可奈美のお兄ちゃんは妹のために最強の剣士に目指す!   作:黒崎一黒

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事件が予測より遅く進展していく。多分次話の冒頭からは戦いシーンとの予定です。

そして次回の更新については来週からはリアルの事情で忙しくなるから、多分次話の投稿が遅くなる。そこはご理解いただきたい。


第七話:怒り

 「長江さん!」

 

 美炎にふたばのところへ連れられて、都が先に見てたのは地面に倒れ伏せた長江ふたばの姿だった。

 

 「しっかりしろ!おい!」

 

 彼女の容態はどう見ても優れる顔ではなかった。体も凄い熱が出てきて、息も特に弱い。

 

 こんな長江さんは見たことがない。

 

 「熱っ!クソ!何か起きた!」

 

 彼女を抱きついて顔でも触ろうとしたら、熱のような熱さが感じた。

 

 「衛藤さん。ひとまず彼女から離れてもらえませんか?どうやらここから先は私の仕事みたい。この様子じゃ、あなたでは処理できません。」

 

 同様、ここに連れされた医務室の先生がふたばの様子を大概見たらそう言った。

 

 確かに、医務に関する知識は彼は持っていなかった。

 

 「………わかりました。」

 

 そう返答し、都がふたばを控え室の椅子の上に座らせる。

 

 少なくとも、これは彼女に唯一できることだ。

 

 「ありがとうございます。さて、安桜さんと衛藤さんは外で待っていてもらいませんか?」

 

 「ふたばは大丈夫なの?助けるの?」

 

 「確かに容態では楽観できないが……私の全力を持ってなんとか彼女を助けます。」

 

 「………」

 

 「美炎、ひとまず外で待とう。ここでは俺たちがやれることがない。それに色々聞きたいことがある。」

 

 美炎の頭に手を置いて、優しく撫でる。

 

 「うん……ありがとう。都先輩。」

 

 照れたなのか、美炎の顔が少し赤くように見える。

 

 そして、二人は控え室の外で待機することにした。

 

 「さて、それじゃ説明してもらえないかな?」

 

 「…うん。けどその前に、その手はいつ降りるの?」

 

 ずっと彼女の頭を撫でるという動作に、美炎は恥ずかしそうに聞く。

 

 「悪い、思ったより触り心地良くて…それに最近あんまり可奈美の頭を撫でないから……ごめん、嫌だった?」

 

 「嫌……じゃないけど////」

 

 顔が赤いまま素直にしている美炎。

 

 「それじゃ、この調子で聞かせてもらうよ」

 

 「うん……///」

 

 「まず、なぜふたばがあそこにいる?それと、控え室は普通に試合のときに使う部屋……なんとなく推測していたけど、ふたばは誰と戦うつもり?」

 

 「それは………」

 

 「言えないのか?」

 

 「ううん、ただ……」

 

 美炎が困った様子に、それを見て、都が優しく彼女の頭を撫でる。

 

 「そんなに言いづらい話なら、無理に聞かない。ただその理由を本当に知りたい。長江さんがあんな様子になったから心配したんだ。」

 

 そうしたら、美炎がちょっと小さい声で口を開いた。

 

 「実は……ふたばは高等部の人たちと戦うんだ。でも、やる前にさっきみたいに倒れたみたい……」

 

 「高等部の人に!?なんて?」

 

 普通、高等部に喧嘩を売れるのは同様高等部の人間……もしや美濃関名高き剣術馬鹿(可奈美)だけだった。

 

 例え刀使ではない都でもちゃんとわかっている。学院の刀使は刀使に関する授業を受けて、学んだ経験の長さによってその人の強さを決める。

 

 戦闘でどう攻めるか、どう躱すか、どう綺麗に切れるのかは勝負を決める要因になる。

 

 そして、中等部一年生と高等部は少なくとも三年の経験の差がある。つまりその三年の差によって戦況が大きく変える。

 

 このことは美濃関の刀使自身もよくわかっているはずなのに……なんて長江さんは無謀に彼女らに挑むんだ?その理由はわからない。

 

 「………相手は服部先輩のことが好きらしい。だから、ふたばは正面で彼女たちと戦うつもり」

 

 「バカか……あいつ……」

 

 額に手をつけて、都は頭痛みたいな顔をした。

 

 例え物理で戦わなくても他の手で先に服部先輩を落とせば相手は先輩だろうか関係ない。彼もそれを全力で応援するつもりだ。なのに、今はなんだ?こんな窮地に落ちて何の得があるというのだ?

