シールス号の改造が完了した。
この何も無い無人島で、しかもこの短期間で改造が完了したのは全てフネフネの実の能力とアーレースのお陰だ。
アーレースの艦内にある工場で兵器と改造用の部品を作り、それをフネフネの実の能力でシールス号に取り付けた結果、最初よりもスピードと火力が大幅に上がった。
それとついでにディボスグループのマークも考えてシールス号の船体と帆に描いてみた。先日俺は賞金首となり、海軍は俺達を完全に海賊扱いしているので、それだったら海賊みたいに自分達の象徴を掲げてみようと思ったからだ。
色々と考えてみた結果、俺は「交差する鍵と剣のマーク」を描いてこれをディボスグループの象徴にする事に決めた。
ただし海賊みたいに、とは言ったが骸骨のマークはいれておらず、これにはちゃんとした理由がある。
まず骸骨のマークがないのは「俺達は多くの海賊が行なっている民間人への略奪は基本的にしない」という意味。
次に交差している鍵は「海軍に対する盗みを主な活動としている」という意味。
最後に交差している剣は「しかし攻撃をしてきたら、全力で反撃をする」という意味。
アマゾース姉妹にもこのマークは結構好評で、その事に俺は内心で安堵していた。よかった。センスが悪いとか言われなくて。
シールス号の改造が終わり、ディボスグループのマークも完成した俺達は明日からまた活動を再開するつもりである。
シールス号の武装は、そのほとんどがアーレースの艦内工場で製造された兵器に交換されているのだが……その威力は予想以上に強力だった。
今日、近くの島に向かっていた俺達は偶然、海軍の軍艦と遭遇した。
シールス号は海中を移動していたため海軍の軍艦はこちらに気づいておらず、それを好機とみた俺達はその海軍の軍艦でシールス号の新武装の試し撃ちを行ったのだ。
試し撃ちと言っても軽く一、二発くらい船底に撃って脅かしたらそのまま逃げる予定だったのだ。しかしだった一発撃っただけで海軍の軍艦は船底に大きな穴が空き、そのまま沈んでしまった。
幸いと言うか軍艦に乗っていた海兵達は全員脱出できたようで死者は出なかったが、まさかこの様な結果になるとは俺もアマゾース姉妹も完全に予想外である。
とりあえず海兵達が脱出した後、俺達は沈んだ軍艦から使えそうな物資を急ぎ回収すると、海軍の増援が来る前に逃げ出した。
……ほとぼりが覚めるまでこの辺りにはあまり近づかない方がいいかもしれない。
先日うっかり沈めてしまった軍艦から回収した物資の中に気になる物があった。
それは厳重に封をされた小さな宝箱で、他の物資に比べて明らかに重要度が高そうに見えたので、俺はなんとか宝箱の鍵を壊して中を確認してみた。すると……。
宝箱の中には「灰色で、唐草模様の、ミカンに似た果物」が一つ入っていた。
宝箱の中にある果物を見た瞬間、一瞬時が止まったような気がした。
この、見るからに怪しくて不味そうな果物って間違いなく「悪魔の実」だよね? それが何で沈めた軍艦の物資に紛れ込んでいるの?
そう言えばあの沈めた軍艦、
とりあえず俺はこの悪魔の実を自室の冷蔵庫の中に封印する事にした。
半月ぶりにこの日記をつけた。
この半月の間に四件の「仕事」をしたのだが……一つ言わせてもらいたい。
更に言えば俺達は今回の四件を含めて十五回、海軍で盗みを行なったがその内十回、横領等の汚職の証拠を掴んだからな!
いくら
このままだと「最弱の海」の他に「腐った海」なんていう不名誉な異名を付けられるんじゃないか、この海?
俺が怒るのも筋違いな気がするが、なんとなく腹が立ったので、今度からは汚職の証拠を掴んだらそれも盗んで新聞社などの情報を扱う奴らに売り払う事にしよう。
本当にこの海の海軍はいい加減にしろよと言いたい。全ての
今回俺達が盗みに入った海軍も、前回の仕事の時と同じく横領等の汚職に手に染めていた。
この日、ネズミ大佐とかいう駐屯地の司令官は、何かの用事があるのか駐屯地の海兵のほとんどを連れて外に出ていて、お陰で俺はゆっくりと徹底的に盗みを行うことができた。すると汚職の証拠や不当に入手した裏金が出るわ出るわ。
調べてみるとこの海域には数年前からある海賊団が潜伏していて、その海賊団は近くの島にある全ての街を支配していたらしい。そしてネズミ大佐は海賊団から定期的に金を受け取る代わりに、この事実を他の支部や海軍本部に伝わらないよう情報操作をしていたそうだ。
以上のことから分かるように、このネズミ大佐は俺が今まで見てきた中でもトップクラスに腐った海軍だ。こんな奴に容赦する必要はない。
俺はネズミ大佐が貯め込んだ裏金を全て奪うと、汚職の証拠である書類をネズミ大佐の息がかかっていない、ここから離れた所にある新聞社に売る事に決めた。
ネズミ大佐の基地から裏金と汚職の証拠である書類を奪った日から三日後。
基地から大きく離れた島に到着した俺達は、その島にある新聞社に例の汚職の証拠である書類を全て売った。正直書類を売るのは汚職をする海軍に対する嫌がらせが主な目的なので、書類の値段には特に興味がなかったのだが思いの他高額で売れた。
裏金と合わせて三千万ベリーの大金を得た俺達は、せっかくだから近くにあるリゾート地でゆっくりする事に決めた。
そしてリゾート地へと行く途中、ネズミ大佐に金を渡していた海賊団が別の海賊団に壊滅させられたという噂話を聞いた。
どうやら今日はいい夢を見られそうだ。
できる事ならその海賊団を潰した別の海賊団が、今まで支配されていた全ての街の人々に乱暴をしなければいいのだが。
リゾート地へとやって来てから今日で五日目。
ネズミ大佐から盗んだ金を使いリゾート地で豪遊をしていた俺達の元に、ニュース・クーが新聞と一緒にある二枚の紙を運んできた。
一枚は初めて見る海賊の指名手配書でこう書かれていた。
「麦わらの一味船長〝麦わら〟モンキー・D・ルフィ、懸賞金3000万ベリー」
この
手配書の裏面に記載されている情報によれば、どうやらこのルフィという海賊が、ネズミ大佐に金を渡していた海賊団を壊滅させたらしい。
そう思うと、苗字に俺と同じ「D」があることもあって、そんなに悪い奴には見えなくなった。
そしてもう一枚は何と俺の新しい俺の指名手配書だった。
「ディボスグループ船長〝幽霊船〟バトレム・D・ディボス、懸賞金1100万ベリー」
どうやら俺が金と一緒に海軍の機密文書を盗んでいることに危機感を感じた本部が、いきなり懸賞金を一気に前の三倍に釣り上げたようだ。
しかし一般市民からは、汚職をしている海軍を罪を暴いているということでそれ程悪いようには思われていない……というかそれなりに人気が出ているようだ。
この事実に俺は喜べばいいのか分からなかった。
とにかく今分かっていることは、この街には俺もアマゾース姉妹も顔を知られてしまっているので、これ以上いられないということ。
俺達は休暇を終了して、再びディボスグループの活動を再開する事にした。