FGO 仮面ライダーDLC 亜種特異点RTA   作:silverArk.

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再び初投稿です。感想兄貴、評価兄貴たちありがとうございます。励みになりますとも!ジオウ時空の感想兄貴は頑張って生きて。
ここでプルガトリオ戦は終了、次回からRTAパートに戻ります。


プルガトリオ 終奏でる

 甲高い音を立て、十文字槍と大橙丸は激突した。大橙丸よりも十文字槍の方がリーチが長く、そしてランサーの方が望実よりも体格が良かった。

 

故に、間合いにおいては望実の圧倒的不利!さらに、速さにおいても不利は確実!

 

「ヌェイ!!」

 

「ハァッ!」

 

 突き込みからの薙ぎ払い。槍の特性を生かした突き、薙刀の特性を用いた薙ぎ。それは宝蔵院胤舜であった残滓。それは本家に較べれば些か劣化しているらも知れぬ。だが、込められた殺意はそれを補って余りある!

 

 幸いにして、鎧武である望実の方が筋力は上!薙ぎ払いを大橙丸にて押し留める。それだけではない。既に無双セイバーには弾丸が補充されている。

 

 腕を伸ばし、少しでもランサーに密着した状態で放つ銃撃。無双セイバーのトリガーにかけた指を引き絞り、連射する。独特の発砲音と、それに付随する反動。

 

 ランサーの体勢は、槍を突き横に振るった状態。故に回避は難しく、その身を銃弾に晒す──ことは無い。驚異的な脚力と、状況判断能力がランサーに仕切り直しを選択させた。爆発にも似た音を立てて地面を踏みしめ、跳躍。望実との距離をとった。

 

 この攻防にてはっきりと二人の特徴は認識された。ランサーは長いリーチと速さ。望実は筋力と二刀流に拠る柔軟な攻防。

 

 ランサーは固有結界を張り尚且つ、望実を殺す為に全身する事は確実。彼はそれを受け止め、反撃すれば良い。……と言うのはあまりに簡単な言い方だ。

 

 仕切り直したランサーは、今度は両手にて十文字槍を構えた。それは、紛う事なき突きの構え。望実が来るかと思うや否や、ランサーは突貫した。その鍛え抜かれた技術から放たれるは、連続した突き込みの一手。

 

「それそれそれィ!!」

 

(……動きが、読めない!?)

 

 此方に向かう一撃を弾き、いなし抑える。そうせねば死ぬことを分かっているからである。だが、ランサーの攻撃は妙であり、望実の動きは何処か困惑しつつぎこちないものであった。

 

 既に何合か打ち合っている望実。当然、その攻撃は既に見たものであり、何かしらの対策は取れる筈だ。勿論、生死をかけた戦に彼がしない筈はない。

 

 だが対策を講じて尚、望実の動きはぎこちないものである。何せ、彼からすればランサーの放つ一撃が全て初見に見えるからであった。

 

 この秘密は、宝蔵院胤舜の保有している技能(スキル)にあった。その名も‴宗和の心得‴である。その効能とは、見切られない事。より正確に言うと同じ相手に同じ技を何度使用しても、命中精度が落ちない事である。

 

 言わば、常に初見の攻撃が襲いかかるのである。常に初見にするのであれば、どんな対策も無へと帰してしまい意味が無い。

 

 望実は大橙丸と無双セイバーを縦横に振るい、十文字槍の突きを押し留める。ガキン、キィンといった鋼の悲鳴と火花が二人の前を爆ぜた。

 

 げに恐ろしきはランサーのスタミナ!これだけの槍を振るいながらも些かのテンポも落とさない。反対に望実には疲労が溜まる一方である。

 

 槍を捌くこと。刀を振るうこと。この事項は確実に彼の精神力とスタミナを奪っていた。

 

 だが、その中で望実は一つの結論に達していた。それは、考えない事である。なまじ考えるからこそ初動が遅れ、鎧に掠る。ならば頭を空にしただ打ち出された攻撃を捌けば良い。

 

 事実として、十文字槍は望実に攻撃を当てることはならず、望実のキレは増しつつあった。……しかしである。

 

「ぐあぁぁぁっ!?」

 

 疲労だけは誤魔化す言は出来なかった。一瞬反応の遅れた左腕。それが隙を産み、十文字槍は肩を強かに打った。

 

 だが、不幸中の幸い。一瞬遅れたとは言え、無双セイバーは槍の威力を弱めた。その為、十文字槍は鎧を貫く事は叶わなかった。

 

