切り裂くより先にでかい体型の荒魂が両断された。

 

 「え……?」

 

 「え……?」

 

 その光景を目で捉えた二人は思わず口を開いた。その反応に薫もわかる。なんにせ、都はいつも常識外れのことをしたのです。

 

 「ふぅ……成功した!これでまた天然理心流の極地に一歩進んだ気がする。」

 

 そして、彼はまた妙なことで喜んでいる。あの剣術バカ……四ヶ月間に渡って、彼はどうやら剣術バカになったみたい。可奈美ほどではないが、剣術への熱情が取り戻したと沙耶香から聞いた。ついでに彼女に剣術指導をしたらしい。

 

 「さて、後で説明するから、二人は戦闘に集中しろ!」

 

 「あ、……は、はい!」

 

 その後、全員の協力下で荒魂討伐はうまく遂行した。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 「おーし、全部片付いたな。」

 

 「気配はもう感じないから、安心して」

 

 「都、私は頑張った。」

 

 「よしよし、沙耶香は頑張ったな」

 

 荒魂討伐を完了したら、都は早速沙耶香の頭を撫で褒める。相変わらず沙耶香を甘やかしたな……と薫は仕方なくこの二人を見守る。

 

 そうだ。この写真を可奈美に送ったらどうだろ?いや……彼女はヒヨヨンと違って、反応が面白くないし、ある意味で怖い(本能的に)。

 

 それに、可奈美は自分たちと違って、ずっと彼と会ってないまま。その精神ストレスがどれほど溜まったのがわからない。下手に爆発させたら、大惨事になるかもしれんから、やっぱり辞めとこう。

 

 「あの……衛藤さん、少しいいですか?」

 

 「うん?」

 

 そんな時、智恵は都にさっきの件で尋ねる。幸い彼は沙耶香の頭の癒やしがあり、さっきみたいにならないはず。

 

 「実は貴方に聞きたいことがーー」

 

 「ねーへぇ〜〜!」

 

 そんな時、まるであの時の再現のようだ。ケタモノ(ねね)は都の頭から智恵の豊かな胸の方へ飛び込む。

 

 あれは大人でもなかなかいないサイズ。その胸に目が吸い込まれない男性はいない。もう一度申す!おっぱいは男の夢!本能が求める母性の象徴。

 

 そんな象徴に目を奪われることは仕方がない。だがしかし、ねねはそれを踏み越えた。なんにせ、あいつはおっぱい大好きな一匹のケダモノだから。

 

 もちろん、それを誰よりも察知した都はねねを止める術がある。だが、彼は何もしないまま、ねねの侵略を許した。

 

 「ひゃあ!?この子、私の胸に飛び込んできた………!?」

 

 おっぱいの着地を成功するねねは智恵の胸にその柔らかさを堪能できた。そして、その持ち主はねねに懐かれた……元い胸の方へ懐くところに驚く。

 

 「やっぱり、ねねは智恵の胸が一番好きだな。まぁ、この中でダントツで大きいから、当たり前だけど」

 

 「な………!?この子、せっかく可愛いのに……好かれても、あんまり嬉しくない……」

 

 わかるけどな。ねねはその点がなければ、十分可愛いやつなのよ。

 

 「胸がでかいのも立派の長所だろ。もっと喜べ」

 

 「嬉しくないです!!」

 

 「そういえば、七之里さんには『チチエ』って呼ばれてましたしね……」

 

 「チチエ……?ーーああ、『せとう“ちちえ”』だからか。いいセンスだな。」

 

 「確かにいいセンスだね……」

 

 それに、胸もでかいから、そう名付けるのも納得できる。

 

 「薫さん、衛藤さん!簡単に納得しすぎ!それに、そもそもセンスよくないです!」

 

 本人はどうやら気に入っていないみたいだが……。

 

 「ん〜〜久々に賑やかになったな。ねねも喜んでいるみたいだし。瀬戸内智恵、六角清香。二人の入隊を歓迎する。」

 

 「ねねっね!」

 

 「なんか素直に喜べないわ……」

 

 「まぁまぁ、二人の着任には正直助かったのよ。沙耶香の負担も軽くなったし。」

 

