ダンガンロンパ -Lost Believe-   作:海風

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第1章-第4話- 非日常(捜査編)

 ……どうして……彼女が死んでいるんだ。

 

 昨日、あれだけ楽しそうに動物の話をしていたじゃないか……動物と自分は一心同体じゃなかったのか……?

 

 毎日のように、猫に餌を与えないといけないんじゃないのか?

 また僕達に、可愛い動物についての会話をしてくれないのか?

 家に置いてきた動物たちと再会するんじゃなかったの?

 

 ……なんで?

 

『睦月さん……睦月さん!』

『おいっ、佐藤君! お前が死んでるって認めたのだろう!? そのお前が取り乱してどうする!?』

『枢木君……』

 

『何で……何で殺されてるの……?』

『大丈夫だよ多恵ちゃん……まだ自殺って可能性も……』

 

 

 

そんなわけないじゃ~ん!!!!

 

 

 

『!?』

 

 僕らが悲しみに暮れていると、モノクマが入口から大声を出しながら歩いてきた。その顔はいつも以上に笑っていた。

 

『モノクマ……!!』

『おいっどうなっている! なぜ睦月さんが死んでいるのだ!?』

うぷぷぷ……【超高校級の情報屋】なのに、そんなこともわからないの~? いいよ~教えてあげるよ! でもその前に仕事があるから、ちょっとまってね~!

『仕事?』

 

 と、モノクマは放送マイクのような物を懐から取り出し……大きな声で叫び散らした。

 

 

 

お知らせです! オマエラ、死体が発見されました! 今すぐに女子更衣室にお集まりください!!

 

 

 

『……何? なんの放送!?』

『死体が……発見……?』

そう! 死体発見者が3人以上になると、このように死体発見アナウンスをこの僕が行うよ!

『どうしてそんなことを?』

うぷぷぷ……だって知らせなきゃ、殺されたかどうかわからないじゃん? おっと……少しづつ集まってきたようだね

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

『ちょっと!? 死体が発見ってどういう……え? うわっ!?』

『こ……子猫ちゃんが……死んでいる? いや、殴られているのかい?』

『これは……道徳的に的を射ていないな……』

『……成程、第一犠牲者……といったところですか』

『モノクマ……私を起こすなぁ~……!』

『志津姉さん!? どうして? なんで死んでるの!? あ、そっか、きっとモノクマだ! モノクマがやったに違いない!! 皆が殺す筈ないもんね!?』

だから違うっていっているでしょうが──ー!!!!

『神楽、少し落ち着きなさい』

『オイオイ……殺しはしないと決めたんじゃなかったんかよォ!!』

『……』

『え? うわぁぁああぁぁあああ!? アイドル候補の睦月ちゃんが!?』

 

 反応はそれぞれ違えど、皆死体を見て驚愕するような反応したのは共通事項だった。

 一部の人の反応は、ちょっとズレてるような気がするが、それもまぁ個性なのだろうか。

 

 ……というか、この状況で何個性って言ってるんだ?

 

『オイッ! 本当に睦月は死んでんだろうなぁ?』

『え……そ、そうだけど……』

『……ッチ、やっぱり人は信用ならねぇ……』

『そ、そんな……』

『でも、この状況を見て、他の人を信用できる人の方がおかしくて? あ、信者バカは仕方ありませんか』

『そんな言い方……』

『あら、青空さん。貴方も今誰かを信用することができます? できないなら、すぐその口を閉じなさい』

『っ……』

 

 青空姉……ソフィアさんは何でそんなにきつい言葉を投げるのだろう。

 言っていることは正論だから、当然反論できないけれど……。

 

『(フッ) それで……僕達はこれからどうすればいいんだい? まさか誰かもわからない殺人犯と一緒に暮らせ……なーんて事ではないだろう?』

『それはないでしょう、貴方達、しっかり校則を記憶したんですか? これから記憶力皆無は困ります』

『アァ!?』

『……まったく、これの事ですよ』

 

 そういうと、ソフィアさんは以下の項目を見せた。

 

 5.仲間の誰かを殺したクロは『帰還』することができます。ただし、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。

 

 7.学園内で殺人が起こった場合、生存者による全員参加の学校裁判が行われます。

 

 8.学級裁判で正しいクロを指摘できた場合、クロのみが処刑されます。 

 

 9.指摘できなかった場合、クロ以外の全員が処刑されます。その場合、クロだけが卒業し、学園から脱出、卒業することができる。

 

『帰還と……学級裁判?』

そう! その通りで──っす!!

