海軍専門の泥棒   作:小狗丸

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麦わらとの冒険6

 ハニークイーン。

 

 トランプ海賊団の船長も含めた幹部、トランプ5兄弟の一人で悪魔の実の能力者。七百八百万ベリーの賞金首であり、この東の海(イーストブルー)では上位に位置する実力者である。

 

 そんな実力者の海賊(ハニークイーン)の相手を一人ですると言ったモニカの言葉に最初に反応したのはボロードだった。

 

「一人でハニークイーンと戦う……? お、おい! あのモニカって嬢ちゃん、そんなに強いのか!?」

 

 この中でハニークイーンの実力を一番よく知っているであろうボロードはディボスに聞くが、それに対してディボスは首を横に振って答えた。

 

「さあ? モニカが俺達のところに来たのはつい最近だし、彼女がどれだけ戦えるか俺達もよく知らないんだ」

 

「何だと!? テメェ、このクソ野郎! それだったら何でモニカちゃんを止めようとし「だけど」……あ?」

 

 ディボスの言葉にサンジが怒りの言葉を言おうとするが、ディボスはそれを遮ってモニカの背中を見ながら言う。

 

「少なくとも全く戦えないってことはないと思うぞ? なにしろモニカも悪魔の実の能力者なんだから」

 

『『………!?』』

 

 モニカが悪魔の実の能力者であるとディボスが言うと、彼と彼の仲間を除く全員が驚いた顔となって彼女を見る。そしてそれに対してモニカは自身ありげな笑みを浮かべて胸を張るのであった。

 

「ふふん♩ そういうこと」

 

「そう……貴女も悪魔の実の能力者だったのね。じゃあさっきの白い砂嵐みたいなのも貴女の仕業ってわけね?」

 

「ええ。貴女をこれ以上好きにさせておくと色々と厄介なことになりそうだからね。悪いけど貴女はここで私が止めるわ」

 

 ハニークイーンの言葉にモニカはそう答えるとナミの方へ僅かに視線を向けたのだが、それに気づいた者は誰もいなかった。

 

「……! 行ってくれるじゃない? じゃあ今度は本気でやってあげるわ!」

 

 モニカの発言を自分への挑発と受け取ったハニークイーンは、凄みのある笑みを浮かべると次の攻撃を仕掛けようとする。

 

 ハニークイーンが食べた悪魔の実は「トロトロの実」。食べた人間は自分の体を液体にする能力を得て、一度液体になれば相手が「実体を捉える力」を使わない限り、一切の物理攻撃が無効となる自然系(ロギア)に限りなく近いとされる超人系(パラミシア)の悪魔の実。

 

 ハニークイーンは液体化した自分の体を広範囲に分散させて多人数の敵を一度に無力化させる攻撃を得意としており、ここへ部下も連れず一人で来たのも油断でも何でもなく、一人の方が部下を巻き込むことなく確実に敵を纏めて捕まえることが出来ると判断したからだ。そして彼女は目の前にいる自分に向かって生意気な口を聞いた赤髪の女性ごと敵を一網打尽にしようとしたのだが……。

 

「………え?」

 

 能力を発動させたはずなのにハニークイーンの体は一向に液体化せず、その事に彼女は戸惑った声を上げる。そしてそんなハニークイーンにモニカが話しかける。

 

「能力が使えないでしょう? 貴女はね、最初に攻撃を防いだ時にはすでに無力化していたのよ。ほら? 自分の体をよく見てみたら?」

 

「私をすでに無力化? 一体何を……?」

 

 モニカに言われてハニークイーンは自分の体を見てみると、白い砂のようなものが彼女の体のいたる所に付いていた。

 

「何これ? 砂……いいえ、塩?」

 

「はい、正解♩ 私は『シオシオの実』を食べた塩人間。塩とは海が作り出した海の力を宿した物質。そして悪魔の実の能力者にとって海は最大の弱点。つまり私は悪魔の実の能力を封じることが出来るってわけ♩」

 

『『………!?』』

 

 悪魔の実の能力者全ての天敵となりうるモニカの能力に、以前から知っていたディボスとアマゾース姉妹を除いたこの場にいた全員が驚きの表情を浮かべる。

 

「悪魔の実の能力を封じる? そんなことが……!?」

 

「これでおしまい」

 

 信じられないいった表情で呟くハニークイーンの腹部に、いつの間にか近づいたモニカの右手の人差し指がめり込む。それによってハニークイーンは自分の体から力が抜けて意識が遠のいていくのが分かった。

 

「貴女……一体何者なの……?」

 

「私はモニカ。前世でも今世でも医療に関わったディボスグループの船医(予定)よ」

 

 気絶する直前に辛うじて言ったハニークイーンの質問に、モニカはそう答えるのであった。


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