可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す! 作:黒崎一黒
まぁ…それより今回の話は一気に加速します。前回はかなり不穏の展開に終わってしまったが……それでもメインストーリーの進みは止まらずに進む。止まることがなく時間のように……。
それでは、どうぞ。
「都、身体の調子は平気?」
俺に関心の言葉をかけて来た、白髪の少女。
俺が病院で休養を取ってからもう一週間くらいの時間が経った。そして俺の出院日に合わせて、彼女たちは鎌府の食堂で小さな出院お祝いパーティーを行う。
しかし、これをパーティーと呼ぶには規模があまりにも小さすぎた。「お茶会」と言った方が正しいのかも。
とにかく、机の上には舞衣の手製クッキーと姬和手製の日本茶がある。
簡易なものですが、俺のためにわざわざ作ってくれたんだ。その気持ちは素直に嬉しい。
「身体の方は大丈夫。心配してくれてありがとう、沙耶香。」
「それは良かった……私と皆はずっと都のことを心配してた。」
「それは……本当にごめん。みんなに心配をかけちゃった。」
「それはいいって。俺たちは友達だから、心配するのも当たり前のことだ。」
「ミヤミヤは大事なフレンドデス!何かあってもミヤミヤはワタシたちの一部なんデス。ヒヨヨンもそう思いますよネ?」
「まぁ……一応お前は私たちの隊長だし。お前がいないとすごく困る。」
「うふふ、姬和ちゃんは素直じゃないよね。」
「うるさい!」
顔が赤くなって、恥ずかしかっている姬和はすごく可愛かった。
「それにしても、可奈美がこのお祝いに参加できないのは凄く残念だな。あいつもきっとお前がピンピンしている姿を見たかった。」
「可奈美が……」
「ワタシも凄く残念だと思うけど、最近頻繁に現れた荒魂討伐任務は流石に無視できマセン。」
「毎日、あんなに心配かけていたのに……」
「仕方ないよ、任務なんですから。」
そして皆の視線はこの場にいない可奈美が本来座るべく空席に移った。
ここのところ可奈美の姿が見えない。舞衣たちの話によると、可奈美は荒魂任務に忙しいから最近は姿を見れないらしい。
今回のお祝いパーティーを参加できなかったのもその原因だと。
けど、俺は知っている。
可奈美が俺から逃げたあの日以来……彼女はまるで俺を避けているみたいにわざと姿を隠した。
きっと俺があの時、何か言うべきではないことを口に出してしまい、彼女を怒らせたと思う。でないと、彼女はここまで俺を避けるじゃなかった。
とりあえず早く彼女を見つけて謝らなければ。俺だって最愛の妹とこのまま仲割れしたくない。
「ねねっ!」
「うわぁ!?ねね!」
そんな時、黄色の生き物が唐突に落ち込んでいる彼の頭に着地する。
「ねっ、ねねっ、ねー!」
「お前、無事だったのか!」
「ねねっ!」
ねねは都の頭に立っていて、大丈夫だというポーズをする。
「ふふ、ねねのやつもお前のことを凄く心配してたんだぜ」
「そうなんだ。…心配をかけさせて悪かったな。」
「ねねっ!」
頭の上で笑顔をする小さい荒魂。そんな元気そうなねねを見て、誰も良かったと思っている。
特に市ヶ谷での戦いで、皆を守るため、ねねは巨大化してタギツヒメと戦って酷くボコボコされた。
いつも元気溢れる小さい可愛いエロ魔があんな酷い目に遭わされるのは……誰もそのような結果を望んでいなかった。
例えねねに散々と胸のことをいじめられた姬和でも、自分たちを守るため、ボロボロになるまで戦っていたねねのことをすごく心配していた。
だから今のねねを見て、姬和もそいつの無事に微笑む。
都がいて、ねねがいて、皆がいるこの光景は彼女にとっては何よりの宝物だ。
もちろん、そう思っているのは姬和だけではなく、この場にいる全員も同じことを思っている。何せ、この場にいる彼女たちはお互いを出会ってからはもう友達、仲間なんだから。
「ね、へぇ〜。」
「お前は本当に俺の頭が好きだな。まったく生意気な奴だ。」
そう言うけど、ねねの甘えを軽く許した彼。
