可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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今回の内容は都たちがイチキシマヒメと面会した数日後の話。都たちや管理局が知らないところに起きた惨劇。

そして投稿が遅れた理由も、一つに増えました。天気が寒くなると同時に、最近リアルにも忙しくなってきました(´・ω・`)。

それと、調査隊との共同任務の話はやはリ幕間の扱いがした方が良かったのですから、それ以降話の回数も変わります。


第50話:悲劇の夜。

 綾小路武芸学舎ーー学長室。

 

 

 

 「面談、ありがとうございました。では、失礼しました。」

 

 鈴本葉菜は面談が終え、相楽学長に一礼をしてから、学長室から離れる。

 

 扉が閉じる音を聞いて、相楽学長は安心する顔で息を吐いた。

 

 「鈴本葉菜………ノロとの適合率は高く、“近衛隊”への入隊も希望している。素材としては、申し分ないが……彼女が舞草の者である以上、不適格にするしかあるまい。」

 

 不適格する理由を見つけたことで、彼女は内心では喜んでいる。

 

 なぜなら、この面談は近衛隊のメンバーを選抜するための面接である。このため、学舎の生徒を全部呼び集めた。

 

 そして、近衛隊として選ばれた者はタギツヒメの忠実の兵士になれる。つまり彼女のためなら、死ぬことでも良い、仲間と戦うことにもなる、世界と共に滅ぼせる。

 

 結論を言うと、選ばれた者はもう明るい未来がない。これは親衛隊たちより酷い状況に向かわれる。

 

 自分の生徒にそんな希望がない未来を向き合わせたくない相楽学長は何とか理由を見つけ、資格者に辞退させる。

 

 そんな計算をしていた相楽学長は「次の者、入れ!」と、次の候補者を呼び入れる。

 

 「失礼します。中等部二年、山城由依です。」

 

 次に入ったのは黒い髪の女の子。彼女は外見ではかなり可愛い人ですが……内面はとても残念な変態おっさんである。

 

 彼女に関する噂はほどんと警察に易く注意されるほどの変態な出来事。例えば毎日彼女は生徒たちの部屋を勝手に忍び込んで、生徒の匂いを嗅ぐんことで朝っぱから女の子の悲鳴が学舎の独特の目覚し時計になるくらいに多くにいること。学校内に設置した風呂場でもかなりの大騒ぎになって、被害者側がお嫁に行きませんと証言もたくさんあります。

 

 そして彼女もそれらの行為で警察によく「またこいつか……」と言われて局内に連れ出されることも多い。そんな彼女(変態)ですが、刀使とした実力は疑われないほど強かったので、五箇伝としても彼女ほどの刀使が必要だ。

 

 それともう一つの理由もあった。

 

 「かけたまえ、早速だが本題に入ろう。君は近衛隊への入隊を強く希望していたな。」

 

 「はい、たくさんお給料がもらえるって聞いたので!」

 

 迷わなく金という理由をバラす由依。彼女はいかにも嘘をつかないタイプの人間らしく、本音は隠せずに言い出す。そこは本来いいことなんですが……時々キモイなセクハラ発言も口に出したことで、また彼女の名誉が一層に汚れられた。

 

 彼女の問題について、感情表現が薄い相楽も滅多に頭が痛む。それでも山城由依はその変態性格のおかけで、膨大なストレス環境で生き来られた。

 

 「妹さんの治療費は、そんなにかかるのか?」

 

 「…………!!」

 

 そんな環境の主因が相楽に言い出されて、由依の元気が溢れる笑顔が一気に驚く顔に変わってしまった。

 

 きっと、こっちが彼女の事情を知ることに思わなかったのだろう。

 

 「何を驚いている?君は近衛隊候補なんだ。身辺調査くらい済ませておいて当然だろう。」

 

 「………事情をご存知なら、話は早いです。妹のために、お金が必要なんです!だから近衛隊に入隊させてください。お給料分はしっかり働きます!!いいえ、それ以上の働きをしてみせます!」

 

 彼女が必死な顔で相楽学長にそう頼んでいた。

 

 山城由依の妹は病弱の体質があって、常に病院の常客になった。それにかかる治療費は半端ないくらいに必要なので、両親の稼ぎでも足りなかった。

 

 そこで山城由依は、御刀に選ばれた上で刀使になることを決めた。その理由はただ刀使という仕事の福利厚生が豊かということ。もちろん、可愛い女の子を放っておけないという理由もありましたが、主に妹が何より大切な存在である。

