可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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前回の話から、ほぼ原作でもないオリジナルシーンになりました。原作では、防衛省の戦いが想像より短ったので、今作で少しこの重大な戦いを延びたいと思います。


第54話:激闘の夜

 夜、七時三十分

 

 

 ー防衛省本庁舎ー

 

 

 

 

 外からの戦闘音が本庁舎の奥まで届いた。

 

 (どうやら敵が防衛省に攻めてきたようだ。暫く、外のことを可奈美たちに任せた。こっちも、そろそろラスボスを迎える心構えをしないと)

 

 そう思い、彼は天井の方へ見つめる。

 

 もし予想が外さなければ、アイツは必ず近衛隊を囮に使って、自らそこから来るはず。

 

 「……後で、きちんと可奈美たちに謝ろう。自分がまた無茶なことをしたお詫び」

 

 そして数秒後、予想通りに上から何か割れた音をする。割れたガラスの残骸がそのまま天井から落ちていく。

 

 「…………」

 

 全集中で軽くガラスの破片を避けながら、彼はガラスと共に上空から落ちていく黒い人影を見つめる。

 

 やがて、その黒い影が地面に着地する時、“彼女”は都と視線が合った。

 

 「我を待っていたのか?」

 

 「来ると思っていたよ。“タギツヒメ”。」

 

 御刀を鞘から取り出し、構えを取る。

 

 彼は最初から彼女と一騎打ちの形を望んでいる。

 

 「ふっ……貴様一人か。大した自信だな。」

 

 「ああ、可奈美たちは大忙しいからな。悪いが、俺がお前の相手をしてやる」

 

 「ただの半人前の刀使は如何に我を止めるか」

 

 「それはやってみないと、わかんないだよ!」

 

 「………ふんっ、愚か!」

 

 ほぼ同時に二人は迅移で最初の一撃を放った。刀と刀のぶつけ合う音がこの空間に響く。

 

 この音と共に、二人は戦い始めた。

 

 (最初は全力で行く!リスクを考えず全力で斬る!!)

 

 「ふむ、なかなか良い気迫が含めた一撃じゃ。だがその程度の力は我を倒せん!」

 

 「ぐっ……!」

 

 剣がタギツヒメに軽く弾けられた。それで大きな隙が現された彼にタギツヒメは右手の刀で突刺する。

 

 幸いのことに彼はそれを読み取り、上手く回避できた。

 

 しかし、回避するところ、タギツヒメはさらに左手の方を都に斬りかかる。

 

 「ぐっ……!」

 

 急ぎの最中に写しを貼り、彼はぎりぎり迅移で回避する。

 

 (流石天下無双の剣術……手強い!)

 

 ただ極短い手合わせの中、彼は相手の剣法がそんな簡単に見破れないものだと知った。

 

 「一瞬の写しと迅移か……これは刀使の中でもなかなか高難易度の操作だな。」

 

 「俺は一瞬しかこの力を出せないからな。強引に斬られて解除されたら、それはおしまい。だから、そうならないように特訓したのよ!」

 

 「ふんっ、()の前に何秒持ち耐えるか!人間!」

 

 激しい攻防戦中、彼は次々とタギツヒメの攻撃を防ぐ。

 

 そして後ろの方へ一時退避する都を追うタギツヒメが再び迅移で接近すると、都はタイ捨流を使い、刀柄という部分でタギツヒメの攻撃を受け止めた。

 

 これはかつて御前試合の時、エレンが姬和の斬撃を受け止める技だ。

 

 「ほぉ……」

 

 その技に少し驚くタギツヒメ。彼が燕 結芽以外の流派も使うのが想定外だった……。

 

 「はぁ!」

 

 攻撃を防いた後、都はすぐタギツヒメへ上段斬撃で斬る。しかし、未来視の前ではそれくらいの攻撃はそう簡単に彼女を届かん。

 

 最も彼女にダメージを与えるのは、ほぼ不可能のことだ。それでも、まだまだ終わってないっと彼は確信している。その未来視は必ず弱点があるはず!

 

 彼は型を変え、踊るように天然理心流の剣技を引き放す。

 

 まず柳生新陰流の基盤で慎重に彼女の攻撃を読む。そして猛攻撃する時は天然理心流に交わす!

