突然なんでもできるようになった結果wwwww   作:geeeee

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お散歩

この能力を手に入れてから数週間がたった。

その間にも俺はこの能力を使いたい、見せびらかしたいという欲求を募らせていった。

せっかくこんな物を手に入れたのに使わないのは損だ、世界で活躍してみたい、褒め称えられたい。当然の欲求だろう?

俺を気にするような人間は家族ぐらいだ。能力を使って困ることがあるというのか。

そうした思考を毎日毎日続けていて、俺は自分を抑えられなくなった。

餌を目の前に置かれた調教もされていない犬は餌に食いつかずにいつまでも待てないものだ。

 

わざわざ見せびらかすのはいかがな物か、いざというときに何もできなかったら俺を待つのはただでさえ低い地位の低下か。

活躍といったところで何をするというのか、活躍には積極性が必要だ。俺が俺でなくなったわけでもないのに活躍なんてできるはずがない。

ならば自分だけでできてそこそこ満足ができそうな物がいい。

 

というわけで俺は侵入禁止区域に行くことを決めた。

 

 

侵入禁止区域とは人類の天敵である敵対種が蔓延る地域だ。

始まりは15世紀、人類は結界石というものの活用法を発見した。

それ以前までは敵対種に脅かされ、農業はまともにできず人類の半数が狩猟と酪農による遊牧生活を送っていたためかろうじて文字と宗教文化があった程度だった。

生と死が隣り合わせの生活を送っていた人類は結界石を使うことで敵対種を追い出す方法を発見したのだ。

それからわずか3世紀で文明の針は進み、宇宙に進出することにまで成功した。

だが1862年、世界を統治していた政府によって結界石の枯渇が宣言された。

結界石は劣化する。そしてあまりに対敵対種に優れていた。

結界石は囲まれた部分に敵対種を寄せ付けないという特性があった。

だからほとんどの領域では結界はスカスカで結界石が劣化して穴が空いてしまうと敵対種がなだれ込む。

その上結界石は高価だったために殆どの地域ではリソースを大切に使い2重3重に結界を張ることなどはできなかった。

 

人類は文明、技術を急速に失っていった。

2重3重に結界を張ることができた裕福な地域だけが代替となる技術を開発して、生き残ることに成功したのだった。

だが擬似結界はかなりの費用と設備が必要となる。人類が失った地域を取り戻すことは容易ではなかった。

なにより擬似結界を作るにも資源がいるのだ。人類の発展により資源が失われ、疑似結界の開発のために今の生存圏では取り尽くされた。

今は加速器による原子の生成からその資源を生成する、或いは非開拓領域で資源を回収する。

この2つでしか資源を作れない。

加速器で作る方法は生成できる量に対して必要な電力が多すぎるために大赤字になる上、時間もかかるので人口が少ないか周囲に資源がない場所でしか行われない。

ほとんどは非開拓領域での回収となる。

 

ちなみに結界石は分子構造が複雑過ぎてほとんど再現できないらしい。

 

 

侵入禁止区域は擬似結界の外側にある地域だ。敵対種がいるため一般人は入ることができない。

擬似結界に近いところでは強力な能力者による狩りが定期的に行われているため、比較的安全と言われている。

俺はそこに行こうと思う。

既にそのあたりである程度必要となりそうな能力を試した。

転移で行ったことのないトイレの中に入ることができた。視界を遠くに飛ばすことができたため周りの人対策もバッチリだ。

生き物を殺せるのか試したがそのへんの虫は死ねと念じるだけで動かなくなった。

全能感に震える。食事はいらず、思ったことが現実となるのだ。準備なんていらない。

 

休日の明け方に俺はマスクを付けてパーカーのフードを被り、周りに人がいないことを確認してから、侵入禁止区域に転移した。

 

「おぉぉぉぉぉ…」

 

木々のざわめきが聞こえる。自然の匂いがする。一面が緑色だ。

空気が透き通っている。風を感じる。地面が柔らかい。

五感で自然を感じられる!

世界が違う!

機械や工場や人間はいない。人の手が入ったところなんてどこにもない。

正真正銘の侵入禁止区域だ!

 

もっと早く来ればよかった。この景色を見たことがある人間はご先祖様と優秀な能力者と偉い人だけだ。優越感が凄まじい。

景色への感動といけないことをしているという罪悪感で心臓が鼓動を激しく刻んだ。




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