可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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波瀾篇に入ってから、ますます書くのが難しいと感じた。多分アニメの14話と15話はそれぞれ分けた話なので、最後に全員まとめて次のメインストーリーを進行するのが難しいだと……特にこれは二次創作だから、主人公がどう入れるか迷う。


それでは、どうぞ


第43話:帰還

 

 

 ー11月ー

 

 

 今年の終わりまでは、あと1ヶ月。もうすぐ涼しい秋から厳冬に転換するこの時期。

 

 日本各地はこれから迎える極低温の厳冬とインフルエンザなどこの季節に易く流行れる病気を防ぐため、防寒用の服装や保暖用の器具を売り始めた。

 

 そんな季節の下、刀使たちも自分の健康注意を忘れず、防寒用の冬服を用意しながらも普段の荒魂討伐を行う。

 

 その中、ただいま群馬から帰還した彼らも防寒用の服装を先に用意してから、管理局本部に戻った。

 

 

 

 

 

 

 「ただいま帰還いたしました。衛藤 都です!」

 

 「同じく帰還いたしました。益子 薫だ。」

 

 本部に呼び戻した薫と都二人は現在刀剣類管理局の廊下で二人の上司及び作戦本部の本部長を務めた真庭紗南に敬礼する。

 

 「ご苦労。沙耶香は?」

 

 「沙耶香なら外で待機しております。後で一緒に昼ごはんをする予定なので、早めに終わらせていただきたい。」

 

 「わかった。まず、お前たち二人は私についてくれ。合わさせたい人物がいる」

 

 そうだけ言って、彼女は薫と都二人を連れてどこかに向かう。

 

 そして二人は何も言わずについていく。

 

 まぁ、口に出さなくても隣にいる薫の表情からいかにも不満なのか、よくわかっている。

 

 「それより、衛藤。この前のことだが……もう言えるようになったか?フード刀使のことについて」

 

 そして、自然に彼と群馬で起きたことについて話す真庭本部長。

 

 そのことは前に混乱を起こさせたくない理由で、彼は口を出すのがやめたが……彼が本部に帰還した以上、彼は犯人特定捜査任務に加える。

 

 現在、彼は五箇伝唯一フード刀使の正体を把握しているかもしれない人選だ。

 

 「はい。今だに五箇伝に所属していた全ての刀使の流派は知りませんが……犯人が五箇伝の刀使ではない可能性が高い。」

 

 「そうか……一応聞くけど、皐月夜見の可能性は?彼女もまた鎌府学長と共に行方不明中だ。」

 

 「それはありえません。皐月さんの流派は知りませんが、少なくとも……あの流派じゃない」

 

 「うむ……じゃ、御刀は?」

 

 「…………」

 

 「そうか……」

 

 本部長は都の反応から見ると、それも言えないことだとわかった。彼は極めて混乱を避けたいのもわかりますが、それほどのことなのか?

 

 「じゃ、質問を変えよ。フード刀使の実力はお前から見ればどのくらい?」

 

 「………親衛隊と同等、もしくはそれ以上かもしれない。信じがたいが……自分も危うく斬られるところだった。」

 

 「そうか……本当にご苦労だったな。衛藤」

 

 「いいえ、二回くらいに犯人を見逃した自分は特に何も……犯人に関する情報を知っていても本部長たちに教えなくて、本当にすみまーーうぐっ!」

 

 「……ったく、あまり自分を迫りすぎるなよ。言えないことだから、言えないって言うんだ。だから、あんまり気にするではないぞ。都」

 

 「薫……」

 

 そして彼の表情から彼が管理局の力になれないことで自己責めていることを先に気づく薫は彼の背中を叩きながら、ちょっとだけ優しい口で慰める。

 

 彼は真面目な人なんだから、責任感も強い。それはとてもいいところだが、時に自分を迫りすぎた時もある。

 

 「それにその言い方だと、隊員たちを守れきれないことは俺の誤りでもあるんだぜ。」

 

 「そんなことは……!」

 

 「いいんだ。隊員が背負う責任を背負うのも隊長の務めなんだ。お前が背負うのが俺が背負う。」

 

 「………」

 

 「それが友達と言うんだ。俺とお前は特に友達なんでしょう?」

 

 「友達……。そうだね。ありがとう、薫」

 

 「いいんだ。俺とお前は友達なんだから、気にすんな」

 

 故に隊長……いや、友人として彼のことをちゃんと注意しなければ。

 

 「…………薫も結構変わったな。」

 

