可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す! 作:黒崎一黒
そして早苗さんお誕生日おめでとうーーー!!
ー米軍所属 舞草用潜水艦内ー
可奈美、姬和、都と他の二人の親衛隊。五人は折神紫に続け、潜水艦の中に入った。
そして、目的部屋に到着したら、親衛隊の二人はすぐ折神紫のそばに立つ。
「病院で療養中はずの局長が武装している潜水艦の中とはな」
部屋に入ってから、初の一言は姬和が先に取る。しかし、その言葉は紫に対して皮肉染みた事だ。
「医療施設も完備していますから、嘘というわけではないですよ。」
そんな姬和の言葉に苦笑している朱音は彼女の言葉を訂正している。
まぁ、言葉のあやですし。確かに、嘘ではない。
「紫様はもう荒魂じゃないですよね?」
「衛藤さん……」
「お前……」
次に可奈美の言葉にも呆れた親衛隊の二人。こういう場合ではこういう質問は流石にだめだと思う二人。
しかし、紫はただ「ああ……」と答えただけ。
「何度も検査しましたが、局長の体内に荒魂を検知されていませんでした。肉体も十七歳のまま」
「十七歳……!?あれか………!!?」
この場にもいる累さんの話を聞いて、都は凄く驚いた反応。
だって、あの体で十七歳ですよ!あれはどう見ても30代くらいの身体じゃないですか!?しかも、あの胸は……エレンより大きいではないか!
あれって十七歳?もう成熟の大人じゃないか!
「お兄ちゃん……なんてそこで驚くの?そして、どこを見ているの?」
「やっぱり巨乳派か?そうか、わかった」
二人は都が紫の胸にじろじろ見ているところを気付き、共に都の腰を指で強く握り締める。
「いたたたたたたたたたたたーー!!二人共、どうしたの!?めちゃ痛いですけど…!!」
二人に攻められた都はみっともない弱音を吐いた。
彼は二人が嫉妬していることが全く察していなかった。
「これは懲りしめだ。反省しろ、馬鹿者!」
「え…なんで怒るの?姬和さん?」
「姬和ちゃんの言う通り、お兄ちゃんは少し反省してください!」
「可奈美!?すげぇ怖い顔していますけど!!?」
そして、二人が怒る理由をわからない都はこうして二人に懲りしめられた。
それを会見早々見届けた紫と獅童は呆れた顔。他の人は共に「乙女心がわかっていないですね……この鈍感男」と言いつけた。
それから数分の茶番が終わり。都はよくやく二人に解放された。……が、可奈美と姬和は都を二人の間に挟んで席を座る。
二人に挟まれたままの都は、今でも二人から不機嫌なオーラを感じて、とても気まずそうな顔。
「都さん、これからの発言は控えてくださいね……特にこの二人や柳瀬さんの前に」
やっと懲りしめ劇が終わるところに、朱音は汗をかいた顔で都に良言を与える。
はい、これからは控えております。もう懲りしめられるのがごめんだから。
「…………ゴホン、少し本題に戻る。まずタギツヒメと同化しているはずの私がなぜここにいるのかを説明する。」
そして、いよいよ本題に入り。紫はそれについて説明する。
「あの夜、大荒魂と同化していた私はお前達に討たれた。諸共滅びる寸前だったが、奴はこの肉体を捨て、隠世へと必死で逃れて行った。荒魂を巻き散らしたのは追跡されないようにするためだ」
「トカゲの尻尾切りみたいですね」
「衛藤、お前……」
「もう少し言葉扱えを…考えてくださいな」
「え……?」
可奈美の失言に呆れた親衛隊の二人。この兄妹は次々と紫の前に茶番や失言をどんどん現した……。
だが紫はただそれを聞き、「そうだね、私はその切られた尻尾だ」と自嘲する。
「だが、今はそう言ってられない事態となった。」
「三女神ですか?」
「ああ…、かつてタギツヒメだったものが3つに別れた。お前たちもイチキシマシメ以外のと出会ったな。」
「はい。」
「その中、都さんはタギツヒメと三回ほど会って、二回ほどに戦った経験者です。」
「ほぉ……それでどうだった?タギツヒメは」
「とても強かった。局……紫様……」
「好きな呼び方で呼ぶが良い。それを許す。それと、私の前ではそんな緊張しなくてもいい、今の私はただ隠れるしかない小娘だ」
「は、はい……!」
紫に好きな呼び方を呼べることが許可された彼。やっぱり衛藤 都はとても不思議な男だと思う獅童。
ただ直接面会の回数は二回しかないのですが、もう紫様に気に入られた。昔、紫様も彼のことを妙に買って親衛隊候補に入れた。
かつての友・藤原美奈都の息子であるゆえ、気に入られる可能性も考えていたが……彼、個人も不思議の魅力が溢れている。
まず糸見沙耶香から舞草まで、それところが平城の刀使や寿々花から信頼や絆を得るカリスマ性。それを見抜いて紫様は彼を親衛隊に……なのか?