 

 「ふたばにそんなこと言わないで!彼女もきっと相当に迷ったはず……!そして、ようやく覚悟を決めて私と相談する時……ふたばはとても輝いていました!」

 

 頭に置いていた彼の手を振り落とし、美炎は自分の親友が馬鹿された事を許さない顔をしている。

 

 「私はそんなふたばが好き、誰にも彼女の悪口に言わせない!」

 

 「……そうか。ふふ、美炎(馬鹿)のくせによく言うね!」

 

 「うわあぁぁー!?都先輩、やめてください〜‼頭を乱暴に触らないで!」

 

 「俺もそんな選択をしたふたばを尊重する。悪かったな、お前の大事な友達を侮辱するのは。」

 

 再び手を美炎の頭に置いて、思いっきり彼女を撫でる。

 

 「都先輩……分かればそれがいい。あと、もう頭を触るのがやめてくれない?さっき気付いたんだけど……先輩は私のことを子供扱いしているでしょう!」

 

 「そんなことないぞ〜。」

 

 「目は泳いているぞ、都先輩。」

 

 「………」

 

 バレたのか……でも、これは仕方ないじゃないですか!今更だが、美炎はとても可愛い女の子で、頭の感触もなかなかいいものだ。触れば触るほど癖になる!

 

 浮気?いや、そんなはずはない。ただただ最近妹成分が足りないだけで……そこで、なんとなく可奈美とよく似ていた美炎(同じバカという点)はいける気がする。

 

 「……そ、それよりだ。長江さんが倒れた原因について話そう。ふたばは何か口に入れたものでもあるか?」

 

 「……話題を変えても駄目だよ!都先輩。あ、でも……もっと優しく撫でてくれたら、そんな先輩を許してもいいよ。」

 

 そう言って、美炎は都の手をしっかり掴んで自分の頭を左右で撫でさせる。

 

 どうやら彼女も結構これを気に入ってるみたいだ。

 

 「わかった、優しく撫でてあげる。それで?」

 

 「うん……。実は控え室は飲み物があって、誰か送ってきたのかわからないけど、ふたばはこれをスタッフさんが選手たちに用意したスポーツドリンクだと思って飲んでしまいました。」

 

 「なるほど、問題はあの飲み物か…。保存期間の問題ならまた許せるかもしれない。でも、そうじゃなかった場合は……」

 

 「……そうじゃなかった場合は?」

 

 都が自分の推測を美炎に伝うかどうか迷う。

 

 だって、これはただ根拠がない推測にすぎない。それに相手方はそうする理由もないはずだ。

 

 でもふたばは今、その原因で苦しんでいる。そんな彼女を見て、都がとても辛かった。

 

 何せ、自分と結構付き合ってる後輩だ。彼女が苦しんでいるところは一人の先輩として見てられない。

 

 そう。ただ自分の後輩だから、都がそこまで彼女のことを関心するんだ。

 

 「美炎。この試合は長江さんにとって重要なことですか?」

 

 「え?」

 

 都の突然の質問に、美炎が一瞬に反応が取り遅れた。

 

 「この件には2つ解決方法がある。でも、その前にお前の意見を聞きたい。長江さんのそばに一番近くにいるお前に」

 

 「………多分重要なことだと思う。だって彼女が決めたことだもん!」

 

 「自分の命より大切?」

 

 「…………っ!?」

 

 「言い方が悪いが、俺はこの試合を中止すべきだと思う。そうすれば長江さんの身の安全も確保できたし、これ以上相手の思いままにさせない。」

 

 真面目な話をする都はいつの間に撫でる動作を止めて、ただ手を美炎の頭の上に置いている。

 

 「これは一番理想的な結果だ。でも……それでも長江さんの本物の気持ちを聞きたい。美炎、お前はどう思う?」

 

 彼の目から長江ふたばという女の子の決意を尊重する気持ちが伝わってくる。

 

 都からそこまでの意志を感じて、美炎もある決心をした。

 

 「……多分。ううん、大事だと思う。私はふたばに代わって、この試合を受け立ちたい!」

 

 「………いや、その気持ちだけで十分だ。その気持ちは俺が引き受けよう。」

 

 しかし、彼は美炎の決心を止めた。

 

 代わりに彼も自分の決心を示した。

 

 「俺が出る。お前は長江さんのところにいてくれ」

 

 「え?都先輩が……!?駄目ですよ!相手は刀使なんですよ!都先輩が勝てるわけがないよ!」

 

