可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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今回の内容は少しタキリヒメがなぜ人間を支配しようとするのと、都に起こした不思議な現象と夜見の覚悟についた内容です。

そして次回の話からは、いよいよ防衛省の戦いが始まる。


第52話:開戦の時

 都たちがタキリヒメとの交渉が終わった数分後。防衛省のあるところ。

 

 

 

 

 「むぅ〜。タキリヒメとか、もう切っ散ればいいじゃないかな」

 

 「こらこら、これでいいんですか?益子家の刀使がこんな短絡的なことを言っても」

 

 「冗談だ。だが向こうがこっちを少し応じないから、そう文句を言いたくなる」

 

 タキリヒメとの交渉から帰ってきた都たちからいつもの結果を聞いたら、薫はとても不機嫌そうな顔。

 

 その原因は彼女が言っていた通り、タキリヒメは都たちの口を聞かずにずっとこのような僵直状態を続いた。

 

 それはそれでムカつくだけど……。

 

 「まぁ、確かにワタシも少しミヤミヤたちが無視されたことで結構不満が溜まったのデス。けど、ミヤミヤと朱音様たちが諦めず交渉し続けた姿を見てたら、その不満を飲むしかない」

 

 「そうだね。また手が取り合える可能性がある限り、こっちも諦めずタキリヒメと共にタギツヒメと対抗するようにする。……けど、もうそんな時間がないってあいつ()もそう言ってた。」

 

 「近衛隊デスネ。詳しい話が知りませんが……タギツヒメはどうやらそれを使って攻めに来るみたい。」

 

 「攻めに来たから、きっとその近衛隊にかなり自信があるだろ。…都のやつもその近衛隊に警戒しているみたい。」

 

 「もしかすると、かなりの難敵かもしれませんね。近衛隊というやらは」

 

 何より、彼女たちに残された時間もない。近頃、タギツヒメは必ずその近衛隊とやらを連れて防衛省に攻めてくる。

 

 その事実を知り、エレンは珍しく難しい顔をする。普段はずっと笑って楽観的な表情で周りの人たちに安心させるんだけど、今回は不安定要素が多すぎだ。

 

 特に一度タギツヒメと手合わせした薫とエレンはよくタギツヒメの強さを知っている。エレンだって、一度人型の彼女と戦ったことが経験していた。

 

 とても強かった。……あの頃は彼がいなければ、今みたいに薫と喋らないと思う。

 

 「それでも、こっちは大人しくタキリヒメを渡す訳にはいかない。人間を四百年守り続けた益子家の歴史を舐めんな」

 

 「薫は強いですね。……ワタシは薫みたいに家の歴史が長くないですが、それでも愛する皆のためなら戦います。それはワタシの刀使としての拘りなのデース!」

 

 「そうか。いいじゃないかな、その拘り。……あ、そういえば、都のやつは今どこにいるんだ?」

 

 「ミヤミヤならヒヨヨンと別れた後、カナミンと一緒に晩食の食材を買いに行ったんデスヨ。」

 

 「そうか。……今日はアイツが担当しているんだ。……今回は少し手伝うか」

 

 「おや?薫は料理ができるんですか?」

 

 「簡単なものならできる。オレも一応女の子だから、男を満足させる料理も大概できる……多分。」

 

 「ミヤミヤのために特別作る料理デスカ〜?」

 

 「……少し、口うるさいぞ!エレン。」

 

 そして、重い話題から今日の晩ごはんの話に変わると薫はエレンにからかわれて珍しく顔が赤くなった。

 

 時に薫は乙女の時があった。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 一方 防衛省本庁舎。

 

 

 

 「よく見る………よく知る………」

 

 折神朱音たちとタキリヒメの謁見から数分後、タキリヒメはさっき可奈美が言ってた言葉を何度も思い返す。

 

 なぜ彼女はそんなくだらぬことを気にするのは、彼女自身もわからなかった。もしかして、これが単なる好奇心なのかもしれません。

 

 神を名乗る以前に、タキリヒメは他のヒメもそれぞれ思考で人と荒魂の価値を探っていた。

 

 そして、彼女(タキリヒメ)が紫の身体を取り憑いた二十年。その肉体から人間長年の行いをじっくり見極めていた。

 

 人間は生きているうちに、ずっと闘争や戦争から離れていなかった。特に同胞殺しは何千回以上続いた。

 

 なぜ人間はそのような行いをしたのか、なぜ止めていなかったのか。

 

 ……タキリヒメはずっと理解できなかった。

 

 この世界では弱肉強食という理論でできているのを理解しているだとしても、同胞殺しなんで流石に理解できない。

 

 確かに多くの生命は生きるためなら、自らの手足を斬る行為があった。だが、人間のようにただの欲望で自らの手足を斬るという愚かな行いをしない。

 

 本当にわからない。なぜ人間は自らの滅亡を望んでいるんだ?なぜそこまで権力と地位、お金や感情を拘っているんだ?