 そして、そんな二人の交流をこっそり覗く真庭本部長は小さく微笑んだ。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 数十分後、三人はとある一室で足を止める。部屋のプレートには『此花寿々花』の文字が書いてある。

 

 「彼女に聞くのか?」

 

 「ああ……お前は獅童真希が犯人ではないと報告したが、ただ二回の事件遭遇回数では彼女の無罪を証明できない。」

 

 「そう……」

 

 「不思議そうな顔ね。お前と獅童真希は特に仲良いわけではないのに、お前は彼女が犯人ではないと希望している顔だね。それとも同じ親衛隊の仲間という故なのか?いや、お前は候補だったな……すまない。」

 

 都の反応を見て、真庭本部長はすぐ口を言い直す。

 

 「いや、それは事実です。俺は親衛隊と特に仲良くはないが……それでも、獅童さんは悪者ではないと思う。」

 

 そう呟いて、都は他の二人と室内に入る。

 

 入室すると、部屋の奥に備え付けられたベッドに一人の少女が眠っていた。髪を下ろし、病衣に身を包んだ此花寿々花だ。

 

 「……ん」

 

 三人の入室した音で目を覚ました寿々花は重たげな瞼を開いた。

 

 「……今日はどういったご用?」

 

 「ちょっと聞きたいことがあってな。その前に……」

 

 真庭本部長は横に移動し、都たちを寿々花に見せつける。

 

 「あら、珍しいご来客ですわね。益子さんと都くんまで」

 

 そうしたら、彼女はなぜか都だけに甘美の笑顔をする。

 

 「ねーっ!!」

 

 突然、今まで静かだったねねが薫の頭に乗り、寿々花を睨み付けながら吠える。

 

 「かなり抜けた、、、って聞いたんだが、まだまだみたいだな。ねねが言ってる。『まだ荒魂の匂いがする』ってな」

 

 寿々花は五ヶ月前の戦いの後、舞草との取引に応じた。刀剣類管理局の新体制に協力する代わりに自分たちの側につけ、と。そのためには彼女の肉体にノロが残っていては駄目だ。

 

 一応、数ヶ月かけて治療を行い、現在はほとんど元の状態に回復したらしいが、それでもまだ荒魂の残滓は消し切れていないらしい。

 

 「薫さん、それが事実ですけど。言い方は少し控えてください」

 

 「チェ……」

 

 都に発言を訂正されて、薫は舌打ちする。この二人はそんなに仲が悪いのか?

 

 「寿々花、まだまだ大変だけど。出院したら、何かを奢るよ。」

 

 「………相変わらずお優しいですね。ええ、その時はぜひお願いしますわ」

 

 「………と、とりあえず、今回も聞き取りに来たんだよ。これを見てくれ」

 

 少し二人のメロメロ雰囲気に引かれた真庭本部長は持ってきた写真を寿々花に見せる。そこには例のフードの刀使が映っていた。

 

 「……間違えありません。これは真希さんですわ。」

 

 一目で獅童真希だと見出す寿々花。流石同じ親衛隊の人間と言ったところか……。

 

 「ならば、こいつは?」

 

 もう一つの写真を彼女に見せつける。そこに映ったのは間違えなく二天一流の使い手だ……。

 

 「二人はどういう関係だ?仲間もしや協力者?」

 

 「ありえませんわ。真希さんは自分の過去に決着をつけるために飛び出していたはず……今更、他人に共同行動なんて……」

 

 そう言い。寿々花さんの顔はとても複雑の思いが浮かれていた。無理もない。獅童さんが犯人として疑われるなど、嬉しいはずもない。ましてや、そんなことはないと心から言いきれない自分がいることも。

 

 そんな彼女は少し放っておけない。

 

 「本部長、薫さん、申し訳ないが。少し席を外してもらいませんか?」

 

 「どういうことだ、衛藤?」

 

 「寿々花と話したいことがあります、俺でなければ少々話しにくいことなので」

 

 嘘ではない。これから話すのは二人の中でしか共有できないからだ。

 

 「……わかった、お前の判断を信じる。だが、後で何の話をしていたのかは聞かせてもらう」

 

 「わかりました。ありがとうございます、本部長。」

 

 「都、あまり浮かばないでよ。でなければ、可奈美と舞衣とヒヨヨン三人に会う顔がないからな」

 

 「誰か浮かぶか!それと、なんてあの三人?」

 

 「はぁ………」

 

 ちょっと、寿々花までため息!?なんで?