 

 これは、彼がこの五ヶ月間ずっと鍛え上げた技術。多数の流派を一つにする絶技。

 

 その名は「流水」。

 

 水はすべてを飲み込み、受け入れる。そして、硬い石でも破壊する力がある。

 

 「ほぉ……これは……」

 

 都は自分が学んだすべてをこの場で運用する。何とか刀使の力と合わせて、タギツヒメと引き分ける程度になった。

 

 そこのところ、タギツヒメもかなり驚かされたようだ。まさか彼一人で自分とここまでやり合えるなんで……思わなかった。

 

 「うぐっ……!」

 

 しかし数十回攻防の後、都は一瞬隙取られて腰がそのままタギツヒメの攻撃を食らった。いくら避けようとしても未来を見える相手にどうしようもならん。

 

 「さて、この余興もそろそろ終わりにしよう。所詮、貴様一人では我の相手にならん」

 

 「ちぇ……!」

 

 まるで都を嘲笑っているようなタギツヒメ。その表情はとても腹立たしい。

 

 完全にこっちを見下している。

 

 (クソ!とてもムカつくか……。お腹が貫通したせいで集中力は維持しにくい!)

 

 熱い鮮血と痛みが段々と傷口から溢れ出していく。このままじゃまずいと大脳からよく警告してきたが……ここでは諦める訳には行かない。

 

 何せ、この場から退けばタキリヒメがタギツヒメに吸収され、実態が今より悪化する。

 

 そうなったら、可奈美たちにもっと負担をかかる。それだけは避けたい。

 

 「痛みを気にせず、我と戦うつもりなのか……ふっ。」

 

 都は刀を握って攻めに来るのを見て、タギツヒメは小さく嘲笑った。これほど命知らず、愚かな人間は彼が初めてだ。

 

 そして彼女は都が斬りかかる攻撃を軽く対応する。都も彼女の動きを読み、躱す、防ぐ、隙を見つけて攻撃する。

 

 「………刀使と人間の間に挟まれた存在とはいえ、人間の範囲から離れてない貴様は、所詮弱き人だ。」

 

 「ぐっ……!」

 

 ぎりぎり迅移で首に振り込んだ斬撃を回避する。

 

 負傷をおった彼は劣勢に落ちつつ、ただ防御を徹するしかない。さっきは何とか彼女と引き分けたのに……。

 

 「貴様はどうやらまだわかっていないようじゃだな。さっきの我は全然力を入れていなかったのだ。少し本気を出したら、貴様もこの惨めな様だ。」

 

 「なるほど、これが未来視というやつか……。相手の可能なる未来を見て、そのうちから最善の行動を取る。可能性がある限り、俺を押せる方法もいくつがある」

 

 彼女の二本の刀を弾けて、彼女と一旦距離を取る。

 

 「よくやく神と人の差を知ったか」

 

 「ああ……ついでにお前の未来視の弱点も大体わかった気がする」

 

 「なに……?」

 

 自分の能力を弱点があると言われ、少し不愉快な表情をするタギツヒメ。

 

 「貴女は未来を知ることができる。だが、お前ができるのは、ただそれだけのことだ。」

 

 「………」

 

 「お前が持つ未来視が捉えるのはあくまで、“可能性の範囲”での未来しかない。自分が好きに思い描いた未来を選んでいるわけではない。」

 

 「………」

 

 一度に百個の可能性を見ることができても、その中に自分に都合の良いものがあるとは限らない。つまりそれは見ることはできても、“干渉はできない”のだ。

 

 「未来を掌握できるのならここまで俺とやり合えないはず。タキリヒメの吸収を優先にするお前は俺と無駄な戦いをしているのは、そうができないからではないか?」

 

 「………ふむ。」

 

 タギツヒメは押し黙ったまま、数秒――二秒ほどではあったが、意外という反応の素振りを見せた。

 

 「……まさか貴様如きの人間にここまで見抜かれるとは、実に不愉快のことだ。確かに貴様を相手に少々手強いと思っていたが……それはあくまで“手強いだけ”。我を勝てぬわけではあるまい」

 

 「………そうだね。俺も全然お前に勝てる気がしない。」

 

 「では、なぜ我を抗る?やはり千鳥の娘と小烏丸の娘が貴様の戦う理由なのか」

 

 「実はもう一人がいるけど……まぁ、最初から俺はずっとあの三人のために戦い続けてきた。今は人数が増えたけど、あの三人のためなら神でも斬る覚悟があります。」

 

 「それが自らの死を導くとしてもか?」

 

 「残念ながら、俺は殺されても死なぬ男だ。」

 

 「なら、我が貴様をあの世に引導してやる」

 

 「それはこっちのセリフだ!タギツヒメ!」

 

 お互いがまた動き出し、戦闘を再開する時ーー。

 

 「ぐっ……しつこい!」

 

 「歩ちゃん……」

 

 「さぁ、もっとやりましょうよ。衛藤さん!」

 

 「十条姬和!今度こそ貴女を殺す!」

 