 美炎の言葉が正しい。確かにこれは一般人にとっては勝ちそうもない試合だ。むしろ、これはただ無駄の傷を一方的に受けるだけの自殺行為だ。

 

 しかも相手は相当手慣れた刀使。そんな相手に中等部の刀使でも勝てそうもないのに、一般人である彼はなおさら勝てるはずがない。

 

 そして沙耶香の件もあって、結果として彼は相手の刀使に負けた。

 

 あの件以来、都は二度と刀使と戦うのをやめた。

 

 いや、“あの子”以外の刀使にね。

 

 「確かにお前の言う通りだ。御刀が持てない俺は刀使を相手に勝ちそうもない、俺もそう思っていた。……だが、俺は一応服部先輩の後輩であり、長江ふたばの先輩でもある。……大切な後輩が傷がれるのはどうしても見逃すことができない。」

 

 「都先輩……」

 

 美炎の前で、彼は笑顔とも言えない顔を作り上げた。

 

 なぜなら、彼は自分の怒りを隠そうとしている。自分の後輩が傷かれたと思ったら、その怒りがどんどん上がっていく。

 

 流石の美炎でも、都が今怒ってることをわかっている。

 

 「美炎、お前は俺のことを呆れたのかもしれない。だが、俺はどうしても出たいんだ。彼女の先輩として、恋の応援者として、俺は彼女の決意を無駄にしたくない。」

 

 「………都先輩、時には子供ぽいところがあるんですね。誰のために怒って行動を出していく先輩は多分かっこいい……ううん、誰よりもかっこいいと思う!」

 

 そして、都の熱い決意を感じて美炎も同じく決意した顔をする。

 

 「私はそんな先輩が好き。呆れるなんて絶対にしない!だから、私と加州清光(かしゅうきよみつ)は先輩のことを全力で応援するよ!」

 

 「………っ!」

 

 そこで逆に美炎にドキドキさせた彼であった。

 

 彼女の反応は予測よりやばかった。良くもこんな告白みたいなことを平然に言えるな……。まぁ、彼も人のことを言えないけど。

 

 「あ、ありがとうな。美、美炎……////」

 

 「絶対勝つね!ふたばのために!」

 

 「おう!でもその前にお前の加州清光を貸してくれない?戦うときは刀が必要だ。」

 

 「…………別にいいけど、大切に扱ってくださいね。これはお母さんの御刀なんだ。」

 

 美炎は腰にいる御刀を都に渡し、都は思いながら頷く。

 

 お母さんの御刀か……可奈美と同じだね。

 

 加州清光を見て、都が千鳥のことを思い返し強く握る。

 

 「うん、大切に使う。」

 

 これは自分の母の御刀じゃないとわかっていたけど、それでも彼はこの御刀に通じて感じた。

 

 自分のお母さんがまるで自分のそばにいるみたい。

 

 お母さん、ちゃんと俺を見守ってね。俺はお前が教え込んた剣で誰かのために戦うよ。

 

 そんな思いを強く抱いて、加州清光はあの一瞬、都と共鳴した。

 

 「あれ?」

 

 その一瞬を感じた美炎は、それを感じたけどただの錯覚だと誤魔化した。

 

 だって、御刀は刀使ではない人間に反応しないはずだ。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 「うわぁ……制服がびしょびしょだよ〜」

 

 学院内に戻り、可奈美は着替え室で濡れた自分を見る。

 

 赤と白のブレザーの制服が自分の体に粘りつけて、とても気持ち悪い気分だ。

 

 「うん、雨の中で荒魂討伐は流石旧式のレインコートでは対応できないね。激しく動いたせいで大部濡れたよ。」

 

 そして、可奈美と一緒に着替える舞衣も結構濡れたみたい。

 

 「…………」

 

 「可奈美ちゃん?」

 

 「舞衣ちゃんは結構エロいね……」

 

 「え……!?/////」

 

 可奈美にそう言われて、舞衣の顔が赤くなってきた。

 

 確かに、今の柳瀬舞衣はとても色ぽく見える。

 

 びしょびしょした制服はちょうどその色ぽい豊かな体を強調していく、それに加えて服を途中まで脱いていた舞衣の白い肌も特にエロく見えます。

 

 「舞衣ちゃん、揉ませて!」

 

 「可奈美ちゃん!?////////」

 

 舞衣の反応を待たずに、可奈美はすぐ舞衣のその柔らかい部分を襲ってきた。

 