 

 それらの原因で人間は無数の戦争を引き起こし、無数の人はそのせいで亡くなったのに……なぜ止まらなかった。

 

 お前たち人間は我々荒魂より先に智慧をもらったのに、なぜ智慧がない低等荒魂のように仲間殺しをするのだ?

 

 人に対する疑問は湖に流れ込む川みたいにどんどん増えていく。だが、それを解決する人間はどこにもいなかった。

 

 例えあの折神紫でも、彼女にその答えを教えていなかった。

 

 そして、最終的に出した結論は神としてこの世界を君臨することだ。

 

 このまま放置すれば、人間はいずれ自らの手で滅ぶ。それだと、いかにも惜しい。

 

 故に長く自由しすぎた人を管理することで哀れな人間とこの星を救おうとタキリヒメはそう決めた。

 

 とはいえ、現在彼女の力が限られている。彼女が持つ力はあくまで元の半数に過ぎないのだ。

 

 隠世にいる本体を手に入れば、人と荒魂の全てを飼い慣らすように管理・支配する世界が叶えられる。

 

 それがタキリヒメが描いた最も理想の完璧な世界だ。

 

 争いがない、誰でも傷つかれることもない真なる理想郷。

 

 今だにその理想、我が宿敵たる三人はずっと理解できなかったが……。いずれわかる時も来るでしょう。

 

 何にせ、他のヒメの理想は人にとって害しかないから。

 

 「…………?………出てくるが良い。」

 

 また可奈美の言葉意味を気にしているタキリヒメは唐突にある存在を気付いた。

 

 そうしたら、鳴き声と共に一匹の荒魂が彼女の前に現れた。その荒魂の外見はまるでモフモフの小動物みたい。

 

 「荒魂…………いや、本来荒魂にあってしかるべき穢れが失せている。荒魂であって荒魂でない、お前は何者か?」

 

 小さい荒魂から何の穢れさえも感じられない。そのものは確かに荒魂である……。だが、どうしてなのだ?荒魂は穢れで組み合わせているじゃないのか?

 

 荒魂は基本穢れであるノロに仕込んでいる。それは神である彼女でも逃れられない宿命である。

 

 だから、彼女はこの荒魂がなぜ穢れがないことを不思議と思っていた。

 

 「ねー…………?ねっ!ねねーー!」

 

 最初はタキリヒメの質問がわからない反応を取れた荒魂ですが、突然荒魂はあるところに視線を集中して、そこへと飛び込んでいく。

 

 もちろん、そちらの意図を簡単に読み取るタキリヒメですが、彼女はそいつの侵入を許した。

 

 何にせ、目の前にいるのは脅威すらもない無害な荒魂だから、神たる彼女がそんな小さいな荒魂を目に入らない。

 

 「我の胸元に何用か?」

 

 「ね〜ね〜!」

 

 そして、彼女の胸の中に潜り込んだ荒魂。そいつはその柔らかいおっぱいに包まれてとても幸せそうな顔をする。

 

 本当に不思議な荒魂。

 

 「………しかし、穢れがないとはいえ、なぜ人はお前を放置している?」

 

 「ね?」

 

 わからない顔をする荒魂。こういう反応はまるで人みたい……。

 

 「お前もまた人の無知と愚かしさによって生まれた災厄の獣。だが、なぜお前は穢れを持たぬ。」

 

 しかし、そこはまたわからないという顔。恐らくこの荒魂は知能がないだろう。

 

 穢れがなく、知能もない荒魂……少し気になる。

 

 「お前の記憶、少しのぞかせてもらうぞ」

 

 そう言って、タキリヒメは荒魂を手で掴む。もちろん抵抗しているが、それは無駄な動きであった。

 

 そして、タキリヒメは荒魂の額と彼女の額と触れ合させて、ーーねねという荒魂の過去を覗き始めた。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 さらに数分後、タキリヒメとの面会が終わってから市ヶ谷の街中に買い物をする衛藤兄妹たち。

 

 

 

 「お兄ちゃん重くない?手伝おうか?」

 