 

 彼も……五箇伝内で噂の人物衛藤 都もそうだったらしい。彼の身辺調査の結果からは、とんでもないシスコンたという事実が知れた。つまり彼も妹のために自らを危険に投げ入れるほどの人だ。

 

 因みに、彼を調べ始めたのは単なる結芽と関わったから、彼がどういう人物なのかは気になる。

 

 今のところは山城由依と同じく妹思いのご親族でした。妹のためなら、どんな困難でも立ち上がる勇気がある。

 

 「やる気があるのは結構なことだ。その上、ノロとの適合率も高い。」

 

 そんな彼女のやる気に、相楽は肯定の態度を示す。が、彼女はわざとリスクのことを彼女に教えようとしてた。

 

 なぜなら、妹さんは姉たる彼女にしかいないだ。彼女の稼ぎだからこそ、今は順序に進んでいく。決して近衛隊に入ることで、そんな平穏な状態を壊させはしない。

 

 「ノロとの適合率も高い……?どういう意味ですか?」

 

 ノロという単語を聞いて、由依は予測通りに疑惑の反応。

 

 「近衛隊ヘの入隊条件は、その身にノロを受け入れることだ。」

 

 「そんな………ノロを体の中に受け入れるなんて……危ないじゃないですか!」

 

 「そうか………燕 結芽の顛末を知っていたな。いや、他の親衛隊もか。ならば、不安に思うのも仕方ないことだ。」

 

 そう冷徹に言いつつ、相楽学長は次々と説明する。

 

 「だが、君に投与することになる強化薬は最新型だ。親衛隊たちのような従来型に比べてリスクは、極端に“低い”。」

 

 「低いってことは、ゼロじゃないってことですよね?」

 

 「そうなるな。それを理解した上で考えて欲しい。無理なら辞退してくれて構わない。」

 

 「……………辞退します。」

 

 相楽学長からそのリスクを明白した由依は長く考えてた後、辞退することに決めた。

 

 「お金は確かに欲しいだけど、あたしに何かあったら、ミクのーー妹の治療費を稼げませんから」

 

 「そうか………、では下がっていい。」

 

 「……ありがとうございました。」

 

 彼女の理由を聞いて、相楽は心中に気軽くになった。これでもう一人を辞退させることができた。

 

 正直、彼女はこの長時間の面接にずっとハラハラしてた。例え一人が入隊を強く希望しても、その一人はこの国の敵になる、死ぬことになる。

 

 それだけは嫌だ。自分の生徒を結芽のような犠牲者が出るのは、もうごめんだ。

 

 自分にはもう耐えられないのだ……愛する生徒を失うこと。

 

 そして由依が退室する音が響き。相楽は息を吐いて、残された面接者を確認する。

 

 「………残るのは木寅ミルヤと内里 歩か。」

 

 二人の資料を見て、相楽学長の視線はノロとの適合率欄の方へ向く。

 

 そうしたら、両方も99%との結果が示している。

 

 「当然といえば当然だが、ここまで残っているだけあって、全員とノロの適合率が高い。誰か選んだとしても、優れた“冥加刀使”になるだろう」

 

 冥加刀使とは、タギツヒメの近衛隊に選ばし者の名だ。

 

 その意味は敵を冥府に導く刀使い。そしてその敵は荒魂だけではなく、神たる姫(タギツヒメ)に反逆する者のことも指している。

 

 つまり人でも斬れる刀使ということ。その意味から名付ける者のセンス……いや、どれほど狂っていることもよくわかっている。

 

 「しかし……学長として、やはりこういう計画を認めるわけには行かない。雪那は怒るだろうが………な。」

 

 一人は人道外れ、一人はまた学生のことを案じている手が汚れている。二人の学長の歩み道は既に外れていた。

 

 そのきっかけは結芽の死から。

 

 あの日から、相楽は自分の生徒が結芽みたいに犠牲されることを恐れていた。なぜなら、彼女は心の底から自分の生徒を愛していたから。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 「これで全員不適格か……」

 

 最後二人の面接が終わって、相楽の顔はとても疲れているように見える。

 

 数時間継続で全員の面接を行うのもかなり無茶な挙動でした。でも、流石に自分の生徒を雪那に任せられない。

 

