悪魔の実図鑑で調べた結果、俺の部屋の冷蔵庫にある悪魔の実がなんであるか判明した。
どうやらこの悪魔の実は「
悪魔の実には、超常現象を起こす力が得られる「
動物に変身できるようになる「
身体が自然現象そのものとなる「
そして
悪魔の実の能力がなんであるか分かった俺は、これをどうするか考えた。
悪魔の実はどんな物でも最低一億ベリーの大金がつくのだが、残念なことに俺にはそんな大金がつく代物を売り捌くルートを持っていない。なのでアマゾース姉妹の誰かに食べさせようと思ったのだが、アマゾース姉妹の全員が「そんな不味い物は食べたくない」と拒否。
お前達、悪魔の実の能力よりも味の方が大事なのか?
いや、確かに悪魔の実はどれも尋常じゃないくらい不味いけどさぁ……。
シールス号で海中を潜航していた時、なにやら動きが奇妙な海軍の船をニ隻発見した。
二隻のうち一隻は普通の軍艦なのだが、もう一隻は何かの荷物を運ぶ貨物船のような船であった。その二隻の船は人目がつかない航路を進み、海賊だけでなく一般の船にも見つからないように移動しているのが妙に気になった。
もしかしたらあの貨物船は海軍にとって貴重な物資を運んでいて、軍艦の方はそれの護衛なのか?
興味を覚えた俺達は海中に潜みながら、その二隻の海軍の船の後を追うことにした。
奇妙な動きをする海軍の船二隻の後を追って二日目。
二隻の船は相変わらず人目につかない航路を進み、近くの海軍の駐屯所にも寄りつこうとしなかった。
貨物船が運んでいる荷物は味方である海軍にも秘密ということなのか?
ますます興味が湧いてきた。幸いにも食糧にはまだ余裕があるしこのまま追跡を続けることにしよう。
今日は最悪な気分だ。
海軍の船二隻が運んでいた荷物、それが一体何なのか分かったが、それは俺達が思っているようなものではなかった。
今日二隻の船は無人島で補給をしていて、俺はその夜にこっそりとフネフネの実の能力を使って貨物船が何を運んでいるのかを調べた。そうしたら貨物船の中には、何十人もの手錠をつけられた人間が乗せられているのを俺は知った。
そう、この貨物船は奴隷を運んでいたのだ。
とりあえず俺は奴隷達ごと貨物船を「
まったく、海軍が奴隷を扱うとか何を考えているんだよ。
貨物船を奪ってすぐにシールス号を一晩中進ませた俺達は、一先ず海軍が追ってきそうにない無人島を見つけると、そこで異空間に収納していた奴隷達を乗せた貨物船を現実世界に呼び出した。
貨物船に運ばれていた奴隷達は最初、一体何が起きたか分からなかったようだが、自分達が海軍から解放されたと分かると全員涙を流して喜んだ。中には俺達に手を合わせて拝んでくる人までいた。
一体どうして奴隷にされて、しかも海軍に運ばれていたのか事情を聞くと、何でも彼らのほとんどは
テキーラウルフ。
確か橋の上にある国で、七百年も昔から今も巨大な橋を建造しているという話を聞いた事がある。しかしこんな無茶な方法で労働力を確保しているとは思わなかった。
貨物船に乗っていた奴隷達は自分達の生まれ故郷へ帰ることに決めたようだ。そこまで一緒に行こうかと言ったが、それは断られた。
それはまあ仕方がない。いくら奴隷から解放したとは言え俺達は海賊(自分から海賊と名乗った覚えはないが)、信用できないと思われるのは当然だ。
とりあえず奴隷達には彼らが乗っていた貨物船と食糧等を渡し、ここで別れることにした。
彼らがもう二度と奴隷にならないことを祈っておこう。
俺の密航者が出た。昨日分かれた奴隷達の一人がシールス号の倉庫に隠れていたのだ。
密航者はモニカという十六歳の女性で、自分から俺達の前に現れると仲間に加えて欲しいと言ってきた。
仲間にするかはともかく、貨物船はすでにどこかに行ってしまったし、海に放り捨てるわけにもいかないだろう。だから俺はしばらくは彼女を船に乗せておくことに決めて、アマゾース姉妹もこれに賛成してくれた。
この事を伝えたらモニカは大喜びしたのだが、
「原作には出てないけど、人のよさそうな海賊団でラッキー」とか、
「特典無しの転生だったけど運が向いてきた」とか、
「これで原作キャラに会えたら最高なのにな~」みたいなよく分からない言い出した。
一体何を言っているんだ、彼女は?