 「ん〜〜やっぱり舞衣ちゃんのここは触り心地良いよね。私と違ってちゃんと成長している!」

 

 「可奈美ちゃ……ん!?//////」

 

 可奈美に背後から揉まれた舞衣は、胸が揉まれたせいで変な声も出させてしまった。

 

 この光景は男に見られたら、間違えなく興奮するだろう。

 

 「ん〜〜お兄ちゃんはこれが好みなのかな?お兄ちゃんはいつも舞衣ちゃんと距離を取っているから、わからない。」

 

 「可....奈...美……ああ♡もう……やめよう!//////」

 

 そして、可奈美に揉まれば揉まれるほど舞衣の声はどんどんエロくなっていく。顔もどんどんエロくなっている。

 

 この姿は決して都に見せられないと二人はなぜかそこで共識していた。

 

 「ん?舞衣ちゃん、その下着可愛いよね!最近買ったやつ?」

 

 「んっ……♡最近……またきつくなってるか……ら!か、買っちゃったっ……」

 

 「なるほど……また大きくなったわね。舞衣ちゃん……恐ろしい子!……そんな舞衣ちゃんにとっておきの揉む揉むサービス!」

 

 「そ、そんな……!!/////////」

 

 笑いながら可奈美は引き続き舞衣の胸をいじり続けた。

 

 そして、数分後経ち。

 

 舞衣はとても荒い息の状態で、服も結構乱れされている。

 

 「はぁ……はぁ……もうお嫁に行きません。」

 

 舞衣の口から出された言葉も特に変だ。

 

 「お!?美炎ちゃんからのメーセージだ!」

 

 そんな荒い息の舞衣に対して、可奈美はなんだか満足そうな様子で服を着替えたあとにスマホを弄っている。

 

 ちなみにスマホの待機画面が小さい頃の彼女と兄と母と一緒に撮った写真。

 

 毎回これを見ていると、まるであの時期に戻ってたみたい。

 

 お兄ちゃんは昔から泣き虫でずっとお母さんのそばにくるくるっと回っていた。お母さんがいないとすぐ泣き出す。誰か年長者なのかは全くわからない。

 

 それでも剣術においてはお兄ちゃんは自分より遥かに強い。小さい頃から一度も彼に勝てなかった。

 

 もちろん、そんなお兄ちゃんもお母さんに一度も勝ってなかった。それでも、私は今も兄を目標にし、自分を磨き続けている。

 

 「ん?先に都先輩を応援していくから、可奈美たちも戻ってきたら一緒に来いよ…って、どういう意味?」

 

 美炎からのメーセージの意味が理解不能の可奈美は頭を傾いてスマホをじっと見つめる。

 

 「うん〜〜。舞衣ちゃん、これのことはわかる?」

 

 どう考えても、答えが出せないから、可奈美は舞衣に聞く。

 

 しかし、まだ回復してないみたいで、舞衣が荒い息でゆっくり服を着替えてる途中。

 

 彼女の顔も赤のまま、その様子は可奈美が見てもそんな舞衣が愛おしい思う。

 

 「待って、可奈美ちゃん。……ふ、服を着替えさせて、後は美味しいクッキーをあげるから」

 

 彼女の口調からはもう可奈美に質問を答える余裕がなかった。

 

 胸がいっぱい揉ませたせいで、体がとても熱い状態だ。

 

 「本当!?じゃ、いい子で待ってるよ!」

 

 そして、舞衣がクッキーをあげると聞いた可奈美は目がキラキラして舞衣のことを待つことにした。

 

 彼女は相当に舞衣のクッキーを楽しみにしている。

 

 それから、さらに数分が経った。予備の制服を着替えた彼女たちは廊下でゆっくり歩いていく。

 

 そこで、舞衣は可奈美のスマホをじっと見つめて、推測できる部分を可奈美に伝う。

 

 ちなみに舞衣は指揮の方に向けるタイプの刀使だから、頭は可奈美よりずっといい。

 

 「恐らくお兄さんは誰と試合の途中なのかもしれない……鍛冶科の高等部にすれば、技術の競うの方が推測しやすいです。」

 

 「そうか……お兄ちゃんはやはりそっちに行くのか」

 

 「可奈美ちゃん?」

 

 少し落ち込んでいた可奈美を見て、舞衣は心配そうに聞く。

 

 「ううん、なんでもない。お兄ちゃんはそっちに行きたいなら、妹である私はちゃんと応援しないと!」

 