『うわびっくりした……』

『急に大声出さないで……眠れない……』

『いや寝ちゃダメだよ!? 校則違反だよ!?』

『うぅ~~~~~』

そんなに好きな所で寝たいなら、さっさと誰か殺しちゃえばいいのにねぇ~

『モノクマお前!』

ハイハイ、冗談でもない話は置いといて……説明しちゃうね?

『さっさと説明しろ、さっきから話が的を射ていないぞ』

『えぇ……私もこんなくだらない場所に長くいたくありませんから』

わかりましたよ~! オマエラにはこれから、一定時間の間この事件の捜査をしてもらいます!

 

 捜査……? よくドラマである証拠集めとか、そういう奴なのだろうか?

 

そしてっ、捜査が終了したら、その後全員参加型の『学級裁判』を執行するよ! そこでっ、クロが誰なのかを議論しあって、最終的に投票でクロが誰なのかを決めてもらうよっ! 多数決で判断した結果、そのクロが正解だった場合、校則に違反したと判断し、クロの生徒をおしおき……つまりは処刑させていただきます!

『処刑……つまり、死ってこと!?』

当たり前じゃん! それ相応の事をしたんだからね!

『……そして、校則によると、指摘できなかった場合は、犯人……すなわちクロ以外が処刑されてしまう……ということですわね』

そうそう! ソフィアさんは話がわかる生徒で助かるよぉ~?

『そんな……多恵、死んじゃうの?』

『まさに……命がけの犯人捜しってことだね……』

『ッチ、よぉするにだ。死にたくなったら犯人を捜せってことだ、簡単な話じゃねぇかよぉ』

『(フッ) 私が殺されてしまったら、私のファンが悲しんでしまう……一刻も早く犯人を見つけなければ……』

『……あれ、なんでみんなの中に犯人がいるって話になってるの!? 犯人はモノクマじゃないの?』

『違うって言っているでしょう? 神楽、少し落ち着きなさい』

『し、志津姉』

うぷぷぷぷ……死体の情報に関しては、オマエラの電子手帳へ一斉送信したから、是非活用してね!! それじゃっ

 

 伝える事だけ伝え、モノクマは笑いながら去っていった。

 

『多恵……死にたくないよ……』

『……頑張るしかないよ』

『……青空さんは頭ではわかっているようですね……そういうタイプは嫌いじゃありません』

『う、上から目線だね、ソフィアさん』

『何か問題でも』

『と、とりあえず……死体の情報って奴を確認してみる……?』

『ソレが正しい情報かどうかはわからないだろう? 【超高校級の情報屋】である我が死体を見ながら審議してやろう!!』

『たくよぉ……だったらさっさとやるか』

『そ、そうだね』

 

 一人の仲間が死んだ……それでも一部の人は冷静だった。

 恐らく、何時かは誰か死ぬんだと想定していたんだろう?