 ガラスが割れた音が響き、数人が唐突に完全壊された自動ドアから中へと入っていた。

 

 「どうやら、邪魔が入っていたようだ。」

 

 「あれは……可奈美!?ここまで戦ってきたのか!」

 

 二人は同時に動きを止めて、突然入ってきた可奈美たちの方へ注目する。

 

 「お兄ちゃん……!?それと、あそこにいるのはーー」

 

 「タギツヒメ!?なんてここにいる!」

 

 そして彼女たちも都の声を反応して都たちの方へ向くと、そちらもタギツヒメの姿を確認できた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 一方・防衛省まで約2キロの地点ーー

 

 

 

 

 調査隊は荒魂を斬りながら、急ぎに可奈美たちと合流する。しかし、その途中に彼女たちは荒魂に襲われて、かなり足止めされた。

 

 「はぁ……はぁ……これで最後?」

 

 最後の荒魂を斬り払った安桜美炎は荒れた息で、調査隊のみんなに聞く。

 

 「疲れた……防衛省に着く前に、体力使い切っちゃいそう。」

 

 「こうも邪魔が入り続けると、たどり着けるかどうかも怪しいわね。」

 

 そして、みんなも美炎と同じく体力がかなり消耗されている状態だ。

 

 まぁ、あれだけの荒魂の数を倒したから疲れるのもおかしくない。……だが、荒魂がこんなに湧くのは尋常ではない。

 

 これほど量の荒魂は一体どこから湧いてきたのか……。

 

 「これほどの荒魂がうちらに襲うということは……よほど、うちらを防衛省に近づけたくないようですね。はい、水。」

 

 「ありがとう、国頭さん。」

 

 臨時的に調査隊に編成された国頭 与が清香に水を渡す。この中、清香は一番体力が弱そうな女の子だ。

 

 とはいえ、彼女の実力は平城でもかなり上位の刀使い。

 

 かつて伊豆の山で彼女は一人で仲間を守りながら、獅童と寿々花と戦った経歴があった。その戦績があって、彼女も調査隊に所属したまま。

 

 「流石に鬱陶しいな……。さっさと先へ行かせやがれ!」

 

 そして、長時間で荒魂に足止めされてかなりイライラする七之里呼吹。彼女にしてはかなり珍しい態度だった……。

 

 「あれ?ふっきー。荒魂とたくさん戦えて、喜んでいると思ってた。」

 

 そう、彼女は荒魂と戦うのが大好き女。荒魂がいる場合、必ず遊び……退治しに行く。

 

 おかけで彼女は鎌府ではかなり活躍を稼ぐ刀使。同じ鎌府の糸見沙耶香と実力がほぼ同等らしく、仲も良さそうに見える。

 

 しかし、彼女はプリンと荒魂以外に興味がないゆえ、御前試合選抜戦はパスした。でなければ、今年の御前試合は彼女が必ず出るはず。

 

 そんなところ清香とミルヤも同じだ。彼女二人も腕が優れている刀使なので、御前試合に出ればいい成績が取るはず。……けど、それぞれ個人的な理由で彼女たちは御前試合に出ることがなかった。

 

 多分美炎以外の調査隊メンバー全員はそうだったのかもしれない。

 

 「何を言っているんだ!みほっち(#美炎のこと)。タギツヒメが来るかもしれねーんだ!雑魚を相手にするより、そっちのほうが面白そうじゃーねか!」

 

 「ああ、そういうことか。やっぱ、ふっきーはふっきーだ。」

 

 「そこは安心する場合なのか、安桜美炎。それより、本気にタギツヒメと戦うつもりなのですか、七之里呼吹。」

 

 呼吹の発言に呆れたミルヤ。いくら何でも大荒魂と“遊ぶ”のは無茶しすぎる話だ。

 

 「でも南無薬師景光がいないと、タギツヒメは倒せないと思うんだけど……」

 

 そこで清香は最も重要なことを話した。大荒魂を退治するためにかつて大荒魂を退治した御刀が必要だ。その南無薬師景光はその御刀だ。

 

 しかし、調査隊は最後までその刀を手に入れることができなかった。

 

 「そりゃ、いくらかダメージが与えりゃ、逃げ帰るだろ。可奈美たちも言ったろう?タギツヒメは彼女たちにより、負傷して逃げ帰ったからそれで十分じゃねーか」

 

 「……確かに、今回の任務では護衛でしたわね。タギツヒメを撤退させれば、こちらの勝利ということ。」

 

 「意外ですね。七之里呼吹。」

 

 「ほらな。アタシだって、ちゃんと考えてんだよ」

 