群馬の件と市ヶ谷の件以来、彼はねねとの仲はもっと深くになった。ねねは荒魂であっても、重要不可欠の仲間でもある。
故に、ねねのこともきちんと守らなければならないと彼はそう決めていた。
「なあ、都。これから私達はどう動く?」
「え……?どうって?」
お茶会は数分ほど経つと、姬和はそこで真面目な質問を都に投げ付けた。
けど、そこには一時に姬和の質問意図がわからない反応を取る彼だった。
彼は時に妹みたいな天然の部分がある。そういうとこは彼のいいとこであるが……姬和はこれからどう動くか聞きたい。
なんにせ、タギツヒメは今も健在している。流石に仇なす大荒魂タギツヒメをこれ以上放置できない。
「タギツヒメのことだ。あれ以来一週間タギツヒメの動きがないぞ。」
「そういうことか……しばらく放置かな?」
「……はあ?」
しかし、都から意外な返答をもらった。
「おい、なぜ放置なの?防衛省の襲撃に、綾小路の刀使たちの離反。あいつらの足取りは簡単に追えるはずなんだろ?」
「日本の警察は優秀だとパパからも聞きマシタ」
姬和に続き、薫もエレンも少し不満そうな顔で聞く。
これほど大きな災害を起こしたから、政府側もきっと無視しないはずだ。
「……確かにお前たちの言うとおりだ。けど、市ヶ谷の戦いから既に一週間くらい経ちました。彼女たちの行く先は今でも掴めず、刀剣類管理局の情報科にもその捜査が引っ掛かっている。警察側と政府側も最初で捜査していたけど……突然停止した。妙とは思いませんかね?」
「……それは」
都の言う通り、政府は最初から積極的に捜査に加えたが、ここ数日やめた。それ以後、情報科からの捜査進度も引っかかったそうだ。
都の口から聞き出した事実に、姬和たちは不気味な感覚がしてきた。
ちなみに都が知っていることは出院する前、雅から伝わってきた現状に関する情報だ。
彼女はとても有能な情報屋なのだ。こういう時は彼女の情報が凄く頼れる。
「多分なんだけど、姬和が折神家に追われていると同じ、何者か警察の調査介入を拒んでいる。あるいはタギツヒメと近衛隊を匿うのだろう。」
「なに?」
「そんなやつがいる……いや、まさか綾小路の学…」
「いや、それは違うと思うよ。管理局は特に市ヶ谷の第二の襲撃の後、綾小路をじっくりと捜査していた。ですが、肝心のタギツヒメと近衛隊を見つからなかった。」
「それに学長とはいえ、相楽学長も本部の許可なく本部の敵を匿う力や権利はありません。」
「なら誰かそんなことを……!」
「わからない。けど、狙い先が全く見つからない状況下で動いていくより相手が何かをしてから、動いた方が対応しやすい。俺たちも暫く相手の次の行動を待つしかない。」
「でも、それって手遅れになるぞ!」
「その時はその時だ。防衛省の作戦が失敗した俺たちは特に劣勢になっている。今の戦力じゃ、タギツヒメと近衛隊に敵わないだろう……相手側も俺がタギツヒメとの一騎打ちを許してくれないだろう。」
相手はあのタギツヒメだ。一週間の猶予を経って何にもしないはずはない。
きっと何かしらの準備をしている。
「………都くんはこういう時でも冷静ですね。凄いです。」
「お前たちのことに関わらないなら、俺はいつだって冷静だ。」
「それは自分で言うの?」
「だって大事だもん。お前たちは俺の大事な隊員であり、仲間であり、友達なんだ。何かあっても必死に守ると決めた。」
皆を見回し、都は決意する顔。
(自分が入院する間、彼女たちは各々一晩自分の側で見守ってくれた、無事に祈ってくれた。そんな彼女たちの思いは大切にしたい。だがら可奈美だけではなく、ここにいるこの娘たちを守りたい!それは俺が出院した当日決めたことだ。)
「お前……」
「都くん……」
「うん、私も。」
「なんか…そう言われると照れるぜ」
「とてもカッコいいデス!心臓がやばいデス……」
そんな都の発言に皆はそれぞれの反応をする。その中、特に薫とエレンの顔が赤い。
「うふふ、相変わらず無節操な発言を口に出したわね。」
「やぁ、出院おめでとう。都」
