リゾート地を旅立って七日経った。
俺に新しくかけられた懸賞金1100万ベリー。
つい先日現れた海賊〝麦わら〟のルフィの三分の一で、
しかしこの
そのせいか最近になって海軍がやたら必死になって俺達を捕まえようと追ってきて、この七日間だけで三回、二日に一度のペースで海軍と戦闘になった。
もちろん三回とも俺達が勝利した。
実際の話、俺達は海軍の駐屯地で盗みを行うよりも、こうして海上で戦う方が得意なのだ。
なにしろフネフネの実の能力者である俺が海軍の船に立てば、それだけで船のコントロールはこちらのものとなる。そして自分達の足場である船のコントロールを奪われて海軍が浮き足立ったところを戦闘力に優れたアマゾース姉妹が襲いかかるのだ。
シールス号を盗む時に戦った海軍本部から来た海兵達ならともかく、
アマゾース姉妹は丁度いい実戦訓練ができたと喜んでおり、そしてそれは俺も同意見であった。
経験の濃さで言えばアマゾース姉妹と行う戦闘訓練の方が上だが、海軍との「実戦」はそれとは別の経験を得られて、戦いを重ねる毎に自分達が強くなっていくのが分かる。
この調子でいけば、フネフネの実を食べた頃から訓練していた「あの技」が使えるようになるのも近いだろう。
海軍の駐屯地と海軍の軍艦。どちらに盗みをすれば儲かるかと言えばそれは海軍の駐屯地の方だ。
海軍の駐屯地なら海軍の資金が確実にあるし、汚職の証拠があれば新聞社とかにそれなりの値段で売れる。
だが軍艦の方は駐屯地とは違うものが手に入ることがある。
今日はこれまで海で戦った海軍の軍艦にあった戦利品の整理していた。
戦利品のほとんどは特に新しくもないライフルに、大砲の砲弾や火薬ばかりだったが、その中に二つほど興味を引かれる物があった。
それは奇妙なコンパスだった。ガラス玉の中にコンパスの針をぶら下げた、方角を記した文字盤もない奇妙なコンパス。
奇妙なコンパスは、リストバンドに取り付けられたタイプと、砂時計みたいな枠に固定されたタイプの二つがあり、リストバンドタイプが二つと砂時計タイプが三つあった。
最初俺はこれらが何なのか分からなかったが、どこかで見たことあるのを覚えており、実家から持ってきた本で調べてみた結果、これらが何なのか分かった。
調べた本によると、リストバンドタイプは「ログポース」といい、砂時計タイプは「エターナルポース」という
そんな
それに対してエターナルポースは、一つの島の磁気だけを記憶して、その名の通り永遠に磁気を記憶した島の方角を示し続ける。
まさか
今のところ
今日も俺達を捕まえようとする海軍と戦った。
戦っても負けることはまずないし、いい経験になるのだが、最近俺だけじゃなくてアマゾース姉妹にも少しずつ疲労がたまってきている。
疲労はどちらかと言えば精神的なもので、以前リゾート地で遊んだ時のようななにか気晴らしをする機会があれはいいのだが。
今日、食料などを補給した島で、この辺りにとても美味しいおでんを食べさせてくれる屋台船があるという話を聞いた。
おでん。確か
とにかくその屋台船のおでんは美味しい上に安く、わざわざ船を出して食べに行く常連客も多いらしい。
せっかくだからアマゾース姉妹と一緒に食べに行こうと思う。
美味しいものを食べればそれが気晴らしになって、精神的な疲れも解消できるかもしれない。
◆◇◆◇
島で美味しいおでんを食べさせてくれる屋台船の話を聞いた俺は、仲間達と一緒にシールス豪華を海上に浮上させたまま、その屋台船がいるという海域に向かっていた。
今俺はエラとクラーラと一緒に甲板の上に出て屋台船を探しており、俺が周囲を見回していると双眼鏡で前方を見ていたクラーラが声をかけてきた。
「船長。北東の方向に船が見えるわ」
「何? 屋台船が見つかったのか?」
「いいえ。俺は屋台船ではないと思うわ」
「そうね。どう見てもお店には見えないもの」
俺がクラーラに訊ねると彼女は首を横に振って答え、双眼鏡でクラーラと同じ方角を見たエラもそう言ってきた。
「じゃあ俺達と同じ屋台船に向かっている船か?」
俺の言葉にエラとクラーラは同時に同時に首を横に振った。流石同じ時期に製造された人造人間。息がピッタリだな。
「それも違うと思うわ。だってあの船、帆を畳んで錨を下ろしてあの場から動こうとしないのだから」
「動こうとしない? 何で?」
「そこまでは分からないわ。気になるなら行ってみる?」
エラの報告に俺が首を傾げているとクラーラがその船に行くことを提案してきた。
確かにここで考えているよりもそっちの方が早いか。
「そうだな。それじゃあ行ってみるか」
俺はクラーラの言葉に頷くと、シールス号をその船がある方向へ進ませた。
それから数分後。エラとクラーラが言っていた船が見えてきたのでシールスを船の横につけると、船の甲板に俺と同じくらいの男が一人、ぐったりと横になっていた……って!?
「あ〜、腹減った〜。サンジ〜、メシ〜」
船の甲板で横になり力のない声を出すその男を俺は知っていた。……知っていたけど、何でこんな所にいるんだよ?
「……君、まさか〝麦わら〟のルフィ?」
「ん? 俺を知っているのか? お前誰だ?」
俺の呟きが聞こえたのか、船の甲板で横になっていた男、懸賞金三千万ベリーの海賊麦わらのルフィが起き上がってこちらを見てきた。
これが俺とルフィの最初の出会いで、ある意味で俺の不幸の始まりでもあった。