海軍専門の泥棒   作:兵庫人

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四頁目

 おでんの屋台船を探している最中、海の真ん中で停まっている奇妙な船を見つけた。

 シールス号を船の横につけてみると、船の甲板には今東の海(イーストブルー)で最も懸賞金が高い海賊「麦わらのルフィ」が力なく倒れていた。

 ルフィの船がこの場にいる理由を聞いてみると、何でも彼の仲間の一人が近くの島、俺達がこないだまでいた島へ食料の買い出しに行っていて、その帰りを待っていたからだそうだ。そしてルフィが船の甲板で倒れていたのは、買い出しを待っている間に彼が船に残っていた僅かな食料を全て食べ尽くして、食べるものがなくなったかららしい。

 この話を聞いた時、俺は思わず頭を抱えた。

 残っていた食料を食べ尽くすなんて一体何を考えているんだ? その食料の買い出しに行っている仲間が、何かのトラブルで戻るのが遅れたらどうするつもりだ? 冗談でも何でもなく、マジで飢え死になるぞ?

 一緒に話を聞いていたエラとクラーラも呆れていたし。

 その後、あまりにも空腹な様子のルフィが哀れだったので、彼と彼の仲間達を昼飯に誘ったのが……俺はこの行為をすぐに後悔する事になった。

 ルフィの奴、せっかく補充したばかりの食料の半分以上をほとんど一人で食べてしまったのだ。これには彼と一緒に来た彼の仲間であるゾロとナミとウソップも謝ってくれた。

 それにしてもゾロと言えばこの東の海(イーストブルー)でも有名な「海賊狩り」の異名を持つ賞金稼ぎだったはずだ。そんな人間が海賊になってルフィの仲間になっていたのは正直驚いた。

 そして昼飯を食い終わった丁度その時、海軍の軍艦が一隻、俺を捕まえにやって来た。

 ルフィとゾロが昼飯の礼と言って協力を申し出てくれたが、最近になってようやく使えるようになった「新技」を試したかった俺はこれを断り、新技を使って海軍を撃退した。

 この時、ルフィとその仲間達は俺の新技に驚いた顔をしていて、それが少し面白かった。

 

 ◆◇◆◇

 

「〝幽霊船〟ディボス! もう逃げられないぞ! 大人しくこちらへ投降しろ!」

 

「お、おい、どうするんだ!? 海軍が来ちまったぞ?」

 

 昼食を終えた丁度その時に現れた海軍の軍艦。それから聞こえてくる降伏勧告に、海賊〝麦わら〟のルフィの仲間である長い鼻が印象的である青年ウソップが狼狽えた様子で一人の青年に声をかける。

 

 ウソップが声をかけた青年の名前はディボス。〝幽霊船〟の通称で知られている懸賞金千百万ベリーの賞金首である。

 

「ん? 戦うのか? だったら手伝うぞ?」

 

「そうだな。メシを食わせてもらった恩もあるしな」

 

 ウソップの言葉に反応して麦わら帽子をかぶった青年、海賊〝麦わら〟のルフィと、その仲間で「海賊狩り」の異名を持つ元賞金稼ぎだった青年ゾロもディボスに声をかける。しかしそれに対してディボスはゆっくりと首を横に振った。

 

「いや、海軍は俺一人で相手をする。皆はそこで待っていてくれ」

 

 ディボスは自分の部下である八人の美少女アマゾース姉妹とルフィ達にそう言うと、海軍の軍艦に向かって歩いていく。

 

「待って! 相手をするって一人でどうやって……!?」

 

 ルフィの仲間の一人、オレンジ色の髪をした女性ナミの言葉の途中で、ディボスは甲板を蹴ってこちらへ向かってくる海軍の軍艦へ跳躍する。しかしその高さも距離も全く足りておらず、このままではディボスは海に落ちてしまうと思われたその時……。

 

「『召艦(コールシップ)』」

 

 ディボスが呟いた瞬間、彼の周囲に半透明な船が現れ、ディボスは半透明な船の甲板を蹴って空中で二回目の跳躍をする。その後、自分の仕事を終えた半透明な船は空に溶けるように消えて、それを見てルフィとその仲間達が驚きで目を見開いた。

 

「何だありゃ!? 船が出てきたぞ!」

 

「まさかアイツも能力者か!?」

 

「まるで幽霊のように現れたり消えたりしたぞ、あの船!?」

 

「だから『幽霊船』って呼ばれているんだ……!」

 

 そして驚いているのはルフィ達だけではなかった。海軍達も捕まえにきた対象が突然船から飛び降りたかと思ったら、空中に別の船を呼び出しそれを利用してこちらへ跳んでくる光景に驚き、動きを止めてしまっていた。

 

 ディボスは海軍達が驚きで動きを止めている間に彼らの軍艦に降り立つと、甲板に手を当てた。すると次の瞬間、彼がつい最近使えるようになったフネフネの実を使った新技が発動された。

 

「『奪艦(ゲットシップ)』」

 

 ディボスが技を発動させると海軍の軍艦が一瞬で消えた。そして軍艦に乗っていた海兵達は突然空中に投げ出され、驚きと困惑の表情のまま全員海へと落ちていった。

 

 海兵達が訳も分からないまま海へと落ちていく中、軍艦が消える直前に跳躍をしたディボスは、自分の船である潜水艦シールス号の甲板に降り立つと、そこにいる自分の部下達とルフィ達に何でもない顔で話しかける。

 

「終わったぞ。海軍の増援が来るかもしれないから、念のために急いでここから離れた方がいい」

 

「なぁ、ディボス! お前、今何をやったんだ!?」

 

 ここから離れることを提案するディボスに、ルフィは驚きと面白そうなものを見つけた興奮が混ざった表情で質問をしてきた。そんな彼にディボスは一瞬驚いた顔をした後、簡単に説明をする。

 

「……別に、ただ能力を使って軍艦を消しただけさ。

 俺は悪魔の実の一つ、フネフネの実を食べた『操船人間』。

 自分が乗った船を手足のように操るだけでなく、好きな場所に船を呼んだり、逆に船を消したりすることができるんだ」

 

『『…………!』』

 

 ディボスの説明にルフィとその仲間達は、再び驚きで目を見開くのだった。

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