 

 自分の鈍感さを完全に気付かっていない都。いや、彼が舞衣のことを好きなのは自覚しているが、向こうも同じ気持ちなのかは知りません。

 

 そもそも、彼も自己犠牲な人なので舞衣が他の人と付き合っても、彼はきっと介入しない………はず。まぁ、前提としてはいいやつならば。

 

 その後、真庭本部長と薫はそそくさと退室する。都は寿々花のベッドの隣に置かれた椅子に腰掛け、会話を切り出した……と。その前、寿々花にドジ目された。

 

 「鈍感。」

 

 ………だから、なんだよ。

 

 「……ゴ、ゴホッ!や、やり直すとして、俺は獅童真希がこの件の犯人に思わない。関係者であるが、犯人ではないと断言できます。」

 

 「なんでそう言いきるの?」

 

 よし、やっと本題に入った。

 

 「会ったからだ。」

 

 「真希さんに会ったの!?」

 

 驚く顔で都に尋ねる。彼女のこの反応を見ると、この二人の関係は相当に親しいに見える。

 

 「ええ、10月のある日に俺は群馬でもう一人のフード野郎と交戦した。危ういところに、獅童さんに救われた。」

 

 「なるほど、やっぱりいつもの真希さんですね。」

 

 「ええ、彼女に救われたことに俺は凄く感謝している。が……感謝の意がまだ伝えずに俺たちは予測外のことに驚かされた。」

 

 唾を飲む。都はこのことを彼女に伝うため、かなり勇気が必要。

 

 都の目からそう感じた寿々花も彼のことを待つ。やがて、彼は口を出す。

 

 「……俺たちが立ち向かう相手はもう一本の御刀を何もないところから取り出した。そこで、二天一流の構えを取った。」

 

 「二天……一流だと!?馬鹿な、あれは!!」

 

 そうしたら、寿々花は予想内の反応をした。

 

 「気持ちがわかります。俺と獅童さんは結構驚かされたのです。寿々花……折神紫以外にあの流派の使い手がありますか?」

 

 「ありえませんわ。あれは紫様だけか使える流派なんですわ。あの方以外の使い手はいないはず。」

 

 「それもそうだね……だから、このことは俺と貴女、獅童さん以外、誰にも伝えられません。伝えたら、ただ混乱を増す一方です。」

 

 「………賢明な判断ですわ。で、なんで私にこのことを?」

 

 「だって、貴女は元親衛隊の人間ですから。折神紫様のことを俺たちより詳しいはず。」

 

 「なるほど、貴方らしいですわ。いつも冷静に正しく、より効率的な判断をします。流石、元第五席ですわ。」

 

 候補です。俺はお前たちの仲間に入れなかったのですよ。

 

 「それと、これからはただの推測ですが。獅童さんは何らかの方法と理由でこの件の犯人を追跡していると思う。顔を隠していたのは、多分親衛隊がこの件に関わっていると思わせないため、というのは俺がこの間に考えた推測です。」

 

 「……なるほど、それならば辻褄が合いますわね。」

 

 あくまで推測でしかないが、これまでの経緯や状況証拠、獅童さんの性格から考えるとこれが最も自然な形だと思えた。だとすると、彼女は無罪で間違いない。

 

 ただ、彼女が二天一流野郎を追う理由が今だにもわからない。

 

 この五ヶ月間、獅童さんは何かあったのでしょうか……。

 

 「さて、確認したいことが確認できたし、真庭本部長に今の話を伝えてとするか。この後も沙耶香と昼ごはんの予定がありますし」

 

 「あら、もう行くのですか。少し寂しくなりますわ。」

 

 都が立ち上がると、寿々花は少し寂しい顔をしてた。

 

 彼とただ三ヶ月ほどの付き合えだが、彼女は既に都のことを友達……元い親しい仲間だと認識していた。

 

 そして、彼は獅童さん以外に寿々花唯一の味方である。家族なんで親衛隊より薄い関係でした……。

 

 「大丈夫。貴女が出院したら、必ず色んなところまでに連れて遊ぶ。その時……獅童さんも一緒だ。何かあっても彼女を貴女の前に連れて戻す!約束する。」

 

 「………お世話焼くのが好きですね、貴方は。ええ、真希さんのことはよろしく頼みますわ。」

 

 「はい、お任せください。…と、出る前に。これを」

 

 「あら?これはマフラー?」

 

 出る前、彼は寿々花に新品のマフラーをあげた。

 

 「はい。ずっと室内とはいえ、身体が冷えてしまう可能性があります。故に、これを寿々花に送る。ついでに、この前お祝いできなかった誕生日プレゼント。」

 