そうと、考えているうちに都は再び勇気を絞って言い出す。
「正直、局長に憑依する状態より今のタギツヒメはめちゃ強かった。まるで鎖の縛りから解放された猛獣みたいな強さだったが……やはり、あの夜が勝てるのは局長である紫様がタギツヒメを妨害するおかけだよね?」
「………いや、そうとも言えない。お前たち三人はタギツヒメの予想以上に強かったから、一時に勝てたんだ。いくら私でもお前がそこまで御刀の力をうまく扱える未来が“見えなかった”。」
「しかも使うのは今付けた刀ではなく、結芽の御刀。二本の御刀に認められること、刀使の歴史では例外でもないのですけど……男性である貴方からそのことが起こるのはとても信じられない話ですわ」
俺でもわからないよ。ただ“御刀から使って欲しいと聞かれた”、それでそのままタギツヒメと戦うことにした。
「そこのところ、フリードマン博士とその協力者である刀工技師に見てもらう結果、その御刀の所有者はすでに衛藤さんに変わりました。」
「結芽の刀が……」
「ある意味ではいなくなった燕の意志がその御刀に宿っているように見える。彼女は貴方を選んだのかもしれません、衛藤 都。」
「俺を……」
結芽のことを再び思い返す。彼女とはまともな会話をしなかったが……十分彼女との戦いから彼女の心を知った。
彼女は本当に寂しく、わがままのいい子なんだ。俺や可奈美と同じく剣術の腕が立つ、剣の立ち合いも大好きな女の子だった。
なのに、彼女の命は無情な運命に奪われた……それでも最後は安らかに行った。これが良かったのかなと思うのは最近のことだった……。
……ずっと一緒に戦ってくれたのね、結芽。
握ったのは彼女の刀ではないが……彼女の剣技は既に自分の剣に溶け込めた。ある意味では彼女の意志が江雪左文字の中にいるのかも。
そう思うと、段々と気持ちよくなる気がする。
「それと、燕の話は朱音から聞いた。彼女の最後のワガママに付き合ってありがとう。」
お礼を言う紫は頭を下げて感謝する。
「紫様……!?」
「顔を上げてください……!」
それを見て、慌てた親衛隊の二人。
「正直のところ、お前に……いや、お前ら三人に謝りたいことがたくさんある。その前に燕の件を感謝したい。お礼を言う」
頭をずっと下げたまま、誠意を表す紫。
彼女は結芽のことを他人予測以上重視していた。……いや、もしや親衛隊の全員にもそう思うかもしれない。
「……そのことはもういいって、自分も自分の欲望に従って結芽と思う存分に戦いました。……最後は勝てなかったのですが」
「そうか……」
それだけ応じ、紫はどうやら何か理解しているような顔。彼女だけではなく、寿々花と獅童も同じ顔だ。
結芽のことをよく理解している人たちからかな?何かわかっているのか、わかっていないが……少なくとも俺はただ自分なりに結芽の最後を最高の結末としてプレゼントにした。
「……十条、衛藤とその兄、衛藤 都。少し良いか?お前たち三人と話がある。朱音と他の者は少し席をはずしていただきたい」
「……は、はい!」
紫が姫和と可奈美と都、そして自身を含む四人だけで話したいことがあると言って朱音と累、そして寿々花と獅童を退室させた。
◇
「お前たちは私を恨むのか?」
他の者が退室したら、紫は早速三人にそう聞いた。その表情から別に罪悪感など感じませんけど、彼女がこの質問をする時点で、既にこのことを気にしていたことがバレた。
そして可奈美が恨むことを否定すると、姬和が迷いなく「はい。」だと答えた。