 彼女は生徒を生徒だと認識していないからだ。糸見沙耶香の脱出もそれなんだから、舞草に入り、鎌倉の決戦に英雄として成り上がった。

 

 詳しいことはあまり知らないが、彼女(沙耶香)はきっと自分の意思で雪那から逃げ出したと思う。

 

 「この後は理由を雪那に押し付けて、その後も紫に任せよ。そちらも充分の戦力が整っているでしょう。」

 

 戦力とは衛藤可奈美たちと親衛隊と調査隊三組の実力者が集まる連軍とのことだ。この三組の刀使たちは五箇伝の最高戦力が集まっている集団。

 

 これほどの実力者たちがいれば、タギツヒメもタキリヒメを簡単に奪われないだろう。こちらの計画を阻止していれば、面倒ことになれないはず……。

 

 「………あ、ふふっ……」

 

 窓外から見えた生徒たちが寮に帰る途中で、楽しくお喋りするところを気付いてしまった相楽が思わずにやけてしまう。

 

 こういう当たり前の日常光景ですが、彼女にとっては何よりの宝だ。自分の生徒たちはこうして平穏で学校生活を滿契するのは、学長としたの最大の利益である。

 

 少しおかしいな思考ですが、きっと江麻はこういう気持ちで自分の生徒を守ろうとしたのだろう。少しわかった気がする。

 

 金や地位、権利などは別にいらない。ただ自分が育ち上げた生徒たちは幸せにいれば、それが充分だ。

 

 「…………?あれはーー!!」

 

 その時、相楽の視野内に一人が生徒たちの前に現れた。

 

 その人は親衛隊の制服を着ている。手に持っているのは水神切兼元(すいじんぎりかねみつ)という御刀。

 

 これほどの特徴。彼女が親衛隊第三席皐月夜見だということがわかる。

 

 皐月夜見……なぜ、こんなタイミングでそこに?

 

 こっちからよく彼女の顔がよく見えませんが、でもあの抜け出した御刀を見ると、嫌な胸騒ぎがしてきた。

 

 これからのことは彼女は簡単に予測していたが、実現したくない。

 

 その、して欲しくない欲望が言葉に転換して、彼女は怯えた唇で出す。

 

 「止せ……止せーーー!!!」

 

 しかし、その言葉は彼女を止められなかった。

 

 彼女は無情に無防備な生徒たちを襲う。誰一人も……彼女の御刀から逃れられなかった。

 

 この夜に赤い鮮血が学舎内を染まる、悲鳴がこの学舎内に響く。

 

 それを見て、聞いた相楽は急いで外までに走る。これは彼女が最も嫌な結果だった。

 

 自分は特に予想していたはず……こういう最悪の事態を。いや……ただそれを考えたくはない。

 

 だって、それをやったのはもう人間の所業ではない、あれは“ただの鬼だ”。

 

 「遅くなりましたわね。相楽学長。」

 

 数分後、現場に行き、相楽の視線先は血泊に倒れていた生徒たちと血まみれた皐月夜見。

 

 「貴様ッ……!!」

 

 怒りが満ちる怒り声。相楽は自分の生徒がこんな惨状になるのが許せない。

 

 「これで、もうあれを使えお得ないでしょう」

 

 しかし、彼女は別に怒っている相楽を気にしていなかった。例え人を斬っても、彼女の感情が一切動じない。

 

 「急いたほうがいいですよ。まだ生きているうちに……私は、これから木寅ミルヤと他の調査隊のメンバーを追跡しに行く。止まっても無駄です。」

 

 彼女に最後の警告をして、夜見はそのまま先に撤退するミルヤたちの追跡をする。

 

 「…………ぐっ!」

 

 その背後を睨む相楽の顔は無力と絶望と怒りに染まれている。

 

 「…………あ、ああ……」

 

 「………!」

 

 その時、彼女は僅かに足元から声が聞こえた。

 

 あれは死ぬまでの呻き。

 

 致命傷を受けた彼女たちはまだ生きているが……呼吸はどんどん弱くなる、瞳も色が失っていく。

 

 「…………ごめんなさい。貴女たちを巻き込んでしまった……」

 

 後悔と悔やみが混じる声。相楽はこの場に止まるのがただの二秒だった。

 

 この場で悲しむ、後悔するより彼女たちを救うことは最優先だ。故に彼女あれを取りに行くため、走ってきた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 数時間後ーーあるところの森。

 

 

 

 