そんな時、食堂の出入り口から聞き覚える声がした。
「獅童さん、寿々花!」
その声を尋ねていたら、親衛隊の獅童真希と此花壽々花が食堂に入ってきた。
「お元気そうで何よりですわ。体調の方はもう大丈夫かしら?」
「もう大丈夫です。寿々花の関心をもらえて嬉しいです!」
「うふふ、相変わらず口が甘いだね。」
「それよりこれは遅れたお見舞いだ。済まなかった…。最近の僕たちはずっと夜見の行方を追っていた。」
「……皐月さんのことか……やっぱり……」
「うん……あの夜、彼女に逃げられた。」
視線を下げ、獅童はかなりやられている顔だ。大事な仲間を取り戻せなかったことに悔やんでいて仕方ないと感じたのだろう……全く責任感が強いな、獅童さんは。
「なら次こそ、彼女を連れて戻す。親衛隊第一席なんだから、こんな程度の失敗で落ちるな!なぁ?寿々花。」
「……都くん。ええ、そうですわ。ただ一回の失敗で私たち親衛隊は崩しません。」
「お前たち……うん、そうだね。都、寿々花、礼を言う。」
「いいって。ただ次は手合わせしてくれよ。今度は小技を使わずお前と戦いたい。」
「……ああ、もちろんだ。僕もお前との立ち合いも楽しみしている。」
「やれやれ、血の気が強い二人ですね。でもこれこそ親衛隊ですわ。」
二人に励まされて、獅童は間もなくの間に立ち直った。
(これも都の力か……)
励まされた獅童の方を見た姬和。彼女は改めて都のこういうところがすごいだと思っている。
どんな時でも、彼は確実に刀使たちを支え上げた。姬和もかつてそんな彼に支えられて、ここまで戦いに来た。
ううん……自分だけじゃない。ここにいる皆は彼のおかけでここに集まって巨大な絶望と立ち向かう。
(本当に凄いやつだよ、お前は。…昔からはずっと私の手を引いて、進む道を示してくれた。私にとってお前は輝く光なんだ。)
だからと言って、彼に過度に頼っちゃいけない。あの夜、彼女は彼を失うことを恐れていた。……彼を頼りすぎだから、彼を守りきれなかった。
そういう甘い自分に姬和は許せなかった。だから今度こそ彼を守ると姬和は改めて誓う。
例え自分の命が失っても、この母から継いたこの剣で一番大切な幼馴染を守る。それが十条姬和の新たな覚悟だ。
もう二度と誰かを失うのがごめんだから。
けどそんな時、学食につけたテレビは突然ある急報を入った
その急報によって、刀使たちは波瀾の時代を迎えた。
◇
同時刻、刀剣類管理局作戦指揮本部ーー。
「予想より動き早いですね……」
竹島 雅は大きなモニター画面に映っていた現場配信を見て呟く。
そして彼女の隣にはテレビの配信を見て唖然になった折神朱音と真庭本部長。
「タギツヒメ………なんて……」
「まさか、こうも堂々と姿を現すとは……」
彼女たちの反応は普通だ。高津学長が裏で政府と絡むという情報を事前にもらった雅も例外なく同じ反応。
何せ、政府の緊急記者会見ライブは大荒魂タギツヒメを映っている。
『我が名はタギツヒメ。お前たちが言うところの荒魂である。』
テレビが映る現場で偉そうに座っている禍神・タギツヒメ。
彼女は二十年前のあの大災厄以来、初めて日本国民の前にその姿を現し、自らの存在をバラした。
『我らは人間との共存を望み、それを実現するためにここにいる。』
「人間と……共存……?何の冗談だ……タギツヒメは人間を滅ぼすじゃなかったの?」
「まさか、これはタキリヒメを吸収する影響なのか?」
「それは違います。朱音様。」
朱音の推測をあっさりと反論する雅。彼女は確信の瞳で朱音の方へ見る。
「私は多少裏社会の人と接触しているおかけで、人の瞳からその人はどんな人なのか知ることができます。…なのに、あの荒魂の目には“人を見ていない”。」
タギツヒメは本心で人間と共存するつもりがなかった。高津の学長も同じ、最初から生徒たちのことを目に入っていなかった。
だから、彼女はあんな平然の態度で非人道実験を行った。途中で失敗者が多く、荒魂化した対象もいる。