 「おい、俺は?」

 

 「沙耶香は薫さんより働いていますよ。誰か重要なのか、一目でわかるじゃない?」

 

 「うぐっ……!痛いところが突っ込まれた。」

 

 今日の都も薫に容赦がしない。同じベッドで寝る同士なのに、彼は沙耶香だけに反応するのがムカつく。

 

 まぁ、あの五人(エレンと自分を除く)は前から知り合ったみたいだし。仲がいいのもわかるけどな……でもなんか心がモヤモヤする。

 

 その後、今日は何もなく今日分の任務を終わった。結局智恵はねねの件で、都に聞くタイミングを失った。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 衛藤 都は謎だらけの男。

 

 御前試合、十条さんたちの脱出に手を貸すことと決戦の夜にタギツヒメの注意を見事そらすこと。そして、美炎ちゃんの思い人であることに瀬戸内智恵が彼のことを前から凄く気になっていた。

 

 何より、彼が荒魂を払うこともすごく驚いた。何にせ男性が荒魂を払うはずがない。唯一荒魂を払えるのは女性たる刀使しかない。

 

 なのに、彼はその一般常識を軽く自分たちの前にぶっ壊した。彼は確実荒魂を切ったのだ。

 

 “あまりにも異常な人だ”。

 

 朱音様や真庭学長をメインする舞草の成員にも彼のことを高く買いました。彼は一体何者なのか、なぜそこまで特別な人なのでしょう……?

 

 彼に対する疑惑がどんどん智恵の心を満たしていく。やがて、彼女は早くてもその真実を知りたいため、彼の事情を知る薫と沙耶香から彼のことを尋ねることにした。

 

 「えっと……清香ちゃん。何しているの?それと、この状況は?」

 

 お風呂の後、智恵は部屋に戻ったら、なぜか都が女子の部屋にいて、薫の髪を梳かしているところ。

 

 「えっと……隊長は突然、衛藤さんに髪を梳かして欲しいと頼んで糸見さんもその後ろに並んで……私はその三番目です。」

 

 「……つまり清香ちゃんも彼に髪を梳かしたいなの?」

 

 「うーん、多分そうだね。誰かに髪を梳かされるのが気持ちがいいのです。瀬戸内さんもやったら、どうですか?」

 

 「私は……そうね。彼に聞きたいこともあります。」

 

 これで、流れるように衛藤 都のことをもっと知られるはず。ちょうど部隊の全員がここにいるし。

 

 そう考えて、智恵も髪を梳子かしてほしいと頼んで、順番が自分に回るまでに待つことにした。

 

 にしても……薫さんの顔が赤いわね。やっぱり男の人にそうされるのも恥ずかしいのかしら?

 

 それから、糸見さんの番になると、なぜか糸見さんは彼の膝に座っている。本当に仲良いいよね……あの二人。

 

 そして、清香ちゃんの番になると、彼女は薫さんみたいな反応をしながら彼と仲良く話している。

 

 その光景はまるで兄妹とも言えるほど尊い。そういえば、清香ちゃんは前からお兄さんやお姉さんが欲しいと言っているわね……。私も一人っ子だから、その気持ちもわかるかもしれない。

 

 それでお兄さんキャラの彼は妹を世話する経験でうまく年下の清香ちゃんと仲良くなってたわけ。

 

 それから、やっと自分の番になると……。

 

 「とても上手はね。衛藤さんは……」

 

 智恵は早速その感想を述べた。

 

 彼の手はとても優しく、力が入れすぎないようにちょうどいい力で髪を梳かしている。まるで慣れているみたい。

 

 「昔は妹によくそうしてくれたのよ。髪が短いけど、彼女は俺にそうされるのが好きらしい。そんで、このような技術を身につけたのよ。」

 

 「なるほど。衛藤可奈美さんも結構兄に甘える妹さんなんですよね?」

 

 「まぁなあ。妹に甘えされるのも兄としては何よりの喜びだ。」

 

 「それはわかります。私もお姉さんなんだから、美炎に甘えされるのも凄く嬉しいわ。」

 

 「実のじゃないでしょう?」

 