「あなたが荒魂に憑依された二十年。母がなくなるその時までに悔やみ続けていた。例えタギツヒメから貴女の事情を聞いても、そのことは今でも許せなかった………」
「姬和ちゃん……」
「…………」
「十条、衛藤、すまなかった……」
紫の口調から深い歉意を感じた。顔から感じられなくても、彼女は俺たち三人にどれほどの罪悪感を抱いたのもわかる。
この人は、うちらの母がいなくなった日々も辛かったと思う。何にせ、彼女は世界より二人の親友の命を選んだのだ。
その事実だけを見ると、心は何となくそんな彼女を許せる……いや、最初から憎んでいなかった。
「私は二十年前、篝と美奈都を失いたくない故、何千人もの犠牲者を出した荒魂の提案を受け入れた。だが命を半分に分けたせいで、美奈都と篝も長く生きられなく、この世から亡くなった。結局私一人だけ、一人で死に損なったままだった」
「紫様……」
「十条みたいに、私を恨んでもいい。お前たち兄妹もその資格がある。」
言葉の一つ一つから悲しい、悔しいと後悔が感じる。彼女は誰かに恨まれることを望んでいたのかもしれない。何にせ、彼女は二つの家庭を破壊したから。
三人の母たちの命を奪う罪人……彼女は自分にそう認識している。
そして、二十年前のことを自分が何をして、何をしてかしたか、何を遺していったかを……。心が許した友人を失うことを恐れた紫は、何千人もの犠牲者を出した荒魂を受け入れたのだと手を強く握り締めながらそう言い出した。
さぞ、その罪悪感に潰されて辛いだろう……。
「恨まないよ。例え真実を知ったとしても、俺は紫様のことを恨めない」
「うん、私も。それに、うちのお母さんは死ぬまでに幸せそうだよ。……死ぬまでってなんか変な言い方ですけど、剣術だっていっぱい教えてくれましたし、刀使の仕事を誇りに思うって」
「可奈美と都のお母さんが……」
「美奈都が……そうか、彼女らしいなぁ。」
何かを思い浮かばった紫は、なんか納得したようだ。きっと記憶にある母は紫様の記憶にある若い時の母と全然変わっていないと思う。
「紫様、最後に一言を。俺、紫様のことを感謝しています。貴女様のおかけで、俺はこうして多くの仲間と出会った。可奈美、姬和、舞衣、沙耶香、薫とエレン……そこにいる親衛隊の二人と結芽にも大切な縁を結びました。だから、ありがとうございます。」
「……………」
都の感謝に紫を含めた全員は呆れた顔だ。まさか、逆にこの場で感謝するとは……彼らしいというか、救えないほどお人好しというか。
姬和もこの縁を深く感謝しておる。こうして、可奈美たちと騒がしい日常を過ごすのも悪くないと思う。
まったく、本当に仕方ない奴だな。彼は。
「………まさか、逆に感謝されるとは、まったく思わなかった。」
そして、ようやく反応を取り戻した紫。
「でも……そうか。少しだけ、その御刀がお前を選ぶ理由はわかっていた気がする……」
「その理由は、なんですか?」
「いや……言えるほどもない理由だ。いずれわかる時が来るだろ。」
「は、はぁ……わかりました。」
少し、紫の言っていることがわからなかった都。自分はどうして御刀に刀使として選ばれたのか、その理由がずっとわからなかった。
その後、篝さんとお母さんは刀使の力を半ば失い内側から大荒魂を封じたものの、本来篝さん一人が背負うはずだった半分をお母さんが受け持った影響で篝と美奈都の二人は現世と隠世という二つの世界に、同時に存在する稀な存在となり、その際に持っていた御刀千鳥と小烏丸にも同じことが起こったと紫様は話していた。
紫の話を聞いた可奈美と姫和の二人は、時々ある共鳴はそれが理由だったのかと驚くと同時に妙に納得してしまった。
