FGO 仮面ライダーDLC 亜種特異点RTA 作:silverArk.
その日は何時もと変わらない日だった。何時も通りに畑作業をして、ご飯を食べる。そして、弟と共に休憩をしていた時だった。
急に日が翳り、空には真っ赤な月が出ていた。何時もの通りなら到底ありえない光景。それに大人達は、混乱しつつも家へと戻って行った。
私もそれに習っておっかぁと家へと戻った。最近、この辺りで辻斬りの様な人が居るとの話だったからだ。
少しして、遠くから音が聞こえた。何かを破砕するような音。悲鳴と怒号。柔らかい何かを突き刺す様な音。水を地面に撒いたような音。そして何かが燃える音。
不吉なその音に私は耳を塞いで聞こえない様にしていた。耳を塞いでいても、その音は聞こえた。しかも徐々に近づいてくるような気がする。
それに耐えきれなくなったのか、おっかぁが引き戸を開けた。それを開けた途端、生臭い風が吹き込んで来た。
言いようのない不快な匂いに、思わず引き戸の方を見た私は、安堵した。
引き戸の前に立っていたのはお坊さん。立派な袈裟を来た方。姿も堂々としていて安心出来そうな雰囲気だった。だから私は、奥からでて扉へと行く。でも、頭のどこかで疑問をあげていた。
さっきまで聞こえていた音が聞こえていない。それに、お坊さんは大きな槍を持っている。……良くそれを見れば赤い何がついてる。ふと、燃えている火が映っていると思ったのだけれど違った。
「逃げて! おっかぁ!!」
それは血だった。刃先からぽたぽたと滴る血。私があげた声に、お坊さんはニィと笑うとゆっくりと近づいて来た。
おっかぁは、私の手を引いて裏口から外へ出る。外は酷い光景だった。となりのおじさんも、遊び友達の子も皆地面に倒れていた。……お葬式の時みたいだった。
それに呆然としたのがいけなかった。お坊さんは裏口を吹き飛ばして追いかけてきた。そして、私に向かって突き出される槍。
おっかぁは私を突き飛ばして、代わりにその槍の前に出た。胸から突き出る刃先。
お坊さんはその手応えに満足したような顔をすると、その刃先を上にあげた。……ちがふきあがっておっかぁがふたつになった。
わたしもああなるんだ……。なんておもって、めをつぶった。いたいのはいやだ。でも、あきらめしかなった。
──でも、わたしはいきていた。燃えている家にとんでいったお坊さん。私の前に、守るかのように立っているお兄さんが居たから。
先に動いたのは望実だった。弾かれた様に大橙丸を振るう。狙いはその首、これを以て終わらせるつもりの一撃。
しかし、僧都はそれを悠と槍で受け止めると返す形で反撃を繰り出した。大橙丸に込められた力を利用して刃を滑らせ、槍の穂先を突き込んでくる。
槍が狙っている場所は頭部。それを首の稼働で危なげなく躱しつつ、左脚を後ろへ引く。そして、伸びきった腕を戻しつつ蹴撃を放った。単純な力にして14tにも及ぶものである。
だが、僧都はそれをやんわりと腕を以て受け止めた。力に真っ向から打ち合うのではなく、受け流しの形。それは、ほぼ僧都にダメージを与える事は出来ず、逆に致命的な隙を生んだ。
僧都の一手は薙ぎ払い。突き出された槍は、確かに刃のある穂先は回避された。しかし、柄の部分。それは未だ望実の側頭部にあった。
「フンッ!!」
「グうッ!?」
脳を揺さぶるような重い一撃。辛うじて、柄と頭部の間に挟めた左腕があったとは言え彼をそのから動かすに足る一撃であった。
望実は、木っ端の様に瓦礫に突っ込んだ。奇しくもその光景は、先程の焼き直し。しかも立場を変えたものであった。
恐怖に固まる少女。それに位も介さず、無慈悲に槍を振り上げる僧都。それを振り下ろし―しかし、その場を飛び退いた。一瞬遅れて、連続して響いた発砲音とともに、銃弾がその場所を抉った。
それを放ったのは無論、望実。無双セイバーによる銃撃である。吹き飛ばされた望実は、体勢の立て直しよりも攻撃を選択した。それは、自身よりも少女の命を守る為である。故に。
「きみ……早く、ここから離れて」
「で、でもお兄さんが!」
「俺の事は大丈夫だ。だから早く……逃げろ!!」
望実のその声に、少女は決断した。身を翻し、脱兎の如く駆けて行く。それに、僧都は軽く舌打ちをしつつ追いかけんと脚に力を込める。
だが、それが爆発するより先に再装填された銃撃が彼を襲った。しかし、二度目にその手は食わぬとばかりに僧都は槍を回し、それを弾き飛ばした。
「食わぬ食わぬ! 二度目は無い!」
「……くっ」
無論、防がれる事は承知していた。だが、僧都の不気味な気迫が望実に圧を与えた。
しかし防御に回った事で出来た隙を突き、望実は再び僧都に立ち塞がった。少なくとも少女の姿がコイツから完全に消えるまで逃がす訳には行かなかった。
「ほぉ……。お主、拙僧の前に立ち塞がるか」
「追わせない……。お前に、お前の様な奴に命を奪わせはしない!」
その言葉に、僧都の顔には嘲笑うような笑みが浮かんだ。それはまるで、以前にも聞いた事があると言わんばかりのものだった。
「であればどうする! 俺は一切を殺し尽くさねばならぬ!!」
「やらせるかよ! 殺されていい命なんて、奪われていい命なんて無い!! その為に、この
自身に喝を入れるような裂帛の声。それは、望実があの時から考えていた事だった。数年前、自身の為に奪われてしまった姉の命。今度はそれが無いように。自分の為に命が喪われないように、命の守るために!
その覚悟が望実にあった。気合い共に、手にした武器を握る手に力が籠る。右に大橙丸を、左に無双セイバーを構える。大橙丸は担ぐような形に、無双セイバーは僧都へと向け腰を落として構えをとった。
「……二刀流か、面白い。お主、名は何と云う」
「……本郷望実。アーマードライダー鎧武だ」
僧都は、望実のその言葉に口角を釣り上げた。それはまるで望んだ闘争に踏み込める歓喜を現すかの如き姿だ。その笑みのまま、槍を望実へと向けると口を開く。
「名乗られたのならば、俺も名乗らずには居られぬ! 我が忌み名、ランサー・プルガトリオと申しそう候。貴様を無塵に屠る、残忍の十文字槍である。本郷望実! それで尚、俺に立ち塞がるか!!」
「無論! 誰もアンタに殺させはしない!! 俺が断ち切ってやる!!」
「その心意気や良し!!」
僧都、改めランサー・プルガトリオの問いかけ。それに望実の腹は決まっていた。最早迷いなく、唯目の前の悪を斬るのみ!
「いざ、いざ、ルチフェロなりしサタンなれば!!」
その言葉が紡がれた瞬間、空間が軋んだ。まるでその世界が地獄のような、そんな‴死‴そのものの気配が漂い始めた。
「出よ、血華咲き誇る我らが極地! 敗北せし魂を取り込み食らう屍血山河の死合舞台!」
それは世界が変わっているようだった。土の道であった筈が、髑髏の大地へと変化した。風は渇き、生けるモノの気配は喪われ行く。
「我が刃の忌み名、ランサー・プルガトリオ! 我が骸の真名、宝蔵院胤舜! いざ、いざ、いざ。覚悟召されよアーマードライダー鎧武! いざ、尋常に!!」
「「勝負!!」」