海軍専門の泥棒   作:兵庫人

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麦わらとの冒険5

 モニカがダイヤモンドクロックの説明をしてから数分後。ルフィ達はゴーイングメリー号を取り戻すため、トランプ海賊団のアジトへ向かうことにした。

 

 そしてボロードは船を盗んだ償いとして、船を置いてきた場所への案内はするが、ダイヤモンドクロックを初めとするトランプ海賊団との戦いで得た戦利品は全て、ルフィ達とディボス達で山分けをするというタダ働きとなった。これにはアキースが何か言いたそうにしていたが、ボロードが彼を抑えてタダ働きを承諾した。

 

「随分とあっさりタダ働きを受け入れたな?」

 

 ボロードの態度が気になってディボスが訪ねると、ボロードは気楽な笑みを浮かべて答えた。

 

「うん? そりゃあ、俺だって命が惜しいからな。懸賞金三千万ベリー〝麦わら〟のルフィと懸賞金二千三百万ベリー〝幽霊船〟のディボス。東の海(イーストブルー)で一番目と二番目の懸賞金がかかっている海賊達にちょっかいをかけたんだ。タダ働き程度で命が助かるなら安いものだろ?」

 

「ナヌ? おい、ディボス! お前、懸賞金が上がったのか!?」

 

 ボロードの言葉に聞き捨てならない単語があったようでルフィがディボスに話しかける。それにディボスが答えようとする前に、アマゾース姉妹が自分達の主人に変わってルフィに言葉を返した。

 

「ええ、そうよ。知らなかったの?」

 

「新聞くらい読んだほうがいいわよ?」

 

「とにかくこれでディボスと貴方の懸賞金の差は七百万ベリー」

 

「以前の差は一千九百万ベリーだったけど、大きく差が詰まったわね」

 

「このペースでいけば、ディボスが貴方の懸賞金を追い抜くのはそう遠い日ではないわ」

 

「その日を楽しみにしているわ」

 

「それでディボスに懸賞金を追い抜かれたら『ウキー』って鳴いてちょうだい」

 

「家名の『モンキー』っぽくね」

 

 アデラからクラーラ、アマゾース姉妹の長女から八女の順番で言われてルフィが顔を真っ赤にしてディボスを睨む。

 

「ムキー! 負けねぇぞ、ディボス!」

 

「なんで何も言っていないのにキレられないといけないんだよ!?」

 

「一体何を騒いでいるの?」

 

 ルフィの理不尽な怒りにディボスが叫び返すと、シールス号からナミが出てきてディボス達に話しかける。

 

 シールス号から出てきたナミの後ろにはゾロにウソップ、サンジの姿もあり、四人は結婚式用の貸衣装からディボスとアマゾース姉妹の予備の服に着替えていた。これはモニカが、トランプ海賊団のアジトまで行ってゴーイングメリー号を取り戻すとしたら、高い確率でトランプ海賊団と戦闘になると思うので、今のうちに動き易い格好に着替えた方がいいと提案したからである。

 

 ディボスは着替えたゾロ達の姿を確認すると、自分の異空間にある海軍の戦艦、その中に保管されていたサーベルを三本呼び出して、それをゾロに投げて渡した。

 

「それを使いなよ。刀とは勝手が違うと思うけど、何も無いよりマシだろ?」

 

「ああ、助かる」

 

 ゾロがいつも使っている三本の刀は盗まれたメリー号の船内にあり、今まで無手であったゾロは三本のサーベルを受け取ると獰猛な笑みを浮かべて礼を言う。

 

「ねぇ、ボロード? それでトランプ海賊団って、どんな奴らがいるの?」

 

「え? ああ、そういえば話していなかったな」

 

 ナミがこれから戦うであろうトランプ海賊団についてボロードに聞くと、ボロードは自分が知るトランプ海賊団の情報を説明する。

 

「トランプ海賊団は二百人以上いるこの辺りで一番大きな海賊団で、中でも『トランプ5兄弟』という船長と四人の幹部が特に危険だ。全員恐ろしく腕が立つ上に、船長のベアキングとハニークイーンって幹部は悪魔の実の能力者らしいからな」

 

 

「あら? 私の事を知っている人がいるなんて嬉しいわね」

 

 

『『………!?』』

 

 ボロードがトランプ海賊団について話しているとそこに知らない女性の声が聞こえてきて、ディボス達が声が聞こえてきた方を見ると、そこにはバニーガールのような衣装の上にコートを羽織った扇状的な女性の姿があった。

 

「ああっ! 何て素敵なお姉様!」

 

「サンジくん、ちょっと待って!」

 

 突然現れた女性を見てサンジが目をハートにして駆け寄ろうとしたが、その前にナミが彼を止める。するとボロードが冷や汗を流しながら呻くような声を出す。

 

「トランプ5兄弟、ハニークイーン……! 一体いつの間に、どうしてこんな所に……!?」

 

 ボロードの言葉にこの場に現れた女性、ハニークイーンは妖艶な笑みを浮かべて答える。

 

「ふふっ。この近くで私達の船が一隻沈められたみたいでね。たまたま近くにいた私が様子を見に来たの。……それでどうやら貴方達が船を沈めてくれたみたいね?」

 

「何っ!?」

 

 ハニークイーンがそう言うと、ボロードが驚いた顔となってディボス達の方を見て、それにディボスが頷いて答える。

 

「ああ。確かにここに来る前に俺達はそちらの船を沈めた。……それで? だったらどうするんだ?」

 

「ふふ……。どうするって……決まっているでしょ!?」

 

 ディボスがハニークイーンに言うと、彼女は笑みを更に深くして右腕をディボス達の方へ差し出した。すると次の瞬間、ハニークイーンの右腕が液体となってディボス達に伸びた。

 

『『……!?』』

 

 ハニークイーンが悪魔の実の能力者であるとボロードから聞いたばかりであったが、それでもここまで大きな変化が現れると思っていなかったディボス達は、驚きで一瞬動きが止まってしまった。……ただ一人を除いて。

 

「はい。そこまで」

 

 粘液と化したハニークイーンの右腕がディボスに襲い掛かろうとしたその時、突然ディボス達の前に白い砂嵐のようなものが起こり、ハニークイーンの右腕を防いだ。

 

「なっ!? 一体何が……!?」

 

「ふぅ……。危ない、危ない。悪魔の実の能力は初見殺しのところがあるけど、貴女の能力は特にそうだからね」

 

 突然の出来事にディボス達も驚いたが、それ以上に驚いているハニークイーンの前で白い砂嵐が一ヵ所に集まり、一人の女性の姿となる。そしてその女性の姿を見てディボスが声を上げる。

 

「モニカ?」

 

「はい♪ ディボス船長、彼女の相手は私に任せてもらえないかしら」

 

 白い砂嵐が集まり体を作った女性、モニカは目の前のハニークイーンを見ながら自信ありげに言うのであった。

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