それを片付けるため、雅は鎌倉特別危険廃棄物漏出問題の日からずっと秘密にそれらの実験危険対象を探し出して処置する。
幸いのところ、今だに調査隊が遭遇していた『スルガ』という特殊個体の第二体は見つからなかった。
あれの強さは既に大荒魂レベルに近い。普通の刀使では相手にならない。
『しかし、人間の中には荒魂との共存を望まぬ人がいる。荒魂の討伐を名目に、大いなる力を手にしている者たち。ーー刀使だ。』
目を細め、タギツヒメはまるで仇なす者を見ていたみたいにそう語っている。
『彼女らは、対話を求める我の声を無視し、言葉を解さぬ荒魂と同様に討ち滅ぼそうとした。我はただ、身に降りかかる火の粉を払おうとしたにすぎん。それが二十年前の真実だ。』
「よくもこんなデタラメを……!」
机を強く叩き、真庭本部長はタギツヒメが言っていたことを凄く怒っている顔だ。
まぁ、二十年前の真相を知る彼女がこういう反応を取るのも仕方ないことだ。あの戦いで彼女たちは二人の大事な友を失い、もう一人は二十年の苦痛を続いて大荒魂を体内に封印し続けていたのだ。
重大な犠牲を払った彼女を罪人扱いだと……真庭本部長は断じてそういうデタラメなことを国民たちに教えたタギツヒメを許さない。
紫と篝先輩、美奈都先輩の犠牲と……あの子たちが彼女たちの過ちを償うために、命をかけて大荒魂と戦ったのも……全てかこの荒魂のデタラメの話によって世間に悪だと認識されている。
「市民の多くは大災厄の真相を知りません。タギツヒメの狙いは国民たちを利用して我々刀剣類管理局を潰すということなんでしょう。」
「けど、その前に政府は……」
「政府は何もしません。むしろタギツヒメたちの助力になり、我々という脅威を消し去るつもりなのでしょう。」
真庭本部長の話を反論する雅。
「それはどういう……」
「まさか、この前に言っていたことと何の関連があるのでしょうか?」
「はい……政府は既にあちらの手に……」
『これから先は私からご説明いたしましょう。』
そんな時、放送が続き。西装を着ている、顔から結構歳を取っている男が何かを話そうとしている。
その男はーー。
「内閣官房長官!?」
「そんな大人物がなんてあんな場所に……」
「……………」
二人が再び唖然するところ、雅は口を閉じた。これから先のことは説明しなくても……この放送を見ている管理局の者は薄くても、このまずい事態を理解するだろう。
二十年前、米軍と裏取り引きをしてた日本政府は極めに大災厄の真相を隠そうとした。
なぜなら、この件が国民に知られたら日本政府は大災厄で亡くした命や建物損壊と国民たちの精神的な傷という責任を問われる。
当時、常任した内閣官房長官をメインにする政府官人は自然にその責任から逃げられない。最悪の場合、政府は国民たちの信頼を失うことになるのだろう。
それを回避するため、政府側はずっと折神紫がいる刀剣類管理局を尽くした。
全ては真実を国民たちに知らせたくないためである。
そして高津の前学長はまさにその件を利用して、政府を脅かした。
とても悪意すぎる一手だ。
『ーーそして、今日はもう一人詳しい話をできる方をお連れいたしました。ーー鎌府女学院学長、高津雪那氏です。』
「…………!!!」
その名前がテレビに出すと同時に、あの女の顔が久々にこの目を焼き付けた。
よりによって、またあの嫌な顔を見られるとは……。
◇
ー同時刻 鎌府女学院食堂ー
あの女の登場に、まず驚いた。
まさか、彼女の顔を二度とこの目で見えるなんて思わなかった。
高津雪那。鎌府の学長であり、俺と特に腐れ縁が深い人物。
五ヶ月前……ううん、一年前から俺は沙耶香の件から彼女と何度も敵対した。
彼女が沙耶香にしたこと、皐月さんにしたことや非人道実験を行うことに俺は許せなかった。だからボコボコにした。
あんな容赦ができない、駄目な教育者は初めて見た。彼女に対するのは哀れと怒りだけだった。
「学長……」
「沙耶香……」
沙耶香が高津学長を見た一瞬、まず驚いていたが、すぐ視線を下ろした。
その様子はとても悲しく見える。
