突然なんでもできるようになった結果wwwww   作:geeeee

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記憶喪失

もたついている間にも加速度的に水量は増えていく。

もう水が膝辺りまで来ているしダメかもしれない。

能力を使えば苦しくなくなりそうだし、もういいかな。

 

いきなり水量が爆発的に増えた。数秒で腰辺りから頭まで浸かるようになる。

長時間の潜水を覚悟したその時バタンと四方にある壁が外側へと倒れた。

 

嘘だろ。謎展開すぎる。喜べばいいのか。

そして天井が落ちてくる。

急いで俺は頭を沈めて衝撃に備えようとするが、水が周囲に流出して頭が浸かるほどの高さにない。

まずい。もう能力を使うか。

天井の重量を鳥の羽と同じくらい軽くしろ。

 

天井が俺の体をすり抜けて床とぶつかった。

想像以上に分厚く俺の身長の半分くらいある。

 

能力には軽くしろとしか念じていないのになぜすり抜けるのだろうか。

触ろうにも触れない。

まるで天井の感覚がない。

見えているだけだ。

倒れた壁は天井に埋まってどこにあるのかわからない。

あったはずの水もどこかに消え、服も完全に乾いている。

 

天井から抜け出すとそこは大部屋のようになっていて全方向に12個のドアがある。

どうしようか。どれかのドアに入らなければいけないのだろうか。

能力を使ってドアの向こうを確認してもいいのだがそれだと面白くない。

ドアには番号が振ってあるので1番のドアを開けることにしよう。

 

 

気づけば俺は銃を握って壁に張り付いている。

隣でティルス人らしい男前も銃を持っている。

男前が俺に目配せして走り出した。

どういう状況だ。追いかければいいのか?

よく分からないがとりあえず追いかけて走ろう。

 

俺は首根っこを掴まれた。

後ろを向くとムキムキのおっさんがいる。

 

「何やってるんだ。お前はここで援護をしろ」

 

声も普通にかっこいい。

ここに来てまともな人が登場してきて嬉しい。

 

それはそうと援護とは何か。

そう思っているとおっさんが腰を指差して

 

「これを投げんだろ。どうしたんだお前」

 

と言ってきた。

俺は彼と関わった記憶がないのだがそういう設定なのか。

腰に付いている黒い玉を投げればいいのか。

壁の角から腕を少し出してたびたび銃弾が飛んでくるいかにも敵がいそうな方へ投げる。

 

「何やってんだボケ。もういいお前は引っ込んでろ」

 

おっさんは俺の頭を殴って前に出た。

俺の腰についている黒い玉をぶんどって、出っぱっているピンのようなものを爪で弾き思いっきり覗き込んで放り投げる。

そして手を握り込んだ。

 

刹那に爆音が上がった。

そして俺の意識は落ちた。

 

 

目が覚めたとき俺はボロ布にくるまっていた。

布は血の跡がべったりとついていて怖い。

臭い。何かが膿んだ匂いや腐った匂いがする。

激臭さんとは違うが明らかにこちらの方が不愉快だ。

左右に人がいて、俺にくっついていて窮屈だ。

耳が痛い。音が何も聞こえなくて怖い。

 

能力で耳を治すと途端に音が聞こえるようになった。

周囲からうめき声が上がっている。

ピラミッドを着けた部屋とは違う、切羽の詰まった悲鳴のようだ。

状況が把握できない。

視点を飛ばすと腕や足がもげていそうな人や頭がえぐれている見るからに死んでいそうな人、そして彼らを看取っている医者らしき人たちがいた。

こんな居心地の悪い場所には1秒たりとも居たくない。

立ち上がって人を踏まないように気をつけながら部屋の向こうにあるドアの方へと向かう。

 

外に出ると兵士のような格好をした人たちが慌ただしく動いている。

淡々と負傷者を運ぶ衛生兵がいる。

 

俺が建物から出たことに気づいた男がこちらに向かってくる。

優しそうな顔で好感が持てる。

 

「起きたかスアレス。どうしたんだよお前らしくもないミスして。モヤさんが死にそうになりながらお前を運んでくれたんだぞ。彼に感謝しにいけよ」

 

やけに馴れ馴れしい。これも俺が俺である前の関係なのか。

俺はスアレスという人物でモヤさんは誰だ。

わからないことが多すぎる。

もう記憶喪失のふりして乗り切ろうかな。

 

「すみません。どちら様ですか」

 

彼は一瞬固まっておどけたように笑いかけた。

 

「おいどうしたんだよ。ふざけてんのか」

「すいません。ふざけてないです」

 

しばらく会話をしていなかったもんだからティルス語が怪しい。

彼は笑顔を消して真剣な顔になった。

 

「本当か?冗談じゃないよな。俺の名前はディエスだ。聞き覚えあるはずだろ」

「聞き覚えはないです」

「モヤさんは流石に分かるだろう」

「分かりません」

「自分の名前は分かるか?」

「キーンです」

 

彼は少し泣きそうな顔になって

 

「ついてこい」

 

と言った。

連れてこられたのはさっきいた建物とは違う、テントだ。

中にいるのは白衣を着た老人で片足が義足だ。

 

彼が老人に事情を説明していく。

 

「なるほど。ではこれから君に検査をしよう」

 

老人が俺の目を真っ直ぐに見てくる。

眼力が強く思わず目をそらしてしまいそうになるが、不誠実なので耐える。

 

「君は昨日音響兵器で気絶したんだ。覚えているか」

 

音響兵器とはおっさんが投げた黒い玉のことだろう。

心当たりがあるのでうなずく。

 

「鼓膜も破れていて音が聞こえないはずだが聞こえているようだ。回復系の能力を得たのか

まぁいい次だ。君は兵士だ。どこの所属か分かるか」

「分かりません」

「そこを思い出せないということはもう君は兵士として使い物にならなくなっていそうだな

面倒だし訓練隊に入るといい」

 

そう言ってディエスくんと共に追い出されてしまった。

訓練生が訓練のなかで訓練隊に入るのか。もう意味がわからないな。




戦争の描写がわからない

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