 それでも、込められた力は望実を吹き飛ばすに足るものであった。打たれた左肩を中心点として数メートル、望実は後ろへと吹き飛んだ。

 

「一撃、貰ったぞ鎧武ゥ!」

 

 ヒュンヒュンと、槍を振り回し担ぐ形にするとランサーは悠々と接近してくる。紅く染まった双眸を歪め、喜悦交じりに接近してくる。

 

 既に望実の頭には、接近戦の不利が浮かんでいた。これ以上、迂闊に接近してしまえばスタミナ消費による敗北は目に見えている。

 

 ならば、それを逆手に取れば良い。それが望実の頭に浮かんだ。故に、望実はブラッドオレンジロックシードを、取り外すともう一つのロックシードを解錠した。

 

 ──ウォーターメロン!

 

 ──ロック・オン!

 

 ──ソイヤ! 

 

 ──ウォーターメロンアームズ!

 

 ── 乱れ玉・ババババン!! 

 

 アームズチェンジ。それが望実の次なる一手であった。接近戦は不利である。ならばそれを逆手にとった作戦を取ればよい。

 

「ほぉ!姿を変えるのか、面白いぞ鎧武!!」

 

「そうかなッ!」

 

 喜悦交じりに吠えるランサー。それに、望実も仮面の下で口角を釣り上げて答えた。

 

 アームズウェポンであるウォーターメロンガトリングを左に、右に無双セイバーを構え立ち上がる。それを見たランサーも担いでいた十文字槍を両手で持ち、構えた。

 

「次なる得物は盾か。どう出る!!」

 

「さぁ……ね!」

 

 動いたのはランサーだった。飛び上がって一回転。その遠心力と重力を持ってした一撃。それは、望実の筋力を遥かに超え受け止める事は非常に困難であった。

 

 受け止めるのならば(・・・・・・・・・)

 

 望実は十文字槍を受け止めるのでは無く、体捌きを以てして合わせた。無双セイバーを槍に添わせて受け流し、それを回避したのである。

 

 さらに、それだけには留まらない。左のアームズウェポンを落下してくるランサーの腹部に突き立てた!

 

 ぐふ、とランサーの口から呼気が漏れる。それが、望実に取っ手の好機であった。

 

「―貰ったァァァ!!!」

 

「なんと!?」

 

 ランサーの腹部に突き立てたウォーターメロンガトリングの砲身が火を噴いた。槍は無双セイバーにより地面へと縫い付けられ、身体は空。回避は出来ず身も守れない。

 

 恐ろしい音を立て、ガトリングから銃弾が発射された。腕がへし折れそうなくらいの反動。しかし、望実はそれを押さえ込んでガトリングを放ち続けた。

 

「ガアアァァァァ!!?」

 

 ランサーの守りは数秒も持たなかった。あっさりと腹部は血だらけになり、そして内臓と血潮をぶちまけながら大穴を開けた。

 

 ガクリと、ランサーの身体から力が抜ける。十文字槍からするりと手が離れた。

 

 その隙を望実は逃さなかった。槍を抑えていた無双セイバーを振るい、ランサーの頸を落とす。するりと入り込んだ刃は、あっさりと頸を落とした。コロリ、と落ちた頭は血の筋を作りながら転がった。

 

 より一層の血を吹き上がらせるランサー。そこで望実はようやく攻撃を止めた。腹部への大穴、頭部の切断。見方によっては明らかに過剰攻撃だ。

 

 完全に死に切っていないのか、指や筋肉がピクピクと痙攣を起こしている。それを見ながら望実はランサーの身体を地面に降ろした。そして、ゆっくりと後ずさりをする。

 

 ……当然、望実が人を殺したのは初めての事である。ヘルヘイムの森でのインベス戦、あれは曲りなりにも異形との戦いであった。

 

 しかし、今の戦いは違う。意思疎通の取れる人と人との殺し合い。現代倫理からすれば到底赦される事の無い行為。それを初めて体験したのである。冷静などでは到底居られなかった。

 

 疲労と心労、これらから来る震えが望実の手に表れていた。無双セイバーを地面に突き立て、震えるその手を見つめる。

 

 守る為、自分が生き残る為。そんな御為倒しを言っても人殺しは人殺しである。彼の手にははっきりと感触が残っていた。ガトリングを放ち、肉体を削る感触。肉と骨を断ち切った、頸を刈る感触。

 

 しかし、殺ってしまっものはどうしようもない。時間が遡行する訳でも、ランサーが不死身である訳でもない。 この咎を背負うよりないのだ。

 