(またあの女に感情があるのか……やっぱりいい子だよなぁ、沙耶香は。)
そして、モニターが映っている白いスーツの高津学長は演説を始めた。
『たしかに二十年前、タギツヒメは大災厄をもたらしました。しかし、彼女はそれ以上の被害を望まず、刀剣類管理局による拘束を受け入りました。』
偽りで作り上げた真実を聞き、マスコミたちは急いでシャッターを押す。
このようなデタラメなことに記者たちは疑うことなく、ただいたずらに嘘まみれな言葉を記録する。
これは彼らの仕事だ。善悪と関係なく、国民たちが興味を引き上げられるなら、どんな偽りの真実でも本物みたいに被る。
それがマスコミ。人そのものを潰せる悪意の力だ。
『その後もタギツヒメは暴力に訴えることなく、ただ静かに対話を求めました。その姿を目にし、刀使の中にも考えを改める者が現れました。』
『人は対話することにより、文明社会を築き上げた。ならば、対話を求める荒魂との間にも信頼関係が築けるのではないか……と、私もその一人です。』
まるで自分の神を称える信者みたいに高津学長はそのことを皆に伝えようとする。
『しかし、折神紫は違いました。タギツヒメの声を無視し、監禁を続けたのです。……そして、イチキシマヒメが生まれた。人間への疑念から生じたもう一人のタギツヒメ。』
おいおい、あんなに大好きだった折神紫をこんな簡単に切り捨てるのか……やっぱりお前は最高のクズ女だな!
かつての高津雪那は折神紫に慕う狂った女。そのせいで沙耶香と皐月夜見は酷い目をされた。
そして、今はこうも大好きだった偶像を貶めている。本当に気持ち悪い最悪の女だ。
『タギツヒメから分裂したイチキシマヒメは、鎌倉からの脱出を試み、結果として関東一帯に大量のノロが撒き散らせてしまった。』
タギツヒメが持ったらす災厄をイチキシマヒメのせいにする。全く気分が悪いデタラメだ。
『しかしその混乱の中でも、我々は綾小路の相楽学長の下、綾小路の刀使たちを中心に編入した『近衛隊』と共にタギツヒメをお救いしたいのです。』
「近衛とは、また仰々しいものですね。」
「タギツヒメを女王にても担ぎ上げるつもりか……」
獅童さんたちの不満は良くわかる。自分たちに正当な理由を付けながら、人間の敵であるタギツヒメを神として祟る……全く恐ろしい発想だ。
『鎌倉から脱出失敗したイチキシマヒメは、今も管理局の手の内にあります。しかし、イチキシマヒメの目的は人間への復讐。それのみです。もし彼女が力を解放すれば、これまで以上の災厄がもたらされるでしょう。そんな危険な存在を折神紫は今でも手放そうとしていないのです。』
「これは完全に狙い先をイチキシマヒメの方に投げましたわね……」
「ああ……タギツヒメがしたことをイチキシマヒメに投げれば、彼女は正当性がもらえる。自分を正義の味方にするつもりなのね……あのババァ。」
「…………」
口が悪いのはすまなかった、沙耶香。けど、あの女がすることは完全に俺たちを悪者だと押している。
俺だけならそれでいいのですが……お前たちにも悪い評論をさせられたくないのだ。
『それを阻止するためにも我々、刀剣類管理局維新派はここ、東京を拠点に決起します!』
「刀剣類管理局維新派だと……!?」
「刀剣類管理局を分離するつもりか……!」
高津学長からその話を聞いた仲間たちは驚愕や唖然の反応をする。
自分たちが所属する組織が二つに別れることに誰でも驚かされた。だが、この場でただ一人が冷静に考え込む。
その人は都だ。高津学長が自分たちを正当化にする時点で、彼はこのような結果を嫌な予感がしていた。
あの女がすることはあまりにもわかりやすかったからだ。しかし、流石に今回はまずい……国民たちは真実を知らない、政府側もあちらの側に立つ。
それはつまり、これから管理局と自分たちはこの国と敵対するかもしれない……マジ最悪。
その後、高津学長は刀剣類管理局にイチキシマヒメをさし渡すと要求した。
これから先、刀剣類管理局は二つに分けて、動乱の時代へと突き進んだ。