 「いずれ追手が来るとは思っていましたけど………まさか、貴女とは思いもしませんでした。」

 

 ミルヤたちは先に事態がまずいと気付き、学舎から分別にそれぞれのルートで逃亡した。が、進む先はもう追手がそちらに待っていた。

 

 「親衛隊第三席、皐月夜見。」

 

 「あなたには、冥加刀使になってもらいます。」

 

 その追手は親衛隊の皐月夜見。彼女は自分の能力を使って、ミルヤの居場所を見つけた。

 

 でも、その能力は刀使が持っている能力ではない。あれは荒魂による能力である。

 

 以前伊豆の夜にも拝見した非常に面倒な能力でした。あれは本人を倒せない限り、荒魂はほぼ無限に生産される。加えて、体型も非常に小さいため、消滅するのも面倒のことだ。

 

 「冥加刀使?ノロによって強化された刀使のことですか?その件については、お断りしたはずです。」

 

 「あなたの意思とは関係ありません。あのお方の駒になってもらいます。」

 

 「改めて、お断りいたします。」

 

 御刀を抜くミルヤを写しを被る。

 

 「どうやらそちらも戦う意思があるようですね。まぁ、致命傷が与えれば、嫌でも生き残るためにノロを受け入れるでしょう。他の刀使たちと同じように」

 

 「他の刀使と………まさか、刀使たちを斬ったのですか!?」

 

 彼女からの言葉でその可能性を探り出すミルヤは思わず彼女にそう聞く。

 

 あまり考えたくないですが。いくら何でも刀使を斬る刀使は……いや、同じ親衛隊の獅童真希と此花寿々花もかつて伊豆で我々をそうするつもりだった。

 

 だが、あの時はただ我々は戦う気があるから……まさか、学舎の皆を全部斬ったわけじゃないよね?

 

 「それが、何か?」

 

 しかし、夜見はただ一言でミルヤの推測を認めた。

 

 あの言葉は一切の感情が感じない。彼女が人を斬ることに何も感じていないのだ。

 

 「何ということを……!」

 

 あまりにもの怒りがミルヤの心の底から燃え上げた。仲間……一緒に学舎内で過ごす皆が斬られることにミルヤは珍しく怒った。

 

 これで少しでも瀬戸内さんの気持ちをわかった気がする。これは決して軽く許せることではない。

 

 「お喋りは、ここまでです。」

 

 自分の腕を斬り、荒魂が夜見の傷口から溢れ出す。その量は今まで見たより多かった。

 

 「どうやらこの戦いが避けられないみたいですね……」

 

 御刀を構えて、ミルヤは苦戦するかもしれない覚悟ができて、目の前にいる無感情の兵器に立ち向かう。

 

 「さぁ、行きなさい」

 

 そして、夜見は荒魂に意識で操作して、ミルヤを襲う。

 

 荒魂の群れはそのままミルヤに襲ってきて、ミルヤもそれを対応するために移動しながら荒魂を斬る。

 

 これほど大量の群れがあり、数ではミルヤに絶対不利。

 

 あれだけの群れに飲み込まれたら、戦闘能力が奪われる可能性がある。それを想定して、ミルヤは飲み込まれないように移動しながら皐月夜見の隙を見破るしかない。 

 

 しかし、流石に私との相性が悪すぎる。この場では、私の『鑑刀眼』が全然効かない。

 

 『鑑刀眼』はミルヤの固有能力。刀と刀を打ち合わせればその御刀の全てを知ることができる分析能力で、これを発動すると目に炎のようなエフェクトが灯る。

 

 しかし、相手の攻撃はほとんど荒魂。つまり刀を振る機会は接近戦になる場合しか。

 

 つまりミルヤは何とか皐月夜見が作った荒魂軍勢を突破しかなければならない。とはいえ接近戦になっても、彼女を一撃で仕留める剣技が必要だ。

 

 彼女が一応親衛隊の者。剣の腕はある程度に持っているはず……。

 

 クソ、これは詰んだじゃないのか?いや、考えろ、木寅ミルヤ。きっと何かこの状況から抜け出す戦法があるはず……。

 

 「はぁ…はぁ……はぉ……」

 

 それから数分が経ち。

 

 斬っても斬っても、終わりが見えない戦いの末に、ミルヤは荒息で荒魂の群れを次々と仕留めた。

 

 しかし、何度も何度も仕留めたところで、また新たな新手が現れる。このままじゃ、こっちが先に体力が尽きる。

 