 そして、それが現実に起きてしまった。

 僕は、背後に置かれていた睦月さんの死体に目を向けた。

 今すぐにでも背けたいような状態だが……僕は前に進まなければならない。

 そして……こんな事を二度と起こさせないために……。

 僕は、この事件を絶対解決してやると……心に決めた。

 

 

 

 

 

 

《捜査開始》

 

『ふむ……それでは送られた情報と死体の状況を比較しながら確認していこうかッ! 死体の情報は何度も探った事があるとは言え……本物を見るのは初めてだがね!』

『初めてじゃなかったら怖いよ……』

『……あ、枢木君、私も手伝うよ?』

『僕も手伝う』

『ありがとう! ではさっそく……』

 

 僕と青空姉、そして枢木君は睦月さんの死体に手を合わせた後、送られた情報……通称『モノクマファイル』と比較しながら死体の状況を確認した。

 

【モノクマファイル(1)】

 

 被害者は【超高校級の飼育係】の睦月 穂香。

 死体発見場所は、女性大浴場。

 死亡推定時刻は、午前7:02分頃

 死因は、頭部を何回も殴られた事による出血死。

 頭部以外にも、身体には何個か殴られたような後がある。

 

 コトダマゲット → 【モノクマファイル(1)】

 

『……ふむ、死亡推定時刻等の真偽は不明だが、死因や外傷についてに間違いはないな!』

『それにしても酷いね……頭部を何回も殴られた上に、それ以外も殴られるなんて……』

『というか7:02って……私達が朝風呂にくる直前だよね……?』

『朝時間開始直後!? 犯人は消えたの!?』

『それはわからないけど……』

『狂気的……それか快楽的……みたいな殺人事件ですわね』

『えっと……ソフィアさんバッサリ言うね……』

『ごめん……多恵、死体とか苦手だから……脱衣所の中探すね』

『ッチ、おい青空ァ、このガキと一緒にいてやれ、俺らは大浴場見るぞ』

『とりあえず……脱衣所組と男子浴場組、女子浴場組に分けてみようじゃないか!』

『確かに男子の方も見ておく必要がありそうですわね……とりあえず、男子は男子浴場、女子は女子浴場って感じにしますか』

『やっぱり志津姉は頼りになるなぁ……』

『ッチ、じゃぁ男子組は行くぞ』

『あ、はい』

 

 紬君は割と真面目でした。

 

 

 

 ◆

 

 

 

【男子浴場】

 

『……昨日あれだけ暴れたのに綺麗だね』

『ど、どうやら……モノクマ(あいつ)が、午前6:00に掃除しているって書いてあったような……』

『書いてあったって?』

『え、脱衣場に行く通路の入り口だけど……嘘だっていうのなら、出るついでに見るといいよ』

 

 しっかり者だな……。

 

 コトダマゲット → 【浴場の掃除】

 午前6:00にしっかり掃除している。

 その代わり様から見るに、念入りに掃除はしているようだ。

 

『成程ねぇ……通りで水たまり一つねぇってことだ……』

『(フッ) だが、水たまりはなくとも、水滴ぐらいは多少残ってるね……』

『水滴ぐらいは残るだろう? 見落としってことも考えられる……まったく、的を射ていない事を言うな。お前が殺したのか?』

『(フッ)そんな事を僕はしないさ』

 

 見落とし……もし仮にモノクマが掃除をしているのなら、本当にそんな見落としをするだろうか……少し気になるね……。

 

 コトダマゲット → 【男子浴場の様子】

 掃除されいたため非常にきれいだった。

 だが所々水滴や、濡れている部分も存在した。

 

『……男子浴場はこれくらいかな……?』

『たく……事件が起きたのは女子浴場だろ? なんでここも調べる必要があるってんだ……』

『(フッ) それは当然だろう? なぜなら、この男子浴場は、隣の女子浴場と隣接しているからねぇ』

『隣接?』

『あぁそうだッ! 緑川君も佐藤君もしっているだろう!? この壁を昇れば仕切りがある、少し大きめ……のね!』

 仕切り……確かにあの大きさなら人一人通れる筈だな……。登るのは難しいだろうけど……。

 

 コトダマゲット → 【浴場の仕切り】

 男子浴場と女子浴場は隣接している。

 壁には当然仕切りがあるが、登ればそこには人一人通れるだけの穴が開いている。

 だが登るのは至難の業だろうが。

 