 そう考え、望実は顔を上げ──奇妙に気が付いた。ランサーは死んだ。頸を絶たれ、腹に穴を空けられた。それは覆しようのない事実だ。しかし、しかしである。ランサーが死んで尚、この世界。この地獄のような景色が消え去っていないのである。

 

 術者であるランサーが死んだのならばこの世界の姿は戻るべきだ。しかし、現実にはそうなっていない。それが、望実に疑念を与えた。疑念は警戒に繋がる。素早く、突き立てた無双セイバーを引き抜く。自分に湧いた疑念は警戒すべし、これを望実はヘルヘイムで学んでいた。

 

 果たして、物言わぬ骸であった筈のランサーの肉体、それが動き始めた。倒れ伏した状態から頸のない状態でゆっくりと立ち上がる。それだけではなく、落ちた頸を器用に掴むと切断面に乗せたのである!

 

「ははははは!!効かぬ、とんと効かぬぞ鎧武!!その程度では我が骸の宿業を絶つ事は叶わぬ!」

 

「……これじゃあ足りないって言うのか」

 

 乗せた頸はグチグチと、肉が引っ付くような音をたて接着して行く。それだけではない!望実は確かに見た。腹に空いた穴に見えた漆黒の靄!そこから漏れだした泥の様なものが腹の穴を埋めてゆくのである!

 

 泥は暫く蠢いていたかと思うと、徐々にその色をランサーと同じ肌色へと変化させた。完全に再生したのだ。

 

「しかし、やるな。まさか、新免武蔵以外に俺が殺されるとは思いもしなかったぞ」

 

「……そうか。ランサー、お前がどうやったら死ぬのか俺には分からない。でも、絶対に殺しきってやる!」

 

「ほぉ。ならば良かろう!俺も宝具を使おうぞ!!」

 

 宝具。望実にその言葉の意味は分からなかった。しかし、その語が纏う恐ろしさや禍々しさが危険を伝えていた。

 

 十文字槍をブンブンと振り回し、脇に挟み込むようにして構えた。そうして、ランサーは言の葉を紡ぐ。

 

『──これぞ槍の究極。生涯無敗を確立させた十一の式、朧裏月!』

 

 それは幻覚に見えた。言の葉とともに、ランサーから放出された¨気¨のようなものが満ちる。それだけではない。その¨気¨はやおら人の形をとり始めた。その姿はランサーそのものである。総数にして十一。ランサーがその数に分身したのである。

 

『──いざ、参る!!』

 

 それそれが特徴的な型のようなポーズをとった分身。それらは実像をとったが、一拍おいて再びランサーに向かって集結したのだ。

 

 分裂して攻撃を仕掛けるのではなく、ただ分身しただけ。それは奇妙な光景に他ならないものだった。

 

 それでも、宝蔵院胤舜の纏う気配が大きく変化した事には変わりがなかった。耳を澄ませば槍の柄を握りしめた部分から、ミシミシと木が軋むような音すら聞こえてくる。吐く呼吸すらも、湯気が立つようなくらいである。

 

 その妖しき気配に、望実はもうなりふりを構っては居られなかった。ウォーターメロンガトリングをランサーへと向け、発砲した。ガトリングを放つ反動は凄まじい。断続的に弾を吐き出すガトリングを支えるだけでも、腕がへし折れそうなくらいだ。

 

 しかし、その為なのかガトリングの威力は凄まじく高いものだった。先程のランサーを一度殺した事でそれは証明されている。

 

 果たして、殺到した弾丸はランサーを抉る。などと言う事は起こらなかった。

 

 十文字槍をグルグルと回転させ、その弾丸を全て叩き落として行く。弾丸の速度は凄まじく、威力もある。だが、ランサーはその場から一歩も動く事無くそれを叩き落としていった。

 

「な……!?」

 

「温い温い温い!!それでは俺を斃す事は出来ぬ!」

 

 反動の大きさ、それに付随して弾丸を受け止められた事によって望実はガトリングの発砲をやめた。発砲をやめると同時、ランサーは十文字槍を見せつけるようにブンブンと振り回し挑発じみた事をした。

 

「……やっぱり、このアームズでは反動が。それにガトリングが効かないなんて」

 

「その砲のみではない!この俺に、もう全ての攻撃は効かぬ!!」

 

 事実であった。この宝具は、初見の相手あるい、武器・武装・術の類がどれほど奇妙なものであったとしても、初見ゆえの不利を解消してしまう。さらにそのすべてを捌き、いなし、躱した上で必殺の一撃へと繋げることが可能であった。之こそが、宝蔵院胤舜が誇る宝具『朧裏月十一式(おぼろうらづきじゅういちしき)』 !