 夕食に使う食材を両手で運ぶ都は、すぐ隣に歩いている可奈美に関心された。

 

 何にせ、彼が持つ袋は重そうに見えるから。見るだけでちょっと申し分ない気持ちが可奈美の心底から生み出した。

 

 「大丈夫大丈夫。これくらいの重さは大したことがないよ。」

 

 「でも、これは七人分の食材だよ?お兄ちゃん一人で大丈夫なの?」

 

 「平気平気。俺は皆の隊長だから、皆の食材をちゃんと運ばないと」

 

 「それは隊長の仕事ではないと思うけど……」

 

 正直、都は隊長としてはやり過ぎだ。もちろん、これはいい意味で。

 

 彼は今日の晩ごはん作る担当だけではなく、市ヶ谷の防衛戦略、見回り、他のチームと織田事務次官などの人間との取り合わせなども一人で背負っていた。

 

 こんな頑張っていたバカに、可奈美たち六人は結構悩んでいた。

 

 故に、彼女たちの毎日の課題は彼が疲れすぎないように定期的癒やしや手伝いをすることだ。

 

 基本、膝枕や料理当番交代するくらいの出来事だ。

 

 ちなみに、沙耶香と薫は一度都と添い寝するつもりだが……すぐ姬和とエレンに止められた。流石に未成年二人が一人の男と一緒に寝るのはいけない。

 

 「ねねっ!ねっ!」

 

 「うん……?ねねちゃん、どうしたの?」

 

 そんな時、ある生き物の声が後ろから伝わってきた。

 

 可奈美と都が軽く振り返ると、黄色の生き物がそこにいた。

 

 「ねね?なんて一人でここにいる?薫は?」

 

 「ねっ!ねねっ!」

 

 ねねは特有の叫び声をしながら、さっき来る方向に戻す。そして数歩渡ったところで、ねねは再びこっちに頭を振り返って叫ぶ。

 

 「こっちに来いってこと?」

 

 「ねっ!」

 

 応答しているように頷くねね。どうやら、我々をそいつについていてくださいと言っているみたい。

 

 「お兄ちゃん、どうしよう?」

 

 「可奈美は先にねねについて行ってくれ。きっと何かしらの用事があるんだと思う。晩ごはんの前に戻ってきてね」

 

 「うん、わかった。」

 

 軽く頷いて、可奈美はそのままねねの後ろについていく。

 

 そして、その可愛い背中を暖かく見守るバカ兄は、妹の姿が消えるまでずっと見守っていた。

 

 「ねねのやつは俺や可奈美に何か用があるのを知らんけど、きっと害を与えることではないと思う。さて、俺もゆっくりと戻るとすーー」

 

 「ーーーーー」

 

 そろそろみんなの所に帰るその時、突然彼はある謎の気配を感じた。

 

 「………っ!?」

 

 都は咄嗟に振り返りつつ、床を蹴って距離を取る。

 

 いない……?

 

 しかし、視界の先に誰もいなかった。

 

 おかしい……確かに気配を感じたはずだった。

 

 自分の気配察知に結構自信がある彼。今回は珍しく外れだった。

 

 「気のせいなのか……?」

 

 「ーーーーー」

 

 またその気配が感じて、都はしばらく荷物を地面に置いて、御刀を構う。

 

 周囲をじっくり見回すと、そこにいるのは彼の異様に色目を投げてくる人々しかいない。

 

 「何なのさっきのは……」

 

 さっきのよくわからない気配でしばらく困惑する彼。……気配が一瞬感じていたのに、身姿は完全に見えない。

 

 「なんか嫌な予感がしてきた……。早く皆のところへ戻ろう」

 

 地面に置いた2つの重い袋を無理矢理に片手で持ち上げる、もう一手を御刀に置く。

 

 うおっーー!重っ!

 

 袋を持つ片手はかなりの重量で危うく手放しそうだった。だが、流石に気配の正体を捉えるまでに、無防備でいられない。

 

 少なくとも、警備が厳重中の防衛省に戻るまではこの体勢で襲来するかもしれない攻撃を備えなければならない。

 

 それから防衛省に戻る道中に、都はずっと警戒し続けていた。だが、その気配はあれ以後に現れなかった。

 

 あれは一体何なの……?