 「私の誕生日は特に過ぎてしまったのに……いまさら」

 

 呆れるふりをしたものの、寿々花は彼がプレゼントしたマフラーを大事に受け取る。

 

 何にせ、これは今年。彼女が初めでもらった誕生日プレゼントなのだ。

 

 「お気に入らなかったら、捨てもいいぞ?」

 

 「貴方はわざとそう言いますの?貴方からのプレゼントは当然大事に扱うわ!此花の名に賭けて」

 

 「あはは……それはちょっと嬉しいかな?それじゃ、俺はそろそろ行くから」

 

 「ええ、くれぐれもお気をつけて」

 

 「あっちこそ、ノロが完全に体内まで抜け出す前まではちゃんと休養してね。」

 

 関心の言葉を挟んで、彼はこの部屋から去っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はぁ……本当にずるい方ですね。でも……ありがとう、都くん。」

 

 彼が部屋から出た後。

 

 マフラーを大事に抱く寿々花。

 

 今年がもうすぐ終わったこの頃、彼女は既に誰から誕生日お祝いされたことに期待していなかった。

 

 バラバラされていく親衛隊はもちろん。自分の実家である此花家も漏出問題以降、娘への関心の言葉が一度も来なかった。

 

 お誕生日のお祝いの一言も何も……故に、彼からのお祝いはとても嬉しかった。

 

 血が繋ぐ、自分をただ政治の道具として利用した家族より、彼女はこっちのほうが好きだ。

 

 「貴方から頂いたマフラーはとても暖かいですわ。」

 

 そして顔をマフラーの中に埋め込む彼女。

 

 マフラーのせいで、今の顔が隠されていたが…それでも彼女の顔が真っ赤であることは隠しきれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 「こちらはK。目標二人は昼ごはんを買い出し中。E、そちらの状況は?」

 

 『問題ないデス。カナミンとヒヨヨンはまだ計画を気づいていマセン。現在二人は道場で立ち会いをしていマース』

 

 此花寿々花に尋問したあと、薫はエレン……代号Eという人物に通話中。現在、彼女たちはある理由で可奈美と姬和、都と沙耶香を監視中及びこの2つのチームを会わせないようにする。

 

 「ならば、M。そちらは?」

 

 『ケーキはまだですけど。雅ちゃんの手伝いがあって、早くなります。』

 

 「そうか……とりあえず、計画は絶賛進行中だ。ねねもあの二人についていて、時間稼ぎをする。」

 

 『ねねちゃんに?大丈夫ですか?』

 

 「まぁ、大丈夫だろ?沙耶香は結構ねねのことを気に入っているみたいだし、都も大概ねねのこともお気に入ったみたい。」

 

 そう言って、薫は遠くからあの二人のことを見ている。二人はまるで兄妹みたいに普通にお買い出し。この光景は絶対に可奈美にバレちゃだめだ。

 

 「それにしても、今日はたまたましすぎやないか?この日に大事なことが3発にあるなんて……」

 

 『薫、文句を言わずに!これもミヤミヤ、サヤ、カナミンとヒヨヨンの大事な日なんデスヨ!薫はお祝いしたくないのか?』

 

 「まぁ……それは、もちろんお祝いしたいよ。何にせ、どいつもこいつも頑張り過ぎだから、こういう日だけふわふわの気持ちで過ごさせたい。」

 

 『やっぱり薫ちゃんは優しいですね。』

 

 『薫はそういういい子なんデスから』

 

 電話の向こうから少し甘い言葉が伝えてきた。別に自分はいい子なわけじゃ……ただ偶に、あいつらを軽くしてほしい。

 

 「そういえば、可奈美は今日が何の日なのか、知っていますか?それと、都も……」

 

 『それは大丈夫デス。ヒヨヨンがいるおかけでカナミンは剣術熱心デース』

 

 『都くんなら、“自分の誕生日”を気にしないと思う。彼はいつも自分の誕生日を忘れる癖があるの……それも重い理由がありますけど』

 

 「……重い理由か。…とりあえず、この話題を置いといて。今日のことのために朱音様もわざと俺たちの任務を取り消した……というか、俺たちの案をよく賛成しているな。」

 

 『学長たちもこの計画を賛成していて、私達の任務を他の刀使をやらせた。』

 

 『皆はミヤミヤたちのこと好きなんデスね。』

 