……しかし、そこでまたもう一つの疑問が生まれた。
なぜタキリヒメとの会見をした時に、俺の御刀が勝手に共鳴していたのだ?それと、前々から何回も彼女たちしか聞こえない共鳴が聞こえるようになったのかは新たなの疑問になった。
その質問について紫に聞いたが、彼女も答えてなかった。結局自分に関する不可解の現象は今でも判明できなかったという。
◇
「この中ですか?」
「うん。」
都の問いに紫は軽く返答する。
今はイチキシマヒメと面会するところ。都を含む八人はイチキシマヒメがいるらしい部屋の前に集まっている。
「スペクトラムの反応がない。」
「特製なんですか?」
「うん、タギツヒメに察知されないため、特別に作ったのよ。」
「政府の人たちもそういう小細工で作ればいいのに……」
「…………都さん……」
ついつい政府の文句を言いつける都に、朱音は彼のこういう性格に困っている様子。
しかし、彼の気持ちもわからないわけではない。真正面の防衛より隠したほうが奪われたリスクが低い。
それに先日の件から見ると、衛藤さんたちのような実力者じゃなければ、あのタギツヒメと戦えない。軍にもただ犠牲されるだけ。
このまま長期対抗になれば、いつか戦力がタギツヒメに全部消費される。その前になんとか対策を出さないと。
「それじゃ、開けるよ。」
そう言い、累は扉を開く。その瞬間に三人の御刀が同時に反応した。
「…………!」
「…………!」
「…………!」
都さんにも同じ反応……?
背後から都の反応を覗う朱音は、彼も大荒魂に反応したことを気付いた。
これはどういうこと?千鳥と小烏丸以外にタギツヒメに反応する御刀がいないはず……。
江雪左文字。この御刀は一体……。
「やっぱり来たか……衛藤可奈美、十条姬和と衛藤 都。」
朱音がまた都の御刀に視線で探る時、部屋の中に座っている真っ白な人物が既に視線を都たち三人に向く。
彼女の外観はほとんど真っ白。目や口を遮るもの以外、服装らしい身体も荒魂の目みたいなものがある。
こいつは三女神の最後の一人イチキシマヒメか……見た目は弱そうだけど、きっと凄まじい力が持っているに違いがない。
可奈美と姬和は既に臨戦状態に入った。ここで戦うつもりがないけど……本能的に、こいつは危ないだと認識している。
「そうか……我はここで滅ぼされるのか。我という異なり、短い生涯だった……短い……」
だが、身を伏せ、彼女は悲観というオーラを放つ。その口に出す言葉は既に生きることを諦めた。
「…………は?」
「…………え?」
「………あれ?」
三人は同じ反応だった……。
こいつは大荒魂、イチキシマヒメ。人類の敵、神でもある。そんな神に都たちは既に彼女を人として見ないのだ。
しかし、彼女のその悲観的な考えは流石に都たちの予想外だ。これは本当にタギツヒメの分身なのか?と、彼女と初対面する人たちは一斉にそう疑ってた。
「短い生涯………」
「滅ぼすと思ったら、お前をここまでに保護しない……」
彼女の隣に行く紫はなんか同じ反応をする……いや、頭が痛むという反応だ。
「これは大荒魂?どう見ても……」
「気持ちがわかるから、言わなくてもいい」
寿々花の反応から、累さんも結構微妙な顔をしている。
こっちはタギツヒメとタキリヒメと会話した経験がある。彼女たちからの個性を考えていると、神とした視点で人に命令をするという印象が強い。
しかし、こいつはあまりにも悲観すぎた……。大荒魂は悲観という負面感情が持っているのか?
神を名乗るなら、もっと自信を持ってよ!