 「それでも美炎ちゃんは妹みたいな存在なのよ。」

 

 「なるほど。」

 

 軽く雑談し、二人はいい流れでいい雰囲気を作った。それを見た他の三人はそれぞれの表情反応を取る。

 

 「なんか俺達より仲良くね?」

 

 「年齢近いだしね……」

 

 「………」

 

 その中、沙耶香は胸苦しそうに都の方へ見る。彼が舞衣や可奈美、姬和、エレン、薫以外の人と仲良くするのはあまり好きじゃない。

 

 なんだろう?この感情……。

 

 「そういえば、衛藤さんのことはまだ知りませんでしたわね?良ければ、教えてもらいませんか?以後同じ部隊の仲間同士だし。今後とも衛藤さんと仲良くやりたいです。」

 

 そこで、いよいよ本題に突入する智恵。こういう自然の流れて本題に入るのは彼女の得意技の一つ。こうした方が情報も軽く得られる。

 

 「………最初はそれを狙ったのね。流石舞草のメンバー。」

 

 「…………!?」

 

 しかし、その意図が彼に見抜かれた。そこで心が動揺された智恵ですが、数秒後にすぐ冷静を取り戻した。

 

 しかし、彼女の同じ仲間の清香はまだ驚いた状態。つまり彼女も智恵が舞草所属ということが知っている。

 

 「……いつ気付いたの?」

 

 「荒魂討伐の後は貴女からの視線が多く、加えて舞草のメンバーは長船の人間が多く。最後、俺が荒魂を払うことを見た刀使は必ず俺のことを気にしている……違いがありませんか?」

 

 「どうやら貴方を甘く見たわね……ええ、全部正しいよ。ごめんなさい、私は貴方がなぜ荒魂を斬れるのを気にしていたわ」

 

 降参したように智恵はだめ息をついた。この男は見た目よりしっかりしている。道理で学長も彼のことを高く買うわけね。

 

 「薫さん、俺のことをこの二人に伝えてもいい?清香さんはともかく、俺は美炎が信頼している瀬戸内さんのことを信じたい。」

 

 「いいのか?」

 

 「今更何を言う?お前は最初からそのつもりで、わざと俺を女子部屋に誘ったのでしょうか!」

 

 「バレたが……お前は時々怖いな」

 

 自分の意図がすでに見抜かれた薫は彼に感服の顔をしている。

 

 ここ一週間、彼は薫のことをよく知っていたから。

 

 「……なぜ、私のことを信じるのですか?衛藤さん。私は貴方から情報を探すという不純の理由で貴方に近づくのよ。」

 

 罪悪感なのか、彼女の口から申し訳ない気分が漏れた。けど、そういう思いを抱いたこそ、信用ができると彼はそう思う。

 

 「でも俺の秘密を気になるでしょう?誰だって俺の異常さを見れば誰でも気にするのよ。特に刀使。」

 

 「ええ、だって衛藤さんは男性なのに……荒魂を」

 

 刀使にとって彼はあまりにも異常の存在。荒魂を斬れるのは御刀から神の力を授けられた巫女(女子)。これは数百年前から流れ継いたこの世の常識たる物だ。

 

 なのに、巫女(女子)すらない彼は彼女たちと同じ破魔の力を持ち、異様な存在(荒魂)を払った。

 

 これは相当、数百年続いた常識をぶっ壊すと言うべく行為だ。

 

 「だからその困惑を解けるため、こっちの事情を教えるよ。理由はさっきと同じ。」

 

 「ただそれだけの理由……?そんな簡単に私のことを信用していいの?」

 

 「うん、だって瀬戸内さんは悪者では見えない。むしろ責任感が強いお姉さんで感じ?」

 

 「……なんか時おり衛藤さんは掴めにくいわね。考えが甘いというか、しっかりというか……わからないわ」

 

 「まぁ、こいつは可奈美のお兄さんだし。可奈美に似たような性格なんだよ。」

 

 「甘い一面を持つ都は嫌いじゃない……」

 

 話に加勢する二人は共にいい顔で智恵に向かう。それを見て、智恵も少し彼のことを疑う自分が馬鹿馬鹿しいと思い始めた。

 

