ありふれた職業だがとりあえず蹂躙するものたち 作:アホな就活生
これは、例えばの話。
もし、本当に南雲ハジメたちがいた元の世界がファンタジーや異能が存在していたら。
もし、それがひっそりと存在していたら。
もし、南雲夫妻がヤツらに出会い、とある依頼をしたら。
もし、そのせいでヤツらが異世界にきたら。
そんなもしもの、変わるようで何も変わらない、悪魔どもの一方的な殲滅の物語である。
ー日本のとある家ー
「ハジメ…どこに行ってしまったんだ…。」
男性、南雲愁は突然行方不明になってしまった息子のことを思いながら思わず無意識に呟いた。
一ヶ月前に起こったとある高校の集団神隠し事件。
警察による懸命な捜査が行われているが全く手掛かりも見つからず迷宮入りではといわれてしまっている。当初は、集団誘拐にしては日中の学校で他のクラスに気づかれることなく一瞬でさらうというあり得なさと、かといって自主的な集団失踪というには食べかけの昼食や、やりかけの宿題、蹴倒されたままの椅子などといった不自然さに過剰なまでにメディアは過熱している。
警察だけでなくその事件によって行方不明になってしまった自分の子供を見つけるべくその家族たちも何か手掛かりはないかと、さまざまな手法を用いて懸命に捜索していた。
しかし現実は無情で、何か証拠が残っていることもないのでもはやそれは何もしていないのと同じくらい無意味なものとなっていた。しかし何か手掛かりはないかとで必死に捜索する。ネットの目撃なども重要な情報になる、そんな思いで情報提供を呼びかけるビラの作製や、PCの掲示板チェックをしていた。
「菫、そろそろ寝たらどうだ? 昨日も遅かっただろう?」
「平気よ。そういうあなたこそ、寝た方がいいんじゃない? 昨日は、仕事のほうも大変だったんでしょう? ほとんど寝る時間なんてなかったじゃない」
お互い顔を上げず南雲夫妻は言葉を交わしあう。本来の仕事も休み休みとはいえ長期にわたってする仕事をする二人にとってこれは肉体的にも辛いものとなっていた。するとそんな中、同じ動作をし続けているせいか間違えて別のページをクリックしてしまう。元の画面に戻そうとしようとしたその時、その画面のとある文字が見え思わず手を止めた。
『お悩み解決!!E D高校解決部!!!
何か困っていることがあればすぐ連絡!!
例えば人が行方不明になった教室などにこんな模様とかありませんか?
下手をすると不味いことになるかも!!
そんなことが有ればすぐにここへ連絡を!!!』
「か…薫…。ちょっとみてくれないか?」
「どうしたの?」
夫の何かに困惑したような声に思わず手を止めPCの画面を覗き込む。
「これなんだが…。」
「高校の部活サイト?これがどうしたのよ?」
「この部分だ。『教室に模様』『不味いことになる』。まるで俺たちに向けて書いてあるようにみえないか?」
「イタズラとかじゃないの?」
「なら部屋とかにするべきところだ。だがこのサイトには教室と断定している。そしてこの模様、まるでハジメのクラスの教室にうっすらあった模様に似てないか?」
「…怪しい詐欺の可能性もあるわよ…?」
「でも何かあるような気がするんだ。」
「…試しに電話してみます?」
「…やってみるか…。」
普段なら信じたりなどしないサイト。しかし息子が神隠しにはあい、精神的に追い詰められかけている二人にとって藁にもすがるような内容だった。電話番号を打ち込み、電話をかける。
プルルルルル。
プルルルルル。
プルルルルル。
3コールもの電話音がすると、ガチャッという音と共に電話が繋がった。すると受話器から丁寧な言葉使いとともにおそらく15才くらいの少女の声音が聞こえてくる。
「お電話ありがとうございます。こちらE D高校解決部です。こちらの番号からかかってくるということはかなりの難問とお見受けします。それでは、どういった内容でしょうか?」
これはもしもの話。
とある電話がきっかけで異世界に行くことになってしまった悪魔どもの道中の話である。