 まぁ、それもきっと俺たちが折神紫を倒したからだ。ただの子供たちに世界の運命に任せるとは、きっと二十年前の件を参加する学長たちも相当辛いだろうな。

 

 特に刀使すらないあいつさえも巻き込まれた。本来彼が後方で俺たち刀使を支援する役なのに……色々あって、あの決戦の地で親衛隊と決着をつけるだけではなく、俺たちが倒れた後も、可奈美たちを助けに来た。

 

 色々と頑張りすぎるんだよ。あいつは。

 

 『あ、私はそろそろ作業に戻るね。それじゃ』

 

 『ワタシも監視に戻しますね。薫、サボじゃ駄目ダヨ』

 

 「サボらないよ!全く……エレンと言うやつは俺のことをどう思ってんだ。」

 

 通話を切って、薫は文句を言いながら都たちの後ろにこっそりついていく。

 

 今回の作戦は絶対に成功させないと、彼女……ううん、計画を入れる者たちはそう祈っていた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 数時間後ーー

 

 

 

 「………」

 

 「………」

 

 御刀を構え、対峙する二人の少女。衛藤可奈美と十条姫和は刀剣類管理局に併設されている剣術道場にて、手合わせを行っていた。

 

 二人の実力はほぼ互角であるゆえ、勝負がほぼつけられない。でも、最大の理由は可奈美がもっと姬和の剣術を見たくて、わざと手抜きしてた。

 

 それでも、姬和は油断しちゃいけない相手であった。

 

 「ねえ、もう一本する?」

 

 「……いや、もうそろそろいいだろう」

 

 これでもう五回は打ち合った。それに、今日は皆で集まる約束になっているのだ。道場に差し込む陽光が夕焼け色に染まってきた。切り上げるには丁度いい。

 

 御刀を鞘に収まり、姬和は戦闘体勢を解けた。それを見て、可奈美は少し残念そうな顔だけど、立ち会いはいつでもやれるし、今日はここまでにするのも悪くない。

 

 それに、今日は久々に皆と会えるし。そちらもわくわくするんだ。

 

 「カナミン、ヒヨヨン。迎えに来マシタよ」

 

 「エレンちゃん!お久しぶり!」

 

 可奈美の後ろから聞き慣れた声が飛んでくる。振り返ると、道場の入口にエレンが立っていた。

 

 「いつ来たの?」

 

 「たった今デスよ。」

 

 「もう、皆揃っているのか?」

 

 「イエス。皆はもう食堂で集まってイマス。残るのはカナミンとヒヨヨン二人デース。」

 

 この六人が揃うのは五ヶ月前の夏祭り以来だ。可奈美は勿論、姫和も楽しみにしている。

 

 けど、あの時はもう一人がいた。とても大切な人。あの決戦の夜から全然顔が会ってないし、そのことに可奈美はもちろん、姬和もかなり寂しかっている。

 

 付き合うのは短いが、姬和はあいつとの日々は楽しいと思う。あの決戦の夜にも、自分を助けるためにやってきた。

 

 この恩はどうしても彼に返しておきたい。…ううん、どうしても彼にお礼を言いたい。

 

 「皆に長く待たせちゃ悪いので、姬和ちゃん。行こう?」

 

 「うん、そうだな。」

 

 「……と、その前にヒヨヨンとカナミンにいいお知らせがありマスよ!」

 

 「いいお知らせ?」

 

 珍しく二人の前にわくわくする顔をしたエレン。可奈美と姬和が、もしかして良いことでもあったのか?と推測したけど……違うようだ。

 

 「実はもう一人がここに来るのデス。とても大事な人なの!」

 

 「うん……?」

 

 「なんだ……?早く言え、エレン。」

 

 「“彼”に会ったら、すぐわかりマス。さて、ネタバレはここまでにしましょう」

 

 嬉しい顔でそう言ったエレンはすぐ道場から出て、その後ろにはエレンの言葉を理解しない二人。

 

 彼、つまり男。だが、それは一体誰のことなのか?自分が知り合う男性はお父さん以外にエレンのグランパしか知り合ってない。

 

 だったら、私達にとっていいお知らせは一体………まさか!

 

 可奈美より先に気付いた姬和。彼女は少し横目で可奈美の方へ覗いたが、このバカはどうやらまだ気付いていないようだ。

 

 にしても、自分の推測が当たったら……またあいつに会える。

 

 少し彼との再会に楽しみにしていた姬和。彼女はまだ顔が赤くなることが気付けなかった。




次回は感情のシーンに入ります。やっとシスコンらしい挙動が書けます。
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