『そうだ……更衣室の方にはなんかあった?』

『アァ? おい緑川と倉家、なんかあったかァ?』

『うん? 枢木君と佐藤君の風呂道具……くらい?』

『え!? えっとえっと……緑川君の言った事と……ゴミ箱にあった濡れたタオルぐらい?』

『濡れたタオルかい?』

『そ、そうだよ、ほら、あのゴミ箱に……』

 

 倉家君は浴場入口付近にあるごみ箱を指さした。そこには念入りに絞られたタオルが入れてあった。

 

『アァ? 誰かが風呂から出た時に捨てたんだろ!?』

『捨てるの!?』

『俺は捨てた』

『はっはっは! ってじゃぁこれは紬君のかい!?』

 

 コトダマゲット → 【濡れたタオル】

 男子浴場のゴミ箱に入れてあったタオル。

 念入りに絞られて水分もほとんど残っていない。

 

『あぁ……そうかもな?』

 

 紬君は頭をいじりながらそう言った。

 

『そうかもなって……』

『ほかにもいるかもしんねぇだろ? 犯人とかよぉ』

『あたかも自分が犯人じゃないっていうような口ぶりだな、紬。お前が犯人なら、俺も納得がいくが? 的を射ているしな』

『ッチ、その話は学級裁判っていう奴でしろや』

『そ、そんなことよりも……ここでわかる内容って、これで全部かな?』

『オイ、まだアリバイって奴を聞いてねぇよ。事件においては鉄板だろ?』

『さすが【超高校級の脱獄犯】……捕まえられ慣れているというか……』

『アァ!? 悪口か?』

『ご、ごめん……』

『(フッ) 確かにそうだね……まずは、あの場にいた枢木君と佐藤君に聞こうじゃないか……』

『ぼ、僕はただ……枢木君と青空姉、そして松丸さんの3人で朝風呂に……』

『はっはっは、同じくだな! つまり、我々に反応は不可能なのだッ! そうなると、他の者はどうなのだ?』

 

 枢木君がそういうと、皆は一斉に……

 

『寝てた』

 

 そう答えた。

 

『はっはっは……だろうなぁ』

 

 コトダマゲット【男性陣のアリバイ】

 僕と枢木君は男子脱衣所にいたから、おそらく犯行は不可能。

 そのほかは寝ていた。

 

『つまり、俺らにはアリバイがないということなんだよッ』

『何で偉そうに言うの!?』

『まぁまぁ……ひとまず、調べられる事はこれで全部かな……』

『そうだね……女性陣の知らせを待とうか』

 

 

 ◆

 

 

 

【女子浴場】

 

『……全員も行ったことですし、そろそろ始めますか……』

『うん……死体と一緒ってのは気が引けるけど……』

 

 多恵ちゃんは夢喰ちゃんと浦川さんに任せる事にした。本当は佐藤君に任せたいが、男子浴場にいるし、そればっかりは仕方ない。

 

『そういえば……ソフィアさん、なんで女子と男子をああやって分けたの?』

『女子浴場に男子がいるのは可笑しいでしょう、先ほどはモノクマが呼んだからとはいえ、ずっといられるのは危なくなくて?』

『校則にはそう書いてないよッ?』

『あれ、そうだっけ村戸さん』

『うん、後監視カメラだって浴場にはないし』

 

 成程、つまり浴場には誰でも入れたわけだ。

 

 コトダマゲット → 【浴場について】

 脱衣所及び浴場には、監視カメラはついていない。

 校則に何も記載はない事から、女子更衣室には誰でも立ち入る事ができた。

 

『そう……なら誰にでも犯行が可能であったと……』

『そうですね……確定なアリバイとかはないと、そういうことになりますね……』

『はいはいはい!! 多恵は違うよー!! ついでに青空姉も!!』

『多恵ちゃん大声だね~?』

『……』

 

 多恵ちゃんの必死な主張が脱衣所から飛んできた、浦川さんと夢喰ちゃんの声は小さすぎて聞こえなかったけど。

 