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 夜、六時四十九分。

 

 

 

 

 とある高層ビルの上に、元親衛隊の皐月夜見が屋上に立っている。彼女は無表情の顔で残る時間を確認している。

 

 作戦開始まであと十分くらい。時間切れまで、彼女はしばらくここで待機することになる。

 

 「……………」

 

 普段はほとんど静かな彼女は無言のまま、冬の冷たい夜風を体当たせられる。もちろん寒さが感じますけど、そんなことより彼女は目の前のことを集中している。

 

 ここから先は自分が荒魂を使って、刀使たちの妨害や囮を務める役だ。主力部隊ではないけど、自分に渡された任務は何よりも大事な任務である。

 

 そして、親衛隊の二人を惹き付けるのもこの計画の一部だ。実力がトップの親衛隊たちを防衛省から離させれば、敵の防衛戦力は大半に減ります。

 

 そうすれば、ヒメたちの行動もより易く行けるのでしょう。戦力でも冥加刀使の方があっちより遥か回っているし、一人では数人の刀使を相手でも特に問題がないはず。

 

 それに、警戒すべき人物はただ七人しか。数ではこっちのほうが絶対有利だ。

 

 同じ脅威度の調査隊にも別働隊の“山城由依”たちが止めさせる。決して彼女たちを衛藤可奈美たちの加勢にさせません。

 

 これほど有利な作戦に夜見は本作戦が必ず成功すると信じていた。けど、内心ではある不確定要素でかなり不安だ。

 

 なぜなら、敵側の衛藤 都という男は常識外れの人物である。不確定要素としては十分脅威がある男だ。

 

 彼は生身で刀使を倒せる実力者にして、親衛隊最強の一席の燕 結芽と戦える者にして、刀使という力を覚醒する初の男性刀使だ。彼に対するコメントはただ異様しか名付けられない。

 

 彼はこれからどう進化するのか、夜見は考えたくない。“予測できないんだ”。

 

 それでも本作戦の成功率が高いのも揺るぎがない事実だ。ヒメという反則級の戦力がいれば、それを対抗するために必ず衛藤可奈美と十条姬和二人が必要だ。この二人を封鎖すれば、ヒメを止める者がいない。

 

 例え衛藤 都でも一人で未来視を持つ相手にどうしようもないだろう。

 

 そういえば、彼と話す機会がほとんどいなかったなぁ……。元は御前試合の時におむすびだけの歓迎会をやるつもりなのに、紫様暗殺未遂事件のせいで、彼が親衛隊から除外された。

 

 ちょっとだけそれが惜しいと思っていた。彼女と獅童は同じく隊の新入りを心の底から歓迎したいと思っていた。

 

 だが、それはもう叶えない夢だった。今はお互いが敵同士。

 

 自分は悪、向こうは正義。闇と光はもう交じり合うことができない。

 

 ……本当に運命のいたずらは酷すぎる。しかし、これは私が選んだ選択だ。後悔することはない。

 

 例えこの後は此花さんと獅童さんたちと戦うことになっても、私は忠誠の道を最後までに尽くします。

 

 だから手加減はしません。悪役として、全力で振る舞います。

 

 それはーー私の、元親衛隊第三席の拘りです。

 

 「そろそろ時間ですね………」

 

 考えているうちに、作戦開始はもう既に一分足らずになってしまった。

 

 「さぁ、あの人のために世界をより混沌になりましょう」

 

 御刀を抜き出し、夜見はあの人が授かる力を使う。

 

 こうして後世に市ヶ谷防衛省防衛戦と呼ばれる戦の幕がここで開いてしまった。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 夜、七時十分頃。

 

 

 

 

 「はい……はい………わかりました。」

 

 本部からの連絡を受けていた都は重い顔をしていた。どうやら町中に大量の荒魂が発生してしまった。

 

 もちろん舞衣たちのスペクトラムファインダーも特にそれを反応しているが、すぐ出撃しなかった。

 

 なぜなら都は事前でこのような状況を予測していたから、彼が指示を下すまで全員待機という状況だ。

 

 刀使としてはとても心苦しい待機命令だが、高戦力である彼女たちは荒魂対峙で、タキリヒメの警備を諦めるわけにはいかない。

 

 行けないだが………。

 

 「ミヤミヤ、これからワタシたちはどう動きマス?」

 

 「タキリヒメの警備は何より大切なのもわかっているが……」

 

 「刀使の役目は人を襲う荒魂を対峙すること。」

 

 「本能では流石にそれを無視できん。」

 

 隊員たちはそれぞれ狼狽える顔で焦っている。その気持ちは今だにわからないが……荒魂から人々を守るのは彼女たちの役目。

 

 彼女たちがいなければ、荒魂による被害もどんどん広がるでしょう。故に、この状況は彼女たちが必要だ。

 