 彼は人徳あり、人の支えになる。ただの男性だけど、彼女たちから得た信頼は莫大。

 

 よく考えば、御前試合の時から彼は既に自分を危険の中に投げ捨てた。それも家族()を守るため。

 

 ならば、私も彼のことを信じてもいいのかな?ううん、きっといいはず。

 

 「………そう。衛藤さん、私も私のことを貴方に教えてもいいですか?貴方が貴方の秘密を私に教える引き換えに」

 

 「……え、そんなことしなくても」

 

 「清香ちゃん、いいよね?私達調査隊のことをこの三人に」

 

 「べ、別に構いませんけど……私も元々隠すつもりがありません。」

 

 「ありがとう。清香ちゃん。」

 

 清香から許可がもらえた智恵は笑顔で彼女に感謝する。

 

 「衛藤さん、髪はそのままでいいです。ありがとうございます。」

 

 「どう、どうも……」

 

 そして、彼女は都にも髪を梳かしたことで感謝する。彼の手によって綺麗になった髪はとても素敵なもの。

 

 「それでは、ゆっくりお話しましょう。お互いのことを」

 

 智恵がそう言って、この部屋に小さな女子会(男がいるけど)が開かれて、深夜1時半までに続いた。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 翌日ーー

 

 

 

 「よーし、今日こそ智恵と清香の歓迎会をやるぞー。と言っても、サボっていると思われないよう、周囲の散策レクリエーションとする。」

 

 薫たち五人はまた森の中に荒魂捜査を行う。この近くに荒魂もいるみたいだけど、スペクトラムの反応が弱いから、自分の足で捜査しかない。

 

 「これなら、ただの山の中を歩いているだけでも、荒魂を探しているように見えるからな」

 

 そして、薫は今まで通りにだるい口で仕事をサボりたいと思って、つい本音を隠す気もなくなった。

 

 「薫さんは全然本音を隠さないわね……」

 

 「面倒くさがりの薫隊長が散策なんて珍しい。」

 

 「そこは激しく同意するよ。」

 

 「なんか二人共は凄く慣れていますね……」

 

 清香は都と沙耶香の反応を見て、苦笑する。

 

 「ここには温泉と卓球くらいしか娛楽がないからな。温泉には毎晩入ってるし、卓球は沙耶香と都に勝てないから、やりたくない。」

 

 悔しいそうにほっぺを膨らむ薫。彼女は元遊びの初心者の都さえも負けることに悔やんでいる。

 

 「いや、それはお前の体力が弱すぎから」

 

 「うるさい!俺たちの相性が悪いのよ!」

 

 都のツッコミに怒り返す薫。

 

 実のところは薫の言うとおり、彼女の敗因は体力の差だけではない。都と沙耶香は生まれの天才だから、反応神経は普通の人間より早く取れる。何より薫の流派は一撃必殺なんだから、長期戦には不得意なんだ。

 

 「……まぁ、とにかく、散策を始めるぞ。どこも似たような景色だけど。せっかくだから、地形や湧き水の位置を覚えながら歩けよ。山の形を覚えておけば、いちいちスマホを見なくても現在位置がわかる。荒魂と戦った時に、スマホを見る余裕がないからな。」

 

 「なるほど!流石隊長ね!」

 

 「勉強になります……!」

 

 「ふふん、そうだろう。後で獣道を使った近道を教えてやる」

 

 「…………」

 

 「沙耶香、どうしたの?」

 

 沙耶香がぼっとするところを気づいた都は彼女に尋ねる。

 

 「………都。これって、レクリエーション?」

 

 「………」

 

 「薫隊長、私達に山での知識を教えようとしている……」

 

 「やっぱり沙耶香も気付いたが、これは彼女特定の歓迎会だ。瀬戸内さんと清香さんたちにもっと早く山での行動を慣れるように気遣いをしたのだ。」

 

 普段はあんなにだるい人なのに、ちゃんと周りのことを気遣う点は彼女の良いところである。いや、世話が好きと言うべきなのか?