 自慢しているみたいにドヤ顔をする呼吹。

 

 「ふっきーが頭を使ってる!?」

 

 「ただタギツヒメと遊びたいだけじゃ……」

 

 「おーい。お前ら、あとで体育館裏な。」

 

 そんな二人に舐められたことをムカついた呼吹。笑顔のままだけど、目が全然笑っていない。

 

 「あはは……いつものような雰囲気ですわね。」

 

 「そうですね。だが、これこそ私たち調査隊だ。」

 

 「なんか面白い小隊ですね。うちもちょっと入りたくなっーー誰か来る!」

 

 戦いが終わった後の茶番に再び楽しむ雰囲気になった調査隊の面々ですが、そこで国頭が良からぬ気配を感じて戦闘態勢に入った。

 

 「あれーー?バレた?かわいい女の子たちにサプライズにしたかったのに……」

 

 「それは残念ですね。あと一歩のところに一人を取れるのに……まぁ、どっちにしろ貴女たちをここから先に行かせはしませんけど」

 

 声と共に、高層マンションから飛び降りた数人の集団。その全員は綾小路の制服を着ている……つまり彼女たちは噂の近衛隊に所属する冥加刀使。

 

 「そんな………あなたたちは……」

 

 「………………」

 

 そして先頭にいる二人の刀使の顔を見て、同じく綾小路のミルヤと国頭は信じられない顔をしている。

 

 その二人は元調査隊所属の山城由依と鈴本葉菜。本来ミルヤと一緒に綾小路から脱出するはずの行方不明の二人。

 

 「でも、これもアタシたちの実力をアビールできる大チャンス!」

 

 「そういう訳です。皆さん、お覚悟を」

 

 二人がこう言って、何処か狂気に染まる目で調査隊に睨んで御刀を抜き出す。その後ろにいる冥加刀使も御刀を抜き出した。

 

 それだけの動きを見ると、彼女たちが敵だと一目でわかる。そして“その意味”、ミルヤと国頭も心が痛むほど理解している。

 

 「どうやら、うちらだけか脱出成功みたいですね……ミルヤさん。」

 

 「くっ……どうして……どうして……」

 

 「ミルヤさん……気をしっかりしてください。もう起きたことだから」

 

 ミルヤはとても辛い顔をしている。その顔はとても悲しくて悔やんでいる。

 

 そして国頭もとても辛そうな顔でかつての同僚に刃を向きながら、ミルヤを慰める。

 

 「…………」

 

 「まさか、これって……そんな……嘘、ですよね……?」

 

 「……信じたくないけど、どうやら現実みたい。相楽学長……、悪趣味が過ぎますよ。」

 

 「ちぇ……!」

 

 調査隊のみんなもこのような事態もよく理解していて、同じくこのような事実を受け入れたくない辛い顔をしている。

 

 「ねえ、二人共……その冗談をやめよう?お願いだから……、ねぇ!!」

 

 その中、最も仲間を大事にする美炎は特にそんな現実を受け入れたくなかった。昔の仲間と刃で向き合うなんて……そんなのありえない!

 

 「そんな悲しそうな顔しないでくださいよ。せっかくの可愛い顔が台無しじゃないですか。ほ〜ら、スマイルスマイル。」

 

 「新しく手に入れる力を試すのに、これ以上の相手はない。僕たちは、全く運がいい。」

 

 しかし、彼女たちから漏れた戦意が消えることなく、増したように見える。

 

 「……由依……葉菜………」

 

 「安桜美炎さん、戦意がないなら、後ろに下がってください。いや、戦意がない人は戦わなくていい……これはうちのミスだ。ミルヤだけを助け、他の二人を信じたうちのミスだ。」

 

 「国頭さん……それは……!」

 

 「………相楽学長が犯した罪はうちが償うよ」

 

 国頭が既に御刀を手に構える。彼女は今まで以上の本気さを感じた。恐らく一人で全員と戦うつもりなのでしょう。

 

 「一人でやるの?僕たちは甘く見られましたわね。」

 

 「うん〜、国頭さんはと〜でも可愛いけど、ヒメに逆らうつもりなら、あたしでも手を抜きませんよ。」

 

 「うちも……心苦しいけど、同じ綾小路出身であるうちがここで貴女たちを止める!」

 

 「待って!由依ちゃんも葉菜ちゃんも、正気に戻って!私たちが争う理由なんてどこにもないでしょう?」

 

 それを止めに来た智恵。彼女も美炎と同じ、かつての仲間と戦いたくない。

 

 「おかしいのこと言いますね。理由なら、あるじゃないですか」

 