 

 故に、ガトリングの攻撃すらも見切られており通用しなくなっていたのである。その事実が望実に恐怖を与えた。自身が放つ攻撃は通らず、ランサーの攻撃に対しての策は未だ練れてはいない。

 

「……だが!」

 

 それでも、望実は諦めはしなかった。ウォーターメロンロックシードを閉じると、再びブラッドオレンジロックシードを取り出した。

 

 ──ブラッドオレンジ!

 

 ──ロック・オン!

 

 ──ソイヤ!

 

 ──ブラッドオレンジアームズ! 邪ノ道オン・ステージ!!

 

 再びアームズをブラッドオレンジへと切り替える。遠距離でガトリングを使用しても、防ぎ切られるだけ。さらに、体力すらも大きく削られてしまう。ならばいっその事接近戦をしかけつつも比較的体力消費の少ないブラッドオレンジを使用して、戦うよりないと考えたからである。

 

「ほぉ、効かぬと知ってアームズを変えたか。いよいよ雌雄を決するか!!」

 

「……ああ!やってやるさ!!」

 

 望実は既に軽い自棄を起こしていた。このまま睨み合っていても決着が着くことはない。それだけではない。直接の負傷こそはないが、精神的なダメージと体力的な問題。それらが一刻も早い決着を望実に考えさせたのである。

 

 大橙丸と無双セイバーを構え、突貫。二刀を以ての攻防一体の構え。初撃を防いで一撃を狙う受けの構えだ。

 

 しかし。

 

 一歩、ランサーが一歩地を踏みしめ駆ける。それから突き出される十文字槍の突き。その速度は、先に攻撃した筈の望実を超え、先に到達した。風をきる。文字通り、風をも斬り裂きながら到達した。込められた膂力、スピード。それらは一撃で望実を殺すに足るものだ。

 

「……ぐっ!」

 

 ガチン!と鋼の軋みが響く。大橙丸のカヒノジン部分で刃先を、無双セイバーで十文字槍の枝刃を受け止めた。腕を折りたたんで、ギリギリの所で防ぐ。咄嗟の判断であった。

 

 だが、受け止めた。ならばここから反撃である。押し込まれる力に対抗して、より二刀に力を込める。そのまま押し返して、ランサーの体勢崩しを狙った。

 

 所が、ふっと二刀にかかっていた圧が消失した。思わず圧が消えた事でつんのめるように体勢を崩す。それが隙となった。

 

「貰ったぞ!鎧武ゥ!!」

 

「しまっ──ぐああぁぁぁぁ!!」

 

 それは強化された身体が生み出した挙動の結果だった。ほぼ瞬間移動にも等しい速度で、望実の側部に移動したランサー、その一撃である。

 

 十文字槍の謳い文句、払えば薙刀とあるように文字通り真一文字に薙ぎ払われたのである。なまじ反射神経が良かったのが裏目に出た。声の方向に身体を向けてしまったのである。

 

 結果、アームズの胸部装甲には一文字の残痕。さらに装甲を斬り裂いて血潮が飛び散った。その勢いのまま、望実は数メートル吹き飛んだ。

 

「ぐっ……!?」

 

 気道に激しい異物感。せり上がってきたのは恐らく血であるだろう。本音を言うなら、このまま寝転がって居たいくらいに疲弊しているし辛い。だが、生きようとする望実の本能が彼の身体を無理矢理動かした。

 

 四肢に力を込めて跳躍の構えをとる。ランサーは既に飛び上がり、叩きつけの体勢に入っていた。本能は生き延びる為に回避を選択させていた。望実はそれを押さえ付け、前へと跳躍した。

 

 跳躍中には特殊な技能を持っていない限り、移動する事は出来ない。よって空中に居るランサーは目を見開いた。

 

 ──ソイヤ!

 

 ──ブラッドオレンジ・スカッシュ!!