「この人はなんかタキリヒメと雰囲気が違うね。」
「お前たちは既にタキリヒメと会ったのか……」
こっそり姬和と耳噛む可奈美。しかし、その話はどうやらイチキシマヒメに聞こえた。
「タキリヒメが既にタギツヒメに一回襲撃されました。幸い、衛藤兄妹と十条と獅童のおかけでぎりぎり退けた。これからもタキリヒメの護衛を集中する」
イチキシマヒメに事情を説明する紫。ついてに、俺達にタキリヒメを守るという任務を与える。
「そうか……お前たちはタキリヒメ側につくのか……我はまた人に求められぬ。」
しかし、そんなところでイチキシマヒメはまた身を伏せて悲観する。
なんだろう……この荒魂。
「我々は欲しいのはこの3つ分かれる現状だ。できれば、このままに維持したい……」
紫はやっと片手で痛む頭を支えた。彼女の悲観に大英雄さえも耐えられないのか……。
「まぁ、そうだな。本来もそうするべきなのだろう。我は元々奴らに切り捨てられた存在なのだから」
「切り捨てられた?」
イチキシマヒメの言葉に気になる獅童に、紫はちょっと言い辛そうな表情で説明する。
「そのことについては、なんで大荒魂が三体に分かれる話になる」
「ノロのスペクトラム化。ノロ同士をお互いに融合することで脳のような組織が結成し、高い知能を有していきます。その過程で感情が芽生えて荒魂となる。全ての荒魂が最初に生まれたのは喪失感だと言われている」
「喪失感……」
「なるほど……ノロは元々珠鋼が御刀に作られた過程で分散された廃棄物。珠鋼という母から無理矢理分散された子供のようなもの、故にその喪失感か」
累からの説明に都はすぐ理解できた。前々から特別希少金属利用研究所でその話をわかっていた。ノロが寂しがっていた子供だとのことを。
「そうです。その飢えに似ている喪失感を埋めるために、荒魂は本能的に結合を求めます」
「荒魂を取り込んだ僕たちにはよく理解できる。その乾きは抗え難い。」
「………」
そして獅童から辛そうな表情でそう言っている。隣の寿々花も理解している顔だ。
これが親衛隊同士が共に経過する痛み。……やはりノロを取り込んだことは多少の対価を支払いしなければなりませんね。……結芽もかつて体内のノロが暴走していることで辛がることがあった。
「結合を繰り返し、より高い知能を発達すると、喪失感は怒りに変わります。自分の一部である珠鋼を奪った人間への怒りです。」
「それが荒魂が人に襲う根本的な原因だ。荒魂に唯一対抗できる武器が荒魂を生み出すそもそもの原因……皮肉の話ですが」
「そうだ。全てはお前たち人間が強欲に私たちから神の力を盗み取ったのが原因だ。この長く続ける荒魂と刀使の戦争を引き金するのはお前たち人間なのだ。故に我々に襲われて殺されても、お前たち人間は文句を言う資格がない。」
「…………」
「…………」
「…………」
「……話を戻す。私と一体化した大荒魂が3つに分かれた真の理由だが……」
イチキシマシメがこの場にいる“人間”を責め指すこの重い雰囲気の中、紫はそのまま話題を続けた。
「我の知能が高速進化し、やがて論理矛盾に落ちいた。人に対する思考が3つに分かれ、それぞれ対立し始めた。怒り、怨嗟など原始な感情から生まれたのがタギツヒメ。ヤツは人への報復を望んでいる。」
報復。負の連鎖においては最も危険な段階である。古来の人間はよく報復するため、死ぬまでに殺し合う。
人類が最も醜い争いは報復と尽きが無い欲望である。
時にその感情は人に力を与える。そう、母を失う姬和はまさにその一人だった。
折神紫への復讐心は彼女をここまでに連れて来れた。
これが報復の力だ。その原始な感情を持って、タギツヒメもこれ以上強くなって、やがてこの世界を壊すでしょう。
そう思うと、怖くなる。
「一方、人を支配、管理し、導きに行くのはタキリヒメ。奴はこの世の神としてこの世界を君臨するつもりだ。」
「……だと思ったよ。だが、お前は?お前は何をするつもりだ?」
「我は我をこの世に存在する意味を求めた。この世界は本当に我々という荒魂が必要だろうかと模索し、答えを探し続けていた。やがて、我は見つけた。」
そう言う彼女は突然生氣がない両目を大きく開く、両手を開き、自分が見つけた答えを堂々と宣言する。
「荒魂と人間の融合によって、人類という種を進化させること!それが我がずっと求めた我がこの世の存在意味である!」
これが三女神の最後の一人、イチキシマヒメの望みである。
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