 「さぁ、終わりにしよう。木寅ミルヤ」

 

 夜見はミルヤの体力がどんどん消耗されるところを見て、無表情でそう言い、また荒魂を呼び出した。

 

 「………くっ!もう打つ手がないのか……」

 

 また増えてきた荒魂の群れにミルヤはどんどん勝機が見えなくなる。身体にもボロボロになった。

 

 いつの間にか、もう写しが一回しか使えない。

 

 「さぁ、安らかに眠れ」

 

 荒魂の群れが一気にミルヤを襲って来る。それを覚悟するミルヤは最後の写しを被るとする、その時ーー。

 

 爆発が目の前に起こり、荒魂の群れが散らかされた。

 

 「うっ……!何か起きている!?」

 

 その爆風にミルヤは一時に前を直視できなくなる。

 

 この匂いは……火薬?爆弾?

 

 空気に漂っている匂いに、ミルヤはすぐこれが爆弾攻撃だと理解していた。

 

 しかし、なぜこんな森の中に爆弾が……?

 

 「ミルヤ、お待たせ」

 

 その時に、ミルヤの前に一人の刀使が空中から降りた。その人物は銀髪で、元気がない顔を持つ少女。

 

 「国頭!?あなたは無事なのか!」

 

 その少女の顔面を見ると、ミルヤはすぐ彼女が誰なのを知った。

 

 「見ての通り無事っす。まぁ、元々うちは学舎にいないっすよ。」

 

 「そうでしたか……それは良かった。それより、さっきの攻撃はあなたが……?」

 

 同じ学舎の人間の無事を確認できたミルヤは少し安心できた。

 

 「いいえ、あれは盟友の友達の援護射撃というものです。」

 

 「盟友?」

 

 「…………国頭 与。貴女の姿がずっと見つかりませんから、探しましたけど……あなたもここにいることがちょうど良かった。木寅ミルヤと一緒にここで冥加刀使にしてもらいます。」

 

 爆発で一時に混乱に落ちる荒魂をもう一度整う夜見は攻撃態勢を取り戻したみたいで、荒魂を二人に襲う。

 

 「それはお断りします。ジョルさん、お願いっす」

 

 そこでまた爆発が目の前に起こり、荒魂を散らかした。

 

 「外部からの攻撃?」

 

 「援護射撃を感謝いたっす!ミルヤ、今です!」

 

 「……え……?あ、……は、はい!」

 

 さっきの爆発によって、夜見に通す道が開かれた。それを見逃さない国頭はそのままに突っ込む。

 

 それを遅れ取るミルヤも彼女に続け、夜見を挟み撃ち。

 

 「………!」

 

 けど、夜見もそう甘く見られない。彼女は一部の荒魂を国頭に襲う。

 

 そして自分はミルヤの攻撃を防げる。

 

 「ちぇ………!」

 

 「木寅ミルヤ、それは残念ですね。」

 

 まるで彼女を嘲笑うような口。ですが、ミルヤは逆に夜見を嘲笑う。

 

 「いいえ、残念なのは貴女です!」

 

 「なに?うっ……!」

 

 背後が峰打たれて、夜見はそのままに気絶されて、地面に倒れた。

 

 「うちを甘く見ないでほしいっす。あれくらいの荒魂はうちを止められないよ。」

 

 「流石、国頭さん。お見事の連携です。」

 

 夜見に最後の一撃を与えた国頭にミルヤは彼女の見動きを褒める。

 

 彼女がさっき荒魂を速やかに鎮圧するところ、すぐ気配を消して、迅移でミルヤに注意を逸らせた夜見の後ろに峰打ち。

 

 彼女は綾小路少数の上位刀使。普段は学舎にいないため、彼女と接触する機会も少ないが……彼女の噂に関しては、どんなチームでもうまく連携を取り入れる能力が持っているらしい。

 

 その原因で、彼女は常に任務で各地で荒魂討伐や機密任務を行っていると聞きました。

 

 その実力をこの目で見ることは、ミルヤにとって光栄なことだ。

 

 「あのミルヤに褒められて、なんか照れるな……でも、これくらいは当然です。」

 

 少し照れてた国頭は顔を逸した。

 

 「それより国頭さんはここで現れるのが偶然ではないですよね?例え逃亡したとしても、これほどの備え……盟友でしたっけ?あれは一体……」

 