『でも確かに私と多恵には不可能だよ……朝風呂に入りにいって、死体を見ちゃったんだし……』

『それは分かりませんが……まぁ、アリバイにはなるでしょう』

『他は……まぁ、多分寝てたよね』

 

 全員は頷いた。

 

 コトダマゲット → 【女性陣のアリバイ】

 私と多恵ちゃんは女子脱衣所にいたから、おそらく犯行は不可能。

 そのほかは寝ていた。

 

『他に手がかりになるような事はないかしら?』

『手がかりと言えば……昨日あれだけ騒いでたのに……浴場が凄い綺麗にされているような……』

『確かにそうね……』

『あ、ほんと……魚釣った時でさえ、多少の水滴は作って言うのに……水滴一個もないよ! あんだけ青空ちゃんの忌々しい身体を触って暴れてたってのに~』

『そ、その話は……うん』

『ま、まぁ事実ですし……とりあえず、その点についてもメモしておきましょう。

 

 コトダマゲット → 【女性浴場の様子】

 掃除されている為なのか非常にきれいな様子であった。

 

『……そろそろ、死体についても触れましょうか……』

『触れたくないけどね……というかソフィアさん冷静すぎじゃないかな……』

『こういう時こそ……冷静にならないといけませんのよ。貴方こそ……【超高校級の姉御肌】として、皆を安心させたいのなら、自分が冷静にならなければいけないのではないですか?』

『……うん、ごめんね』

 

 自分は無力だ……姉御肌の肩書も、代用の肩書の用に過ぎない。

 だって、私の本当の肩書は、アレだったのだから……。

 

『刺し傷は無し……と、頭部以外の打撃痕についても、間違いないようね。ファイルから直接的な死因は撲殺ですわね』

『でも……凶器はないね』

『犯人がそのまま持ち去った可能性が高そうね』

『つまり……ハンマー等の鈍器、もしくは棒状の硬い物ね』

 

 コトダマゲット → 【凶器について】

 ファイルと死体から見て、凶器はハンマー等の鈍器、もしくは棒状の硬い物。

 ただし、凶器は現場には存在しなかった。

 

『凶器は何故持ち去ったのでしょうか』

『凶器を持ち去る理由なんて二つしか考えられないわ。一つは捜査をかく乱させるため、もう一つは犯人が簡単に割り出せてしまうため』

『犯人が割り出せるって?』

『ここは超高校級の才能の集まりよ? その才能に関する道具……といえばどうでしょう、私で言えばバイオリンの弓とかね』

『村戸さんなら釣竿……って感じだね』

『私は違うからね!?』

『誰が信じると思って? そういう主張は証拠を出してからいいなさい。……ほかに不自然な点といえば……』

『そうだね……あれ? 皆見て、睦月ちゃんの服と血のあたり……』

『ふむ……? あら、何でしょうこの橙色の液体は……』

『見た感じインクとはちょっと違うようね……でも、犯人に繋がる手がかりになるかもしれないわね』

 

 コトダマゲット → 【橙色の塗料】

 睦月さんの服と血に付着していた橙色の塗料。

 インクとは少し違う感じだ。

 

『……死体の状況はこんな感じ……?』

『ですわね……あとは現場についての情報が欲しいわ……』

『それでしたら、モノクマさんに聞くのが一番じゃないでしょうか……』

『……それかっ、【超高校級の情報屋】である枢木君に聞くか……だね』

『仕方ないですね……モノクマにも少し情報を聞き出しましょう、あと脱衣場にいる人は、男性陣を呼んできなさい』

『はーい!』

 

 多恵ちゃんが真っ先に反応した。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

『はっはっは! 女性陣も捜査は終わったのかい!?』

『また皆集まったね……』

『大体の捜査はしましたわ……では、互いにわかったことを共有しましょう』

 

 

 ……

 

 