 

 「なるほど。流石、薫隊長。」

 

 「そうだね……彼女に感謝しない?」

 

 「うん……そうだね。」

 

 都の案を応じ、沙耶香は薫のところへ行った。

 

 沙耶香を見送った後、智恵さんがいつの間に都の隣にいた。

 

 「衛藤さんはいつもこの調子で糸見さんの面倒を見るのですか?」

 

 「なんのことですか?」

 

 「……衛藤さんはさっき、糸見さんを薫さんに会話させるきっかけを作った。それで彼女と薫さんの仲をもっと深くさせようとしている行為なんじゃないですか?」

 

 そうしたら、彼女が自ら沙耶香の件について自分の予想を挟んで話をかけた。

 

 だが残念なことに、彼女の予想は半分しか当たらない。

 

 「半分正解かな?沙耶香は特に薫さんと仲がいいので、別にそんなことしなくてもあの二人はきっと良い友達になれるはず」

 

 「そうですか……じゃ、本当の正解はなんですか?」

 

 「俺はただ沙耶香にもっと主動的に、他人に話をかけるチャンスを作るだけ。あの子は自分の感情を表すのは苦手なので、その方面を少しずつ改善して欲しい。」

 

 「なるほど……衛藤さんは本当に優しい人ですね。」

 

 都の気遣いに微笑む彼女。

 

 昨夜でお互いのことを話し合ったら、彼女は都がどんな人なのか、よくわかってしまった。

 

 ただ一言で言うと、お人好しのお兄さん。

 

 「………衛藤さん。よろしければ、これからは私のことをお姉ちゃんと頼ってもいいのよ?」

 

 彼女から何かを言うと思えば、結局不純の理由が……。やっぱりこの人は危険だ。

 

 「悪いが、俺はちょっとお姉さんキャラが苦手ーー」

 

 「違うの、貴方は美炎ちゃんより相当無茶だから、お姉ちゃんとしては見逃せないの。舞草の件も貴方に感謝しなければ……孝子さんだけか助けられたけど、それでも舞草のため、燕 結芽の足止めをすることはやっぱり貴方に貸しが有ります。」

 

 都は彼女を断ろうと思う時に、彼女は舞草の話をした。あの襲撃された夜、彼女も相当仲間のことを心配しているらしい。

 

 「そ、それはただ妹たちが後ろにいるから、そうしたのよ。別に舞草のため……」

 

 「それでも舞草に協力したことは本当にありがとうございます。」

 

 「礼はいいよ。別に感謝されたくてやっちゃうことじゃないから」

 

 照れているのか、都は少し顔を智恵の方向から逸した。その可愛い反応にくすくすと笑う智恵。

 

 「ふふっ……衛藤さんって案外可愛いですね。決めた、貴方のわがままを何でも聞くお姉さんになります。私ができる範囲なら、お姉さんに甘えてもいいのよ?」

 

 「それは遠慮させていただきます!」

 

 「ちなみに一回お姉さんって呼んだら、願いを二倍効果にするのよ!」

 

 「清純の男を誘惑すんな!それより、今は二人が山を慣れなくちゃ。俺、沙耶香や薫はいつ、異動になるか、わからない。俺はともかく、二人は名がある刀使であることは知っていますよね?」

 

 「それはもちろん。でも衛藤さんも結構有名な人だと思うよ?ううん、有名になるはず。」

 

 剣の腕はともかく、指揮の腕も優れている。今はミルヤさんほどじゃ見えないけど、見事な指揮能力でした。

 

 きっといつか名がある指揮者として五箇伝に広がるはず。

 

 「お世辞はどうも。」

 

 「……別にお世辞じゃないけど」

 

 しかし、彼はそういうの関心してないらしい。ううん、自分のことをちゃんと見ていない。

 

 昨夜で彼がいい人とわかっていると同時に、彼が自分のことを大事にしないタイプの人間だと知りました。

 

 他人のためなら、自己犠牲でも構わないそういう人間に智恵は放っておけない。

 

 故に、自分の能力範囲内に彼のことを助けたい。

 

 それはただ舞草を助けた恩返しだけじゃなく、彼女自身の優しさによってしたいことです。




補充説明:都はねねが智恵のおっぱいに突っ込むことを許すのは、ただ対象が舞衣や可奈美じゃないからだ。
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