 「タギツヒメ様は、“理想郷”を創造されるお方。それを邪魔にしようとする者は、万死に値する。」

 

 「理想郷……?」

 

 「嘘も偽りもないーー。一切の醜さも存在しない世界だ。」

 

 「どうせ、そこには人間も存在しないってオチなんだろ?」

 

 「なんの問題があるんです?“ヒメが決めたことなら、それが正しいことなんですよ”。」

 

 「ちぇ……正気じゃねーな、ったく。」

 

 舌打ちをする呼吹。そういう正気がない理論上での話し合いは好まない。

 

 「ねえ、二人とも。ホントにどうしちゃったの?……二人も消えちゃうよ!死んちゃうわよ!」

 

 「安桜美炎さん……」

 

 美炎が由依たちのことを凄く心配している。

 

 「それもいいのよ。僕は、“偽りだらけの生き方”に疲れ果てたんですよ。嘘を嘘で塗り固めるスパイとしての生活。“本当の僕は、一体どこにいる”!?」

 

 「鈴本さん……それがあなたがずっと隠していた悩みなのね。」

 

 さっき彼女の口から出すのは鈴本葉菜の本心だ。

 

 彼女はずっとスバイとしたの生活を疲れていたんだ。ずっと嘘を嘘で自分を塗り固める……そういう生活はもうどれが本物の彼女なのか、わからなくなってきた。

 

 そういう封じていたストレスはノロの力によって増大させ、彼女はこのように欲望が暴走している。

 

 「そんな何もない僕を近衛隊として認めてくれた。ありのままの僕を、認めてくれたんだ!」

 

 「タギツヒメは救いの神。神のために戦える幸せを知らないなんて、可哀相。」

 

 「救いの神って……そんな神が山城さんは、何か救われたの?」

 

 「貴女たちに言ってもわからないから……あたしは救えない。何もできないんだ。」

 

 「予想以上に強力な洗脳ですね……高津学長、こんな危険な産物を作っちゃって」

 

 ブツブツと国頭は特に知っていた話を調査隊の皆に教える。

 

 ノロの影響による洗脳能力。絶対服従、死ぬまでに戦う非人道的の実験産物。それが近衛隊が使っているやつだ。

 

 「洗脳……なんて国頭さんがこんなことを……」

 

 「………色々と相楽学長から聞いた。ううん、反応から覗いたのよ。」

 

 相楽学長も結構悩んでいた。自分の生徒にこんな危ないものを使わせるのか……。

 

 「さて、長い話をしてた気がするので、そろそろ始めましょうか?手加減なんかしたら、死んちゃうだから。真面目にやってね。ねぇ、みんな?」

 

 殺意満々の二人に対し、全員は抜刀……いや、美炎と清香以外に。

 

 彼女たち二人はまだ迷っているようだ。

 

 「………やるしかないの?」

 

 「向こうはやる気満々だ。それしかねーよ!」

 

 「…………」

 

 「ちぇ……!後ろにちゃんと隠れろよ!おい、国頭、チチェも手伝え!それと、ミルヤもだ。」

 

 「私は……」

 

 「……ミルヤ、お前は俺らの隊長なんだろ?しっかりしろ!」

 

 「………ミルヤさん、無理は言いません。ですが、隊長である故に、やることはちゃんとやる!それが隊長としての勤めなのですよ!」

 

 呼吹に続いて、智恵も落ち込んでいるミルヤを叱る。こういう状況こそは、ミルヤが必要だ。

 

 敵は非常に強い……特に由依と葉菜二人の実力は綾小路の中でも優れている。そんな敵を撃破するのは戦術方面が優れているミルヤが必要だ。

 

 今まで彼女がいるこそ、どんな状況もうまく乗り越えたから。

 

 「隊長としての………ありがとうございます、瀬戸内智恵。そうですね……、私はこの調査隊の隊長なので、こういう状況こそはしっかりやらなければなりませんね。」

 

 「ミルヤさん、指揮を頼めますか?」

 

 「はい、もちろんです。」

 

 智恵に答えるミルヤは前のように迷いがなく御刀を抜いた。

 

 今度は本当に昔の仲間と戦う。心は今でも彼女たちと戦うのを迷っていて恐れているが……調査隊の隊長としての役目を果たさなければなりません。

 

 「調査隊、戦闘開始!」




この話で、調査隊のシーンを書いてありますけど……とじともの話ですと、どのような戰い方をしたのはあまり表現していません。多分この防衛省の戦いは大部オリジナル展開になると思います。

それと、今作で調査隊が南無薬師景光を手に入れなかったことに。(万が一ラスボスがあっさり倒されたら、今後の発展はやばい)
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