『成程……濡れたタオル……少しの水滴……と』

『まぁ、やっぱり男子浴場には重要そうな手がかりなんてなさそうだね……』

『ふむ……橙色の塗料……確かに的を射ていない物だな』

『で、でもでも? これが何かわからないんじゃ……?』

『そうね、それは情報バカに任せましょう』

『はっはっは! 否定できない罵倒だねぇ! 任せたまえ!』

『じゃ、じゃぁ……ほかの場所も調べよっか』

『ッチ、被害者の場所しかねぇだろォがよ』

『他にもあるでしょ? 行けるフロアはとことん探すよッ!』

『あと、モノクマにも少し話が聴きたいわ』

『じゃぁ、僕が聴くよ』

『……頼みましたわよ』

 

 そういって、皆々現場を後にし、僕と枢木君がその場に残った。

 そして……。

 

 

 〇

 

 

『それじゃぁ、我はこの橙色の塗料を見ている事にしよう!』

『うん、ありがとう。やる事をやろう……モノクマ、質問がある』

はいは~い! 質問あるところに、モノクマありってねー!

『(死亡推定時刻は午前7:02……朝時間の直前だ……となると) ねぇ、夜時間って一部の施設が封鎖されるんでしょ? 基本的にどこのこと?』

ん~? あ、行ってなかった? 今いける場所だと……食堂とここ! 大浴場だね! 夜の時間に入るなんて……いけないからね! つまみ食いも同様!

『ふむ、つまり行ける場所は廊下と誰かの個室ぐらいってわけか!』

 

 成程……やっぱりそうなんだね。

 

 コトダマゲット → 【夜時間の封鎖場所】

 現時点では、夜時間になると食堂と大浴場が封鎖される。

 

 つまり、確定で殺害した場所はここってことだ……。

 

『ありがとう、参考になったよ』

ふふん! どういたしましてぇ~。君も頑張って、クロを探す事だね!

 

 そういって、モノクマはどこかへと去ってしまった。

 

『……それじゃあ、次は睦月さんの部屋だ……はいれるのかな?』

『む、行くのかね? あぁそうだ。橙色の塗料の正体を教えておこう、これは……蛍光塗料だね!』

 

 蛍光塗料……?

 

 コトダマゲット → 【枢木君の調査】

 橙色の塗料の正体は蛍光塗料だった。

 彼の情報なら確かだろう。

 

『わかった、ありがとう』

『うむ! 気を付けたまえ! 我はまだここにいる!』

『うん』

 

 そうして僕は、睦月さんの死体にそっと手を合わせて、睦月さんの部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

【超高校級の飼育係】の部屋

 

 睦月さんの部屋には、青空姉と紬君、そして松丸さんがいた。

 

『あ、3人とも……』

『おぅ……おめぇか』

『あ、佐藤君だー!』

『来たね、どうだった?』

『うん、大体わかったよ、そっちは?』

『うん……部屋に争った形跡はなかったよ、つまり彼女はここでは殺されていないか……自らあの現場に行ったという事になるね』

『けっ……自殺行為かよ』

『そんなわけないじゃん!』

 

 成程……彼女に抵抗心はなかったと。

 

 コトダマゲット → 【睦月さんの部屋の状況】

 部屋に争った形跡はない、侵入した痕跡も同様。

 

『……後、やっぱり猫がいるね』

『アァ……さっきからにゃんにゃんうるせぇんだ……』

『この猫ちゃんも、ご主人がいなくなっちゃったんだよね……』

『そう……だね……』

『……せっかくだし、皆で世話しないかな。名前もつけてさ』

『ははっ、そうだね……その方が、睦月さんも喜ぶと思うし……』

 

 猫は持ってこれていた……つまり、自分の才能に関係する何かを持ってきていた人はいたといことだ。

 

 コトダマゲット → 【猫】

 睦月さんの部屋にいた猫。

 彼女の才能にぴったりともいえる

 

『じゃぁ……次の場所見てくるよ……』

『了解っ、じゃぁ私達はもう少し調べてよっか』

『ッチ、めんどくせぇなぁ』

『いえーい! さんせー!』

 