 「あ……それに関しては……」

 

 「その盟友はワタシだ。」

 

 ミルヤは国頭に聞くと、森の中に黒い装束を着ている外国人の男性が現れた。

 

 その男性は金髪、碧い目で。見た目はアメリカ人のように見えますが、フリードマンのような正統なアメリカ人の顔では少々違います。

 

 そして、彼が手に持つのはM32 MGL。南アフリカ産の連発のグレネードランチャーだ。日本語では複数手榴弾ランチャーと呼びますが……それは呼びやすいための通称だ。

 

 「木寅ミルヤさんでしたっけ?初めまして、ワタシはジョルと言います。この度は依頼主の依頼で、この方とあなたの撤退を援護させていただきます。」

 

 「あなたは……いいえ、ありがとうございます。さっきの爆発はそのグレネードランチャーから発射するものですね?」

 

 「はい、コイツはミルコウ MGL。ワタシの普段の装備ではないが……こういう場面ではコイツが最適だと思う。ほら、効果がパーフェクトですね?」

 

 ジョルはそう言い、ミルコウ MGLをミルヤに見せつける。

 

 回転式の弾倉を持ちグレネードランチャー。引き金を引くたびにグレネードが発射される。弾倉の中央部に設置されている軸を前方に引き、フレームの上部を軸にして上にスイングさせると弾倉およびバレルを開くことが可能。

 

 弾倉上部には、大きく仰角をつけられる小型光学サイトが装備されている。

 

 平均400mほどの射程を誇る対人榴弾・対戦車榴弾、警察で使用する非殺傷のゴム弾・催涙弾・発煙弾などが使える。

 

 これほど多用途の武器だからこそ、他国の軍隊に採用されている。しかし、まさか日本ではこういう武器が見られるとは……。

 

 因みに、日本の自衛隊にはこういう武器を使っていない。

 

 「確かに、あれくらいの荒魂を散らかす威力が助かります。それにしても、貴方の日本語がうまいですね。」

 

 「当国に相応の言葉をうまく扱うのが生存の基本です。うまく学べれば、暗殺、情報収集、暗殺対象の家に潜り込むことなども易くやり遂げます。」

 

 「暗殺……貴方は暗殺者ですか?」

 

 「いいえ。ですが、これも仕事の一つでございます。」

 

 そう言い、ジョルさんの顔は一切の変化が感じない。つまり彼はこういう質問に動揺されません。

 

 これだけ見ると、彼はよっぽどあっちの世界でのプロだと理解します。

 

 「裏社会の人間ですか……さっき依頼主と言いましたわよね?で、?その依頼主は私とどういう関係なんですか?」

 

 「………それに関する内容は、契約によって言いません。が、その依頼主は刀剣類管理局の人間ですので、刀使である貴女を助けるのが普通のことです。」

 

 「刀剣類管理局の人間か………まさか、裏社会の人間と関わるのか」

 

 ある程度の心準備がありますけど、五箇伝が闇社会と関係することは、真面目のミルヤにはちょっと受け入れられない。

 

 「そんなことより早くここから離れる方がいいですよ。親衛隊以外の新手が追ってくる可能性もあるかもね。」

 

 「……そうですね。申し訳ありません、少し乱れてしまいました。」

 

 「いいえ、ワタシの身分に関しては、それくらいの反応も予想済みです。お気になさらないでください」

 

 そう言い、ジョルは相変わらずの無表情ですが、彼の言葉からこれが仕方ないと気がします。

 

 ……まぁ、私達より社会の闇を接触する方なんですから、光の人間とのコミュニケーションも大体予想がつくのだろう。

 

 「それでは、ジョルさんはさっきと同じように援護役を回してください。うちはミルヤと共同行動をします。」

 

 「わかりました。」

 

 「………ジョルさん。短いですが、どうぞよろしくお願いします。」

 

 まだ闇社会の人間を受け入れないミルヤですが、彼が一応刀剣類管理局側に雇われる人間ですので、ミルヤもその偏見を卸して、しばらく彼のことを受け入れた。

 

 こうして、ミルヤは二人の護衛の下で、安全で刀剣類管理局に帰還した。

 

 しかし、そこで一緒に逃走する由依と葉菜の姿がどこにもいなかった………。




久々のジョルさんのご登場!読者さんたちは特に彼のことを忘れていたかもしれませんが、彼は前ではもう登場したキャラです。

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