 

 素早くカッティング・ブレードを倒しチャージ、跳躍をしながら大橙丸を振り抜く。同時に身を捩ったランサーは空中で十文字槍を振るった。

 

「セリャぁぁぁぁ!」

 

「ムうぅぅぅ!!」

 

 大橙丸はランサーの胸部を存分に断ち割り、十文字槍は望実の頭部を捉えていた。だが、寸前に割り込みに成功した左腕が盾となった。

 

 ぞぶりと、大橙丸が肉を骨を断ち割った。再びランサーを斃したのである。だが、膂力を込めて叩きつけられた十文字槍は鎧を砕き、望実の骨をもへし折っていた。

 

 ばだり、と着地もする事が出来ず地面に倒れふすランサー。一瞬遅れて地面へと降り立った望実も膝を着いた。これでランサーが死なないのは明白である。しかし、勝機が無いわけでは無かった。ランサーの腹部を重複した靄。アレを壊せばもしかしたらと直感が告げていたのである。

 

 血溜まりに伏すランサーからは靄を見ることが出来ない。故にチャンスは次、ランサーが立ち上がったタイミングである。

 

 折れた腕を動かし、大橙丸と無双セイバーを連結。無双セイバー・ナギナタモードへと装備を変えた。

 

 これがラストチャンスである。体力的にも負傷的にも望実は限界。これに失敗すればここで死んでしまう。そうなってしまえば約束も果たせない!

 

 無双セイバー・ナギナタモードを腰へとマウントし、ランサーの方へと向き直った。そして腰を落として右手をカッティング・ブレードに添える。ゆっくりと息を整えその時に備えた。

 

 果たして、一分程経って再生を始めたランサーは暫しの時をかけ蘇った。

 

「再生が遅い、だと?鎧武何をした」

 

「…………」

 

「黙りか。しかし、気迫を感じるぞ!!次で終いにするか!」

 

 それを言うが早いかであった。ランサーが突貫してくる。再生が響いているのか、その速度は先程と比べて少々遅い。そのためわずかに時間が出来た。ほんの刹那、しかし確かな時間が。

 

 ──ソイヤ!

 

 ──ブラッドオレンジ・スパーキング!!

 

「何ィ!!」

 

 素早くカッティング・ブレードを三回倒し、鎧をブラッドオレンジの形に戻す。そうして右手で思いっきり鎧を回転させた。

 

 そうして回転させたブラッドオレンジを十文字槍へとぶつける。腕が潰されたが故に思いついた頭突き攻撃。それはランサーを呆気に取らせただけではなく、十文字槍を弾き返した為に大きな隙を作った。

 

 再びブラッドオレンジを鎧に戻し、右手で無双セイバーを抜刀。震える左手でブラッドオレンジロックシードを取り外し、無双セイバーへと取り付けた。

 

 ──ロック・オン!

 

 ──一・十・百・千!

 

「征くぞぉぉぉ!」

 

 こちらから踏み込む。完全に体勢を崩してしまったランサーはそれを立て直そうともがくが、それよりも。望実の方が早い!

 

 交差するように、無双セイバーから二度放った斬撃状のエネルギー、それがランサーへと直撃した。エネルギーはブラッドオレンジの形をとりランサーをその場に縛り付けた。

 

 ──ブラッドオレンジ・チャージ!!

 

「これで、終わりだぁぁぁぁ!!」

 

「鎧武ゥゥゥゥゥゥ!!」

 

 大橙丸にエネルギーが集約する。右手一本で振るうには重すぎる刃。しかし、迷っては居られなかった。

 

 全力で駆け抜ける。ランサーの胴体を薙ぎながら、全力で斬り抜いた。上半身と下半身は泣き別れ、飛び散った。

 

 ……手応えがあった。先程では届かなかったなにかを斬り割ったと言う確かな手応えが。

 

 息を切らしながら、ゆっくりランサーへと振り向く。そこに居たのは、まだ禍々しさを残しつつもどこか穏やかなランサーだった。

 

「……………………見事、見事であった。我が槍の真髄を以て貫かんとしたが、鎧武。まったくその変幻自在には叶わんかったか」

 

「……ああ、俺の勝ちだよランサー」

 

「全くよ。まさか、彼方に隠されし我が霊核へも過たず届く刃。異世界の刃はげに恐ろしきものよ」

 

「……そうか」

 

「我が身は骸なれど……うむ。是は重畳であったというものよな。故に、胸を張るがよい」

 

「……ああ、そうさせてもらう。ランサー、アンタの事は許せないけどそれでもその技には敬意を表するよ」

 

「そうか、それは喜ばしいな。……鎧武!本気の貴様と戦えて、実に──―」

 

 その先の言葉は無かった。ブラッドオレンジのエネルギーを受けて、ランサーは爆散していった。ランサーが滅びると同時、空間が元の世界へと戻ってゆく。

 

 彼は勝ったのである。そして、勝利したと言う思いを抱き、望実の意識は闇へと呑み込まれていった。

 

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