 そうして僕は、次の場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

【焼却炉】

 

 焼却炉によってみると、そこにはソフィアさんと工藤君、そして緑川君と倉家姉弟がいた。

 

『あら……そちらはもう終わりまして?』

『うん、大体は』

『(フッ) 悲しい事だよ……子猫ちゃんが死んでしまうんだから……』

『あぁ、俺のアイドル候補!』

『えっ、候補だったの!?』

『神楽は信用しすぎです』

『ははは……それで、そっちの状況はどうかな』

『そうね……まずいえる事は……この焼却炉は使われていないという事、つまり犯人は今も証拠を持っているという事よ』

『あぁそうだ……でも、凶器って燃えないし、焼却炉に入れる人なんていないでしょう!』

『(フッ) 鉄は燃えるよ?』

『燃えるというか溶けるというか……』

 

 成程……使われていないのか。

 

 コトダマゲット → 【焼却炉】

 現在に至るまで、一度も使用された痕跡はなかった。

 

『(フッ) それに、この私が掃除当番だからね……この焼却炉は元々閉じられていたのさ』

『閉じられていた?』

『ええ……鉄製のシャッターでしっかりと……ね』

『つまり、焼却炉を使う事はできなかったんだよね!』

 

 焼却炉自体は使う事ができなかったのか……。

 

 コトダマゲット → 【掃除当番】

 焼却炉にはシャッターが閉じられていて、掃除当番以外使用できなかった。

 ちなみに掃除当番は、工藤君だ。

 

『ありがとう……これで大体の情報はそろったかな……』

『えぇ、もう事件に関係しそうな場所もないでしょう』

『しょ、食堂も何もなかったしね!』

『個室一つ一つ……はさすがに面倒ですわね、犯人もわからない以上は』

 

 そう、これ以上の捜査は……進展が無さそうだと判断した。

 

 と、そう思ったそのときだった。

 

うぷぷぷぷぷ……! オマエラ! 一定時間が経過しました!! 捜査をやめ、体育館入口横にある廊下の先……そう! 赤い扉の中にお越しください! 学級裁判が始まるよ!

『……行くしかないようね』

『うん!』

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

【赤い扉の中】

 

オマエラ、集まるのが遅すぎるのだ!

『しょうがないよ……夢喰さんは寝てるし、浦川さんは絵描きをやめようとしないし……』

『……だって、つまんないもん』

『眠い……うぅ~』

まったく……この裁判を勝ち取ったら、居眠り校則は考えてあげるよ……しょうがないんだからね!

『睡眠バカの睨みには、モノクマに強制力を働かせる力でもあるのかしら』

『なんて力だ……』

『はっはっは! ある意味最強の武器なのかもしれないな!』

御託はいい! オマエラの目の前にあるエレベーターにさっさと乗りなさい!

 

 

 

 〇

 

 

 

 僕らがエレベーターに乗ると、それはゆっくりと降下を開始した。

 怖い……この先で何が起こるのか……。

 命がけの犯人当てゲームが始まるんだから……。

 正直、信じたくない。

 この中の誰かが犯人だなんて……。

 でも……やらなきゃいけなんだ。

 

 皆が皆、そう思っていたことだろう。




・生徒名簿

【超高校級の空想家】佐藤 尊

【超高校級の釣人】 村戸 加奈

【超高校級の射手】門目 佳次

【超高校級の姉御肌】 茅野 青空

【超高校級の情報屋】枢木 誠

【超高校級の歌手】松丸 多恵

【超高校級のナルシスト】工藤 佐助

【超高校級の睡魔】夢喰 夏帆

【超高校級の脱獄犯】紬 大河

【超高校級の茶道家】倉家 志津

【超高校級の信者】倉家 神楽

【超高校級の絵師】浦川 瑠璃

【超高校級のプロデューサー】緑川 慎二

【超高校級の飼育係】睦月 穂香

【超高校級のバイオリニスト】ソフィア・クラウディア

残る生存者 14

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