 「可奈美ちゃん……まだ諦めていないよね?可奈美ちゃんはずっとお兄さんが剣の道に戻らせたいってそう願っていた。」

 

 でも、長い付き合いの舞衣には誤魔化せなかった。可奈美はずっと兄の剣が好きだから。

 

 それは二人が初めて知り合った日から、可奈美がずっと舞衣にそう言い伝ったことだった。

 

 可奈美にとっては、兄が憧れた存在だ。

 

 「………舞衣ちゃんに隠せないのね。うん、私はずっとお兄さんが剣の道に戻りたいと願っていた。昔はあんなに剣が好きなのに……」

 

 「可奈美ちゃん……大丈夫だよ。お兄さんがきっといつか戻ってくるって私もその日を信じて待っている。だから一緒にお兄さんのことを信じて待ちましょう?」

 

 可奈美の手を繋いで、舞衣は優しい顔で可奈美を見る。

 

 「うん、そうだね。お兄ちゃんを信じない妹なんていないもんね。」

 

 二人は仲良くお互いの手を握り笑う。このような光景は他人から見たらとても尊く見えるだろう。

 

 「あのバカ何やってんだ!」

 

 そんな時、廊下で可奈美と舞衣は慌てた服部の姿を見つけた。

 

 「あの人はお兄ちゃんの友達……」

 

 「凄く慌てた様子ですね。……何かあったのかも」

 

 「聞いてみよう。」

 

 「うん!」

 

 同じ結論を出した二人は仲良く服部のところへ訪ねていく。

 

 そこで、さっき都のメーセージを受けていた服部からある事情が聞こえてきた。

 

 そう聞いて、二人はすぐ廊下から飛び出し、服部を置いていく。

 

 「お兄ちゃん……。/お兄さん……。」

 

 二人は都を思いながら体育館の方へ向かった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 「エレン、お前はどう思う?」

 

 「そうデスネ……あの男は大バカじゃなければ、こんな賭けのない賭けは成立しないデスネ」

 

 美濃関の体育館近くに二人の女性がいた。

 

 一人は灰髪の大人の女性。着ている服は黄色コートとその下にあるコーヒー色のスーツ。

 

 肌の色は麦色に近い、日本人では滅多にない女性である。

 

 そして、もう一人は金髪の女性。彼女の胴の部分には山吹色、袖と胸元には白い布地が使われている。これは岡山県にいた長船女学園(おさふねじょがくいん)の制服の特徴である。

 

 でも、最も特徴と言えるのはその胸の部分。なぜだか長船の女性たちは発育がとても良くて、ほとんどの学生は立派な胸を持つ。

 

 故に、長船はいつも男性に一番好かれている人気の学校だ。ちなみに、二番目は奈良県にある平城学館(へいじょうがっかん)だ。そこにいる女子たちは立派な胸がないが穏やかなお嬢様生まれた性格だったので、かなり男性に好かれている。

 

 そして残りの3位は美濃関学園。人気になる理由はただここは唯一男性が入れる学校である。しかも、自由恋愛も許されるその点は男性にとっての高ポイントだ。

 

 「だな。けどちょっと懐かしい。」

 

 「懐かしいデスか?」

 

 何かを遠くへ見ていく灰髪の女の人に金髪の学生がわからない顔で頭を傾く。

 

 「うん。エレン、私はしばらくここにいる。お前は先に羽島学長の方へ行ってくれ」

 

 「どうするつもりデスカ?」

 

 「少しこの賭けを買うつもりだ。無論、あの男を買うさ。」

 

 そう言って、女は面白そうに笑う。

 

 久々こんな馬鹿な学生を見た。まるであの人の影がここにいるみたいだ。

 

 「わかりマシタ。それじゃ私もその男を買います。」

 

 「勝ち目が高い刀使の方をやめるの?」

 

 「なんか負けそうなので、そっちへ賭けたいデス。」

 

 「ハハハハッ!わかった、お前の分まで買ってやるよ」

 

 高笑いながら、女の人は体育館の方へ向かった。

 

 そして、残された女性も命令に従ってこの学院の学長のところへ走り出した。

 

 「何かドキドキしますね!早く仕事を終わって、彼とフレンドでも交わしますか!」

 

 胸がドキドキとした少女は今日も元気で物事に興味を持つ態度に楽しんでいた。

 




悲しい……今日、一人の読者さんがお気に入りを解除した(QAQ)今話はやばかったの?よかったらコメントしてください。皆さんの思いを知りたいです。

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