 けど、そこは敵の狙いだったかもしれないので、軽く主戦力を派遣しちゃいけない。

 

 「とりあえず、荒魂の処置は他の刀使部隊に任せましょう。急いでいるが、事前に同じく警備役の苗場(なえば)と綿貫さんたちと相談しました。彼女たちは荒魂を出現する場合に荒魂を優先に対峙します」

 

 「とても失礼な質問ですが、彼女たちの実力は?」

 

 「苗場さんと綿貫さんお二人はとても優秀の刀使です。指揮能力の腕もかなり優れているので、実力方面は心配無用でしょう」

 

 「じゃ、彼女たちに任せてもいいってこと?」

 

 「ああ……俺たちはただタキリヒメの警備を集中するがいい。むしろあっちのほうが陽動……」

 

 「陽動……?」

 

 都の言葉に少し気になる舞衣。彼がこれを陽動と言うならば、本命は……。

 

 「都、それはまさか……!」

 

 舞衣より先に察した薫は結構真面目な顔だ。

 

 「そのまさかだ。荒魂の襲撃は恐らく元親衛隊の皐月夜見が放った攻撃なんでしょう。大量の荒魂の出現はどう見ても普通のことじゃ見えない。ならば、これは人為的の攻撃である。しかもーー陽動攻撃だ。」

 

 「陽動……それって本命はまだ来てないってこと?」

 

 「………本命、タギツヒメと噂の近衛隊か……。」

 

 都の言動からそれを察した姬和。彼女たちにも近衛隊のことを話した。

 

 もちろん当場で一番激動する姬和を慰めていた。彼女はどうしても荒魂の力を受け入れる人間を受け入れないみたいだ。

 

 まぁ、それも仕方ないことだ。同じく親衛隊と手合わせした経験者として、その気持ちがわかる。

 

 それに加えて、俺は結芽と寿々花がそのものに苦しんでいたことを知った。ノロによる特性で時々自分を抑えなければならない。

 

 だから、近衛隊の話を聞くときに俺も少しだけ皐月さんのことを心の中で叱っていた。

 

 あれはどれだけ危険なものなのか。後者はともかく、前者ならよくわかっているはず……なのに、彼女は殺ったのだ。

 

 理由は今でも知らない。彼女は一体何のために今までに戦ったのだ?

 

 とにかく、皐月さんのことを獅童さんたちに任せよう。俺たちは近衛隊とタギツヒメへの対応を集中すればいい。

 

 「うん、敵の本命は間もなく何かの方法でここに突入するのだろう。その前に、全員は一旦S装備の用意!俺は周囲にいる平城と長船の刀使たちを一旦正門に集める。」

 

 「死守するつもりデスか?」

 

 「ああ……守備戦力を各地に分散するより、一箇所に集まった方がいい。」

 

 それに、近衛隊の戦力はまだ無知数なので、力を集めて迎擊したほうが効率がいい。

 

 それと、タギツヒメが現れる次第、こっちも近衛隊のことを他の刀使たちに任せて、タギツヒメと戦う余裕が作られる。

 

 うまく行けるといいんのですが……。

 

 「なんかミヤミヤは戦略家みたいデスね。」

 

 「そんな物騒なことを言わないでくれ。エレン」

 

 笑顔で物騒なことを言うエレンに都は少し困る。だって、彼は自分をただ普通のお兄さんだと思いたい。

 

 例え今は刀剣類管理局と親衛隊の一員に入ることだとしても、彼は一人のお兄さんをやりたい。

 

 「でも、確かに隊長としてはお前は頼れるな」

 

 「うん、都はいい隊長。」

 

 「そうだね。都くんは私より優秀な指揮者ですから、きっと私たちに正しい判断を下しますね。」

 

 「まぁ、私もお前の隊に入れることを良かったと思う。」

 

 「皆……」

 

 エレンに続いて、他の四人も都のことを褒める。正直めちゃ恥ずかしい気分ですが、凄く嬉しい……。

 

 やっぱりこのメンバーたちといると、少し浮かれてしまいましたわね。俺は。

 

 この後、全員にS装備の用意をさせた。俺も自分が成すべきを成すために動き始める。

 

 市ヶ谷防衛省防衛戦の夜はまだまだ始まったばかり。




瀬戸内智恵さん、お誕生日おめでとう!2月ってお姉ちゃんの日だと気がしてきたよ!二人のお姉ちゃんの誕生日があるんだよ!この2月は!
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